JP2006073743A - 積層型電子部品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 グリーンシートの表面に電極パターン層を形成する際に、いわゆるシートアタック現象が発生せず、しかもスタック性(積層時の接着性)が高く、積層しやすく、結果として得られる電子部品のショート不良率が少ない積層型電子部品の製造方法を提供すること。
【解決手段】 支持体20上に、セラミック粉を少なくとも含む下側グリーンシート10aを形成する工程と、下側グリーンシート10aの表面に電極パターン層12aを形成する工程と、下側グリーンシート10aと、電極パターン層12aとを少なくとも含む積層体ユニットU1を積層し、グリーンチップを形成する工程と、前記グリーンチップを焼成する工程と、を有する積層型電子部品の製造方法である。支持体20上に形成される下側グリーンシート10aには、硬化性樹脂のバインダが含まれ、この下側グリーンシートの上に電極パターン層12aを形成する前に、下側グリーンシート10a内の硬化性樹脂を硬化させ、電極パターン層を形成した後、電極パターン層12aの表面に上部接着層を形成する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、たとえば積層セラミックコンデンサなどの積層型電子部品の製造方法に関し、さらに詳しくは、グリーンシートの表面に電極パターン層を形成する際に、いわゆるシートアタック現象が発生せず、しかもスタック性(積層時の接着性)が高くて積層しやすく、結果として得られる電子部品のショート不良率が少ない積層型電子部品の製造方法に関する。
コンデンサ、圧電素子、PTCサーミスタ、NTCサーミスタ、またはバリスタ等の積層型電子部品を製造する方法としては、たとえば下記の方法が知られている。すなわち、まず、可撓性支持体(例としてPETフィルム)上にドクターブレード法などで、セラミック粉、有機バインダ、可塑剤、溶剤等を含むセラミック塗料をシート状に成形し、グリーンシートとする。そのグリーンシートの上に、パラジウム、銀、ニッケル等の電極材を含むペーストを所定パターンで印刷し、電極パターン層とする。
積層構造を得る場合には、得られたグリーンシートを、所望の積層構造になるように積層し、プレス切断工程を経てセラミックグリーンチップを得る。このようにして得られたセラミックグリーンチップ中のバインダをバーンアウトし、1000℃〜1400℃で焼成し、得られた焼成体に、銀、銀−パラジウム、ニッケル、または銅等の端子電極を形成し、セラミック積層型電子部品を得る。
上述した製造方法において、例えば積層セラミックコンデンサを製造する場合、小型化、大容量化の手法として、1層あたりの誘電体層の厚みを薄くし、積層数を多くすることが考えられる。しかしながら、グリーンシートを可撓性支持体から剥離して積層する方法では、特に薄いグリーンシートの場合、可撓性支持体からグリーンシートがうまく剥離できず、積層歩留りが非常に悪くなる。また、薄いグリーンシートをハンドリングするため、出来上がった製品にショート等の特性不良が多発する。
このような問題点を解決する手段として、可撓性支持体上で、グリーンシートを形成する工程と、グリーンシート上に電極を印刷する工程とを、必要な積層数(シート塗布と印刷)だけ繰り返すことにより積層体を得る方法が考えられる。これによりシートのトータル厚みが増加する分、シートの支持体からの剥離が可能になる(下記の特許文献1等)。
しかしながら、この従来の製造方法では、以下の様な課題があった。第1点目は、乾燥した第1層目のグリーンシートの上に電極パターンを印刷する工程が、Wet−on−Dry方式になることによる不都合である。すなわち、電極印刷時の溶剤によって第1層目のシート部を侵食すること(溶剤によるシートアタック)が起こり、電極印刷部の下面のシート部の厚みが薄くなり、ショート不良を発生し易いことである。
第2点目は、第2層目以降(例として第2層目を想定)をシート塗布(Wet−on−Dry方式)すると、乾燥した第1層目のシート部に第2層目に塗布する塗料が浸透することである。このため、1層目と2層目のシート厚みが一定にならないという不具合や、ピンホール等の不具合も発生し、製品特性に影響を及ぼす不具合が発生する。
第3点目は、第2層目以降のシート(例として第2層目を想定)を塗布後に電極を印刷する工程がWet−on−Dry方式になるため、電極印刷時の溶剤によって第2層目のシート部を侵食する(溶剤によるシートアタック)ことである。このため、電極印刷部の下面のシート部の厚みが薄くなるためにショート不良を発生し易い。
特に1層あたりのシートの厚みが3μm以下、特に1μm以下となる場合、このような不都合が顕著に表れ、小型大容量の積層セラミックコンデンサを製造することが困難になっている。
特許第3190177号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、グリーンシートの表面に電極パターン層を形成する際に、いわゆるシートアタック現象が発生せず、しかもスタック性(積層時の接着性)が高くて積層しやすく、結果として得られる電子部品のショート不良率が少ない積層型電子部品の製造方法を提供することである。
課題を解決するための手段および発明の効果
上記目的を達成するために、本発明に係る積層型電子部品の製造方法は、
支持体上に、セラミック粉を少なくとも含む下側グリーンシートを形成する工程と、
前記下側グリーンシートの表面に電極パターン層を形成する工程と、
前記下側グリーンシートと、前記電極パターン層とを少なくとも含む積層体ユニットを積層し、グリーンチップを形成する工程と、
前記グリーンチップを焼成する工程と、を有する積層型電子部品の製造方法であって、
前記支持体上に形成される下側グリーンシートには、硬化性樹脂のバインダが含まれ、この下側グリーンシートの上に前記電極パターン層を形成する前に、前記下側グリーンシート内の硬化性樹脂を硬化させ、電極パターン層を形成した後、前記電極パターン層の表面に上部接着層を形成することを特徴とする。
本発明に係る方法では、第1層目の下側グリーンシートの表面に、電極パターン層を形成する前に、下側グリーンシートに含まれる硬化性樹脂を、熱、紫外線、あるいは電子線などを加えることにより硬化させる。硬化された樹脂は、あらゆる溶剤に対して不溶な樹脂に変化する。そのため、その下側グリーンシートの表面に電極パターン層を印刷法などで形成したとしても、電極パターン層に含まれる溶剤がグリーンシートを侵食すること(溶剤によるシートアタック)はない。その結果、結果として得られる電子部品のショート不良を低減することができる。
また、本発明の製造方法では、電極パターン層が形成されたグリーンシートの電極パターン層側表面に、接着層を形成し、その接着層を介して、電極パターン層が形成されたグリーンシートの積層を行いグリーンチップを形成する。接着層を介して積層することにより、スタック性(積層時の接着性)を向上させ、非接着欠陥(ノンラミネーション)および接着不良を防止し、ショート不良率を低減することが可能となる。さらに、本発明においては、接着層を介して、電極パターン層が形成されたグリーンシートの積層を行うため、積層する際に、高い圧力や熱が不要となり、より低圧および低温での接着が可能となる。さらに、グリーンシートが極めて薄い場合でも、グリーンシートが破壊されることはなくなり、良好に積層することができる。
好ましくは、本発明に係る方法は、前記下側グリーンシートの上に電極パターン層を形成した後、前記電極パターン層の上に、硬化性樹脂のバインダを含む中間グリーンシートを形成する工程と、
その後に、前記中間グリーンシート内の硬化性樹脂を硬化させる工程と、
その後に、前記中間グリーンシートの上に電極パターン層を形成する工程と、をさらに有し、
前記支持シートの上に、1層以上の前記中間グリーンシートを介して2層以上の前記電極パターン層を形成し、
最も上側に位置する電極パターン層の上には、前記上部接着層を形成し、
前記積層体ユニットを、前記下側グリーンシートと、一層以上の前記中間グリーンシートと、二層以上の前記電極パターン層と、前記上部接着層とで構成することを特徴とする。
この方法では、中間グリーンシートに硬化性樹脂が含まれるので、下側グリーンシートと同様に、シートアタックを防止できる。しかも、積層体ユニットが一層以上のグリーンシートを有するので、積層工程を簡略化できる。
