JP2006071299A - 実鋼構造物における亀裂進展のモニタリング方法および実鋼構造物の余寿命推定方法 - Google Patents

実鋼構造物における亀裂進展のモニタリング方法および実鋼構造物の余寿命推定方法 Download PDF

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Abstract

【要 約】
【課 題】 実鋼構造物における亀裂進展のモニタリング方法および実鋼構造物の余寿命推定方法を提供する。
【解決手段】 実鋼構造物表面に複数の電位差測定用端子を好ましくは格子状に配置し電位差測定領域とし、この領域に電流を印加しながら、複数の電位差測定用端子のうちの二つを一対とする測定端子対について、電位差を間歇的または連続的に測定する。得られた電位差から電場指紋係数FC値を算出する。予め実鋼構造物を模擬した試験体を用いて決定しておいた亀裂進展量とFC値との関係をマスターカーブとして、該マスターカーブを用いて実鋼構造物で測定した該FC値から亀裂の進展量をモニタする。また、予め実鋼構造物を模擬した試験体を用いて決定しておいた、試験体が崩壊する限界繰返し回数までの荷重負荷繰返し回数とFC値との関係をマスターカーブとして、該マスターカーブから実鋼構造物の同一測定端子対で時間間隔tを置いて測定した各FC値に相当する荷重負荷繰返し回数を読み取り、該各荷重負荷繰返し回数を用いて鋼構造物の余寿命を推定する。
【選択図】 図5

Description

本発明は、実構造物とくに実鋼構造物における亀裂の非破壊検査方法に係り、とくに亀裂の進展を非破壊でモニタリングする亀裂進展のモニタリング方法および実鋼構造物の余寿命推定方法に関する。
実鋼構造物では、その使用環境に応じて、鋼構造物を構成する材料に腐食や亀裂等のきずが発生する場合が多い。例えば、石油プラントや電力プラント等では、鋼構造物である装置および配管等(以下、装置等という)が強い腐食環境に晒され、装置等を構成する鋼材には応力腐食(SCC)、硫化物応力腐食(SSCC)、あるいは粒界腐食等が生じ、肉厚が減少することに加えて、装置等に作用する応力により内部あるいは表面に亀裂等のきずを生じる場合がある。また、例えば、橋梁など、繰返し荷重が作用する実鋼構造物では、鋼構造物を構成する鋼材に疲労亀裂が発生し、進展する場合がある。このような材料に生じた腐食や亀裂等のきずは、実鋼構造物の破壊原因となることが多いため、安全・安心確保という観点から早期に検知する必要がある。
減肉、腐食や亀裂等のきずの大きさ、形状に関する情報が比較的精度高く得られる非破壊検査方法としては、電位差法がある。電位差法は、被測定物に電流を流し、このきずを挟む位置での電位差を測定し、その結果から予め求めた校正曲線を利用して、被測定物に含まれるきずの形状、寸法に関する情報を得ようとするものである。
例えば、特許文献1には、直流電位差法による三次元亀裂の非破壊検査方法が提案されている。特許文献1に記載された技術は、基板表面の電位差分布を測定し、これら測定値と仮定した形状の亀裂から求められる仮想的な電位差分布との差を比較し、測定値と計算値との差が小さくなるように亀裂形状を変化させて亀裂の形状を推定するものであり、任意の縦横比の三次元亀裂の形状、寸法、傾きを定量評価できるとしている。なお、特許文献1に記載された技術によれば、超音波探傷法、X線透過法などの適用が困難な溶接部への適用が容易となるとしている。
また、非特許文献1には、電位差法を応用して、鋼構造物に生じる腐食や亀裂を非破壊的に検出するFSM(Field Signature Method)が紹介されている。非特許文献1に紹介されたFSMは、高電流の直流電流を安定的に流せることに特徴があり、複数の測定端子対の微細な電位差を利用して、腐食や亀裂等のきずを検出しようとするものである。
特許第3167449号公報 R.D.Strommen,H.Horn and K.R.Wold:FSM-a unique method for monitoring corrosion pitting erosion and cracking, NACE Corrosion paper no.7 ,1992
特許文献1に記載された技術は、測定面上に設定した各点間の電位差分布を測定する電位差測定方法を利用して計測された測定値から、亀裂の現状を定量的に推定することにその特徴がある。そのため、特許文献1に記載された技術によって亀裂進展の方向と大きさを推定することは、不可能であった。また、非特許文献1に記載された技術を用いても、亀裂の大きさ(寸法、形状等)を特定することや、亀裂進展の方向、大きさを定量的に特定することは不可能であった。なかでも、荷重負荷時や振動場において測定し、亀裂の大きさやその進展量を定量的に検出、推定することはできなかった。
