JP2006073715A - 太陽電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 良好な水素濃度およびシート抵抗値を有し、もって高いキャリアライフタイムおよび高い変換効率を有する太陽電池を提供すること
【解決手段】 P型の結晶質シリコン基板の受光面側に窒化シリコン膜を有し、受光面と対向する面にアルミニウムを焼成して形成された電極を有する太陽電池であって、前記窒化シリコン膜中の水素の結合密度が4.0×1021cm−3以上5.0×1021cm−3以下であり、かつ受光面と対向する側に形成されるP+層のシート抵抗値が30Ω/□以上35Ω/□以下であることを特徴とする太陽電池を提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】 P型の結晶質シリコン基板の受光面側に窒化シリコン膜を有し、受光面と対向する面にアルミニウムを焼成して形成された電極を有する太陽電池であって、前記窒化シリコン膜中の水素の結合密度が4.0×1021cm−3以上5.0×1021cm−3以下であり、かつ受光面と対向する側に形成されるP+層のシート抵抗値が30Ω/□以上35Ω/□以下であることを特徴とする太陽電池を提供する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、太陽電池に関し、より詳細には、少数キャリアのライフタイムおよび変換効率が良好な太陽電池に関する。
半導体または半導体デバイスの電気的特性は、内部に含まれる不純物や欠陥によって大きく左右される。したがって、半導体または半導体デバイスに含まれる不純物や欠陥を制御することは重要であり、このような不純物や欠陥の制御は半導体を材料として用いた太陽電池においても要求されている。
一般に、結晶質シリコン基板を用いた太陽電池では、材料となる結晶質シリコン基板に含まれる不純物や欠陥が多ければ多いほど太陽電池の特性を低くすることが知られている。そのため製造工程のなかで、基板に含まれる不純物をデバイスの特性に影響のない場所に移動させるゲッタリングや、欠陥を不活性化するパッシベーションといった技術が数多く開発されている。
こうした技術の一つとして、P型結晶シリコン基板の片側の面にプラズマCVD法で窒化シリコン膜を堆積し、もう片方の面にはアルミニウムを堆積した後、この基板をシリコンとアルミニウムの共晶温度以上に加熱する方法がある。下記非特許文献1ではこの方法によって、窒化シリコン膜中に含まれる水素が加熱中に放出され、シリコン基板内に入り込み、シリコン基板内に存在する欠陥を終端し、不活性化することによって、基板の少数キャリアのライフタイム値を大きく伸ばすことが記載されている。
下記非特許文献1に記載の方法が太陽電池の分野で有用である理由は、窒化シリコン膜の堆積が反射防止膜の形成を兼ね、また、アルミニウムの堆積後の焼成が太陽電池の特性向上に必要不可欠である裏面電界層の形成を兼ねる、という具合に太陽電池製造プロセスに合致しており、他に余分な作業工程を加えることなくシリコン基板を高品質化できるからである。
一方、上記方法を発展させたものとして、高速熱処理(Rapid Thermal Process,以下RTPと略記)を利用した方法もある。RTPとはデバイスの製造において、焼成プロセスを従来よりも大幅に高速化する方法のことである。この方法はもともと半導体デバイスの製造プロセス等でドーパントの拡散の深さなどを制御することを主な目的とした技術であるが、太陽電池の分野では、プロセスの時間を短くすることによるスループットの向上とそれにともなうコスト低減を主要な目的として取り入れられている。
しかしながら、当初はRTPを採用することでスループットを向上することはできるものの、太陽電池セル特性自体は低下すると一般に認識されていた。しかし、最近では下記非特許文献1に開示されるように、窒化シリコン膜とアルミニウムの焼成にRTPを用いると、従来よりも高いシリコン基板改質効果が見られ、それにより太陽電池の特性が向上したという報告がある。
