本発明は、サブミクロンオーダーのゲート長を有する薄膜型トランジスタに関し、高価なリソグラフィー技術を用いることなく、安価かつ高歩留まりに作製することが容易な薄膜型電界効果トランジスタ、薄膜型電界効果トランジスタの製造方法、アクティブマトリクス回路および液晶表示装置に関するものである。
有機材料を用いた従来の薄膜型電界効果トランジスタ(以下、薄膜FET)を例に、薄膜FETの製造方法を、図16によって説明する。
図16(1)に示すように、工程1では、基板101上に、ゲート電極102を形成する。基板101はポリエチレンテレフタレート(PET)やポリイミドなどのプラスチック基板であり、ゲート電極102はリフトオフ法によってパターンニングされたチタン(Ti)/金(Au)積層膜である。
次に、図16(2)に示すように、工程2では、上記基板101の全面に、上記ゲート電極102を被覆するゲート絶縁膜103を成膜する。ゲート絶縁膜103は、例えばスパッタリングにより成膜されたSiO2膜である。続いて、ゲート絶縁膜103の上に、ソース電極104とドレイン電極105とを所定の距離だけ離間して形成する。この所定の距離がゲート長となる。これらの電極の形成は、ゲート電極102と同様に形成することができる。
次に、図16(3)に示すように、工程3では、上記基板101上の全面に、チャネル層106を成膜する。チャネル層106は、例えば、抵抗加熱蒸着法によるペンタセン分子薄膜、もしくは、ポリチオフェンを主成分とする有機半導体薄膜である。
次に、図16(4)に示すように、工程4では、上記チャネル層106上に、レジスト塗布技術およびフォトリソグラフィー技術によって、チャネル領域を被服するようにレジストパターン107を形成する。レジストとしては、例えばポリビニルアルコール(PVA)が使われる。
次に、図16(5)に示すように、工程5では、上記レジストパターン107をエッチングマスクに用いて、上記チャネル層106をエッチングし、素子間分離を行う。このときのエッチングには、例えば酸素(O2)プラズマを用いる。このようにして、ソース電極104とドレイン電極105との間に埋め込まれたチャネル層106の幅がゲート長となる。以上で、薄膜電界効果トランジスタ(薄膜FET)の要部が形成される(例えば、非特許文献1参照。)。
ところで、一般にFETの特性指標としては、伝達利得やドレイン最大電流が重要である。これらは、概ねゲート長が短いほど良好となるので、上記の有機FETにおいては、工程5の図に示したゲート長が短いほど好ましい。例えば、有機FETを画素トランジスタに用いて、液晶ディスプレイのアクティブマトリクス回路を構成する場合、画素の開口率を高めて高コントラストを得るために、有機FETの占有面積はできるだけ小さいことが好ましい。有機FETの占有面積を縮小するには、画素容量の充放電時間の要求を満足するようなチャネルの縦横比(W/L比)を保ったまま、耐圧の許す限り、ゲート長を狭めることが好ましい。
Hagen Klauk, David J.Gundlach, Mathias Bonse, Chung-Chen Kuo, Thomas N.Jackson著 「A reduced complexity process for organic thin film transistors」Applied Physics Letters vol.76 No.13 2000年3月27日 p.1692−1694
解決しようとする問題点は、ゲート長のパターンニングをリソグラフィーで行おうとすると、寸法を縮小するほど、高価な露光装置が必要となり、製造コストが増大する点である。
本発明の薄膜型電界効果トランジスタは、基板上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極を被覆するように前記基板上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたもので、線状のチャネル開口部により分割されたソース・ドレイン電極と、前記チャネル開口部を埋め込むように前記ソース・ドレイン電極上に形成されたチャネル層とを備えたことを最も主要な特徴とする。
本発明の薄膜型電界効果トランジスタの製造方法は、基板上にゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極上にゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート電極上のドレイン電極が形成される領域に犠牲層パターンを形成する工程と、前記犠牲層パターンの側壁部分にそって側壁保護膜を形成する工程と、前記犠牲層パターンを除去する工程と、前記側壁保護膜上方からソース・ドレイン電極材料を堆積して前記ゲート絶縁膜上にソース・ドレイン電極を形成する工程と、前記側壁保護膜および前記側壁保護膜上に堆積されたソース・ドレイン電極材料を除去して前記ソース・ドレイン電極にチャネル開口部を形成する工程と、前記チャネル開口部を埋め込むように前記ソース・ドレイン電極上にチャネル材料層を形成する工程とを備えたことを最も主要な特徴とする。
本発明のアクティブマトリクス回路は、表示装置に用いるアクティブマトリクス回路であって、前記アクティブマトリクス回路に用いられるトランジスタは、基板上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極を被覆するように前記基板上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたもので、線状のチャネル開口部により分割されたソース・ドレイン電極と、前記チャネル開口部を埋め込むように前記ソース・ドレイン電極上に形成されたチャネル層とを備えたことを最も主要な特徴とする。
本発明の液晶表示装置は、アクティブマトリクス回路を有する液晶表示装置であって、前記アクティブマトリクス回路は、基板上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極を被覆するように前記基板上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたもので、線状のチャネル開口部により分割されたソース・ドレイン電極と、前記チャネル開口部を埋め込むように前記ソース・ドレイン電極上に形成されたチャネル層とを備えたことを最も主要な特徴とする。
