本明細書中に記載するのは、治療有効量の1つ以上の四環系ピラジノインドール、またはその薬剤的に許容される塩を投与することによるMSの新規治療法である。MSを治療するための組成物も本明細書中に記載し、この組成物は、治療有効量の1つ以上の四環系ピラジノインドール、またはその薬剤的に許容される塩を含む。
一実施形態において、医薬組成物を本明細書中で記載する。例示的医薬組成物は、1つ以上の四環系ピラジノインドールおよび/またはその薬剤的に許容される塩、ならびにその1つ以上の薬剤的に許容される担体、賦形剤、および/または希釈剤の投与形態を含む。他の例示的医薬組成物は(a)1つ以上の四環系ピラジノインドールおよび/またはその薬剤的に許容される塩、ならびに1つ以上のジメボリンおよび/またはその薬剤的に許容される塩の混合物、(b)1つ以上の四環系ピラジノインドールおよび/またはその薬剤的に許容される塩、ならびに1つ以上のNMDA拮抗物質の混合物、(c)1つ以上の四環系ピラジノインドールおよび/またはその薬剤的に許容される塩、ならびに1つ以上のスタチンの混合物、(d)1つ以上の四環系ピラジノインドールおよび/またはその薬剤的に許容される塩、ならびに1つ以上の免疫抑制薬の混合物、(e)1つ以上の四環系ピラジノインドールおよび/またはその薬剤的に許容される塩、ならびに1つ以上の免疫調節薬の混合物、(f)1つ以上の四環系ピラジノインドールおよび/またはその薬剤的に許容される塩、1つ以上のジメボリンおよび/またはその薬剤的に許容される塩、ならびに1つ以上のNMDA拮抗物質の混合物を含む。他の例示的処方は、2つ以上の別個の薬剤投与形態が同時投与のために都合よく互いに付着した「サンドイッチ」処方を包含する。
別の例示的実施形態において、当該方法は、MSに罹っているかまたはMSの軽減を必要とする患者に対して、治療有効量の1つ以上の四環系ピラジノインドール、もしくはその薬剤的に許容される塩を投与する;および/または治療有効量の1つ以上の四環系ピラジノインドール、若しくはその薬剤的に許容される塩を含む本明細書中で記載される組成物などの医薬組成物を投与するステップを含む。
本明細書中で用いられる場合、「四環系ピラジノインドール」という用語は、一般的に、そのそれぞれが飽和であっても、または不飽和であってもよいシクロヘキサン環またはピペリジン環などの縮合環を含む水素化ピラジノインドール、および前記のいずれかの薬剤的に許容される塩を指す。したがって、前記のそれぞれにおいて、任意の対応する薬剤的に許容される塩も本明細書中に記載される例示的実施形態に含まれると理解されるべきである。例えば、縮合環はピラジノインドールのインドール部分とピラジン部分とを架橋する。本明細書中に記載される例示的四環系ピラジノインドールの誘導体は、これらもまた四環系ピラジノインドールであり、この用語に含まれると理解されるべきである。例示的誘導体は、本明細書中に記載される化合物から合成によって調製できる化合物、ならびに本明細書中に記載されるものと同様の方法で調製できるが、出発物質の選択が異なる化合物の両方を包含するが、これらに限定されるものではない。
加えて、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(II)、(III)、および(IV)の例示的四環系ピラジノインドールも本明細書中で記載する。これらの式は、芳香環上に、Raなどの種々の置換基を含む。これらの化合物の誘導体は、例えば、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(II)、(III)、および(IV)の定義で明記したものと異なる、芳香環上の置換基を有する化合物も包含すると解釈されるべきである。加えて、これらの化合物の誘導体は、芳香環の異なる位置に同じかまたは異なる置換基を有する化合物も包含すると解釈されるべきである。同様に、誘導体は、本明細書中に記載される化合物上の他の官能基、例えばRNなどの平行変化を含む。加えて、本明細書中で用いられる場合、四環系ピラジノインドールという用語はまた、本明細書中に記載される化合物の対応するプロドラッグ誘導体を指し、種々の類似体およびその誘導体のプロドラッグを包含する。
本明細書中に記載される例示的四環系ピラジノインドールの類似体は、それらもまた四環系ピラジノインドールであるかどうかに関わらず、構造的に似ているか、または生化学的および/または生物学的活性に基づいて似ており、この用語に含まれると解釈されるべきである。例示的類似体には、これらに限定されるものではないが、本明細書中に記載される化合物の対応する環が拡張または収縮したコア構造、例えばこれらに限定されるものではないが、シクロヘプタン、シクロペンタン、ホモピペリジン、ピロリジンなどの環系が含まれる。他の例示的類似体には、これらに限定されるものではないが、さらなるヘテロ原子を含む対応する環系、例えば対応するピリミジン、アザインドール、ピリダジンなどの環系が含まれる。したがって、全てのそのような類似体化合物も四環系ピラジノインドールと見なされると解釈されるべきである。
一実施形態では、四環系ピラジノインドールは、式(I)
の化合物またはその薬剤的に許容される塩であり、式中
R
aは水素であるか、またはR
aは1〜4個の置換基を表し、それぞれが、ハロおよびヒドロキシ、ならびにアルコキシ、アシルオキシ、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、またはヘテロアリールアルキルからなる群から独立して選択され、そのそれぞれは場合によって置換され;
R
cは水素であるか、またはR
cは1もしくは2個の置換基を表し、それぞれが、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、およびヘテロアリールアルキルから独立して選択され、そのそれぞれは場合によって置換され;
R
dは水素であるか、またはR
cは1もしくは2個の置換基を表し、それぞれが、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、およびヘテロアリールアルキルから独立して選択され、そのそれぞれは場合によって置換され;そして
R
Nは、水素またはヒドロキシ、またはアルコキシ、アシルオキシ、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、またはヘテロアリールアルキルであり、そのそれぞれは場合によって置換されているか;あるいはR
Nと結合する窒素とは、アミド、カルバメート、もしくは尿素、またはそのチオノ誘導体を形成するか;あるいはR
Nと結合する窒素とはアミンプロドラッグを形成する。
別の実施形態では、Raは水素である。別の実施形態では、Raは1〜4個の置換基を表し、それぞれ独立して、ハロ(F、Cl、およびBrを包含する)、場合によって置換されたヒドロキシ(アルコキシおよびアシルオキシを包含する)、アシル(C(O)NHNH2、CO2Etを包含する)、アルキル(メチルを包含する)、ヘテロアルキル、シクロアルキル(シクロヘキシル、シクロドデシル、アダマンチルなどを包含する)、アリール(4−メトキシフェニルを包含する)、およびアリールアルキル(そのそれぞれは場合によって置換されている)から選択される。別の実施形態では、Rcは水素である。別の実施形態では、Rcは、1または2個の置換基を表し、それぞれ独立して、アルキルおよびアリール(フェニルを包含する)(そのそれぞれは場合によって置換されている)から選択される。別の実施形態では、RNは、Hまたはアシルである。別の実施形態では、RNは、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、またはアリールアルキル(そのそれぞれは場合によって置換されている)である。
別の実施形態では、四環系ピラジノインドールは、式(Ia)
の化合物またはその薬剤的に許容される塩であり、式中
R
aは、水素、ハロ、もしくはヒドロキシ、またはアルコキシ、アシルオキシ、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、またはヘテロアリールアルキルであり、そのそれぞれは場合によって置換され;
R
cは、水素、またはアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、またはヘテロアリールアルキルであり、そのそれぞれは場合によって置換されている;そして
R
Nは、水素もしくはヒドロキシ、またはアルコキシ、アシルオキシ、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、またはヘテロアリールアルキルであり、そのそれぞれは場合によって置換されているか;あるいはR
Nと結合する窒素とは、アミド、カルバメート、もしくは尿素、またはそのチオノ誘導体を形成するか;あるいはR
Nと結合する窒素とはアミンプロドラッグを形成する。
別の実施形態では、Raは、ハロ(F、Cl、およびBrを包含する)、場合によって置換されたヒドロキシ(メトキシ、アセトキシを包含する)、アシル(C(O)NHNH2、CO2Etを包含する)、アルキル(メチルを包含する)、ヘテロアルキル、シクロアルキル(シクロヘキシル、シクロドデシル、アダマンチルなどを包含する)、アリール(4−メトキシフェニルを包含する)、またはアリールアルキルから選択され、そのそれぞれは場合によって置換されている。別の実施形態では、Rcは、アルキルおよびアリール(フェニルを包含する)から選択され、そのそれぞれは場合によって置換されている。別の実施形態では、RNは、Hまたはアシルである。別の実施形態では、RNは、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、またはアリールアルキルであり、そのそれぞれは場合によって置換されている。
別の実施形態では、四環系ピラジノインドールは、式(Ib)
の化合物またはその薬剤的に許容される塩であり、式中
R
aは、水素、ハロ、もしくはヒドロキシ、またはアルコキシ、アシルオキシ、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、またはヘテロアリールアルキルであり、そのそれぞれは場合によって置換され;そして
R
Nは、水素またはヒドロキシ、またはアルコキシ、アシルオキシ、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、またはヘテロアリールアルキルであり、そのそれぞれは場合によって置換されているか;あるいはR
Nと結合する窒素とは、アミド、カルバメート、もしくは尿素、またはそのチオノ誘導体を形成するか;あるいはR
Nと結合する窒素とはアミンプロドラッグを形成する。
別の実施形態では、Raは、ハロ(F、Cl、およびBrを包含する)、場合によって置換されたヒドロキシ(メトキシ、アセトキシを包含する)、アシル(C(O)NHNH2、CO2Etを包含する)、アルキル(メチルを包含する)、ヘテロアルキル、シクロアルキル(シクロヘキシル、シクロドデシル、アダマンチルなどを包含する)、アリール(4−メトキシフェニルを包含する)、またはアリールアルキルから選択され、そのそれぞれは場合によって置換されている。別の実施形態では、RNは、Hまたはアシルである。別の実施形態では、RNは、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、またはアリールアルキルであり、そのそれぞれは場合によって置換されている。
別の実施形態では、四環系ピラジノインドールは、式(Ib)
の化合物またはその薬剤的に許容される塩であり、式中、
R
cは、水素、またはアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、またはヘテロアリールアルキルであり、そのそれぞれは場合によって置換され;そして
R
Nは、水素またはヒドロキシ、またはアルコキシ、アシルオキシ、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、またはヘテロアリールアルキルであり、そのそれぞれは場合によって置換されているか;あるいはR
Nと結合する窒素とは、アミド、カルバメート、もしくは尿素、またはそのチオノ誘導体を形成するか;あるいはR
Nと結合する窒素とはアミンプロドラッグを形成する。
別の実施形態では、Rcは、アルキルおよびアリール(フェニルを包含する)から選択され、そのそれぞれは場合によって置換されている。別の実施形態では、RNは、Hまたはアシルである。別の実施形態では、RNは、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、またはアリールアルキルであり、そのそれぞれは場合によって置換されている。
式(I)〜(Ic)のいずれかの別の実施形態では、RNはHである。式(I)〜(Ic)のいずれかの別の実施形態では、RNは、メチル、エチル、ブチルなどのアルキルである。式(I)〜(Ic)のいずれかの別の実施形態では、RNは、置換アルキル、例えばシアノメチル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル(2−アミノエチル、2−ジエチルアミノエチルを包含する)、ヒドロキシアルキルアミノアルキル、アミノアルキルヒドロキシアルキル(4−メチルピペラジニル−2−ヒドロキシプロピル)、アミノアルキルアミノアルキル、アミノアルキルアミノアルキルヒドロキシアルキル(Er2N−(CH2)3−NH−CH2−CH(OH)−CH2、Me2N−(CH2)4−NH−CH2−CH(OH)−CH2を包含する)、アミノカルボニルアルキル(メチルカルボニルメチル、2−アミノカルボニルエチル、3−メチルピピジニルカルボニルメチルを包含する)などである。式(I)〜(Ic)のいずれかの別の実施形態では、RNは、アリール、例えば4−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−チアゾリル、1−メチル−3−ニトロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イルなどである。式(I)〜(Ic)のいずれかの別の実施形態では、RNは、アシル、例えば場合によって置換されたアルカノイル(7,7,7−トリフルオロヘプタノイル、ジエチルアミノアセチルを包含する)、または場合によって置換されたベンゾイル(3,4,5−トリメトキシベンゾイル、2−フルオロベンゾイルを包含する)である。
式(I)〜(Ic)のいずれかの別の実施形態では、RaはC−8(窒素に対してパラ位)である。式(I)〜(Ic)のいずれかの別の実施形態では、RaはC−8およびC−10である(8,10−ジメチルを包含する)。式(I)〜(Ic)のいずれかの別の実施形態では、Raは、シリル(トリメチルシリル、ジフェニルメチルシリルなどを包含する)、ハロ(フルオロ、クロロ、およびブロモを包含する)、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、アルキル(メチル、エチル、イソプロピル、tertブチルなどを包含する)、シクロアルキル(シクロペンチル、シクロヘプチル、シクロデカニル、アダマンチルなどを包含する)、シクロアルケニル(シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニルなどを包含する)、ヒドロキシアルキルおよびヒドロキシシクロアルキル(ヒドロキシメチル、フェニルヒドロキシメチル、ヒドロキシシクロペンチル、ジヒドロキシシクロヘキシルなどを包含する)、アリール(フェニル、メトキシフェニルなどを包含する)、アルコキシ、アルコキシアルキル、シクロアルコキシル、およびアリールオキシ(メトキシ、イソブトキシ、シクロヘキシルオキシ、ベンジルオキシ、メトキシルアダマンチル、フェノキシ、メトキシルメチル、メトキシフェノキシなどを包含する)、アミノ(NH2、ピペリジニル、キヌクリジニルなどを包含する)、カルボニル、およびカルボキシルならびにそれらの誘導体(カルボキシ、アセトキシ、エトキシカルボニル、ヒドラジドカルボニルなどを包含する)などから選択される0〜4個の置換基を表す。
式(I)〜(Ic)のいずれかの別の実施形態では、RaはC−7である。式(I)〜(Ic)のいずれかの別の実施形態では、RaはC−8である。式(I)〜(Ic)のいずれかの別の実施形態では、RaはC−9である。式(I)〜(Ic)のいずれかの別の実施形態では、RaはC−10である。式(I)〜(Ic)のいずれかの別の実施形態では、RaはC−7およびC−10である。式(I)〜(Ic)のいずれかの別の実施形態では、RaはC−8およびC−10である。式(I)〜(Ic)のいずれかの別の実施形態では、Raは、9−クロロ、7−アミノ−10−メチル、10−メチル、および8,10−ジメチルから選択される。式(I)〜(Ic)のいずれかの別の実施形態では、Raはメチルであり;Rcはフェニルまたは4−MeO−フェニルである。
式(I)〜(Ic)のいずれかの別の実施形態では、R
aは以下の1つ以上である:
式(I)〜(Ic)のいずれかの別の実施形態では、RcはC−2である。式(I)〜(Ic)のいずれかの別の実施形態では、Rcは、アルキル(メチル、エチル、イソプロピルなどを包含する)およびアリール(フェニル、メトキシフェニルなどを包含する)から選択される0〜2個の置換基を表す。式(I)〜(Ic)のいずれかの別の実施形態では、RcはC−2である。
別の実施形態では、四環系ピラジノインドールは、式(I)〜(Ic)のいずれかの対応するデヒドロ化合物、または本明細書中に記載されるその実施形態である。
別の実施形態では、治療有効量のピルリンドール(ピラジドールおよび/またはピルリンドルム(pirlindolum)、または2,3,3a,4,5,6−ヘキサヒドロ−8−メチル−1H−ピラジノ[3,2,1−j,k]カルバゾールまたは1,10−トリメチレン−8−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロピラジノ[1,2−a]インドールとしても知られる)を本明細書中で記載される組成物上に含めるか、または本明細書中で記載される方法で投与する。本明細書中で用いられる場合、ピルリンドールは、式:
の化合物およびそれらの薬剤的に許容される塩、例えば塩酸塩またはメシル酸塩を含む。ピルリンドールは、モノアミンオキシダーゼAの可逆的阻害剤(RIMA)として作用する抗うつ剤として報告されている。
別の実施形態では、治療有効量の、式:
のテトリンドール(2,3,3a,4,5,6−ヘキサヒドロ−8−シクロヘキシル−1H−ピラジノ[3,2,1−j,k]カルバゾール)およびその薬剤的に許容される塩、例えばメシル酸塩をはじめとするテトリンドールを本明細書中で記載される方法において投与する。
別の実施形態において、四環系ピラジノインドールは、式(II)、(III)、または(IV)
の化合物またはその薬剤的に許容される塩であり、式中、
R
aは水素であるか、またはR
aは、それぞれハロおよびヒドロキシ、ならびにアルコキシ、アシルオキシ、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、またはヘテロアリールアルキルからなる群から独立して選択され、そのそれぞれは場合によって置換されている、1〜4個の置換基を表し;
R
cは水素であるか、またはR
cは1もしくは2個の置換基を表し、それぞれが、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、およびヘテロアリールアルキルから独立して選択され、そのそれぞれは場合によって置換されている;
R
dは水素であるか、またはR
cは1もしくは2個の置換基を表し、それぞれが、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、およびヘテロアリールアルキルから独立して選択され、そのそれぞれは場合によって置換され;そして
R
Nは、水素もしくはヒドロキシ、またはアルコキシ、アシルオキシ、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、およびヘテロアリールアルキルであり、そのそれぞれは場合によって置換されているか;あるいは1つ以上のR
Nと結合する窒素とは、アミド、カルバメート、もしくは尿素、またはそのチオノ誘導体を形成するか;あるいは1つ以上のR
Nと結合する窒素とはアミンプロドラッグを形成する。
別の実施形態において、四環系ピラジノインドールは、式(IV)
の化合物またはその薬剤的に許容される塩であり、式中
R
aは水素であるか、またはR