従来までの焼成過程に対するRTPの基板改質効果の優位性は、窒化シリコン膜からシリコン基板への水素の量と関係付けられている。すなわち、下記非特許文献2によれば、窒化シリコン膜からシリコン基板に水素を放出するためには、高温で焼成することが必要となるが、逆に高温で保持している時間が長すぎると一度シリコン基板に取り込んだ水素を再度放出することになるため、焼成している時間の短いRTPが優位であると記載されている。
しかし、非特許文献2では、具体的な水素の物性値に関して開示も示唆もなく、太陽電池の特性に大きな影響を与える裏面電界層(BSF)に対する検討もされておらず、RTPの優位性を肯定することは難しい。実際、非特許文献2と同じ研究グループから発表された非特許文献3では、アルミニウムの焼成をRTP炉を使用して昇温過程と降温過程を急速に行なう方法として、高温での保持時間を1分間と1秒間にした条件を比較した実験を行なっているが、これらの異なる2条件で得られた太陽電池特性の最高値は全く同等であり、優劣は認められない。したがって非特許文献1および2の開示内容からは、高温処理自体が基板の品質を劣化させる効果とRTPで水素を基板にとどめる効果とを区別できていない。さらに、セル特性に大きな影響を与える裏面電界層の構造について、厚さに対する議論は記載されているが、シリコン中のドーパント濃度を反映しているシート抵抗値と太陽電池特性との相関関係については何ら記載されていない。
一方、非特許文献4においては、RTPで焼成する前に、プラズマCVDを用いて窒化シリコン膜を形成する際、プラズマの周波数が低い方がシリコン基板の表面に水素の取り込みを多くでき、この場合アルミニウムの焼成温度の最適値は相対的に低くなるとしている。しかし、この技術は単にシリコン基板からの水素の脱離を低減することを意図しているため、基板自体の品質だけを指標にしており、セル変換効率との直接的な相関を記載してはいない。したがって、裏面電界層に関する開示もなく、デバイスの性能については全く示唆もされていない。
上述したように、従来の技術における、RTPを使用して窒化シリコン膜とアルミニウムを堆積したシリコン基板を焼成する方法は、シリコン基板に十分に水素を取り込むことに注力されているものの、水素に関する定量的なデータとセル特性との相関を示した前例はなく、さらに、最適な裏面電界層を同時に形成し、デバイスとしての性能を評価したものはなく、真に優れた特性を有する太陽電池を得ることができるか否かは不明であり問題であった。
米国特許第5510271号公報
J.Appl.Phys.,2000,87,p7551
Appl.Phys.Lett.,2003,82,p224
3rd World Conference on Photovoltaic Energy Conversion (4P−B4−39)
3rd World Conference on Photovoltaic Energy Conversion (4P−C4−8)
本発明は、上記従来の技術の問題を解決するためになされたものであり、良好な水素濃度およびシート抵抗値を有し、もって高い少数キャリアライフタイムおよび高い変換効率を有する太陽電池を提供することを目的とする。
本発明の1つの局面によれば、P型の結晶質シリコン基板の受光面側に窒化シリコン膜を有し、受光面と対向する面にアルミニウムを焼成して形成された電極を有する太陽電池であって、前記窒化シリコン膜中の水素の結合密度が4.0×1021cm−3以上5.0×1021cm−3以下であり、かつ受光面と対向する側に形成されP+層のシート抵抗値が30Ω/□以上35Ω/□以下であることを特徴とする太陽電池が提供される。
本発明によれば、窒化シリコン膜およびアルミニウムを堆積したシリコン基板を焼成する際に、シリコン基板に十分に水素を取り込むと同時に、一度基板に取り込んだ水素を基板内部に保持し続け、かつ最適な裏面電界層を形成するという複数の条件を満たすことができるようになり、従って太陽電池の変換効率を向上させることができる。
本発明の太陽電池は、P型の結晶質シリコン基板の受光面側に窒化シリコン膜を有し、受光面と対向する面にアルミニウムを焼成したことによって形成した電極を有する太陽電池であって、前記窒化シリコン膜中の水素の結合密度が4×1021cm−3以上5×1021cm−3以下であり、かつ受光面と対向する側に形成される裏面電界層のシート抵抗値が30Ω/□以上35Ω/□以下であることを特徴とする。