本発明の薄膜型電界効果トランジスタは、ソース・ドレイン電極を分割する線状のチャネル開口部を埋め込むようにチャネル層が形成されていることから、ゲート長は線状のチャネル開口部の幅となり、狭い幅のゲート長に形成される。したがって、伝達利得やドレイン最大電流値を高めることができ、トランジスタ特性の向上が図れるという利点がある。
本発明の薄膜型電界効果トランジスタの製造方法は、ドレインが形成される領域に設けられた犠牲層パターンの側壁部分にそって側壁保護膜を形成し、犠牲層パターンを除去してから、側壁保護膜上方からソース・ドレイン電極材料を堆積してソース・ドレイン電極を形成するため、側壁保護膜を除去することによってソース・ドレイン電極を分割するように線状のチャネル開口部を形成することができる。しかも、チャネル開口部は、側壁保護膜を除去して形成されるため、側壁保護膜の膜厚によってチャネル開口部の幅を制御することができる。そして、このチャネル開口部にはチャネル層が埋め込まれることから、チャネル開口部の幅を制御することによって、ゲート長を制御することができる。これによりゲート長を狭く制御したトランジスタを形成することが可能になる。よって、サブミクロンオーダーのゲート長を有する高性能の有機FETを、高価なリソグラフィー技術を用いることを最小限にして、安価に歩留まりよく作製できるという利点がある。
本発明のアクティブマトリクス回路は、アクティブマトリクス回路に用いられるトランジスタが本発明の薄膜型電界効果トランジスタであるため、狭い幅のゲート長で形成されるものとなる。したがって、伝達利得やドレイン最大電流値を高めることができ、トランジスタ特性の向上が図れるので、必要なスイッチング性能(オン/オフ比)を得るために必要なトランジスタの占有面積を極めて小さくできるという利点がある。
本発明の液晶表示装置は、アクティブマトリクス回路を有し、そのアクティブマトリクス回路は本発明の薄膜型電界効果トランジスタを有するため、狭い幅のゲート長で形成されるものとなる。したがって、伝達利得やドレイン最大電流値を高めることができ、トランジスタ特性の向上が図れるので、必要なスイッチング性能(オン/オフ比)を得るために必要なトランジスタの占有面積を極めて小さくできるため、1画素当りの開口率を向上させることができ、コントラストの高い液晶ディスプレイを、低いコストで製造することが可能となるという利点がある。
薄膜型電界効果トランジスタのゲート長を狭い幅に形成することで伝達利得やドレイン最大電流値を高めるという目的を、側壁保護膜を利用したリフトオフ法によって、ソース・ドレイン電極に線状のチャネル開口部を形成し、そのチャネル開口部にチャネル層を埋め込むことで、リソグラフィー工程を最小限にして実現した。
本発明の薄膜型電界効果トランジスタに係る第1実施例を、図1(1)のレイアウト図および図1(2)の(1)図中のA−A線拡大断面図によって説明する。
図1に示すように、基板11には、ガラス基板、もしくはポリエチレンテレフタレート(PET)などのプラスチック基板を用いる。この基板11からの汚染物質の拡散を防ぐため、基板11の表面にSiO2膜(図示せず)などの保護膜を形成しておいてもよい。上記基板11上には、ゲート電極12が形成されている。ゲート電極12の材料としては、例えば、アルミニウム、チタン(Ti)/金(Au)積層膜等の金属膜とすることができる。さらに上記基板11上には、上記ゲート電極12を被覆するようにゲート絶縁膜13が形成されている。このゲート絶縁膜13は、スパッタリングや化学的気相成長(CVD)法によって、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(Si3N4)、酸化アルミニウム(Al2O3)といった無機材料により形成されている。もしくは、溶液への浸漬や回転塗布法によってポリビニルピロリドン(PVP)のような有機絶縁膜により形成することもできる。
上記ゲート絶縁膜13のドレイン形成領域に、犠牲層パターン21を形成する。犠牲層パターン21は、例えば、フォトリソグラフィー技術によってパターンニングしたレジスト膜、蒸着とリフトオフによって形成した酸化シリコン(SiO)膜等を用いることができる。
上記ゲート絶縁膜13上にはソース・ドレイン電極14、15が形成されている。ソース・ドレイン電極14、15は、線状のチャネル開口部27により分割されている。ここでは、チャネル開口部27がコ字形状に形成されている。このように、チャネル開口部27がコ字型に形成されることから、ソース・ドレイン電極14、15はコ字型の内部側と外部側との2つに分割されている。上記ソース・ドレイン電極14、15は、金属材料からなり、この金属材料は、チャネル層17と良好なオーミック接触を取れる材料から選択される。例えば、チャネル材料が、ペンタセンやポリチオフェンからなる薄膜である場合、金属材料は金(Au)とする。もしくは金(Au)とゲート絶縁膜13との間に、両者の密着性を改善するような、例えば、チタンやクロムの薄層を挿入しておいてもよい。
また、ソース・ドレイン電極14、15のそれぞれに配線30、31が形成されている。この配線30、31は、ソース・ドレイン電極14、15とオーミック接触する材料の中から選択することができる。例えば、ソース・ドレイン電極14、15が金(Au)である場合、配線30、31は金(Au)、もしくはチタン(Ti)/金(Au)の2層構造とする。
さらに、上記ソース・ドレイン電極14、15上には上記チャネル開口部27を埋め込むようにチャネル層17が形成されている。チャネル層17は、例えば、ペンタセンなどの低分子系半導体を蒸着して形成される。もしくは、ポリチオフェンなどの高分子半導体を、溶液からスピンコート法や浸漬法、あるいはインクジェット法によって、塗付・乾燥させて形成される。以上のようにして、本発明による薄膜型電界効果トランジスタ1の要部が構成されている。
