JP2018035086A - 低活動膀胱の予防及び/又は治療薬 - Google Patents
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Abstract
【課題】低活動膀胱の予防及び/又は治療のための医薬を提供とすること。【解決手段】式(I)で表わされる化合物又はその塩を有効成分として含有する、低活動膀胱の予防及び/又は治療に用いる医薬。中でも、化合物としては、N-[2-({2-[(2S)-2-シアノピロリジン-1-イル]-2-オキソエチル}アミノ)-2-メチルプロピル]-2-メチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-6-カルボキサミド(一般名:アナグリプチン)が好ましい。(R1〜R4は夫々独立にH、トリフルオロメチル基、又はC1-3アルキル基)【選択図】なし
Description
本発明は、DPP-4阻害作用を有する化合物を有効成分とする、低活動膀胱の予防及び/又は治療のための医薬に関するものである。
尿は腎臓で産生され、膀胱に蓄えられる。膀胱への蓄尿時には、排尿筋(膀胱排尿筋)が弛緩し、内尿道括約筋及び外尿道括約筋が収縮する。膀胱からの排尿時には、排尿筋が収縮し、内尿道括約筋及び外尿道括約筋が弛緩する。低活動膀胱とは、排尿時の排尿筋収縮の減弱により排尿障害をきたしたものの総称で、排尿間隔の延長や、正常時間内に尿排泄が完全になされない状態をいう。
低活動膀胱の原因としては、神経性疾患と非神経性疾患が知られている。神経性疾患としては、糖尿病性神経症、根治的子宮摘除及び直腸がん根治手術等の骨盤内手術、及びアルコール中毒症等の末梢神経疾患、脊髄損傷、頸椎症、二分脊椎、脊椎腫瘍、脊髄小脳変性症、腰部脊柱管狭窄症、及び椎間板ヘルニア等の脊髄疾患、脳卒中、脳髄膜炎、認知症、パーキンソン病、多発性硬化症、及び頭部外傷等の大脳疾患が挙げられる。非神経性疾患としては、前立腺肥大症による下部尿路閉塞のほか、薬剤性・加齢性疾患が挙げられる。
現在、低活動膀胱の治療には、例えば、ムスカリン受容体刺激薬であるベタネコール塩化物、コリンエステラーゼ阻害薬であるジスチグミン臭化物が用いられている。しかしながら、これらの医薬にはコリン作動性クリーゼという重大な副作用があり、必ずしも安全な医薬とは言えない。また、α1受容体遮断薬(特許文献1)又はプロスタノイド受容体アゴニスト(特許文献2、3)が、低活動膀胱に有用であると報告されているが、実用化には至っておらず、新たな低活動膀胱を適用疾患に持つ医薬が望まれている。
DPP-4(ジペプチジル・ペプチダーゼ4)阻害作用を有する化合物は、糖尿病の治療薬として知られている。糖尿病以外の作用・効果については、例えば、心臓保護又は腎臓保護(特許文献4献)、全身性炎症反応症候群(特許文献5)、非アルコール性脂肪性肝疾患(特許文献6、7)、糖尿病性高脂血症又は糖尿病性異常脂質血症(特許文献8)、脂質代謝異常(特許文献9)、及び浮腫(特許文献10)等が知られている。
しかし、DPP-4阻害作用を有する化合物が低活動膀胱に対し、どのような影響を及ぼすかについてはまったく知られておらず、更に低活動膀胱の予防及び/又は治療効果の有無については知られていない。
しかし、DPP-4阻害作用を有する化合物が低活動膀胱に対し、どのような影響を及ぼすかについてはまったく知られておらず、更に低活動膀胱の予防及び/又は治療効果の有無については知られていない。
本発明が解決しようとする課題は、低活動膀胱の予防及び/又は治療に用いる新たな医薬を提供することにある。
本発明の発明者らは、上記の課題を解決すべく研究を行った結果、DPP-4阻害作用を有する化合物が、両側の内腸骨動脈を結紮された非ヒトモデル動物の低活動膀胱による排尿間隔の延長を改善する作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、次の通りである。
<1> 下記一般式(I)で表される化合物又はその塩を有効成分として含有する、低活動膀胱における、延長した排尿間隔の改善に用いる医薬。
(式中、R1、R2、R3、及びR4は、それぞれ、水素原子、トリフルオロメチル基、又はC1-3アルキル基を示す。)
