JP2006071354A - 結晶表面層の結晶性評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、結晶表面層における結晶の歪みを、直接かつ確実に評価することができる結晶表面層の結晶性評価方法を提供する。
【解決手段】 X線回折法を用いて、結晶1の表面1sから深さ方向への結晶性の変化を評価することにより、結晶表面層の結晶性を評価する方法であって、結晶の一つの結晶格子面に対する回折条件を満たすように、連続的にX線侵入深さを変えて結晶にX線を照射して、この結晶格子面についての回折プロファイルにおける面間隔および回折ピークの半価幅ならびにロッキングカーブにおける半価幅のうち少なくともいずれかの変化量を評価することを特徴とする結晶表面層の結晶性評価方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、X線回折による結晶の表面から深さ方向への結晶性の変化を評価することにより、結晶表面層の結晶性を評価する方法に関する。
各種の結晶成長方法により得られた結晶は、所望の形状および大きさに加工されて、所望の用途に用いることができる。ここで、結晶の加工の際には、切り出した後、研削、研磨などの表面加工が行なわれるが、かかる表面加工によっても、結晶の表面から一定の深さまでの結晶表面層における結晶に歪み(たとえば、結晶格子の歪みなど)が残存する。この結晶表面層に残存した歪みの程度如何によっては、この結晶上にエピタキシャル結晶層を形成することが困難となるなど、所望の性能が得られなくなるため、この結晶表面層における結晶の歪みを把握することが重要である。
従来においては、結晶のへき開面をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察することにより結晶表面層における結晶の歪みの評価を行なっている(たとえば、非特許文献1および非特許文献2を参照)。しかし、TEM観察による結晶表面層の評価においては、結晶を薄く加工する必要があるため(すなわち、結晶を破壊する破壊評価であるため)、評価結果が悪くても評価後に修正することができず、また製品そのものを評価することができない。
そこで、基板として用いる結晶の結晶表面層における結晶の歪みを、結晶を破壊することなく直接かつ確実に評価することができる方法が要望されていた。
S. S. Park, 他2名,"Free-Standing GaN Substrate by Hydride Vapor Phase Epitaxy", Jpn. J. Appl. Phys., The Japan Society of Applied Physics, Vol. 39, November 2000, p.L1141-L1142. 高橋裕,他3名,「窒化アルミニウム多結晶基板の湿式研磨における表面損傷の電子顕微鏡観察」,日本セラミックス協会学術論文誌,日本セラミックス協会,99,[7],(1991),p.613-619.
本発明は、結晶表面層における結晶の歪みを、結晶を破壊することなく直接かつ確実に評価することができる結晶表面層の結晶性評価方法を提供することを目的とする。
本発明は、X線回折法を用いて結晶の表面から深さ方向への結晶性の変化を評価することにより結晶表面層の結晶性を評価する方法であって、結晶の一つの結晶格子面に対する回折条件を満たすように、連続的にX線侵入深さを変えて結晶にX線を照射して、この結晶格子面についての回折プロファイルにおける面間隔および回折ピークの半価幅ならびにロッキングカーブにおける半価幅のうち少なくともいずれかの変化量を評価することにより、結晶表面層の結晶性を評価する結晶表面層の評価方法である。
本発明にかかる結晶表面層の結晶性評価方法においては、結晶格子面についての回折プロファイルにおいて、X線侵入深さT1における面間隔d1とX線侵入深さT2における面間隔d2とから得られる|d1−d2|/d2の値によって、結晶表面層の均一歪みを評価することができる。
また、本発明にかかる結晶表面層の結晶性評価方法においては、結晶格子面についての回折プロファイルにおいて、X線侵入深さT1における回折ピークの半価幅v1とX線侵入深さT2における回折ピークの半価幅v2とから得られる|v1−v2|の値によって、結晶表面層の不均一歪みを評価することができる。