このような太陽電池は焼成後の状態でシリコン基板に十分に水素を取り込んでおり、かつ最適なP+層が形成されているため、従来よりも特性の向上した太陽電池となる。
以下、本発明を、図を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の太陽電池の製造プロセスを示す、概略断面図である。なお、本実施形態においては、基板1としてP型多結晶シリコン基板を用いた例を示すが、別の基板を用いる場合は、下記の工程で示す各処理材料として、それに適した公知の材料を用いることができる。
まず、図1(a)のように、洗浄のために、NH4OH/H2O2/H2O溶液で基板1をボイルした後、HF/H2O溶液にて酸化膜を除去し、その後、HCl/H2O2/H2O溶液でボイルする。つぎに、純水で充分にリンスした後、表面ダメージ層を除去するために、HNO3/HF混合溶液でエッチングをし、次いでテクスチャ加工の目的で、NaOH水溶液による異方性エッチングを行ない、その後スピン乾燥する。
次いで、図1(b)に示すように、基板1の表面にn型半導体層2を形成することを目的として、POCl3の気相拡散によって、PをN2およびO2の雰囲気中、850℃にて約10分間拡散する。
続いて、図1(c)に示すように、基板1の受光面以外の部分、すなわち、基板1の裏面および側面などに形成された拡散層2’を除去するために、受光面として使用する部分に耐酸性のテープを貼って保護した後、HNO3/HF混合溶液でエッチングを行なう。
続いて、図1(d)に示すように、反射防止膜3の形成を目的として、受光面側のn型半導体層2の上に、プラズマCVD法によって、厚さ700nmの窒化シリコン膜を堆積する。
続いて、図1(e)に示すように、基板1の裏面側に電極層を形成するために、Alペースト4を基板1の縁を1mm残すようにして、ほぼ全面にスクリーン印刷し、150℃で充分に乾燥させる。
続いて、図1(f)に示すように、Alペースト4の焼成により、SiとAlとの合金層を形成し、裏面電界層(BSF)効果のあるp+層5および裏面電極層6を形成する。
ここで、本実施形態において基板を加熱するために用いた高速熱処理用の炉の横断面を図2に模式的に示す。図2に示す装置を用いた理由は、熱処理過程における昇温速度および降温速度を正確に制御するためであるが、温度を十分に制御可能ならば、図2に示す炉に限定されることなく、その他の構成の装置を用いることも可能である。
図2において、まず、炉の扉23から、焼成すべきシリコン基板21を、石英ガラスでできたチェンバ22の中に挿入し、上下に設置されたタングステン・ハロゲンランプ24によって基板21を加熱する。基板の温度は、室温付近の低温領域においては、基板21のすぐそばにおいたダミーシリコン基板25上の熱電対によって観測することができる。また、SiとAlが反応を起こすような高温領域においては、基板21の下方に設置された赤外放射温度計(パイロメータ)26によって観測する。
パイロメータ26は、温度を正確にモニターするために、あらかじめ熱電対を用いて温度校正を行なうことが好ましい。熱処理は、特定の最高温度まで昇温して当該最高時間で維持し、その後、特定の温度まで降温する。炉には、窒素と酸素を、チェンバの後の部分27から流す。それぞれの流量は、窒素を2SLM(標準状態でのL/分)とし、酸素を2SLMとすることができる。
続いて、図1(g)に示すように、受光面側にスクリーン印刷で銀ペーストを印刷し、ベルト炉で焼成して、受光面側に電極7を形成する。
このようにして、本発明の太陽電池を製造することができる。このような太陽電池は、P型シリコン基板の片方の面に窒化シリコン膜を堆積し、もう片方の面に蒸着法または印刷法によってアルミニウムを堆積した後、その基板をシリコンとアルミニウムの共晶温度以上で加熱する工程で、共晶温度以上に加熱する時の最高温度を780℃以上860℃以下とし、なおかつ最高温度で保持する時間が3秒以上10秒以下とすることを特徴とする。