aは、それぞれハロおよびヒドロキシ、ならびにアルコキシ、アシルオキシ、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、またはヘテロアリールアルキルからなる群から独立して選択され、そのそれぞれは場合によって置換されている、1〜4個の置換基を表し;
R
cは水素であるか、またはR
cは1もしくは2個の置換基を表し、それぞれが、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、およびヘテロアリールアルキルから独立して選択され、そのそれぞれは場合によって置換され;
R
dは水素であるか、またはR
cは1もしくは2個の置換基を表し、それぞれが、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、およびヘテロアリールアルキルから独立して選択され、そのそれぞれは場合によって置換されている;
R
Nは、それぞれの場合において独立して、水素およびヒドロキシ、およびアルコキシ、アシルオキシ、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、およびヘテロアリールアルキルから選択され、そのそれぞれは場合によって置換されているか;あるいは1つ以上のR
Nと結合する窒素とは、アミド、カルバメート、もしくは尿素、またはそのチオノ誘導体を形成するか;あるいは1つ以上のR
Nと結合する窒素とはアミンプロドラッグを形成する;そして
Xは、薬剤的に許容されるアニオン、例えばクロリド、メシレートなどである。
別の実施形態では、式(II)、(III)、および(IV)の化合物(式中、Raは、水素、ハロ、ヒドロキシル、またはアルキル、アルコキシ、シクロアルキル、またはアリールアルコキシであり、そのそれぞれは場合によって置換されている)を記載する。別の実施形態では、式(II)、(III)、および(IV)の化合物(式中、Raは、水素、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、またはアリールアルコキシである)を記載する。別の実施形態では、式(II)、(III)、および(IV)の化合物(式中、RaはC−7である)を記載する。別の実施形態では、式(II)、(III)、および(IV)の化合物(式中、RaはC−8である)を記載する。別の実施形態では、式(II)、(III)、および(IV)の化合物(式中、RaはC−9である)を記載する。
別の実施形態では、式(II)、(III)、および(IV)の化合物ならびに前記実施形態のそれぞれを記載し、この場合、Rcは水素である。別の実施形態では、式(II)、(III)、および(IV)の化合物ならびに前記実施形態のそれぞれを記載し、この場合、Rcは場合によって置換されたアルキルである。別の実施形態では、式(II)、(III)、および(IV)の化合物ならびに前記実施形態のそれぞれを記載し、この場合、Rcはアルキルである。別の実施形態では、式(II)、(III)、および(IV)の化合物ならびに前記実施形態のそれぞれを記載し、この場合、RcはC−5である。
別の実施形態では、式(II)、(III)、および(IV)の化合物ならびに前記実施形態のそれぞれを記載し、この場合、Rdは水素である。
別の実施形態では、式(II)、(III)、および(IV)の化合物ならびに前記実施形態のそれぞれを記載し、この場合、RNはそれぞれの場合において独立して、水素、もしくはアルキル、シクロアルキル、またはアリールアルキルから選択され、そのそれぞれは場合によって置換されている。別の実施形態では、式(II)、(III)、および(IV)の化合物ならびに前記実施形態のそれぞれを記載し、この場合、RNはそれぞれの場合において独立して、水素、またはアルキル、シクロアルキル、またはアリールアルキルから選択され、そのそれぞれは場合によって置換されている。
別の実施形態では、治療有効量のメトラリンドールを本明細書中で記載される方法で投与し、メトラリンドールは、式:
およびその薬剤的に許容される塩、例えば塩酸塩を包含する。
前記実施形態および以下の実施形態のそれぞれにおいて、四環系ピラジノインドールの全ての薬剤的に許容される塩を含み、これらを表すだけでなく、化合物式のあらゆる水和物および/または溶媒和物も包含すると理解されるべきである。ヒドロキシ基、アミノ基などのある官能基は、化合物の種々の物理的形態で、水および/または種々の溶媒と複合体および/または配位化合物を形成する。したがって、前記式は、種々の水和物および/または溶媒和物を含み、表すと解釈されるべきである。前記実施形態および以下の実施形態のそれぞれにおいて、式はまた、それぞれ可能な異性体、例えば立体異性体および幾何異性体を個別に、そしてあらゆる可能な混合物での両方で含み、表すと理解されるべきである。前記実施形態および以下の実施形態のそれぞれにおいて、式は、化合物のあらゆる結晶形態、部分結晶形態、および非結晶形態および/またはアモルファス形態を含み、表すと理解されるべきである。
本明細書中に記載される四環系ピラジノインドールは、Gazengel et al., Journal of Heterocyclic Chemistry(1990), 27(7), 1947−51により記載される方法をはじめとする従来の合成法にしたがって調製することができる。例えば、本明細書中に記載されるピルリンドール自体の種々の類似体および誘導体は、Gazengelらにより記載される方法の、例えば当該方法において用いられる対応する出発物質を適切に選択することによる慣例的改良法及び最適化によって調製することができる。
別の実施形態では、四環系ピラジノインドール、またはその薬剤的に許容される塩を、緩和を必要とする患者に対して、約0.1mg/kg〜約10mg/kg/日;約1mg/kg〜約5mg/kg/日、約1mg/kg〜約4mg/kg/日、約1mg/kg〜約3mg/kg/日、約1mg/kg〜約2mg/kg/日、約1.5mg/kg〜約5mg/kg/日、約1.5mg/kg〜約4mg/kg/日、約1.5mg/kg〜約3mg/kg/日、約1.5mg/kg〜約2mg/kg/日、約2mg/kg〜約5mg/kg/日、約2mg/kg〜約4mg/kg/日、または約2mg/kg〜約3mg/kg/日の範囲の用量で投与する。
別の実施形態では、四環系ピラジノインドール、またはその薬剤的に許容される塩を、緩和を必要とする患者に対して約1mg〜約1,000mg/日;約5mg〜約600mg/日、約5mg〜約500mg/日、約10mg〜約400mg/日、約50mg〜約300mg/日、約50mg〜約250mg/日、約50mg〜約200mg/日、約50mg〜約150mg/日、約50mg〜約100mg/日、約100mg〜約300mg/日、約200mg〜約300mg/日、または約150mg〜約300mg/日、または約150mg〜約200mg/日の範囲の1日用量で投与する。前記用量は、成人および/または十代に投与することができ、13才未満、幼児、または乳児に対して投与される対応する用量は、例えば、それぞれ約2倍、約5倍、または約10倍少ないと理解される。
前記のそれぞれを、例えば1日1回、1日2回、1日3回、または除外期間を有する間欠投薬プロトコルをはじめとする他の通常の投薬プロトコルによって投与することができる。加えて、各投与間隔で、用量は単一投与形態であってもよいし、または種々の単位投与形態に分割してもよいと理解される。別の例示的実施形態において、1日用量を1日3回投与する。
別の実施形態において、本明細書中で記載される方法は、滴定ステップを含み、このステップでは、所定の期間にわたって徐々に増加させる。例えば、成人用の2段階プロトコルは次のとおりである:0.5mg/kgを1日3回、7日間、次いで1mg/kgを1日3回;または0.75mg/kgを1日3回、7日間、次いで1mg/kgを1日3回など。
別の実施形態において、本明細書中で記載される方法は、用量を所定の期間にわたって徐々に増加させる滴定ステップを含み、例えば、成人用の3段階プロトコルは次のとおりである:0.25mg/kgを1日3回、7日間、次いで0.5mg/kgを1日3回、7日間、次いで1mg/kgを1日3回;または0.5mg/kgを1日3回、7日間、次いで0.75mg/kgを1日3回、7日間、次いで1mg/kgを1日3回など。
前記トリトレーティング投薬プロトコルを、成人および/または十代に投与することができ、13才未満、幼児、または乳児に投与される対応する用量は、例えばそれぞれ約2倍、約5倍、または約10倍少なく、適応があれば患者の体重に応じたものであってよいと理解される。
投与される最適用量および用法は、日常的実験によって容易に決定することができ、そのような最適用量および用法は、投与方法、製剤の強度、および病状の進行度によって変わると理解される。加えて、患者の性別、年齢、体重、食事、身体活動性、投与時間および合併症をはじめとする治療される特定の患者に関連する因子のために、用量および/またはレジメンを調節する必要が生じるであろう。
前述のものに限定されるものではないが、このような低用量の四環系ピラジノインドールは、間欠または急性投与ではなく、連続投与用に指定された継続中、または長期治療により適用可能であると理解される。したがって、1日用量を分割し、1日2回および/または1日3回投与することができるが、1日1回投薬を本明細書では記載する。本明細書中で記載される例示的用量は1日用量であり、したがって、1日1回、1日2回、1日3回、さらなる投薬プロトコルにしたがって投与することができると理解されるべきである。加えて、用量は1回であってもよいし、または分割してもよいと理解されるべきである。
本明細書中で用いられる場合、「多発性硬化症」またはMSという用語には、脱髄を特徴とする神経障害、例えば脱髄に至る自己免疫反応を特徴とする神経障害が含まれる。MSは多くの身体的および精神的症状を引き起こし、多くの場合、身体および認知障害に進行すると理解される。疾患発症は、通常、若年成人において起こり、MSは女性により多く見られると報告されている。MSは、国または特定の集団によって100,000人あたり2〜150の範囲の有病率であると報告されている(例えば、Rosati G(April 2001) Neurol. Sci. 22(2): 117−39. PMID 1160361426を参照)。
MSは、白質と呼ばれる脳および脊髄の部分を冒す。白質細胞は、プロセッシングが行われる灰白質部分と身体の残りとの間でシグナルを運ぶ。MSは、ミエリンの菲薄化または全損、および軸索損傷をもたらす。ミエリンが失われると、ニューロンは神経インパルスを有効に伝達できなくなる。さらに具体的には、ニューロンミエリン鞘の形成および維持に関与する細胞である、乏突起膠細胞、グリア細胞の破壊は、一般的にMSと同時に起こる。理論に拘束されるものではないが、本発明では、MSは、ミトコンドリア透過性転移孔を開かせることにより乏突起膠細胞を破壊するか、または別の機構による脱髄の結果として、ミトコンドリア透過性転移孔が開き、最終的に乏突起膠細胞の死滅に至るかのいずれかであると考える。
MSはいくつかの形態を取り、新しい症状は独立した発作(再発形)で起こるか、または時間とともにゆっくりと蓄積(進行形)するかのいずれかである。ほとんどの人は、まず再発寛解型MSと診断されるが、数年後に二次進行型MS(SPMS)を発症する。発作と発作の間に症状が完全になくなる場合もあるが、多くの場合、永続的な神経学的問題が、特に疾患が進行するにつれ存続する。
疾患過程に関与する機構についてはかなり分かっているが、MSの根本的な原因または誘因は分かっていない。よく説明されている理論は、この疾患が自己免疫に関連するということである。しかし、一方で、この疾患は代謝的に依存した疾患であり、その一方で、エプスタイン・バーなどのウイルスによって引き起こされるということも報告されている。熱帯地域には実質的に存在しないことに基づいて、MSは小児期のビタミンD不足から起こり得ることなど、さらに別の理論も報告されている。その原因に関係なく、現在、MSの治療法はないが、いくつかの療法が有益であることが実証されている。それぞれの場合、治療は、発作後の機能回復、新たな発作の予防、および/または身体障害に至る疾患の悪化若しくは進行の予防を試みる。成功した治療の予後は、疾患のサブタイプ、個々の患者の疾患の特性、初期症状、および時間の経過にともない個人が経験する身体障害の程度によって変わる。
別の実施形態では、1つ以上の四環系ピラジノインドール、および/またはそれらの薬剤的に許容される塩を、ミトコンドリアを安定化させるために治療上有効な量で投与することにより、一次進行型多発性硬化症および/または二次進行型多発性硬化症および/または再発寛解型多発性硬化症を治療するための方法を本明細書中で記載する。
別の実施形態では、1つ以上の四環系ピラジノインドール、および/またはそれらの薬剤的に許容される塩を、脂質過酸化を阻害し、そして結果として、細胞内過酸化物を除去するために治療上有効な量で投与することにより、一次進行型多発性硬化症および/または二次進行型多発性硬化症および/または再発寛解型多発性硬化症を治療するための方法を本明細書中で記載する。
別の実施形態では、1つ以上の四環系ピラジノインドール、および/またはそれらの薬剤的に許容される塩を、低酸素状態下での細胞膜を保護するために治療上有効な量で投与することにより、一次進行型多発性硬化症および/または二次進行型多発性硬化症および/または再発寛解型多発性硬化症を治療するための方法を本明細書中で記載する。
別の実施形態では、1つ以上の四環系ピラジノインドール、および/またはそれらの薬剤的に許容される塩を、脳におけるスーパーオキシド・ジスムターゼの活性を増大させるために治療上有効な量で投与することにより、一次進行型多発性硬化症および/または二次進行型多発性硬化症および/または再発寛解型多発性硬化症を治療するための方法を本明細書中で記載する。
別の実施形態では、1つ以上の四環系ピラジノインドール、および/またはそれらの薬剤的に許容される塩を、神経細胞における鉄で仲介された毒性を阻害するために治療上有効な量で投与することにより、一次進行型多発性硬化症および/または二次進行型多発性硬化症および/または再発寛解型多発性硬化症を治療するための方法を本明細書中で記載する。
別の実施形態では、1つ以上の四環系ピラジノインドールは、(a)ミトコンドリアの安定化および/または(b)脂質過酸化の阻害のために治療上有効な量で当該組成物および方法に含められる。別の態様では、脂質過酸化を阻害し、ミトコンドリアを安定化させるために治療上有効な量で1つ以上の四環系ピラジノインドールを投与することにより、MSの1つ以上の形態を治療するための方法を本明細書中で記載する。別の態様では、脂質過酸化を阻害するために治療上有効な量で1つ以上の四環系ピラジノインドールを投与することにより、MSの1つ以上の形態を治療するための方法を本明細書中で記載する。理論に拘束されるものではないが、本発明では、MSの1つ以上の形態を治療するための本明細書中で記載される化合物、組成物、および方法は、少なくとも1つには、含まれる1つ以上の四環系ピラジノインドールが、(a)ミトコンドリアの安定化、(b)脂質過酸化の阻害、(c)低酸素状態間での細胞膜の保護、(d)脳におけるスーパーオキシド・ジスムターゼの活性の増大、および/または(e)神経細胞における鉄で仲介された毒性の阻害のために治療上有効な量であるために有効であり得ると考えられる。
理論に拘束されるものではないが、本明細書においては、脂質過酸化は、四環系ピラジノインドールがMSの治療に有効である機構の1つであり得ると考えられる。一般的に、脂質過酸化とは、脂質の酸化的分解を指す。これは、フリーラジカルが細胞膜中の脂質から電子を除去するプロセスであり、この結果、細胞が損傷され得る。このプロセスは、フリーラジカル連鎖反応機構によって進行する。このプロセスは、ほとんどの場合、ポリ不飽和脂肪酸に影響を及ぼすことが報告されている。なぜなら、ポリ不飽和脂肪酸は複数の二重結合を含み、介在するメチレン(−CH2−)基は比較的反応性の水素原子を有するからである。任意のラジカル反応と同様に、この方法は、3つの主なステップ:イニシエーション、プロパゲーションおよびターミネーションからなる。イニシエーションは、脂肪酸ラジカルが生じるステップである。生細胞におけるイニシエーション剤は、中でも注目すべきは活性酸素種(ROS)、例えば水酸化物ラジカル(OH・)であり、これは水素ラジカルと結合して水を形成し、結果として脂肪酸ラジカルを形成する。脂肪酸ラジカルは比較的不安定な分子であり、分子酸素と容易に反応して、ペルオキシル脂肪酸ラジカルを形成する。そのようなペルオキシル脂肪酸ラジカルも比較的不安定であり、その後別の遊離脂肪酸と反応して、脂肪酸ラジカルが分子内で反応する場合の環状過酸化物をはじめとする、多数の他の脂肪酸ラジカルおよび脂質過酸化物を生成する。このラジカル反応プロパゲーション系は、この連鎖反応機構でも継続する。ラジカル反応は、2つのラジカルが反応し、ターミネーションステップにおいて非ラジカル種を生成すると停止する。このステップは、ラジカル種の濃度が、2つのラジカルが衝突する可能性を高くするために十分高い場合にのみ起こる。生命体は、フリーラジカルをトラップし、連鎖反応機構を終結させることによるターミネーションを加速する様々な分子を生成させ、これにより細胞膜を保護する。ラジカル化合物のターミネーションまたはクエンチングにおける1つの重要なアクターは、酸化防止剤ビタミンEである。体内で作られる他の酸化防止剤としては、酵素スーパーオキシド・ジスムターゼ、カタラーゼ、およびペルオキシダーゼが挙げられる。
CNSミエリンはフリーラジカル攻撃に対して感受性が高いことが報告されている(Konat et al., Effect of reacive oxygen species on myelin membrane proteins. J. Neurochem;45:1113−1118(1985);Vargas et al., Evidence that oxidative stress is increased in patients with X−linked adrenoleukodystrophy. Biochim Biophys Acta. 1688(1):26−32(2004 Jan 20);Ferretti et al., Increased levels of lipid hydroperoxides in plasma of patients with multiple sclerosis: a relationship with paraoxonase activity. sclerosis. Mult Scler. 11(6):677−82(Dec 2005);Gonsette, Neurodegeneration in multiple sclerosis: The role of oxidative stress and excitotoxicity. J Neurol Sci. 274(1−2):48−53(2008 Nov 15);Bruhwyler et al., Pirlindole: a selective reversible inhibitor of monoamine oxidase A. A review of its preclinical properties. Pharmacol Res. 36(1):23−33(1997 Jul))。脂質過酸化がMSの発症に関与するという証拠が報告されている(Naidoo & Knapp, Studies of lipid Peroxidation Products in Cerebrospinal Fluid and Serum in Multiple Sclerosis and Other Conditions. Clinical Chemistry 38/12:2449−2454(1992))。脂質過酸化の関与の他の証拠には、MS赤血球の浸透圧および力学的脆弱性の増大、MS赤血球における異常なグルタチオンペルオキシダーゼ活性、MSミエリンおよび他の組織中の最高のポリ不飽和脂肪酸含有量を有するリン脂質クラスの割合の減少、ならびに高比率の動物性脂肪を消費する集団(ビタミンE不足の可能性がある)におけるMDの罹患率の増大の観察結果が含まれる。
しかし、理論に拘束されるものではないが、本発明においては、四環系ピラジノインドールを用いた治療のMSにおける治療可能性は、脂質過酸化に対して観察される化合物の活性に限定されないか、あるいは脂質過酸化介入が可能な他の化合物が有効であると考えられる。例えば、周知の化学療法剤であるエトポシドは、脂質酸化防止剤活性を有することが報告されている。しかし、エトポシドを使用する長期療法は、免疫抑制が強力に誘発されることと付随する毒性とのために限定されると報告されている。