さらに、本発明にかかる結晶表面層の結晶性評価方法においては、結晶格子面についてのロッキングカーブにおいて、X線侵入深さT1における半価幅w1とX線侵入深さT2における半価幅w2とから得られる|w1−w2|の値によって、結晶表面層の面方位ずれを評価することができる。
上記のように、本発明によれば、結晶表面層における結晶の歪みを、結晶を破壊することなく直接かつ確実に評価することができる。
本発明にかかる結晶表面層の結晶性評価方法は、X線回折法を用いて結晶の表面から深さ方向への結晶性の変化を評価することにより、結晶表面層の結晶性を評価する方法であって、結晶の一つの結晶格子面に対する回折条件を満たすように、連続的にX線侵入深さを変えて結晶にX線を照射して、この結晶格子面についての回折プロファイルにおける面間隔および回折ピークの半価幅ならびにロッキングカーブにおける半価幅のうち少なくともいずれかの変化量を評価することを特徴とする。
X線回折法を用いることにより、結晶表面層における結晶性を、結晶を破壊することなく直接評価することができる。ここで、結晶性の評価とは、結晶の歪みがどの程度あるかを評価することをいい、具体的には、結晶格子の歪み、結晶格子の面方位ずれがどの程度あるかを評価することをいう。また、結晶格子の歪みには、結晶格子が均一に歪んでいる均一歪みと、結晶格子が不均一に歪んでいる不均一歪みとがある。結晶格子の面方位ずれとは、結晶格子全体の面方位の平均方位から各々の結晶格子の面方位がずれているばらつきの大きさをいう。
図1に示すように、結晶1は、切り出し、研削または研磨などによる加工によって、結晶表面1sから一定の深さ方向の結晶表面層1aに結晶格子の均一歪み、不均一歪みおよび/または面方位ずれが生じる。また、結晶表面層1aに隣接する結晶表面隣接層1bにも、結晶格子の均一歪み、不均一歪みまたは結晶格子の面方位ずれの少なくともいずれかが生じる場合もある(図1は、結晶格子の面方位ずれが生じている場合を示す)。さらに、結晶表面隣接層1bよりも内側の結晶内層1cでは、その結晶本来の結晶構造を有するものと考えられる。なお、表面加工における研削または研磨の方法、程度などにより、結晶表面層1a、結晶表面隣接層1bの状態、厚さが異なる。
ここで、結晶の表面からその深さ方向に、結晶格子の均一歪み、不均一歪みおよび/または面方位ずれを評価することにより、結晶表面層の結晶性を直接かつ確実に評価することができる。
本発明においては、結晶の一つの結晶格子面に対する回折条件を満たすように、連続的にX線侵入深さを変えて結晶にX線を照射して、この結晶格子面についての回折プロファイルにおける面間隔、回折プロファイルにおける回折ピークの半価幅およびロッキングカーブにおける半価幅の変化量を測定することにより、それぞれ結晶格子の均一歪み、不均一歪みおよび面方位ずれを評価することが可能となった。
ここで、一つの結晶格子面の回折条件とは、その結晶格子面によってX線が回折される条件をいい、Bragg角をθ、X線の波長をλ、結晶格子面の面間隔をdとすると、Braggの条件式(2dsinθ=nλ、ここでnは整数)を満たす結晶格子面でX線が回折される。
また、X線侵入深さTとは、入射X線の強度が1/e(eは自然対数の底)になるときの結晶表面1sからの垂直深さ方向への距離をいう。このX線侵入深さTは、図2を参照して、結晶1におけるX線の線吸収係数μ、結晶表面1sの傾き角χ、結晶表面1sに対するX線入射角ω、結晶表面1s内の回転角φによって、式(1)のように表わされる。なお、χ軸21は入射X線11と出射X線12とにより作られる面内にあり、ω軸(2θ軸)22は入射X線11と出射X線12とにより作られる面に垂直であり、φ軸23は結晶表面1sに垂直である。
Figure 2006071354
したがって、結晶の一つの結晶格子面に対する回折条件を満たすように、χ、ωおよびφの少なくともいずれかを調整することにより、連続的にX線侵入深さTを変えることができる。
