JP2006070251A - エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物を含有する樹脂組成物、その製造方法、および前記ケン化物の熱安定性を改良する方法 - Google Patents

エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物を含有する樹脂組成物、その製造方法、および前記ケン化物の熱安定性を改良する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 熱安定性に優れ、良好な外観を有する成形体を得ることができるエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物を含有する樹脂組成物、その製造方法、および前記ケン化物の熱安定性を改良する方法を提供する。
【解決手段】 エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物と、酸のpKaと塩基のpKbが、pKa<pKb−1の関係を満足する酸と塩基からなる塩を含有する樹脂組成物であって、前記樹脂組成物の全量に対する前記塩の含有量が10ppm以上である樹脂組成物、その製造方法、および前記ケン化物の熱安定性を改良する方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物を含有する樹脂組成物、その製造方法、および前記ケン化物の熱安定性を改良する方法に関するものである。さらに詳細には、熱安定性に優れ、良好な外観を有する成形体を得ることができるエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物を含有する樹脂組成物、その製造方法、および前記ケン化物の熱安定性を改良する方法に関するものである。
エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(以下、「EVOH」という)は、溶融成形性、ガスバリアー性、耐水性、耐油性、非帯電性および機械的強度に優れていることから、フィルム、シート、容器などの各種包装材料として使用されている。これらの包装材料を成形する時に、例えば、着色やフィッシュアイ、肌荒れなどの外観不良が発生することがあり、これらの外観不良を改良する方法が知られている。
例えば、特開平9−71620号公報には、着色がなく、成形時にゲル状ブツの発生の少ない酢酸ビニル系重合体の製法として、酢酸ビニルを含む1種以上の単量体を重合した後に、沸点20℃以上の共役ポリエン化合物を添加する酢酸ビニル系重合体の製法が記載されている。
そして、成形時の外観不良を抑制するエチレン−酢酸ビニル共重合体の製造方法として、例えば、特開2002−12617号公報には、酢酸ビニルを回収する際に用いられるアルコール系溶媒中の酸素濃度を60ppm以下とすることを特徴とするエチレン−酢酸ビニル共重合体の製造方法が記載されており、また、特開2002−60403号公報には、エチレンおよび酢酸ビニルを、予めアルデヒド低減処理を施したアルコール系溶媒中で共重合させるエチレン−酢酸ビニル共重合体の製造方法が記載されている。
さらに、成形時の外観不良を抑制するエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物の製造方法として、例えば、特開2002−60413号公報には、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物のチップを塔型洗浄器において水で洗浄することにより前記チップから不純物を除去する工程を含むエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の製造方法が記載されており、また、特開2002−69123号公報には、エチレン−酢酸ビニル共重合体を、アルカリ触媒の存在下、アルコール系溶媒中でケン化するに際し、上記アルコール系溶媒中に、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体に対して100ppm以上15000ppm以下の水を供給するエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の製造方法が記載されている。
特開平9−71620号公報 特開2002−12617号公報 特開2002−60403号公報 特開2002−60413号公報 特開2002−69123号公報
しかし、上記の特許公報に記載されているエチレン−酢酸ビニル共重合体や、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物を用いても、成形や滞留が長時間に渡る場合は、前記共重合体や前記ケン化物が劣化して、ゲル成分が発生することがあった。
かかる状況の下、本発明の目的は、熱安定性に優れ、良好な外観を有する成形体を得ることができるエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物を含有する樹脂組成物、その製造方法、および前記ケン化物の熱安定性を改良する方法を提供することにある。
