JP2006070558A - 鉄筋コンクリート壁の外断熱用断熱材及びこの外断熱用断熱材を用いた鉄筋コンクリート壁の外断熱施工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 コンクリート壁に極めて強固に付着することができるとともに、コンクリート打設後に外装施工のための下地材施工や造作を容易に施工可能とした外断熱用断熱材を提案する。
【解決手段】 所定規格寸法の矩形ボードに形成した発泡断熱材であり、コンクリート打設時にコンクリート壁30に同時に付着され、コンクリート壁30の屋外側に施工される鉄筋コンクリート壁の外断熱用断熱材であって、ビス42を締め止め可能とする柱状の樹脂製アンカー20が嵌通される開孔12を、所定間隔で全面に配置する。
【選択図】 図1
【解決手段】 所定規格寸法の矩形ボードに形成した発泡断熱材であり、コンクリート打設時にコンクリート壁30に同時に付着され、コンクリート壁30の屋外側に施工される鉄筋コンクリート壁の外断熱用断熱材であって、ビス42を締め止め可能とする柱状の樹脂製アンカー20が嵌通される開孔12を、所定間隔で全面に配置する。
【選択図】 図1
Description
この発明は、鉄筋コンクリート構造の建物において、鉄筋コンクリート壁の外断熱施工で用いる断熱材、及びこの断熱材を用いた鉄筋コンクリート壁の外断熱施工方法に関するものである。
鉄筋コンクリート(RC)は、圧縮には強いが引張りに弱いコンクリートを高強度の延性材料である鉄筋で補強した複合材料で、鉄筋コンクリート構造の建物は、躯体主要部をこの鉄筋コンクリートで構成するものである。建物の造形に自由があり、耐久性、耐火性、耐震性に優れた構造であることから、住宅建築においても需要が増加している。
鉄筋コンクリート構造の建物の断熱方法としては、コンクリート壁の屋外側に断熱材を施工する外断熱工法と、屋内側に断熱材を施工する内断熱工法とがある。両者を比較すると、外断熱工法は、コンクリート躯体を外気の冷熱から遮断し、コンクリート自体の熱容量が利用可能となって建物の省エネルギー効果に大きく貢献することができ、断熱性能、省エネ性、居住性の点でより優れた手段である。この外断熱工法としては、コンクリート打設時に矩形ボードの発泡断熱材を同時に付着させ、コンクリート壁の屋外側に発泡断熱材を全面に敷設する施工が行われ、コンクリート壁と発泡断熱材との付着力の強化を図る手段(例えば特開2002−129683号公報、特許文献1)が提案されている。
こうした外断熱工法において、敷設した発泡断熱材の表面に直接外壁材やモルタル材で外装施工した場合、雨水の浸透や侵入、透湿抵抗値の違いによる結露水の発生によって、冬季は凍結による外装仕上材の爆裂破壊、夏季は水蒸気圧による剥離現象が生じ、これらが建物の耐久性を損なう大きな弊害となっている。こうした弊害を解消するために、発泡断熱材と外壁材との間に通気層を形成する手段が取られ、この通気層の排湿作用により建物の耐久性の向上を図ることができる。
一方、従来の外断熱工法では、外装施工のための下地材施工や造作において、通気胴縁や造作用金物を締め止めする箇所が無く、それらを固定する位置を割り出し、発泡断熱材の厚みを貫通してコンクリート壁にアンカーを設置するなどの作業が必要とされている。このように、固定位置の設定や安定した取付強度を得るために煩雑な作業を伴い、内断熱工法と比較して施工が複雑となって建築コストが高価であった。外装施工のための固定手段(例えば特開2001−173202号公報、特許文献2)も提案されているが、必ずしも施工性、汎用性に優れたものではない。
特開2002−129683号公報
特開2001−173202号公報
この発明は、コンクリート打設時にコンクリート壁に同時に付着され、コンクリート壁の屋外側に施工される矩形ボードの発泡断熱材であり、コンクリート壁に極めて強固に付着することができるとともに、コンクリート打設後に外装施工のための下地材施工や造作を容易に施工可能とした鉄筋コンクリート壁の外断熱用断熱材を提案するものである。また、この外断熱用断熱材を用いることで、施工性に優れて建築コストの大幅な低減を図ることができる鉄筋コンクリート壁の外断熱施工方法を提案するものである。