好ましくは、前記上部接着層が、硬化前の硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を含む。積層体ユニットは、後工程において積層(積層プレス工程)されるが、その積層に際して、上部接着層の上に下側グリーンシートが接することになる。下側グリーンシートには、硬化性樹脂が含まれ、下側グリーンシートの樹脂は既に硬化されている。もし、仮に上部接着層がない場合、あるいは接着層が硬化していると、それらの接着が不十分に成りやすく、積層が良好に行えないおそれがある。本発明では、上部接着層には、硬化前の硬化性樹脂または熱可塑性樹脂が含まれているので、上部接着層の上に他の積層体ユニットの下側グリーンシートが接触して積層されたとしても、その接着性は良好であり、積層が容易である。
また、上部接着層が硬化前の硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を含む接着剤により形成されるとしても、中間グリーンシートは硬化しているため、中間グリーンシートへの接着剤の浸透が無い。このため、シート厚みが一定にならないという不具合やピンホール等の不具合が発生しにくくなる。なお、同様な理由から、中間グリーンシートを形成する際にも、下側グリーンシートは硬化しているため、下側グリーンシートへの塗料の浸透が無い。このため、シート厚みが一定にならないという不具合やピンホール等の不具合が発生しにくくなる。
本発明において、好ましくは、前記中間グリーンシートの厚みは、前記下側グリーンシートの厚みに略等しい。前記中間グリーンシートの上に他の積層体ユニットの下側グリーンシートが上部接着層を介して積層される。上部接着層は、脱バインダ処理あるいは焼成処理後に無くなる部分であり、積層方向の電極パターン層の間に存在する誘電体の厚みは均一になる。
前記下側グリーンシートの厚みが、3μm以下、2μm以下、さらには1μm以下と薄くなった場合においては、特に、シートアタック現象が原因でショート不良が生じやすい。本発明では、下側グリーンシートおよび中間グリーンシートには、硬化性樹脂が含まれており、上述したようにシートアタックが生じにくいことから、グリーンシートが薄い場合においても、ショート不良は生じ難い。
好ましくは、前記接着層の厚みが、0.02〜0.3μm、より好ましくは、0.05〜0.1μmである。接着層の厚みが薄すぎると、接着性が低下する傾向にある。また、接着層の厚みが厚すぎると、その接着層の厚みに依存して焼結後の素子本体の内部に隙間ができやすく、クラック発生の起点となったり、その体積分の静電容量が著しく低下する傾向にある。
好ましくは、前記電極パターン層の上に前記中間グリーンシートまたは前記上部接着層を形成する前に、前記電極パターン層が形成されていない前記グリーンシート上の余白部分に、余白パターン層を形成する工程をさらに有する。なお、本発明において、余白パターン層とは、電極パターンと相補関係にあるパターンである。余白パターン層を形成することで、電極パターン層の上にグリーンシートを形成したとしても、グリーンシートに段差などが形成されることはなく、積層後のチップ形状も良好なものとなる。
なお、余白パターン層を形成する際には、その下側のグリーンシートに含まれる樹脂は硬化しているので、余白パターン層を形成するための印刷ペーストの溶剤によるシートアタックの影響を受けにくくショート不良対策に効果がある。
本発明に係る最も好ましい態様の方法は、
支持体上に、セラミック粉と硬化性樹脂のバインダとを少なくとも含む下側グリーンシートを形成する工程と、
前記下側グリーンシートに含まれる前記硬化性樹脂を硬化させる工程と、
前記下側グリーンシートの表面に電極パターン層を形成する工程と、
前記電極パターン層の上に、セラミック粉と硬化性樹脂のバインダとを少なくとも含む中間グリーンシートを形成する工程と、
前記中間グリーンシート内の硬化性樹脂を硬化させる工程と、
前記中間グリーンシートの上に電極パターン層を形成する工程と、を有し、
前記支持シートの上に、1層以上の前記中間グリーンシートを介して2層以上の前記電極パターン層を形成し、
最も上側に位置する電極パターン層の上には、硬化前の硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を含む上部接着層を形成し、
単一の前記下側グリーンシートと、1層以上50層以下の前記中間グリーンシートと、2層以上51層以下の前記電極パターン層と、単一の前記上部接着層とから成る積層体ユニットを前記支持体上に形成し、
前記支持体を剥がした前記積層体ユニットを、前記下側グリーンシートと前記上部接着層とが接触するように、二つ以上積層してグリーンチップを形成し、その後、前記グリーンチップを焼成することを特徴とする。
前記硬化性樹脂としては、特に限定されず、たとえば熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂のいずれかである。熱硬化性樹脂は、熱を加えることにより硬化し、紫外線硬化樹脂は、紫外線を照射することにより硬化し、電子線硬化性樹脂は、電子線を照射することにより硬化する。本発明では、これらの樹脂の中でも、後工程において、脱バインダ処理し易い樹脂が好ましく、たとえば熱硬化性アクリル樹脂、紫外線硬化性アクリル樹脂、電子線硬化性アクリル樹脂などが好ましい。
本発明において、好ましくは、前記上部接着層を、転写法、あるいは塗布法により形成する。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの概略断面図、
図2は図1に示す積層セラミックコンデンサの製造方法の1製造過程を示す要部断面図、
図3は図2の続きの工程を示す要部断面図、
図4および図5はそれぞれ本発明の他の実施形態に係る積層セラミックコンデンサの製造方法の1製造過程を示す要部断面図、
図6(A)〜図6(C)は、接着層の形成方法の他の例を示す要部断面図である。
まず、本発明に係る方法により製造される電子部品の一実施形態として、積層セラミックコンデンサの全体構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2は、コンデンサ素体4と、第1端子電極6と第2端子電極8とを有する。コンデンサ素体4は、誘電体層10と、内部電極層12とを有し、誘電体層10の間に、これらの内部電極層12が交互に積層してある。交互に積層される一方の内部電極層12は、コンデンサ素体4の第1端部の外側に形成してある第1端子電極6の内側に対して電気的に接続してある。また、交互に積層される他方の内部電極層12は、コンデンサ素体4の第2端部の外側に形成してある第2端子電極8の内側に対して電気的に接続してある。
誘電体層10の材質は、特に限定されず、たとえばチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウムおよび/またはチタン酸バリウムなどの誘電体材料で構成される。各誘電体層10の厚みは、特に限定されないが、数μm〜数百μmのものが一般的である。特に本実施形態では、好ましくは3μm以下、さらに好ましくは1.5μm以下、特に好ましくは1μm以下に薄層化されている。
端子電極6および8の材質も特に限定されないが、通常、銅や銅合金、ニッケルやニッケル合金などが用いられるが、銀や銀とパラジウムの合金なども使用することができる。端子電極6および8の厚みも特に限定されないが、通常10〜50μm程度である。
積層セラミックコンデンサ2の形状やサイズは、目的や用途に応じて適宜決定すればよい。積層セラミックコンデンサ2が直方体形状の場合は、通常、縦(0.6〜5.6mm、好ましくは0.6〜3.2mm)×横(0.3〜5.0mm、好ましくは0.3〜1.6mm)×厚み(0.1〜1.9mm、好ましくは0.3〜1.6mm)程度である。
次に、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2の製造方法の一例を説明する。
まず、図2に示すように、ノズルコート法、ドクターブレード法などにより、支持シート(支持体)としてのキャリアシート20上に、厚さt1で、下側グリーンシート10aを形成する。下側グリーンシート10aは、キャリアシート20に形成された後に乾燥される。下側グリーンシート10aの乾燥温度は、好ましくは50〜100°Cであり、乾燥時間は、好ましくは1〜20分である。乾燥後のグリーンシート10aの厚みは、乾燥前に比較して、5〜25%の厚みに収縮する。乾燥後のグリーンシートの厚みt1は、好ましくは1.5μm以下、さらに好ましくは1.0μm以下、特に好ましくは0.5μm以下である。