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、本発明が、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物と、酸のpKaと塩基のpKbが、pKa<pKb−1の関係を満足する酸と塩基からなる塩を含有する樹脂組成物であって、前記樹脂組成物の全量に対する前記塩の含有量が10ppm以上である樹脂組成物、その製造方法、および前記ケン化物の熱安定性を改良する方法に係るものである。
本発明によれば、熱安定性に優れ、良好な外観を有する成形体を得ることができるエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物を含有する樹脂組成物を得ることができ、また、前記ケン化物の熱安定性を改良することができる。
本発明で用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVAc)は、少なくともエチレンに由来する構造単位と、酢酸ビニルに由来する構造単位とを含有する共重合体である。また、エチレン、酢酸ビニルと共重合し得る第3の単量体に由来する構造単位を含有する共重合体であってもよい。
本発明で用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVAc)として、好ましくは、エチレンに由来する構造単位と酢酸ビニルに由来する構造単位のみを含有する共重合体である。
前記の第3の単量体としては、例えば、α−オレフィン、不飽和酸、ニトリル類、アミド類、オレフィンスルフォン酸等が挙げられる。
α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン等が挙げられる。不飽和酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等が挙げられ、また、不飽和酸の塩、不飽和酸の無水物、不飽和酸のモノアルキルエステル、不飽和酸のジアルキルエステル等も挙げられる。ニトリル類としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、アミド類としては、アクリルアミド、メタクリルアミド等が挙げられる。オレフィンスルフォン酸としては、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルフォン酸等が挙げられ、また、オレフィンスルフォン酸の塩等も挙げられる。
さらに、第3の単量体として、上記の他にも、アルキルビニルエーテル類、ビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVAc)に含有されるエチレンの含有率は、耐水性またはガスバリア性を高めるという観点から、好ましくは、20〜70モル%であり、より好ましくは25〜60モル%である(なお、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVAc)の全量を100モル%とする。)。ただし、コート材料等に用いる場合には、エチレンの含有率は、20モル%未満であってもよい。
本発明で用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVAc)の製造方法は、エチレンと酢酸ビニルを共重合する方法、または、エチレンと酢酸ビニルと前記の第3の単量体を共重合する方法であれば、いずれの方法であってもかまわない。例えば、アルコール系溶媒中で共重合させる方法や高圧イオン重合法が挙げられる。
前記のアルコール系溶媒中で共重合させる方法で用いられるアルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、t−ブタノールなど炭素数が1〜4のアルコール等が挙げられ、好ましくはメタノールである。これらのアルコールは、単独で用いてもよく、少なくとも2種類を併用してもよい。
また、アルコール系溶媒は、アルコールを主成分とする溶媒であって、その他の成分を含んでいてもよい。アルコール系溶媒に含まれるアルコールの含有量としては、通常60重量%以上であり、好ましくは70重量%以上である(なお、アルコール系溶媒の全量を100重量%とする)。
前記の共重合する方法に用いられる重合触媒は、ラジカル開始剤であり、例えば、アゾニトリル系開始剤、有機過酸化物系開始剤等が挙げられる。
アゾニトリル系開始剤として、好ましくは、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メチル−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2−シクロプロピルプロピオニトリル)である。有機過酸化物系開始剤として、好ましくは、イソブチリルパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカノエイト、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイドである。
前記の共重合する方法において、重合温度として、好ましくは50〜80℃であり、重合槽内気相部の圧力(エチレン圧)として、好ましくは20〜80kg/cm2である。重合率として、好ましくは供給した酢酸ビニルを基準として30〜80%である。
また、共重合する方法が回分式の場合、反応時間として好ましくは3〜24時間であり、連続式の場合にも、平均滞留時間として好ましくは3〜24時間である。