理論に拘束されるものではないが、四環系ピラジノインドールを使用する方法の成功は、少なくとも一部には、これらの化合物によって示される、特定の薬物動態特性および血液脳関門透過性と、併せて特定の有害事象プロファイルとのためであり得ることも考えられる。これらの能力は、エトポシドを用いて観察されるものなどの許容できない有害事象プロファイル、PNU−87663によって示されるものなどの不利な薬物同隊特性、またはメシル酸チリラザドを用いて観察されたものなど、減少した有効性を有し得る、他の脂質酸化防止剤を用いて観察されたものと異なる。
本明細書中で用いられる場合、「ジメボリン」という用語は、一般的に、水素化ピリド[4,3−b]インドール、例えば本明細書中に記載される化合物、および前記化合物の薬剤的に許容される塩を指す。また、前記化合物のそれぞれにおいて、任意の対応する薬剤的に許容される塩も本明細書中に記載される例示的実施形態に含まれると理解されるべきである。そのようなジメボリンの1つは、長年臨床的に使用され、アルツハイマー病の治療において最近可能性が示された既知の抗ヒスタミン剤であるジメボンである(例えば、Doody et al., Lancet 2008;372: 207−215;Bachurin et al., Annals of the New York Academy of Sciences. 2001;939: 425−435を参照)。前記刊行物のそれぞれは、および本明細書中で記載するさらなる刊行物は、その全体として参照することにより、本明細書に組み込まれる。さらなるジメボリンは、PCT国際出願第PCT/US2009/060557号に記載されている。
加えて、式(A)、(B)、(C)、(D)、および(E)の他の例示的ジメボリンを本明細書中で記載する。式は、芳香環上にR3などの種々の置換基を含む。これらの化合物の誘導体は、例えば、式(A)、(B)、(C)、(D)、および(E)の定義において例示的に記載されるものとは異なる官能基を芳香環上に有する化合物も包含すると理解される。加えて、これらの化合物の誘導体は、芳香環上の様々な位置で同じかまたは異なる官能基を有する化合物も包含すると理解されるべきである。同様に、誘導体は、本明細書中に記載される化合物上のR1などの他の官能基の平行変化を含む。例示的誘導体には、本明細書中に記載される化合物から合成により調製され得る化合物、ならびに本明細書中に記載されるものと類似しているが、出発物質の選択が異なる方法で調製され得る化合物の両方が含まれるが、これらに限定されるものではない。
加えて、本明細書中で用いられる場合、ジメボリンという用語は、本明細書中に記載される化合物の類似体も指す。例えば、例示的類似体には、本明細書中に記載される化合物と機能的類似性を共有し、場合によっては構造的類似性を共有する化合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。例えば、2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリドインドール環系を含む式(A)、(B)、および(C)の例示的ジメボリンを本明細書中に記載する。例示的類似体としては、対応するアゼピノインドール環系などの対応する環拡張化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。他の例示的類似体としては、例えば対応するピリダジノインドール環系などのさらなるヘテロ原子を含む対応する環系が挙げられるが、これらに限定されるものではない。したがって、全てのこのような化合物もジメボリンと見なされると理解されるべきである。
加えて、本明細書中で用いられる場合、ジメボリンという用語はまた、本明細書中に記載される化合物のプロドラッグ誘導体、例えば種々の類似体およびそれらの誘導体のプロドラッグを指す。
別の実施形態では、式(A)
(式中、R
1は、水素、またはアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、またはヘテロアリールアルキルであり、そのそれぞれは場合によって置換されているか;またはR
1と結合する窒素とは、アミド、カルバメート、もしくは尿素、またはそのチオノ誘導体を形成するか;またはR
1と結合する窒素とはアミンプロドラッグまたはアリールアルキルを形成し;R
2は、水素、またはアルキルもしくはアリールアルキルであり、そのそれぞれは場合によって置換されている;R
3は、水素、ハロ、もしくはヒドロキシ、またはアルコキシ、アシルオキシ、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、またはヘテロアリールアルキルであり、そのそれぞれは場合によって置換されている;そして結合(a)は単結合または二重結合である)のジメボリンまたはそれらの薬剤的に許容される塩を記載する。
別の実施形態では、式(A)(式中、R1は、アルキルまたはアリールアルキルであり;R2は、水素、ベンジル、または6−メチルピリジニル−3−エチルであり;R3は、水素、アルキル、またはハロであり;そして結合(a)は単結合または二重結合である)のジメボリンを記載する。
別の実施形態では、式(A)(式中、R1は、メチル、エチルまたはベンジルである)のジメボリンを記載する。別の実施形態では、式(A)(式中、R2は、水素、ベンジル、または6−メチルピリジニル−3−エチルである)のジメボリンを記載する。別の実施形態では、式(A)(式中、R3は、水素、メチル、またはブロモである)のジメボリンを記載する。別の実施形態では、式(A)(式中、結合(a)は単結合であり;R1およびR3はそれぞれメチルであり;そしてR2は水素である)のジメボリンを記載する。別の実施形態では、式(A)(式中、結合(a)は単結合であり;環縮合はシスである)のジメボリンを記載する。別の実施形態では、式(A)(式中、結合(a)は二重結合であり;R1は、エチルまたはベンジルであり;そしてR2およびR3はそれぞれ水素であるか;またはR1およびR3はそれぞれメチルであり;そしてR2はベンジルであるか;またはR1はメチルであり;R2は6−メチルピリジニル−3−エチルであり;そしてR3は水素であるか;またはR1およびR3はそれぞれメチルであり;そしてR2は6−メチルピリジニル−3−エチルであるか;またはR1はメチルであり;R2は水素であり;そしてR3は水素またはメチルであるか;またはR1はメチルであり;R2は水素であり;そしてR3はブロモである)のジメボリンを記載する。
別の実施形態では、式(A)(式中、R1は、アルキル、低級アルキルおよびアリールアルキルからなる群から選択され、R2は、水素、アリールアルキルおよび置換ヘテロアリールアルキルからなる群から選択され;そしてR3は、水素、アルキル、低級アルキルおよびハロからなる群から選択される)のジメボリンを記載する。
1つのバリエーションでは、R1はアルキル、例えばC1−C15アルキル、C10−C15アルキル、C1−C10アルキル、C2−C15アルキル、C2−C10アルキル、C2−C8アルキル、C4−C8アルキル、C6−C8アルキル、C6−C15アルキル、C15−C20アルキル;C1−C8アルキルおよびC1−C6アルキルからなる群から選択されるアルキルである。別のバリエーションでは、R1はアリールアルキルである。別のバリエーションでは、R1は低級アルキル、例えばC1−C2−アルキル、C1−C4アルキル、C2−C4アルキル、C1−C5アルキル、C1−C3アルキル、およびC2−C5アルキルからなる群から選択される低級アルキルである。別のバリエーションでは、R1は直鎖アルキル基である。別のバリエーションでは、R1は分岐アルキル基である。別のバリエーションでは、R1は環状アルキル基である。別のバリエーションでは、R1はメチルである。別のバリエーションでは、R1はエチルである。別のバリエーションでは、R1はメチルまたはエチルである。別のバリエーションでは、R1はメチルまたはアリールアルキル基、たとえばベンジルである。別のバリエーションでは、R1はエチルまたはアリールアルキル基、例えばベンジルである。別のバリエーションでは、R1はアリールアルキル基である。別のバリエーションでは、R1は、前段落で列挙したアルキルまたは低級アルキル置換基のいずれか1つがアリール基でさらに置換されているアリールアルキル基(例えば、Ar−C1−C6アルキル、Ar−C1−C3アルキルまたはAr−C1−C15アルキル)である。別のバリエーションでは、R1は、前段落で列挙したアルキルまたは低級アルキル置換基のいずれか1つが単環アリール残基でさらに置換されているアリールアルキル基である。別のバリエーションでは、R1は、前段落で列挙したアルキルまたは低級アルキル置換基がフェニル基でさらに置換されているアリールアルキル基(例えば、Ph−C1−C6アルキルまたはPh−C1−C3アルキル、Ph−C1−C15アルキル)である。別のバリエーションでは、R1はベンジルである。R1、R2およびR3のあらゆる組み合わせが具体的かつ個別に記載されるように、R1についてのバリエーションは全て記載され、R2およびR3について後述されるバリエーションのいずれかと組み合わせられると理解されるべきである。
別のバリエーションでは、R2はHである。別のバリエーションでは、R2はアリールアルキル基である。別のバリエーションでは、R2は置換ヘテロアリールアルキル基である。別のバリエーションでは、R2は水素またはアリールアルキル基である。別のバリエーションでは、R2は水素または置換ヘテロアリールアルキル基である。別のバリエーションでは、R2はアリールアルキル基または置換ヘテロアリールアルキル基である。別のバリエーションでは、R2は、水素、アリールアルキル基および置換ヘテロアリールアルキル基からなる群から選択される。別のバリエーションでは、R1について記載したあらゆるアリールアルキルのバリエーションがR2について別々かつ個々に記載されているように、R2は、前記R1について記載したアリールアルキル基のいずれか1つであり得るアリールアルキル基である。別のバリエーションでは、R2は、ヘテロアリールアルキルのアルキル部分がR1について前述したものなどの任意のアルキルまたは低級アルキル基であり得る置換ヘテロアリールアルキル基である。別のバリエーションでは、R2は、ヘテロアリール基が1〜3個のC1−C3アルキル置換基で置換されている置換ヘテロアリールアルキル(例えば、6−メチル−3−ピリジルエチル)である。別のバリエーションでは、R2は、ヘテロアリール基が1〜3個のメチル基で置換されている置換ヘテロアリールアルキル基である。別のバリエーションでは、R2は、ヘテロアリール基が1個の低級アルキル置換基で置換されている置換ヘテロアリールアルキル基である。別のバリエーションでは、R2は、ヘテロアリール基が1個のC1−C3アルキル置換基で置換されている置換ヘテロアリールアルキル基である。1つのバリエーションにおいて、R2は、ヘテロアリール基が1個または2個のメチル基で置換されている置換ヘテロアリールアルキル基である。別のバリエーションでは、R2は、ヘテロアリール基が1個のメチル基で置換されている置換ヘテロアリールアルキル基である。
他のバリエーションでは、R2は、ヘテロアリールアルキル基のヘテロアリール部分が単環ヘテロアリール基である、直前の段落における置換ヘテロアリールアルキル基のいずれか1つである。他のバリエーションでは、R2は、ヘテロアリールアルキル基のヘテロアリール部分が複数の縮合環ヘテロアリール基である、直前の段落における置換ヘテロアリールアルキル基のいずれか1つである。他のバリエーションでは、R2は、ヘテロアリールアルキル部分がピリジル基(Py)である直前の段落における置換ヘテロアリールアルキル基のいずれか1つである。1つのバリエーションにおいて、R2は6−CH3−3−Py−(CH2)2である。この部分を含む化合物の一例はジメボンである。
別のバリエーションでは、R3は水素である。他のバリエーションでは、R1について記載したあらゆるアルキルのバリエーションが別々かつ個々にRについて記載されているように、R3は、前記R1について記載したアルキル基のいずれか1つである。別のバリエーションでは、R3はハロ基である。別のバリエーションでは、R3は水素またはアルキル基である。別のバリエーションでは、R3はハロまたはアルキル基である。別のバリエーションでは、R3は水素またはハロ基である。別のバリエーションでは、R3は、水素、アルキルおよびハロからなる群から選択される。別のバリエーションでは、R3はBrである。別のバリエーションでは、R3はIである。別のバリエーションでは、R3はFである。別のバリエーションでは、R3はClである。
別のバリエーションでは、化合物は、式(A)の化合物であり、R1は、低級アルキルまたはベンジルから選択され;R2は、水素、ベンジルまたは6−CH3−3−Py−(CH2)2から選択され、Rは、水素、低級アルキルもしくはハロから選択されるか、あるいはその薬剤的に許容される塩である。別のバリエーションでは、R1はCH3、CH3CH2、またはベンジルから選択され;R2は、H、ベンジル、または6−CH3−3−Py−(CH2)2から選択され;そしてR3は、H、CH3もしくは−Brから選択されるか、あるいはその任意の薬剤的に許容される塩である。別のバリエーションでは、化合物は:シス(±)2,8−ジメチル−2,3,4,4a,5,9b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール(ラセミ混合物として、または実質的に純粋な(+)もしくは実質的に純粋な(−)形で);2−エチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール;2−ベンジル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール;2,8−ジメチル−5−ベンジル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール;2−メチル−5−(2−メチル−3−ピリジル)エチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール;2,8−ジメチル−5−(2−(6−メチル−3−ピリジル)エチル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール;2−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール;2,8−ジメチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール;または2−メチル−8−ブロモ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドールまたは前記のいずれかの任意の薬剤的に許容される塩からなる群から選択される。
別のバリエーションでは、化合物は、式(A)(式中、R1はCH3であり、R2はHであり、R3は−CH3である)の化合物またはその任意の薬剤的に許容される塩である。当該化合物は、式(A)(式中、R1はCH3CH2またはベンジルであり、R2はHであり、そしてR3はCH3である)の化合物またはその任意の薬剤的に許容される塩であり得る。当該化合物は、式(A)(式中、R1はCH3であり、R2はベンジルであり、そしてR3は−CH3である)の化合物またはその任意の薬剤的に許容される塩であり得る。当該化合物は、式(A)(式中、R1は−CH3であり、R2は6−CH3−3−Py−(CH2)2−であり、そしてR3は−Hである)の化合物またはその任意の薬剤的に許容される塩であり得る。当該化合物は、式(A)(式中、R2は6−CH3−3−Py−(CH2)2−である)の化合物またはその任意の薬剤的に許容される塩であり得る。当該化合物は、式(A)(式中、R1は−CH3であり、R2は−Hであり、そしてR3は−Hもしくは−CH3である)の化合物またはその任意の薬剤的に許容される塩であり得る。当該化合物は、式(A)(式中、R1は−CH3であり、R2は−Hであり、そしてR3は−Brである)の化合物、またはその任意の薬剤的に許容される塩であり得る。当該化合物は、式(A)(式中、R1は、低級アルキルもしくはアリールアルキルから選択され、R2は、水素、アリールアルキルもしくは置換ヘテロアリールアルキルから選択され、そしてR3は、水素、低級アルキルもしくはハロから選択される)の化合物であり得る。
別の実施形態では、式(B)
のジメボリンまたはその薬剤的に許容される塩を記載し、式中、R
1はアルキルまたはアリールアルキルであり;R
2は水素、ベンジル、または6−メチルピリジニル−3−エチルであり;R
3は水素、アルキル、またはハロであり;そして結合(a)は単結合または二重結合である。
別の実施形態では、式(B)(式中、R1は、メチル、エチルまたはベンジルである)のジメボリンを記載する。別の実施形態では、式(B)(式中、R2は、水素、ベンジル、または6−メチルピリジニル−3−エチルである)のジメボリンを記載する。別の実施形態では、式(B)(式中、R3は、水素、メチル、またはブロモである)のジメボリンを記載する。別の実施形態では、式(B)(式中、R1およびR3はそれぞれメチルであり;そしてR2は水素である)のジメボリンを記載する。別の実施形態では、式(B)(式中、環縮合はシスである)のジメボリンを記載する。別の実施形態では、薬剤的に許容される第4級塩形態の式(B)のジメボリンを記載する。
別の実施形態では、式(C)
のジメボリンまたはその薬剤的に許容される塩を記載し、式中、R
1は、アルキルまたはアリールアルキルであり;R
2は水素、ベンジル、または6−メチルピリジニル−3−エチルであり;R
3は、水素、アルキル、またはハロであり;そして結合(a)は単結合または二重結合である。
別の実施形態では、式(C)(式中、R1は、メチル、エチルまたはベンジルである)のジメボリンを記載する。別の実施形態では、式(C)(式中、R2は、水素、ベンジル、または6−メチルピリジニル−3−エチルである)のジメボリンを記載する。別の実施形態では、式(C)(式中、R3は、水素、メチル、またはブロモである)のジメボリンを記載する。
別の実施形態では、式(C)(式中、R1は、エチルまたはベンジルであり;そしてR2およびR3はそれぞれ水素であるか;またはR1およびR3はそれぞれメチルであり;そしてR2はベンジルであるか;またはR1はメチルであり;R2は6−メチルピリジニル−3−エチルであり;そしてR3は水素であるか;またはR1およびR3はそれぞれメチルであり;そしてR2は6−メチルピリジニル−3−エチルであるか;またはR1はメチルであり;R2は水素であり;そしてR3は水素またはメチルであるか;またはR1はメチルであり;R2は水素であり;そしてR3はブロモである)のジメボリンを記載する。別の実施形態では、薬剤的に許容される第4級塩形態の式(C)のジメボリンを記載する。
本明細書中に記載される組成物および方法に含めることができるさらなる例示的ジメボリンには、式(D)または式(E):
の水素化ピリド[4,3−b]インドールが含まれる。一般式(D)または(E)の化合物について、R
1は、CH
3、CH
3CH
2、またはPhCH
2(ベンジル)を表し;R
2は、H、PhCH
2、または6CH
3−3−Py−(CH
2)
2であり;R
3は、H、CH
3、またはBrである(前記置換基の任意の組み合わせ)。各化合物が化学名で記載されているように、式(D)または(E)の置換基の全ての可能な組み合わせを本明細書中で具体的かつ個別の化合物として記載する。R
1がCH
3を表す場合など、前記置換基から1つ以上の可能な部分を除去した、式(D)または(E)の化合物も想定される。1つのバリエーションにおいて、R
2はH、PhCH
2、もしくは6CH
3−3−Py−(CH
2)
2であり;そしてR
3は、H、CH
3、もしくはBrであるか、またはR
1はCH
3を表し;R
2は6CH
3−3−Py−(CH
2)
2であり;そしてR
3はH、CH
3、またはBrを表す。
当該化合物は、式(D)(式中、R1はCH3であり、R2はHであり、そしてR3はCH3である)を有するものであり得る。当該化合物は、式(E)(式中、R1はCH3、CH3CH2、またはPhCH2により表され;R2は、H、PhCH2、または6CH3−3−Py−(CH2)2であり;R3は、H、CH3、またはBrである)を有するものであり得る。当該化合物は、式(E)(式中、R1は、CH3CH2またはPhCH2であり、R2はHであり、そしてR3はHである);または化合物(式中、R1はCH3であり、R2はPhCH2であり、R3はCH3である);または化合物(式中、R1はCH3であり、R2は6−CH3−3−Py−(CH2)2であり、そしてR3はCH3である);または化合物(式中、R1はCH3であり、R2はHであり、R3はHまたはCH3である);または化合物(式中、R1はCH3であり、R2はHであり、R3はBrである)であり得る。