キャリアシート20としては、たとえばPETフィルムなどが用いられ、剥離性を改善するために、シリコンなどがコーティングしてあるものが好ましい。これらのキャリアシート20の厚みは、特に限定されないが、好ましくは、5〜100μmである。
本実施形態では、下側グリーンシート10aを形成するための誘電体ペーストは、通常、誘電体原料と有機ビヒクルとを混練して得られた有機溶剤系ペースト、または水系ペーストで構成される。
誘電体原料としては、複合酸化物や酸化物となる各種化合物、たとえば炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物などから適宜選択され、混合して用いることができる。誘電体原料は、通常、平均粒子径が0.3μm以下、好ましくは0.2μm以下の粉末として用いられる。なお、きわめて薄いグリーンシートを形成するためには、グリーンシート厚みよりも細かい粉末を使用することが望ましい。
有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いられるバインダとしては、本実施形態では、硬化性樹脂が用いられる。硬化性樹脂は、何らかのエネルギーにより硬化する樹脂であり、たとえば熱硬化性樹脂、紫外線(UV)硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、2液重合型などが例示される。
好ましい熱硬化性樹脂としては、熱硬化性アクリル樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、熱硬化性ウレタンアクリレート、熱硬化性ポリエステルアクリレート、熱硬化性ウレタン樹脂、熱硬化性ユリア樹脂、熱硬化性メラミン樹脂などが例示される。また、好ましいUV硬化性樹脂としては、UV硬化性アクリル樹脂、UV硬化性ウレタンアクリレート、UV硬化性ポリエステルアクリレート、UV硬化性ウレタン樹脂、UV硬化性エポキシアクリレート、UV硬化性イミドアクリレートなどが例示される。さらに、好ましい電子線硬化性樹脂としては、電子線硬化性アクリル樹脂、電子線硬化性ウレタンアクリレート、電子線硬化性ポリエステルアクリレート、電子線硬化性ウレタン樹脂、電子線硬化性エポキシアクリレート樹脂、カチオン硬化型樹脂などが例示される。
有機ビヒクルに用いられる有機溶剤は、上記のバインダ樹脂を溶解するものであれば特に限定されず、テルピネオール、アルコール、ブチルカルビトール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、キシレン、酢酸エチル、ステアリン酸ブチル、イソボニルアセテートなどの有機溶剤が用いられる。誘電体ペースト中の各成分の含有量は特に限定されず、通常の含有量、たとえばバインダは5〜10質量%程度、溶剤は10〜50質量%程度とすればよい。
誘電体ペースト中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、ガラスフリット、絶縁体、帯電助剤などから選択される添加物が含有されても良い。ただし、これらの総含有量は、10質量%以下とすることが望ましい。可塑剤としては、フタル酸ジオクチルやフタル酸ベンジルブチルなどのフタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などが例示される。
バインダ樹脂として、アクリル系樹脂を用いる場合には、可塑剤は、バインダ樹脂100質量部に対して、25〜100質量部の含有量であることが好ましい。可塑剤が少なすぎると、グリーンシートが脆くなる傾向にあり、多すぎると、可塑剤が滲み出し、取り扱いが困難である。
キャリアシート20の上に下側グリーンシート10aを形成して乾燥した後には、この下側グリーンシート10aに含まれる硬化性樹脂を、その硬化性樹脂の特質に応じたエネルギーを照射して硬化させる。たとえば熱硬化性樹脂であれば、熱を加えて硬化させ、UV硬化性樹脂であれば紫外線を照射して硬化させ、電子線硬化性樹脂であれば、電子線を照射して硬化させる。
次いで、図2に示すように、キャリアシート20上に形成した下側グリーンシート10aの表面に、所定パターンの電極パターン層12aを形成し、その前後に、その電極パターン層12aが形成されていない下側グリーンシート10aの表面に、電極パターン層12aと実質的に同じ厚みの余白パターン層24を形成する。乾燥後の電極パターン層12aの厚みは、特に限定されないが、乾燥後の下側グリーンシート10aの厚みt1の30〜80%程度の厚みである。
電極パターン層12aは、たとえば電極ペーストを用いる印刷法などの厚膜形成方法、あるいは蒸着、スパッタリングなどの薄膜法により、グリーンシート10aの表面に形成することができる。厚膜法の1種であるスクリーン印刷法あるいはグラビア印刷法により、グリーンシート10aの表面に電極パターン層12aを形成する場合には、以下のようにして行う。
まず、電極ペーストを準備する。電極ペーストは、各種導電性金属や合金からなる導電体材料、あるいは焼成後に上記した導電体材料となる各種酸化物、有機金属化合物、またはレジネート等と、有機ビヒクルとを混練して調製する。
電極ペーストを製造する際に用いる導体材料としては、NiやNi合金さらにはこれらの混合物を用いる。このような導体材料は、球状、リン片状等、その形状に特に制限はなく、また、これらの形状のものが混合したものであってもよい。また、導体材料の平均粒子径は、通常、0.1〜2μm、好ましくは0.2〜1μm程度のものを用いればよい。
有機ビヒクルは、バインダおよび溶剤を含有するものである。バインダとしては、例えばエチルセルロース、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、または、これらの共重合体などが例示されるが、なかでも、エチルセルロース、またはポリビニルブチラールなどのブチラール系が好ましい。
バインダは、電極ペースト中に、導体材料(金属粉末)100質量部に対して、好ましくは4〜10質量部含まれる。溶剤としては、例えばテルピネオール、ブチルカルビトール、ケロシン、アセトン、イソボニルアセテート等公知のものはいずれも使用可能である。溶剤含有量は、ペースト全体に対して、好ましくは20〜55質量%程度とする。
接着性の改善のために、電極ペーストには、可塑剤または粘着剤が含まれることが好ましい。可塑剤としては、誘電体ペーストと同じものが使用でき、可塑剤の添加量は、電極ペースト中に、バインダ100質量部に対して、好ましくは10〜300質量部、さらに好ましくは10〜200質量部である。なお、可塑剤または粘着剤の添加量が多すぎると、電極パターン層12aの強度が著しく低下する傾向にある。また、電極ペースト中には、可塑剤および/または粘着剤を添加して、電極ペーストの接着性および/または粘着性を向上させることが好ましい。
グリーンシート10aの表面に、所定パターンの電極ペースト層を印刷法で形成した後、またはその前に、電極パターン層12aが形成されていないグリーンシート10aの表面に、電極パターン層12aと実質的に同じ厚みの余白パターン層24を形成する。余白パターン層24は、下側グリーンシート10aと同様な誘電体ペーストを用いて印刷法により形成されるが、余白パターン層のための誘電体ペーストに含まれるバインダ樹脂としては、必ずしも硬化性樹脂を含まない通常の熱可塑性樹脂を用いることができる。
すなわち、余白パターン層24を形成するための誘電体ペーストは、後述する上部接着層10cを形成するための接着剤と同様に、熱可塑性樹脂をバインダ樹脂として含むものでも良い。積層時の接着性を向上させるという観点からは、余白パターン層24を形成するための誘電体ペーストは、後述する上部接着層10cを形成するための接着剤と同様に、熱可塑性樹脂をバインダ樹脂として含むものであることが好ましい。
余白パターン層24は、電極パターン層12aと同様に、印刷法などで形成される。電極パターン層12aおよび余白パターン層24は、必要に応じて乾燥される。乾燥温度は、特に限定されないが、好ましくは70〜120°Cであり、乾燥時間は、好ましくは5〜15分である。