本発明は、このような従来技術の問題を解決し、実鋼構造物の溶接部や補修部などの部位においても、また荷重負荷や振動等の環境条件によらず、亀裂進展の大きさと方向が容易にモニタリングできる、実鋼構造物における亀裂進展のモニタリング方法、および実鋼構造物の使用限度に達するまでの期間、あるいは補修を必要とするまでの時期を推定できる、実鋼構造物の余寿命推定方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記した課題を達成するため、まず橋梁部材を模した大型試験体を用いて、該大型試験体の所定個所表面に複数の電位差測定用端子を好ましくは格子状に配置して電位差測定領域を形成し、該電位差測定領域に生じる電位差分布と、クラックゲージを利用して求めた亀裂の進展量との関係を詳細に検討した。その結果、本発明者らは、電位差測定領域に生じる僅かな電位差の変化から算出される電場指紋係数FC値が、亀裂進展量と良い相関関係を示すことを見出した。そして、この相関関係は、荷重負荷量、振動等の測定環境条件に影響されないことを知見した。
さらに、本発明者らは、上記した電場指紋係数FC値と、荷重負荷の繰返し回数との関係から、電場指紋係数FC値と、対象とする実鋼構造物の使用限界(寿命)までの荷重負荷の繰返し回数(期間)とがよい相関関係を有することを見出し、この関係を利用することにより実鋼構造物の余寿命を高精度に推定可能であることに思い至った。
本発明は、上記した知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨はつぎのとおりである。
(1)実鋼構造物表面に複数の電位差測定用端子を所定の間隔で離隔して格子状に配置し電位差測定領域とし、該電位差測定領域を挟んで設けられた一対の電極を介して該実鋼構造物表面に電流を印加しながら、前記電位差測定領域における前記複数の電位差測定用端子のうちの二つを一対として形成される複数の測定端子対について、該複数の測定端子対に生じる電位差を間歇的または連続的にそれぞれ測定して、前記電位差測定領域における亀裂の進展をモニタするに当たり、
予め、実構造物を模擬した試験体を作製し、該試験体に前記電位差測定領域と同様に格子状に複数の電位差測定用端子を配置した測定領域を設け、該試験体に繰返し荷重を負荷し又は加熱冷却を繰返し、亀裂を発生、進展させて、あるいは既存の亀裂を進展させて、該亀裂の進展量を該亀裂の先端領域において測定するとともに、前記測定領域を挟んで設けられた一対の電極を介して該試験体表面に電流を印加しながら、該亀裂の進展量の測定と同時に、前記測定領域における複数の電位差測定用端子のうちの二つを一対として形成される複数の測定端子対について、該複数の測定端子対に生じる電位差をそれぞれ測定し、該電位差から次(1)式
FC(ppt)={(A/B)×(B/A)−1}×1000 ………(1)
(ここで、A:時刻i(測定時)における測定端子対の電位差、B:時刻i(測定時)の照合端子対の電位差、A:時刻Sまたはモニタリング開始時における測定端子対の電位差、B:時刻Sまたはモニタリング開始時におけるの照合端子対の電位差)
で定義される電場指紋係数FC値を前記複数の各測定端子対についてそれぞれ算出し、該測定用端子対ごとに前記亀裂の進展量と該電場指紋係数FC値との関係を求めマスターカーブとし、
前記電位差測定領域において測定した前記複数の測定端子対についてのそれぞれの電位差から、前記(1)式で定義される電場指紋係数FC値を前記複数の測定端子対についてそれぞれ算出し、該測定端子対についてそれぞれ算出された電場指紋係数FC値から、前記マスターカーブを参照して実鋼構造物における亀裂の進展量を推定することを特徴とする実鋼構造物における亀裂進展のモニタリング方法。
(2)(1)において、前記亀裂が、疲労亀裂であることを特徴とする亀裂進展のモニタリング方法。
(3)(1)または(2)において、前記電流が、直流または直流パルス電流または交流であることを特徴とする亀裂進展のモニタリング方法。
(4)(3)において、前記直流または直流パルス電流が10〜2000Aであることを特徴とする亀裂進展のモニタリング方法。
(5)(1)ないし(4)のいずれかにおいて、前記電場指紋係数FC値に代えて、各測定端子対に生じる電位差Aiを用いることを特徴とする亀裂進展のモニタリング方法。
(6)実鋼構造物の表面に複数の電位差測定用端子を所定の間隔に離隔して配置し電位差測定領域とし、該電位差測定領域を挟んで設けられた一対の電極を介して該実鋼構造物表面に電流を印加しながら、前記電位差測定領域における前記複数の電位差測定用端子のうちの二つを一対として形成される少なくとも一対の電位差測定端子対について、該電位差測定端子対に生じる電位差を間歇的または連続的に測定して、該実鋼構造物の余寿命を推定するに当たり、