上記線状のチャネル開口部27は、ゲート絶縁膜13のドレイン形成領域上に設けられた犠牲層パターンの側壁にサイドウォール形状の側壁保護膜を形成した後、犠牲層パターンを除去してから側壁保護膜をマスクに用いてゲート絶縁膜13上にソース・ドレイン電極材料を堆積してソース・ドレイン電極14、15を形成し、その後に側壁保護膜を除去して、ソース・ドレイン電極14、15に形成したものからなる。このように、チャネル開口部27はサイドウォール形状に形成された側壁保護膜を除去して形成されることから、側壁保護膜の膜厚によってチャネル開口部27、すなわち、ゲート長を制御することができる。これによりゲート長を狭く制御した薄膜型電界効果トランジスタ1を形成することが可能になる。なお、この詳細な製造方法は、実施例3にて詳述されている。
本発明の薄膜型電界効果トランジスタ1では、ソース・ドレイン電極14、15を分割する線状のチャネル開口部27を埋め込むようにチャネル層17が形成されていることから、ゲート長は線状のチャネル開口部27の幅となる。特に、チャネル開口部27が、通常のサイドウォールを形成する技術によって形成された側壁保護膜をリフトオフ用のマスクに用い、側壁保護膜上方より金属の蒸着、スパッタリング等の堆積技術によってソース・ドレイン電極14、15を形成した後、側壁保護膜を除去することで形成されたものであれば、ソース・ドレイン電極14、15間に側壁保護膜の膜厚で制御された狭い幅のゲート長が構成される。したがって、伝達利得やドレイン最大電流値を高めることができ、トランジスタ特性の向上が図れる。
本発明の薄膜型電界効果トランジスタに係る第2実施例を、図2(1)のレイアウト図および図2(2)の(1)図中のB−B線拡大断面図によって説明する。
図2に示すように、基板11には、ガラス基板、もしくはポリエチレンテレフタレート(PET)などのプラスチック基板を用いる。この基板11からの汚染物質の拡散を防ぐため、基板11の表面にSiO2膜(図示せず)などの保護膜を形成しておいてもよい。上記基板11上には、ゲート電極12が形成されている。ゲート電極12の材料としては、例えば、アルミニウム、チタン(Ti)/金(Au)積層膜等の金属膜とすることができる。さらに上記基板11上には、上記ゲート電極12を被覆するようにゲート絶縁膜13が形成されている。このゲート絶縁膜13は、スパッタリングや化学的気相成長(CVD)法によって、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(Si3N4)、酸化アルミニウム(Al2O3)といった無機材料により形成されている。もしくは、溶液への浸漬や回転塗布法によってポリビニルピロリドン(PVP)のような有機絶縁膜により形成することもできる。
上記ゲート絶縁膜13のドレイン形成領域に、犠牲層パターン21を形成する。犠牲層パターン21は、例えば、フォトリソグラフィー技術によってパターンニングしたレジスト膜、スパッタリングとリフトオフによって形成した酸化シリコン(SiO)膜等を用いることができる。
上記ゲート絶縁膜13上にはソース・ドレイン電極14、15、16が形成されている。ソース・ドレイン電極14、15、16は、線状のチャネル開口部27a、27bにより分割されている。ここでは、チャネル開口部27a、27bが平行な線状に形成されている。このように、チャネル開口部が平行な線状、例えばn本(nは2以上の自然数、以下同じ)の線状に形成されているならば、ソース・ドレイン電極は(n+1)に分割される。これにより共通のソース・ドレイン電極を有するn個のトランジスタを形成することが可能になる。なお、図面では、一例として、2本のチャネル開口部27a、27bが平行に形成されている場合を示した。上記ソース・ドレイン電極14、15、16は、金属材料からなり、この金属材料は、チャネル層17と良好なオーミック接触を取れる材料から選択される。例えば、チャネル材料が、ペンタセンやポリチオフェンからなる薄膜である場合、金属材料は金(Au)とする。もしくは金(Au)とゲート絶縁膜13との間に、両者の密着性を改善するような、例えば、チタンやクロムの薄層を挿入しておいてもよい。
また、ソース・ドレイン電極14、16のそれぞれに配線30、31が形成されている。この配線30、31は、ソース・ドレイン電極14、16とオーミック接触する材料の中から選択することができる。例えば、ソース・ドレイン電極14、16が金(Au)である場合、配線30、31は金(Au)、もしくはチタン(Ti)/金(Au)の2層構造とする。
さらに、上記ソース・ドレイン電極14、15、16上には上記チャネル開口部27a、27bを埋め込むようにチャネル層17が形成されている。チャネル層17は、例えば、ペンタセンなどの低分子系半導体を蒸着して形成される。もしくは、ポリチオフェンなどの高分子半導体を、溶液からスピンコート法や浸漬法によって、塗付・乾燥させて形成される。以上のようにして、本発明による薄膜型電界効果トランジスタ1の要部が構成されている。
上記線状のチャネル開口部27a、27bは、ゲート絶縁膜13のドレイン形成領域上に設けられた犠牲層パターンの側壁にサイドウォール形状の側壁保護膜を形成した後、犠牲層パターンを除去してから側壁保護膜をマスクに用いてゲート絶縁膜13上にソース・ドレイン電極材料を堆積してソース・ドレイン電極14、15、16を形成し、その後に側壁保護膜を除去して、ソース・ドレイン電極14、15、16に形成したものからなる。このように、チャネル開口部27a、27bはサイドウォール形状に形成された側壁保護膜を除去して形成されることから、側壁保護膜の膜厚によってチャネル開口部27a、27b、すなわち、ゲート長を制御することができる。これによりゲート長を狭く制御した薄膜型電界効果トランジスタ2、3を形成することが可能になる。なお、この詳細な製造方法は、実施例4にて詳述されている。