なお、一つの結晶格子面1dにおける回折条件を満たすように、連続的にX線侵入深さTを変化させるためには、その結晶格子面1dと結晶表面1sとは平行でないことが必要である。結晶格子面と結晶表面とが平行であると、結晶格子面1dと入射X線11とのなす角度であるθと結晶表面1sと入射X線11とのなす角度であるωとが同じになり、一つの結晶格子面1dにおいてX線侵入深さを変えることができなくなる。
ここで、X線侵入深さを変えて結晶の一つの結晶格子面にX線を照射し、この結晶格子面についての回折プロファイルにおける面間隔の変化から結晶格子の均一歪みを、回折プロファイルにおける回折ピークの半価幅の変化から結晶格子の不均一歪みを、ロッキングカーブにおける半価幅の変化から結晶格子の面方位ずれを評価することを、以下の実施形態に基づいて具体的に説明する。
(実施形態1)
本実施形態における結晶表面層の結晶性評価方法は、図3を参照して、結晶の一つの結晶格子面についての回折プロファイルにおいて、X線侵入深さT1における面間隔d1とX線侵入深さT2における面間隔d2とから得られる|d1−d2|/d2の値によって、結晶表面層の均一歪みを評価する方法である。
図3(a)を参照して、X線侵入深さT1を結晶表面から結晶表面層内までの距離、好ましくは結晶表面に近い距離とし、X線侵入深さT2を結晶表面層よりも内側の層内までの距離、好ましくは結晶表面から結晶の表面加工の影響を受けていない十分深い距離とすると、X線侵入深さT2における面間隔d2はその結晶本来の面間隔と考えられるが、X線侵入深さT1における面間隔d1は、結晶の表面加工の影響(たとえば、面間隔方向への圧縮応力31、結晶格子面内方向への引張応力32など)による結晶表面層の結晶格子の均一歪みを反映して、X線侵入深さT2における面間隔d2と異なる値をとる。
上記の場合、図3(b)を参照して、結晶の一つの結晶格子面についての回折プロファイルにおいて、X線侵入深さT1における面間隔d1とX線侵入深さT2における面間隔d2とが現れる。したがって、d2に対するd1とd2の差の割合である|d1−d2|/d2の値によって、結晶表面層の均一歪みを評価することができる。
(実施形態2)
本実施形態における結晶表面層の結晶性評価方法は、図4を参照して、結晶の一つの結晶格子面についての回折プロファイルにおいて、X線侵入深さT1における回折ピークの半価幅v1とX線侵入深さT2における回折ピークの半価幅v2とから得られる|v1−v2|の値によって前記結晶表面層の不均一歪みを評価する方法である。
図4(a)を参照して、X線侵入深さT1を結晶表面から結晶表面層内までの距離、好ましくは結晶表面に近い距離とし、X線侵入深さT2を結晶表面層よりも内側の層内までの距離、好ましくは結晶表面から結晶の表面加工の影響を受けていない十分深い距離とすると、X線侵入深さT2における回折ピークの半価幅v2はその結晶本来の半価幅と考えられるが、X線侵入深さT1における回折ピークの半価幅v1は、結晶の表面加工の影響(たとえば、面間隔方向への圧縮応力41など)による結晶表面層の結晶格子の不均一歪み(たとえば、各結晶格子の面間隔が、d3、d4〜d5、d6とそれぞれ異なる)を反映して、X線侵入深さT2における回折ピークの半価幅v2と異なる値をとる。
上記の場合、図4(b)を参照して、結晶の一つの結晶格子面についての回折プロファイルにおいて、X線侵入深さT1における回折ピークの半価幅v1とX線侵入深さT2における回折ピークの半価幅v2とが現れる。したがって、v1とv2の差である|v1−v2|の値によって、結晶表面層の不均一歪みを評価することができる。
(実施形態3)
本実施形態における結晶表面層の結晶性評価方法は、図5を参照して、結晶の一つの結晶格子面についてのロッキングカーブにおいて、X線侵入深さT1における半価幅w1とX線侵入深さT2における半価幅w2とから得られる|w1−w2|の値によって前記結晶表面層の面方位ずれを評価する方法である。
図5(a)を参照して、X線侵入深さT1を結晶表面から結晶表面層内までの距離、好ましくは結晶表面に近い距離とし、X線侵入深さT2を結晶表面層よりも内側の層内までの距離、好ましくは結晶表面から結晶の表面加工の影響を受けていない十分深い距離とすると、X線侵入深さT2における半価幅w2はその結晶本来の半価幅と考えられるが、X線侵入深さT1における半価幅w1は、結晶の表面加工の影響による結晶表面層の結晶格子の面方位ずれ(たとえば、各結晶格子の結晶格子面51d,52d,53dの面方位がそれぞれ異なる)を反映して、X線侵入深さT2における半価幅w2と異なる値をとる。