本発明で用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物(EVOH)は、前記のエチレン−酢酸ビニル共重合体に含有される酢酸ビニルに由来する構造単位がケン化によってビニルアルコール単位に変化した共重合体である。例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVAc)をアルカリケン化することによって得られるケン化物(EVOH)である。
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVAc)をケン化する方法としては、いかなる方法でも構わない。好ましくは、工業的には塔式ケン化反応器を用いて行う方法である。一般に用いられる方法としては、EVAcのメタノール溶液に、アルカリ触媒(水酸化ナトリウム)のメタノール溶液を導入し、さらにメタノールの蒸気を吹き込んで、副生する酢酸メチルを追い出しながら、EVAcのケン化を進行させ方法が挙げられる。
EVAcをケン化する方法において、水を供給する方法としては、水酸化ナトリウムのメタノール溶液、EVAcのメタノール溶液またはメタノール蒸気とともに導入する方法や、メタノールとは別に供給する方法が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、含水量の精度を向上させるという観点から、水酸化ナトリウムのメタノール溶液またはEVAcのメタノール溶液とともに導入する方法である。
水酸化ナトリウムのメタノール溶液に含有される水の含有率は、ケン化に供されるEVAcのエチレン含有率や、その他の製造条件によって適宜決定すればよく、通常、0.1〜10重量%である(なお、水を含有する水酸化ナトリウムのメタノール溶液の全量を100重量%である)。
EVOHは、エチレンの含有率によっては、常圧下ではメタノールに溶解しにくいことから、ポリマースケールの付着を抑制して長時間の連続運転を可能にするという観点から、ケン化反応器内の圧力として、好ましくは0.1〜1.0MPaである。
また、同様の観点およびケン化の反応速度を上昇させるという観点から、塔内の温度として、好ましくは60〜150℃である。
特に、塔式ケン化反応器を用いて連続ケン化を行う場合、ケン化反応器内の溶液粘度が高くなり過ぎないように、EVAcの濃度を調整することが望ましい。EVAcの濃度として、好ましくは供給されるメタノール溶液の濃度において、30〜60重量%である。
アルカリ触媒(水酸化ナトリウム)の添加量は、EVAcのエチレン含有率や、目的とするケン化度等に応じて調整すればよい。一般に、90モル%以上のケン化度を得ようとする場合は、アルカリ触媒(水酸化ナトリウム)の添加量として、好ましくはEVAcに含有される酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量に対し(なお、前記構造単位の含有量の全量を100モル%とする)、0.5〜20モル%である。
メタノール蒸気の吹き込み量として、好ましくは、副生する酢酸メチルをほぼ完全に追い出すことができる量である。また、メタノール蒸気の温度は、例えば、塔内の圧力におけるメタノールの沸点とすればよい。メタノール蒸気の吹き込み量として、好ましくは、EVAc1重量部に対し、1〜10重量部である。
上記の塔式ケン化反応器を用いる連続ケン化によれば、単一のケン化反応器内における連続ケン化によって、高いケン化度のEVOHを得ることができる。
また、本発明は、ケン化度が制限された部分ケン化物の製造にも適用することができる。部分ケン化物の製造において、ケン化度を制御する方法としては、上記で説明した水を供給する方法を用いて、水の含有量を調整することによって、ケン化度を制御することが挙げられる。また、このケン化度を制御する方法には、他の方法と比較して、得られるEVOHのケン化度分布が狭いという利点もある。
部分ケン化物は、接着性を有するので、単独で多層構造体の中間層として使用することができる。また、完全ケン化物とブレンドすることによって、完全ケン化物に接着性を付与することもできる。さらに、部分ケン化物は、さらにケン化して最終ケン化物としてもよい。部分ケン化物のケン化は、アルコール系溶媒中で行ってもよく、アルカリ触媒の水溶液に投入して行ってもよい。
EVOHのメルトインデックス(MI)として、好ましくは0.1〜200g/10分である。ここで、MIとは、190℃、2160g荷重下での測定値である。ただし、融点が190℃付近または190℃を超えるEVOHについては、上記荷重下、融点以上の温度における複数の測定値を、絶対温度の逆数を横軸、MIを縦軸(対数目盛)とする片対数グラフとしてプロットし、190℃に外挿した値をMIとする。
ケン化して得られたEVOHは、通常、さらに、水または水とメタノールとの混合液からなる凝固浴中へと押し出して切断し、ペレットに加工される。このペレットは、洗浄、脱液される。そして、EVOH成形体の機械的特性や、熱安定性などを改善するために、必要に応じて、ペレットを、ホウ素化合物、カルボン酸化合物、リン酸化合物などによって処理してもよい。
本発明で用いられる塩は、酸のpKaと塩基のpKbが、pKa<pKb−1の関係を満足する酸と塩基からなる塩である。