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の鉄筋コンクリート壁の外断熱用断熱材は、所定規格寸法の矩形ボードに形成した発泡断熱材であり、コンクリート打設時にコンクリート壁30に同時に付着され、コンクリート壁30の屋外側に施工される鉄筋コンクリート壁の外断熱用断熱材であって、ビス42を締め止め可能とする柱状の樹脂製アンカー20が嵌通される開孔12を、所定間隔で全面に配置するものである。
請求項2に記載の鉄筋コンクリート壁の外断熱用断熱材は、上記開孔12を縦・横の間隔を同一とした格子位置に配置するものである。
請求項3に記載の鉄筋コンクリート壁の外断熱施工方法は、請求項1又は2に記載の外断熱用断熱材10の表面から各開孔12に、ビス42を締め止め可能とする柱状の樹脂製アンカー20を嵌通し、屋外側型枠35に外断熱用断熱材10を当接させて型枠34、35を組み立て、型枠34、35の間にコンクリートを打設し、コンクリート壁30の屋外側に外断熱用断熱材10を付着させると同時に、樹脂製アンカー20がコンクリート壁30に固定されるものである。
請求項4に記載の鉄筋コンクリート壁の外断熱施工方法は、通気胴縁40を樹脂製アンカー20の縦列に合わせて当接し、外側からビス42を用いて通気胴縁40を固定された樹脂製アンカー20に締め止めし、通気胴縁40に外壁材50を施工するものである。
請求項5に記載の鉄筋コンクリート壁の外断熱施工方法は、請求項4に記載の鉄筋コンクリート壁の外断熱施工方法において、通気胴縁40の幅より若干大きな直径の円形の鍔21を頭部に形成した樹脂製アンカー20を用いるものである。
請求項6に記載の鉄筋コンクリート壁の外断熱施工方法は、外断熱用断熱材10を屋外側型枠として用いるものである。
請求項7に記載の鉄筋コンクリート壁の外断熱施工方法は、外断熱用断熱材10に新たな開孔12を設け、これに樹脂製アンカー20を嵌通して施工するものである。
この発明の鉄筋コンクリート壁の外断熱用断熱材10は、所定間隔で配置した開孔12に柱状の樹脂製アンカー20を嵌通し、コンクリート打設により樹脂製アンカー20の先方部がコンクリート壁30に埋設され、コンクリート壁30に極めて強固に固定することができる。また、樹脂製アンカー20はビス42を締め止め可能であるから、これに通気胴縁や造作用金物を外側から簡単に固定可能で、外装施工のための下地材施工や造作を容易とすることができる。また、外断熱用断熱材10は、従来の発泡断熱材の全面に開孔12を配置するだけであるから、製作コストも安価である。
また、開孔12を縦・横の間隔を同一とした格子位置に配置すれば、外断熱用断熱材10を縦・横自在に敷設して開孔12の列を揃えることができ、縦・横の方向性が無くなるので取り扱いの便宜を図ることができる。
また、この発明の鉄筋コンクリート壁の外断熱施工方法によれば、コンクリート打設により同時に外断熱施工することができるとともに、上記のように樹脂製アンカー20はビス42を締め止め可能であるから、通気胴縁や造作用金物を締め止めする箇所が用意され、先方部がコンクリート壁30に埋設された樹脂製アンカー20にこれらを強固に固定することができ、外装施工の施工性の著しい向上により建築コストの大幅な低減を図ることができる。
また、通気胴縁40を樹脂製アンカー20の縦列に合わせて当接し、外側からビス42を用いて通気胴縁40を樹脂製アンカー20に締め止めし、通気胴縁40に外壁材50を施工する方法を用いれば、外断熱用断熱材10と外壁材50との間に通気層を簡単に形成することができる。
また、通気胴縁40の幅より若干大きな直径の円形の鍔21を頭部に形成した樹脂製アンカー20を用いれば、通気胴縁40を樹脂製アンカー20の縦列に合わせて当接した状態で、樹脂製アンカー20の軸心が解るので、外側からビス42を用いて簡単且つ正確に締め止めすることができる。
また、外断熱用断熱材10を屋外側型枠として用いた施工も可能であり、この場合は屋外側型枠が不要となって、型枠の組立・解体を簡略することができる。
また、外断熱用断熱材10に新たな開孔12を設け、これに樹脂製アンカー20を嵌通して施工することで、必要に応じて規定の位置以外に新たな締め止め箇所を増設することができる。
以下にこの発明の実施の形態を、図面を用いて具体的に説明する。