予め、実構造物を模擬した試験体を作製し、該試験体に前記電位差測定領域と同様に複数の電位差測定用端子を配置した測定領域を設け、該試験体に繰返し荷重を負荷し亀裂を発生、進展させながら、あるいは既存の亀裂を進展させながら、前記測定領域を挟んで設けられた一対の電極を介して該試験体表面に電流を印加して、前記測定領域における複数の電位差測定用端子のうちの二つを一対として形成される少なくとも一対の測定端子対について、該測定端子対に生じる電位差を間歇的又は連続的に測定し、該電位差から次(1)式
FC(ppt)={(A/B)×(B/A)−1}×1000 ………(1)
(ここで、A:時刻i(測定時)における測定端子対の電位差、B:時刻i(測定時)の照合端子対の電位差、A:時刻Sまたはモニタリング開始時における測定端子対の電位差、B:時刻Sまたはモニタリング開始時におけるの照合端子対の電位差)
で定義される電場指紋係数FC値を前記測定端子対について算出するとともに、該測定時の荷重負荷繰返し回数を記録して、前記測定用端子対ごとに電場指紋係数FC値と荷重負荷繰返し回数との関係を、該試験体が崩壊する荷重負荷繰返し回数あるいはその直前の荷重負荷繰返し回数である限界繰返し回数Ncrまで求め、これをマスターカーブとし、前記電位差測定領域において時刻iに測定された前記電位差測定端子対の電位差Aを用い、前記(1)式で定義される電場指紋係数FC値を算出し、前記マスターカーブから、該算出された電場指紋係数FC値に相当する荷重繰返し回数Nを読み取り、ついで時間iから時間間隔t後の時刻(i+1)に測定された前記電位差測定端子対の電位差Ai+1を用い、次(1a)式
FCi+1(ppt)={(Ai+1/Bi+1)×(B/A)−1}×1000 ………(1a)
(ここで、Ai+1:時刻(i+1)(測定時)における測定端子対の電位差、Bi+1:時刻(i+1)(測定時)の照合端子対の電位差、A:時刻Sまたはモニタリング開始時における測定端子対の電位差、B:時刻Sまたはモニタリング開始時におけるの照合端子対の電位差)
で定義される電場指紋係数FCi+1値を算出し、前記マスターカーブから、算出された電場指紋係数FCi+1値に相当する荷重繰返し回数Ni+1を読み取り、次(2)式
L={t×(Ncr−Ni+1)/(Ni+1−N)} ………(2)
(ここで、L:実鋼構造物の余寿命、t:時刻iから時刻(i+1)までの間隔、Ncr:限界繰返し回数、N:時刻iにおける実鋼構造物で測定されたFC値からマスターカーブ上で読み取った荷重負荷繰返し回数、Ni+1:時刻(i+1)における実鋼構造物で測定されたFC値からマスターカーブ上で読み取った荷重負荷繰返し回数)
により該実鋼構造物の余寿命Lを推定することを特徴とする実鋼構造物における余寿命推定方法。
(7)(6)において、前記電場指紋係数FC値およびFCi+1値に代えて、各測定端子対に生じる電位差AおよびAi+1を用いることを特徴とする実鋼構造物における余寿命推定方法。
(8)(6)または(7)において、前記電位差測定領域および前記測定領域が、複数の電位差測定用端子を格子状に配設した領域であることを特徴とする実鋼構造物における余寿命推定方法。
(9)(6)ないし(8)のいずれかにおいて、前記電流が、直流、または直流パルス電流、または交流であることを特徴とする実鋼構造物における余寿命推定方法。
(10)(9)において、前記直流または直流パルス電流が10〜2000Aであることを特徴とする実鋼構造物における余寿命推定方法。
本発明によれば、人が容易に近寄れない環境下においても、実鋼構造物における亀裂進展を連続的に長時間にわたりモニターすることが可能となり、実鋼構造物の安全性確保が容易となるとともに、鋼構造物の余寿命が精度良く推定可能となり、補修や改修等の計画立案が容易となり、産業上格段の効果を奏する。また、本発明によれば、実鋼構造物における亀裂の進展を母材部以外の、溶接部、補修部等においても、母材部同様に容易にしかも精度良くモニターできるという効果がある。
本発明は、鋼構造物を対象とし、とくに、亀裂の発生・進展が頻度良く生じやすく、構造物の安全性確保が厳しく要求される、溶接鋼構造物全体を対象とする。なお、ここでいう亀裂は、疲労や熱応力に起因する割れ、応力腐食割れ等の亀裂が例示される。
本発明では、亀裂の発生・進展が予想される実鋼構造物(以下、鋼構造物ともいう)表面に、電位差測定領域Mを形成する。電位差測定領域Mは複数箇所に設定してもなんら問題はない。電位差測定領域Mには、複数の電位差測定用端子21、22、…を所定の間隔で離隔して、好ましくは格子状に配置する。なお、格子の一辺を主応力に直角な方向に配置することが好ましい。
電位差測定領域の一例を図1に示す。図1では12個の電位差測定用端子が配設されているが、本発明ではこれに限定されないことは言うまでもない。