<2> 前記有効成分が、N-[2-({2-[(2S)-2-シアノピロリジン-1-イル]-2-オキソエチル}アミノ)-2-メチルプロピル]-2-メチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-6-カルボキサミド又はその塩である、<1>に記載の医薬。
<3> 前記有効成分がアナグリプチンである、<1>に記載の医薬。
<4> 前記低活動膀胱が、神経性疾患に伴うものである、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の医薬。
<1> 下記一般式(I)で表される化合物又はその塩を有効成分として含有する、低活動膀胱における、延長した排尿間隔の改善に用いる医薬。
<2> 前記有効成分が、N-[2-({2-[(2S)-2-シアノピロリジン-1-イル]-2-オキソエチル}アミノ)-2-メチルプロピル]-2-メチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-6-カルボキサミド又はその塩である、<1>に記載の医薬。
<3> 前記有効成分がアナグリプチンである、<1>に記載の医薬。
<4> 前記低活動膀胱が、神経性疾患に伴うものである、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の医薬。
<5> 前記神経性疾患が、末梢神経疾患、脊髄疾患、及び大脳疾患からなる群から選択される、<4>に記載の医薬。
<6> 前記抹消神経疾患が、糖尿病性神経症、骨盤内手術、及びアルコール中毒症である、<5>に記載の医薬。
<7> 前記脊髄疾患が、脊髄損傷、頸椎症、二分脊椎、脊椎腫瘍、脊髄小脳変性症、腰部脊柱管狭窄症、及び椎間板ヘルニアからなる群から選択される、<5>に記載の医薬。
<8> 前記大脳疾患が、脳卒中、脳髄膜炎、認知症、パーキンソン病、多発性硬化症、及び頭部外傷からなる群から選択される、<5>に記載の医薬。
<9> 前記骨盤内手術が、根治的子宮摘除及び直腸がん根治手術からなる群から選択される、<6>に記載の医薬。
<6> 前記抹消神経疾患が、糖尿病性神経症、骨盤内手術、及びアルコール中毒症である、<5>に記載の医薬。
<7> 前記脊髄疾患が、脊髄損傷、頸椎症、二分脊椎、脊椎腫瘍、脊髄小脳変性症、腰部脊柱管狭窄症、及び椎間板ヘルニアからなる群から選択される、<5>に記載の医薬。
<8> 前記大脳疾患が、脳卒中、脳髄膜炎、認知症、パーキンソン病、多発性硬化症、及び頭部外傷からなる群から選択される、<5>に記載の医薬。
<9> 前記骨盤内手術が、根治的子宮摘除及び直腸がん根治手術からなる群から選択される、<6>に記載の医薬。
<10> 前記低活動膀胱が、非神経性疾患に伴うものである、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の医薬
<11> 前記非神経性疾患が、前立腺肥大症による下部尿路閉塞及び薬剤性・加齢性疾患からなる群から選択される、<10>に記載の医薬
<12> 更に、ムスカリン受容体刺激薬、コリンエステラーゼ阻害薬、α1受容体遮断薬、及びプロスタノイド受容体アゴニストからなる群より選ばれる1種以上を組み合わせて含有する、<1>〜<11>のいずれか1つに記載の医薬。
<13> ムスカリン受容体刺激薬、コリンエステラーゼ阻害薬、α1受容体遮断薬、及びプロスタノイド受容体アゴニストからなる群より選ばれる1種以上の医薬と併用で投与されるように用いられる、<1>〜<11>のいずれか1つに記載の医薬。
<11> 前記非神経性疾患が、前立腺肥大症による下部尿路閉塞及び薬剤性・加齢性疾患からなる群から選択される、<10>に記載の医薬
<12> 更に、ムスカリン受容体刺激薬、コリンエステラーゼ阻害薬、α1受容体遮断薬、及びプロスタノイド受容体アゴニストからなる群より選ばれる1種以上を組み合わせて含有する、<1>〜<11>のいずれか1つに記載の医薬。
<13> ムスカリン受容体刺激薬、コリンエステラーゼ阻害薬、α1受容体遮断薬、及びプロスタノイド受容体アゴニストからなる群より選ばれる1種以上の医薬と併用で投与されるように用いられる、<1>〜<11>のいずれか1つに記載の医薬。