本発明の薄膜型電界効果トランジスタ2、3では、ソース・ドレイン電極14、15、16を分割する線状のチャネル開口部27a、27bを埋め込むようにチャネル層17が形成されていることから、ゲート長は線状のチャネル開口部27a、27bの幅となる。特に、チャネル開口部27a、27bが、通常のサイドウォールを形成する技術によって形成された側壁保護膜をリフトオフ用のマスクに用い、側壁保護膜上方より金属の蒸着、スパッタリング等の堆積技術によってソース・ドレイン電極14、15、16を形成した後、側壁保護膜を除去することで形成されたものであれば、ソース・ドレイン電極14、15、16間に側壁保護膜の膜厚で制御された狭い幅のゲート長が構成される。したがって、伝達利得やドレイン最大電流値を高めることができ、トランジスタ特性の向上が図れる。
本発明の薄膜型電界効果トランジスタの製造方法に係る第1実施例を、図3〜図5の製造工程図によって説明する。図3〜図5の各左図には断面図を示し、右図にはレイアウト図を示した。
図3(1)に示すように、工程1は、基板11は、ガラス基板、もしくはポリエチレンテレフタレート(PET)などのプラスチック基板とする。基板11からの汚染物質の拡散を防ぐため、基板11の表面にSiO2膜(図示せず)をスパッタリングなどで堆積しておいてもよい。
次に、図3(2)に示すように、工程2を行う。工程2は、上記基板11上に、ゲート電極12を形成する。ゲート電極12の材料としては、例えば、アルミニウム、チタン(Ti)/金(Au)積層膜等の金属膜とすることができる。この成膜方法としては、例えば、抵抗加熱蒸着や電子線加熱蒸着、もしくはスパッタリングを使用することができる。ゲート電極12のパターンニングは、フォトリソグラフィー技術により形成したレジスト膜を用いたリフトオフ法、もしくは、エッチングマスクを用いた反応性イオンエッチングや燐酸などを使った溶液エッチングによって行うことができる。上記ゲート電極12を被覆するように、上記基板11上にゲート絶縁膜13を形成する。このゲート絶縁膜13は、スパッタリングや化学的気相成長(CVD)法によって、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(Si3N4)、酸化アルミニウム(Al2O3)といった無機材料により形成される。もしくは、溶液への浸漬や回転塗布法によってポリビニルピロリドン(PVP)のような有機絶縁膜を成膜してもよい。
次に、図3(3)に示すように、工程3を行う。工程3は、上記ゲート絶縁膜13のドレイン形成領域に、犠牲層パターン21を形成する。犠牲層パターン21は、例えば、フォトリソグラフィー技術によってパターンニングしたレジスト膜、スパッタリングとリフトオフによって形成した酸化シリコン(SiO)膜等を用いることができる。
次に、図3(4)に示すように、工程4を行う。この工程4は、上記犠牲層パターン21の上面および側面を被覆するように犠牲層22を均一な厚さに形成する。犠牲層22の材料は、犠牲層パターン21との選択エッチングが可能な材料から選択する。例えば、犠牲層パターン21をレジスト膜とした場合、犠牲層22は、常温CVD法もしくはスパッタ蒸着法で成膜したSiO2膜とすることができる。
次に、図4(5)に示すように、工程5を行う。この工程5は、犠牲層22を垂直性の高い異方性エッチングにてエッチングし、犠牲層パターン21の側面に付着した犠牲層22部分(側壁保護膜)を残して除去し、犠牲層パターン21の上面を露出させる。異方性エッチングは、犠牲層22がSiO2であれば、例えばCF4を反応ガスとした反応性イオンエッチングによって行うことができる。この結果、犠牲層パターン21の側壁部分に犠牲層22からなる側壁保護膜23が形成される。
次に、図4(6)に示すように、工程6を行う。この工程6は、犠牲層パターン21〔前記図4(5)参照〕を、その上面からエッチングして除去し、側壁保護膜23のみをゲート絶縁膜13上に残す。犠牲層パターン21のエッチングは、犠牲層パターン21がレジストであれば剥離液か、アセトンなどの有機溶媒への浸漬によって行うことができる。この結果、ゲート絶縁膜13上に平面的にみて矩形状に囲む側壁保護膜23が形成された。
次に、図4(7)に示すように、工程7を行う。この工程7は、基板11(ゲート絶縁膜13)上にレジスト膜24を成膜し、リソグラフィー技術によって、ソース・ドレイン電極のパターンを転写するための開口部25を形成する。このレジスト膜24の厚さは、側壁保護膜23の高さと同等もしくはそれ以上とする。この開口部25は、側壁保護膜23の一部が露出されるように、かつ矩形状に形成された側壁保護膜の1辺側をレジスト膜24で被覆されるように形成される。したがって、開口部25には側壁保護膜23はコ字形状に露出されることになる。ここでは、ネガ型のレジストを用いて、レジスト膜24の断面形状が、いわゆる逆テーパー型となるように、露光・現像条件を選択する。
次に、図4(8)に示すように、工程8を行う。この工程8は、レジスト膜24の上方から、基板11上全面に金属材料26を堆積させる。金属材料26は、後で形成するチャネル層と良好なオーミック接触を取れる材料から選択する。例えば、チャネル材料が、ペンタセンやポリチオフェンからなる薄膜である場合、金属材料26は金(Au)とする。もしくは金(Au)とゲート絶縁膜13との間に、両者の密着性を改善するような、例えば、チタンやクロムの薄層を挿入しておいてもよい。また、金属材料26の堆積厚さは、側壁保護膜23の高さより低くなるようにする。
次に、図5(9)に示すように、工程9を行う。この工程9は、側壁保護膜23〔前記図5(8)参照〕をエッチング除去するとともに、側壁保護膜23上に堆積した金属材料26〔前記図5(8)参照〕も除去する。側壁保護膜23のエッチングは、下地のゲート絶縁膜13との選択比が取れる溶液によって行う。例えば、ゲート絶縁膜13がAl2O3であり、側壁保護膜23がSiO2である場合、エッチング液には、フッ酸を含むエッチング液を使用することができる。これによって、ゲート絶縁膜13上に堆積された金属材料26にチャネル開口部27が形成され、ソース・ドレイン電極14、15が形成される。
次に、図5(10)に示すように、工程10を行う。この工程10は、基板11を有機溶媒に浸漬し、レジスト膜24〔前記図5(9)参照〕を溶解させるとともに、レジスト膜24上に堆積していた金属材料26を除去する。これによって、ゲート絶縁膜13上にはソース・ドレイン電極14、15のみが残される。
