JP2009204564A - 鋼製橋の損傷発生・進展のモニタリング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鋼製橋において、簡便に、損傷の発生・進展をモニタリングできる、鋼製橋の損傷発生・進展のモニタリング方法を提供する。
【解決手段】鋼製橋における面状を呈する被測定領域表面に複数の電位差測定用端子を、該被測定領域の縁部で、かつ該被測定領域を斜めに横切る電位差測定用端子対が形成可能なように、好ましくは千鳥状に、所定の間隔で離間して配置する。該複数の電位差測定用端子を挟んで設けられた一対の電極を介して電流を供給しながら、前記電位差測定用端子対に生じる電位差を、間歇的または連続的に測定し、電位差分布あるいは電位差変化率分布を求め、被測定領域内の損傷の発生・進展をモニターする。また、電流は、直流または直流パルスとすることが好ましい。これによれば、少ない電位差測定用端子の配設で広範な領域における損傷の発生・進展を、簡便にしかも精度高く行うことができる。また、電位差の測定はPHS等の電話回線を利用して行うことが好ましい。
【選択図】図4

Description

本発明は、鋼製橋の損傷発生・進展のモニタリング方法に係り、とくに鋼製橋の広範な領域に亘り、非破壊で、亀裂、腐食等の損傷の発生、進展をモニタリングできる、鋼製橋の損傷発生・進展のモニタリング方法に関する。
実鋼構造物では、その使用環境に応じて、鋼構造物を構成する材料に腐食や亀裂等の損傷が発生する場合が多い。例えば、橋梁など、繰返し荷重が作用する実鋼構造物では、鋼構造物を構成する鋼材に、腐食、疲労亀裂等の損傷が発生し、進展する場合がある。このような損傷は、実鋼構造物の破壊原因となることが多いため、安全確保という観点から早期に検知する必要がある。
例えば橋梁などでは、通常、使用中に発生する腐食、疲労亀裂など、構造物の破壊に繋がる重大な損傷の検出は、目視点検を主とし、詳細な検討を必要とする場合に超音波探傷法を利用しているのが実情である。しかし、例えば橋梁などでは、点検個所が多いため、目視による点検も頻度高く行うこともできず、またさらに測定者が近づきがたく、あるいは危険で目視による点検すら難しい個所もある。またさらに、超音波探傷法では深さ6mm以上の欠陥しか検出できない。そのため、簡便で、しかも精度高く損傷の発生、進展をモニタリングできる非破壊検査方法が要望されていた。
亀裂、減肉等の損傷の大きさ、形状に関する情報が比較的精度高く得られる非破壊検査方法として、例えば、電位差法がある。電位差法は、被測定物に電流を流し、この損傷を挟む位置での電位差測定から、予め求めた校正曲線を利用して、被測定物に含まれる損傷の形状、寸法に関する情報を得ようとするものである。
例えば、特許文献1には、電位差法を利用した「欠陥検査方法」が提案されている。特許文献1に記載された技術は、構造物の表面に給電端子と電位差測定端子とを兼用する端子をマトリックス状に配置し、給電する端子と電位差を測定する端子を切り換えて電位差分布を測定し、亀裂の発生位置と形状を検出しようとするものである。特許文献1に記載された技術によれば、被検体の健全性を精度良く検査することが可能であるとしている。
また、例えば、特許文献2には、直流電位差法による三次元亀裂の非破壊検査方法が提案されている。特許文献2に記載された技術は、基板表面の電位差分布を測定し、これら測定値と仮定した形状の亀裂から求められる仮想的な電位差分布との差を比較し、測定値と計算値との差が小さくなるように亀裂形状を変化させて亀裂の形状を推定するものであり、任意の縦横比の三次元亀裂の形状、寸法、傾きを定量評価できるとしている。なお、特許文献2に記載された技術によれば、超音波探傷法、X線透過法などの適用が困難な溶接部への適用が容易となるとしている。
また、特許文献3には、被測定物表面に、複数の電位差測定用端子をマトリックス状に所定の間隔で離間して配置して、該測定物表面に、電流を供給しながら、各電位差測定用端子間に生じる電位差または電位差変化率を測定し、各測定領域における電位差分布または電位差変化率分布を求める、きずの非破壊検査方法が記載されている。
また、特許文献4には、実鋼構造物表面に、複数の電位差測定用端子を、好ましくは格子状に配置して、各測定端子対について、電位差を測定し、得られた電位差から電場指紋係数FCを算出し、あらかじめマスタカーブとして実鋼構造物を模擬した試験体を用いて決定しておいた亀裂進展量と、FC値との関係を求め、マスタカーブを用い実鋼構造物で測定したFC値から亀裂の進展量をモニタする実鋼構造物の亀裂進展のモニタリング方法が記載されている。