本発明の医薬は、低活動膀胱による排尿間隔の延長に対して改善作用を有する。したがって、本発明の医薬は、低活動膀胱の予防及び/又は治療に有効である。
以下に、本発明を更に詳細に説明する。本発明の低活動膀胱の予防及び/又は治療に用いる医薬は、DPP-4阻害作用を有する化合物を有効成分とする医薬である。
DPP-4阻害作用を有する化合物の1つとしては、以下の一般式(I)で表わされる化合物又はその塩若しくは水和物が挙げられる。中でも、N-[2-({2-[(2S)-シアノピロリジン-1-イル]-2-オキソエチル}アミノ)-2-メチルプロピル]-2-メチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-6-カルボキサミド(一般名:アナグリプチン(Anagliptin))が好ましい。これらの化合物は、WO2004/067509記載の化合物であり、その実施例2の化合物の製造法等により製造することができる。
DPP-4阻害作用を有する化合物の1つとしては、以下の一般式(II)で表わされる(3R)-3-アミノ-1-[3-(トリフルオロメチル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-5H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-α]-ピラジン-7-イル]-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン(一般名:シタグリプチン(Sitagliptin))又はその塩若しくは水和物が挙げられる。この化合物は、WO2003/004498記載の化合物であり、その実施例7の化合物の製造法等により製造することができる。
DPP-4阻害作用を有する化合物の1つとしては、以下の一般式(III)で表わされる(2S)-1-{[(3-ヒドロキシトリシクロ[3.3.1.13,7]デシ-1-イル)アミノ]アセチル}ピロリジン-2-カルボニトリル(一般名:ビルダグリプチン(Vildagliptin))又はその塩若しくは水和物が挙げられる。この化合物は、WO2000/034241記載の化合物であり、その実施例1の化合物の製造法等により製造することができる。
DPP-4阻害作用を有する化合物の1つとしては、以下の一般式(IV)で表わされる2-({6-[(3R)-3-アミノピペリジン-1-イル]-3-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル}メチル)ベンゾニトリル(一般名:アログリプチン(Alogliptin))又はその塩若しくは水和物が挙げられる。この化合物は、WO2005/095381記載の化合物であり、その化合物4の製造法等により製造することができる。
DPP-4阻害作用を有する化合物の1つとしては、以下の一般式(V)で表わされる8-[(3R)-3-アミノピペリジン-1-イル]-7-(ブチ-2-イン-1-イル)-3-メチル-1-[(4-メチルキナゾリン-2-イル)メチル]-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン(一般名:リナグリプチン(Linagliptin))又はその塩若しくは水和物が挙げられる。この化合物は、WO2004/018468記載の化合物であり、その実施例2(142)の化合物の製造法等により製造することができる。
DPP-4阻害作用を有する化合物の1つとしては、以下の一般式(VI)で表わされる{(2S,4S)-4-[4-(3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾル-5-イル)ピペラジン-1-イル]ピロリジン-2-イル}(1,3-チアゾリジン-3-イル)メタノン(一般名:テネリグリプチン(Teneligliptin))又はその塩若しくは水和物が挙げられる。これらの化合物は、WO2002/014271記載の化合物であり、その実施例222の化合物の製造法等により製造することができる。