電位差測定領域Mの外縁近傍には、電位差測定領域Mを挟んで任意の位置に一対の電極11、11を配設することが好ましい。一対の電極11、11には、電流供給用電線(図示せず)が配線され、電源(図示せず)から電流が被測定物である実鋼構造物表面に印加可能とされる。配置する電極は一対に限定されることはなく、方向を変化した複数対の電極を配置しても何ら問題はない。本発明では、印加する電流は、直流、なかでも直流パルス電流とすることが好ましい。なお、外表面の微細な亀裂を検知する場合には交流としてもよい。また、印加する電流の値は、各電位差測定用端子間の電位差が測定可能であれば、その値はとくに限定されないが、10〜600Aとすることが、板厚の薄い場合から厚い場合まで幅広く対応可能でき好ましい。
複数の電位差測定用端子(以下、測定用端子ともいう)21、22、…には、電位差測定用リード線を介して電位差測定手段(図示せず)の測定端が接続される。電位差測定手段の種類は、測定する一対の電位差測定用端子間(以下、測定端子対ともいう)に接続可能で、それら測定用端子対の電位差を測定することができれば、とくに限定されない。一対の電位差測定用端子間の電位差測定が終了したのち、ついで接続する端子を切り替えて、異なる測定端子対の電位差を測定する。電位差測定手段の測定端の切替は、切替スイッチ等の切替手段(図示せず)により手動あるいは予めプログラムされた順序に従って自動的に切り替えることが好ましい。
なお、電位差の測定に際しては、被測定物である鋼構造物の温度変化等、亀裂発生、進展以外の原因による抵抗変化を消去するために、対象の鋼構造物以外の鋼材に照合端子対として複数の端子を設けておくことが好ましい。
被測定物である鋼構造物表面に設置した電極間に電流を印加しながら、電位差測定手段により、電位差測定領域に好ましくは格子状に配置された各測定端子対、例えば図1の、2a−2b間、2b−2c間、2c−2d間、2e−2f間等の電位差を測定する。なお、電位差測定領域内測定端子対の電位差測定に際しては、同時に照合端子対の電位差も測定することが好ましい。このような各測定用端子対についての電位差の測定を所望の時間間隔で間歇的に、あるいは連続して行う。
まず、実構造物における亀裂進展のモニタリング方法について説明する。
本発明では、亀裂進展の指標として、次(1)式
FC={(A/B)×(Bs/As)−1}×1000 ………(1)
ここで、A:時刻i(測定時)での測定端子対の電位差、
:時刻i(測定時)での照合用端子対の電位差、
As:時刻S(測定開始)またはモニタリング開始時における測定端子対の電位差、
:時刻S(測定開始)またはモニタリング開始時における照合端子対の電位 差
で定義される電場指紋係数FCを用い、各測定端子対について測定された電位差Aから、各測定端子対について電場指紋係数FCを算出する。なお、対象とする実鋼構造物が温度変化、印加電流変化等が少ない場合には、電場指紋係数FC値に代えて、測定値である電位差Aをそのまま使用しても何ら問題はない。
本発明における実鋼構造物における亀裂進展のモニタリングでは、このようにして得られた各測定時間の各測定用端子対における電場指紋係数FCを用いて、予め求めておいたマスターカーブから、各測定時間における亀裂の進展量を推定する。
実鋼構造物における亀裂進展のモニタリング方法におけるマスターカーブは、次のようにして予め決定しておく。
被測定物である実鋼構造物と同種の鋼材で、実鋼構造物を模擬した試験体を作製する。そして、その試験体には、好ましくは格子状に複数の電位差測定用端子を配置した測定領域を設ける。また、この試験体には、亀裂が発生、進展が予想される領域に亀裂進展量測定手段を設ける。亀裂進展量測定手段としては、クラックゲージ等の歪ゲージ、超音波、X線等が好ましく、亀裂が発生、進展が予想される前記領域に、上記したような亀裂進展量測定手段を設置しておく。例えば、クラックゲージの場合には、クラックゲージ等を貼付しておく。なお、本発明で好適に使用するクラックゲージは、市販のものがいずれも適用でき、とくにその種類は限定されない。亀裂進展量測定手段は精度を問題にしないのであれば、定規や目測でもよい。
そして、試験体に繰返し荷重を負荷し亀裂を発生、進展させて、あるいは既存の亀裂を進展させて、クラックゲージ等の亀裂進展量測定手段により該亀裂の先端領域において、亀裂の進展量を測定する。本発明では、試験体の測定領域を挟んで設けられた一対の電極を介して試験体表面に電流を印加しながら、この亀裂の進展量の測定と同時に、試験体の測定領域における複数の電位差測定用端子のうちの二つを一対として形成される複数の測定端子対について、各測定端子対に生じる電位差を測定する。なお、測定端子対における電位差の測定と同時に、試験体とは別の鋼材に設けた照合端子対の電位差も測定しておくことは、電位差測定領域における各測定端子対の電位差測定と同様である。なお、繰返し荷重負荷に代えて、加熱冷却を繰返してもよい)。また本発明では、亀裂が発生・進展する方法であれば、これらに限定されないことはいうまでもない。