特開昭63−101742号公報 特開平06−109684号公報 特開2005−208039号公報 特開2006−71299号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、多数の端子を設定する必要があるうえ、給電端子と測定端子とを頻度高く、切り換える必要があり、測定者の立入りが難かしい個所での測定や、広範な領域での測定には不向きであるという問題があった。また、特許文献2に記載された技術では、電位差法を利用して計測された測定値から、亀裂の現在の状態を定量的に推定することはできるが、亀裂進展の方向と大きさを推定することは、不可能であるという問題があった。また、特許文献3、4に記載された技術では、多数の端子を設定する必要があるため、端子数が多く、測定線が長大となり、測定費用が高くなり、広範な領域での測定には不向きであるという問題があった。
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決し、鉄製橋梁におけるような、測定者が容易に近寄れない個所や危険な環境下の個所や広範な測定領域においても、電位差法を利用し少ない電位差測定端子の配設で、簡便に、損傷の発生、進展をモニタリングできる、鋼製橋の損傷発生・進展のモニタリング方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記した目的を達成するために、とくに広い領域に亘り損傷の発生・進展をモニタリングすることが要望されている鉄製橋の鋼床板に着目し、電位差法を利用し、疲労亀裂等の損傷の発生・進展を簡便にモニタリングできる、鋼製橋の損傷発生・進展のモニタリング方法について鋭意研究した。その結果、橋梁の鋼床板のような広範な面状を呈する領域を被測定領域とし、複数の電位差測定端子を、狭い間隔で格子状に配置することなく、該被測定領域の縁部で、かつ被測定領域を少なくとも斜めに横切って、好ましくは千鳥状に配置することが、測定の簡便化の観点、および橋梁であれば測定精度の観点からも十分であることに想到した。そして、複数の電位差測定端子をこのように配置することにより、少ない個数の電位差測定端子でも、面状を呈する広範な被測定領域のほぼ全域がモニタリング可能となることを知見した。しかも、橋梁においては、測定端子間の間隔(スパン)を少なくとも10mを超える長スパンとしても、測定条件を適正に調整することにより、測定端子間の間隔(スパン)が狭い場合と同様に、損傷の発生・進展を精度よくモニターできることを知見した。
本発明は、かかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は、次のとおりである。
(1)鋼製橋の被測定領域表面に複数の電位差測定用端子を所定の間隔で離間して配置し、あるいはさらに被測定領域の欠陥が発生しない領域表面に複数の参照電位差測定用端子を所定の間隔で離間して配置し、該複数の電位差測定用端子あるいはさらに複数の参照電位差測定用端子を挟んで設けられた一対の電極を介して該被測定領域表面に電流を供給しながら、前記複数の電位差測定用端子間に生じる電位差あるいはさらに複数の参照電位差測定用端子間に生じる電位差を、間歇的または連続的に測定して、該被測定領域における電位差分布あるいは電位差変化率分布を求め、損傷の発生を検出し、該損傷の進展をモニタリングするにあたり、前記被測定領域が面状を呈する領域であり、前記複数の電位差測定用端子を、前記面状を呈する領域の縁部で、かつ前記面状を呈する領域を斜めに横切る電位差測定用端子対が形成可能なように、配置することを特徴とする鋼製橋の損傷発生・進展のモニタリング方法。
(2)(1)において、前記電流が、直流または直流パルスであることを特徴とする鋼製橋の損傷発生・進展のモニタリング方法。
(3)(1)または(2)において、前記面状を呈する領域が、橋梁部材の面状を呈する領域であり、前記面状を呈する領域を斜めに横切る電位差測定用端子対が形成可能なように、前記複数の電位差測定用端子を千鳥状に配置することを特徴とする鋼製橋の損傷発生・進展のモニタリング方法。
(4)(3)において、前記橋梁部材の面状を呈する領域が鋼床板であることを特徴とする鋼製橋の損傷発生・進展のモニタリング方法。
(5)(1)ないし(4)のいずれか1項において、前記測定を、遠隔操作で行うことを特徴とする鋼製橋の損傷発生・進展のモニタリング方法。
(6)(5)において、前記遠隔操作を、電話回線を用いて行うことを特徴とする鋼製橋の損傷発生・進展のモニタリング方法。