本発明において、窒化シリコン膜中の水素の結合密度が4.0×1021cm−3以上5.0×1021cm−3以下であり、かつ受光面と対向する側に形成される裏面電界層として機能するP+のシート抵抗値が30Ω/□以上35Ω/□以下であることを特徴とする。窒化シリコン膜中の水素の結合密度が4.0×1021cm−3未満であると、裏面電極の焼成の際に窒化シリコン膜からの水素の放出量が多すぎるため、シリコン基板内への水素の供給が十分でなくなるおそれがある。また、5.0×1021cm−3を超えると、裏面電極の焼成の際に窒化シリコン膜からの水素の放出量が少なすぎるため、上記と同様にシリコン基板内への水素の供給が十分でなくなるおそれがある。好ましくは、4.2×1021cm−3以上4.8×1021cm−3以下である。
また、本発明において、受光面と対向する側に形成されるP+層のシート抵抗値は、30Ω/□以上35Ω/□以下であることを特徴とする。受光面と対向する側に形成される裏面電界層のシート抵抗値が30Ω/□未満であると、シリコン基板へのアルミニウムの拡散が過度に高濃度であるため、シリコン基板中の少数キャリアのライフタイムを低下させ、結果的に太陽電池の電流が低下するおそれがあり、35Ω/□を超えると、シリコン基板へのアルミニウムの拡散が十分でないため、適正なP+層が形成されておらず、太陽電池の電流が低下するおそれがある。好ましくは、31Ω/□以上34Ω/□以下である。
本発明において、窒化シリコン膜中に含まれる水素の結合密度は次のように測定することができる。太陽電池で使用される窒化シリコン膜中に含まれる水素はSi−H結合あるいはN−H結合の形で存在している。そこで、これらの結合密度の和が膜中に含まれる水素の結合密度である。このような考えのもと、まず窒化シリコン膜中に含まれるSi−H結合密度とN−H結合密度との和を測定するために、フーリエ変換赤外分光法(以下FT−IRと略す)によって窒化シリコン膜の赤外吸収スペクトルを観測する。フーリエ変換赤外分光法のデータからSi−H結合密度とN−H結合密度との和は以下のように求められる。まず、各結合の種類ごとの密度は次の式(1)によって与えられる。
NHi=(1.4×1020/d)・(Ai/ωi) …(1)
ただし、NHi(i=1,2):水素濃度cm−3、d:膜厚cm、Ai(i=1,2):積分強度、ωi(i=1,2):ピーク中心位置、である。dはエリプソメトリなどを用いて求めることができる。また、1.4×1020は赤外吸収スペクトル強度を水素密度に変換するための比例定数である。
ただし、NHi(i=1,2):水素濃度cm−3、d:膜厚cm、Ai(i=1,2):積分強度、ωi(i=1,2):ピーク中心位置、である。dはエリプソメトリなどを用いて求めることができる。また、1.4×1020は赤外吸収スペクトル強度を水素密度に変換するための比例定数である。
なお、式(1)中のAi/ωiは、本来∫(α(ω)/ω)dω、でなければならない。ただし、α(ω)は波長ωのときの吸光度である。しかしながら、計算の煩雑さのために、近似的に式(1)を用いることができる。この近似によって生じる誤差は通常1%以内であるので計算上は問題がないと推定される。
式(1)より、
NSi:Si−Hとして存在している水素密度
NN:N−Hとして存在している水素密度
がそれぞれ求められるので、最終的に窒化シリコン膜中のSi−H結合密度とN−H結合密度との和は次の式(2)によって求められる。
NSi:Si−Hとして存在している水素密度
NN:N−Hとして存在している水素密度
がそれぞれ求められるので、最終的に窒化シリコン膜中のSi−H結合密度とN−H結合密度との和は次の式(2)によって求められる。
NH=NSi+NN …(2)
また、裏面電界層のシート抵抗値の測定は以下のような方法で測定できる。P型シリコン基板にアルミニウムを拡散して形成したP+層のシート抵抗値は次の式(3)を使って求められる。
また、裏面電界層のシート抵抗値の測定は以下のような方法で測定できる。P型シリコン基板にアルミニウムを拡散して形成したP+層のシート抵抗値は次の式(3)を使って求められる。
(1/Rm)=(1/Rbulk)+(1/Rp+) …(3)