ある時刻iに測定された、試験体の測定領域内の測定端子対に生じる電位差Aと、その時の照合端子対の電位差Bと、測定開始時(モニタリング開始時)の測定端子対に生じた電位差Aと、その時の照合用端子対の電位差Bとを用いて、前記(1)式で定義される電場指紋係数FCを算出する。これを、試験体の測定領域内の各測定端子対について行なう。
ついで、試験体の測定領域内の各測定端子対について、上記したようにして得られた亀裂進展量とそのときの電場指紋係数FCとを関連ずけて、亀裂進展量と電場指紋係数FC値との関係図(FC値−亀裂進展量曲線)を作成する。
例えば、図3に示すように測定領域を設定し、例えば疲労亀裂を発生、進展させると、図2に示すような、曲線(疲労亀裂進展量とFC値の関係)が各測定端子対について得られる。なお、図2は、静的荷重:0kNの状態で測定した場合である。疲労亀裂は、図3に示すように測定用端子22、23間(測定端子対No.2)の近傍で発生し、測定用端子対No.2間に進展している。FC値は、亀裂が進展するにしたがい、測定端子対No.2(22、23間)、測定端子対No.5(26、27間)で大きく+(プラス)側に、測定端子対No.1(21、22間)、測定端子対No.3(22、23間)で大きく−(マイナス)側に変動している。
図2から、FC値と亀裂進展量とが良い相関関係にあることがわかる。したがって、測定したFC値から、図2のようなFC値−亀裂進展量曲線を用いて、亀裂進展量が推定できることになる。
本発明では、図2のようなFC値−亀裂進展量曲線を、試験体を用いて上記のような手順で予め決定して、亀裂進展モニタリング用マスターカーブとする。なお、亀裂進展は疲労亀裂に限定されないことは言うまでもない。そして、本発明では、実鋼構造物で測定したFC値を用いて、予め決定された亀裂進展モニタリング用マスターカーブから亀裂進展量を求め、実鋼構造物における亀裂進展状況をモニタする。
本発明者らの検討によれば、マスターカーブとする図2に示す疲労亀裂進展量とFC値の関係におけるFC値は、負荷される荷重が変化しても、ほとんど変化しない。また、亀裂が存在している測定端子対、あるいは亀裂の進展方向にある測定端子対のFC値は、振動下にあってもほとんど変化がないことを確認している。なお、亀裂が存在しないか、あるいは亀裂の進展方向から外れた位置にある測定端子対のFC値は、振動の影響により電流の揺らぎが生じ、ばらつく。つまり、亀裂の進展方向領域においては、活荷重環境下の荷重負荷および振動等のモニタリング環境条件の影響をほとんど受けず、精度良くモニタリングが実施できることを確認した。また、本発明者らは、図2に示すようなFC値−亀裂進展量曲線が、鋼構造物の母材部、溶接部、補修部など測定個所によらず、一定となることを確認している。これは実鋼構造物への適用において画期的なことである。
つぎに、本発明の実鋼構造物における余寿命推定方法について説明する。
余寿命推定の対象とする実鋼構造物の表面に、複数の電位差測定用端子を所定の間隔に離隔して配置し電位差測定領域とする。そして、該電位差測定領域を挟んで設けられた一対の電極を介して該実鋼構造物表面に電流を印加しながら、前記電位差測定領域における前記複数の電位差測定用端子のうちの二つを一対として形成される少なくとも一対の電位差測定端子対について、該電位差測定端子対に生じる電位差を、所望の時間間隔で間歇的または連続的に測定する。そして、測定された電位差から、前記(1)式を用いて各測定時刻での各電位差測定端子対における電場指紋指数FC値を算出する。これは、上記した実鋼構造物における亀裂進展のモニタリング方法と同様である。
本発明における実鋼構造物における余寿命推定においては、上記したようにして実鋼構造物で測定された各測定時刻での各測定用端子対における電場指紋係数FC値を用いて、予め求めておいた余寿命推定用のマスターカーブから対応する荷重負荷繰返し回数を読み取り、対象とする実鋼構造物の余寿命を推定する。
まず、余寿命推定用マスターカーブの決定方法について説明する。
実鋼構造物と同種の鋼材で、実鋼構造物を模擬した試験体を作製する。そして、その試験体には、実鋼構造物に配置した電位差測定領域と同様な位置に、好ましくは格子状に複数の電位差測定用端子を配置した測定領域を設ける。そして、試験体に繰返し荷重を負荷し亀裂を発生、進展させがら、あるいは既存の亀裂を進展させながら、試験体の測定領域を挟んで設けられた一対の電極を介して試験体表面に電流を印加し、試験体の測定領域における複数の電位差測定用端子のうちの二つを一対として形成される複数の測定端子対について、各測定端子対に生じる電位差を間歇的又は連続的に測定する。なお、測定端子対における電位差の測定と同時に、荷重負荷繰返し回数を記録する。なお、この際、試験体とは別の鋼材に設けた照合端子対の電位差も測定しておくことは、電位差測定領域における各測定端子対の電位差測定と同様である。
