JP2006073675A - リング状マグネット及びこれを用いたマグネットロータ、アクチュエータ - Google Patents

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Abstract

【課題】 回転軸の空回りを確実に防止し、指針の取り付けを簡単なものとする。
【解決手段】 希土類磁石により形成されるとともに、径方向に磁気異方性を有し、且つ回転軸4が挿通される軸孔2を有するリング状のマグネットである。リング状マグネット1は、外形形状が略真円形状とされるとともに、前記軸孔2の形状がこれとは異なる異形形状とされ、且つ軸孔形状が対称形状であり、その対称軸方向が磁気異方性方向と略一致するように設定されている。対称形状は、線対称形状であり、対称軸を1本又は2本のみ有する。具体的形状としては、例えば矩形、菱形、楕円、小判型、径を拡大する切り欠きを有する形状である。マグネットロータにおいては、リング状マグネット1の軸孔2に樹脂部3(及び回転軸4)が配置され、樹脂部3(及び回転軸4)とリング状マグネット1が一体となって回転する構造とされている。回転軸4には指針5が取り付けられる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、リング状マグネットに関するものであり、さらには、これを用いたマグネットロータ及びマグネットロータを備えたアクチュエータに関するものである。
希土類焼結磁石、例えばNd−Fe−B系焼結磁石は、磁気特性に優れていること、主成分であるNdが資源的に豊富で比較的安価であること等の利点を有することから、近年、その需要は益々拡大する傾向にある。例えば、回転型アクチュエータにおけるマグネットロータ等も、その一つである(例えば、特許文献1や特許文献2等を参照)。回転型アクチュエータのマグネットロータに高性能な希土類焼結磁石を用いることで、これを小型化した際にも十分な回転駆動力を得ることができ、機器の小型化を図る上で有効である。
回転型アクチュエータでは、径方向に着磁されたリング状マグネットが可動マグネット(マグネットロータ)として利用され、その中心部に回転軸及び指針を固定することで、例えば電流計、電圧計等、各種指示計として使用することができる。
一方、希土類焼結磁石の製造方法としては、粉末冶金法が知られており、低コストでの製造が可能なことから、広く用いられている。粉末冶金法では、先ず、原料合金インゴットを粗粉砕及び微粉砕し、粒径が数μm程度の原料合金微粉を得る。このようにして得られた原料合金微粉を静磁場中で磁場配向させ、磁場を印加した状態でプレス成形を行う。磁場中成形後、成形体を真空中、または不活性ガス雰囲気中で焼結を行う。
ここで、リング状マグネットを製造するに際しては、その形状の制御が重要であり、これまで如何にして真円形状に近いものを製造するかに力が注がれている(例えば、特許文献3等を参照)。特許文献3には、圧縮方向と直交するように磁界を径方向に印加し、圧縮成形する希土類・ボロン・鉄系の径2極異方性磁石の成形方法において、異方性方向に長い楕円状の成形空間を構成するダイス及びパンチからなる金型を用いることが開示されている。特許文献3記載の発明では、異方性方向と他の方向の収縮率の差を利用し、楕円状に成形することで、焼結後に外形が真円に近くなるようにしている。
特開平7−159443号公報 特開平11−108957号公報 特開昭62−29116号公報
ところで、これまでのリング状マグネットにおいては、外形についても内形についても真円(正円)であることが通常であり、それ以外の形状についてはほとんど考慮されていないのが実情である。