ただし、Rm:測定値、Rbulk:拡散層を含まないシリコン基板のシート抵抗値、Rp+:P+層のシート抵抗値、である。ここで、Rbulk=ρ/dと表すことができる。なお、ρ:基板の抵抗率、d:P+層を除いたシリコン基板の厚さ、である。P+層の厚さは走査型電子顕微鏡(SEM)で非特許文献4に示してある方法と同様の方法で求めることができる。
ただし、Rm:測定値、Rbulk:拡散層を含まないシリコン基板のシート抵抗値、Rp+:P+層のシート抵抗値、である。ここで、Rbulk=ρ/dと表すことができる。なお、ρ:基板の抵抗率、d:P+層を除いたシリコン基板の厚さ、である。P+層の厚さは走査型電子顕微鏡(SEM)で非特許文献4に示してある方法と同様の方法で求めることができる。
本発明において、製造した太陽電池の特性は、ソーラーシミュレータを用いて、当該分野で公知の手法により、測定することができる。
(実施例1)
基板1として、抵抗率0.5Ωcm,厚さ350μm,初期ライフタイム10μs程度の特性を有する、p型多結晶シリコン基板を用い、図1に示した各工程を経て、本発明の太陽電池を作製した。なお、本実施例1においては、図1(f)に示す熱処理工程において、昇温速度80℃/sで780℃まで昇温し、最高温度である780℃に達した後、3秒間この温度を維持し、その後、降温速度50℃/sで550℃まで温度を下げた。
基板1として、抵抗率0.5Ωcm,厚さ350μm,初期ライフタイム10μs程度の特性を有する、p型多結晶シリコン基板を用い、図1に示した各工程を経て、本発明の太陽電池を作製した。なお、本実施例1においては、図1(f)に示す熱処理工程において、昇温速度80℃/sで780℃まで昇温し、最高温度である780℃に達した後、3秒間この温度を維持し、その後、降温速度50℃/sで550℃まで温度を下げた。
製造した太陽電池において、当該太陽電池の特性を詳細に調べるために、まず窒化シリコン膜中の水素結合密度を求め、図3のグラフにプロットした。図3において、縦軸は水素密度を示し、横軸は最高温度での保持時間を示す。
続いて、太陽電池をHCl/H2O溶液につけて裏面電極を剥離した。その後、裏面電界層のシート抵抗値を求め、測定結果を図4のグラフにプロットした。図4において、縦軸はp+層シート抵抗値を示し、横軸は最高温度での保持時間を示す。
続いて、受光面側の電極、n+拡散層、裏面電極と裏面電解層を、HNO3/HF混合溶液でエッチングして取り除き、洗浄のために、NH4OH/H2O2/H2O溶液でボイルした後、HF/H2O溶液にて酸化膜を除去し、その後、HCl/H2O2/H2O溶液でボイルした。最後に、純水で充分にリンスした後、スピン乾燥を行ない、ライフタイムをマイクロ波PCD(Photoconductive Decay)法によって測定し、その結果を図5のグラフにプロットした。図5において、縦軸はライフタイムを示し、横軸は最高温度での保持時間を示す。
また、製造した太陽電池について、ソーラーシミュレータ(条件AM1.5、25℃)で、太陽電池のエネルギー変換効率を測定した。その結果を図6のグラフにプロットした。図6において、縦軸は変換効率を示し、横軸は最高温度での保持時間を示す。
(実施例2〜6)
実施例1における図1(f)の焼成工程において、最高温度と、その最高温度で保持する時間を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様の手順で太陽電池を作製し、実施例1と同様の測定および分析を行ない、その結果を図3〜6に併記する。
実施例1における図1(f)の焼成工程において、最高温度と、その最高温度で保持する時間を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様の手順で太陽電池を作製し、実施例1と同様の測定および分析を行ない、その結果を図3〜6に併記する。
(比較例1〜19)
実施例1における図1(f)の焼成工程において、最高温度と、その最高温度で保持する時間を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様の手順で太陽電池を作製し、実施例1と同様の測定および分析を行ない、その結果を図3〜6に併記する。