そして、試験体で得られた各測定端子対に生じる電位差から、試験体の各測定端子対ごとに前記(1)式で定義される電場指紋係数FC値を算出し、試験体における各測定端子対ごとに、図4に示すような電場指紋係数FC値と荷重負荷繰返し回数の関係である、電場指紋係数FC値−荷重負荷繰返し回数曲線を求める。この試験体における各測定端子対ごとの電場指紋係数FC値と荷重負荷繰返し回数の関係を、試験体が崩壊する荷重負荷繰返し回数あるいはその直前の荷重負荷繰返し回数である限界繰返し回数Ncrまで、あるいは安全率nを乗じたn×Ncrまで、求め、電場指紋係数FC値−荷重負荷繰返し回数曲線とする。本発明では、このようにして試験体で得られた限界繰返し回数Ncrまたはn×Ncrまでの電場指紋係数FC値−荷重負荷繰返し回数曲線を余寿命推定用のマスターカーブとする。本発明では、図4に示すような、電場指紋係数FC値−荷重負荷繰返し回数曲線をマスターカーブとして用いる。このマスターカーブには、亀裂の存在自体による電場指紋係数FC値の変化に加えて、電場指紋係数FC値の変化には構造物自体の損傷度をも含んでおり、このようなマスターカーブを利用することは、精度の高い実構造物の余寿命推定ができることを意味する。
上記したような手順で得られたマスターカーブを用いて、実鋼構造物の余寿命推定方法について具体的に説明する。図5にマスターカーブの一例を模式的に示す。
まず、対象とする実鋼構造物に設けられた電位差測定領域内の、複数の電位差測定用端子のうちの二つを一対として形成される各電位差測定端子対について生じる電位差を所望の時間間隔で測定する。任意の時刻iに測定された電位差測定端子対に生じた電位差Aを用い、前記(1)式で定義される電場指紋係数FC値を算出する。なお、対象とする実鋼構造物が温度変化、電流変化等が少ない場合には、電場指紋係数FC値に代えて、測定値である電位差Aをそのまま使用しても何ら問題はない。
ついで、図4や、図5に示すようにマスターカーブから、算出された電場指紋係数FC値FCに相当する荷重繰返し回数Nを読み取る。ついで時刻iから時間間隔t後の時刻(i+1)に同じ電位差測定端子対で測定された電位差Ai+1を用い、次(1a)式
FCi+1(ppt)={(Ai+1/Bi+1)×(B/A)−1}×1000 ………(1a)
(ここで、Ai+1:時刻(i+1)(測定時)における測定端子対の電位差、Bi+1:時刻(i+1)(測定時)の照合端子対の電位差、A:時刻Sまたはモニタリング開始時における測定端子対の電位差、B:時刻Sまたはモニタリング開始時におけるの照合端子対の電位差)
で定義される電場指紋係数FCi+1値を算出する。ついで、図4や図5に示すようにマスターカーブから、算出された電場指紋係数FCi+1値に相当する荷重繰返し回数Ni+1を読み取る。これらマスターカーブから読み取られた荷重繰返し回数Ni、i+1を用い、次(2)式
L={t×(Ncr−Ni+1)/(Ni+1−N)} ………(2)
(ここで、L:実鋼構造物の余寿命、t:時刻iから時刻(i+1)までの時間間隔、Ncr:限界繰返し回数、N:時刻iにおける実鋼構造物で測定されたFC値からマスターカーブ上で読み取った荷重負荷繰返し回数、Ni+1:時刻(i+1)における実鋼構造物で測定されたFCi+1値からマスターカーブ上で読み取った荷重負荷繰返し回数)
により、実鋼構造物の余寿命Lを推定する。なお、本発明では、実鋼構造物の電位差測定の時間間隔tは特に限定されるものではなく、時間、日数、年数など所望の間隔で少なくとも2回電位差測定を繰返せばよい。
以下、実施例に基づき、さらに本発明について説明する。
実鋼構造物を模擬した、図6に示すUリブコーナーに亀裂を有する新たな桁部材を作製し、繰返し荷重を負荷しながら、亀裂進展をモニタリングし、亀裂進展量を推定した。
部材表面に、図1に示すような格子状に複数の電位差測定用端子(2a〜2l:計12個)を配置したモニタリング領域Mを形成した。各接点間の間隔は30mmとした。また、このモニタリング領域Mに電流を印加するために、モニタリング領域Mの端部周辺に一対の電極11、11を設置した。なお、モニタリング領域Mに構成される電位差測定用端子の格子は一辺(2a−2b、2b−2c)が疲労亀裂進展が予想される方向に直交する方向となるように設定した。また、電流方向は、電位差測定用端子の格子の一辺(2a−2b、2b−2c)に平行な方向とした。