(7)(1)ないし(6)のいずれか1項において、前記電流の電源を、太陽電池を用いて充電した蓄電池とすることを特徴とする鋼製橋の損傷発生・進展のモニタリング方法。
本発明によれば、鋼製橋の、測定者が容易に近寄れない個所や危険な環境下の箇所においてや、広範な測定領域においても、少ない電位差測定端子の配設で、非破壊的にしかも簡便に、損傷の発生・進展を、間歇的あるいは連続的にかつ長期間にわたり精度よくモニターすることが可能となり、産業上格段の効果を奏する。また、本発明によれば、鋼製橋の安全性確保が容易となるという効果もある。また、本発明によれば、鋼製橋の損傷度合の点検を非常駐車帯や歩道から行うことができ、点検時の交通規制を行うことなく、点検することができるという効果もある。
本発明で使用する損傷検出・進展のモニタリング用装置は、とくに限定する必要はないが、図1に示すように、電源1と、電源1から鋼製橋(鋼構造物)の被測定領域W表面に電流を印加するための少なくとも一対の電極11、11と、複数の電位差測定用端子2と、電位差測定手段3と、演算手段4と、データ保存手段5と、あるいはさらに表示手段(図示せず)、あるいはさらに電位差測定手段を遠隔操作するための送信手段および受信手段(表示せず)を有する装置とすることが好ましい。なお、本発明で使用する損傷検出・進展のモニタリング用装置では、鋼製橋(鋼構造物)の損傷が発生しない領域表面に複数の参照用端子(図示せず)を有することが好ましい。参照用端子は、被測定物の温度変化など、損傷以外の原因による抵抗変化(電位差の変化)を消去するために設けられる。なお、この複数の参照用端子は、鋼製橋(鋼構造物)の被測定領域と同一環境下に置かれた、被測定領域と同種材料で損傷のない参照板上に、好ましくは複数個配設することが好ましい。その場合は、被測定領域と同一の電流が流れるようにするため、参照板を絶縁することが必要となる。
本発明では、まず、鋼製橋(鋼構造物)の面状を呈する領域を被測定領域Wとする。この面状を呈する領域は、例えば橋梁部材では鋼床板はもちろんのこと、トラスやアーチのような一部面状を有する部材を持つものでも対象となる。例えば道路用橋梁(鋼製)における鋼床板には、自動車等の走行に伴う繰返し荷重が作用し、疲労亀裂の発生・進展が懸念される。橋梁における鋼床板は、長さ約100m単位の矩形面を呈する。このような広範な領域のどこから疲労亀裂が発生・進展するか不明である。このため、このような広範な領域、全域を被測定領域Wとする必要がある。
本発明では、複数の電位差測定用端子2i,2j,2k‥‥2x,2y,2zを、図2に例示するように、被測定領域Wの縁部に、かつ前記被測定領域を斜め横切って、好ましくは2i−2j、2j−2kのように電位差測定用端子対が形成可能なように、千鳥状に、所定の間隔で離隔して配設する。このように、被測定領域を斜めに横切る電位差測定用端子対を形成することにより、該電位差測定用端子対を対角線とする矩形領域内に生じる変化を該電位差測定用端子間の電位差変化を介してモニタリングすることができる。したがって、このような電位差測定用端子対を複数対、被測定領域の全域に亘って形成することにより、面状を呈する広範な領域のほぼ全域がモニタリング可能となる。
なお、電位差測定用端子を配設する所定の間隔は、とくに限定する必要はないが、測定可能なより長いスパンとすることにより、形成する電位差測定用端子対の数が少なくてすみ、測定作業が簡素化できる。本発明では、10mを超える長いスパンとしても、10m未満の短いスパンの場合と同様に、損傷の発生・進展を精度高く検出することができる。なお、電位差測定用端子2i,2j,2k‥‥2x,2y,2zは、被測定領域の表面に、圧接、溶接、圧着、接着等の接合手段で、接合、配設することが好ましい。なお、接合は、接触抵抗が変化しなければとくにその方法は限定されない。
そして、この被測定領域の両端部近傍には、電位差測定用端子、あるいはさらに参照用端子を挟んで、一対の電極11、11が圧接、溶接、圧着、接着等の接合手段で配設される。一対の電極11、11には、電流供給用電線が配線され、電源1から電流が供給可能とされる。なお、参照用端子を配設する場合には、電位差測定用端子を配設する領域と参照用端子を配設する領域とは離れている場合が多いため、電位差測定端子を配設する領域と参照用端子を配設する領域とが電気的に直列に接続されるように電極11、11を配置することが好ましい。なお、電源1としては、蓄電池とすることが好ましく、また、太陽電池を用いて自動充電可能とすることがより好ましい。
