JP2006076907A - カルボン酸環状エステルの製造方法 - Google Patents

カルボン酸環状エステルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、高い生産性を維持すると同時に、触媒活性低下を抑制するカルボン酸環状エステル類の製造方法を提供するものである。
【解決手段】本発明は、炭素数5以上のオレフィン類とカルボン酸類とを触媒の存在下、液相にて反応させて該カルボン酸環状エステル類を製造する方法において、反応を通して反応液中の総ケトン類濃度を使用する触媒に対し10モル%未満の含有量とすることを特徴とするカルボン酸環状エステルの製造方法に関するものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、カルボン酸環状エステルの製造方法に関する。
従来、オレフィン類とカルボン酸類から相当するカルボン酸エステル類を製造する方法はよく知られている。この反応の触媒としては酸触媒が有効であり、例えば特許文献1等に、硫酸、強酸性イオン交換樹脂、ゼオライト、ヘテロポリ酸触媒等が提案されているが、比較的高収率でカルボン酸エステル類を製造できるヘテロポリ酸触媒以外の触媒系では、触媒活性が極めて低いため工業的な生産は困難であった。
比較的高収率でカルボン酸エステル類を製造する方法として、特許文献2ではタングステン系のヘテロポリ酸のセシウム、ルビジウム、タリウム、アンモニウム塩を触媒として用いることを提案している。
しかしながら、特許文献2にも記載があるように炭素数5以上のオレフィンを用いた場合には触媒寿命が著しく短くなる。その上炭素数5以上のオレフィンを液相で反応させる場合の触媒活性低下抑制に関しての記載は特許文献2には全く言及されていない。
触媒活性低下に関して特許文献3では、低級オレフィンおよび飽和低級脂肪族カルボン酸を蒸気相中でヘテロポリ酸触媒に接触させ低級脂肪酸エステルを製造する際に、原料供給物中のアルデヒド不純物を実質的に無いようにすることにより触媒失活を抑制する記載がある。つまり酢酸とエチレンの系では極微量原料中に含有されるアセトアルデヒドが触媒毒となるため、アセトアルデヒドを除去することで触媒活性低下を抑制している。しかしながら本願のように、炭素数5以上のオレフィンを用い液相中で反応させる場合、実質的にアルデヒド類は生成しないことや、特許文献3の蒸気相反応に比べ本願の液相反応では反応基質であるオレフィンの濃度が高くなるため、特許文献3で考えられる触媒活性低下機構とは本質的に異なるため、同様の手法では触媒活性低下を抑制することはできなかった。
特開昭56−30334号 特開平4−139149号 特開平11−263748号
本発明の主な目的は、炭素数5以上のオレフィン類とカルボン酸類とを触媒の存在下、液相にて反応させて該カルボン酸エステル類を製造する方法において、高い生産性を維持すると同時に、触媒活性低下を抑制するカルボン酸環状エステル類の製造方法を提供することにある。
本発明者は、炭素数5以上のオレフィン類とカルボン酸類とを触媒の存在下、液相にて反応させて該カルボン酸環状エステル類を製造する方法において、反応を通して反応液中の総ケトン類濃度を使用する触媒に含まれる水素原子量に対し10モル%未満の含有量とすることにより、上記目的を達成できることを見出した。
すなわち、本発明は、下記に示すカルボン酸環状エステル類の製造方法に係る。
1)炭素数5以上のオレフィン類とカルボン酸類とを触媒の存在下、液相にて反応させて該カルボン酸環状エステル類を製造する方法において、原料供給液中の総ケトン類濃度が使用する触媒に含まれる水素原子量に対し、20モル%未満の含有量とすることを特徴とするカルボン酸環状エステル類の製造方法。
2)炭素数5以上のオレフィン類とカルボン酸類とを触媒の存在下、液相にて反応させて該カルボン酸環状エステル類を製造する方法において、反応後液中の総ケトン類濃度が使用する触媒に含まれる水素原子量に対し、20モル%未満の含有量とすることを特徴とするカルボン酸環状エステル類の製造方法。
3)炭素数5以上のオレフィン類とカルボン酸類とを触媒の存在下、液相にて反応させて該カルボン酸環状エステル類を製造する方法において、リサイクルされる反応原料中の総ケトン類濃度が、使用する触媒に含まれる水素原子量に対し20モル%未満の含有量となることを特徴とするカルボン酸環状エステル類の製造方法。
