JP2006069933A - 油性固形化粧料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】次の成分(a)〜(c);(a)エチレンプロピレンコポリマー、(b)特定構造のイソステアリン酸とグリセリンおよび/またはジグリセリンとのエステル化合物、(c)煙霧状シリカとを含有する事を特徴とする油性固形化粧料に関する。
【選択図】なし
Description
このように形状の安定性を検討する一方、油性化粧料の特徴である、光沢感、使用感という外観や化粧効果を充分に活かすために、粉体や油剤を検討することがなされてきている。(例えば、特許文献5、特許文献6参照)
さらには、従来の油の構造を限定することにより、膜感、コク等の使用感を向上させる技術(例えば、特許文献7参照)が検討されてきた。
加えて、使用感に対しても、従来の固形状化粧料の特徴である、芯がありつるつるとした使用感ではなく、しっかり付着した密着感を持ちながら、ゲル状のものを塗布するような、柔らかくて、滑らかな使用感が要求されるようになってきた。しかし、従来の技術では、固形でこのような使用感を得ることはできなかった。
そこで、化粧持ち、ツヤ及びその持続性、しっかり付着した密着感を持ちながら、ゲル状のものを塗布するような、柔らかくて、滑らかな使用感に優れ、形状保持性、経時安定性が良好である油性固形化粧料の開発が望まれていた。
すなわち本発明は、次の成分(a)〜(c);
(a)エチレンプロピレンコポリマー
(b)下記化学式(1)に示すイソステアリン酸とグリセリンおよび/またはジグリセリンとのエステル化合物
を含有する油性固形化粧料を提供するものである。
成分(a)の含有量は、特に限定されないが、1〜40質量%(以下、単に「%」と略す。)が好ましく、特に、3〜30%がより好ましい。この範囲で含有させると、使用性が良好で、ツヤに優れるとともに、形状保持性がより向上するものとなる。
例えば、無触媒または触媒存在化、常圧溶剤還流もしくは減圧下において脱水反応することによりエステル化反応を行い、エステル化反応終了後、必要に応じて、反応混合物を脱色剤により脱色、脱臭精製するか、真空蒸留による精製を行うことによって得ることができる。
エステル化の度合いは特に限定されないが、トリエステルである、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリルが、使用感の点で特に好ましい。
市販品としては、前記化学式(1)に示すイソステアリン酸とグリセリンのトリエステルであるコスモール3318、前記化学式(1)に示すイソステアリン酸とジグリセリンのトリエステルであるコスモール43N(ともに日清オイリオグループ社製)等が挙げられる。
成分(b)の含有量は、特に限定されないが、5〜90%が好ましく、特に、10〜70%がより好ましい。この範囲で含有させると、化粧持ちが良好で、ツヤに優れるものとなる。
なお、上記煙霧状無水ケイ酸として、前記煙霧状無水ケイ酸を疎水化処理した疎水化煙霧状無水ケイ酸を利用しても良く、その疎水化処理の方法としては、トリメチルシリルクロライドやヘキサメチルジシラザンによるトリメチルシロキシ処理、オクチルシラン化処理、メチルハイドロジェンポリシロキサンを用いたコーティング焼き付け処理、金属石鹸によるコーティング等が挙げられる。市販品の疎水化煙霧状無水ケイ酸の例としては、AEROSILR−972、AEROSILR−972V、AEROSILR−972CF、AEROSILR974、AEROSILRX200、AEROSILRY200、AEROSILR202、AEROSILR805、AEROSILR812、AEROSILRA200H(ともに日本アエロジル社製)、タラノックス500(タルコ社製)、キャボジルTS―530(キャボット社製)等が挙げられる。
これら成分は、何れも必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
成分(c)の煙霧状シリカの含有量は、特に限定されるものでないが、0.1〜10%が好ましく、特に、0.5〜5%が好ましい。この範囲であれば、形状保持性、安定性、使用性に優れながら、ツヤ、化粧持ちが良好なものが得られる。
デキストリン脂肪酸エステルは、油溶性のもので炭素数8〜24(好ましくは14〜18)の直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和脂肪酸と平均重合度10〜50(好ましくは20〜30)のデキストリンとのエステル化合物である。具体例としてはパルミチン酸デキストリン、パルミチン酸/2-エチルヘキサン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、パルミチン酸/ステアリン酸デキストリン、オレイン酸デキストリン、イソパルミチン酸デキストリン、イソステアリン酸デキストリン等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。市販品としてはパルミチン酸デキストリン(レオパールKL、レオパールTL)やパルミチン酸/2-エチルヘキサン酸デキストリン(レオパールTT)(いずれも千葉製粉(株)製)等が挙げられる。