次に、図5(11)に示すように、工程11を行う。この工程11は、基板11上をレジスト膜28で被覆し、リソグラフィー技術によって、ソース・ドレイン電極14、15への配線パターンを転写する。次に、蒸着により配線金属29を堆積する。配線金属29は、ソース・ドレイン電極14、15とオーミック接触する材料の中から選択することができる。例えば、ソース・ドレイン電極14、15が金(Au)である場合、配線金属29も金(Au)、もしくはチタン(Ti)/金(Au)の2層構造とする。なお、右図はレジスト膜28を除去した状態である。
次に、図5(12)に示すように、工程12を行う。この工程12は、レジスト膜28〔前記図5(11)参照〕を選択的に除去して、レジスト膜28上の配線金属29をリフトオフする。これによって、ソース・ドレイン電極14、15のそれぞれに接続するもので配線金属29からなる配線30、31が形成される。その後、基板11上にソース・ドレイン電極14、15間のチャネル開口部27を埋め込むようにチャネル層17を形成する。チャネル層17は、例えば、ペンタセンなどの低分子系半導体を蒸着して形成してもよいし、もしくは、ポリチオフェンなどの高分子半導体を、溶液からスピンコート法や浸漬法によって、塗付・乾燥させて形成してもよい。チャネル層17のパターンニングは、蒸着膜であれば、リフトオフ法や酸素を反応ガスとする反応性イオンエッチングによって行うことができる。また、塗布膜であれば、インクジェットによる選択的塗布や、塗布後の反応性イオンエッチングによって行うことができる。以上のようにして、本発明による薄膜型電界効果トランジスタ1の要部が完成する。
本発明の薄膜型電界効果トランジスタの製造方法は、ドレインが形成される領域に設けられた犠牲層パターン21の側壁部分にそって側壁保護膜23を形成し、犠牲層パターン21を除去してから、側壁保護膜23上方からソース・ドレイン電極材料26を堆積してソース・ドレイン電極14、15を形成するため、側壁保護膜23を除去することによってソース・ドレイン電極14、15を分割するように線状のチャネル開口部27を形成することができる。しかも、チャネル開口部27は、側壁保護膜23を除去して形成されるため、側壁保護膜23の膜厚によってチャネル開口部27の幅を制御することができる。そして、このチャネル開口部27にはチャネル層17が埋め込まれることから、チャネル開口部27の幅を制御することによって、ゲート長を制御することができる。これによりゲート長を狭く制御した薄膜型電界効果トランジスタ(薄膜型FET)1を形成することが可能になる。よって、サブミクロンオーダーのゲート長を有する有機材料をチャネル層17に用いた高性能な薄膜型FET1を、高価なリソグラフィー技術を用いることを最小限にして、安価に歩留まりよく作製できるという利点がある。
本発明の薄膜型電界効果トランジスタの製造方法に係る第2実施例を、図6〜図8の製造工程図によって説明する。図6〜図8の各左図には断面図を示し、右図にはレイアウト図を示した。図6〜図8では、一例として、スタック型トランジスタ回路の製造方法を示す。
次に、図6(1)に示すように、工程1は、基板11は、ガラス基板、もしくはポリエチレンテレフタレート(PET)などのプラスチック基板とする。基板11からの汚染物質の拡散を防ぐため、基板11の表面にSiO2膜(図示せず)をスパッタリングなどで堆積しておいてもよい。
次に、図6(2)に示すように、工程2を行う。工程2は、上記基板11上に、ゲート電極12を形成する。ゲート電極12の材料としては、例えば、アルミニウム、チタン(Ti)/金(Au)積層膜等の金属膜とすることができる。この成膜方法としては、例えば、抵抗加熱蒸着や電子線加熱蒸着、もしくはスパッタリングを使用することができる。ゲート電極12のパターンニングは、フォトリソグラフィー技術により形成したレジスト膜を用いたリフトオフ法、もしくは、エッチングマスクを用いた反応性イオンエッチングや燐酸などを使った溶液エッチングによって行うことができる。上記ゲート電極12を被覆するように、上記基板11上にゲート絶縁膜13を形成する。このゲート絶縁膜13は、スパッタリングや化学的気相成長(CVD)法によって、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(Si3N4)、酸化アルミニウム(Al2O3)といった無機材料により形成される。もしくは、溶液への浸漬や回転塗布法によってポリビニルピロリドン(PVP)のような有機絶縁膜を成膜してもよい。
次に、図6(3)に示すように、工程3を行う。工程3は、上記ゲート絶縁膜13のドレイン形成領域に、犠牲層パターン21を形成する。犠牲層パターン21は、例えば、フォトリソグラフィー技術によってパターンニングしたレジスト膜、スパッタリングとリフトオフによって形成した酸化シリコン(SiO)膜等を用いることができる。
次に、図6(4)に示すように、工程4を行う。この工程4は、上記犠牲層パターン21の上面および側面を被覆するように犠牲層22を均一な厚さに形成する。犠牲層22の材料は、犠牲層パターン21との選択エッチングが可能な材料から選択する。例えば、犠牲層パターン21をレジスト膜とした場合、犠牲層22は、常圧CVD法もしくは抵抗加熱蒸着で成膜したSiO2膜とすることができる。
次に、図7(5)に示すように、工程5を行う。この工程5は、犠牲層22を垂直性の高い異方性エッチングにてエッチングし、犠牲層パターン21の側面に付着した犠牲層22部分(側壁保護膜)を残して除去し、犠牲層パターン21の上面を露出させる。異方性エッチングは、犠牲層22がSiO2であれば、例えばCF4を反応ガスとした反応性イオンエッチングによって行うことができる。この結果、犠牲層パターン21の側壁部分に犠牲層22からなる側壁保護膜23が形成される。
次に、図7(6)に示すように、工程6を行う。この工程6は、犠牲層パターン21〔前記図7(5)参照〕を、その上面からエッチングして除去し、側壁保護膜23のみをゲート絶縁膜13上に残す。犠牲層パターン21のエッチングは、犠牲層パターン21がレジストであれば剥離液か、アセトンなどの有機溶媒への浸漬によって行うことができる。この結果、ゲート絶縁膜13上に平面的にみて矩形状に囲む側壁保護膜23が形成された。ここまでの工程は、前記第1実施例の図3(1)〜図4(6)によって説明した工程と同様である。