次に、これらの電極パターン層12aおよび余白パターン層24の上に、図2に示すように、中間グリーンシート10bを、ドクターブレード法あるいはノズルコート法などで形成する。中間グリーンシート10bを形成するための誘電体ペーストは、下側グリーンシート10aを形成するための誘電体ペーストと同様に、バインダ樹脂として、硬化性樹脂を含む。
中間グリーンシート10bを形成するための誘電体ペーストと、下側グリーンシート10aを形成するための誘電体ペーストとは、全く同じであることが、ペーストの種類を減少させる点で好ましいが、必ずしも全く同じである必要はない。たとえば硬化性樹脂の種類を、中間グリーンシート10bを形成するための誘電体ペーストと、下側グリーンシート10aを形成するための誘電体ペーストとで異ならせても良い。ただし、その場合には、硬化させるためのエネルギーの種類も異なる可能性がある。
中間グリーンシート10bを形成した後、乾燥させ、その後に、中間グリーンシート10bに含まれる硬化性樹脂にエネルギーを加えて硬化させる。硬化の方法は、下側グリーンシート10aの硬化の方法と同様である。乾燥後の中間グリーンシート10bの厚さt2については後述する。
次に、この中間グリーンシート10bの表面に、二層目の電極パターン層12aおよび余白パターン層24を、一層目の電極パターン層12aおよび余白パターン層24を形成した方法と同様な方法で形成する。
次に、二層目の電極パターン層12aおよび余白パターン層24の上に上部接着層10cを形成する。上部接着層10cは、ドクターブレード法あるいはノズルコート法などで形成される。上部接着層10cは、通常の硬化前の硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を含む接着剤で構成される。
上部接着層10cを形成するための接着剤は、硬化前の硬化性樹脂または熱可塑性樹脂と、溶剤と、好ましくは可塑剤とを含む。上部接着層10cには、下側グリーンシート10aまたは中間グリーンシート10bを構成する誘電体と同じ誘電体粒子を含ませても良いが、誘電体粒子の粒径よりも厚みが薄い接着層を形成する場合には、誘電体粒子を含ませない方がよい。また、上部接着層10cに誘電体粒子を含ませる場合には、その誘電体粒子の粒径は、グリーンシートに含まれる誘電体粒子の粒径より小さいことが好ましい。
上部接着層10cに含まれる硬化前の硬化性樹脂または熱可塑性樹脂としては、たとえば、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール等のブチラール系樹脂、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、または、これらの共重合体からなる有機質、またはエマルジョンで構成される。本実施形態では、上記熱可塑性樹脂として、アクリル樹脂、あるいはポリビニルブチラール等のブチラール系樹脂を用いることが、特に好ましい。
上部接着層10cのための溶剤としては、特に限定されないが、たとえばメチルエチルケトン、トルエン、エチルアルコールなどが例示される。
樹脂量は、上部接着層10cを形成するための接着剤中に、溶剤100質量部に対して、5質量部以下、好ましくは2質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下で含まれることが好ましい。
上部接着層10cのための可塑剤としては、特に限定されないが、たとえばフタル酸ジオクチルやフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)などのフタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などが例示される。
可塑剤は、乾燥後の上部接着層10c中に、樹脂100質量部に対して、0〜200質量部、好ましくは20〜200質量部、さらに好ましくは30〜70質量部で含まれることが好ましい。
上部接着層10cは、さらに帯電除剤を含むことが好ましく、当該帯電除剤は、イミダゾリン系界面活性剤の中の1つを含み、帯電除剤の重量基準添加量は、有機高分子材料の重量基準添加量以下であることが好ましい。帯電除剤の含有量は、上部接着層10c中に、樹脂100質量部に対して、0〜200質量部、好ましくは20〜200質量部、さらに好ましくは50〜100質量部で含まれることが好ましい。
上部接着層10cの厚みt3は、好ましくは0.02〜0.3μm、より好ましくは0.05〜0.1μmであり、しかもグリーンシートに含まれる誘電体粒子の平均粒径よりも薄いことが好ましい。また、上部接着層10cの厚みが、下側グリーンシート10aまたは中間グリーンシートの厚みの1/5以下であることが好ましい。
上部接着層10cの厚みt3が薄すぎると、接着力が低下し、厚すぎると、その接着層の厚みに依存して焼結後の素子本体の内部に隙間ができやすく、その体積分の静電容量が著しく低下する傾向にある。
上部接着層10cは、たとえばノズルコート法、バーコータ法、ダイコータ法、リバースコータ法、ディップコーター法、キスコーター法などの方法により形成され、必要に応じて乾燥される。乾燥温度は、特に限定されないが、好ましくは室温〜80°Cであり、乾燥時間は、好ましくは1〜5分である。
本実施形態では、下側グリーンシート10a、一層目の電極パターン層12a(余白パターン層24含む)、中間グリーンシート10b、二層目の電極パターン層12a(余白パターン層24含む)、および上部接着層10cが、単一の積層体ユニットU1を構成する。積層体ユニットU1は、後工程で、図3に示すように、多数積層される。
図3に示すように、キャリアシート20から引き剥がされた積層体ユニットU1は、キャリアシート20の上に積層してある他の積層体ユニットU1の上に、上部接着層10cと下側グリーンシート10aとが接触するように積層される。この積層体ユニットU1の積層を繰り返すことにより、電極パターン層12aが積層方向Zに多数積層してある積層体が得られる。なお、上部接着層10cに硬化前の硬化性樹脂が含まれている場合には、硬化処理を行うことなく、積層体ユニットU1同士を積層する。
本実施形態では、前記中間グリーンシート10bの厚みt2は、前記下側グリーンシート10aの厚みt1に略等しい。前記中間グリーンシート10bの上に他の積層体ユニットU1の下側グリーンシートが上部接着層10cを介して積層される。上部接着層10cは、脱バインダ処理あるいは焼成処理後に無くなる部分であり、積層方向の電極パターン層12aの間に存在する誘電体の厚みは均一になる。
本実施形態では、積層体ユニットU1が積層方向Zに多数積層され、この積層体を最終加圧後に所定サイズに切断し、グリーンチップを形成する。なお、図示省略してあるが、積層体ユニットU1の積層方向Zにおける積層端部には、それぞれ電極パターン層が形成されていない外装用グリーンシートが積層される。なお、最終加圧時の圧力は、好ましくは10〜200MPaとし、また、加熱温度は、好ましくは、40〜100°Cとする。
本実施形態では、積層体を切断後のグリーンチップにおける電極パターン層12aが、焼成後に内部電極層12となる部分であり、中間グリーンシート10bまたは下側グリーンシート10aが、焼成後にそれぞれ誘電体層10となる部分である。
グリーンチップは、その後、脱バインダ処理、焼成処理が行われ、そして、誘電体層を再酸化させるため、熱処理が行われる。
脱バインダ処理は、通常の条件で行えばよいが、内部電極層の導電体材料にNiやNi合金等の卑金属を用いる場合、特に下記の条件で行うことが好ましい。
昇温速度:5〜300℃/時間、特に10〜50℃/時間、
保持温度:200〜400℃、特に250〜350℃、
保持時間:0.5〜20時間、特に1〜10時間、
雰囲気 :加湿したNとHとの混合ガス。
焼成条件は、下記の条件が好ましい。
昇温速度:50〜500℃/時間、特に200〜300℃/時間、
保持温度:1100〜1300℃、特に1150〜1250℃、
保持時間:0.5〜8時間、特に1〜3時間、
冷却速度:50〜500℃/時間、特に200〜300℃/時間、
雰囲気ガス:加湿したNとHとの混合ガス等。
ただし、焼成時の空気雰囲気中の酸素分圧は、10−2Pa以下、特に10−2〜10−8Paにて行うことが好ましい。前記範囲を超えると、内部電極層が酸化する傾向にあり、また、酸素分圧があまり低すぎると、内部電極層の電極材料が異常焼結を起こし、途切れてしまう傾向にある。