DPP-4阻害作用を有する化合物の1つとしては、以下の一般式(VII)で表わされる(1S,3S,5S)-2-[(2S)-2-アミノ-2-(3-ヒドロキシトリシクロ[3.3.1.13,7]デシ-1-イル)アセチル]-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボニトリル(一般名:サキサグリプチン(Saxagliptin))又はその塩若しくは水和物が挙げられる。これらの化合物は、WO2001/068603記載の化合物であり、その実施例60の化合物の製造法等により製造することができる。
DPP-4阻害作用を有する化合物の1つとしては、以下の一般式(VIII)で表わされる2-({6-[(3R)-3-アミノピペリジン-1-イル]-3-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル}メチル)-4-フルオロベンゾニトリル(一般名:トレラグリプチン(Trelagliptin))又はその塩若しくは水和物が挙げられる。これらの化合物は、WO2005/095381記載の化合物であり、その化合物34の製造法等により製造することができる。
DPP-4阻害作用を有する化合物の1つとしては、以下の一般式(IX)で表わされる(2R,3S,5R)-2-(2,5-ジフルオロフェニル)-5-[2-(メチルスルフォニル)-2,6-ジヒドロピロロ[3,4-c]ピラゾル-5(4H)-イル]テトラヒドロ-2H-ピラン-3-アミン(一般名:オマリグリプチン(Omarigliptin))又はその塩若しくは水和物が挙げられる。これらの化合物は、WO2010/056708記載の化合物であり、その実施例1の化合物の製造法等により製造することができる。
これらのDPP-4阻害作用を有する化合物において、塩を形成する場合は、薬理学的に許容される塩が好ましく、例えば無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性又は酸性アミノ酸との塩等が挙げられる。無機酸との塩の好適な例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等との塩が挙げられる。有機酸との塩の好適な例としては、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、安息香酸、トルエンスルホン酸等との塩が挙げられる。塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、アルギニン等との塩が挙げられる。酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、アスパラギン酸、グルタミン酸等との塩が挙げられる。
DPP-4阻害作用を有する化合物の好ましい塩又は水和物としては、シタグリプチン1リン酸塩水和物、アログリプチン安息香酸塩、テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物、サキサグリプチン水和物、及びトレラグリプチンコハク酸塩が挙げられる。
本発明の医薬は低活動膀胱に対して有効である。すなわち、本発明の医薬は、低活動膀胱の予防及び/又は治療のための医薬としての用途を有している。ここで「低活動膀胱」とは、排尿時の排尿筋収縮の減弱により排尿障害をきたしたものの総称で、排尿間隔の延長や、正常時間内に尿排泄が完全になされない状態をいう。
低活動膀胱の原因としては、神経性疾患と非神経性疾患が知られている。神経性疾患としては、糖尿病性神経症、根治的子宮摘除及び直腸がん根治手術等の骨盤内手術、及びアルコール中毒症等の末梢神経疾患、脊髄損傷、頸椎症、二分脊椎、脊椎腫瘍、脊髄小脳変性症、腰部脊柱管狭窄症、及び椎間板ヘルニア等の脊髄疾患、脳卒中、脳髄膜炎、認知症、パーキンソン病、多発性硬化症、及び頭部外傷等の大脳疾患が挙げられる。非神経性疾患としては、前立腺肥大症による下部尿路閉塞のほか、薬剤性・加齢性疾患が挙げられる。
何らかの原因により膀胱筋の機能が低下して低活動膀胱が引き起こされると、更なる膀胱内圧の変化、膀胱の機能的変化若しくは器質的変化等の負の連鎖が起こり、感染症、膀胱炎、過活動膀胱、尿失禁等の下部尿路機能障害へとつながる恐れもあることから、低活動膀胱の予防及び/又は治療は、患者の生活の質の向上を目指す上で極めて重要である。