次に、図7(7)に示すように、工程7を行う。この工程7は、基板11(ゲート絶縁膜13)上にレジスト膜24を成膜し、リソグラフィー技術によって、ソース・ドレイン電極のパターンを転写するための開口部25を形成する。このレジスト膜24の厚さは、側壁保護膜23の高さと同等もしくはそれ以上とする。この開口部25は、側壁保護膜23の対向する2辺が露出されるように、かつ他方の対向する2辺がレジスト膜24で被覆されるように形成される。したがって、開口部25には側壁保護膜23は平行する線状の2辺が露出されることになる。ここでは、ネガ型のレジストを用いて、レジスト膜24の断面形状が、いわゆる逆テーパー型となるように、露光・現像条件を選択する。
次に、図7(8)に示すように、工程8を行う。この工程8は、レジスト膜24の上方から、基板11上全面に金属材料26を堆積させる。金属材料26は、後で形成するチャネル層と良好なオーミック接触を取れる材料から選択する。例えば、チャネル材料が、ペンタセンやポリチオフェンからなる薄膜である場合、金属材料26は金(Au)とする。もしくは金(Au)とゲート絶縁膜13との間に、両者の密着性を改善するような、例えば、チタンやクロムの薄層を挿入しておいてもよい。また、金属材料26の堆積厚さは、側壁保護膜23の高さより低くなるようにする。
次に、図8(9)に示すように、工程9を行う。この工程9は、側壁保護膜23〔前記図8(8)参照〕をエッチング除去するとともに、側壁保護膜23上に堆積した金属材料26〔前記図8(8)参照〕も除去する。側壁保護膜23のエッチングは、下地のゲート絶縁膜13との選択比が取れる溶液によって行う。例えば、ゲート絶縁膜13がAl2O3であり、側壁保護膜23がSiO2である場合、エッチング液には、フッ酸を含むエッチング液を使用することができる。これによって、ゲート絶縁膜13上に堆積された金属材料26にチャネル開口部27a、27bが形成され、ソース・ドレイン電極14、15、16が形成される。
次に、図8(10)に示すように、工程10を行う。この工程10は、基板11を有機溶媒に浸漬し、レジスト膜24〔前記図8(9)参照〕を溶解させるとともに、レジスト膜24上に堆積していた金属材料26〔前記図8(9)参照〕を除去する。これによって、ゲート絶縁膜13上にはソース・ドレイン電極14、15、16のみが残される。
次に、図8(11)に示すように、工程11を行う。この工程11は、基板11上をレジスト膜28で被覆し、リソグラフィー技術によって、ソース・ドレイン電極14、16へ接続される配線の配線パターンをレジスト膜28に転写する。次に、蒸着により配線金属29を堆積する。配線金属29は、ソース・ドレイン電極14、16とオーミック接触する材料の中から選択することができる。例えば、ソース・ドレイン電極14、16が金(Au)である場合、配線金属29も金(Au)、もしくはチタン(Ti)/金(Au)の2層構造とする。
次に、図8(12)に示すように、工程12を行う。この工程12は、レジスト膜28〔前記図5(11)参照〕を選択的に除去して、レジスト膜28上の配線金属29をリフトオフする。これによって、ソース・ドレイン電極14、16のそれぞれに接続するもので配線金属29からなる配線30、31が形成される。その後、基板11上にソース・ドレイン電極14、15、16それぞれの間のチャネル開口部27a、27bを埋め込むようにチャネル層17を形成する。チャネル層17は、例えば、ペンタセンなどの低分子系半導体を蒸着して形成してもよいし、もしくは、ポリチオフェンなどの高分子半導体を、溶液からスピンコート法や浸漬法によって、塗付・乾燥させて形成してもよい。チャネル層17のパターンニングは、蒸着膜であれば、リフトオフ法や酸素を反応ガスとする反応性イオンエッチングによって行うことができる。また、塗布膜であれば、インクジェットによる選択的塗布や、塗布後の反応性イオンエッチングによって行うことができる。以上のようにして、本発明による薄膜型電界効果トランジスタ2、3の要部が完成する。この2つの薄膜型電界効果トランジスタ2、3によって、一方の薄膜型電界効果トランジスタのソース電極と他方の薄膜型電界効果トランジスタのドレイン電極とが接続されたスタック型の回路を得ることができる。
本発明の薄膜型電界効果トランジスタの製造方法は、ドレインが形成される領域に設けられた犠牲層パターン21の側壁部分にそって側壁保護膜23を形成し、犠牲層パターン21を除去してから、側壁保護膜23上方からソース・ドレイン電極材料26を堆積してソース・ドレイン電極14、15、16を形成するため、側壁保護膜23を除去することによってソース・ドレイン電極14、15、16を分割するように線状のチャネル開口部27a、27bを形成することができる。しかも、チャネル開口部27a、27bは、側壁保護膜23を除去して形成されるため、側壁保護膜23の膜厚によってチャネル開口部27a、27bの幅を制御することができる。そして、このチャネル開口部27a、27bにはチャネル層17が埋め込まれることから、チャネル開口部27a、27bの幅を制御することによって、ゲート長を制御することができる。これによりゲート長を狭く制御した二つの薄膜型電界効果トランジスタ(薄膜型FET)2、3を形成することが可能になる。よって、サブミクロンオーダーのゲート長を有する有機材料をチャネル層17に用いた高性能な薄膜型FET2、3を、高価なリソグラフィー技術を用いることを最小限にして、安価に歩留まりよく作製できるという利点がある。
本発明のアクティブマトリクス回路に係る一実施例を、図9〜図14の平面図によって説明する。本発明のアクティブマトリクス回路は、透過型、反射型もしくはポリマー分散型などの液晶ディスプレイの表示方式によらず用いることができるが、ここでは、代表して、透過型液晶ディスプレイ用に、前述のスタック型トランジスタ回路を用いたアクティブマトリクス回路を構成する場合を例に用いて、図9〜図14によって説明する。図9〜図14の工程1〜工程12は、前記薄膜型電界効果トランジスタの製造方法に係る第2実施例の工程1〜工程12(ただし工程11は除く)にそれぞれ対応しており、前記第2実施例とほぼ同様にして行うことができる。以下、詳細を説明する。