別の実施形態では、方法および組成物には、治療有効量の式
のジメボリンまたは塩酸塩などの薬剤的に許容される塩が含まれる。
本明細書中に記載される組成物および方法に含まれ得るさらなる例示的ジメボリンには、水素化ピリド[4,3−b]インドールまたはその薬剤的に許容される塩、例えばその酸または塩基塩が含まれる。水素化ピリド[4,3−b]インドールは、テトラヒドロピリド[4,3−b]インドールまたはその薬剤的に許容される塩であり得る。水素化ピリド[4,3−b]インドールは、ヘキサヒドロピリド[4,3−b]インドールまたはその薬剤的に許容される塩でもあり得る。水素化ピリド[4,3−b]インドール化合物は、1〜3個の置換基で置換され得るが、非置換水素化ピリド[4,3−b]インドール化合物または3個より多い置換基を有する水素化ピリド[4,3−b]インドール化合物も想定される。適切な置換基としては、アルキル、低級アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、置換アリールアルキル、およびハロが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
水素化ピリド[4,3−b]インドールは、その薬剤的に許容される塩の形態であり得る。薬剤的に許容される塩には薬剤的に許容される酸塩が含まれる。特定の薬剤的に許容される塩の例としては、塩酸塩または二塩酸塩が挙げられる。特定のバリエーションでは、水素化ピリド[4,3−b]インドールは、2,8−ジメチル−5−(2−(6−メチル−3−ピリジル)エチル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドールの薬剤的に許容される塩、例えば2,8−ジメチル−5−(2−(6−メチル−3−ピリジル)エチル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール二塩酸塩(ジメボン)である。
別の実施形態では、ジメボリンは、2−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール;2,8−ジメチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール、またはそのメチルヨウ化物;シス−(±)2,8−ジメチル−2,3,4,4a,5,9b−ヘキサヒドロ1H−ピリド[4,3−b]インドール、またはその二塩酸塩;2−メチル−8−ブロモ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール、またはその塩酸塩;2−エチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール;2−ベンジル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール;2,8−ジメチル−5−ベンジル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール、またはその塩酸塩;2−メチル−5−[2−(6−メチル−3−ピリジル)エチル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール、またはそのセスキ硫酸塩一水和物;および2,8−ジメチル−5−[2−(6−メチル−3−ピリジル)エチル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール、またはその二塩酸塩から選択される。
本明細書中に記載される組成物および方法に含めることができるさらなる例示的ジメボリンとしては、シス(±)2,8−ジメチル−2,3,4,4a,5,9b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドールおよびその二塩酸塩;2−エチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール;2−ベンジル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール;2,8−ジメチル−5−ベンジル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドールおよびその二塩酸塩;2−メチル−5−(2−メチル−3−ピリジル)エチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドールおよびそのセスキ硫酸塩;2,8−ジメチル−5−(2−(6−メチル−3−ピリジル)エチル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドールおよびその二塩酸塩(ジメボン);2−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール;2,8−ジメチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドールおよびそのメチルヨウ化物;2−メチル−8−ブロモ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドールおよびその塩酸塩が挙げられる。
別のバリエーションでは、水素化ピリド[4,3−b]インドールは、2,8−ジメチル−5−(2−(6−メチル−3−ピリジル)エチル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドールまたはその薬剤的に許容される塩である。当該組成物および方法において使用される化合物は、2,8−ジメチル−5−(2−(6−メチル−3−ピリジル)エチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドールまたはその任意の薬剤的に許容される塩、例えばその酸塩、塩酸塩または二塩酸塩であり得る。
前記実施形態および以下の実施形態のそれぞれにおいて、式は、ジメボリンの薬剤的に許容される塩を含み、これを表すだけでなく、化合物式のあらゆる水和物および/または溶媒和物も含むと考えられる。ヒドロキシ基、アミノ基などのある官能基は、水および/または種々の溶媒と、化合物の種々の物理的形態で複合体および/または配位化合物を形成すると理解されるべきである。したがって、前記式は、種々の水和物および/または溶媒和物を含み、これらを表すと理解されるべきである。前記実施形態および以下の実施形態のそれぞれにおいて、式はまた、立体異性体および幾何異性体などのそれぞれの可能な異性体(個別およびあらゆる可能な混合物のどちらも)を含み、これらを表すと理解されるべきである。前記実施形態および以下の実施形態のそれぞれにおいて、式はまた、化合物のあらゆる結晶形態、部分的結晶形態、ならびに非結晶形態および/またはアモルファス形態を含み、これらを表すと理解されるべきである。
ジメボリンは、Horlein, Chem. Ber., 1954, Bd.87, hft 4, p. 463−472;Cattanach et al., J. Chem. Soc.(ser. C) 1968, 1235−1243;Yurovskaya and Rodionov, Khim. Geterots. Soed., 1981, No. 8, p. 1072−1078;Yakhontov and Glushkova, Synthatic Drugs(edited by A. G. Natradze), Moscow, “Meditsina Publishers”, 1983, p. 234−237;Buu−Hoi et al., J. Chem. Soc., 1964, No. 2, p. 708−711;Kucherova and Kochetkov, J. Obshch. Khim., 1956, v. 26, p. 3149−3154;およびKost et al., “Khim. Geterots. Soed.”, 1973, No. 2, p. 207−212;Yakhontov, L.N., Glushkov, R.G., Synthetic Therapeutic Drugs;A.G. Natradze, Ed., Moscow Medicina, 1983, p. 234−237;C.J. Cattanach, A. Cohen & B.H. Brown, J. Chem. Soc.(Ser. C) 1968, p. 1235−1243;N. P. Buu−Hoi, O. Roussel, P. Jacquignon, J. Chem. Soc, 1964, N 2, p. 708−711;N.F. Kucherova and N.K. Kochetkov(General Chemistry(Russ.), 1956, 26:3149−3154);A.N. Kost, M.A. Yurovskaya, T.V. Mel’nikova, in Chemistry of Heterocyclic Compounds, 1973, N 2, p. 207−212;U, Horlein in Chem. Ber., 1954, Bd. 87, hft 4, 463−p. 472;およびM. Yurovskaya and LL. Rodionov in Chemistry of Heterocyclic Compounds(1981, N 8, p. 1072−10)にしたがって調製することができる。
結合(a)が単結合である場合、そのようなジメボリンはピリド[4,3−b]インドール環構造中に2つの立体中心(例えば、式(A)の炭素4aおよび9b)を含み、これらはシスまたはトランス環縮合を適合させることができると理解される。実質的に純粋な(S,S)、(R,R)、(S,R)、または(R,S)化合物の組成物など、組成物は、そのような化合物を実質的に純粋な形態で含み得る。実質的に純粋な化合物の組成物とは、一般的に、15%以下または10%以下または5%以下または3%または1%以下の様々な立体化学形態の化合物の不純物を含む組成物を意味する。例えば、実質的に純粋な(S,S)化合物の組成物とは、一般的に、15%以下または10%以下または5%以下または3%以下または1%以下の化合物のR,RもしくはS,もしくはR,S形を含む組成物を意味する。組成物は、そのような立体異性体の混合物として化合物を含み得、この場合、混合物は、エナンチオマー、例えば(S,S)および(R,R)、またはジアステレオマー、例えば(S,S)および(R,S)または(S,R)(等しい量または等しくない量)であり得る。組成物は、2または3または4個のそのような立体異性体の混合物として、任意の立体異性体比で化合物を含み得る。ピリド[4,3−b]インドール環構造中以外で立体中心を有する本明細書中で開示される化合物は、任意の比のエナンチオマーおよびジアステレオマーを含むが、これらに限定されない、そのような化合物の全ての立体化学バリエーションを対象とし、ラセミ混合物およびどちらかのエナンチオマーを多く含む混合物および他の可能な混合物を含む。立体化学が構造において明確に示されない限り、構造は、図示した化合物の全ての可能な立体異性体を単独または混合物のいずれかで含むことが意図される。
別の実施形態では、1つ以上のさらなるNMDA拮抗物質も含む組成物および方法を記載する。例えば、さらなるNMDA拮抗物質は非競合的チャンネルブロッカーである。例示的非競合的チャンネルブロッカーとしては、リルゾール、メマンチン、アマンタジン、デキストロメトルファン、デキストロルファン、イボガイン、ケタミン、フェンシクリジン、チレタミン、レマセミドなど、およびその薬剤的に許容される塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。1つのバリエーションでは、さらなるNMDA受容体拮抗物質は、リルゾール、メマンチン、アマンタジン、およびデキストロメトルファン、ならびにそれらの薬剤的に許容される塩から選択される。別のバリエーションでは、さらなるNMDA受容体拮抗物質はメマンチン(AXURA、AKATINOL、NAMENDA、EBIXA、および1−アミノ−3,5−ジメチルアダマンタンとしても知られる)、またはそれらの薬剤的に許容される塩である。例えば、さらなるNMDA拮抗物質は非競合的拮抗物質である。例示的非競合的拮抗物質としては、HU−211、ジゾシルピン(MK−801)、アプチガネル(CERESTAT、CNS−1102)、レマセミドなど、およびそれらの薬剤的に許容される塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、さらなるNMDA拮抗物質は、グリシン拮抗物質、例えばグリシン結合部位でのアロステリック作用部位に結合し、および/またはアロステリック作用部位により機能する化合物である。例示的グリシン拮抗物質としては、7−クロロキヌレネート、5,7−ジクロロキヌレン酸(DCKA)、キヌレン酸、1−アミノシクロプロパンカルボン酸(ACPC)など、およびそれらの薬剤的に許容される塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
別の実施形態では、本明細書中に記載する1つ以上の四環系ピラジノインドールを、アマンタジンなどの別のNMDA拮抗物質とともに同時投与する。別の実施形態では、本明細書中に記載される1つ以上の四環系ピラジノインドールを、メマンチンなどの別のNMDA拮抗物質とともに同時投与する。別の実施形態では、本明細書中に記載される1つ以上の四環系ピラジノインドールをHU−211などの別のNMDA拮抗物質とともに同時投与する。
別の実施形態では、本明細書中で記載される1つ以上の四環系ピラジノインドールを、別のNMDA拮抗物質、例えば2−アミノ−7−ホスホノヘプタン酸(AP7)、R−2−アミノ−5−ホスホノペンタノエート(APV)、およびCPPene(3−[(R)−2−カルボキシピペラジン−4−イル]−プロプ−2−エニル−1−ホスホン酸)を包含するが、これらに限定されない競合的拮抗物質と同時投与する。
理論に拘束されるものではないが、本明細書では、抗興奮毒性作用は、本明細書中で記載される方法において有用であると考えられる。四環系ピラジノインドールは、抗興奮毒性効果も示し得ると考えられる。したがって、脂質分解または興奮毒性によって引き起こされ得るものなどの細胞傷害をさらに軽減できる1つ以上のNMDA受容体拮抗物質の同時投与は、本明細書中で記載されるピルリンドールの投与との連携療法として有益であり得る。
理論に拘束されるものではないが、グルタミン酸受容体は、MSで観察される軸索損傷および神経細胞死においても重要な役割を果たし得ることが見いだされている。特に、NMDA受容体の過剰刺激は、興奮毒性死における重要なステップである、過度のミトコンドリアのカルシウム蓄積および損傷をもたらすことが報告されている。それにもかかわらず、全てのNMDA部位の阻害は、PCP麻酔薬、および他の非選択的NMDA拮抗物質で観察されるようないくつかの副作用を伴う可能性があると理解される。そのような非選択的遮断は、有利には、あるNMDA部位の選択的阻害によって回避される。したがって、選択的および/または特異的NMDAサブユニットでの活性は、MSの治療において有利であり、本明細書中に記載される化合物はそのような選択的および/または特異的活性を有し得ると理解される。
別の実施形態では、治療有効量の本明細書中に記載される1つ以上の四環系ピラジノインドールを患者に対してHMG−CoA還元酵素の1つ以上の阻害剤(スタチンとも称する)とともに同時投与するステップを含む、多発性硬化症の治療法を本明細書中で記載する。1つのバリエーションでは、一次進行型多発性硬化症を治療するための方法を本明細書中で記載する。別のバリエーションでは、二次進行型多発性硬化症を治療するための方法を本明細書中で記載する。
別の実施形態では、1つ以上のHMG−CoA還元酵素阻害剤も含む組成物および方法を本明細書中で記載する。例示的HMG−CoA還元酵素阻害剤としては、シンバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン、セリバスタチンなど、およびその薬剤的に許容される塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。1つのバリエーションでは、HMG−CoA還元酵素阻害剤は、シンバスタチンおよび/またはロバスタチン、またはそれらの薬剤的に許容される塩である。理論に拘束されるものではないが、本発明では、スタチンはNMDA受容体拮抗物質活性を示し得ると考えられる。したがって、脂質分解または興奮毒性によって引き起こされ得るものなどの細胞傷害をさらに軽減できる1つ以上のスタチンの同時投与は、本明細書中に記載されるピルリンドールの投与との連携療法として有益であり得る。
スタチンは、最近、多発性硬化症に罹っている患者に対して有益であり得る生化学的変化を誘発することが報告された。特に、コレステロールレベルを低下させることに加えて、スタチンは、一酸化窒素合成酵素系に対する作用による内皮保護ならびに抗酸化、消炎および抗血小板作用など、さらなる特性を有することが報告されている。例示的スタチンとしては、シンバスタチン、プラバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチンもしくはセリバスタチン、または前記のいずれかの治療上活性な酸付加塩形態が挙げられる。
本明細書中に記載される方法の別の実施形態では、治療有効量の抗精神病性化合物もしくは非定型抗精神病性化合物、またはその類似体もしくは誘導体、または前記の薬剤的に許容される塩を、本明細書中に記載される1つ以上の四環系ピラジノインドールとともに、多発性硬化症の緩和を必要とするかまたは多発性硬化症に罹っている患者に対して同時投与する。例示的抗精神病性化合物には、三環式抗うつ薬が含まれるが、これらに限定されるものではない。例示的非定型抗精神病薬としては、リスペリドン、オランザピン、クロザピン、クエチアパン、アリピプラゾール、アミスルピリド、ジプラシドンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本明細書中で記載される方法において同時投与される例示的化合物としては、式
(式中、Rはアルキルまたは置換アルキル、例えばC1−C4アルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルコキシアルキルなどであり;R
Aは水素であるかまたは1〜4個の置換基、例えばアルキル、ハロ、アミノ、アルコキシなどを表し;QはNH、O、またはSであり;そしてAは場合によって置換された縮合芳香環、例えばベンゾ、フラノ、チエノ、チアゾロ、オキサゾロ、イミダゾロなどを表す)の化合物を含む。
別の実施形態では、QはNHであり;Aは場合によって置換されたベンゾ、またはN、O、およびSから独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、場合によって置換された5もしくは6員芳香環であり;Rは、水素または、OH、OR3、もしくはOCH2CH2OHで場合によって置換された(C1−4)アルキルであり;ここでR3は、(C1−2)アルキルであり;RAは水素、またはハロ、(C1−6)アルキル、フルオロ(C1−6)アルキル、OR7、SR7、NO2、CN、COR7、CONR8R9、SO2NR8R9、NR8SO2R7、NR8R9、および場合によって置換されたフェニルから選択される1または2個の置換基であり;ここで、R7は、水素、(C1−6)アルキル、フッ素化アルキル、または場合によって置換されたフェニルであり;そしてR8およびR9はそれぞれの場合において水素、(C1−6)アルキル、または場合によって置換されたフェニルから選択される)の化合物(その塩、溶媒和物、および結晶形を包含する)が挙げられる。
1つのバリエーションでは、縮合環Aは、(C1−6)アルキル、ハロ、フルオロ(C1−6)アルキル、OR4、SR4、NO2、CN、COR4、CONR5R6、SO2NR5R6、NR5R6、NR5COR4、NR5SO2R4、または場合によって置換されたフェニルから選択される1つ以上の置換基で置換され;ここで、R4は、水素、(C1−6)アルキル、フッ素化(C1−6)アルキル、または場合によって置換されたフェニルであり;そしてR5およびR6は、独立して水素、(C1−6)アルキル、または場合によって置換されたフェニルであるか;またはR5およびR6は結合している窒素と一緒になって、場合によって置換されたヘテロサイクリルを形成する(その、溶媒和物、および結晶形態を包含する)。