しかしながら、前記回転型アクチュエータにおけるマグネットロータ等を考えた場合、特に内形形状が真円であると、回転軸とリング状マグネットが空回りする可能性があり、その改善が課題となっている。前記リング状マグネットを前記回転型アクチュエータのロータとして使用する場合、内形にメタルブッシュにより回転軸を固定するとコスト増を招く結果となるので、樹脂を内形にアウトサート成形し、ここに回転軸を圧入することが行われているが、前記傾向は、特にこのように回転軸を樹脂により固定する場合に顕著である。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものである。すなわち、本発明は、回転軸の空回りを確実に防止することができるリング状マグネットを提供することを目的とする。また、本発明は、回転軸がリング状マグネットに対して空回りすることのない信頼性の高いマグネットロータを提供することを目的とし、高性能、高信頼性を有するアクチュエータを提供することを目的とする。
前述の目的を達成するために、本発明のリング状マグネットは、希土類磁石により形成されるとともに、径方向に磁気異方性を有し、且つ回転軸が挿通される軸孔を有するリング状のマグネットであって、外形形状が略真円形状とされるとともに、前記軸孔の形状がこれとは異なる異形形状とされ、且つ前記軸孔形状が対称形状であり、その対称軸方向が前記磁気異方性方向と略一致するように設定されていることを特徴とする。また、本発明のマグネットロータは、前記リング状マグネットを備え、当該リング状マグネットの軸孔に樹脂部が配置されるとともに、樹脂部とリング状マグネットが一体となって回転する構造とされていることを特徴とする。
本発明では、軸孔の形状が外形形状(真円形状)と異なる異形形状とされているので、回転軸を固定する樹脂のリング状マグネットからの脱離が抑制され、回転軸の空回りが解消される。すなわち、仮に前記樹脂がリング状マグネットから剥離したとしても、軸孔形状が方向性を有するので、この形状に倣った樹脂部が軸孔内で不用意に回転することはなく、回転軸の空回りが解消される。
さらに、本発明のリング状マグネットでは、ただ単に軸孔形状を異形形状としただけでなく、軸孔形状が対称形状とされ、その対称軸方向が前記磁気異方性方向と略一致するように設定されている。したがって、本発明のリング状マグネットでは、軸孔の対象軸方向から配向方向(着磁方向)を一目で把握することができ、指針の取り付け方向が、前記軸孔の形状(対称軸)によって容易に決定される。したがって、指針の方向が常にリング状マグネットの配向方向に対して適正なものとなるように取り付けられ、指針取り付け作業の作業性が大幅に改善される。軸孔の形状を異方形状、例えば方形状とすることについては、例えば特許文献2にも開示されるが、前記考え(軸孔形状を対称形状とし、その対称軸方向がリング状マグネットの磁気異方性方向と略一致するように設定すること。)は特許文献2には全く記載されておらず、この点が本発明の大きな特徴である。
本発明のリング状マグネット、マグネットロータにおいては、高価なメタルブッシュを用いることなく、樹脂部により回転軸を固定する構造としており、この点において製造コスト削減という利点を有する。また、本発明のリング状マグネット、マグネットロータによれば、外形形状を真円形状、内形形状を異形形状としているので、例えば樹脂部を介して回転軸を固定した際に、回転軸の空回りを確実に防止することができる。さらに、本発明のリング状マグネットにおいては、軸孔形状を対称形状とし、その対称軸方向がリング状マグネットの磁気異方性方向と略一致するように設定しているので、指針の取り付けも簡単、且つ確実に行うことができる。したがって、回転軸がリング状マグネットに対して空回りすることのない、高性能、高信頼性を有するマグネットロータ、アクチュエータを安価に提供することが可能である。
以下、本発明を適用したリング状マグネット、マグネットロータ、及びアクチュエータについて、図面を参照して説明する。
先ず、本発明のリング状マグネット1は、図1〜図6示すように、外形形状が円形で、その中心部に軸孔2を有するものである。通常のリング状マグネットでは、外形形状、内形形状(軸孔2の形状)のいずれもが真円形状とされるが、本例の場合には、外形形状は従来のものと同様、ほぼ真円形状であるのに対して、内形形状は外形形状(すなわち真円形状)とは異なる異形形状とされている。なお、リング状マグネット1の外形形状は、前記の通り基本的には真円形状とするが、必ずしも正確に真円形状である必要はなく、成形や外形加工の際の機械精度等によって生ずる真円からの若干のずれは許容される。