また、ショ糖脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸スクロースや酢酸ステアリン酸スクロース等があり、具体的には、シュガーワックスS−10E、DKエステルS−160、シュガーワックスA−10E(共に「第一工業製薬社製」)等が挙げられる。
さらに、金属石鹸としてはイソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウムなどが挙げられ、有機変性粘土鉱物としては、水膨潤性粘土鉱物を四級アルキルアンモニウム塩で処理したもの等が挙げられ、市販品の例としては、「ベントン38」、「ベントン27」(共に「NLインダストリー」社製)などが挙げられる。
更にまた、水性成分はモイスチャー効果を付与する目的で用いることができ、水及び水に可溶な成分であれば何れでもよく、水の他に、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。
また更に、酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等が、美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等が、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等がそれぞれ挙げられる。
トリイソステアリン酸グリセリルの調製
前記化学式(1)で示すイソステアリン酸とグリセリンとを攪拌機、温度計、窒素ガス吹込管、水分離管を備えた4つ口フラスコに仕込み、触媒として塩化スズを、還流剤としてキシレンを一緒に加え、200〜250℃で15時間、反応させた。反応終了後、活性白土を用いて脱色し、常法にて脱臭を行い、トリイソステアリン酸グリセリルを分取した。
トリイソステアリン酸ジグリセリルの調製
製造例1で用いたイソステアリン酸とジグリセリンを製造例1と同様にエステル化反応し、トリイソステアリン酸ジグリセリルを分取した。
スティック状口紅の調製
表1に示す処方のスティック状口紅を下記の製造方法にて製造し、得られた各スティック状口紅について、折れ荷重値の応力値より形状保持性を評価し、官能評価により、使用感、ツヤ及びツヤの持続性、化粧持ちを評価し、さらに高温下における安定性評価を実施した評価し、その結果を表1にあわせて示す。
下記化学式(2)に示すイソステアリン酸とジグリセリンとのエステル化合物
*3:AEROJILR−976S(日本アエロジール社製)
*4:パーフルオロアルキルリン酸5%処理(大東化成工業社製)
*5:ジメチコン3%処理(三好化成社製)
(製造方法)
A.成分(1)〜(14)を110〜120℃にて加熱溶解後、成分(15)〜(21)を加えて、均一混合する。
B.Aに成分(22)〜(25)を加えて均一に混合する。
C.Bに成分(26)を加えて加熱し、脱泡後、型に流し込み充填し、0℃に冷却して成型する。
1.折れ強度
サンプルを35℃の恒温槽に1時間セットし、レオメーターNRM―2002J(レオテック社製)にて、歯型押し棒により、応力値を測定する。その測定値を下記の基準により判断し、充分な形状保持を有するものから困難なものまで、◎〜××の5段階にて評価し、(ニ)形状保持性とした。
250g以上 ;非常に良好;◎
200g以上250g未満;良好 ;○
150g以上200g未満;やや良好 ;△
100g以上150g未満;不良 ;×
100g未満 ;非常に不良;××
(イ)の使用感、(ロ)のツヤ及びその持続、(ハ)の化粧持ちについて、専門パネル20名による使用テストを行い、パネル各人が下記絶対評価にて7段階に評価し評点を付け、各試料毎にパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
なお、(イ)の使用感については、芯がなく、柔らかく崩れ、密着性に優れるといった観点から評価した。(ロ)のツヤ及びツヤの持続性、(ハ)の化粧持ちについては、各試料を唇に塗布し、パネルに通常の生活をしてもらい、3時間後のツヤと化粧効果について評価した。
(絶対評価)
(評点):(評価)
6:非常に良い
5:良い
4:やや良い
3:普通
2:やや悪い
1:悪い
0:非常に悪い
(判定基準)
(評点平均値) :(判定)
5点を超える :非常に良好:◎
3点を超えて5点以下 :良好 :○
1点を超えて3点以下 :やや不良 :△
1点以下 :不良 :×