4)炭素数5以上のオレフィン類とカルボン酸類とを触媒の存在下、液相にて反応させて該カルボン酸環状エステル類を製造する方法において、酸素濃度5%未満の含酸素ガスの存在下反応させることを特徴とする上記1)記載のカルボン酸環状エステル類の製造方法。
5)反応中のケトン類生成抑制を目的に、ラジカル禁止剤の存在下反応させることを特徴とする上記1)記載の製造方法。
6)炭素数5以上のオレフィン類とカルボン酸類とを触媒の存在下、液相にて反応させて該カルボン酸環状エステル類を製造する方法において、ケトン類を除去する工程を含むことを特徴とするカルボン酸環状エステル類の製造方法。
7)ケトン類を除去する工程が、触媒と接触させる前に反応原料もしくは反応リサイクル原料を蒸留精製する工程であることを特徴とする上記6)記載の製造方法。
8)ケトン類を除去する工程が、触媒と接触させる前に反応原料もしくは反応リサイクル原料を吸着剤によるケトン類除去処理工程であることを特徴とする上記6)記載の製造方法。
9)ケトン類を除去する工程が、ケトン類と複合体を形成する物質の存在下反応を行うことを特徴とする上記6)記載の製造方法。
本発明カルボン酸環状エステル類の製造方法は、炭素数5以上のオレフィン類とカルボン酸類とを触媒の存在下、液相にて反応させることであって、反応を通して反応液中の総ケトン類濃度を使用する触媒に含まれる水素原子量に対し20モル%未満の含有量とすることを特徴とする。
炭素数5以上のオレフィン、カルボン酸、カルボン酸エステル
本発明は、炭素数5以上のオレフィン類とカルボン酸類との反応により、相当するカルボン酸環状エステル類を製造するものである。
炭素数5以上のオレフィン類としては、例えばシクロペンテン、シクロペンタジエン,シクロヘキセン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロデセン等の単環オレフィン類、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン等の多環オレフィン類、カンフェン、α−ピネン、β−ピネン、サンテン等のモノテルペノイド類等が挙げられる。
この中でも、シクロヘキセン、シクロペンテン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、カンフェン、α−ピネンの少なくとも1種が特に好ましい。
カルボン酸類としては、炭素数2〜12カルボン酸類が挙げられる。この中でも、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、アクリル酸、メタクリル酸(以下の記載において、「(メタ)アクリル酸」という記載は、アクリル酸及びメタクリル酸を示す。)、オクチル酸等の脂肪族カルボン酸の他、安息香酸等の芳香族カルボン酸が好ましく。特に好ましくは、酢酸、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種類が好ましい。
生成物であるカルボン酸環状エステルとしては、原料として用いられるオレフィンとカルボン酸との組み合わせによって決定される。例えば、酢酸とシクロペンテンから酢酸シクロペンチルが得られ、(メタ)アクリル酸とシクロヘキセンからは、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルが得られ、(メタ)アクリル酸とカンフェンまたはα−ピネンからは(メタ)アクリル酸イソボロニルが得られ、(メタ)アクリル酸とジシクロペンタジエンからは(メタ)アクリル酸ジシクロペンテン及びジ(メタ)アクリル酸ジシクロペンタンが得られる。
ケトン類
本発明は、炭素数5以上のオレフィン類とカルボン酸類との反応により、相当するカルボン酸環状エステル類を製造するものであり、系中に存在するケトン類の濃度を限定することによって触媒活性低下を抑制することができる。
ケトン類とは、分子内にカルボニル結合を有する二級炭素を持つ化合物である。本反応においては、原料として用いられるオレフィン由来の化合物であり、原料オレフィンの種類によって決定される。例えば、シクロペンテノン、シクロヘキセノン、シクロヘキサノン、ジシクロペンテノン、シクロペンタノン、ジシクロペンタノン、カンファー等の化合物が挙げられる。
上記ケトンより選ばれるケトン類について、原料供給液中に含有されるケトン類の総量は、使用する触媒に含まれる水素原子量に対し、20モル%未満の範囲の含有量である。好ましくは、15モル%未満であり、10モル%未満であることが特に好ましい。