具体的には、図1に示す例では、軸孔2が正円、又は楕円とこれに連なる小さな部分円形状の凹部2aとからなる形状とされている。前記凹部は、例えば金型による成形、あるいは切り欠き等により形成することができる。図2に示す例では、軸孔2が矩形状である。図3に示す例では、軸孔が楕円形状である。図4に示す例では、軸孔4が菱形である。図5に示す例では、軸孔2が長孔型である。図6に示す例では、円または楕円と、その直径または長軸方向両端部の小さな部分円形状の凹部2aとからなる。なお、ここで部分円とは、円または楕円の一部が欠けた形状を意味し、その形成位置は、全体の対称形状が保たれる限りにおいて任意である。
これら各例の軸孔2の形状に共通することは、対称形状、特に線対称形状であることである。図1〜図6の例では、それぞれ矢印で示すような対称軸を引くことができる。ここで、軸孔2の形状として採用する対称形状としては、前記対称軸を1本、または2本のみ引くことができる形状であることが好ましい。例えば、円形や方形、正多角形等も対称形状であるが、円形の場合には無限に対称軸を引くことができ、方形の場合には4本、正多角形の場合にも角数に応じて多数の対称軸を引くことができる。このように多数の対称軸を引くことができる形状であると、対称軸の選択肢が多くなり、配向方向と一致する対称軸を特定することが難しくなる。対称軸を1本、または2本のみ引くことができる形状であれば、配向方向を直感的に認識することが可能である。
また、前記リング状マグネット1においては、前記形状を有する軸孔2の対称軸方向がリング状マグネット1の配向方向とほぼ一致しており、軸孔2の形状を見ればリング状マグネット1の配向方向(着磁方向)を簡単に把握することが可能となっている。
本発明のリング状マグネット1は、磁気特性の観点等から、希土類元素R、遷移金属元素T及びホウ素Bを主成分とする希土類磁石、特に希土類合金粉を成形し焼結した希土類焼結磁石とすることが好ましい。希土類焼結磁石は磁気特性に優れ、後述のマグネットロータ等に適用した場合、その小型化、高性能化を実現することができる
前記希土類磁石の磁石組成は特に限定されず、用途等に応じて任意に選択すればよい。例えば、希土類元素Rとは、具体的にはY、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb又はLuのことをいい、これらから1種又は2種以上を用いることができる。中でも、資源的に豊富で比較的安価であることから、希土類元素Rとしての主成分をNdとすることが好ましい。また、遷移金属元素Tは、従来から用いられている遷移金属元素をいずれも用いることができ、例えばFe、Co、Ni等から1種又は2種以上を用いることができる。これらの中では、焼結性の点からFe、Coが好ましく、特に磁気特性の点からFeを主体とすることが好ましい。また、本発明のリング状マグネット1は、希土類元素R、遷移金属元素T及びBのほか、保磁力等の特性改善を目的として、例えばAl等の元素を添加してもよい。また、本発明のリング状マグネット1には、これらの元素の他、不可避的不純物又は微量添加物として、例えば炭素や酸素等が含有されていてもよい。
前述のリング状マグネット1は、回転軸を取り付けることにより、例えば指針計のマグネットロータとして利用することができる。以下、本発明のリング状マグネット1を用いたマグネットロータについて説明する。
図7は、前記リング状マグネット1を用いたマグネットロータの一例を示すものである。このマグネットロータは、前記リング状マグネット1の軸孔2に樹脂部3を形成し、その中心部に回転軸4を固定することにより構成される。樹脂部3は、例えば前記リング状マグネット1に対して射出成形(ここではアウトサート成形)を行うことにより形成され、中央孔2の両側では軸孔2よりも若干大きく形成されている。このため、この部分がリング状マグネット1の表裏両面に接し、いわゆるカシメ状態となって、樹脂部3の軸孔2からの脱落が防止される。