上記の場合、図5(b)を参照して、結晶の一つの結晶格子面についてのロッキングカーブにおいて、X線侵入深さT1における半価幅w1とX線侵入深さT2における半価幅w2とが現れる。したがって、w1とw2との差である|w1−w2|の値によって、結晶表面層の面方位ずれを評価することができる。
なお、本発明にかかる結晶表面層の結晶性評価方法により評価される結晶性については、上記の表面加工に起因するものに限定されるものではなく、結晶成長の際に生じる結晶の歪みなども含めることができる。
III族窒化物結晶を機械研削、機械研磨および/または化学的機械的研磨(以下、CMPという)などの方法により表面加工した場合について、以下の実施例に基づいて具体的に説明する。
(実施例1〜実施例4)
実施例1〜実施例4は、ハイドライド気相成長法(以下、HVPE法という)により成長させたGaN結晶を研磨した後のGaN結晶の表面から深さ方向にかけての結晶性の変化をX線回折により評価し、このGaN結晶表面にエピタキシャル結晶層を形成して得られる発光デバイスの相対発光強度を調べたものである。
(1−1)GaN結晶の表面加工
ダイヤモンド砥粒が分散したスラリーをラップ装置の定盤上に供給しながら、定盤に直径50mm×厚さ500μmのGaN結晶のGa側C面((0001)面)を押し当てることにより、GaN結晶を機械研磨した。定盤は銅定盤または錫定盤を用いた。粒径が6μm、3μm、1μmの3種類の砥粒を準備し、機械研磨の進行とともに砥粒の粒径を段階的に小さくした。機械研磨における研磨圧力は100g/cm2〜500g/cm2、定盤の回転数は30rpm〜100rpmとした。
実施例1においては粒径が6μmの砥粒のみを用い、実施例2においては砥粒が6μmおよび3μmの2種類の砥粒を用い、実施例3および実施例4においては粒径が6μm、3μmおよび1μmの3種類の砥粒を用いた。また、実施例4においては、粒径が1μmの砥粒で機械研磨後さらにCMPを行なった。CMPは、粒径80nmのコロイダルシリカが10質量%分散した酸性スラリー(pH2.2)を、不織布の研磨パッドに供給しながら、研磨圧力100g/cm2〜500g/cm2、研磨パッドの回転数20rpm〜100rpmで行なった。実施例1におけるGaN結晶の研磨表面には、傷(スクラッチ)および穴(ホール)が存在したが、実施例2〜実施例4におけるGaN結晶の研磨表面には穴は認められず、鏡面となった。
(1−2)X線回折によるGaN結晶の結晶性の評価
上記それぞれのGaN結晶について、X線侵入深さを変えて一つの結晶格子面からの回折X線を測定することにより、表面から深さ方向にかけての結晶性の変化を評価した。X線回折測定には、平行光学系、CuKα1のX線波長を用いた。X線侵入深さは、結晶表面に対するX線入射角ω、結晶表面の傾き角χおよび結晶表面内の回転角φの少なくともいずれかを変えることにより制御した。ウルツ鉱型構造の(10−13)面からの回折X線を、X線侵入深さを0.3μmから5μmまで変えて測定し、回折プロファイルにおける面間隔および回折ピークの半価幅ならびにロッキングカーブにおける半価幅を求めた。
次に、1)回折プロファイルにおいて、X線侵入深さ0.3μmにおける面間隔d1とX線侵入深さ5μmにおける面間隔d2との差を面間隔d2で割った値(|d1−d2|/d2)、2)回折プロファイルにおいて、X線侵入深さ0.3μmにおける回折ピークの半価幅v1とX線侵入深さ5μmにおける回折ピークの半価幅v2との差(|v1−v2|)、3)ロッキングカーブにおいて、X線侵入深さ0.3μmにおける半価幅w1とX線侵入深さ5μmにおける半価幅w2との差(|w1−w2|)をそれぞれ算出した。結果を表1にまとめた。
(1−3)発光デバイスの作製と発光強度の測定