配設された複数の電位差測定用端子2i,2j,2k,…2x,2y,2z、あるいはさらに、配設された複数の参照用端子には、電位差測定用リード線を介して電位差測定手段3の測定端が接続される。
供給する電流は、交流、直流いずれでも測定可能であるが、本発明では、直流とすることが好ましい。なお、供給する電流は、抵抗発熱による温度上昇を考慮して、とくに直流パルスとすることがより好ましい。供給する電流は、各電位差測定用端子間の電位差が測定可能であれば、その値はとくに限定されない。
被測定領域の表面に設置した電極11,11間に電流を供給しながら、電位差測定手段3により、所定の間隔で離隔して配設された電位差測定端子間(被測定領域を斜めに横切る電位差測定用端子対)、例えば図2の、2i−2j間、2j−2k間、2k−2l間、‥‥2x−2y間、2y−2z間の電位差を測定する。なお、電位差の測定に際しては、被測定領域の温度変化等、損傷以外の原因による電位差変化を消去するために複数の参照用端子を設け、参照用端子間の電位差も同時に測定することが好ましい。
電位差測定手段3は、測定する一対の端子間に接続され、それら端子間の電位差を測定する。該端子間の電位差測定が終了したのち、ついで接続する端子を切り替えて、異なる一対の端子間の電位差を測定する。電位差測定手段3の測定端の切替は、切替スイッチ等の切替手段(図示せず)により手動あるいは予めプログラムされた順序に従って自動的に切り替えることが好ましい。
測定により得られた各電位差測定用端子対における電位差Viは、次(1)式
Vi=ρLI/Si ……(1)
(ここで、Vi:i刻(測定時)の電位差測定用端子対における電位差、ρ:被測定領域(鋼構造物)の抵抗率、L:電位差測定用端子間の距離、I:印可電流値、Si:測定時断面積)
で表わされる。
本発明では、各電位差測定用端子対において生じる電位差を、基準時以降任意の時間に間歇的に、または連続的に測定し、各端子対における電位差の変化、または電位差の変化率を算出する。電位差の変化としては、例えば、次(2)式
電位差の変化={(Vi/Bi)−(B0/V0)}×1000 ‥‥(2)
を用いることが、また、電位差の変化率としては、温度、印可電流のばらつきによる誤差を除去するため、次(3)式
FC={(Vi/Bi)×(B/V0)−1}×1000 ……(3)
(ここで、Vi:i刻(測定時)の電位差測定用端子対における電位差、Bi:i刻(測定時)の参照端子間電位差、V0 :0刻(基準:測定開始)時の電位差測定用端子対における電位差、B:0刻(基準:測定開始)時の参照端子間電位差)
で定義される電場指紋係数FCを用いることが好ましい。
得られた電位差の変化、または電位差の変化率から、損傷発生の有無、損傷の位置を把握して、さらには損傷の進展状況を把握する。なお、得られた測定結果から、各測定用端子間の電位差分布、あるいは電位差の変化率分布として表示することにより、損傷の存在状態およびその変化をより明瞭にすることができる。
上記したモニタリング方法は、広範な被測定領域における損傷の発生・進展の粗いモニタリングを目的としたものであり、損傷の進展の度合に応じて、その後の適当な時期にさらに電位差測定用端子を追加し、より厳密な損傷量、損傷発生位置を特定するか、目視、超音波探傷、磁粉探傷等の詳細な点検を行うことを必要とする。
また、上記したモニタリング方法における電位差の測定は、例えば監視室、制御室等の、被測定領域から遠く離れた地点から遠隔操作で行ってもよい。遠隔操作は、簡易型携帯電話システム(PHS)、専用電話回線、非常電話回線等の電話回線を用いて行うことが好ましい。遠隔操作の方法として、電位差測定手段に、得られたデータ等の送信手段および測定の開始・終了等の指示を受信する受信手段を配設することにより可能となる。
自動車専用道路に設けられた橋梁(鋼製橋)のうちの一つについて、その鋼床板(長さ約90m、幅5mの平面領域)を被測定領域として選定した。この被測定領域の表面に、図3に示すような複数の電位差測定用端子(2i〜2x:16個)を、被測定領域の縁部でかつ被測定領域を斜めに横切るような電位差測定用端子対が形成可能なように、千鳥状に配設した。なお、端子間の間隔は約10〜12mとした。また、これら複数の電位差測定用端子が形成する領域に電流を供給するために、被測定領域の端部周辺に一対の電極11、11を設置した。一対の電極11、11間には、直流パルス(パルス高さ:30A、パルス時間:約2s)を印加した。電流差測定手段として、直流電位差計を使用して、各電位差測定用端子間を図2に示すようにペアーとして各ペアー(ペアーNo.1〜No.15)の電位差を間歇的に測定した。なお、各測定用端子には予め測定用リード線が取り付けられ、切替スイッチにより切替可能に設定されることはいうまでもない。なお、損傷以外の要因による電位差の変化を消去するために、複数の参照用端子を、被測定領域の近傍に設置した同一材質の参照板上(被測定領域の近傍の損傷発生のない個所)で、印加電流のプラス(+)側に設置し、参照用端子間の電位差も同時に測定した。