回転軸4は、例えば金属製のピンを前記樹脂部3に圧入することにより固定してもよいし、前記樹脂部3に対してインサート成形することにより一体に成形し固定するようにしてもよい。あるいは、図8に示すように、樹脂部3の成形の際に樹脂材料により軸部3aを一体成形し、これを回転軸として利用してもよい。なお、マグネットロータの回転軸4は、樹脂部3を貫通していても良いが、片端が樹脂部3に埋め込まれていても良い。
前記リング状マグネット1を径方向に2極着磁し、前記回転軸4(あるいは軸部3a)に指針5を取り付け、例えば指示計のマグネットロータとして組み込む。指示計の構成は、例えば特許文献1や特許文献2等に開示されるような公知のものがいずれも採用可能であり、ここではその説明は省略する。
以上のような構成を有するマグネットロータにおいて、樹脂部3の材料としては、熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。熱硬化性樹脂、例えばフェノール樹脂は、バリが発生する可能性が高く、硬くて脆いという欠点がある。これに対して、熱可塑性樹脂は、機械的強度や耐薬品性に優れるという利点を有する。熱可塑性樹脂としては、任意の樹脂材料を用いることができるが、特にポリフェニレンサルファイド(PPS)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等が好適である。これらの樹脂は、マグネットロータの使用中にトルクが加わったり、回転軸4を圧入する際に応力が加わったときの耐性に優れ、クラックが入り難いという特徴を有する。また、強度改善の観点から、これらの樹脂にガラスフィラーを加えることも有効である。前記樹脂にガラスフィラーを混入することで、さらに強度を増すことができる。この場合、ガラスフィラーの添加量は、必要な強度に応じて任意に設定すればよい。
前記マグネットロータにおいては、回転軸4を固定するために高価なメタルブッシュを用いておらず、したがってコストを削減することができる。また、樹脂部3に熱可塑性樹脂を用いることで、樹脂部3がリング状マグネット1に対して密着し、剥離による空転が防止されるが、さらに軸孔2の形状が前記異形形状であるので、仮に樹脂部3がリング状マグネット1から剥離したとしても、樹脂部3に固定される回転軸4や軸部3aが空回りすることはない。
次に、前記リング状マグネット1及びマグネットロータの製造方法について説明する。リング状マグネット1を構成する希土類磁石(希土類焼結磁石)は、粉末冶金法により製造されるが、先ず、その製造方法について説明する。
希土類焼結磁石を作製するには、先ず、原料となる原料合金粉末を製造する必要がある。原料合金粉末の製造方法は特に限定されないが、例えば、原料を合金化し、これを粉砕する方法、還元拡散法によって得られた合金粉末を粉砕する方法等により製造することができる。なお、以下では、原料を合金化し、これを粉砕する方法を例に挙げて説明する。原料合金の酸化防止のため、焼結後までの各工程は、ほとんどの工程を真空中、あるいは不活性ガス雰囲気中(窒素ガス雰囲気中、Arガス雰囲気中等)で行うことが好ましい。
原料を合金化する合金化工程では、原料となる金属、あるいは合金を磁石組成に応じて配合し、不活性ガス、例えばAr雰囲気中で溶解し、鋳造することにより合金化する。鋳造法としては、溶融した高温の液体金属を回転ロール上に供給し、合金薄板を連続的に鋳造するストリップキャスト法(連続鋳造法)等が挙げられる。
次に、合金化した原料を粗粉砕する。この粗粉砕工程では、先に鋳造した原料合金の薄板、又は母合金インゴット等を、粒径数百μm程度になるまで粉砕する。粉砕手段としては、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等を用いることができる。粗粉砕性を向上させるために、水素を吸蔵させて脆化させた後、粗粉砕を行うことが効果的である。