また上記ケトン類は反応条件によっては反応中に生成することも考えられる。この場合の反応液中に含有されるケトン類の総量は、使用する触媒に含まれる水素原子量に対し、20モル%未満の範囲の含有量である。好ましくは、15モル%未満であり、10モル%未満であることが特に好ましい。
本発明において反応方式によっては原料オレフィン類やカルボン酸類をリサイクルする場合もある。原料をリサイクルする場合のリサイクルされる反応原料中の総ケトン類の総量は、使用する触媒に含まれる水素原子量に対し、20モル%未満の範囲の含有量である。好ましくは、15モル%未満であり、10モル%未満であることが特に好ましい。
触媒
本発明では酸触媒を用いる。例えば、イオン交換樹脂、ゼオライト、アルミノシリケート、ナフィオン、硫酸化ジルコニア、タングステン酸−ジルコニア、ヘテロポリ酸もしくはヘテロポリ酸の塩等の不均一系酸触媒、硫酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸等の均一系酸触媒等が挙げられる。このうち好ましくはヘテロポリ酸もしくはヘテロポリ酸の塩が好ましく、リンタングステン酸、ケイタングステン酸、リンタングステン酸のカリウム、セシウム、アンモニウム、ルビジウム、タリウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の塩、ケイタングステン酸のカリウム、セシウム、アンモニウム、ルビジウム、タリウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の塩が特に好ましい。
ヘテロポリ酸もしくはヘテロポリ酸の塩は、必要であれば表面積の大きな化合物に固定化されていてもよく、この表面積の大きな化合物は、従来から触媒担体として使用されているものを用いることができ、例えば、活性炭、黒鉛等の炭素材料やシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ−アルミナ、ゼオライト、メソポーラスシリケート等の無機(複合)酸化物、粘土、珪藻土、軽石等の天然鉱物の各種担体を挙げることができ、この中では活性炭、無機(複合)酸化物が好ましい。
上記無機(複合)酸化物は、多孔質であることが好ましく、特にその比表面積(BET法)が50m/g以上のものが好ましく、100m/g以上程度であることがより好ましく、100〜800m/g程度のものが特に好ましい。担体の形状・大きさは限定的ではなく、最終製品の用途等に応じて適宜決定すれば良い。
触媒を上記担体に固定化する場合、その担持法は担体上に触媒を固定化できる方法であれば特に限定されない。担持方法自体は、例えば、含浸法、気相蒸着法、沈殿法等の公知の方法を採用できるが、含浸法がその中でも好ましい。含浸法により触媒を固定化する場合、触媒を含む溶液と無機酸化物担体を混合し、溶媒を蒸発やろ過等により除去すれば良い。回収された固形分は乾燥処理や高温で焼成処理を行っても良い。
反応条件
反応条件としては、目的とするカルボン酸エステルの種類に応じて、反応基質、触媒等を選択し、それらの種類に応じて反応条件を設定できるが,反応条件自体は公知の各反応条件に従って実施すればよい。
例えば、反応形態は、連続式、回分式、半回分式のいずれであってもよく、特に限定されるものではない。触媒は、反応形態として例えば回分式や半回分式を採用する場合には、反応装置と共に一括して仕込めば良く、また、反応形態として例えば連続式を採用する場合には、反応装置に予め充填しておくか、あるいは、反応装置に原料と共に連続的に仕込めば良い。従って、触媒は、固定床、流動床、懸濁床の何れの形態で使用しても良い。
原料として用いるオレフィン類及びカルボン酸類の使用量は、オレフィン類やカルボン酸類の種類によって限定されるものではない。1回の反応において使用するオレフィン類に対するカルボン酸類のモル比は特に限定されるものではないが、0.01〜100程度が好ましく、0.1〜10が特に好ましい。
使用するオレフィン類やカルボン酸類に対する触媒の使用量は、オレフィン類やカルボン酸類の種類や組み合わせ、触媒の種類、反応条件に応じて設定すれば良い。例えば固定床の場合には、単位時間当たり、単位触媒体積当たりの原料液の供給速度として、0.01〜100h−1程度とすることが好ましい。また、例えば懸濁床の場合には、反応液であるオレフィン類とカルボン酸類の総量100重量部に対して、触媒量を0.001〜30重量部程度使用することが好ましい。