酸は有機酸、無機酸のいずれでもよく、工業的に利用できる酸としては、硫酸(1段階目のpKa=−3.0、2段階目のpKa=2.0)、硝酸(pKa=−1.3)、塩酸、トリフルオロ酢酸(pKa=−0.25)、トリクロル酢酸、ヨウ素酸、シュウ酸、ジクロロ酢酸、亜リン酸、亜硫酸、次亜リン酸、リン酸等が挙げられる。一方、塩基としては、アンモニア(pKb=4.76)、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン等が挙げられる。
本発明で用いられる塩として、好ましくは、酸のpKaと塩基のpKbが、pKa<pKb−2を満足する塩であり、より好ましくは、pKaが2以下の酸とpKbが4〜5である塩基からなる塩である。具体的には、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム等が挙げられる。
塩の添加量は、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物に対して、10ppm以上である。好ましくは10〜5000ppmであり、より好ましくは100〜5000ppmであり、さらに好ましくは150〜1500ppmである。塩の添加量が10ppm未満の場合、熱安定性を改良する効果が発現しないことがある。
本発明のエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物と上記の塩を含有する樹脂組成物の製造方法としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物に溶液状態の上記の塩を加える方法、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物と上記の塩を溶融混練する方法等が挙げられる。好ましくは、経済的に有利であることから、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物と上記の塩を溶融混練する方法である。
エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物と上記の塩を溶融混練する方法として、具体的には、単軸、二軸、多軸の連続混練機を用いて溶融混練する方法、バッチ式混練機を用いて溶融混練する方法が挙げられる。好ましくは、経済的な観点から、二軸の連続混練機を用いて溶融混練する方法である。
溶融混練する時の温度として、好ましくは樹脂の温度で150〜280℃であり、実際の混練機のシリンダー温度の設定は、樹脂の溶融に要する吸熱と剪断による発熱を考慮して、通常、150〜260℃である。
本発明のエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物と上記の塩を含有する樹脂組成物は、熱安定化されたEVOHであり、溶融成形によって、フィルム、シート、容器、パイプ、繊維など各種の形状へと成形される。
溶融成形としては、押出成形、インフレーション成形、ブロー成形、溶融紡糸、射出成形等が挙げられる。溶融成形の溶融温度として、好ましくは150〜270℃である。
また、重合度、エチレン含有率、ケン化度などが相違する少なくとも2種のEVOHをブレンドして溶融成形してもよい。さらに、予め、EVOHに、可塑剤、安定剤、界面活性剤、架橋剤、金属塩、充填剤、各種繊維などの補強剤を添加しても構わない。
熱安定化されたEVOHである本発明のエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物と上記の塩を含有する樹脂組成物には、EVOH以外の熱可塑性樹脂を配合してもよい。熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1ペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレンと炭素数が4以上のα−オレフィンとの共重合体、ポリオレフィンと無水マレイン酸との共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、これらを不飽和カルボン酸またはその誘導体でグラフト変性した変性ポリオレフィンなど)、各種ナイロン(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66共重合体など)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリアセタール、変性ポリビニルアルコール樹脂などが挙げられる。
また、熱安定化されたEVOHである本発明のエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物と上記の塩を含有する樹脂組成物と、上記に例示した熱可塑性樹脂とを、例えば共押出しすることによって、積層体としてもよい。さらに、本発明の樹脂組成物と、紙、プラスチックフィルム、金属箔などの基材フィルムとを積層して、積層体としてもよく、共押出コート、溶液コートなどによって、上記の基材フィルムの表面に本発明の樹脂組成物をコーティングしてもよい。
以下、本発明を実施例および比較例によって、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。
(実施例1)
