JP2006068944A - インクジェット記録ヘッド及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 複数のインクタンクからのインク供給流路の本数が多く、複雑なインク流路をとる構造を簡易な製造方法で実現できるインクジェット記録ヘッドを提供する。
【解決手段】 タンクホルダー1500、第2の流路形成部材1600、第3の流路形成部材1700によって立体的な流路が形成され、淡シアンのインク流路の一部である水平流路230と淡マゼンタのインク流路である水平流路211と立体交差している。そしてインクは、第4の垂直流路640を通って、パッキン部材1800から支持プレート1200、記録素子基板1100に達し、吐出口から吐出される。
【選択図】 図4
【解決手段】 タンクホルダー1500、第2の流路形成部材1600、第3の流路形成部材1700によって立体的な流路が形成され、淡シアンのインク流路の一部である水平流路230と淡マゼンタのインク流路である水平流路211と立体交差している。そしてインクは、第4の垂直流路640を通って、パッキン部材1800から支持プレート1200、記録素子基板1100に達し、吐出口から吐出される。
【選択図】 図4
Description
本発明は、記録用液体(以下、代表してインクを挙げる)を飛翔液滴としてインク吐出口から吐出させ被記録材に付着させることにより記録を行うインクジェット記録ヘッド及びその製造方法に関する。
なお、本明細書において、「プリント」または「記録」とは、文字や図形など有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広くプリント媒体上に画像、模様、パターンなどを形成したり、あるいはエッチングなどの加工をも含む。
また、「プリント媒体」とは、一般的なプリント装置で用いられる紙片のみならず、布帛、プラスチックフィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革など、インクを受容可能な被記録材であり、シート状物体以外の三次元立体、例えば球体や円筒体などもその対象となる。
さらに、「液体」とは、上記「プリント(または記録)」の定義と同様広く解釈されるべきものであり、プリント媒体に付与されることによって、画像、模様、パターンなどの形成、またはプリント媒体のエッチング加工、あるいはインクの処理(例えばプリント媒体に付与されるインク中の色材の凝固または不溶化)などに供されるものを含む。
インクジェット記録ヘッドを有する記録装置(以下、インクジェットプリンタと称する)は、いわゆるノンインパクトプリント方式のプリント装置であり、高速なプリントや様々なプリント媒体に対してプリントすることが可能であって、プリント時における騒音がほとんど生じないといった特徴を持つことから、ワードプロセッサやファクシミリあるいは複写機などのプリント機構を担う装置として広く採用されている。
このインクジェット方式の代表的なものとして、インクやプリント媒体に対するインクのプリント性を調整するための処理液(以下、本明細書ではこれを含めて便宜的にインクと呼称する)などの液体、つまりインク滴の吐出エネルギーとして熱エネルギーを発生する電気熱変換素子を用いた方法が知られており、これは微小な吐出口から微小なインク滴を吐出させ、紙などのプリント媒体に対してプリントを行うものである。
一般に、インク滴を形成するための駆動系と、この駆動系に対してインクを供給する供給系とから構成される、電気熱変換素子を用いたインクジェット記録ヘッドは、電気熱変換素子を加圧室内に設け、電気熱変換素子にプリント信号となる電気パルスを与えることにより加圧室内のインクに熱エネルギーを与え、この時のインクの急激な相変化、つまり気化により生じる気泡圧力をインク滴の吐出に利用したものである。
さらに電気熱変換素子を用いたインクジェット記録ヘッドの場合、電気熱変換素子を配列した基板表面に沿ってインクを吐出させるエッジシューター方式と、電気熱変換素子を配列した基板表面に対して垂直にインクを吐出させるサイドシューター方式とが知られている。