図1は、この発明の鉄筋コンクリート壁の外断熱用断熱材の実施例である。この外断熱用断熱材10は、ポリスチレン系樹脂を発泡成形した独立気泡の発泡ボードで、短辺・長辺・厚さを900mm、1800mm、50mmとした所定規格寸法の矩形ボードに形成した発泡断熱材である。図に示すように、この外断熱用断熱材10の全面には、厚さ方向を貫通した開孔12が所定間隔の格子位置に配置されている。開孔12の縦・横の間隔L1・L2は22.5mmで同一とされ、端の列の開孔12と端辺からの間隔L3・L4は112.5mmとされている。このような寸法に設定することで、外断熱用断熱材10を縦・横自在に敷設して開孔12の列を揃えることができ、外断熱用断熱材10は縦・横の方向性が無く、取り扱いの便宜が図られている。また、後述するように型枠34とともに組み立てた際にズレが生じた場合、端辺に沿ったカットで調整して揃えることができ、僅かな廃棄材の発生で済むようにされている。
図1は、この発明の鉄筋コンクリート壁の外断熱用断熱材の実施例である。この外断熱用断熱材10は、ポリスチレン系樹脂を発泡成形した独立気泡の発泡ボードで、短辺・長辺・厚さを900mm、1800mm、50mmとした所定規格寸法の矩形ボードに形成した発泡断熱材である。図に示すように、この外断熱用断熱材10の全面には、厚さ方向を貫通した開孔12が所定間隔の格子位置に配置されている。開孔12の縦・横の間隔L1・L2は22.5mmで同一とされ、端の列の開孔12と端辺からの間隔L3・L4は112.5mmとされている。このような寸法に設定することで、外断熱用断熱材10を縦・横自在に敷設して開孔12の列を揃えることができ、外断熱用断熱材10は縦・横の方向性が無く、取り扱いの便宜が図られている。また、後述するように型枠34とともに組み立てた際にズレが生じた場合、端辺に沿ったカットで調整して揃えることができ、僅かな廃棄材の発生で済むようにされている。
図2は、開孔12に嵌通する樹脂製アンカー20の実施例である。この樹脂製アンカー20は中実の円柱形で、頭部に薄厚円形の鍔21を形成し、柱状部の直径D1は開孔12の直径より若干大きな値とされ、本例では、開孔12がφ25mm、D1がφ26mmである。このような寸法としたことで、外断熱用断熱材10の伸縮性を利用して樹脂製アンカー20が開孔12に嵌通され、コンクリートの漏洩を防止するとともに樹脂製アンカー20の固定支持強度が強化されている。樹脂製アンカー20は、開孔12を貫通して先方部が外断熱用断熱材10の裏面から突出し、開孔12に嵌入する柱状部に抜止め用の突起22が形成され、先方部の柱状部には、コンクリートの付着力を強化するためのリブ・節23等の凹凸を外周面に形成している。
次に、外断熱用断熱材10を用いたこの発明の鉄筋コンクリート壁の外断熱施工方法を手順に沿って説明する。外断熱用断熱材10の表面から各開孔12に樹脂製アンカー20を打ち込んで嵌通する。樹脂製アンカー20は開孔12に嵌入し、先方部が貫通して外断熱用断熱材10の裏面から突出し、突起22が外断熱用断熱材10と噛み合って支持される。このようにして、外断熱用断熱材10の伸縮性と復元率を考慮し、コンクリート打設時のコンクリート圧力で樹脂製アンカー20が抜脱することを防止するとともに、固定支持強度のさらなる強化が図られている。次に、屋外側型枠35に外断熱用断熱材10を当接させ、屋内側型枠34と所定の間隔を保って、端太角材、管材、セパレータ等の支持部材を用いて型枠34、35を組み立てる。
次に、型枠34、35の間にコンクリートを打設する。コンクリートの打設により、図3に示すように、鉄筋32を配筋したコンクリート壁30が形成され、樹脂製アンカー20の先方部がコンクリート壁30に埋設され、コンクリート壁30の屋外側に外断熱用断熱材10が極めて強固に付着される。コンクリートが凝固後、支持部材を解体して型枠34、35を取り外せば、図4に示すように、外断熱用断熱材10の表面に樹脂製アンカー20の鍔21が格子状に配置した外断熱のコンクリート壁30が形成される。
次に、通気胴縁(木材)40を鍔21の縦列に合わせて当接し、外側からビス42を用いて樹脂製アンカー20に締め止めして通気胴縁40を施工する。なお、鍔21の直径D2は、通気胴縁40の幅より若干大きな値とされ、図6に示すように、通気胴縁40を当接した状態で鍔21の左右端部が露出し、樹脂製アンカー20の軸心が容易に解り、外側からビス42を用いて簡単且つ正確に締め止め可能とされている。本例では、通気胴縁40の幅50mm、鍔21がφ54mmである。
このようにして所定のピッチ間隔で縦方向に並んだ通気胴縁40を施工した後、この通気胴縁40に外壁材50を施工する。外断熱用断熱材10と外壁材50との間に縦方向の通気層が形成され、このようにして施工した外断熱鉄筋コンクリート壁の構造を図7に示す。さらに、コンクリート壁30の屋内側に内装を施工する。