次いで、粗粉砕した原料に対し、さらに微粉砕処理を行ない、原料合金粉末を得る。微粉砕は、例えば気流式粉砕機等を使用して行われる。微粉砕の際の条件は、用いる気流式粉砕機に応じて適宜設定すればよく、原料合金粉末を平均粒径が1〜10μm程度、例えば3〜6μmとなるまで微粉砕する。気流式粉砕機としては、ジェットミル等が好適である。ジェットミルは、高圧の不活性ガス(例えば窒素ガス)を狭いノズルより開放して高速のガス流を発生させ、この高速のガス流により粉体の粒子を加速し、粉体の粒子同士の衝突や、衝突板あるいは容器壁との衝突を発生させて粉砕する方法である。ジェットミルは、一般的に、流動層を利用するジェットミル、渦流を利用するジェットミル、衝突板を用いるジェットミル等に分類される。
なお、前述の粗粉砕工程の終了後、あるいは微粉砕工程の終了後、原料合金粉末に粉砕助剤を添加してもよい。粉砕助剤としては、例えば脂肪酸系化合物等の潤滑剤を使用することができるが、特に、脂肪酸アミドを粉砕助剤として用いることで、良好な磁気特性、特に高配向度で高い磁化を有する磁石を得ることができる。
次に、得られた原料合金粉末を用い、磁場中成形する。成形工程では、乾式成形法、湿式成形法のいずれを用いてもよいが、希土類磁石を含む合金粉末に対しては、通常、乾式成形法を用いる。乾式成形法では、例えば、原料合金粉末を成形用金型内に充填し、磁界を印加することによって、着磁すべき方向(径方向)に配向させるとともに、所望の形状に圧縮成形することにより成形体を得る。
この成形工程では、原料合金粉末をリング状、あるいは円筒状に成形し、後の焼結工程に供するが、本発明では、金型やダイス、パンチ等の形状を選定することで、外形形状及び内形形状をそれぞれ真円形状、異形形状とする。なお、例えば図1や図6に示すように、凹部を切り欠き形成することで軸孔2を異形形状とする場合には、この凹部の切り欠きを焼結後の内周加工で行うことも可能である。一方、外形形状については、配向方向とこれと直交する方向の縮率差を考慮して、焼結後に真円形状となるように、成形時には楕円形状としてもよい。
次に、得られた成形体を真空中、又は窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で焼結する。焼結温度は、組成、粉砕方法、粒度と粒度分布の違い等、諸条件により調整すればよい。また、焼結後、焼結体を急冷することが好ましい。さらに、焼結体に時効処理を施すことが好ましい。
焼結後、必要に応じて焼結体を機械的に加工する。焼結体の機械的な加工は、例えばリング状の焼結体の外周面、表裏両面の研削等が挙げられる。また、円筒形状の焼結体とした場合は、焼結体を所定の厚さに切断する。さらに、前記のように、凹部を切り欠き形成することで軸孔2を異形形状とする場合には、この凹部の加工を内周加工としてこの段階で機械加工するようにしてもよい。
機械加工後、例えば焼結体に対しめっき処理を施しても良い。リング状の希土類焼結磁石のめっき処理に際しては、通常、砥粒等の研磨剤を含む液体中で研磨して焼結体の外周端縁を面取りするバレル研磨処理工程、焼結体表面を洗浄又は活性化するエッチング処理工程等を経た後、焼結体表面に例えばニッケル被膜等を形成するめっき処理工程を実施する。
次に、得られた焼結体に着磁用磁界を印加し、着磁を行なう。着磁用磁界の方向は、リング状マグネットの径方向であり、前記配向方向に応じていわゆる径方向2極着磁とする。このようにして作製されたリング状マグネットは、前述のように回転型アクチュエータ等のマグネットロータとして使用される。この場合、リング状マグネットに回転軸を固定する必要がある。以下、前記リング状マグネットをマグネットロータとして使用する際の、前記回転軸の固定方法について説明する。
リング状マグネットへの回転軸の固定方法としては、例えばメタルブッシュを用いる方法等もあるが、メタルブッシュはコスト増の原因となるので、本発明では樹脂部による固定方法を採用することとする。この場合、回転軸の固定方法としては、いくつかの方法を挙げることができ、固定軸となる金属ピンを圧入する方法もその一つである。金属ピンを圧入する場合には、リング状マグネットの中心孔に樹脂部をアウトサート成形により形成し、その中心位置に金属ピンを機械的に圧入して回転軸とする。樹脂部をポリフェニレンサルファイド(PPS)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等の熱可塑性樹脂により形成すれば、圧入の際に樹脂部にクラックが入ったり剥離が生ずることもない。