反応温度や反応圧力、反応時間等の反応条件は、オレフィン類やカルボン酸類の種類や組み合わせ、触媒の種類に応じて設定すれば良い。反応温度は、用いる基質が反応時に液状を維持できる範囲が好ましく、一般には、例えば、40〜200℃の範囲が好ましく、40〜120℃の範囲がより好ましい。
反応圧力は、減圧、常圧(大気圧)、加圧のいずれであっても良いが、常圧で反応させることがより好ましい。反応雰囲気は、窒素、酸素、空気等、単独または混合ガスを用いることができ特に限定されないが、用いる基質の重合を防止する目的等では、酸素を含有するガスを用いることもある。
本反応は気相反応及び液相反応のいずれの反応形態をとることもできるが、炭素数5以上のオレフィン類を反応させるため、液相反応が好ましい。液相反応の場合、特に反応が激しすぎる場合など、反応速度を下げることを目的として、反応に関係の無い溶媒を用いることも可能である。溶媒としては、使用するオレフィン類やカルボン酸類の組み合わせや反応条件などに応じて設定すれば良いが、例えば、酢酸エステル類や生成物であるカルボン酸エステル等のカルボン酸エステル類、アルコール類、炭化水素類等が採用できる。この中でも生成物であるカルボン酸エステル類が特に好ましい。
本反応は用いる原料カルボン酸や生成物カルボン酸エステルがラジカル重合性物質である場合、重合を抑制するために、重合禁止剤の存在下で反応させることができる。用いる重合禁止剤は、使用するカルボン酸類や生成物のカルボン酸エステルの種類や反応条件などに応じて設定すれば良いが、例えば、リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル等のアルキルリン酸塩、リン酸ジフェニル等のアリールリン酸塩、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル等の亜リン酸塩、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィン等のホスフィン類、トリメチルホスフィンオキサイド、トリエチルホスフィンオキサイド等のアルキルホスフィンオキサイド、商品名「アデカスタブ2112」(旭電化製)、商品名「HCA」(三光製)、商品名「アデカスタブPEP−8」(旭電化製)、商品名「アデカスタブ260」(旭電化製)、商品名「アデカスタブ3010」(旭電化製)、商品名「アデカスタブHP−10」(旭電化製)、商品名「アデカスタブ329K」(旭電化製)、商品名「アデカスタブPEP−24G」(旭電化製)、商品名「IRGAFOS168」(Ciba製)等等のリン化合物;ノニルフェノール、モノ−t−ブチル−p−クレゾール、モノ−t−ブチル−m−クレゾール、2,4−ジメチル−6−t−ブチル−フェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチル−フェノール、メトキノン(MEQ)、グアヤコール、3−メトキシフェノール、ヒドロキノン(HQ)、メチルヒドロキノン、t-ブチルヒドロキノン、カテコール、4−メチルカテコール、4−t−ブチルカテコール(TBC)、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、プロピルガレート、商品名「スミライザーGM」(住友化学製)、商品名「スミライザーGS」(住友化学製)、商品名「IRGANOX1222」(Ciba製)等のフェノール系化合物; 商品名「スミライザーTPL−R」(住友化学製)、商品名「スミライザーTPS」(住友化学製)、商品名「スミライザーTPD」(住友化学製)等の有機硫黄系化合物;商品名「IRGANOXHP2225FF」(Ciba製)、商品名「IRGANOXHP2341」(Ciba製)、商品名「IRGANOXHP2921FF」(Ciba製)等のラクトン系化合物(混合品);ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸銅等の金属錯体;フェニル−α−ナフチルアミン、N,N'-ジフェニル−p−フェニレンジアミン、4,4−テトラメチルジアミノジフェニルアミン、ピペリジン、2,6−ジメチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TEMP)、ピペリジノオキシ フリーラジカル、2,6−ジメチルピペリジノ フリーラジカル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ フリーラジカル(TEMPO)、商品名「CXA5415」(Ciba製)、商品名「ZJ705」(Ciba製)等のアミンもしくはN−オキシル化合物;商品名「Q1300」(WAKO試薬)、商品名「Q1301」(WAKO試薬)等のニトロソ化合物が挙げられる。このうち、フェノール化合物及び有機硫黄系化合物、リン化合物、ラクトン系化合物が好ましい。
