JP2006070002A - テトラオルガノシランの製造方法 - Google Patents

テトラオルガノシランの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 半導体製造における成膜原料、あるいはNMR測定時の標準物質として有用なテトラオルガノシランの製造方法を提供する。
【解決手段】 一般式RSiで表されるテトラオルガノシランを製造する方法において、銅または銅含有化合物を触媒として用い、一般式RXで表されるオルガノハライド化合物と、ケイ素またはケイ素含有化合物、およびアルミニウムとを、200〜350℃の温度範囲で反応させる。
ただし、Rは、炭素数1〜3のアルキル基、または炭素数6〜7のアリール基、Xは、ハロゲン元素をそれぞれ表す。
【選択図】 なし

Description

本発明は、半導体製造における成膜原料、あるいはNMR測定時の標準物質として有用なテトラオルガノシランの製造法に関するものである。
テトラオルガノシランは、一般式RSi(Rはアルキル基、あるいはアリール基を示す)で表される化合物であり、中でもRが、メチル基であるテトラメチルシランは、従来までのNMR測定時の標準物質に加えて、近年では半導体分野における成膜原料としてもその用途が拡大している。
テトラメチルシランの合成法としては、四塩化ケイ素をジエチルエーテル中、メチルマグネシウムブロマイドと反応させるグリニャール反応を用いた方法が最も一般的である(非特許文献1)。現在では反応溶媒としてジブチルエーテルやジグリム(DGM)、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶媒、メチル化試薬としてメチルリチウムの使用が可能となっているが、これらの反応は基本的には有機金属化合物を用いた置換反応であり、大量に溶媒を使用するため、それに伴う生産性の悪さが以前より指摘されていた。
1941年、General Electric社のE.G.Rochowによる直接法(特許文献1)には、ケイ素に銅や錫、亜鉛などの触媒を添加させ、300℃〜350℃の条件下で塩化メチルと反応させることで、主生成物としてジクロロジメチルシランを得る方法が開示されており、現在、多くのシリコーンメーカーによって工業的な生産が行われている。しかしながら直接法における反応では、テトラメチルシランはほとんど得られない。
その他の合成法としては、ヘキサメチルジシロキサン((CH)SiOSi(CH)をGa、Iで分解させる方法(非特許文献2)やヘキサメチルジシラン((CH)SiSi(CH))をHClで分解させる方法(非特許文献3)等も開示されているが、これらに到っては反応温度が600℃と非常に高く、なおかつ原料のヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシランは大量に入手することが難しい。
したがってこれまでテトラメチルシランを得る方法としては、生産性の悪い有機金属試薬を使用した方法に頼らざるをえない状況であった。
米国特許 第2,380,995号明細書 Chem.Ber.,44,2642〜2651(1911) Dokl.Chem.(Engl.Transl.),333(1〜6),273〜276(1993) S.Kumada,Kogyo Kagaku Zasshi,60,1395(1957)
本発明は、テトラオルガノシランの合成において、ケイ素とオルガノハライドを直接反応させることで生産性良く製造することを目的としている。
本発明者らは、上記目的を達成するため、鋭意検討を重ねた結果、触媒を用い、ケイ素またはケイ素含有化合物、及びアルミニウムまたはアルミニウム含有化合物とオルガノハライドを直接反応させることにより、テトラオルガノシランが選択的に得られることを見出し、本発明に到ったものである。
すなわち、本発明は、一般式RSiで表されるテトラオルガノシランを製造する方法において、銅または銅含有化合物を触媒として用い、一般式RXで表されるオルガノハライド化合物と、ケイ素またはケイ素含有化合物、およびアルミニウムまたはアルミニウム含有化合物とを、200〜350℃の温度範囲で反応させることを特徴とするテトラオルガノシランの製造方法(ただし、Rは、炭素数1〜3のアルキル基、または炭素数6〜7のアリール基、Xは、ハロゲン元素をそれぞれ表す。)を提供するものである。
本発明の方法によれば、従来までの生産性の悪い有機金属化合物を用いた方法ではなく、生産性良く効率的にテトラオルガノシランを製造できる。また無溶媒反応であるため、生成物中に溶媒が混入する問題も解消される。
以下、本発明を更に詳述する。
本発明において、使用するケイ素またはケイ素含有化合物としては、ケイ素の他、フェロシリコン、ケイ化マグネシウムなどが挙げられるが、これらを混合して用いてもよい。特に、ケイ素、フェロシリコンが好ましい。また、その形状はどのような形状のものでもよいが、反応性を向上させるためには100〜150ミクロン程度のものが好ましい。
また、本発明において使用されるアルミニウムの形状はどのような形状のものでもよいが、粉末状、板状、箔状、塊状などが使用でき、反応性を向上させるためには粉末状のものが好ましい。
次に、本発明で用いる触媒としては、Cu、または銅含有化合物としてCuCl、CuCl、CuO、CuO等が挙げられるが、これらを混合して用いてもよい。特に、Cuが好ましい。また、その形状は、反応率の向上が期待できる粉末状が好ましい。
本発明においては、原料としてケイ素、アルミニウム、銅を少なくとも1つ以上含有する合金を製作し、これを反応に使用してもよい。
本発明において使用されるオルガノハライドは、一般式RX(ただし、Rは、炭素数1〜3のアルキル基、または炭素数6〜7のアリール基、Xは、ハロゲン元素をそれぞれ表す。)で表されるもので、具体的には、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、フッ化メチル、塩化エチル、臭化エチル、ヨウ化エチル、フッ化エチル、塩化プロピル、臭化プロピル、ヨウ化プロピル、フッ化プロピル、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、フルオロベンゼン、クロロトルエン、ブロモトルエン、ヨードトルエン、フルオロトルエン等があげられる。その中でも塩化メチルが好ましい。
本発明において、反応器内のオルガノハライドの圧力に制限はないが、高圧であるほどテトラオルガノシランへの転化速度が増大する。好ましくは50.65〜1013kPaであり、さらに好ましくは50〜253.75kPaである。
以下、塩化メチルを用いた例で説明するが、本発明においてアルミニウムを添加しない場合は、Rochowの直接法と同じく、ジメチルジクロロシランが主生成物として得られるため、アルミニウムの添加は不可欠である。本発明において使用されるアルミニウムの量は、ケイ素に対して少なくとも1wt%以上は必要であり、これ以下の場合は、Rochowの直接法と同じく、ジメチルジクロロシランが主生成物になる。添加量に上限はないが、アルミニウムが消費された段階でテトラメチルシランが生成しなくなるため、ケイ素をすべてテトラメチルシランへと転化させることができる当量以上の量を添加することが好ましい。
本発明においては、反応の進行とともにAlClが副生する。これは180℃において昇華性を示すことから、しばしば反応管の閉塞を引き起こす原因となる。このため、反応器の出口部分にはAlClを捕集できるようなトラップを設けることが望ましい。場合によっては工業的規模で実施されている反応器の出口部分に設けられているサイクロン分離器で代用することもできる。
本発明において、反応を円滑に進行させるためには、触媒の添加が不可欠である。すなわち、銅触媒を添加しない場合は、350℃以下では反応が進行せず、これより高温で反応させた場合には塩化メチルの分解が起こり、またジメチルジクロロシランやメチルトリクロロシランといった副生成物への転化率が向上するようになる。銅触媒の添加量は、Rochowの直接法と同程度でかまわない。具体的にはケイ素に対して0.5〜10wt%である。
本発明における反応温度は、200℃〜350℃であり、好ましくは250〜300℃である。200℃未満では反応が非常に遅くなり、350℃超では、塩化メチルの分解やテトラメチルシランへの選択率の低下が生じる。
本発明における反応形態としては固定床、撹拌床、流動床を用いることができ、いずれも回分式、および連続式で実施することが可能である。工業的に好ましい反応形態は連続式の流動床である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
実施例1