図9に示すように、工程1は、基板11は、透明のガラス基板、もしくはポリエチレンテレフタレート(PET)などの透明なプラスチック基板とする。基板11からの汚染物質の拡散を防ぐため、基板11の表面にSiO2膜(図示せず)をスパッタリングなどで堆積しておいてもよい。
次に、工程2を行う。工程2は、上記基板11上に、ゲート電極12、ゲート電極配線12a、接地電極配線12bを形成する。上記電極材料としては、例えば、アルミニウム、チタン(Ti)/金(Au)積層膜等の金属膜とすることができる。この成膜方法としては、例えば、抵抗加熱蒸着や電子線加熱蒸着、もしくはスパッタリングを使用することができる。ゲート電極12、ゲート電極配線12a、接地電極配線12bのパターンニングは、フォトリソグラフィー技術により形成したレジスト膜を用いたリフトオフ法、もしくは、エッチングマスクを用いた反応性イオンエッチングや燐酸などを使った溶液エッチングによって行うことができる。上記ゲート電極12を被覆するように、上記基板11上にゲート絶縁膜(図示せず)を形成する。このゲート絶縁膜は、スパッタリングや化学的気相成長(CVD)法によって、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(Si3N4)、酸化アルミニウム(Al2O3)といった無機材料により形成される。もしくは、溶液への浸漬や回転塗布法によってポリビニルピロリドン(PVP)のような有機絶縁膜を成膜してもよい。なお、上記ゲート電極配線2aは、後に、書き換え画素ラインを選択する走査信号線として使用される。
次に、図10に示すように、工程3を行う。工程3は、上記ゲート絶縁膜のドレイン形成領域に、犠牲層パターン21を形成する。犠牲層パターン21は、例えば、フォトリソグラフィー技術によってパターンニングしたレジスト膜、スパッタリングとリフトオフによって形成した酸化シリコン(SiO)膜等を用いることができる。なお、犠牲層パターン21の厚さは、次に形成される側壁犠牲層の厚さを十分確保するために、ゲート電極12の厚さよりも厚く選ぶ。
次に、図11に示すように、工程4を行う。この工程4は、上記犠牲層パターン21〔前記図10参照〕の上面および側面を被覆するように犠牲層を均一な厚さに形成する。犠牲層材料は、犠牲層パターン21との選択エッチングが可能な材料から選択する。例えば、犠牲層パターン21をレジスト膜とした場合、犠牲層は、常圧CVD法もしくは抵抗加熱蒸着で成膜したSiO2膜とすることができる。
次に、工程5を行う。この工程5は、犠牲層を垂直性の高い異方性エッチングにてエッチングし、犠牲層パターン21の側面に付着した犠牲層部分(側壁保護膜)を残して除去し、犠牲層パターン21の上面を露出させる。異方性エッチングは、犠牲層がSiO2であれば、例えばCF4を反応ガスとした反応性イオンエッチングによって行うことができる。この結果、犠牲層パターン21の側壁部分に犠牲層からなる側壁保護膜23が形成される。
次に、工程6を行う。この工程6は、犠牲層パターン21を、その上面からエッチングして除去し、側壁保護膜23のみをゲート絶縁膜上に残す。犠牲層パターン21のエッチングは、犠牲層パターン21がレジストであれば剥離液かアセトンなどの有機溶媒への浸漬によって行うことができる。この結果、ゲート絶縁膜上に平面的にみて矩形状に囲む側壁保護膜23が形成された。
次に、図12に示すように、工程7を行う。この工程7は、基板11(ゲート絶縁膜)上にレジスト膜(図示せず)を成膜し、リソグラフィー技術によって、ソース・ドレイン電極のパターンおよびデータ信号配線を転写するための開口部(図示せず)を形成する。このレジスト膜の厚さは、側壁保護膜23の高さと同等もしくはそれ以上とする。この開口部は、側壁保護膜23の一部が露出されるように、かつ矩形状に形成された側壁保護膜の1辺側をレジスト膜で被覆されるように形成される。したがって、開口部には側壁保護膜23の対向する2辺が露出されることになる。ここでは、ネガ型のレジストを用いて、レジスト膜の断面形状が、いわゆる逆テーパー型となるように、露光・現像条件を選択する。
次に、工程8を行う。この工程8は、レジスト膜の上方から、基板11上全面に金属材料26を堆積させる。金属材料26は、後で形成するチャネル層と良好なオーミック接触を取れる材料から選択する。例えば、チャネル材料が、ペンタセンやポリチオフェンからなる薄膜である場合、金属材料26は金(Au)とする。もしくは金(Au)とゲート絶縁膜との間に、両者の密着性を改善するような、例えば、チタンやクロムの薄層を挿入しておいてもよい。また、金属材料26の堆積厚さは、側壁保護膜23の高さより低くなるようにする。図面では、レジスト膜上に堆積された金属材料26の図示は省略した。
次に、図13に示すように、工程9を行う。この工程9は、側壁保護膜23〔前記図12参照〕をエッチング除去するとともに、側壁保護膜23上に堆積した金属材料26も除去する。側壁保護膜23のエッチングは、下地のゲート絶縁膜との選択比が取れる溶液によって行う。例えば、ゲート絶縁膜がAl2O3であり、側壁保護膜23がSiO2である場合、エッチング液には、フッ酸を含むエッチング液を使用することができる。これによって、ゲート絶縁膜上に堆積された金属材料26にチャネル開口部27a、27bが形成され、ソース・ドレイン電極14、15、16およびデータ信号配線18が形成される。このデータ信号配線18は、後に、画素の表示濃度に応じた電圧信号を伝達する配線として使用される。
次に、工程10を行う。この工程10は、基板11を有機溶媒に浸漬し、レジスト膜を溶解させるとともに、レジスト膜上に堆積していた金属材料26を除去する。これによって、ゲート絶縁膜上にはソース・ドレイン電極14、15、16およびデータ信号配線18のみが残される。なお、ここでは、ゲート電極12とゲート電極配線12a、接地電極配線12bが形成され、ソース・ドレイン電極14、15、16とともにデータ信号配線18が形成されているので、前記薄膜型電界効果トランジスタの製造方法に係る実施例2における配線形成工程としての工程11は行わない。