実施例1における図1(f)の焼成工程において、最高温度と、その最高温度で保持する時間を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様の手順で太陽電池を作製し、実施例1と同様の測定および分析を行ない、その結果を図3〜6に併記する。
実施例1〜6および比較例1〜19の結果を示す図3〜6から次のことが明らかとなった。
まず、図3の水素結合濃度から、熱処理温度が高いほど、また高温での保持時間が長いほど、窒化シリコン膜からの水素の放出が多いと言える。放出した水素は一度シリコン基板内に入り込み、その内の一部の水素は焼成雰囲気中に再放出されると考えられる。したがって、窒化シリコン膜からシリコン基板への水素の供給は十分な量が焼成の最後まで継続される必要がある。よって、焼成後の水素結合濃度が低い窒化シリコン膜を持つ太陽電池はすでに焼成中に水素の供給が十分ではなくなったと判断でき、シリコン基板の水素によるパッシベーションが適切ではないと考えられる。
逆に、熱処理温度が低くまた高温での保持時間が短いと、水素結合濃度は相対的に高くなっている。この場合、そもそも窒化シリコン膜からシリコン基板へ水素の供給量が少ないと考えられる。したがって、水素結合濃度が高い窒化シリコン膜を持つ太陽電池は水素によるパッシベーションが十分ではないと考えられる。
図5から判断すると処理後のライフタイムが高い焼成条件は、780℃以上860℃以下の温度で3秒以上10秒以下での焼成である。図3から、これらの条件は、窒化シリコン膜の水素密度が4.0×1021cm−3以上5.0×1021cm−3以下のときに相当する。従ってこの範囲がシリコン基板への水素の供給が適正であり、この条件のときの基板のライフタイムが高いと判断される。
つぎに、裏面電界層として機能するP+層の形成という観点から見ると、熱処理温度が高いほどP+層のシート抵抗値が低くなる。高温での保持時間もシート抵抗値に影響するが、熱処理温度の方が支配的なパラメータであるように思われる。したがって、熱処理温度が低すぎるとP+層のシート抵抗は高くなる。この場合、P+層が適正に形成されず、変換効率を低下させる。逆にあまり温度が高すぎるとP+層が高濃度になりすぎ、基板のライフタイムを低くすることにつながり、これもまた変換効率を低下させる。図6から判断すると変換効率が高くなる条件は780℃以上860℃以下の温度で3秒以上10秒以下での焼成である。これを踏まえて図4を見るとこれらの結果はシート抵抗値が30Ω/□以上35Ω/□以下である場合に得られていることがわかる。従ってこの範囲のシート抵抗値が高い変換効率を得るのに有効であると判断できる。
以上のような窒化シリコン膜の条件とP+層のシート抵抗値を満たすためには焼成の際、共晶温度以上に加熱する時の最高温度が780℃以上860℃以下であり、最高温度で保持する時間が3秒以上10秒以下であることが必要であることが明らかとなった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,21 基板、2 n型半導体層、2’ 拡散層、3 反射防止層、4 Alペースト、5 p+層、6 裏面電極層、7 電極、22 チェンバ、23 炉の扉、24 タングステン・ハロゲンランプ、25 ダミーシリコン基板、26 赤外放射温度計、27 チェンバの後の部分。
Claims (3)
- P型の結晶質シリコン基板の受光面側に窒化シリコン膜を有し、受光面と対向する面にアルミニウムを焼成して形成された裏面電極を有する太陽電池であって、
前記窒化シリコン膜中の水素の結合密度が4×1021cm−3以上5×1021cm−3以下であり、かつ受光面と対向する側に形成されたP+層のシート抵抗値が30Ω/□以上35Ω/□以下であることを特徴とする太陽電池。 - 窒化シリコン膜中に電極をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池。
- アルミニウムの焼成は、シリコンとアルミニウムとの共晶温度以上で行われることを特徴とする、請求項1または2に記載の太陽電池。
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