例示的非定型抗精神病性化合物としては、クロザピン、オランザピン、クエチアピンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
一実施形態では、治療有効量のクロザピン(Clozaril、Leponex、Fazaclo、Froidir;Gen−Clozapin(カナダ);Crozaril、Denzapine、Zaponex(英国);Klozapol(ポーランド)としても知られる)を同時投与する。本明細書中で用いられる場合、クロザピンは、式
の化合物およびその薬剤的に許容される塩を包含する。
本明細書中に記載される方法の別の実施形態において、治療有効量のクロザピン、またはその類似体もしくは誘導体、あるいは前記の薬剤的に許容される塩を、多発性硬化症の緩和を必要とするかまたは多発性硬化症に罹っている患者に対して同時投与する。本明細書中で記載される方法に含めることができるさらなる類似体および誘導体は、米国特許第7,214,673号に記載されている。
クロザピンは非定型抗精神病性薬剤として報告されている。なぜなら、セロトニンならびにドーパミン受容体に対するその結合プロファイル;種々のドーパミン媒介挙動に対するその効果も、より典型的な抗精神病性薬剤によって示されるものとは異なるからである。特に、クロザピンは、D1、D2、D3およびD5受容体でドーパミンの結合をあまり妨害せず、D4受容体に対して高い親和性を有するが、従来型の神経弛緩薬を用いて見られるように、動物モデルにおいてカタレプシーを誘発することも、アポモルフィン誘発性常同症を阻害することもないということが報告されている。理論に拘束されるものではないが、この証拠は、クロザピンが線条体ドーパミン受容体よりも辺縁系受容体で選択的に活性が高いことを示唆し、クロザピンは比較的錐体外路副作用がなく、強力な抗コリン作用を併せ持つことの説明がつく。
クロザピンは、5−HT1A受容体で部分的作用薬であり、おそらくは鬱病、不安神経症、および陰性/認識症状を改善することも報告されている。クロザピンは、アドレナリン受容体、コリン作動性受容体およびヒスタミン作用性受容体の種々のサブタイプで強力な拮抗物質であり、コリン作動性受容体およびヒスタミン作用性受容体が主にその副作用プロファイルに関与することも報告されている。
一実施形態では、Mylan Pharmaceuticals Inc.から入手可能な100mg錠剤ならびにNovartis Pharmaceuticalsから入手不可能な25mgおよび100mg錠剤(クロザリル)を本明細書中で記載される方法で同時投与する。別の例示的実施形態では、クロザピン、またはその類似体もしくは誘導体、または前記の薬剤的に許容される塩を、100mgで1日2回同時投与する。別の実施形態では、クロザピンを毎日約12.5〜約900mgの範囲で;または毎日約150〜約450mgの範囲で同時投与する。クロザピンのさらなる用量は、米国特許第3,539,573号に記載されている。
本明細書中に記載される方法の別の実施形態において、クロザピン治療は、ごく低用量で始めて、治療用量に達するまで徐々に増加させる。例示的投薬プロトコルは、Novartis Pharmaceuticals.の「クロザリル投薬ガイド」Novartis Pharmaceuticals. Retrieved on 2007−06−29;(March 2008) “4.2.1 Antipsychotic drugs”, British National Formulary, 55, p195に記載されている。重症および/または若年患者においては、さらに高用量が必要な場合があるが、高齢者においては、はるかに低い用量で十分であり得る。患者が安定化し、維持量が決定したら、1日量の大半または全てを就寝前に投与することができる。
ノルクロザピンは、クロザピンの一次代謝産物であることが報告されており、これは定常状態で平均して70%程度のクロザピンの血漿中濃度まで蓄積する(トラフ試料、すなわちプレ用量、理想的には午前中)。理論に拘束されるものではないが、多発性硬化症の患者の治療においてクロザピンを用いて観察できる有効性は、全体としてまたは一部、ノルクロザピンによるものであり得ると理解される。個々の患者間でクロザピン:ノルクロザピン濃度比は実質的に異なり得ると理解される。本発明においては、0.35〜0.6mg/Lの定常状態での血漿中クロザピン濃度で、ほとんどの患者において臨床的反応が得られると考えられる。
一実施形態において、治療有効量のオランザピン(Zyprexa、Zyprexa・Zydis、Zalasta、Zolafren、Olzapin、またはフルオキセチンSymbiaxとの組み合わせとしても知られる)を同時投与する。本明細書中で用いられる場合、オランザピンは、式
の化合物およびその薬剤的に許容される塩を包含する。
本明細書中に記載される方法の別の実施形態では、治療有効量のオランザピン、またはその類似体もしくは誘導体、または前記の薬剤的に許容される塩を、緩和を必要とするかまたは多発性硬化症に罹っている患者に同時投与する。本明細書中で記載される方法において同時投与することができるオランザピンの例示的類似体および誘導体には、式
(式中、Rは、水素または、OH、OR
3、もしくはCH
2CH
2OHで場合によって置換された(C
1−4)アルキルであり;R
3は(C
1−2)アルキルであり;
R
Bは、水素、(C
1−6)アルキル、ハロゲン、フッ素化(C
1−6)アルキル、OR
4、SR
4、NO
2、CN、COR
4、CONR
5R
6、SO
2NR
5R
6、NR
5R
6、NR
5COR
4、NR
5SO
2R
4、または場合によって置換されたフェニルであり;ここで、R
4は、水素、(C
1−6)アルキル、フッ素化(C
1−6)アルキル、または場合によって置換されたフェニルであり;そしてR
5およびR
6は、独立して、水素、(C
1−6)アルキル、または場合によって置換されたフェニルであるか;またはR
5およびR
6は、結合している窒素と一緒になって、場合によって置換されたヘテロサイクリルを形成し;
R
Aは、水素または、ハロゲン、(C
1−6)アルキル、フッ素化(C
1−6)アルキル、OR
7、SR
7、NO
2、CN、COR
7、CONR
8R
9、SO
2NR
8R
9、NR
8SO
2R
7、NR
8R
9、および場合によって置換されたフェニルから選択される1もしくは2個の置換基であり;ここで、R
7は、水素、(C
1−6)アルキル、フッ素化アルキル、または場合によって置換されたフェニルであり;そしてR
8およびR
9は、それぞれ独立して、水素、(C
1−6)アルキル、または場合によって置換されたフェニルから選択され;そしてXはCHまたはNである)の化合物(それらの塩、溶媒和物、および結晶形を包含する)が含まれる。本明細書中で記載される方法に含めることができるさらなる類似体及び誘導体は、米国特許第7,214,673号に記載されている。
別の実施形態では、オランザピンまたはそのチエノベンゾジアゼピン類似体を本明細書中で記載される方法において同時投与する。
ほとんどの非定型抗精神病薬と同様に、古い典型的なものと比較して、オランザピンは、ヒスタミン受容体、ムスカリン性コリン受容体およびアルファアドレナリン受容体に対する親和性が低いと理解される。オランザピンの抗精神病性活性の作用様式はわかっていない。ドーパミン受容体の拮抗作用は、遅発性ジスキネジーなどの錐体外路作用と関連すると理解される。加えて、H1ヒスタミン受容体を拮抗することにより、鎮静作用がもたらされ、体重増加を引き起こす可能性があるが、5−HT2C受容体での拮抗作用も体重増加に関与すると理解される。オランザピンはクロザピンと構造的に似ており、チエノベンゾジアゼピンとして分類される。オランザピンは5−HT2セロトニン受容体に対してD2ドーパミン受容体よりも高い親和性を有することが報告されている。理論に拘束されるものではないが、そのような高い親和性は、本発明では、多発性硬化症に罹っている患者の治療において観察できる有効性の原因であり得ると理解される。
オランザピンは、Eli Lillyからシンビアックスカプセル、ジプレキサ錠剤、ジプレキサ筋肉内注射、およびジプレキサ・ザイディス口腔内崩壊錠として入手可能である。オランザピンは、2.5mg、5mg、7.5mg、10mg、15mgおよび20mgの強度の錠剤および舌の上で溶解し、5mg、10mg、15mgおよび20mgの強度の口腔内崩壊ウェハ(ザイディスとして知られる)として入手可能である。短期急性使用のための速効性筋肉内注射としても入手可能である。1つの例示的実施形態では、オランザピンを、3mg、6mg、または12mgで1日1回、単独またはフルオキセチンとの組み合わせで経口同時投与する。別の例示的実施形態では、オランザピン、例えばジプレキサ・ザイディス口腔内崩壊錠を、1日1回、5mg、10mg、15mg、または20mgで同時投与する。別の例示的実施形態において、オランザピン、例えばジプレキサ筋肉内注射を10mgで1日1回同時投与する。別の実施形態では、オランザピンを約0.25〜約100mgの範囲で、1回/日;または約1〜約30mg、1回/日;または約1〜約25mg、1回/日で同時投与する。オランザピンについてのさらなる用量は米国特許第5,229,382号に記載されている。
用量は、薬剤に対する患者の反応に依存して、または患者が有し得るある医学上の問題に応じて調節することができると理解される。一実施形態では、鎮静効果が高いので、治療有効量を就寝前に1日1回同時投与する。
一実施形態において、治療有効量のクエチアピン(SeroquelまたはSeroquel XR extended release(AstraZeneca)およびKetipinor(Orion Pharma)としても知られる)を同時投与する。本明細書中で用いられる場合、クエチアピンには、式
の化合物およびその薬剤的に許容される塩、例えばフマル酸塩が含まれる。
本明細書中に記載される方法の別の実施形態では、治療有効量のクエチアピン、またはその類似体もしくは誘導体、または前記の薬剤的に許容される塩を、多発性硬化症の緩和を必要とするかまたは多発性硬化症に罹っている患者に対して同時投与する。本明細書中で記載される方法で同時投与することができるクエチアピンの例示的類似体および誘導体には、式
(式中、R
AおよびR
Bはそれぞれ水素であるか、またはそれぞれ独立して、ヒドロキシル、ハロ、C
1−
4アルキル、アミノ、ニトロ、シアノ、C
1−4ハロアルキル、C
1−4アルコキシ、C
1−
4ハロアルコキシ、C
1−4アルコキシカルボニル、C
1−4CO−−、シクロ−C
3−7アルキル、C
1−4チオールアルキル、C
1−4アルキルチオ、ハロ置換C
1−4アルキルチオ、シアノチオ、テトラゾリル、N−ピペリジニル、N−ピペラジニル、N−モルホリニル、アセトアミド、C
1−4アルキルスルホニル、ハロスルホニル、ハロ置換C
1−4アルキルスルホニル、C
1−4アルキルスルホキシルSO
2NH
2、C
1−4、アルキルセレノ、およびOSO
3Hから選択される1つ以上の置換基であり;
R、R
1、およびR
2は、それぞれ独立して、Hおよび、ヒドロキシル、ハロ、C
1−4アルキルまたはC
1−4アルコキシから選択される置換基で場合によって置換されたC
1−6アルキルから選択され;
R
3は、ヒドロキシル、ハロ、C
1−4アルキルまたはC
1−4アルコキシから選択される置換基で場合によって置換されたC
1−6アルキルである)の化合物(それらの塩、溶媒和物、および結晶形を包含する)が含まれる。本明細書中で記載される方法中に含めることができるさらなる類似体および誘導体は、米国特許第5,824,676号に記載されている。
クエチアピンの抗精神病効果は、ドーパミンおよびセロトニン受容体での拮抗物質活性によって媒介されることが報告されている。具体的には、D1およびD2ドーパミン受容体、アルファ−1およびアルファ−2アドレナリン受容体、ならびに5−HT1Aおよび5−HT2セロトニン受容体サブタイプは、本発明では拮抗されると考えられる。クエチアピンのD2受容体占有を評価する連続PETスキャンは、クエチアピンが非常に迅速にD2受容体から解離することを証明することが報告されている。クエチアピンは、ヒスタミンH1受容体に対して拮抗作用を有することも報告されている。
クエチアピンは、商標Seroquelで入手可能である。これは、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、および400mg錠剤で入手可能である。一実施形態において、クエチアピン、ならびにその類似体および誘導体、ならびにその薬剤的に許容される塩を含む組成物は、錠剤、カプセルまたはアンプルなどの単位用量形態中に含められる。好適な単位用量、すなわち治療有効量は、選択された化合物の投与が適応される状態のそれぞれについて適切に指定された臨床試験の間に決定することができ、所望の臨床的エンドポイントによって変わり得る。この例の化合物を投与するのに適切な用量サイズは、約0.1から約500mg/体重kg、例えば0.1〜約100mg/体重kgの範囲であり得、初期治療および維持治療に適切な頻度で同時投与することができると理解される。別の実施形態では、クエチアピンを約1.0〜約40mg/kgの範囲で同時投与する(1日1回または分割用量で投与する)。クエチアピンのさらなる用量は、米国特許第4,879,288号に記載されている。別の例示的実施形態において、クエチアピンをその(E)−2−ブテン二酸(2:1)塩として同時投与する。
別の例示的実施形態において、Seroquel extended releaseを1日1回、最初は300mgで、続いて400mg〜800mgまで増大させて投与する。別の実施形態では、Seroquelを毎日100mg未満の用量で、1回量または分割用量で同時投与し、1回量または分割用量で、1日400mg〜800mgの用量まで増大させる。前記のそれぞれにおける分割用量を、1日1回、1日2回、または1日3回同時投与することができると理解される。
前記三環式化合物のそれぞれの一実施形態では、化合物を、例えば、ヒト成人に対して0.1〜500mgの範囲、0.25mg〜100mgの範囲、0.25mg〜50mg/日の範囲の用量で同時投与する。別の実施形態では、1日1回の用量で十分であるが、分割用量を同時投与することもできる。
別の実施形態では、1つ以上の免疫抑制薬も含む組成物および方法を本明細書中で記載する。例示的免疫抑制薬としては、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、コルチコステロイド、ミトキサントロン、シクロホスファミド、メトトレキサート、シクロスポリンなど、およびその薬剤的に許容される塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。一部の免疫抑制薬はモノクローナル抗体であると理解される。1つのバリエーションでは、例示的免疫抑制薬はモノクローナル抗体である。例示的免疫抑制薬としては、ナタリズマブ、ダクリズマブ、アレムツズマブ、リツキシマブなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。別のバリエーションでは、免疫抑制薬はアザチオプリン、またはその薬剤的に許容される塩である。
別の実施形態では、1つ以上の免疫調節薬も含む組成物および方法を本明細書中で記載する。例示的免疫調節薬としては、インターフェロンベータ−1b、インターフェロンベータ−1a、酢酸グラチラマー(コパクソン)、ナタリズマブ、リツキシマブ、ダクリズマブ、BG12、フィンゴリモド、ラキニモドなど、およびその薬剤的に許容される塩があげられるが、これらに限定されるものではない。一部の免疫調節薬はモノクローナル抗体であると理解される。1つのバリエーションでは、例示的免疫調節薬はモノクローナル抗体である。例示的免疫調節薬としては、ナタリズマブ、ダクリズマブ、アレムツズマブ、リツキシマブなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本明細書中に記載される方法または組成物実施形態のいずれかにおいて、任意の化合物の対応する酸付加塩を、対応する中性化合物に加えて、または対応する中性化合物の代わりに投与することができると理解されるべきである。例示的酸塩は、これらに限定されるものではないが、無機酸、例えば塩酸または臭化水素酸をはじめとするハロゲン化水素酸;硫酸;硝酸;リン酸など;および有機酸、例えば酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモン酸などから形成することができる。加えて、二塩酸塩酸性塩などのビス塩を形成することができ、投与することができると理解される。
本明細書中で用いられる場合、「アルキル」という用語は、場合によって分岐している炭素原子鎖を包含する。アルキルは、C1−C24、C1−C12、C1−C8、C1−C6、およびC1−C4を包含する限定された長さのものが有利であると理解されるべきである。アルキル基が短いほど、化合物に付与される親油性が低く、したがって様々な薬物動態挙動を有するであろうと理解される。本明細書中で用いられる場合、「シクロアルキル」という用語は、場合によって分岐し、鎖の少なくとも一部が環状である炭素原子鎖を包含する。シクロアルキルを形成する鎖は、C3−C24、C3−C12、C3−C8、C3−C6、およびC3−C4を包含する限定された長さのものが有利であると理解されるべきである。アルキル基が短いほど、化合物に付与される親油性が低く、したがって様々な薬物動態挙動を有するであろうと理解される。
c
本明細書中で用いられる場合、「ヘテロアルキル」という用語は、炭素と少なくとも1つのヘテロ原子との両方を含み、場合によって分岐している原子鎖を包含する。例示的ヘテロ原子は、窒素、酸素、および硫黄を包含する。あるバリエーションでは、例示的ヘテロ原子は、リン、およびセレンも包含する。本明細書中で用いられる場合、「ヘテロサイクリル」(ヘテロ環を含む)という用語は、炭素と少なくとも1つのヘテロ原子との両方を含み、場合によって分岐している原子鎖であって、鎖の少なくとも一部が環状である鎖を包含する。例示的ヘテロ原子は、窒素、酸素、および硫黄を包含する。あるバリエーションでは、例示的ヘテロ原子はリン、およびセレンも包含する。例示的ヘテロ環としては、テトラヒドロフリル、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、キヌクリジニルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本明細書中で用いられる場合、「アリール」という用語は、単環および多環芳香族炭素環基および芳香族複素環基(そのそれぞれは場合によって置換されていてもよい)を包含する。本明細書中で用いられる場合、「ヘテロアリール」という用語は、芳香族複素環基(そのそれぞれは、場合によって置換されていてもよい)を包含する。本明細書中に記載される例示的炭素環芳香族基としては、フェニル、ナフチルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。例示的複素環式芳香族基としては、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニル、キノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンズイソチアゾリルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本明細書中で用いられる場合、「アミノ」という用語は、NH2、アルキルアミノ、およびジアルキルアミノ基を包含し、この場合、ジアルキルアミノ中の2つのアルキル基は、同じであっても、異なっていてもよく、すなわちアルキルアルキルアミノであってよい。例えば、アミノとしては、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、メチルエチルアミノなどが挙げられる。加えて、アミノアルキル、またはアシルアミノなど、アミノが別の語を修飾するかまたは別の語によって修飾される場合、アミノという用語の前記のような変形が含まれると理解されるべきである。例えば、アミノアルキルとしては、H2N−アルキル、メチルアミノアルキル、エチルアミノアルキル、ジメチルアミノアルキル、メチルエチルアミノアルキルなどが挙げられる。例えば、アシルアミノとしては、アシルメチルアミノ、アシルエチルアミノなどが挙げられる。