一般式(I)〜(IX)で表される化合物又はその塩若しくは水和物の投与量は、症状、年齢、性別、投与法、剤形等により異なるが、通常の場合には、成人に対し1日当たり0.1〜1000mgの範囲内、好ましくは1〜400mgを1日当たり1回又は数回に分けて連日投与するのが好ましい。
本発明の医薬は、通常の製剤技術により、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤、若しくはシロップ剤として経口的に、又は注射剤若しくは点耳剤等として非経口的に投与することができる。
製剤化については、固形剤の場合には、製剤化に際して薬理学的に認容し得る賦形剤、例えば、澱粉、乳糖、精製白糖、グルコース、結晶セルロース、カルボキシセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、及び/又はアラビアゴム等を用いることができ、必要であれば、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、被覆剤、及び/又は着色剤等を配合することができる。また、液剤の場合には、安定剤、溶解助剤、懸濁化剤、乳化剤、緩衝剤、及び/又は保存剤等を用いることができる。
本発明の医薬には、その有効成分たる一般式(I)〜(IX)で表わされる化合物又はその塩若しくは水和物に加えて、更に、ムスカリン受容体刺激薬、コリンエステラーゼ阻害薬、α1受容体遮断薬、及びプロスタノイド受容体アゴニストより選ばれる1種以上の他の医薬を組み合わせることができる。これら他の医薬は、一般式(I)〜(IX)で表わされる化合物又はその塩若しくは水和物と同時に投与してもよく、また、時間差を置いて分けて投与してもよい。
前記他の医薬と組み合わせた本発明の医薬の形態としては、一般式(I)〜(IX)で表わされる化合物又はその塩若しくは水和物と前記他の医薬との両成分を共に含有する単一製剤(いわゆる配合剤)とする形態と、前記他の医薬と一般式(I)〜(IX)で表わされる化合物又はその塩若しくは水和物とを別々の製剤とする形態がある。後者の形態としては、好ましくは、前記他の医薬の製剤と一般式(I)〜(IX)で表わされる化合物又はその塩若しくは水和物の製剤とを単一包装中に含む組み合わせキット製剤が挙げられる。
本発明の医薬と組み合わせる他の医薬の投与量は、それぞれの薬物の定められた投与量に従えばよい。例えば、ムスカリン受容体刺激薬の場合は、通常、成人に対し1日あたり10〜400mgの範囲内で投与、コリンエステラーゼ阻害薬の場合は、通常、成人に対し1日あたり0.5〜200mgの範囲内で投与、α1受容体遮断薬の場合は、通常、成人に対し1日あたり0.1〜200mgの範囲内で投与、プロスタノイド受容体アゴニストの場合は、通常、成人に対し1日あたり1ng〜100mgの範囲内で投与する。
次に、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
試験例:低活動膀胱モデルラットの作製及び排尿機能評価
[試験方法]
Wistar系ラット(メス、8週齢、各群6〜9例、日本エスエルシー株式会社)にソムノペンチル40mg/kg腹腔内投与により麻酔をかけた後に下腹部の正中切開を行った。顕微鏡下で両側の内腸骨動脈を露出し、縫合糸にて両側とも内腸骨動脈を二重結紮した後に、切開した傷口を縫合した(内腸骨動脈結紮虚血モデルの作製)。また、同時に正常動物群として、ラットに開腹、縫合のみの偽手術を行った群(Sham)を設定した。
[試験方法]
Wistar系ラット(メス、8週齢、各群6〜9例、日本エスエルシー株式会社)にソムノペンチル40mg/kg腹腔内投与により麻酔をかけた後に下腹部の正中切開を行った。顕微鏡下で両側の内腸骨動脈を露出し、縫合糸にて両側とも内腸骨動脈を二重結紮した後に、切開した傷口を縫合した(内腸骨動脈結紮虚血モデルの作製)。また、同時に正常動物群として、ラットに開腹、縫合のみの偽手術を行った群(Sham)を設定した。