測定された、各電位差測定用端子対(ペアー)の電位差、および参照用端子間の電位差を用い、測定開始時を基準にして、電位差の変化率である、次(3)式
FC={(Vi/Bi)×(B0/V0)−1}×1000 ‥‥(3)
(ここで、Vi:当該ペアーの測定電位差、Bi:測定時の参照用端子間電位差、V0:当該ペアーの測定開始時の電位差、B0:測定開始時の参照用端子間電位差)
で定義される電場指紋係数FCを算出した。
得られた結果を、FCと経過時間との関係で一例を図4、図5に示す。
図4から、測定開始から45日ごろから、ペアーNo.2(測定用端子2j−2k間)でFCが零からシフトしており、ペアーNo.2間で損傷が発生したことが認められた。ペアーNo.2では、その後もFCの増加が認められ、損傷が進展していることが推測された。他のペアー(図4、図5)ではFCの変化は認められなかった。(なお、ペアーNo.9〜No.15は、FCの変化が認められなかったので図示せず)。
このことから、従来、簡単には測定できなかったこのような広範な領域においても、本発明におけるような簡便な方法で、損傷の発生・進展を容易にモニターすることが可能となる。
本発明で、使用する非破壊検査装置の概略構成を模式的に示す説明図である。 本発明における電位差測定用端子の配置の一例を示す説明図である。 本発明の実施例で使用した電極、電位差測定用端子の配置とペアーの組合せを示す説明図である。 本発明の実施例における電位差変化率と測定開始からの経過時間との関係を示すグラフである。 本発明の実施例における電位差変化率と測定開始からの経過時間との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 電源
2 電位差測定用端子
3 電位差測定手段
4 演算手段
5 データ保存手段
11 電極
W 被測定領域

Claims (7)

  1. 鋼製橋の被測定領域表面に複数の電位差測定用端子を所定の間隔で離間して配置し、あるいはさらに被測定領域の欠陥が発生しない領域表面に複数の参照電位差測定用端子を所定の間隔で離間して配置し、該複数の電位差測定用端子あるいはさらに複数の参照電位差測定用端子を挟んで設けられた一対の電極を介して該被測定領域表面に電流を供給しながら、前記複数の電位差測定用端子間に生じる電位差あるいはさらに複数の参照電位差測定用端子間に生じる電位差を、間歇的または連続的に測定して、該被測定領域における電位差分布あるいは電位差変化率分布を求め、損傷の発生を検出し、該損傷の進展をモニタリングするにあたり、
    前記被測定領域が面状を呈する領域であり、前記複数の電位差測定用端子を、前記面状を呈する領域の縁部で、かつ前記面状を呈する領域を斜めに横切る電位差測定用端子対が形成可能なように、配置することを特徴とする鋼製橋の損傷発生・進展のモニタリング方法。
  2. 前記電流が、直流または直流パルスであることを特徴とする請求項1に記載の鋼製橋の損傷発生・進展のモニタリング方法。
  3. 前記面状を呈する領域が、橋梁部材の面状を呈する領域であり、前記面状を呈する領域を斜めに横切る電位差測定用端子対が形成可能なように、前記複数の電位差測定用端子を千鳥状に配置することを特徴とする請求項1または2に記載の鋼製橋の損傷発生・進展のモニタリング方法。
  4. 前記橋梁部材の面状を呈する領域が鋼床板であることを特徴とする請求項3に記載の鋼製橋の損傷・進展のモニタリング方法。
  5. 前記測定を、遠隔操作で行うことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の鋼製橋の損傷発生・進展のモニタリング方法。
  6. 前記遠隔操作を、電話回線を用いて行うことを特徴とする請求項5に記載の鋼製橋の損傷発生・進展のモニタリング方法。
  7. 前記電流の電源を太陽電池を用いて充電した蓄電池とすることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の鋼製橋の損傷発生・進展のモニタリング方法。
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