このような焼成を行った後の熱処理は、保持温度または最高温度を、好ましくは1000℃以上、さらに好ましくは1000〜1100℃として行うことが好ましい。熱処理の際の酸素分圧は、焼成時の還元雰囲気よりも高い酸素分圧であり、好ましくは10−3Pa〜1Pa、より好ましくは10−2Pa〜1Paである。
そして、そのほかの熱処理条件は下記の条件が好ましい。
保持時間:0〜6時間、特に2〜5時間、
冷却速度:50〜500℃/時間、特に100〜300℃/時間、
雰囲気用ガス:加湿したNガス等。
なお、Nガスや混合ガス等を加湿するには、例えば加温した水にガスを通し、バブリングする装置等を使用すればよい。この場合、水温は0〜75℃程度が好ましい。また脱バインダ処理、焼成および熱処理は、それぞれを連続して行っても、独立に行ってもよい。これらを連続して行なう場合、脱バインダ処理後、冷却せずに雰囲気を変更し、続いて焼成の際の保持温度まで昇温して焼成を行ない、次いで冷却し、熱処理の保持温度に達したときに雰囲気を変更して熱処理を行なうことが好ましい。一方、これらを独立して行なう場合、焼成に際しては、脱バインダ処理時の保持温度までNガスあるいは加湿したNガス雰囲気下で昇温した後、雰囲気を変更してさらに昇温を続けることが好ましく、熱処理時の保持温度まで冷却した後は、再びNガスあるいは加湿したNガス雰囲気に変更して冷却を続けることが好ましい。また、熱処理に際しては、Nガス雰囲気下で保持温度まで昇温した後、雰囲気を変更してもよく、熱処理の全過程を加湿したNガス雰囲気としてもよい。
このようにして得られた焼結体(素子本体4)には、例えばバレル研磨、サンドプラスト等にて端面研磨を施し、端子電極用ペーストを焼きつけて端子電極6,8が形成される。端子電極用ペーストの焼成条件は、例えば、加湿したNとHとの混合ガス中で600〜800℃にて10分間〜1時間程度とすることが好ましい。そして、必要に応じ、端子電極6,8上にめっき等を行うことによりパッド層を形成する。なお、端子電極用ペーストは、上記した電極ペーストと同様にして調製すればよい。
このようにして製造された本発明の積層セラミックコンデンサは、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
本実施形態では、第1層目の下側グリーンシート10aの表面に、電極パターン層12aを形成する前に、下側グリーンシート10aに含まれる硬化性樹脂を、熱、紫外線、あるいは電子線などを加えることにより硬化させる。硬化された樹脂は、あらゆる溶剤に対して不溶な樹脂に変化する。そのため、その下側グリーンシート10aの表面に電極パターン層12aを印刷法などで形成したとしても、電極パターン層12aに含まれる溶剤がグリーンシートを侵食すること(溶剤によるシートアタック)はない。その結果、結果として得られる積層セラミックコンデンサ2のショート不良を低減することができる。
また、本実施形態の方法では、積層体ユニットU1は、図3に示すように積層(積層プレス工程)されるが、その積層に際して、上部接着層10cの上に下側グリーンシート10aが接することになる。下側グリーンシート10aには、硬化性樹脂が含まれ、下側グリーンシート10aの樹脂は既に硬化されている。もし、仮に上部接着層10cにも硬化性樹脂が含まれており、すでに硬化されているとすると、それらの接着が不十分に成りやすく、積層が良好に行えないおそれがある。本実施形態では、上部接着層10cには、硬化前の硬化性樹脂または熱可塑性樹脂が含まれているので、上部接着層10cの上に他の積層体ユニットU1の下側グリーンシート10aが接触して積層されたとしても、その接着性は良好であり、積層が容易である。
また、上部接着層10cが硬化前の硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を含む接着剤により形成されるとしても、中間グリーンシート10bは硬化しているため、中間グリーンシート10bへの接着剤の浸透が無い。このため、シート厚みが一定にならないという不具合やピンホール等の不具合が発生しにくくなる。なお、同様な理由から、中間グリーンシート10bを形成する際にも、下側グリーンシート10aは硬化しているため、下側グリーンシート10aへの接着剤の浸透が無い。このため、シート厚みが一定にならないという不具合やピンホール等の不具合が発生しにくくなる。
そのため、本実施形態の製造方法によると、グリーンシートを極めて薄くした場合においても、シートアタックを有効に防止することが可能であり、しかも、接着性を高く保ちつつ、積層することが可能である。また、少なくとも二層の電極パターン層12aを有する積層体ユニットU1を積層方向に積層するために、積層工程の短縮による製造工程の簡略化や製造コストの低減が可能となる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、本発明の方法は、積層セラミックコンデンサの製造方法に限らず、その他の積層型電子部品の製造方法としても適用することが可能である。
また、上述した実施形態では、積層体ユニットU1の内部には、単一の中間グリーンシート10bのみを形成してあるが、図4に示すように、単一の積層体ユニットU1の内部には、1層以上50層以下の中間グリーンシート10bと、2層以上51層以下の電極パターン層12a(余白パターン層24も含む)を形成しても良い。この実施形態の場合には、図1〜図3に示す実施形態と同様な作用効果を奏すると共に、積層体ユニットU1自体が、多数の積層数の電極パターン層12aを有するために、積層体ユニットU1を積層する回数を低減して製造工程の簡略化を図ることも可能である。
なお、図4に示す実施形態に係る積層体ユニットU1における構成部材は、図1〜図3に示す実施形態に係る積層体ユニットU1における構成部材と共通し、その共通する部材には、共通する符号を付し、その説明は省略する。また、図4に示す積層体ユニットU1を用いてグリーンチップを製作し、図1に示す積層セラミックコンデンサ2を製造するための方法は、図1〜図3に示す実施形態の場合と同様である。
図5は、本発明のさらにその他の実施形態に係る製造方法を示す。この実施形態の方法は、積層体ユニットU1が、下側グリーンシート10a、電極パターン層12a(余白パターン層24含む)、および上部接着層10cで構成してある以外は、図1〜図3に示す方法と同様である。この実施形態では、積層体ユニットU1中に、中間グリーンシート10bが無いために、積層体ユニットU1の積層回数が増大するおそれがあるが、製造工程が増大する以外は、図1〜図3に示す方法と同様な作用効果を奏する。
図6は、本発明のさらにその他の実施形態に係る製造方法を示す。この実施形態では、上部接着層10cを転写法により形成する。すなわち、キャリアシート20とは別に、図6(A)に示すように、第2支持シートとしてのキャリアシート26の表面に上部接着層10cが形成してある接着層転写用シートを準備する。次に、図6(B)および図6(C)に示すように、転写用シートの接着層10cを、電極パターン層12aおよび余白パターン層24の表面に転写する。
上部接着層10cを、転写法により形成することにより、接着層の成分の電極パターン層12aや余白パターン層24への染み込みを有効に防止することができる。そのため、電極パターン層12aや余白パターン層24の組成に悪影響を与えるおそれがない。さらに、上部接着層10cを薄く形成した場合においても、接着層の成分が、電極パターン層12aや余白パターン層24へ染み込まないため、接着性を高く保つことができる。
転写時の加熱温度は、40〜100°Cが好ましく、また、加圧力は、0.2〜15MPaが好ましい。加圧は、プレスによる加圧でも、カレンダロールによる加圧でも良いが、一対のロールにより行うことが好ましい。
また、上述した実施形態では、電極パターン層12aのパターン隙間に、余白パターン層24を形成しているが、本発明では必ずしも余白パターンを形成する必要はなく、余白パターン層を形成しない場合においても、本発明の基本的な作用効果を奏する。ただし、余白パターン層24を形成することで、電極パターン層12aの上にグリーンシート10bまたは10cを形成したとしても、グリーンシートに段差などが形成されることはなく、積層後のチップ形状も良好なものとなる。
なお、余白パターン層24を形成する際には、その下側のグリーンシート10aまたは10bに含まれる樹脂は硬化しているので、余白パターン層24を形成するための印刷ペーストの溶剤によるシートアタックの影響を受けにくくショート不良対策に効果がある。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