また、回転軸となる金属ピンは、樹脂部を射出成形する際に、いわゆるインサート成形することによって樹脂部と一体化し、固定するようにしてもよい。この場合には、圧入工程が不要となり、工数を削減することができる。また、前記インサート成形によれば、インサート成形後の冷却過程において樹脂は収縮し、強く金属ピンに密着するため回転軸の固定強度がさらに増加するという効果も得ることができる。さらに、例えば使用する金属ピンにローレットを切れば、より一層の固定強度の向上が期待でき、より好ましい形態と言える。
さらには、回転軸を別途形成し樹脂部に取り付け固定するのではなく、樹脂部の成形の際に、その形状を改良することにより、回転軸として機能する軸部を一体成形することも可能である。この場合には、金属ピン等を用意する必要がなく、また、回転軸をインサート成形する場合に比べて射出成形機の金型構造の簡略化することができ、回転軸を圧入する場合に比べて工数を削減することができる。
また、指示計用のマグネットロータとする場合、前記回転軸4に指針5を取り付ける(図7)。この時、軸孔の形状が異形形状であり、且つその対称軸方向が配向方向と平行であるので、前記配向方向を一目で把握することができ、指針5の取り付け方向がリング状マグネットの配向方向に対して適正なものとなるように容易に決定することができる。したがって、指針取り付け作業の作業性改善に有効であり、生産性を向上することができる。なお、指針5は回転軸や樹脂部に接着剤等にて固定しても良いが、回転軸に対して一体成形にて作製しても良い。
以下、本発明を適用した具体的な実施例について、実験結果に基づいて説明する。
リング状マグネットの作製
先ず、原料合金配合→水素粉砕→前添加→微粉砕→後添加→磁性粉なる手順により、原料合金粉末を作製した。この原料合金粉末の組成は、Nd30重量%、Dy3重量%、B1重量%、Al0.5重量%、Co0.5重量%、残部Feとした。そして、この原料合金粉末を、外形楕円[16.8mm(長軸)及び14.1mm(短軸)]、内形正方形[4.0mm×4.0mm]、高さ25mmの金型中において、1000kA/mの磁界を印加し、磁気配向させながら成形した。この時、内形正方形の4辺が外形楕円の長軸、短軸と略平行になるように設定し、外形楕円の長軸方向と平行になるように前記磁界を印加した。
これを焼結した後、外形加工(センタレス)を行い、所定の厚さに切断(内周スライサ)して、外形円形(12mmφ)、内形は概略矩形(3.5mm×3.0mm)、厚さ1.5mmの焼結体を得た。さらに、バレル面取り処理、及びめっき処理(Cu−Ni2層めっき)を行った。内形矩形の短辺方向に略一致させた方向に1600kA/mのパルス磁界をかけ着磁したところ、表面磁束410mTなるリング状マグネットを得た。
実施例1:回転軸圧入
前項で作製したリング状マグネット(着磁前)を準備し、金型内に前記リング状マグネットを設置した。そして、ガラスフィラー15重量%を含有した熱可塑性樹脂PPSを射出成形し、樹脂部をリング状マグネットに対して一体に成形した。樹脂部形成の後、回転部中心にステンレス(SUS304)なる材質からなり直径1mmφ、長さ30mmのピンを圧入した。このとき樹脂部分を目視により観察したが、クラックは認められなかった。次いで、内形矩形の短辺方向に略一致させた方向に1600kA/mのパルス磁界をかけ、着磁した。
前記ピンを回転軸として、空回りトルクを測定した。まず回転軸にトルクゲージを設置し、次いでトルクゲージを回転方向に応力を加える。樹脂が回転軸あるいはリング磁石から脱離し、空転をはじめるときの応力を測定し、評価した。結果を表1に示す。その結果、マグネットロータをアクチュエータ等に使用する場合の規格値200gf・cmに対して十分な空回りトルクが得られていた。なお表1の空回りトルクは試験数5個の値の平均値である。また、空転状況を観察したところ、回転軸と樹脂の間で滑りが生じ、空回りが起きていた。一方、樹脂と磁石の境界面でも剥離は起きていたが、形状が矩形のため空回りに対しては全く問題が無かった。