重合禁止剤の添加量は、使用するカルボン酸類や生成物のカルボン酸エステルの種類や反応条件などに応じて設定すれば良いが、通常、原料の総重量(溶媒を使用する場合は原料及び溶媒の合計重量)に対して、0.0001ppm〜10%程度、好ましくは0.001ppm〜1%程度、より好ましくは0.01ppm〜0.1%程度とすれば良い。
反応終了後は、必要に応じて、ろ過、遠心分離等の公知の触媒分離工程により触媒を分離・回収しても良い。回収された触媒は、必要であれば溶媒洗浄、焼成処理等の処理を行った後、再度反応に使用しても良い。
また反応終了後は、必要に応じて、蒸留、晶析、再結晶等の公知の方法に従って、必要であれば、原料カルボン酸類及びオレフィン類及び生成物であるカルボン酸エステル類及び溶媒を回収しても良い。回収された原料カルボン酸類及びオレフィン類及び溶媒は、必要であれば、再度反応に使用しても良い。
ケトン生成抑制法
本発明は、炭素数5以上のオレフィン類とカルボン酸類との反応により、相当するカルボン酸環状エステル類を製造するものであり、系中に存在するケトン類の濃度を限定することによって触媒活性低下を抑制するものである。従ってケトン類の生成抑制は効果が大きいと考えられる。ケトン類の生成抑制法としては、従来公知な方法を採用すれば良く特に限定されないが、例えば、(1)ラジカル補足剤を反応系に添加する方法、(2)極めて低い酸素濃度の雰囲気で反応を行う方法が挙げられる。
(1)ラジカル補足剤を反応系に添加する方法を行うにあたり、使用できるラジカル補足剤としては、原料として用いられるオレフィンとカルボン酸との組み合わせによって決定され、例えば、リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル等のアルキルリン酸塩、リン酸ジフェニル等のアリールリン酸塩、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル等の亜リン酸塩、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィン等のホスフィン類、トリメチルホスフィンオキサイド、トリエチルホスフィンオキサイド等のアルキルホスフィンオキサイド、商品名「アデカスタブ2112」(旭電化製)、商品名「HCA」(三光製)、商品名「アデカスタブPEP−8」(旭電化製)、商品名「アデカスタブ260」(旭電化製)、商品名「アデカスタブ3010」(旭電化製)、商品名「アデカスタブHP−10」(旭電化製)、商品名「アデカスタブ329K」(旭電化製)、商品名「アデカスタブPEP−24G」(旭電化製)、商品名「IRGAFOS168」(Ciba製)等等のリン化合物;ノニルフェノール、モノ−t−ブチル−p−クレゾール、モノ−t−ブチル−m−クレゾール、2,4−ジメチル−6−t−ブチル−フェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチル−フェノール、メトキノン(MEQ)、グアヤコール、3−メトキシフェノール、ヒドロキノン(HQ)、メチルヒドロキノン、t-ブチルヒドロキノン、カテコール、4−メチルカテコール、4−t−ブチルカテコール(TBC)、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、プロピルガレート、商品名「スミライザーGM」(住友化学製)、商品名「スミライザーGS」(住友化学製)、商品名「IRGANOX1222」(Ciba製)等のフェノール系化合物; 商品名「スミライザーTPL−R」(住友化学製)、商品名「スミライザーTPS」(住友化学製)、商品名「スミライザーTPD」(住友化学製)等の有機硫黄系化合物;商品名「IRGANOXHP2225FF」(Ciba製)、商品名「IRGANOXHP2341」(Ciba製)、商品名「IRGANOXHP2921FF」(Ciba製)等のラクトン系化合物(混合品);ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸銅等の金属錯体;フェニル−α−ナフチルアミン、N,N'-ジフェニル−p−フェニレンジアミン、4,4−テトラメチルジアミノジフェニルアミン、ピペリジン、2,6−ジメチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TEMP)、ピペリジノオキシ フリーラジカル、2,6−ジメチルピペリジノ フリーラジカル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ フリーラジカル(TEMPO)、商品名「CXA5415」(Ciba製)、商品名「ZJ705」(Ciba製)等のアミンもしくはN−オキシル化合物;商品名「Q1300」(WAKO試薬)、商品名「Q1301」(WAKO試薬)等のニトロソ化合物が挙げられる。このうち、フェノール化合物及び有機硫黄系化合物、リン化合物、ラクトン系化合物が好ましい。
ラジカル捕捉剤の添加量は、使用するカルボン酸類や生成物のカルボン酸エステルの種類や反応条件などに応じて設定すれば良いが、通常、原料の総重量(溶媒を使用する場合は原料及び溶媒の合計重量)に対して、0.0001ppm〜10%程度、好ましくは0.001ppm〜1%程度、より好ましくは0.01ppm〜0.1%程度とすれば良い。
(2)極めて低い酸素濃度の雰囲気で反応を行う方法も効果がある。反応中の気相部の酸素濃度は、使用するカルボン酸類や生成物のカルボン酸エステルの種類や反応条件などに応じて設定すれば良いが、通常、5%以下の濃度範囲が好ましく、2%以下の濃度範囲がより好ましく、1%以下の濃度範囲であることが特に好ましい。これにより反応中でのケトン類の生成が抑制できる。
上記ケトン類の生成抑制法は、反応中に行っても良く、原料タンクのような保存容器内で行っても良い。
ケトン類除去法
反応中の上記ケトン類の生成抑制だけでなく、原料液や反応液において上記ケトン類を除去することも触媒の活性低下抑制には効果がある。上記ケトン類を除去する方法としては、公知な手法に従ってケトン類を除去すれば良い。このような手法としては、例えば、触媒と接触させる前に(1)蒸留精製、(2)吸着剤による吸着除去、(3)ケトン類と複合体を生成、により上記ケトン類を除去し反応を行えばよい。
(1)蒸留精製としては、通常の蒸留手段を用いることができる。
(2)吸着剤による除去法における吸着剤としては、特に限定されないが、例えば、活性炭、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、ゼオライト、粘土鉱物等が挙げられる。このうち、活性炭、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、ゼオライトが好ましい。
(3)上記ケトン類と複合体を形成させる方法としては、特に限定されないが、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等の無機亜硫酸塩の水溶液と接触させることや、亜硫酸型のイオン交換樹脂を用いて複合体を形成し除去する方法が挙げられる。
製造例1(ヘテロポリ酸セシウム塩触媒調製)
リンタングステン酸40gをイオン交換水200mlに溶解し、室温にて攪拌しながら、炭酸セシウム4.88gをイオン交換水100mlに溶解した水溶液を滴下した。滴下終了後、さらに室温にて1時間攪拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮し、水を除去した。得られた白色個体を120℃で24時間乾燥し、触媒Cs2.50.5PWO40 36.6gを得た(収率95%)。
(実施例1)
環流管付500mlフラスコにメタクリル酸209.6g、重合禁止剤としてメトキノン20mg及び商品名「スミライザーGM」(住友化学製)30mg、製造例1の触媒9g(2.8mmol、水素原子量として1.4mmol)を入れた。液中に窒素を10ml/minで1時間バブリングし、出口酸素濃度が1%以下になったのを確認した後、引き続き窒素バブリングを続けながら、フラスコ内容物を400rpmで攪拌し、70℃に加温、攪拌した。所定温度の70℃に達した後、ケトン類であるシクロヘキセノンが20ppm含有されているシクロヘキセン100g(1.22mol)を4時間かけて滴下し、その後、1時間熟成した。即ちケトン類であるシクロヘキセノン量は、触媒に含有される水素原子量に対し1.5モル%である。