まず、下記の各ペーストを準備した。
熱硬化性樹脂含有誘電体ペーストA1
誘電体原料として、主成分:BaTiO(平均粒径0.2μm/堺化学工業社製BT02粉)と、副成分とを準備した。誘電体原料の副成分としては、主成分100モルに対し、2モルのY と、2モルのMgOと、0.4モルのMnOと、0.1モルのV と、3モルの(Ba0.6Ca0.4)SiOとを用いた。
この誘電体原料100重量部と、分散剤(高分子系分散剤/サンノプコ社製 SN5468)1重量部と、エタノール100重量部とを、ジルコニアボール(2mmφ)とともにポリエチレン容器に投入し、16時間混合して誘電体混合溶液を得た。
この誘電体混合溶液を乾燥温度120℃で12時間乾燥し、誘電体粉末を得た。この誘電体粉末100重量部と、溶剤MEK50重量部と、溶剤トルエン20重量部と、ブロック型分散剤1重量部(ユニケマ(株)社製JP4)とをボールミルで4時間混合行って一次分散させた。
一次分散後の分散物に、熱硬化性アクリル樹脂(メタアクリル酸アルキルエステル共重合体樹脂、日本カーバイド(株)社製)10重量部と、アミン系硬化剤(日本カーバイド(株)社製)1重量部とを添加してボールミルにて16時間混合して、二次分散させて、熱硬化性樹脂含有誘電体ペーストA1を得た。
熱可塑性樹脂含有誘電体ペーストB1
一次分散後の分散物に、熱硬化性アクリル樹脂を加えないで、熱可塑性アクリル樹脂(MM747樹脂、藤倉化成(株)社製)10重量部を添加した以外は、熱硬化性樹脂含有誘電体ペーストA1と同様にして、熱可塑性樹脂含有誘電体ペーストB1を得た。
熱可塑性樹脂含有接着剤C1
熱可塑性アクリル樹脂(MM747樹脂、藤倉化成(株)社製)2重量部と、メチルエチルケトン、トルエン、エチルアルコールから構成される溶剤100重量部とを有する樹脂溶液を熱可塑性樹脂含有接着剤C1とした。
UV硬化性樹脂含有誘電体ペーストA2
一次分散後の分散物に、熱硬化性アクリル樹脂の代わりに、紫外線(UV)硬化性アクリル樹脂(メタアクリル酸アルキルエステル共重合体樹脂、日本カーバイト(株)社製)10重量部を添加した以外は、熱硬化性樹脂含有誘電体ペーストA1と同様にして、UV硬化性樹脂含有誘電体ペーストA2を得た。
電子線硬化性樹脂含有誘電体ペーストA3
一次分散後の分散物に、熱硬化性アクリル樹脂の代わりに、電子線硬化性アクリル樹脂(メタアクリル酸アルキルエステル共重合体樹脂、日本カーバイト(株)社製)10重量部を添加した以外は、熱硬化性樹脂含有誘電体ペーストA1と同様にして、電子線硬化性樹脂含有誘電体ペーストA3を得た。
熱硬化性樹脂含有誘電体ペーストA4
一次分散後の分散物に、熱硬化性アクリル樹脂の代わりに、熱硬化性エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、大日本インキ化学工業(株)社製)10重量部を添加した以外は、熱硬化性樹脂含有誘電体ペーストA1と同様にして、熱硬化性樹脂含有誘電体ペーストA4を得た。
熱硬化性樹脂含有誘電体ペーストA5
一次分散後の分散物に、熱硬化性アクリル樹脂の代わりに、熱硬化性ウレタンアクリレート樹脂(第一工業製薬(株)社製)10重量部を添加した以外は、熱硬化性樹脂含有誘電体ペーストA1と同様にして、熱硬化性樹脂含有誘電体ペーストA5を得た。
UV硬化性樹脂含有誘電体ペーストA6
一次分散後の分散物に、熱硬化性アクリル樹脂の代わりに、UV硬化性ウレタンアクリレート樹脂(東亜合成(株)社製)10重量部を添加した以外は、熱硬化性樹脂含有誘電体ペーストA1と同様にして、UV硬化性樹脂含有誘電体ペーストA6を得た。
電子線硬化性樹脂含有誘電体ペーストA7
一次分散後の分散物に、熱硬化性アクリル樹脂の代わりに、電子線硬化性ウレタンアクリレート樹脂(東亜合成(株)社製)10重量部を添加した以外は、熱硬化性樹脂含有誘電体ペーストA1と同様にして、電子線硬化性樹脂含有誘電体ペーストA7を得た。
硬化性樹脂含有接着剤D1
熱硬化性アクリル樹脂(メタアクリル酸アルキルエステル共重合体樹脂、日本カーバイド(株)社製)2重量部と、アミン系硬化剤(日本カーバイド(株)社製)0.2重量部と、メチルエチルケトンとトルエンからなる溶剤100重量部とを有する樹脂溶液を、硬化性樹脂含有接着剤D1とした。
電極パターン層用ペースト
まず、添加物(副成分)原料として、(Ba,Ca)SiO:1.48重量部、Y:1.01重量部、MgCO:0.72重量部、MnO:0.13重量部およびV:0.045重量部を準備した。次に、準備したこれらの添加物(副成分)原料を混合し、添加物(副成分)原料混合物を得た。
次いで、添加物原料混合物:100重量部、アセトン:150重量部、ターピネオール:104.3重量部、ポリエチレングリコール系分散剤:1.5重量部を混合して、スラリー化し、得られたスラリーを粉砕機(アシザワ・ファインテック(株) 型式LMZ0.6)により粉砕し、添加物スラリーを得た。
なお、スラリー中の添加物の粉砕は、ローターを周速14m/分の条件で回転させ、スラリーをベッセルとスラリータンクとの間を循環させることにより行った。なお、ベッセルには、直径0.1mmのZrOビーズを、ベッセル容量に対して、80%になるように充填し、また、粉砕は、全スラリーのベッセル内での滞留時間が5分となるように行った。なお、粉砕後の添加物のメジアン径は0.1μmであった。
次いで、粉砕後の添加物スラリーについて、エバポレータを用い、スラリー中からアセトンを蒸発させることにより除去し、添加物原料がターピネオールに分散された添加物スラリーを調製した。なお、アセトンを除去した後の添加物スラリー中の添加物原料濃度は49.3重量%であった。
次いで、ニッケル粉末(粒径0.2μm/川鉄工業(株)):100重量部、添加物スラリー:1.77重量部、BaTiO粉末(粒径0.05μm/堺化学工業(株)):19.14重量部、有機ビヒクル:56.25重量部、ポリエチレングリコール系分散剤:1.19重量部、フタル酸ジオクチル(可塑剤):2.25重量部、イソボニルアセテート:32.19重量部およびアセトン56重量部を、ボールミルを使用して混合してペースト化した。次いで、得られたペーストを、エバポレータおよび加熱機構を備えた攪拌装置を使用して、アセトンを蒸発させることにより、除去し、電極パターン層用ペーストを得た。
なお、ボールミルによる混合は、ボールミル中に2mmφのZrOメディアを30容積%、上記各原料の混合物を60容積%充填し、周速45m/分および16時間の条件で行った。また、上記の有機ビヒクルは、70°Cの温度で、分子量13万のエチルセルロース樹脂:4重量部と分子量23万のエチルセルロース樹脂:4重量部とをイソボニルアセテート:92重量部に撹拌溶解することにより作製した。すなわち、有機ビヒクル中の樹脂含有量(エチルセルロース樹脂の量)は、8重量%とした。
次いで、得られた内部電極用ペーストの粘度を、円錐円盤粘度計(HAAKE社製)を用いて、25℃、剪断速度8sec−1における粘度V、および50sec−1における粘度V50を、それぞれ測定した。測定の結果、V=15.5cps、V50=8.5cps、V/V50=1.72であり、印刷法に良好に用いることができる粘度となっていることが確認できた。
余白パターン用ペースト
まず、内部電極用ペーストと同様にして、添加物原料がターピネオールに分散された添加物スラリーを調製した。
次いで、添加物スラリー:8.87重量部、BaTiO粉末(BT−02/堺化学工業(株)):95.70重量部、有機ビヒクル:104.36重量部、ポリエチレングリコール系分散剤:1.0重量部、フタル酸ジオクチル(可塑剤):2.61重量部、イソボニルアセテート:19.60重量部、アセトン57.20重量部、およびイミダゾリン系界面活性剤(帯電助剤):0.4重量部を、ボールミルを使用して混合してペースト化した。次いで、得られたペーストを、エバポレータおよび加熱機構を備えた攪拌装置を使用して、アセトンを蒸発させることにより、除去し、余白パターン用ペーストを得た。なお、上記有機ビヒクルとしては、内部電極用ペーストと同じ有機ビヒクルを使用した。すなわち、エチルセルロース樹脂の8重量%イソボニルアセテート溶液とした。
次いで、内部電極用ペーストと同様にして、得られた余白パターン用ペーストの粘度を測定した。測定の結果、V=19.9cps、V50=10.6cps、V/V50=1.88であり、印刷法に良好に用いることができる粘度となっていることが確認できた。