サイドシューター方式のインクジェット記録ヘッドの外観を図12に示す。ここに示すインクジェット記録ヘッドでは、インクタンク(不図示)として、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン及びライトマゼンタの各色のインクタンクが用意されている。インクジェットヘッドは、前記各インクタンクを着脱可能に保持するインクタンクホルダー1500を有し、各インクタンクより供給されたインクを吐出するためのノズルを有する記録素子基板1100、プリンタ本体からの電気信号を記録素子基板へ伝える電気配線部材1300等をはじめとする種々の部品が設けられている。
図13は、図12のインクジェット記録ヘッドを記録素子基板1100の吐出方向から見たときの平面図を示す。記録素子基板1100は、Si基板の片面にインクを吐出するための複数の記録素子と、各記録素子に電力を供給するためAl等の電気配線とが成膜技術により形成され、この記録素子に対応した複数のインク流路と複数の吐出口とがフォトリソ技術により形成されると共に、複数のインク流路にインクを供給するための共通液室が裏面に開口するように形成されたものである。特に、図13に示すインクジェット記録ヘッドは、2色分の吐出口列が形成されている記録素子基板1100a,1100b,1100cを高い精度で実装したインクジェット記録ヘッドである。各記録素子基板は、写真調の高画質なカラー記録を可能とするため、前記の共通液室1230の両側に吐出口1220が形成されており、合わせて1200dpi(dot per inch)の吐出口列(ノズル列ともいう)となる。また、記録ヘッドから吐出されるインク滴の大きさは、4plで写真調の画質を実現することができ、これに伴い、吐出口径はφ16μm程度の著しく小径のものとなる。なお、図に示す記録素子基板1100aはブラックインクとシアンインクを吐出する吐出口列1240Bk、1241Cを有し、記録素子基板1100bはマゼンタインクとイエローインクを吐出する吐出口列1242M、1243Yを有し、記録素子基板1100cはライトシアンインクとライトマゼンタインクを吐出する吐出口列1244LC、1245LMを有する。
電気配線部材1300の電極端子(不図示)と記録素子基板1210a,1210b,1210cの各々の端部の電極(不図示)とは、インナーリードボンディングにより電気接続され、電極封止材1310により絶縁封止される。
図14は、特許文献1に記載された他のインクジェット記録ヘッドを記録素子基板1100の吐出方向から見たときの平面図を示す。一枚のSi基板に5色分の共通液室1130の開口が形成され、吐出口列1150C、1151M、1152Y、1153M、1154Cが共通液室1130の長手方向に沿って配置される。吐出インクの色配置としては、吐出口列1150がシアン、吐出口列1151がマゼンタ、吐出口列1152がイエロー、吐出口列1153がマゼンタ、吐出口列1154がシアンに対応しており、イエローを中心に左右対称の色配置である。このように左右対称の色配置にすることで、往路、復路のどちらで印刷する場合も記録媒体上への色の重ね合せが同じになるので、高速印刷である往復印刷を行っても色むらのない印刷を実現できる。
特開2001―171119号公報
写真調の画質を得るために、図13のインクジェット記録ヘッドのような4plの吐出量では淡インクによりハイライト色領域での粒状感低減が必要である。また、写真画に用いられる記録媒体は全般的にインク吸収速度が遅いので、記録媒体上でのインク溢れが発生し易いことや、インクジェット記録ヘッドから飛翔する液滴の記録媒体上での着弾ズレの問題から複数の走査により画像を形成するマルチスキャン印刷が用いられる。しかし、図13のインクジェット記録ヘッドによる往復の印刷では色の重ね合せの順序が異なるために、1スキャン印刷は元より、マルチスキャン印刷においても色むらが発生し易いという問題点があり、スキャン数を4スキャン以上にするか、片方向(往方向か復方向かのどちらか)印刷として対策を行っていた。そのために、印刷速度が犠牲となっていた。
そこで、図14に示す左右対称の色配置が有効であるが、これを6色にした場合には、共通液室が11箇所に増えるために、記録素子基板から6色インクタンクまでのインク流路の本数も11から6に変化する複雑なものとなる。そのため、従来のインクタンクホルダー1500に形成された水平インク流路形成面に1つのインク流路形成部材を接合させてインク流路を形成する方法では前記の複雑な流路を得ることは困難であった。
本発明の目的は、インク流路の本数の多い、しかも流路途中での分岐があるような複雑なインク流路を、簡易な方法で実現できる構成のインクジェット記録ヘッドを提供することである。