50℃の恒温槽に1ヶ月間、放置し、外観を目視観察し、異常のないもの(発汗していないもの)から、著しく発汗しているものまで、◎〜××の5段階で評価し、(ホ)経時安定性とした。
(評価) :(判定)
全く変化なし :◎
わずかに発汗しているが使用に支障なし :○
やや発汗しているため :△
発汗している :×
著しい発汗が見られる :××
皿状口紅
(成分) (%)
1.エチレンプロピレンコポリマー 3
2.パラフィンワックス 3
3.ミツロウ 3
4.デキストリン脂肪酸エステル*6 3
5.煙霧状シリカ*7 2
6.ワセリン 10
7.トリイソステアリン酸グリセリル(製造例1) 15
8.重質流動イソパラフィン 15
9.ジカプリン酸プロピレングリコール 10
10.テトライソステアリン酸ジグリセリル 10
11.紫外線吸収剤(パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル) 0.1
12.酸化防止剤(天然ビタミンE) 0.1
13.リンゴ酸ジイソステアリル 残量
14.酸化チタン被覆ガラス末*8 1
*6:レオパールKL(千葉製粉社製)
*7:AEROSIL300(日本アエロジール社製)
*8:メタシャイン1080RC−R
(製造方法)
A.成分(1)〜(13)を110〜120℃に加熱し均一に混合した後、成分(14)を加え、均一に混合する。
B.Aを脱泡後、皿に流し込み室温まで冷却して製品とする。
本実施例で得られた皿状口紅は、滑らかな使用感であるとともに、ツヤ及びその持続性、化粧持ちに優れ、発汗等もなく、経時安定性が良好なものであった。一方、成分7のトリイソステアリン酸グリセリルに替えて、トリオクタン酸グリセリルを用いたところ、ツヤおよび化粧持ちの点で良くないものであった。
皿状アイシャドウ
(成分) (%)
1.エチレンプロピレンコポリマー 5
2.12−ヒドロキシステアリン酸*9 2
3.有機変性ベントナイト*10 2
4.煙霧状シリカ*11 5
5.ジメチルポリシロキサン 10
6.トリイソステアリン酸ジグリセリル(製造例2) 20
7.ポリブテン 10
8.紫外線吸収剤(オキシベンゾン) 0.1
9.酸化防止剤
(2,6−ジ−ターシャリーブチル−パラクレゾール) 0.1
10.トリオクタン酸グリセリル 10
11.マイカ 残量
12.赤色酸化鉄 0.5
13.酸化チタン 1
14.雲母チタン 10
*9:12−ヒドロキシステアリン酸(伊藤製油社製)
*10:ベントン27(NLインダストリー社製)
*11:キャボジルTS―530(キャボット社製)
(製造方法)
A.成分(1)〜(10)を110〜120℃に加熱し均一に混合する。
B.Aに成分(11)〜(14)を加え、均一に分散する。
C.Bを脱泡後、皿に流し込み室温まで冷却して製品とする。
本実施例で得られた皿状アイシャドウは、滑らかな使用感であるとともに、ツヤ及びその持続性、化粧持ちに優れ、発汗等もなく、経時安定性が良好なものであった。
スティック状ファンデーション
(成分) (%)
1.エチレンプロピレンコポリマー 5
2.オゾケライトワックス 3
3.ポリエチレンワックス 3
4.キャンデリラワックス 3
5.カルナウバワックス 3
6.トリイソステアリン酸グリセリル(製造例1) 10
7.トリイソステアリン酸ジグリセリル(製造例2) 10
8.ワセリン 5
9.煙霧状シリカ*12 2
10.紫外線吸収剤
(4−ターシャリーブチル−4‘−メトキシジベンゾイルメタン) 0.1
11.酸化防止剤(酢酸トコフェロール) 0.1
12.イソオクタン酸セチル 20
13.酸化チタン 10
14.マイカ 20
15.タルク 残量
16.赤色酸化鉄 0.5
17.黄色酸化鉄 2.5
18.黒色酸化鉄 0.1
*12:タラノックス500(タルコ社製)
(製造方法)
A.成分(1)〜(12)を110〜120℃に加熱し均一に混合する。
B.Aに成分(13)〜(18)を加え、均一に分散する。
C.Bを脱泡後、容器に充填し、室温に冷却して製品とする。
本実施例で得られたスティック状ファンデーションは、滑らかな使用感であるとともに、化粧持ちに優れ、発汗等もなく、経時安定性が良好なものであった。
Claims (3)
- 次の成分(a)〜(c);
(a)エチレンプロピレンコポリマー
(b)下記化学式(1)に示すイソステアリン酸とグリセリンおよび/またはジグリセリンとのエステル化合物
を含有することを特徴とする油性固形化粧料。 - 成分(a)の含有量が、3〜30質量%、成分(b)の含有量が、3〜70質量%、成分(c)の含有量が、0.1〜10質量%含有されていることを特徴とする請求項1記載の油性固形化粧料。
- 成分(b)のエステル化合物が、トリエステルであることを特徴とする請求項1または2記載の油性固形化粧料。
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