一対の電極11、11間には、直流パルス(パルス高さ:120A、パルス時間:1.7s)を印加した。電流差測定手段として、直流電位差計を使用して、複数の測定用端子のうちの一対づつをペアーとして測定端子対とし、各測定端子対(No.A〜No.I)の電位差を間歇的に測定した。測定端子対No.Aは2a−2b、No.Bは2b−2c、No.Cは2c−2d、No.Dは2e−2f、No.Eは2f−2g、No.Fは2g−2h、No.Gは2i−2j、No.Hは2j−2k、No.Iは2k−2lとした。なお、各測定用端子には予め測定用リード線が取り付けられ、切替スイッチにより切替可能に設定されることはいうまでもない。また、照合用測定端子を桁部材とは別の鋼板に設置し、亀裂以外の要因による電位差の変化を消去するために、同時に照合端子対の電位差も測定した。
測定された、各測定端子対の電位差Aを用い、モニタリング開始時(時刻S)を基準にして、前記(1)式で定義される電場指紋係数FCを算出した。
モニタリング対象の桁部材に対し、測定開始から3日目に測定した電位差を用い算出したFC値と、予め試験体を用いて決定しておいた図2に示す亀裂進展モニタリング用マスターカーブ(FC値−亀裂進展量曲線)とを用い、測定開始から3日目までの亀裂進展量を推定したところ、亀裂進展量は0.5mmであった。亀裂先端に貼付したクラックゲージにより得られた測定開始から3日目までの亀裂進展量は0.5mmであった。このように、本発明の亀裂進展のモニタリング方法によれば、亀裂進展量を良好な精度で推定できることを確認した。
また、測定開始時および測定開始から3日目に測定した電位差から(1)および(1a)式を用いて算出したFC値を用いて、予め試験体を用いて決定しておいた図4に示す余寿命推定用マスターカーブ(FC値−荷重負荷繰返し回数曲線)から荷重負荷繰返し回数Nを読み取り、(2)式を用いて桁部材の繰返し荷重下における余寿命を推定したところ、余寿命は38.5日(測定開始から41.5日)であった。一方、桁部材は測定開始から43日で破壊した。このように、本発明の余寿命推定方法によれば、実鋼構造物の余寿命を良好な精度で予測することができることを確認した。
本発明で電位差測定領域に構成される電極、電位差測定用端子の配置の一例を示す説明図である。 亀裂進展モニタリング用マスターカーブとする、FC値―疲労亀裂進展量曲線の一例を示すグラフである。 測定領域に設定される電極、電位差測定用端子の配置と測定端子対の組合せを示す説明図である。 FC値と荷重負荷繰返し回数との関係の一例を示すグラフである。 余寿命推定用マスターカーブとする、FC値−荷重負荷繰返し回数曲線を模式的に示すグラフである。 本発明の実施例で使用した桁部材(鋼構造物)の概要を模式的に示す説明図である。
符号の説明
11 電極
2、2a、2b、……;21,22、…… 電位差測定用端子

Claims (10)

  1. 実鋼構造物表面に複数の電位差測定用端子を所定の間隔で離隔して格子状に配置し電位差測定領域とし、該電位差測定領域を挟んで設けられた一対の電極を介して該実鋼構造物表面に電流を印加しながら、前記電位差測定領域における前記複数の電位差測定用端子のうちの二つを一対として形成される複数の測定端子対について、該複数の測定端子対に生じる電位差を間歇的または連続的にそれぞれ測定して、前記電位差測定領域における亀裂の進展をモニタするに当たり、
    予め、実構造物を模擬した試験体を作製し、該試験体に前記電位差測定領域と同様に格子状に複数の電位差測定用端子を配置した測定領域を設け、該試験体に繰返し荷重を負荷し又は加熱冷却を繰返し、亀裂を発生、進展させて、あるいは既存の亀裂を進展させて、該亀裂の進展量を該亀裂の先端領域において測定するとともに、前記測定領域を挟んで設けられた一対の電極を介して該試験体表面に電流を印加しながら、該亀裂の進展量の測定と同時に、前記測定領域における複数の電位差測定用端子のうちの二つを一対として形成される複数の測定端子対について、該複数の測定端子対に生じる電位差をそれぞれ測定し、該電位差から下記(1)式で定義される電場指紋係数FC値を前記複数の測定端子対についてそれぞれ算出し、該各測定用端子対ごとに前記亀裂の進展量と該電場指紋係数FC値との関係を求め、これをマスターカーブとし、
    前記電位差測定領域において測定した前記複数の測定端子対についてのそれぞれの電位差から、下記(1)式で定義される電場指紋係数FC値を前記複数の測定端子対についてそれぞれ算出し、該測定端子対についてそれぞれ算出された電場指紋係数FC値から、前記マスターカーブを参照して実鋼構造物における亀裂の進展量を推定することを特徴とする実鋼構造物における亀裂進展のモニタリング方法。

    FC(ppt)={(Ai/Bi)×(B/A)−1}×1000 ………(1)
    ここで、Ai:時刻i(測定時)における測定端子対の電位差、
    Bi:時刻i(測定時)の照合端子対の電位差、
    :時刻Sまたはモニタリング開始時における測定端子対の電位差、
    :時刻Sまたはモニタリング開始時におけるの照合端子対の電位差
  2. 前記亀裂が、疲労亀裂であることを特徴とする請求項1に記載の亀裂進展のモニタリング方法。