本明細書中で用いられる場合、「場合によって置換されたアミノ」という用語は、本明細書中で記載されるアミノの誘導体、例えばこれらに限定されるものではないが、アシルアミノ、尿素、およびカルバメートなどが挙げられる。
「場合によって置換された」という用語は、本明細書中で用いられる場合、場合によって置換されたラジカル上の水素原子の他の官能基での置換を包含する。そのような他の官能基としては、例えばこれらに限定されるものではないが、アミノ、ヒドロキシル、ハロ、チオール、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、アリールヘテロアルキル、ニトロ、スルホン酸およびその誘導体、カルボン酸およびその誘導体などが挙げられる。
「場合によって置換されたアリール」という用語は、本明細書中で用いられる場合、場合によって置換されたアリール上の水素原子の他の置換基での置換を包含する。そのような他の官能基としては、例えばこれらに限定されるものではないが、アミノ、ヒドロキシル、ハロ、チオール、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、アリールヘテロアルキル、ニトロ、スルホン酸およびその誘導体、カルボン酸およびその誘導体などが挙げられる。
例示的置換基としては、これらに限定されるものではないが、−(CH2)mZ基(式中、mは0〜6の整数であり、Zは、ハロゲン、ヒドロキシ、アルカノイルオキシ、例えばC1−C6アルカノイルオキシ、場合によって置換されたアロイルオキシ、アルキル、例えばC1−C6アルキル、アルコキシ、例えばC1−C6アルコキシ、シクロアルキル、例えばC3−C8シクロアルキル、シクロアルコキシ、例えばC3−C8シクロアルコキシ、アルケニル、例えばC2−C6アルケニル、アルキニル、例えばC2−C6アルキニル、ハロアルキル、例えばC1−C6ハロアルキル、ハロアルコキシ、例えばC1−C6ハロアルコキシ、ハロシクロアルキル、例えばC3−C8ハロシクロアルキル、ハロシクロアルコキシ、例えばC3−C8ハロシクロアルコキシ、アミノ、C1−C6アルキルアミノ、(C1−C6アルキル)(C1−C6アルキル)アミノ、アルキルカルボニルアミノ、N−(C1−C6アルキル)アルキルカルボニルアミノ、アミノアルキル、C1−C6アルキルアミノアルキル、(C1−C6アルキル)(C1−C6アルキル)アミノアルキル、アルキルカルボニルアミノアルキル、N−(C1−C6アルキル)アルキルカルボニルアミノアルキル、シアノ、およびニトロから選択されるか;またはZは、−CO2R4および−CONR5R6(式中、R4、R5、およびR6はそれぞれの場合、水素、C1−C6アルキル、およびアリール−C1−C6アルキルからそれぞれ独立して選択される)から選択される。
本明細書中で用いられる場合、「プロドラッグ」という用語は、一般的に、生物学的系に投与された場合に、1つ以上の自発的化学反応、酵素触媒化学反応、および/または代謝化学反応、またはこれらの組み合わせの結果として、生物活性化合物を生成させる任意の化合物を指す。インビボで、プロドラッグは典型的には、酵素(例えば、エステラーゼ、アミダーゼ、ホスファターゼなど)、簡単な生物化学、またはインビボの他のプロセスによる作用を受け、薬理学的にさらに活性な薬剤を遊離させるかまたは再生する。この活性化は、内因性宿主酵素または、プロドラッグの投与前、投与後もしくは投与中に宿主に投与される非内因性酵素の作用により起こり得る。プロドラッグ使用のさらなる詳細は、米国特許第5,627,165号;およびPathalk et al., Enzymic protecting group techniques in organic synthesis, Stereosel. Biocatal. 775−797(2000)に記載されている。プロドラッグは、標的とされる送達、安全性、安定性などの目標が達成されるとすぐにもとの薬剤に変わり、その後、プロドラッグを形成する基の放出された残りが急速に除去されるのが有利であると理解される。
プロドラッグは、本明細書中に記載される化合物から、−OH−、−SH、−CO2H、−NR2などの、化合物上に存在する1つ以上の官能基に、最終的にインビボで切断される基を結合することによって調製することができる。例示的プロドラッグとしては、カルボン酸エステル(前記基は、アルキル、アリール、アルアルキル、アシルオキシアルキル、アルコキシカルボニルオキシアルキルである)並びにヒドロキシル、チオールおよびアミンのエステル(結合される基は、アシル基、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、ホスフェートまたはスルフェートである)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例示的エステル(活性エステルとも称する)としては、1−インダニル、N−オキシスクシンイミド;アシルオキシアルキル基、例えばアセトキシメチル、ピバロイルオキシメチル、β−アセトキシエチル、β−ピバロイルオキシエチル、1−(シクロヘキシルカルボニルオキシ)プロプ−1−イル、(1−アミノエチル)カルボニルオキシメチルなど;アルコキシカルボニルオキシアルキル基、例えばエトキシカルボニルオキシメチル、α−エトキシカルボニルオキシエチル、β−エトキシカルボニルオキシエチルなど;ジアルキルアミノアルキル基(例えばジメチルアミノメチル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノメチル、ジエチルアミノエチルなどのジ低級アルキルアミノアルキル基を包含する)など;2−(アルコキシカルボニル)−2−アルケニル基、例えば2−(イソブトキシカルボニル)ペント−2−エニル、2−(エトキシカルボニル)ブト−2−エニルなど;およびラクトン基、例えばフタリジル、ジメトキシフタリジルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
さらなる例示的プロドラッグは、本明細書中に記載される化合物の溶解度および/または安定性を増大させる働きをするアミドまたはリン基などの化学部分を含む。アミノ基のさらなる例示的プロドラッグとしては、これらに限定されるものではないが、(C3−C20)アルカノイル;ハロ−(C3−C20)アルカノイル;(C3−C20)アルケノイル;(C4−C7)シクロアルカノイル;(C3−C6)−シクロアルキル(C2−C16)アルカノイル;場合によって置換されたアロイル、例えば非置換アロイルまたは、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、(C1−C3)アルキルおよび(C1−C3)アルコキシ(そのそれぞれは場合によって1〜3個のハロゲン原子の1つ以上でさらに置換されている)からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されたアロイル;場合によって置換されたアリール(C2−C16)アルカノイル(例えばアリールラジカルは非置換であるか、またはハロゲン、(C1−C3)アルキルおよび(C1−C3)アルコキシ(そのそれぞれは、場合によって1〜3個のハロゲン原子でさらに置換されている)によって置換されている);ならびにヘテロアリール部分においてO、SおよびNから選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、アルカノイル部分において2〜10個の炭素原子を有する、場合によって置換されたヘテロアリールアルカノイル(例えば、ヘテロアリールラジカルは、非置換であるか、またはハロゲン、シアノ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、(C1−C3)アルキル、および(C1−C3)アルコキシからなる群から選択される1〜3個の置換基により置換され、置換基のそれぞれは、場合によって1〜3個のハロゲン原子でさらに置換されている)が挙げられる。記載した基は例示的であり、網羅するものではなく、従来のプロセスによって調製することができる。
プロドラッグ自体は、重要な生物学的活性を有さないかもしれないが、その代わりに1つ以上の自発的化学反応、酵素触媒化学反応、および/または代謝化学反応、またはそれらの組み合わせをインビボで投与後に受けて、生物学的に活性である本明細書中に記載する化合物または生物活性化合物の前駆体を生成すると理解される。しかし、場合によってプロドラッグは生物学的に活性であると理解される。プロドラッグは、多くの場合、改善された経口バイオアベイラビリティー、薬力学的半減期などにより薬剤有効性または安全性を改善する働きをすることができると理解される。プロドラッグはまた、望ましくない薬剤特性を単にマスクするか、または薬剤送達を改善する基を含む本明細書中に記載される化合物の誘導体も指す。例えば、本明細書中に記載される1つ以上の化合物は、ブロックされるかまたは最小限に抑えられるのが有利であり、例えば低い経口薬剤吸収、部位特異性の欠如、化学的不安定性、毒性および患者の支持が低いこと(まずさ、臭い、注射部位の痛みなど)など臨床的薬剤適用における薬理学的、薬剤的、または薬物動態障壁となり得る望ましくない特性を示す可能性がある。本発明では、プロドラッグ、または可逆的誘導体を用いた他の方法は、薬剤の臨床的適用の最適化において有用であり得ると理解される。
「治療有効量」という用語は、本明細書中で用いられる場合、治療される疾患もしくは障害の症状の軽減を包含する、研究者、獣医、医師または他の臨床医によって求められる組織系、動物またはヒトにおいて生物学的または医薬反応を誘発する活性化合物または医薬品の量を指す。一態様において、治療有効量は、任意の薬物療法に適用可能な妥当な損益比で疾患または疾患の症状を治療または軽減することができるものである。しかし、本明細書中に記載される化合物および組成物の合計1日量は、健全な医学的判断の範囲内で主治医により決定されると理解されるべきである。任意の特定の患者についての特定の治療有効量レベルは、治療される障害および障害の重症度;用いられる特定の化合物の活性;用いられる特定の組成物;患者の年齢、体重、全体的な健康、性別および食事:投与時間、投与経路、および用いられる特定の化合物の排出率;治療期間;用いられる特定の化合物と組み合わせて、または同時に使用される薬剤;および熟練した研究者、獣医、医師または他の臨床医に周知の同様の因子をはじめとする様々な因子によって変わるであろう。
加えて、四環系ピラジノインドール、および/または1つ以上のジメボリン、および/または1つ以上のNMDA拮抗物質および/または1つ以上のスタチンの投与を含む併用療法について引用される本明細書中で記載される実施形態において、「治療有効量」とは、複合効果が所望の生物学的または医薬反応を誘発するように一緒に摂取される薬剤の組み合わせの量を指す。例えば、ピルリンドールとジメボン、ピルリンドールとシンバスタチンなどの治療有効量は、あわせてまたは連続して摂取した場合、治療上有効な複合効果を有するピルリンドールの量とジメボンの量、またはピルリンドールの量とシンバスタチンの量などである。さらに、同時投与を含むそのような方法のいくつかの実施形態において、四環系ピラジノインドール、ジメボン、および/またはシンバスタチンなどの量は、個々に摂取された場合は、治療上有効であるかもしれないし、有効でないかもしれないと理解される。
治療有効量は、単剤療法を指すかまたは併用療法を指すかに関わらず、本明細書中に記載される1つ以上の化合物の投与中に起こり得る任意の毒性、または他の望ましくない副作用に関連して選択されるのが有利であると理解される。さらに、本明細書中に記載される連携療法は、そのような毒性、または他の望ましくない副作用を示す化合物の低用量の投与を可能にし、この場合、そのような低用量は、毒性の閾値より低いか、または連携療法が存在しない場合に他の方法で投与されるよりも治療濃度域において低いと理解される。
本明細書中で用いられる場合、「組成物」という用語は、一般的に、特定成分を特定量で含む任意の生成物、並びに直接的または間接的に特定成分の特定量の組み合わせから得られる任意の生成物を指す。本明細書中で記載される組成物は、本明細書中に記載される単離された化合物または本明細書中に記載される化合物の塩、溶液、水和物、溶媒和物、および他の形態から調製することができると理解される。本明細書中に記載される化合物mp種々のアモルファス、非アモルファス、部分結晶性、結晶性、および/または他の形態から調製することもできると理解されるべきである。組成物は、本明細書中に記載される化合物の種々の水和物および/または溶媒和物から調製することもできると理解されるべきである。したがって、本明細書中に記載される化合物に関するそのような医薬組成物は、本明細書中に記載される化合物の種々の形態および/または溶媒和物もしくは水和物形のそれぞれ、または任意の組み合わせを含むと理解されるべきである。例えば、組成物には、1つ以上の担体、希釈剤、および/または賦形剤が含まれ得る。本明細書中に記載される化合物、またはこれらを含む組成物は、本明細書中で記載される方法に適切な任意の通常の投与形態において治療有効量で処方することができ、1つ以上のその担体、希釈剤、および/または賦形剤を含でんもよい。そのような処方組成物は、本明細書中で記載される方法の種々の従来型経路により、種々の投与様式で、公知手順を用いて投与することができる。一般的に、Remington: The Science and Practice of Pharmacy,(21st ed., 2005)を参照。
「投与する」という用語は、本明細書中で用いられる場合、通常の非毒性の薬剤的に許容される担体、アジュバントおよびビヒクルを含む投与形態単位処方中、これらに限定されるものではないが、経口(po)、静脈内(iv)、筋肉内(im)、皮下(sc)、経皮、吸入、口腔、眼、舌下、および直腸を包含する、本明細書中に記載される化合物および組成物を患者に導入するあらゆる手段を包含する。化合物は、頭蓋内または脊椎内用注射針および/またはカテーテル(ポンプ装置の有無を問わない)を介した送達による脳内、脳室内(intraventricula)、脳室内(intracerebroventricular)、鞘内、嚢内、髄腔内および/または脊髄周囲(peri−spinal)投与経路(これらに限定されない)により、神経系に直接投与することもできる。
本明細書中で記載される方法では、同時投与の個々の成分、または組み合わせを、任意の適切な手段により、同時期に、同時に、連続して、別々に、または単一製剤処方で投与することができると理解されるべきである。同時投与される化合物または組成物を別々の投与形態で投与する場合、各化合物についての1日当たりの投与される回数は、同じであっても、異なっていてもよい。化合物または組成物は、同一または異なる投与経路で投与することができる。化合物または組成物は、同時または交互レジメンにしたがって、治療過程中の同じかまたは異なる時に、分割形態または単一形態で同時に投与することができる。
前記例示的用量および投薬プロトコルに加えて、本明細書中に記載される化合物のいずれか1つまたは混合物の有効量は、既知技術の使用により、および/または類似した状況下で得られる結果を観察することにより、担当する診断医または主治医が容易に決定することができると理解されるべきである。有効量または用量を決定する際、担当する診断医または主治医によって、これらに限定されるものではないが、ヒトをはじめとする哺乳動物の種、そのサイズ、年齢、全体的な健康、関連する特定の疾患または障害、疾患または障害の併発または重篤度の程度、個々の患者の反応、投与される特定の化合物、投与方法、投与される製剤のバイオアベイラビリティー特性、選択される用法、併用薬の使用、および他の関連する状況をはじめとする多くの因子が考慮される。
本明細書中に記載される化合物の医薬組成物の調製において、本明細書中で記載される種々の形態のいずれかにおける治療有効量の1つ以上の化合物を、1つ以上の賦形剤と混合するか、1つ以上の賦形剤により希釈するか、またはカプセル、サシェ、紙、もしくは他の容器の形態であり得る担体内に封入することができる。賦形剤は、希釈剤として機能することができ、固体、半固体、または液体材料であり得、これらは活性成分のビヒクル、担体または媒体として作用する。したがって、処方組成物は、錠剤、丸薬、散剤、ロゼンジ、サシェ、カシェー、エリキシル、懸濁剤、乳剤、溶液、シロップ、エアゾル(固体としてまたは液体媒体中)、軟膏、ソフトおよびハードゼラチンカプセル、坐剤、無菌注射液、および滅菌包装粉末(sterile packaged powders)の形態であり得る。組成物は、選択された用量および投与形態に応じて、約0.1%〜約99.9%の範囲の活性成分を含むことができる。好適な賦形剤の数例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、およびメチルセルロースが挙げられる。処方はさらに、タルク、ステアリン酸マグネシウム、および鉱油などの潤滑剤;湿潤剤;乳化剤および懸濁化剤;ヒドロキシ安息香酸メチルおよびプロピルなどの防腐剤;甘味剤;ならびに香味剤も含み得る。組成物は、当該技術分野で公知の手順を用いて患者に投与した後に、活性成分の急速放出、持続放出、または遅延放出を提供するように処方することができる。本明細書中で記載される組成物を調製するために用いられる担体、希釈剤、および賦形剤は、有利には、GRAS(一般的に安全な(Generally Regarded as Safe))化合物であると理解される。
乳化剤の例は、天然に存在するガム(例えば、アカシアガムまたはトラガカントガム)および天然に存在するホスファチド(例えば、大豆レシチンおよびソルビタンモノオレエート誘導体)である。酸化防止剤の例は、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸およびその誘導体、トコフェロールおよびその誘導体、ブチル化ヒドロキシアニソール、ならびにシステインである。防腐剤の例は、パラベン、例えばヒドロキシ安息香酸メチルまたはプロピル、およびベンザルコニウムクロリドである。保湿剤の例は、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、および尿素である。浸透促進剤の例は、プロピレングリコール、DMSO、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、2−ピロリドンおよびその誘導体、テトラヒドロフルフリルアルコール、およびAZONEである。キレート剤の例は、ナトリウムEDTA、クエン酸、およびリン酸である。ゲル形成剤の例は、CARBOPOL、セルロース誘導体、ベントナイト、アルギン酸塩、ゼラチンおよびポリビニルピロリドンである。軟膏基剤の例は、ミツロウ、パラフィン、パルミチン酸セチル、植物油、脂肪酸のソルビタンエステル(Span)、ポリエチレングリコール、脂肪酸のソルビタンエステルとエチレンオキシドとの間の縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(TWEEN))である。
経口使用のための固体投与形態。経口使用のための処方には、非毒性の薬剤的に許容される賦形剤との混合物中に活性成分を含む錠剤が含まれる。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤またはフィラー(例えば、スクロース、ソルビトール、糖、マンニトール、微結晶性セルロース、ジャガイモデンプンをはじめとするデンプン、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、またはリン酸ナトリウム);造粒剤および崩壊剤(例えば、微結晶性セルロースをはじめとするセルロース誘導体、ジャガイモデンプンをはじめとするデンプン、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸塩、またはアルギン酸);結合剤(例えば、スクロース、グルコース、ソルビトール、アカシア、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デンプン、α化デンプン、微結晶性セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、またはポリエチレングリコール);ならびに潤滑剤、流動促進剤、および付着防止剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シリカ、水素化植物油、またはタルク)である。他の薬剤的に許容される賦形剤は、着色剤、香味剤、可塑剤、保湿剤、緩衝剤などであり得る。