手術翌日より、アナグリプチンを0.3%の濃度で4週間、混餌投与した(ベース飼料はCE-2;日本クレア株式会社、摂餌量から求めた体重あたりの投与量は約250mg/kg/day)。なお、sham群には、モデル作製後翌日からも引き続き、薬物未添加CE-2を4週間与えた。投与開始4週間後に、再びラットの3%イソフルランによる吸入麻酔及び正中切開を行い、膀胱を露出した。膀胱頂部に注射針で穴をあけ、生理食塩水で満たしたカニューレ(PE-50、日本BD)を挿入後、縫合糸で固定した。カニューレは下腹部から皮下を通し首の後ろから体外に出し、圧トランスデューサー及びシリンジポンプに繋ぎ、注入路とした。ラットを固定器に入れ覚醒するまで十分な時間を置き、覚醒下で膀胱内に生理食塩水を80μL/minの速度で注入し、膀胱内圧を連続測定した。
[結果及び考察]
結果を、図1に示す。病態対照群(Ligation)では、偽手術群(Sham)に比べ、排尿間隔が延長し、低活動膀胱様症状が認められた。一方、アナグリプチンの投与は、膀胱基線圧、排尿閾値及び最大膀胱内圧に影響を与えなかったが、排尿間隔(次の排尿までの時間)は病態モデルに比べ有意に減少した。このことはアナグリプチンが低活動膀胱によっておこる排尿間隔の延長を改善したことを示している。従って、アナグリプチンは、低活動膀胱の予防及び/又は治療薬として有用であることを示している。
結果を、図1に示す。病態対照群(Ligation)では、偽手術群(Sham)に比べ、排尿間隔が延長し、低活動膀胱様症状が認められた。一方、アナグリプチンの投与は、膀胱基線圧、排尿閾値及び最大膀胱内圧に影響を与えなかったが、排尿間隔(次の排尿までの時間)は病態モデルに比べ有意に減少した。このことはアナグリプチンが低活動膀胱によっておこる排尿間隔の延長を改善したことを示している。従って、アナグリプチンは、低活動膀胱の予防及び/又は治療薬として有用であることを示している。
Claims (13)
- 下記一般式(I)で表される化合物又はその塩を有効成分として含有する、低活動膀胱における、延長した排尿間隔の改善に用いる医薬。
- 前記有効成分が、N-[2-({2-[(2S)-2-シアノピロリジン-1-イル]-2-オキソエチル}アミノ)-2-メチルプロピル]-2-メチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-6-カルボキサミド又はその塩である、請求項1に記載の医薬。
- 前記有効成分がアナグリプチンである、請求項1に記載の医薬。
- 前記低活動膀胱が、神経性疾患に伴うものである、請求項1〜3のいずれか1つに記載の医薬。
- 前記神経性疾患が、末梢神経疾患、脊髄疾患、及び大脳疾患からなる群から選択される、請求項4に記載の医薬。
- 前記抹消神経疾患が、糖尿病性神経症、骨盤内手術、及びアルコール中毒症である、請求項5に記載の医薬。
- 前記脊髄疾患が、脊髄損傷、頸椎症、二分脊椎、脊椎腫瘍、脊髄小脳変性症、腰部脊柱管狭窄症、及び椎間板ヘルニアからなる群から選択される、請求項5に記載の医薬。
- 前記大脳疾患が、脳卒中、脳髄膜炎、認知症、パーキンソン病、多発性硬化症、及び頭部外傷からなる群から選択される、請求項5に記載の医薬。
- 前記骨盤内手術が、根治的子宮摘除及び直腸がん根治手術からなる群から選択される、請求項6に記載の医薬。
- 前記低活動膀胱が、非神経性疾患に伴うものである、請求項1〜3のいずれか1つに記載の医薬
- 前記非神経性疾患が、前立腺肥大症による下部尿路閉塞及び薬剤性・加齢性疾患からなる群から選択される、請求項10に記載の医薬
- 更に、ムスカリン受容体刺激薬、コリンエステラーゼ阻害薬、α1受容体遮断薬、及びプロスタノイド受容体アゴニストからなる群より選ばれる1種以上を組み合わせて含有する、請求項1〜11のいずれか1つに記載の医薬。
- ムスカリン受容体刺激薬、コリンエステラーゼ阻害薬、α1受容体遮断薬、及びプロスタノイド受容体アゴニストからなる群より選ばれる1種以上の医薬と併用で投与されるように用いられる、請求項1〜11のいずれか1つに記載の医薬。
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A80 | Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80 Effective date: 20160921 |