実施例1
まず、表面にシリコーン系樹脂により剥離処理を施したPETフィルム(第1支持シート)上に、上記の熱硬化性樹脂含有誘電体ペーストA1を、ノズルコート法により塗布し、次いで、乾燥することにより、図2に示す下側グリーンシート10aを形成した。乾燥炉内にシートを連続して送り込み乾燥を行い、乾燥炉内の温度を80℃とし、乾燥時間は2分間であった。グリーンシートは、乾燥時の膜厚t1が1.0μmとなるように形成した。
次いで、得られたグリーンシートを、熱処理乾燥炉に通し、グリーンシートに含まれる熱硬化性樹脂を硬化させるために、100°Cおよび15分の条件で熱硬化処理を行った。
次に、そのグリーンシート10a上に、上記の内部電極用ペーストを用いて、スクリーン印刷機により印刷し、次いで、90℃および10分の条件で乾燥することにより、所定パターンを有する電極パターン層12aを形成した。内部電極層は、乾燥時の膜厚が1μmとなるように形成した。
次いで、電極パターン層12aを形成したグリーンシート10aの電極パターン層12aが形成されていない部分に、上記の余白パターン用ペーストを、スクリーン印刷機により印刷し、次いで、90℃および10分の条件で乾燥することにより、余白パターン層24を形成した。
次に、第1層目の電極パターン層12aおよび余白パターン層24の上に、ノズルコート塗布により、上記の熱硬化性樹脂含有誘電体ペーストA1を用いてシート化し、中間グリーンシート10bを得た。そのシートを、80°Cの乾燥炉内に連続的に送り込んで溶剤を乾燥させた。乾燥時間は2分で行った。乾燥後のグリーンシート10bの厚さt2は1μmであった。
次いで、得られた中間グリーンシート10bを、熱処理乾燥炉に通し、グリーンシートに含まれる熱硬化性樹脂を硬化させるために、100°Cおよび15分の条件で熱硬化処理を行った。
次に、この中間グリーンシート10bの表面に、第1層目の電極パターン層12aおよび余白パターン層24と同様にして、第2層目の電極パターン層12aおよび余白パターン層24を形成した。
次に、乾燥後の第2層目の電極パターン層12aおよび余白パターン層24の表面に、上記の熱可塑性樹脂含有接着剤C1を用いて、ノズルコート塗布により、上部接着層10cを形成した。このシートを80°Cの乾燥炉内に連続的にシートを送り込んで溶剤を乾燥させた。乾燥時間は2分で行った。乾燥後の上部接着層10cの厚さt3は0.1μmであった。
このようにしてキャリアシート20の上に、下側グリーンシート10a、第1層目の電極パターン層12aおよび余白パターン層24、中間グリーンシート10b、第2層目の電極パターン層12aおよび余白パターン層24、および上部接着層10cから成る積層体ユニットU1を形成した。
キャリアシート20から剥がした積層体ユニットU1を、多数準備し、電極パターン層の積層数が合計で100層となるように熱圧着して積層して積層体を得た。熱圧着時の条件は、100MPaおよび70℃の条件であった。次に、得られた積層体を、ダイシング加工機によって、切断することにより、焼成前のグリーンチップを得た。なお、本実施例では、焼成前のグリーンチップについて、後に説明する方法により、シートアタックの有無について観察した。
次いで、このようにして得られたグリーンチップを、脱バインダ処理、焼成およびアニール(熱処理)を行って、チップ形状の焼結体を作製した。
脱バインダは、
昇温速度:50℃/時間、
保持温度:240℃、
保持時間:8時間、
雰囲気ガス:空気中、
で行った。
焼成は、
昇温速度:300℃/時間、
保持温度:1200℃、
保持時間:2時間、
冷却速度:300℃/時間、
雰囲気ガス:露点20℃に制御されたNガスとH(5%)との混合ガス、
で行った。
アニール(再酸化)は、
保持時間:3時間、
冷却速度:300℃/時間、
雰囲気用ガス:露点20℃に制御されたNガス、
で行った。なお、雰囲気ガスの加湿には、ウェッターを用い、水温0〜75℃にて行った。
次いで、チップ形状の焼結体の端面をサンドブラストにて研磨したのち、In−Ga合金ペーストを端部に塗布し、その後、焼成を行うことにより外部電極を形成し、図1に示す構成の積層セラミックコンデンサのサンプルを得た。焼成後のサンプルの幅0.8mmで、長さ1.6mmであった。
シートアタックの有無の測定
上記にて得られた焼成前のグリーンチップのサンプルについて、シートアタックの発生度合いを測定した。測定は、まず、50個のグリーンチップサンプルを、誘電体層および内部電極層の側面が露出するように、2液硬化性エポキシ樹脂中に埋め込み、その後、2液硬化性エポキシ樹脂を硬化させた。次いで、エポキシ樹脂中に埋め込んだグリーンチップサンプルを、サンドペーパーを使用して、深さ1.6mmまで研磨した。なお、サンドペーパーによる研磨は、#400のサンドペーパー、#800のサンドペーパー、#1000のサンドペーパーおよび#2000のサンドペーパーを、この順に使用することにより行った。次いで、サンドペーパーによる研磨面を、ダイヤモンドペーストを使用して、鏡面研磨処理を施した。そして、光学顕微鏡を使用し、鏡面研磨処理を行った研磨面を、拡大倍率400倍にて、観察し、シートアタックの有無を調べた。光学顕微鏡による観察の結果、全測定サンプルに対する、シートアタックが発生していたサンプルの比率を、シートアタック比率とした。結果を表1に示す。
なお、シートアタックが生じているか否かについては、グリーンシートの厚みが、他の部分に比較して、50%以下に極端に薄くなっている部分があるか否かで判断した。
積層の可否
積層体ユニットU1を、積層方向に重ねて熱圧着して積層体が得られるか否かで判断した。
ショート不良率の測定
ショート不良率は、50個のコンデンササンプルを準備し、ショート不良が発生した個数を調べて測定した。
具体的には、絶縁抵抗計(HEWLETT PACKARD社製E2377Aマルチメーター)を使用して、抵抗値を測定し、抵抗値が100kΩ以下となったサンプルをショート不良サンプルとし、全測定サンプルに対する、ショート不良サンプルの比率をショート不良率とした。結果を表1に示す。
Figure 2006073743
実施例2
下側グリーンシートおよび中間グリーンシートを形成するための誘電体ペーストとして、上記のUV硬化性樹脂含有誘電体ペーストA2を用い、硬化処理として紫外線照射を用いた以外は、実施例1と同様にして、グリーンチップサンプルとコンデンササンプルとを作製し、同様な測定を行った。結果を表1に示す。
実施例3
下側グリーンシートおよび中間グリーンシートを形成するための誘電体ペーストとして、上記の電子線硬化性樹脂含有誘電体ペーストA3を用い、硬化処理として電子線照射を用いた以外は、実施例1と同様にして、グリーンチップサンプルとコンデンササンプルとを作製し、同様な測定を行った。結果を表1に示す。
実施例4
下側グリーンシートおよび中間グリーンシートを形成するための誘電体ペーストとして、上記の熱硬化性樹脂含有誘電体ペーストA4を用いた以外は、実施例1と同様にして、グリーンチップサンプルとコンデンササンプルとを作製し、同様な測定を行った。結果を表1に示す。
実施例5
下側グリーンシートおよび中間グリーンシートを形成するための誘電体ペーストとして、上記の熱硬化性樹脂含有誘電体ペーストA5を用いた以外は、実施例1と同様にして、グリーンチップサンプルとコンデンササンプルとを作製し、同様な測定を行った。結果を表1に示す。
実施例6
下側グリーンシートおよび中間グリーンシートを形成するための誘電体ペーストとして、上記のUV硬化性樹脂含有誘電体ペーストA6を用い、硬化処理として紫外線照射を用いた以外は、実施例1と同様にして、グリーンチップサンプルとコンデンササンプルとを作製し、同様な測定を行った。結果を表1に示す。
実施例7
下側グリーンシートおよび中間グリーンシートを形成するための誘電体ペーストとして、上記の電子線硬化性樹脂含有誘電体ペーストA7を用い、硬化処理として電子線照射を用いた以外は、実施例1と同様にして、グリーンチップサンプルとコンデンササンプルとを作製し、同様な測定を行った。結果を表1に示す。
実施例8
上記の熱可塑性樹脂含有接着剤C1を用いて、転写法により、電極パターン層12aおよび余白パターン層24の表面に上部接着層10cを形成した以外は、実施例1と同様にして、グリーンチップサンプルとコンデンササンプルとを作製し、同様な測定を行った。結果を表1に示す。
実施例9