錠剤は、素錠であってもよいし、または、場合によって胃腸管中での崩壊および吸収を遅らせ、それにより長時間にわたって作用を持続させるために公知技術によりコーティングすることもできる。コーティングは、所定のパターンで活性原薬を放出するために(例えば、制御放出処方を得るために)適合させることができるか、または胃を通過するまで活性原薬を放出させないように適合させることができる(腸溶コーティング)。コーティングは、糖コーティング、フィルムコーティング(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリレートコポリマー、ポリエチレングリコールおよび/またはポリビニルピロリドンに基づく)、または腸溶コーティング(例えば、メタクリル酸コポリマー、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ポリビニルアセテートフタレート、シェラック、および/またはエチルセルロースに基づく)であってよい。さらに、例えばグリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートなどの時間遅延物質を用いることができる。
固体錠剤組成物は、組成物を望ましくない化学変化(例えば、活性原薬の放出前の化学分解)から保護するために適合させるコーティングを含み得る。コーティングは、Encyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されているのと類似した方法で固体投与形態に適用することができる。
制御放出経口投与形態。経口使用のための制御放出組成物は、例えば、活性原薬の溶解および/または拡散を制御することにより活性薬剤を放出する構造であってよい。例示的持続放出処方は、米国特許第3,847,770号;第3,916,899号;第3,536,809号;第3,598,123号;第3,630,200号;第4,008,719号;第4,687,610号;第4,769,027号;第5,674,533号;第5,059,595号;第5,591,767号;第5,120,548号;第5,073,543号;第5,639,476号;第5,354,566号;および第5,733,566号(その開示は参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載されている。
溶解または拡散制御放出は、化合物の錠剤、カプセル、ペレット、または粒状処方の適切なコーティングによるか、または化合物を適切なマトリックス中に組み入れることにより達成できる。制御放出コーティングは、1つ以上の前述のコーティング物質および/または、例えばシェラック、ミツロウ、グリコワックス、カスターワックス(castor wax)、カルナウバワックス、ステアリルアルコール、グリセリルモノステアレート、グリセリルジステアレート、グリセロールパルミトステアレート、エチルセルロース、アクリル樹脂、dl−ポリ乳酸、セルロースアセテートブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリメタクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシメタクリレート、メタクリレートヒドロゲル、1,3ブチレングリコール、エチレングリコールメタクリレート,および/またはポリエチレングリコールを含み得る。制御放出マトリックス処方において、マトリックス材料は、例えば水和メチルセルロース、カルナウバワックスおよびステアリルアルコール、カーボポール934、シリコーン、グリセリルトリステアレート、メチルアクリレート−メチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、および/またはハロゲン化フッ化炭素も含み得る。
請求される組み合わせの1つ以上の化合物を含む制御放出組成物は、浮遊錠またはカプセル(すなわち、投与されると、ある一定期間、胃の内容物の上に浮遊する錠剤またはカプセル)の形態であってもよい。化合物の浮遊錠処方は、薬剤と賦形剤および20〜75%w/wのヒドロコロイド、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースとの混合物を造粒することによって調製することができる。得られた顆粒を次いで圧縮して錠剤にすることができる。胃液と接触すると、錠剤は実質的に水不透過性のゲルバリアをその表面の周りに形成する。このゲルバリアは、1未満の密度を維持するのに関与し、これにより錠剤が胃液中に浮遊した状態であることを可能にする。
経口投与用液体。水の添加による水性懸濁液の調製のために適した粉末、分散性粉末、または顆粒は、経口投与に都合のよい投与形態である。懸濁液としての処方は、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤、および1つ以上の防腐剤との混合物中の活性成分を提供する。好適な分散剤または湿潤剤は、例えば、天然に存在するホスファチド(例えば、レシチンまたはエチレンオキシドの脂肪酸、長鎖脂肪族アルコール、もしくは脂肪酸由来の部分エステルとの縮合生成物)およびヘキシトールもしくは無水ヘキシトール(例えば、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなど)である。好適な懸濁化剤は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなどである。
非経口組成物。医薬組成物は、通常の非毒性の薬剤的に許容される担体およびアジュバントを含む投与形態、処方で、または好適な送達装置もしくはインプラントにより、注射、注入または移植(静脈内、筋肉内、皮下など)によって非経口投与することもできる。そのような組成物の処方および調製は、製剤処方の分野の当業者に周知である。処方は、Remington: The Science and Practice of Pharmacyに記載されている。
非経口使用のための組成物は、単位投与形態(例えば、単一用量アンプル中)、または複数用量を含み、好適な防腐剤が添加されていてもよいバイアル中で提供することができる(下記参照)。組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、注入装置、または移植用送達装置の形態であってもよいし、あるいは使用前に水または別の好適なビヒクルで再構成される乾燥粉末として提供することもできる。活性薬剤とは別に、組成物は、好適な非経口的に許容される担体および/または賦形剤を含んでもよい。制御放出のために、活性薬剤を微小球、マイクロカプセル、ナノ粒子、リポソームなどに組み入れることができる。さらに、組成物は、懸濁化剤、可溶化剤、安定剤、pH調節剤、および/または分散剤を含んでもよい。
前述のように、本明細書中に記載される医薬組成物は、滅菌注射に適した形態であってもよい。そのような組成物を調製するために、好適な活性薬剤を非経口的に許容される液体ビヒクル中に溶解または懸濁させる。用いることができる許容されるビヒクルおよび溶媒には、水、適切な量の塩酸、水酸化ナトリウムまたは好適な緩衝液の添加により好適なpHに調節された水、1,3−ブタンジオール、リンガー液、および生理食塩水が含まれる。水性処方は、1つ以上の防腐剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、エチルまたはn−プロピル)も含んでもよい。化合物のうちの1つが水中にやや溶けにくいかまたはわずかしか溶けない場合、溶解促進剤もしくは可溶化剤を添加することができるか、または溶媒は10〜60%w/wのプロピレングリコールなどを含んでもよい。
制御放出非経口組成物。制御放出非経口組成物は、水性懸濁液、微小球、マイクロカプセル、磁気微小球、油溶液、油懸濁液、またはエマルジョンの形態であってよい。あるいは、活性薬剤を生体適合性担体、リポソーム、ナノ粒子、インプラント、または注入装置中に組み入れることができる。微小球および/またはマイクロカプセルの調製で使用される物質は、例えばポリガラクチン、ポリ−(イソブチルシアノアクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−L−グルタミン)および、ポリ(乳酸)などの生分解性/生体内分解性ポリマーである。制御放出非経口処方を処方する場合に用いることができる生体適合性担体は、炭水化物(例えば、デキストラン)、タンパク質(例えばアルブミン)、リポタンパク質、または抗体である。インプラントにおいて使用される物質は、非生分解性(例えばポリジメチルシロキサン)または生分解性(例えばポリ(カプロラクトン)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)またはポリ(オルトエステル))であり得る。
直腸組成物。直腸適用に関して、組成物の好適な投与形態としては、坐剤(エマルジョンまたは懸濁液型)、および直腸ゼラチンカプセル(溶液または懸濁液)が挙げられる。典型的な坐剤処方において、活性薬剤を適切な薬剤的に許容される坐剤基剤、例えばカカオ脂、エステル化脂肪酸、グリセリン化ゼラチン(glycerinated gelatine)、ならびにポリエチレングリコールおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの種々の水溶性または分散性基剤と組み合わせる。種々の添加剤、促進剤、または界面活性剤を組み入れることができる。
吸入用組成物。吸入による投与に関して、典型的な投与形態としては、鼻スプレーおよびエアゾルが挙げられる。典型的な鼻用処方において、活性成分を好適なビヒクル中に溶解または分散させる。薬剤的に許容されるビヒクルおよび賦形剤(ならびに希釈剤、促進剤、香味剤、および防腐剤などの組成物中に存在する他の薬剤的に許容される物質)は、通常の薬務にしたがい、調剤分野の熟練者により理解される方法で選択される。
経皮および局所組成物。医薬組成物を、微小球およびリポソームを包含する通常の非毒性の薬剤的に許容される担体および賦形剤を含む投与形態または処方における経皮吸収のために皮膚上で局所的に投与することもできる。処方には、クリーム、軟膏、ローション、塗布薬、ゲル、ヒドロゲル、溶液、懸濁液、スティック、スプレー、ペースト、プラスター、および他の種類の経皮薬剤送達系が含まれる。薬剤的に許容される担体または賦形剤には、乳化剤、酸化防止剤、緩衝剤、防腐剤、保湿剤、浸透促進剤、キレート剤、ゲル形成剤、軟膏基剤、香料、および皮膚保護剤が含まれ得る。
皮膚上の局所投与用の前述の医薬組成物は、治療される身体部分上または身体部分付近への局所投与と組み合わせて用いることもできる。組成物は、直接適用のため、または身体の関連する開口部(例えば、直腸、尿道、膣もしくは経口開口部)中に導入するために適合させることができる。組成物は、包帯剤あるいはプラスター、パッド、スポンジ、ストリップ、または好適な柔軟性材料の他の形態などの特別な薬剤送達装置を用いて塗布することができる。
制御放出経皮および局所組成物。膜調節システム(membrane−modeated system)、接着剤拡散制御システム(接着剤拡散制御システム)、マトリックス分散型システム、およびマイクロリザーバーシステムをはじめとする薬剤の放出および経皮浸透の速度制御をもたらす方法がいくつか存在する。制御放出経皮および/または局所組成物は、前記方法の好適な混合形を用いて得ることができる。
膜調節システムにおいて、活性薬剤は、薬剤−不透過性ラミネート、例えば金属プラスチックラミネートから成型された浅い区画中、および速度制御ポリマー膜、例えば微小孔または無孔ポリマー膜(例えばエチレン−酢酸ビニルコポリマー)などに全体として封入されたリザーバー中に存在する。活性化合物は、速度制御ポリマー膜を通してのみ放出される。薬剤リザーバー中で、活性原薬は固体ポリマーマトリックス中に分散されるか、または粘稠性液体媒体、例えばシリコーン流体中に懸濁されるかのいずれかである。ポリマー膜の外部表面上に、接着剤ポリマーの薄層を塗布して、経皮系を皮膚表面と密着させる。接着ポリマーは好ましくは活性薬剤と適合性の低刺激性ポリマーである。
接着剤拡散制御システムでは、活性薬剤のリザーバーは、接着剤ポリマー中に活性薬剤を直接分散させ、次いで活性薬剤を含む接着剤を実質的に薬剤−不透過性金属プラスチックバッキングの平板シート上に塗布して、薄い薬剤リザーバー層を形成することによって形成される。マトリックス分散型システムは、活性原薬のリザーバーが、活性原薬を親水性または親油性ポリマーマトリックス中に実質的に均一に分散させ、次いで薬剤含有ポリマーを成型して実質的に明確な表面積および厚さを有するディスクにすることにより形成されることを特徴とする。接着剤ポリマーを外周に沿って塗布して、ディスクの周りに接着剤のストリップを形成する。
マイクロリザーバーシステムにおいて、活性物質のリザーバーは、まず薬剤固体を水溶性ポリマーの水溶液中に懸濁させ、次いで薬剤懸濁液を親油性ポリマー中に分散させて、薬剤リザーバーの複数の微小球体を形成することによって、形成される。
用量。請求される組み合わせの各化合物の用量は、投与方法、治療される状態、状態の重症度(状態が治療されるかまたは予防されるかによらない)、および治療される個人の年齢、体重、および健康状態をはじめとするいくつかの因子によって変わる。さらに、特定の患者についての薬理ゲノム学(治療薬の薬物動態、薬力学的または有効性プロファイルに対する遺伝子型の影響)情報は、使用される用量に影響を及ぼし得る。
前述のように、本明細書中に記載される化合物または組成物は、錠剤、カプセル、エリキシルもしくはシロップの形態で経口投与することができるか、または坐剤の形態で直腸投与することができる。化合物の非経口投与は、好適には、例えば、食塩溶液の形態で、またはリポソーム中に組み入れられた化合物を用いて実施するのが好適である。化合物自体が溶解するほど十分に可溶性でない場合、エタノールなどの可溶化剤を適用することができる。
前記例示的用量および投薬プロトコルに加えて、本明細書中に記載される化合物のいずれか1つまたは混合物の有効量は、担当する診断医または主治医により、公知技術の使用および/または類似の状況下で得られる結果の観察によって容易に決定することができると理解される。有効量または用量を決定する際、ヒトをはじめとする哺乳動物の種、そのサイズ、年齢、および全体的な健康、関連する特定の疾患または障害、疾患または障害の併発または重症度の程度、個々の患者の反応、投与される特定の化合物、投与方法、投与される製剤のバイオアベイラビリティー特性、選択される用法、併用薬の使用、および他の関連する状況をはじめとする多くの因子が担当する診断医または主治医によって考慮される。
好適な非経口投与経路としては、静脈内、動脈内、腹腔内、硬膜外(epidurial)、尿道内、胸骨内、筋肉内および皮下、ならびに非経口投与の当該技術分野で承認された任意の他の経路が挙げられる。非経口投与の好適な手段としては、有針(極微針を包含する)注射器、無針注射器および注入技術、ならびに当該技術分野で承認された任意の他の非経口投与手段が挙げられる。非経口処方は、典型的には、塩、炭水化物および緩衝剤(好ましくは約3〜約9の範囲のpH)などの賦形剤を含み得る水溶液であるが、いくつかの用途に関しては、滅菌非水性溶液として、または滅菌無パイロゲン水などの好適なビヒクルとあわせて用いられる乾燥形態として処方されるのがより好適である。滅菌条件下、例えば、凍結乾燥による非経口処方の調製は、当業者に周知の標準的調剤技術を用いて容易に行うことができる。
1つ以上の本明細書中に記載される化合物を使用してMSを治療または緩和するための本明細書中で記載される方法の有効な使用は、ネズミおよびウサギモデルなどの動物モデルの使用に基づく。例えば、ヒトにおけるMSは、機能の喪失、および/または症状の発現を特徴とし、これらのそれぞれは、マウスおよびウサギなどの動物、および他の代理試験動物で誘発され得ると理解される。本明細書中に記載される治療法および医薬組成物を評価して、本明細書中に記載される治療有効量を決定するために用いることができる多発性硬化症の例示的動物モデルには、これらに限定されるものではないが、マウスSJL、NOD、およびC57BL/6Jマウス(Taconic or The Jackson Laboratory)が挙げられ、ここで、10週齢NODマウスまたは7週齢C57BL/6Jの脇腹に、150μgのMOG35−55ペプチド(MEVGWYRSPFSRVVHLYRNGK;David Teplow, David Geffen School of Medicine, UCLA, Los Angeles, California, USA)および400μgのヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)抽出物H37Ra(Difco)を不完全フロインドアジュバント油中に含むエマルジョン200μlを皮下注射することにより免疫化することによってEAEを誘発する。加えて、動物に150ngの百日咳毒素(List Biological Laboratories)を第0日および第2日にi.p.投与する。SJLマウスにおけるEAEは、完全フロインドアジュバント油中PLP131−151ペプチド50μgで免疫化することによって誘発する。
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態をさらに説明するが、以下の例示的実施例は、本発明を制限するものと解釈されるべきではない。
実施例
実施例。以下の実施例、および対応するその薬剤的に許容される塩を本明細書中で記載し、これらは本明細書中に記載される方法および組成物中に含めることができる。
実施例。以下の実施例、および対応するその薬剤的に許容される塩を本明細書中に記載し、これらは本明細書中に記載される方法および組成物中に含めることができる。
実施例。以下の実施例、および対応するその薬剤的に許容される塩を本明細書中で記載し、これらを本明細書中で記載される方法および組成物中に含めることができる。
実施例。以下の実施例、および対応するその薬剤的に許容される塩を本明細書中に記載し、これらは本明細書中に記載される方法および組成物中に含めることができる。
実施例。ピルリンドール、テトリンドール、メトラリンドール、またはそれらの組み合わせ(50mg)を、多発性硬化症に罹っているかまたは多発性硬化症の緩和を必要とする患者に対して1日2回投与する。例えば、経口投与用の錠剤の形態のピルリンドール(25mgのピルリンドール、30mgのラクトース、および5mgのステアリン酸マグネシウムを含む)。この実施例および本明細書中に記載される他の実施例における治療期間は、各患者における多発性硬化症の進行によって決定され、それに応じて用量の調節を行う。この実施例および本明細書中に記載される他の実施例における治療有効性を、自己報告によりモニタリングし、スチューデントのt検定および/またはフィッシャーの「Fi」基準を用いて治療結果を統計的に評価する。
実施例。ピルリンドール、テトリンドール、メトラリンドール、またはそれらの組み合わせ(100mg)を、成人または小児に1日2回投与する。
実施例。ピルリンドール、テトリンドール、メトラリンドール、またはそれらの組み合わせ(200mg)を、成人または小児に1日2回投与する。
実施例。ピルリンドール、テトリンドール、メトラリンドール、またはそれらの組み合わせ(250mg)を、成人に1日2回投与する。
実施例。ピルリンドール、テトリンドール、メトラリンドール、またはそれらの組み合わせ(400mg)を、成人に1日2回投与する。
実施例。ピルリンドール、テトリンドール、メトラリンドール、またはそれらの組み合わせ(25mg)を、成人または小児に1日3回投与する。
実施例。ピルリンドール、テトリンドール、メトラリンドール、またはそれらの組み合わせ(50mg)を、成人または小児に1日3回投与する。
実施例。ピルリンドール、テトリンドール、メトラリンドール、またはそれらの組み合わせ(100mg)を、成人または小児に1日3回投与する。
実施例。ピルリンドール、テトリンドール、メトラリンドール、またはそれらの組み合わせ(200mg)を、成人または小児に1日3回投与する。
実施例。ピルリンドール、テトリンドール、メトラリンドール、またはそれらの組み合わせ(250mg)を、成人に1日3回投与する。