反応後、触媒をろ過により分離した後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析した。その結果、反応後液中にはシクロヘキセノンが6.5ppm検出され、これは仕込み触媒量の1.6モル%に相当した。さらに生成物であるメタクリル酸シクロヘキシルが137.8g(収率67.3モル%)で得られた。
上記反応より回収した触媒(2.7重量%Loss)を用い、上記と同様な条件で再度反応したところ、メタクリル酸シクロヘキシルが136.6g(収率66.7モル%)で得られた。従って1回目と2回目の収率の差は0.6%であった。
以上の結果と触媒回収Lossを考慮すると、系中のケトン類であるシクロヘキセノン濃度を触媒量に対して10モル%以下とすることで、触媒の活性低下は抑制できていることが解った。
(実施例2)
原料基質であるシクロヘキセノン(ケトン類であるシクロヘキセノン2800ppm含有)に、上記製造例と同様に調製したCs2.50.5PWO40を加え、70℃で1時間攪拌加熱処理を行い、さらに単蒸留を行うことでケトン類であるシクロヘキセノンを210ppm含むシクロヘキセンを得た。
上記シクロヘキセノン210ppm含有シクロヘキセンを用いた以外は、実施例1と同様な条件で2回の触媒リサイクル実験を行った。即ちケトン類であるシクロヘキセノン量は、触媒に含有される水素原子量に対し15モル%である。
反応後のケトン類であるシクロヘキセノン濃度は反応液に対して70ppmであり、これは仕込み触媒に含有される水素原子量の16モル%に相当した。さらに生成物であるメタクリル酸シクロヘキシルの1回目と2回目の収率の差は0.9%であり、触媒回収Lossを考慮すると触媒の活性低下は抑制できていることが解った。
(実施例3)
原料基質であるシクロヘキセノン(ケトン類であるシクロヘキセノン2800ppm含有)に、10%亜硫酸ナトリウム水溶液を加え、30分間室温で攪拌後、油水分離によりシクロヘキセノンを含まないシクロヘキセンを得た。
上記シクロヘキセノンを含まないシクロヘキセンを用い、重合禁止剤としてメトキノン20mg及び商品名「アデカスタブ2112」(旭電化製)30mgを仕込んだ以外は、実施例1と同様な条件で2回の触媒リサイクル実験を行ったところ、反応後のケトン類であるシクロヘキセノン濃度は反応液に対して5ppm未満であり、これは仕込み触媒に含有される水素原子量の1.2モル%以下に相当した。さらに生成物であるメタクリル酸シクロヘキシルの1回目と2回目の収率の差は0.5%であり、触媒回収Lossを考慮すると触媒の活性低下は抑制できていることが解った。
(比較例1)
実施例1と同様にシクロヘキセノンが20ppm含有しているシクロヘキセンを用い、窒素バブリングに代えてAirを10ml/minでバブリングし出口酸素濃度を21%とした以外は、実施例1と同様な条件にて2回の触媒リサイクル実験を行った。生成物であるメタクリル酸シクロヘキシルの1回目と2回目の収率の差は6%であり、触媒回収Lossを考慮しても触媒の活性低下は抑制できなかった。
(比較例2)
ケトン類であるシクロヘキセノンを添加することでシクロヘキセノンを500ppm含有するシクロヘキセンを調整し、これを基質として反応に用いた以外は、実施例1と同様な条件にて2回の触媒リサイクル実験を行った。反応後のケトン類であるシクロヘキセノン濃度は反応液に対して160ppmであり、これは仕込み触媒に含有される水素原子量の36モル%に相当した。さらに生成物であるメタクリル酸シクロヘキシルの1回目と2回目の収率の差は2.7%であり、触媒回収Lossを考慮しても触媒の活性低下は抑制できなかった。

Claims (3)

  1. 炭素数5以上のオレフィン類とカルボン酸類とを酸触媒の存在下、液相にて反応させて該カルボン酸環状エステル類を製造する方法において、反応液中のケトン類量を使用する触媒に含まれる水素原子量に対し20モル%未満の含有量とすること、及び/または、酸素濃度5%以下の雰囲気で反応すること、を特徴とするカルボン酸環状エステル類の製造方法。
  2. ケトン類を除去する工程を含むことを特徴とするカルボン酸環状エステル類の製造方法。
  3. 請求項1記載の方法において、さらにケトン類を除去する工程を含むことを特徴とするカルボン酸環状エステル類の製造方法。
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