Figure 2006073675
実施例2
樹脂をガラスフィラー7.5重量%を含有したPBT樹脂に変えた以外は実施例1と同様にしてマグネットロータを作製した。空回りトルクは表1に示すように、充分な値を得た。また空転状況も実施例1と同様であった。
実施例3:回転軸インサート成形
実施例1と同様、着磁前のリング状マグネットを準備し、金型にこのリング状マグネット、及びステンレス(SUS304)なる材質からなり直径1mmφ、長さ30mmでローレットの切ってあるピンを設置した。そして、ガラスフィラー15重量%を含有した熱可塑性樹脂PPSを射出成形し、樹脂部、ピン及びリング状マグネットを一体に成形した。この時、樹脂部はリング状マグネットに対してアウトサート成形された形になり、ピンは樹脂部にインサート成形された形になる。次いで、実施例1と同様にして着磁した。
前記ピンを回転軸として、実施例1と同様に評価した。空回りトルクは表1に示すように、アクチュエータ用のマグネットロータとして使用する上で充分な値を示していた。また、回転軸が樹脂部から脱離していた。
実施例4
樹脂をガラスフィラーを30重量%含有したPBT樹脂に変えた以外は実施例3と同様にしてマグネットロータを作製した。空回りトルクは、表1に示すように、充分な値を得た。また、試験後の脱離状況も実施例3と同様であった。
実施例5:回転軸一体成形
実施例1と同様、着磁前のリング状マグネットを準備し、金型内に前記リング状マグネットを設置した。そして、ガラスフィラー15重量%を含有した熱可塑性樹脂PPSを射出成形し、樹脂部をリング状マグネットに対して一体に成形した。また、樹脂部成形の際に、回転部中心に直径1.5mmφ、長さ20mmの樹脂突起部を一体成形し、これを回転軸とした。このとき樹脂部分を目視により観察したが、クラックは認められなかった。次いで、実施例1と同様にして着磁した。
前記樹脂突起部を回転軸として、実施例1と同様に評価した。空回りトルクは表1に示すように、アクチュエータ用のマグネットロータとして使用する上で充分な値を示していた。また、試験後、全ての試料では回転軸そのものが破壊されていた。
実施例6〜実施例10:軸孔形状の変更
リング状マグネットの作製に際して、軸孔形状を図1、図3、図4、図5、及び図6に示すような形状に変更し、他は実施例1と同様にマグネットロータを作製した。なお、図1及び図6に示す軸孔形状の場合、凹部は内形にドリルを当てて切り欠き形成した。また、図3に示す楕円形状の場合、磁場中成形において内形楕円の金型を用い、焼結により楕円形状を更に偏平させたものである。各リング状マグネットの配向方向は、各図において横方向である。
各実施例のマグネットロータについて、圧入したピンを回転軸として、実施例1と同様に評価した。空回りトルクは表1に示すように、アクチュエータ用のマグネットロータとして使用する上で充分な値を示していた。また空転状況も実施例1と同様であった。
比較例1:内形真円の場合
原料合金粉末を、外形楕円{16.8mm(長軸)及び14.1mm(短軸)}、内形楕円{4.4mm(長軸)及び3.7mm(短軸)}、高さ25mmの金型内において、外形長軸と略平行になるように1000kA/mの磁界を印加し、磁気配向させ、成形した。焼結後、外周加工、内周加工、及び内周周スライサによる切断を行い、外径12mmφ、内径3mmφ、厚さ1.5mmの外形形状、内形形状共に真円形状のリング状マグネットを得た。なお、めっきは同一条件で行った。
得られたリング状マグネットを用い、樹脂をガラスフィラーを7.5重量%含有したPBT樹脂に変えた以外は先の実施例1と同様に樹脂部の成形及び回転軸の圧入を行い、マグネットロータを作製した。このマグネットロータについて、実施例1と同様の試験を行ったところ、樹脂部とリング状マグネットの界面にて一部剥離が認められた。さらに、実施例1と同様な方法にて空回りトルクを測定したところ、表1に示すように充分なトルクを得ることができなかった。空転状況を観察したところ、樹脂と磁石の間で滑りが生じ、空回りを起こしていることが判明した