上記それぞれのGaN結晶上に、有機金属気相成長法(以下、MOCVD法という)により、厚さ2μmのGaN層をエピタキシャル成長させた。なお、このエピタキシャル成長前に、MOCVD炉内で前処理として、GaN結晶の気相エッチングと熱処理を行なった。実施例1においてはGaN層は白濁した。実施例2〜実施例4においては表面が平滑で良好なGaN層が得られた。次に、MOCVD法により、厚さ3nmのIn0.2Ga0.8N層、厚さ60nmのp型Al0.2Ga0.8N層、厚さ150nmのp型GaN層を順次エピタキシャル成長させた。さらにGaN結晶の上記半導体層をエピタキシャル成長させた面の反対側の面上にn側電極を、p型GaN層上にp側電極を形成して発光デバイスを得た。本実施例においては、半導体層をエピタキシャル成長させるのにMOCVD法を用いたが、HVPE法、分子線エピタキシー法(MBE法)などを用いることもできる。
上記それぞれの発光デバイスの発光強度を分光器により測定した。いずれの発光デバイスについてもその発光スペクトルのピーク波長は470nmであった。実施例2における発光デバイスの発光強度を1.0として、他の実施例における発光デバイスの相対発光強度を求めた。結果を表1にまとめた。
Figure 2006071354
表1から明らかなように、本発明にかかるX線回折法を用いた結晶性の評価方法により、実施例1〜実施例4におけるGaN結晶の結晶表面層における結晶性の差を、結晶を破壊することなく直接かつ確実に評価することができた。
(実施例5〜実施例7)
実施例5〜実施例7は、昇華法により成長させたAlN結晶を研削、研磨した後のAlN結晶の表面から深さ方向にかけての結晶性の変化をX線回折により評価し、このAlN結晶表面にエピタキシャル結晶層を形成して得られる発光デバイスの相対発光強度を調べたものである。
(2−1)AlN結晶の表面加工
インフィード型研削機を用いて、10mm×10mm×厚さ600μmのAlN結晶のAl側C面((0001)面)を機械研削した。砥石は、外径80mm×幅5mmのビトリファイドボンドのダイヤモンド砥石を用いた。番手が♯1500(砥粒径:8μm〜12μm)、♯3000(砥粒径:4μm〜6μm)の2種類の砥石を準備し、機械研磨の進行とともに砥石の番手を段階的に大きくした(砥石の砥粒径を段階的に小さくした)。
実施例5においては番手が♯1500の砥石のみを用い、実施例6および実施例7においては番手が♯1500および♯3000の2種類の砥石を用いた。また、実施例7においては、♯3000の砥石で機械研削した後、CMPを行なった。実施例5におけるAlN結晶の研磨表面には、傷および穴が存在したが、実施例6および実施例7におけるAlN結晶の研磨表面には穴は認められず、鏡面となった。
(2−2)X線回折によるAlN結晶の結晶性の評価
上記それぞれのAlN結晶について、表面から深さ方向にかけての結晶性の変化の評価を、ウルツ鉱型構造の(11−22)面を結晶格子面とした他は、上記(1−2)と同様にして行なった。結果を表2にまとめた。
(2−3)発光デバイスの作製と発光強度の測定
上記それぞれのAlN結晶上に、上記(1−3)と同様にして、厚さ2μmのGaN層をエピタキシャル成長させた。実施例5においてはGaN層が白濁した。実施例6においては表面が平滑で良好なGaN層が得られた。さらに、上記(1−3)と同様にして、発光デバイスを得て、その相対発光強度を算出した。結果を表2にまとめた。
Figure 2006071354
表2より明らかなように、本発明にかかるX線回折法を用いた結晶性の評価方法により、実施例5〜実施例7におけるAlN結晶の結晶表面層における結晶性の差を、結晶を破壊することなく直接かつ確実に評価することができた。
(実施例8〜実施例10)
実施例8〜実施例10は、HVPE法により成長させた直径30mm×厚さ500μmのInN結晶を研磨した後のInN結晶の表面から深さ方向にかけての結晶性の変化をX線回折により評価し、このInN結晶表面にエピタキシャル結晶層を形成して得られる発光デバイスの相対発光強度を調べたものである。
(3−1)InN結晶の表面加工
実施例8においては粒径が6μmの砥粒のみを用い、実施例9および実施例10においては砥粒が6μmおよび1μmの2種類の砥粒を用いて機械研磨を行い、実施例10においては、1μmの砥粒を用いて機械研磨した後さらにCMPを行なった他は、上記(1−1)と同様にしてInN結晶の表面加工を行なった。