次に、図14に示すように、工程12を行う。この工程12は、基板11上にソース・ドレイン電極14、15、16それぞれの間のチャネル開口部27a、27bを埋め込むようにチャネル層17を形成する。チャネル層17は、例えば、ペンタセンなどの低分子系半導体を蒸着して形成してもよいし、もしくは、ポリチオフェンなどの高分子半導体を、溶液からスピンコート法や浸漬法によって、塗付・乾燥させて形成してもよい。チャネル層17のパターンニングは、蒸着膜であれば、リフトオフ法や酸素を反応ガスとする反応性イオンエッチングによって行うことができる。また、塗布膜であれば、インクジェットによる選択的塗布や、塗布後の反応性イオンエッチングによって行うことができる。以上のようにして、本発明による薄膜型電界効果トランジスタ2、3の要部が完成する。この2つの薄膜型電界効果トランジスタ2、3によって、一方の薄膜型電界効果トランジスタのソース電極と他方の薄膜型電界効果トランジスタのドレイン電極とが接続されたスタック型の回路を得ることができる。
次に、透明電極19を、ソース・ドレイン電極16の図示する部分と電気的に接触するように形成する。透明電極19は、例えば、錫混合酸化インジウム(ITO)やフッ素ドープ酸化錫(FTO)などの材料を用いて、スパッタリングやゾルゲル法によって成膜する。パターンニングは、リフトオフ法を用いることができる。この透明電極19は、後に液晶層を挟んで液晶層に電界を印加するための画素電極の一方として使用される。
以上のように構成したアクティブマトリクス回路4においては、画素トランジスタのゲート長が極めて短いため、画素寸法より十分短いゲート幅であっても、十分な電流駆動能力を付与することができる。その結果、画素トランジスタの占有面積を、従来より小さくすることができるので、画素の開口率が高まり、表示上のコントラストと輝度が向上する。また、より高速な走査周波数にも追従させることが可能となり、高品位な表示デバイスを構成できる。
また、ゲート幅を狭くでき、さらにこの場合は、画素トランジスタをスタック型としたため、オフ時のリーク電流を従来よりはるかに低減できるので、フリッカーの少ない良質な表示画像を得ることができる。また、静止画や動きの少ない用途では、画質を落とすことなく、走査周波数を必要に応じて下げることも可能であるため、消費電力の低減にも寄与する。
本発明の液晶表示装置に係る一実施例を、図15(1)の平面レイアウト図および図15(2)の(1)図中のA−A線断面を示す断面図によって説明する。図15は、補助容量と一体形成した本発明の薄膜型FETおよびそれを用いた液晶ディスプレイを示す図面である。
図15に示すように、本発明の液晶表示装置6は、前記図9〜図14によって説明した本発明のアクティブマトリクス回路上に保護膜31が形成され、さらに、透明電極42を形成した透明基板41が、透明電極42側と透明電極19側とを対向させ、かつ液晶51を封入するための間隔を置いて配置されている。その際、図示はしていないが保護膜31上にスペーサーを配置することで、薄膜型電界効果トランジスタ5、補助容量6、画素電極19等が形成されたアクティブ基板と対向基板との間隔を一定に保持する。そして、その間隔を空けた領域に液晶51が封止されている。
上記液晶表示装置7では、薄膜型電界効果トランジスタ5のゲート電極12を、透明電極(画素電極)19と重なるように伸張することで、薄膜型電界効果トランジスタ5と補助容量6を一体形成することができる。このように構成することにより、工程を増やすことなく補助容量6を形成することができる。また、補助容量6と接地電極配線12bとを結ぶ配線(図示せず)を、画素トランジスタとなる薄膜型電界効果トランジスタ5のソース電極と透明電極19とを結ぶ配線(図示せず)と重ねることができるので、開口率の減少を低減することができる。
上記薄膜FET5と一体形成した補助容量6の用途は、液晶ディスプレイの補助容量に限られるものではない。直流カット用キャパシタやLC同調回路、インピーダンス整合回路用など、さまざまな用途に用いることができる。
本発明の薄膜型電界効果トランジスタ、薄膜型電界効果トランジスタの製造方法、アクティブマトリクス回路および液晶表示装置は、各種電子機器に搭載されるトランジスタ、液晶表示装置という用途に適用できる。
本発明の薄膜型電界効果トランジスタに係る第1実施例を示した図面であり、(1)はレイアウト図であり、(2)は(1)図中のA−A線断面図である。
本発明の薄膜型電界効果トランジスタに係る第2実施例を示した図面であり、(1)はレイアウト図であり、(2)は(1)図中のB−B線断面図である。
本発明の薄膜型電界効果トランジスタの製造方法に係る第1実施例を示した製造工程図である。
本発明の薄膜型電界効果トランジスタの製造方法に係る第1実施例を示した製造工程図である。
本発明の薄膜型電界効果トランジスタの製造方法に係る第1実施例を示した製造工程図である。
本発明の薄膜型電界効果トランジスタの製造方法に係る第2実施例を示した製造工程図である。
本発明の薄膜型電界効果トランジスタの製造方法に係る第2実施例を示した製造工程図である。
本発明の薄膜型電界効果トランジスタの製造方法に係る第2実施例を示した製造工程図である。
本発明のアクティブマトリクス回路に係る一実施例を示した平面図である。
本発明のアクティブマトリクス回路に係る一実施例を示した平面図である。
本発明のアクティブマトリクス回路に係る一実施例を示した平面図である。
本発明のアクティブマトリクス回路に係る一実施例を示した平面図である。
本発明のアクティブマトリクス回路に係る一実施例を示した平面図である。
本発明のアクティブマトリクス回路に係る一実施例を示した平面図である。
本発明の液晶表示装置に係る一実施例を示した図面であり、(1)は平面レイアウト図であり、(2)は(1)図中のA−A線断面を示す断面図である。
従来の薄膜型電界効果トランジスタの製造方法を示した製造工程図である。
符号の説明
11…基板、12…ゲート電極、13…ゲート絶縁膜、14,15…ソース・ドレイン電極、17…チャネル層、27…チャネル開口部