株式会社クラレ製のエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物(エバールF101A(エチレン単位の含有量が32モル%、190℃における、2160g荷重下でのメルトインデックスが1.5g/10分、5000g荷重下でのメルトインデックスが4.3g/10分、20℃における密度が1.19g/cm3、融点が183℃、ガラス転移温度が69℃である))に、硫酸アンモニウムの水溶液を、該ケン化物の量に対して硫酸アンモニウムの量が200ppmとなる量で加えた。この96gを、東洋精機製のラボプラストミルによって、200℃、スクリュー回転数80rpmで5分間溶融混練した。
溶融混練物を取り出して冷却固化した後、混練物(樹脂組成物、または熱安定性の改良されたケン化物)の加熱による重量変化(熱安定性)を、セイコインストゥルメント製のTG/DTA−200型によって、昇温速度5℃/分、空気雰囲気で測定した。その結果を図1に示した。2本の直線の交点を、大幅な減量温度とした。図1から分かるとおり、初期の減量開始温度と、その後の大幅な減量温度とは同一(359.5℃)であった。混練物の当初の量を100重量%として、初期の減量率は0.5〜5重量%程度、その後の大幅な減量率は15〜20重量%であった。そして、混練物の変色は見られなかった。
比較例1
硫酸アンモニウムの水溶液を加えないこと以外は,実施例1と同様に行った。その結果を図2に示した。2本の直線の交点を、大幅な減量温度とした。図2から分かるとおり、初期の減量開始温度は276.0℃であり、大幅な減量温度は352.7℃であった。
比較例2
硫酸アンモニウムの水溶液を、水酸化テトラメチルアンモニウムの水溶液(水酸化テトラメチルアンモニウムとして10000ppm)に変更したこと以外は、実施例1と同様に行った。2本の直線の交点を、大幅な減量温度とした。その結果を図3に示した。図3から分かるとおり、混練物の大幅な減量温度は265℃であった。
比較例3
硫酸アンモニウムの水溶液を、p−トルエンスルフォン酸の水溶液(p−トルエンスルフォン酸として400ppm)に変更したこと以外は、実施例1と同様に行った。その結果を図4に示した。2本の直線の交点を、大幅な減量温度とした。図4から分かるとおり、初期の減量開始温度と大幅な減量温度とは同一(357.6℃)であったものの、混練物には顕著に黒く変色した部分が見られた。
以上の実施例と比較例から、本発明である実施例は、大幅に減量開始温度が高く、熱安定性が改良されていることが分かる。
よって、本発明は、成形体の外観不良を抑制することができ、生産性の向上において大きな利用価値を有するものである。
実施例1で得られた混練物の加熱による重量変化を示すTG/DTA曲線 比較例1で得られた混練物の加熱による重量変化を示すTG/DTA曲線 比較例2で得られた混練物の加熱による重量変化を示すTG/DTA曲線 比較例3で得られた混練物の加熱による重量変化を示すTG/DTA曲線

Claims (9)

  1. エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物と、酸のpKaと塩基のpKbが、pKa<pKb−1の関係を満足する酸と塩基からなる塩を含有する樹脂組成物であって、前記樹脂組成物の全量に対する前記塩の含有量が10ppm以上である樹脂組成物。
  2. 塩基がアンモニアまたはアミンである請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 塩が、硫酸アンモニウムまたは塩化アンモニウムである請求項1に記載の樹脂組成物。
  4. 塩の含有量が100〜5000ppmである請求項1に記載の樹脂組成物。
  5. 塩の含有量が150〜1500ppmである請求項1に記載の樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5に記載の樹脂組成物の製造方法であって、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物と、酸のpKaと塩基のpKbが、pKa<pKb−1の関係を満足する酸と塩基からなる塩を溶融混練する樹脂組成物の製造方法。
  7. エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物の熱安定性を改良する方法であって、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物に、酸のpKaと塩基のpKbが、pKa<pKb−1の関係を満足する酸と塩基からなる塩を、前記ケン化物と前記塩の重量の合計に対して、10ppm以上加える前記ケン化物の熱安定性を改良する方法。
  8. エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物に、塩を溶融混練して加える請求項7に記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物の熱安定性を改良する方法。
  9. 塩の含有量が100〜5000ppmである請求項7または8に記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物の熱安定性を改良する方法。
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