上部接着層を形成するために、上記の硬化性樹脂含有接着剤D1を硬化させないで用いた以外は、実施例1と同様にして、グリーンチップサンプルとコンデンササンプルとを作製し、同様な測定を行った。結果を表1に示す。
比較例1
上部接着層の形成を行わなかった以外は、実施例1と同様にしてグリーンチップサンプルとコンデンササンプルを作製しようと試みた。
しかし、接着が不十分で積層が良好に行えなかったので、積層体を得ることができず、ショート不良の評価は不可能であった。
比較例2
下側グリーンシートおよび中間グリーンシートを形成するための誘電体ペーストとして、上記の熱可塑性樹脂含有誘電体ペーストB1を用い、硬化処理を行わなかった以外は、比較例1と同様にしてグリーンチップサンプルとコンデンササンプルとを作製し、同様な測定を行った。結果を表1に示す。
比較例3
上部接着層を形成するために、上記の熱可塑性樹脂含有接着剤C1を用いた以外は、比較例2と同様にしてグリーンチップサンプルとコンデンササンプルを作製し、同様な測定を行った。結果を表1に示す。
比較例4
上部接着層を形成するために、上記の硬化性樹脂含有接着剤D1を用い、硬化処理を行った以外は、比較例2と同様にしてグリーンチップサンプルとコンデンササンプルを作製しようと試みた。
しかし、下側シートの接着性により積層接着は可能だが、シートアタックをしているので良品サンプルは得られなかった。結果を表1に示す。
比較例5
中間グリーンシートを形成するための誘電体ペーストとして上記の熱硬化性樹脂含有誘電体ペーストA1を用いて、硬化処理を行った以外は、比較例4と同様にしてグリーンチップサンプルとコンデンササンプルを作製し、同様な測定を行った。結果を表1に示す。
評価
表1に示すように、下側グリーンシートを形成するための誘電体ペーストとして、硬化性樹脂含有誘電体ペーストを用いることで、シートアタックを防止でき、ショート不良率を低減できることが確認できた。また、上部接着層を形成するための接着剤として、熱可塑性樹脂含有接着剤または、硬化前の硬化性樹脂含有接着剤を用いることで、接着性が良好になって、積層が容易であることが確認できた。
図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの概略断面図である。 図2は図1に示す積層セラミックコンデンサの製造方法の1製造過程を示す要部断面図である。 図3は図2の続きの工程を示す要部断面図である。 図4は本発明の他の実施形態に係る積層セラミックコンデンサの製造方法の1製造過程を示す要部断面図である。 図5は本発明のさらに他の実施形態に係る積層セラミックコンデンサの製造方法の1製造過程を示す要部断面図である。 図6(A)〜図6(C)は、接着層の形成方法の他の例を示す要部断面図である。
符号の説明
2… 積層セラミックコンデンサ
4… コンデンサ素体
6,8… 端子電極
10… 誘電体層
10a… 下側グリーンシート
10b… 中間グリーンシート
10c… 上部接着層
12… 内部電極層
12a… 電極パターン層
20… キャリアシート(支持体)
26… キャリアシート(支持体)
24… 余白パターン層
U1… 積層体ユニット
U1a… 積層体ユニット

Claims (12)

  1. 支持体上に、セラミック粉を少なくとも含む下側グリーンシートを形成する工程と、
    前記下側グリーンシートの表面に電極パターン層を形成する工程と、
    前記下側グリーンシートと、前記電極パターン層とを少なくとも含む積層体ユニットを積層し、グリーンチップを形成する工程と、
    前記グリーンチップを焼成する工程と、を有する積層型電子部品の製造方法であって、
    前記支持体上に形成される下側グリーンシートには、硬化性樹脂のバインダが含まれ、この下側グリーンシートの上に前記電極パターン層を形成する前に、前記下側グリーンシート内の硬化性樹脂を硬化させ、電極パターン層を形成した後、前記電極パターン層の表面に上部接着層を形成することを特徴とする積層型電子部品の製造方法。
  2. 前記下側グリーンシートの上に電極パターン層を形成した後、前記電極パターン層の上に、硬化性樹脂のバインダを含む中間グリーンシートを形成する工程と、
    その後に、前記中間グリーンシート内の硬化性樹脂を硬化させる工程と、
    その後に、前記中間グリーンシートの上に電極パターン層を形成する工程と、をさらに有し、
    前記支持シートの上に、1層以上の前記中間グリーンシートを介して2層以上の前記電極パターン層を形成し、
    最も上側に位置する電極パターン層の上には、前記上部接着層を形成し、
    前記積層体ユニットを、前記下側グリーンシートと、一層以上の前記中間グリーンシートと、二層以上の前記電極パターン層と、前記上部接着層とで構成することを特徴とする請求項1に記載の積層型電子部品の製造方法。
  3. 前記上部接着層は、熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の積層型電子部品の製造方法。
  4. 前記上部接着層は、硬化前の硬化性樹脂を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の積層型電子部品の製造方法。
  5. 前記中間グリーンシートの厚みは、前記下側グリーンシートの厚みに略等しい請求項2〜4のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。
  6. 前記下側グリーンシートの厚みは、3μm以下である請求項1〜5のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。
  7. 前記上部接着層の厚みは、0.02〜0.3μmである請求項1〜6のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。
  8. 前記電極パターン層の上に前記中間グリーンシートまたは前記上部接着層を形成する前に、前記電極パターン層が形成されていない前記グリーンシート上の余白部分に、余白パターン層を形成する工程をさらに有する請求項2〜7のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。
  9. 支持体上に、セラミック粉と硬化性樹脂のバインダとを少なくとも含む下側グリーンシートを形成する工程と、
    前記下側グリーンシートに含まれる前記硬化性樹脂を硬化させる工程と、
    前記下側グリーンシートの表面に電極パターン層を形成する工程と、
    前記電極パターン層の上に、セラミック粉と硬化性樹脂のバインダとを少なくとも含む中間グリーンシートを形成する工程と、
    前記中間グリーンシート内の硬化性樹脂を硬化させる工程と、
    前記中間グリーンシートの上に電極パターン層を形成する工程と、有し、
    前記支持シートの上に、1層以上の前記中間グリーンシートを介して2層以上の前記電極パターン層を形成し、
    最も上側に位置する電極パターン層の上には、硬化前の硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を含む上部接着層を形成し、
    単一の前記下側グリーンシートと、1層以上50層以下の前記中間グリーンシートと、2層以上51層以下の前記電極パターン層と、単一の前記上部接着層とから成る積層体ユニットを前記支持体上に形成し、
    前記支持体を剥がした前記積層体ユニットを、前記下側グリーンシートと前記上部接着層とが接触するように、二つ以上積層してグリーンチップを形成し、その後、前記グリーンチップを焼成することを特徴とする積層型電子部品の製造方法。
  10. 前記硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂のいずれかである請求項1〜9のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。
  11. 前記上部接着層を、塗布法により形成する請求項1〜10のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。
  12. 前記上部接着層を、転写法により形成する請求項1〜11のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。
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