比較例2:熱硬化性樹脂の場合
樹脂材を熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂にした以外は実施例1と同様にしてマグネットロータを作製した。回転軸圧入後の樹脂部分を目視観察したところ、クラックが発生していた。
本発明を適用したリング状マグネットの一例を示す平面図である。 本発明を適用したリング状マグネットの他の例を示す平面図である。 本発明を適用したリング状マグネットのさらに他の例を示す平面図である。 本発明を適用したリング状マグネットのさらに他の例を示す平面図である。 本発明を適用したリング状マグネットのさらに他の例を示す平面図である。 本発明を適用したリング状マグネットのさらに他の例を示す平面図である。 マグネットロータにおける回転軸の取り付け構造の一例を示す断面図である。 マグネットロータにおける回転軸の取り付け構造の他の例を示す断面図である。
符号の説明
1 リング状マグネット、2 軸孔、3 樹脂部、3a 軸部、4 回転軸、5 指針

Claims (12)

  1. 希土類磁石により形成されるとともに、径方向に磁気異方性を有し、且つ回転軸が挿通される軸孔を有するリング状のマグネットであって、
    外形形状が略真円形状とされるとともに、前記軸孔の形状がこれとは異なる異形形状とされ、
    且つ前記軸孔形状が対称形状であり、その対称軸方向が前記磁気異方性方向と略一致するように設定されていることを特徴とするリング状マグネット。
  2. 前記対称形状は、線対称形状であり、対称軸を1本又は2本のみ有することを特徴とする請求項1記載のリング状マグネット。
  3. 前記軸孔の形状が、矩形、菱形、楕円、長孔型、部分円が結合された円または楕円形状のいずれかであることを特徴とする請求項2記載のリング状マグネット。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項記載のリング状マグネットを備え、当該リング状マグネットの軸孔に樹脂部が配置されるとともに、樹脂部とリング状マグネットが一体となって回転する構造とされていることを特徴とするマグネットロータ。
  5. 回転軸を有し、当該回転軸は前記樹脂部と一体化されていることを特徴とする請求項4記載のマグネットロータ。
  6. 前記回転軸は、前記樹脂部を成形することにより形成されていることを特徴とする請求項5記載のマグネットロータ。
  7. 前記回転軸は、前記樹脂部に圧入されていることを特徴とする請求項5記載のマグネットロータ。
  8. 前記回転軸は、前記樹脂部に対してインサート成形されていることを特徴とする請求項5記載のマグネットロータ。
  9. 前記樹脂部は、熱可塑性樹脂により形成されていることを特徴とする請求項4ないし8のいずれか1項記載のマグネットロータ。
  10. 前記熱可塑性樹脂は、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイドから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項9記載のマグネットロータ。
  11. 請求項4ないし10のいずれか1項記載のマグネットロータを備えたことを特徴とするアクチュエータ。
  12. 指示計用のアクチュエータであることを特徴とする請求項11記載のアクチュエータ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2021194576A (ja) * 2020-06-11 2021-12-27 中村科学器械工業株式会社 撹拌装置、接続棒及び連結機構

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