外径1インチ、長さ600mmのステンレス鋼製チューブ中にケイ素11.71g(0.42mol)、アルミニウム15.20g(0.56mol)、銅3.08g(0.05mol)の混合体を仕込んでヘリウムガスで置換した。電気管状炉を用いて450℃にまで昇温した後、前処理として塩化メチルを流通させ、ケイ素表面の酸化膜を除去した。温度を250℃にまで降温した後、真空状態の反応器内へ塩化メチルを大気圧まで仕込んだ。120分後、反応器内のガスをガスクロマトグラフィーを用いて分析したところ、(CH)Siが11.43%、CHが18.53%、Cが6.96%、Cが0.16%、未反応のCHClが58.27%、その他の成分が4.82%であった。
実施例2
反応温度として200℃で行った以外は実施例1と同様の方法で反応させた。120分後、反応器内のガスをガスクロマトグラフィーを用いて分析したところ、(CH)Siが0.86%、CHが4.81%、Cが0.88%、Cが0.01%、未反応のCHClが93.10%、その他の成分が0.36%であった。
実施例3
反応温度として450℃で行った以外は実施例1と同様の方法で反応させた。20分後、反応器内のガスをガスクロマトグラフィーを用いて分析したところ、(CH)Siが3.63%、(CH)SiClが7.63%、SiClが4.06%、CHSiClと(CH)SiClが42.92%、未反応のCHClが14.69%、その他の成分が27.07%であった。
実施例4
原料としてケイ素、アルミニウム、CuClの混合体を用いた以外は実施例1と同様の方法で反応させた。250℃、60分後、反応器内のガスをガスクロマトグラフィーを用いて分析したところ、(CH)Siが6.03%、CHが10.99%、Cが6.74%、Cが0.10%、未反応のCHClが72.68%、その他の成分が3.46%であった。
実施例5
原料としてフェロシリコン、アルミニウム、銅の混合体を用い、反応温度として250℃で行った以外は実施例1と同様の方法で反応させた。120分後、反応器内のガスをガスクロマトグラフィーを用いて分析したところ、(CH)Siが24.21%、CHが12.18%、Cが3.82%、未反応のCHClが55.86%、その他の成分が3.93%であった。
実施例6
オルガノハライドとして塩化プロピルを用いた以外は実施例1と同様の方法で反応させた。120分後、反応器内のガスをガスクロマトグラフィーを用いて分析したところ、(C)Siが7.85%、CHが16.44%、Cが3.30%、Cが10.21%、未反応のCClが56.62%、その他の成分が5.58%であった。
実施例7
オルガノハライドとしてクロロベンゼンを用いた以外は実施例1と同様の方法で反応させた。120分後、反応器内の生成物をガスクロマトグラフィーを用いて分析したところ、(C)Siが3.88%、CHが2.09%、未反応のクロロベンゼンが91.25%、その他の成分が2.78%であった。
比較例1
原料としてケイ素、銅の混合体を用いた以外は実施例1と同様の方法で反応させた。250℃、60分後、反応器内のガスをガスクロマトグラフィーを用いて分析したところ、(CH)SiClが25.88%、CHSiClが23.31%、SiClが3.50%、未反応のCHClが41.41%、その他の成分が5.90%であった。
比較例2
原料としてケイ素、アルミニウムの混合体を用い、反応温度として450℃で行った以外は実施例1と同様の方法で反応させた。20分後、反応器内のガスをガスクロマトグラフィーを用いて分析したが、反応は進行していなかった。
比較例3
原料としてケイ素を用い、反応温度として450℃で行った以外は実施例1と同様の方法で反応させた。20分後、反応器内のガスをガスクロマトグラフィーを用いて分析したが、反応は進行していなかった。

Claims (1)

  1. 一般式RSiで表されるテトラオルガノシランを製造する方法において、銅または銅含有化合物を触媒として用い、一般式RXで表されるオルガノハライド化合物と、ケイ素またはケイ素含有化合物、およびアルミニウムを、200〜350℃の温度範囲で反応させることを特徴とするテトラオルガノシランの製造方法。
    ただし、Rは、炭素数1〜3のアルキル基、または炭素数6〜7のアリール基、Xは、ハロゲン元素をそれぞれ表す。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112300205A (zh) * 2019-08-01 2021-02-02 新特能源股份有限公司 一种制备甲基氯硅烷方法及装置

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