(3−2)X線回折によるInN結晶の結晶性の評価
上記それぞれのInN結晶について、表面から深さ方向にかけての結晶性の変化の評価を上記(1−2)と同様にして行なった。結果を表3にまとめた。
(3−3)発光デバイスの作製と発光強度の測定
上記それぞれのInN結晶上に、上記(1−3)と同様にして、厚さ2μmのGaN層をエピタキシャル成長させた。実施例8においてはGaN層が白濁した。実施例9および実施例10においては表面が平滑で良好なGaN層が得られた。さらに、上記(1−3)と同様にして、発光デバイスを得て、その相対発光強度を算出した。結果を表3にまとめた。
Figure 2006071354
表3より明らかなように、本発明にかかるX線回折法を用いた結晶性の評価方法により、実施例8〜実施例10におけるInN結晶の結晶表面層における結晶性の差を、結晶を破壊することなく直接かつ確実に評価することができた。
なお、今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明によれば、X線回折法を用いて結晶の表面から深さ方向への結晶性の変化を評価することにより結晶表面層の結晶性を評価することができる。このため、本発明は、各種基板として用いられる結晶の結晶性を評価するために広く利用することができる。
結晶表面から深さ方向への結晶の状態を示す断面模式図である。 本発明にかかるX線回折法における測定軸、測定角を示す模式図である。 本発明にかかるX線回折法における結晶格子の均一歪みと回折プロファイルにおける面間隔との関係を示す模式図である。ここで、(a)は結晶格子の均一歪みを示し、(b)は回折プロファイルにおける面間隔を示す。 本発明にかかるX線回折法における結晶格子の不均一歪みと回折プロファイルにおける回折ピークの半価幅との関係を示す模式図である。ここで、(a)は結晶格子の不均一歪みを示し、(b)は回折プロファイルにおける回折ピークの半価幅を示す。 本発明にかかるX線回折法における結晶格子の面方位ずれとロッキングカーブにおける半価幅との関係を示す模式図である。ここで、(a)は結晶格子の面方位ずれを示し、(b)はロッキングカーブにおける半価幅を示す。
符号の説明
1 結晶、1a 結晶表面層、1b 結晶表面隣接層、1c 結晶内層、1d,51d,52d,53d 結晶格子面、1s 結晶表面、11 入射X線、12 出射X線、21 χ軸、22 ω軸(2θ軸)、23 φ軸、31,41 圧縮応力、32 引張応力。

Claims (4)

  1. X線回折法を用いて、結晶の表面から深さ方向への結晶性の変化を評価することにより、結晶表面層の結晶性を評価する方法であって、
    前記結晶の一つの結晶格子面に対する回折条件を満たすように、連続的にX線侵入深さを変えて前記結晶にX線を照射して、前記結晶格子面についての回折プロファイルにおける面間隔および回折ピークの半価幅ならびにロッキングカーブにおける半価幅のうち少なくともいずれかの変化量を評価することを特徴とする結晶表面層の結晶性評価方法。
  2. 前記結晶格子面についての回折プロファイルにおいて、X線侵入深さT1における面間隔d1とX線侵入深さT2における面間隔d2とから得られる|d1−d2|/d2の値によって、前記結晶表面層の均一歪みを評価する請求項1に記載の結晶表面層の結晶性評価方法。
  3. 前記結晶格子面についての回折プロファイルにおいて、X線侵入深さT1における回折ピークの半価幅v1とX線侵入深さT2における回折ピークの半価幅v2とから得られる|v1−v2|の値によって前記結晶表面層の不均一歪みを評価する請求項1に記載の結晶表面層の結晶性評価方法。
  4. 前記結晶格子面についてのロッキングカーブにおいて、X線侵入深さT1における半価幅w1とX線侵入深さT2における半価幅w2とから得られる|w1−w2|の値によって前記結晶表面層の面方位ずれを評価する請求項1に記載の結晶表面層の結晶性評価方法。
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