なお、この発明の鉄筋コンクリート壁の外断熱施工方法では、外断熱用断熱材10が所定の厚さと強度を有するので、これを屋外側型枠として用いた施工も可能である。外断熱用断熱材10を型枠兼用とすれば屋外側型枠35が不要となり、図8に示すように、外断熱用断熱材10の小口面の間にHジョイナ15を用いて連結し、端太角材、管材、セパレータ等の支持部材を用いて屋内側型枠34とともに外断熱用断熱材10を屋外側型枠として組み立て、型枠34、外断熱用断熱材10の間にコンクリートを打設する。コンクリートの打設により、屋外側に外断熱用断熱材10が付着されたコンクリート壁30が形成される。Hジョイナ15を用いることで、外断熱用断熱材10を小口面の間に間隙・ズレが生じることなく連結し、コンクリートの漏洩を防止することができる。
さらに、外断熱用断熱材10を屋外側型枠として用い、通気胴縁40を樹脂製アンカー20の縦列に合わせて締め止めして外断熱用断熱材10を連結し、これを支持部材で固定して施工することもできる。このように、型枠組立時に通気胴縁40、支持部材で外断熱用断熱材10を固定すれば、コンクリートが凝固後に支持部材を取り外せば、外断熱用断熱材10の連結固定用に用いた通気胴縁40がそのまま通気層、外壁下地材として利用可能で、極めて合理的である。
図9、10は、樹脂製アンカー20の他の実施例である。この樹脂製アンカー20は、柱状部の頭部外周に沿って鍔21の裏面から切り欠き21aを形成したものである。この樹脂製アンカー20を各開孔12に打ち込み、前例と同様の施工で外断熱のコンクリート壁30を施工する。この樹脂製アンカー20は、外装施工としてモルタル仕上げするなどの鍔21が不要である場合に、切り欠き21aに沿って鍔21をリング状にペンチその他で簡単に切り取ることを可能としたものである。外断熱用断熱材10の表面から鍔21を取り除いたコンクリート壁30を図10に示す。
以上、この発明の外断熱用断熱材、及びこの外断熱用断熱材を用いた鉄筋コンクリート壁の外断熱施工方法を実施例に基づいて説明したが、この発明はこれに限定されるものではない。また、規定の位置以外に締め止め箇所が必要な場合は、外断熱用断熱材10に新たな開孔12を設け、これに樹脂製アンカー20を嵌通して施工することで、必要に応じて新たな締め止め箇所を増設した施工も可能である。
10 外断熱用断熱材
12 開孔
20 樹脂製アンカー
21 鍔
30 コンクリート壁
40 通気胴縁
42 ビス
50 外壁材
12 開孔
20 樹脂製アンカー
21 鍔
30 コンクリート壁
40 通気胴縁
42 ビス
50 外壁材
Claims (7)
- 所定規格寸法の矩形ボードに形成した発泡断熱材であり、コンクリート打設時にコンクリート壁30に同時に付着され、コンクリート壁30の屋外側に施工される鉄筋コンクリート壁の外断熱用断熱材であって、
ビス42を締め止め可能とする柱状の樹脂製アンカー20が嵌通される開孔12を、所定間隔で全面に配置した鉄筋コンクリート壁の外断熱用断熱材。 - 開孔12を縦・横の間隔を同一とした格子位置に配置した請求項1に記載の鉄筋コンクリート壁の外断熱用断熱材。
- 請求項1又は2に記載の外断熱用断熱材10の表面から各開孔12に、ビス42を締め止め可能とする柱状の樹脂製アンカー20を嵌通し、屋外側型枠35に外断熱用断熱材10を当接させて型枠34、35を組み立て、型枠34、35の間にコンクリートを打設し、コンクリート壁30の屋外側に外断熱用断熱材10を付着させると同時に、樹脂製アンカー20がコンクリート壁30に固定される鉄筋コンクリート壁の外断熱施工方法。
- 通気胴縁40を樹脂製アンカー20の縦列に合わせて当接し、外側からビス42を用いて通気胴縁40を固定された樹脂製アンカー20に締め止めし、通気胴縁40に外壁材50を施工する請求項3に記載の鉄筋コンクリート壁の外断熱施工方法。
- 通気胴縁40の幅より若干大きな直径の円形の鍔21を頭部に形成した樹脂製アンカー20を用いる請求項5に記載の鉄筋コンクリート壁の外断熱施工方法。
- 外断熱用断熱材10を屋外側型枠として用いる請求項3、4又は5に記載の鉄筋コンクリート壁の外断熱施工方法。
- 外断熱用断熱材10に新たな開孔12を設け、これに樹脂製アンカー20を嵌通して施工する請求項3、4、5又は6に記載の鉄筋コンクリート壁の外断熱施工方法。
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