実施例。ピルリンドール、テトリンドール、メトラリンドール、またはそれらの組み合わせは、50mgを1日2回経口投与し、経口シンバスタチン(20mg錠剤、Merck & Co Inc)を1日2回同時投与するなど、本明細書中に記載されたようにして投与する。
実施例。ピルリンドール、テトリンドール、メトラリンドール、またはそれらの組み合わせは、50mgを1日2回経口投与し、経口酢酸グラチラマーを20mg、1日1回皮下(Teva)により同時投与するなど、本明細書中で記載されるようにして投与する。
実施例。ピルリンドール、テトリンドール、メトラリンドール、またはそれらの組み合わせは、50mgを1日2回、進行性多発性硬化症と診断された患者に経口投与し、経口シンバスタチン(20mg錠剤、Merck & Co Inc)を1日2回同時投与し、経口酢酸グラチラマー(20mg sc注射、Teva)を1日1回同時投与するなど、本明細書中に記載するようにして投与する。
実施例。ピルリンドール、テトリンドール、メトラリンドール、またはそれらの組み合わせは、100mgを1日2回、二次進行型多発性硬化症と診断された患者に経口投与し、経口メマンチンを同時投与するなど、本明細書中に記載するようにして投与する。治療は、第1週は50mgのピルリンドール(25mg錠剤を朝1錠、午後または夕方1錠)から始める。第2週では、100mg/日(朝2錠、午後または夕方2錠)そして第3週では150mg/日(朝2錠、午後または夕方4錠)が推奨される。第4週以降、治療は推奨される200mg/日(4錠を1日2回)の維持量で継続することができる。
実施例。ピルリンドール、テトリンドール、メトラリンドール、またはそれらの組み合わせは、例えば25mgを、1日2回、二次進行型多発性硬化症と診断された患者に経口投与し、経口アザチオプリン(50mg錠剤、GlaxoSmithKline)を1日2回同時投与するなど、本明細書中に記載するように投与する。
実施例。ピルリンドール、テトリンドール、メトラリンドール、またはそれらの組み合わせは、例えば、25mgを1日2回、再発寛解型多発性硬化症と診断された患者に経口投与し、経口ミコフェノール酸モフェチル(500mg錠剤、Roche)を1日2回同時投与するなど、本明細書中に記載されるようにして投与する。
実施例。ピルリンドール、テトリンドール、メトラリンドール、またはそれらの組み合わせは、25mgを1日2回、進行性再発型多発性硬化症と診断された患者に経口投与し、経口ミコフェノール酸モフェチル(500mg錠剤、Roche)を1日2回同時投与するなど、本明細書中に記載するようにして投与する。
実施例。本明細書中に記載される化合物を含む四環系ピラジノインドール、および/またはそれらの薬剤的に許容される塩は、慢性進行性EAEのマウスMOG誘発性モデルにおいで有効である。手短に説明すると、SJLマウスにおける慢性進行性EAEは、50μgのPLP131−151ペプチドまたは完全フロインドアジュバント中MOG35−55で免疫化することによって誘発される。動物を無パイロゲン施設中に維持する。ピルリンドールを、第20日に10mg/kgで始めて毎日静脈内投与する。2%DMSOからなるビヒクル。EAEの臨床兆候を以下のスコアにしたがって評価する:0、疾患の兆候なし;1、尾の緊張喪失;2、後肢不全麻痺;3、後肢麻痺;4、四肢麻痺;5、瀕死。(Forte et al.,Cyclophilin D inactivation protects axons in experimental autoimmune encephalomyelitis,an animal model of multiple sclerosis. Proc Natl Acad Sci U S A. 104(18):7558−63(2007 May 1))。
実施例。MSの重度EAE動物モデル。実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)(実験的アレルギー性脳脊髄炎とも呼ばれる)は、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、マカク、アカゲザルおよびマーモセットなどの健康な動物において、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、プロテオリピドタンパク質(PLP)、およびミエリン乏突起膠細胞糖タンパク質(MOG)などのミエリンを構成する種々のタンパク質の全部または一部を注射することによって誘発することができる。手短に説明すると、重度EAEを生じさせるために、12週齢C57BL/6メスマウス(Jackson Laboratory, Bar Harbor, Maine, USA)の尾の裏側に、そして7日後には脇腹に、さらに4mg/mlのヒト型結核菌(H37Ra)を含む100μlの完全フロインドアジュバント(CFA)(Difco Laboratories, Detroit, Mich., USA)中で乳化させた300μgのMOG35−55ペプチド(Bernard et al., Myelin oligodendrocyte glycoprotein: a novel candidate autoantigen in multiple sclerosis. J Mol Med 75: 77−88(1997))を皮下注射する。マウスに200μlのPBS中300ngの再構成された凍結乾燥百日咳毒素(List Biological Laboratories, Campbell, Calif., USA)を腹腔内(IP)注射する。百日咳毒素注射を48時間後に繰り返す(Liu et al. TNF is a potent anti−inflammatory cytokine in autoimmune−mediated demyelination. Nat Med 4: 78−83(1998))。
実施例。四環系ピラジノインドール、およびそれらの薬剤的に許容される塩の評価。動物は、MOG誘発当日から始めて、1つ以上の四環系ピラジノインドールまたはビヒクル(食塩水)を用いて毎日IP処置する。1群あたり7〜9匹の動物を使用する。対照EAEマウスに200μlの食塩水を毎日注射し、一方、治療EAEマウスには、動物を屠殺するまで、1つ以上の四環系ピラジノインドールを、約1mg/kg〜約50mg/kgの範囲で1日2回、1mg/kg〜約25mg/kgで1日2回、または約1mg/kgで1日2回投与する。マウスの最後の群では、1つ以上の腹腔内四環系ピラジノインドール(約5mg/kg〜約50mg/kgの範囲を毎日、5mg/kg〜約25mg/kgを毎日、または約5mg/kgを毎日)での治療は、臨床的疾患がマウスで明らかになり始める免疫化後10日からのみで開始する。
全てのマウスの体重を毎日量る。EAEの重症度を、Liu J, Marino MW, Wong G, Grail D, Dunn A, Bettadapura J, et al. TNF is a potent anti−inflammatorycytokine in autoimmune−mediated demyelination. Nat Med 1998;4: 78−83)にしたがって採点する。採点は次のとおりである:0、疾患なし;1、尾が垂れ下がる;2、後肢の一方または両方の部分的麻痺;3、後肢の完全麻痺;4、後肢麻痺および前肢対不全麻痺;5、瀕死。
実施例。MSの軽度EAE動物モデル。手短に説明すると、軽度EAEを得るために、100μlのCFA中で乳化させたMOG35−55ペプチドを12週齢のC57BL/6メスマウス(Jackson Laboratory, Bar Harbor, Maine, USA)に1度だけ注射する。続いて、用量を300μgから25μgまで減じ、結核菌(M.tuberculosis)をCFAに追加しない。MSの重度EAE動物モデルと同様に百日咳毒素を投与し続ける。
実施例。急性EAEネズミモデル。実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)は、多発性硬化症(MS)の臨床的および病理学的特徴の多くを模倣する中枢神経系(CNS)自己免疫性脱髄性疾患である。MOGネズミモデルは、感作期間(実験の第0日および第6日に完全フロインドアジュバント(CFA)中で乳化させたMOGを1回皮下(SC)注射し、続いてEAE誘発時に一度百日咳毒素(PT)でIP追加免疫刺激を実施し、48時間後にもう一度実施することにより誘発する)からなる。さらなる詳細は、Gilgun−Sherki et al., Neurosciences Research 47:201−207(2003)に記載されている。
手短に説明すると、研究開始時に若年成体(8〜9週齢)としてメスC57BL/6Jマウス(Harlan Laboratories Israel, Ltd.)において研究を実施する。動物を少なくとも5日間、実験室の状態に慣れされる。馴化中および試験期間全体にわたって、動物を、頑丈な底部を備え、寝床材料としてかんなくずを詰めたポリプロピレンケージ中に最大10匹の群で収容する。動物に市販の齧歯類用食餌を自由に与え、飲用水(ステンレス鋼製吸口を有するポリエチレン瓶から各ケージに供給)を自由に摂らせる。水を定期的にモニタリングする。自動制御環境条件を設定し、研究室において、20〜24℃の温度、相対湿度(RH)30〜70%を維持し、12:12時間の明暗サイクル、および15〜30換気/時にする。温度およびRHを毎日モニタリングする。明サイクルを親時計によりモニタリングする。治療開始時の動物の体重のバラツキは平均体重±20%を超えてはならない。研究の最後で、生存している動物をCO2窒息により安楽死させる。
抗原。RP−HPLC精製凍結乾燥粉末をリン酸緩衝塩溶液(PBS)中に溶解させて、2mg/mlの最終注射濃度の溶液を得ることにより、各接種期間前にMOGペプチド(35−55ヒト、[H]−MEVGWYRPFSRVVHLYRNGK−[OH])溶液を新たに調製する。この濃度は、100μLのPBS中200μgのMOGの選択された用量および用量(体積)について適切である。
増感剤。熱殺菌されたヒト型結核菌H37Raを含む鉱油中完全フロインドアジュバント(CFA)懸濁液(濃度3mg/mL)を供給されたままで使用する。
MOG/CFAエマルジョン。第0日および第6日に実施される各接種の前に、100μlのMOG溶液(200μg)を100μlのCFA懸濁液(300μgの熱殺菌されたヒト型結核菌H37Ra)で乳化させる。Luerフィッティングにより接続された2つのシリンジを用いることによって溶液をよく混合して、合計投与体積200μl/動物とする。
免疫刺激剤。研究第0日に実施される初回免疫刺激注射前に、百日咳毒素(PT)ストック溶液(透明液体外毒素、百日咳菌(Bordetella Pertussis)により産生、0.2mg/ml、Sigma−Aldrich)は、市販のPT試料(0.2mg/mL、合計50μg/250μL/バイアル)を滅菌蒸留水(注射用水)中で希釈して、100μg/mLのストック濃度を得ることにより、新たに調製する。
研究第0日および第2日の各注射の前に、PTストック溶液(100μg/mL)をリン酸緩衝塩溶液(PBS)中で希釈して、2μg/mlの最終注射濃度にし、これは選択された用量レベルおよび投与体積に適切である。
各PT注射後に、デイリーバイアル(daily vial)を捨てる。希釈されたストック溶液(100μg/mL)を冷蔵(2〜8℃)し、研究第2日の2回目のPT注射に再使用する。調製から48時間以上経過した溶液は使用しない。各PT注射期間の直前によくボルテックスする必要がある。
全動物に研究の第0日(研究開始)および第6日にMOG/CFAの接種注射1回実施する。接種物注射は、次のようなMOGおよびCFAのホモジネート乳剤混合物からなる。MOG/CFA脳炎誘発性乳剤接種物(200μg MOG/300μg CFA)を200μL/動物の合計用量(体積)で注射し、2×100μLの皮下(SC)両側注射(bilateral injection)として側腰(paralumbar)領域上に送達する。
血液能関門(BBB)の透過性を増大させるために、全動物を百日咳毒素(PT)による追加免疫刺激に付し、PTは、20μg/kg(約400ng/マウス)の用量レベルで2回(1回は研究の第0日のEAE誘発時に、そしてもう1回は48時間後(研究第2日))に腹腔内(IP)投与する。百日咳毒素溶液を10mL/kgの用量(体積)で注射する。
まず、全動物をEAE誘発(研究の第0日)前の神経学的反応および症状の徴候について調べ、35日の観察期間全体にわたって毎日調べる。EAE反応を0〜15スケール臨床兆候スコアリング法にしたがって採点し、記録する。
各セクションのスコアを合計することによって臨床スコアを決定する(Weaver at al, 2005)。
35日の研究にわたって、EAE臨床スコアリングおよびアセスメントに加えて、少なくとも1日1回、臨床検査を実施し、記録する。観察結果には、皮膚、獣毛、眼、粘膜、分泌および排出の発生(例えば下痢)、自発神経活性(例えば流涙、唾液分泌、立毛、瞳孔サイズ、異常呼吸パターン)、歩行、姿勢、および手で触れることに対する反応における変化、並びに異常な挙動、震え、痙攣、活動休止、および昏睡の有無が含まれる。
実施例。ピルリンドール。試験化合物を、毎週濃縮するストック溶液として調製し、7個のバイアル中に等分し、−20℃で凍結する。1個のバイアルを連日投与するために解凍する。毎週1回アリコート調製を実施する。デキサメタゾン(陽性対照、Sigma)をエタノール中で希釈して、1mg/mLの濃度にし、蒸留水で希釈して、0.05mg/mLの用量濃度にする。ビヒクル、試験化合物、およびデキサメタゾン陽性対照を研究の第0日から始めて毎日1回投与する。
表 治療群
結果を図1に示す。陽性対照(B)について観察される活性は、ビヒクルのみでの処置群(A)と比べて、第15日から始まって、実験の間中、統計的に有意であった(p<0.01)。治療群(E)について観察される活性は、ビヒクルのみでの治療群(A)と比べて、第15日から始まって、実験の間中、統計的に有意であった(p<0.01)(第23日(p<0.05)を除く)。治療群(C)について観察される活性は、ビヒクルのみでの治療群(A)と比較して、研究の最後で統計的に有意でなかったが、30、31、および32日の中間時点で、ビヒクルのみでの治療群(A)と比較して統計的に有意であった(p<0.05)。
体重減少は、疾患発症の最初の徴候であり得、体重の著しい急増はEAE症状の寛解に付随する傾向がある。したがって、動物の個々の体重を、研究の第0日(実験開始)のEAE誘発直前に測定し、35日の観察期間にわたって毎日モニタリングする。結果を図2に示す。
実施例。組織学的分析。麻酔したマウスを40mlの冷生理食塩水で灌流させ、CNSを解剖する。脊髄の仙骨部分を4%パラホルムアルデヒド中に一晩浸漬し、パラフィンワックス中に包埋し、6〜8μmで輪切りにし、脱髄の形跡を調べるためにルクソール・ファースト・ブルー(Luxol fast blue)で染色し、そして場合によって、炎症の形跡を調べるためにヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色する。視神経を2.5%グルタルアルデヒドで固定し、エポン中に包埋し、2μmで分割し、そしてトルイジン・ブルーで染色する。
ビヒクル処置したEAEマウス、および1つ以上の本明細書中に記載される化合物で治療したマウスの第1群をMOG免疫化後の第19〜21日に屠殺する。治療マウスの第2群を、疾患末期の第27日に屠殺する。右索および左索の前索(Ant)、側索(Lat)および後索(Post)を、0(炎症なし)から3(CNS実質深部の重度の炎症で、灰白質部分に達する)までのスケールを用いて予備知識なしに評価する。
実施例。ピルリンドール(BVA−201)で治療したマウスの組織学的分析。手短に説明すると、全ての試料は、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色された脊柱および脊髄の縦断面である。試料Aは脊柱の頭蓋部分であり、試料Bは尾部分である。修飾語F−焦点、MF−多焦点、およびD−拡散を使用して、炎症性細胞浸潤の分布を記載する。病巣が(少なくとも片面で)連続的であり、全SCに影響を及ぼする場合、拡散を使用する。数例では、病巣は全SCに影響を及ぼすが(100%)、その分布は多焦点である。なぜなら、これは連続的ではなく、すなわち片面上に小さな影響を受けない部分があり、これらは反対側で影響を受ける。
組織学分析は、2つのパラメータ:(a)重症度スコア(これに限定されるものではないが、主に炎症性細胞に関する浸潤を指す);および(b)白質損傷(WMD)を参照する。記号:Dist−分布;GM−灰白質;IC−炎症性細胞;ND−実施せず;SC−脊髄;Sev−重症度;WM−白質;WMD−白質損傷;WNL−正常範囲内。重症度スコア:0−WNL、1−最低、2−軽度、3−中程度、4−重度。0.5点も使用する。重症度は、炎症性浸潤およびWMDの量を指す。これらの2変化のグレードにおいて相違があるならば、これを記録する。
WMDの程度を、試料中の冒された脊髄組織の量のパーセンテージで示す。多くの場合、損傷は、SCの片側(背面または前面)のみに影響を及ぼした。数例では、断面がより水平である場合、WMDは両面に影響を及ぼす。利用可能なSC試料は、100%と見なされる。したがって、5cmの長さのSCにおいて、0.5cmの長さの断片で変化があるならば、これは損傷が片面または両面のどちらに影響を及ぼすかどうかに関係なく10%とする。パーセンテージに反映されないが、病巣の程度は重症度の評価において考慮される。WMDは、空胞形成、グリオーシス、およびミエリン片の存在をはじめとする1組の変化を説明する。少数例で、これらの変化はウォーラー変性の典型的な形態(多数の消化室)を有する。ほとんどの試料では、損傷の種類は、ウォーラー変性、脱髄、または両方、および/または炎症と関連する非特異的損傷であり得る。
重症度スコアについての個々の動物データを平均し、図3にまとめる。治療群:(A)−ビヒクル対照;(B)−デキサメタゾン;(C)−BVA−201(1mg/kg);(F)−BVA−201(30mg/kg)。重症度スコアの軽減において唯一活性な化合物はデキサメタゾンであった。BVA−201治療群とビヒクルとの間で重症度スコアの差は見られなかった。これらのデータは、BVA−201が消炎効果を有さないことを示唆する。
WMDについての個々の動物データを平均し、図4および図5にまとめる。終了時に測定されたWMDと臨床スコアとの間に正の非常に有意な相関関係が見られた(図4)。BVA−201による有意な保護効果は、30mg/kgで治療した後に見られた(図5)。正の対照として、有意な保護効果は、デキサメタゾンでの治療後にも見られた(図5)。理論に拘束されるものではないが、本発明ではまとめると、これらのデータから、WMDの防止におけるデキサメタゾン活性はその消炎効果により媒介され、一方、BVA−201の保護有効性は消炎効果と関連せず、むしろニューロンの直接的または間接的保護に関連することが示唆される。ニューロンの直接的および/または間接的保護の場合、理論に拘束されるものではないが、本発明では、本明細書中に記載される化合物、組成物、および方法は、ミエリン修復もしくは再ミエリン化を直接的に引き起こし得るか、あるいは軸索を保護し、そして他のプロセスがミエリン修復もしくは再ミエリン化をさらに有効に引き起こすことを可能にすると考えられる。例えば、本明細書中に記載される化合物、組成物、および方法は、乏突起膠細胞(ミエリン産生細胞)を保護することができる。理論に拘束されるものではないが、全体として、データは、本明細書中に記載される化合物、組成物、および方法によるミトコンドリア安定化も示唆すると考えられる。
一般的に、データは、(a)脱髄が少ないこと、(b)ミエリン修復が改善されること、および/または(c)ビヒクルのみで処置された群と比較してBVA−201治療群で再ミエリン化が起こることの1つ以上を示す。
実施例。SJL/Jマウス(Jackson Laboratories)EAEおよびダーク・アグチ(DA)ラット(Harlan)EAEを用いたMSの同等モデルも記載する。モデルの詳細は、米国特許第7,041,661号(その開示は参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載されている。
ピルリンドールについて本明細書中に記載される動物モデルおよび他のアッセイ例は、1つ以上のNMDA受容体拮抗物質、HMG−CoA還元酵素阻害剤など、およびそれらの組み合わせとの同時投与をはじめとする、本明細書中で記載される種々の連携療法および同時投与を分析および/または評価するために使用できると理解されるべきである。