  3. 前記電流が、直流または直流パルス電流または交流であることを特徴とする請求項1又は2に記載の亀裂進展のモニタリング方法。
  4. 前記直流または直流パルス電流が10〜2000Aであることを特徴とする請求項3に記載の亀裂進展のモニタリング方法。
  5. 前記電場指紋係数FC値に代えて、各測定端子対に生じる電位差Aiを用いることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の亀裂進展のモニタリング方法。
  6. 実鋼構造物の表面に複数の電位差測定用端子を所定の間隔に離隔して配置し電位差測定領域とし、該電位差測定領域を挟んで設けられた一対の電極を介して該実鋼構造物表面に電流を印加しながら、前記電位差測定領域における前記複数の電位差測定用端子のうちの二つを一対として形成される少なくとも一対の電位差測定端子対について、該電位差測定端子対に生じる電位差を間歇的または連続的に測定して、該実鋼構造物の余寿命を推定するに当たり、
    予め、実構造物を模擬した試験体を作製し、該試験体に前記電位差測定領域と同様に複数の電位差測定用端子を配置した測定領域を設け、該試験体に繰返し荷重を負荷し亀裂を発生、進展させながら、あるいは既存の亀裂を進展させながら、前記測定領域を挟んで設けられた一対の電極を介して該試験体表面に電流を印加して、前記測定領域における複数の電位差測定用端子のうちの二つを一対として形成される少なくとも一対の測定端子対について、該測定端子対に生じる電位差を間歇的又は連続的に測定し、該電位差から下記(1)式で定義される電場指紋係数FC値を前記測定端子対について算出するとともに、該測定時の荷重負荷繰返し回数を記録して、前期測定用端子対ごとに電場指紋係数FC値と荷重負荷繰返し回数との関係を、該試験体が崩壊する荷重負荷繰返し回数あるいはその直前の荷重負荷繰返し回数である限界繰返し回数Ncrまで求め、これをマスターカーブとし、
    前記電位差測定領域において時刻iに測定された前記電位差測定端子対の電位差Aを用い、下記(1)式で定義される電場指紋係数FC値を算出し、前記マスターカーブから、該算出された電場指紋係数FC値に相当する荷重繰返し回数Nを読み取り、ついで時刻iから時間間隔t後の時刻(i+1)に測定された前記電位差測定端子対の電位差Ai+1を用い、下記(1a)式で定義される電場指紋係数FCi+1値を算出し、前記マスターカーブから、算出された電場指紋係数FCi+1値に相当する荷重繰返し回数Ni+1を読み取り、下記(2)式により該実鋼構造物の余寿命Lを推定することを特徴とする実鋼構造物における余寿命推定方法。

    FC(ppt)={(A/B)×(B/A)−1}×1000 ………(1)
    ここで、A:時刻i(測定時)における測定端子対の電位差、
    :時刻i(測定時)の照合端子対の電位差、
    :時刻Sまたはモニタリング開始時における測定端子対の電位差、
    :時刻Sまたはモニタリング開始時におけるの照合端子対の電位差
    FCi+1(ppt)={(Ai+1/Bi+1)×(B/A)−1}×1000 ………(1a)
    ここで、Ai+1:時刻(i+1)(測定時)における測定端子対の電位差、
    i+1:時刻(i+1)(測定時)の照合端子対の電位差、
    :時刻Sまたはモニタリング開始時における測定端子対の電位差、
    :時刻Sまたはモニタリング開始時におけるの照合端子対の電位差
    L={t×(Ncr−Ni+1)/(Ni+1−N)} ………(2)
    ここで、L:実鋼構造物の余寿命、
    t:時刻iから時刻(i+1)までの間隔、
    cr:限界繰返し回数、
    :時刻iにおける実鋼構造物で測定されたFC値からマスターカーブ上で読み取った荷重負荷繰返し回数、
    i+1:時刻(i+1)における実鋼構造物で測定されたFC値からマスターカーブ上で読み取った荷重負荷繰返し回数
  7. 前記電場指紋係数FC値およびFCi+1値に代えて、各測定端子対に生じる電位差AおよびAi+1を用いることを特徴とする請求項6に記載の実鋼構造物における余寿命推定方法。
  8. 前記電位差測定領域および前記測定領域が、複数の電位差測定用端子を格子状に配設した領域であることを特徴とする請求項6または7に記載の実鋼構造物における余寿命推定方法。
  9. 前記電流が、直流、または直流パルス電流、または交流であることを特徴とする請求項6ないし8いずれかに記載の実鋼構造物における余寿命推定方法。
  10. 前記直流または直流パルス電流が10〜2000Aであることを特徴とする請求項9に記載の実鋼構造物における余寿命推定方法。
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