上記目的を達成するための、本発明のインクジェット記録ヘッドは、インク滴を吐出するための複数の吐出口列と該吐出口列の各々にインクを供給するための複数のインク供給口とを有する記録素子基板と、該記録素子基板を支持し、前記記録素子基板の各インク供給口に対応する複数のインク供給口が設けられた支持プレートと、複数のインクタンクを保持するタンクホルダーと、前記支持プレートと前記タンクホルダーとの間に配置され、前記複数のインクタンクの各々と当該各インクタンクに対応する前記支持プレートの各インク供給口とを繋ぐインク流路が形成された流路形成部材とを備えている。そして、前記流路形成部材のインク流路が第1階層のインク流路と第2階層のインク流路を含み、前記第1階層のインク流路と前記第2階層のインク流路とが立体交差している。
また、上記のインクジェット記録ヘッドを製造する場合は、前記流路形成部材は第1部材と第2部材から構成されるものを用い、前記タンクホルダーと前記第1部材を超音波溶着することによって前記第1階層のインク流路を形成し、その後、前記1部材に前記第2部材を超音波溶着することで前記第2階層のインク流路を形成する。あるいは、前記タンクホルダーと前記第1部材と前記第2部材とをこの順番に重ねるとともに同時に超音波溶着することによって前記第1階層のインク流路及び前記第2階層のインク流路を形成する。
このように本発明では、タンクホルダーと、流路形成部材を構成する第1部材と第2部材とを互いに接合するという簡易な製造方法で、タンクホルダーに保持された各インクタンクと当該各インクタンクに対応する記録素子基板の各インク供給口とを繋ぐインク流路を、立体交差する第1階層と第2階層のインク流路にすることが可能である。したがって、例えば記録素子基板から6色インクタンクまでのインク流路の本数も11から6に変化するような複雑なインク流路も簡易に形成することが可能である。
以上のように本発明によれば、インク流路の本数の多い、しかも流路途中での分岐があるような複雑なインク流路であっても、当該インク流路を簡易な製造方法で実現できる。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態によるインクジェット記録ヘッドの分解斜視図に示す。インクジェット記録ヘッドは、記録素子基板1100、支持プレート1200、電気配線基板1300、インクタンクからの第1のインク流路を形成するタンクホルダー1500、第2の流路形成部材1600、第3の流路形成部材1700、フィルター2000、シールゴム2100、および、パッキン部材1800から構成されている。
図1は、本発明の第1の実施形態によるインクジェット記録ヘッドの分解斜視図に示す。インクジェット記録ヘッドは、記録素子基板1100、支持プレート1200、電気配線基板1300、インクタンクからの第1のインク流路を形成するタンクホルダー1500、第2の流路形成部材1600、第3の流路形成部材1700、フィルター2000、シールゴム2100、および、パッキン部材1800から構成されている。
記録素子基板1100は、Si基板の片面にインクを吐出するための複数の記録素子(電気熱変換素子)と、各記録素子に電力を供給するAl等の電気配線とが成膜技術により形成され、この記録素子に対応した複数のインク流路と複数の吐出口とがフォトリソグラフィ技術により形成されると共に、複数のインク流路にインクを供給するためのインク供給口が裏面に開口するように形成されたものである。また、記録素子基板1100は、支持プレート(支持部材)1200に接着固定されており、支持プレート1200には、記録素子基板1100の各々のインク供給口に対応してインクを供給するためのインク供給口が複数形成されている。さらに、支持プレート1200には、電気配線基板1300が記録素子基板1100に対して電気的に接続されるよう保持されている。この電気配線基板1300は、記録素子基板1100にインクを吐出するための電気信号を印加するものであり、記録素子基板1100に対応する電気配線と、この電気配線端部に位置し記録装置本体からの電気信号を受け取るための外部信号入力端子1320とを有しており、外部信号入力端子1301は、タンクホルダー1500の背面1510に位置決め固定されている。
一方、インクタンク(不図示)を着脱可能に保持するタンクホルダー1500のインク流路形成面1520には、第1部材と第2部材を重ねて構成される流路形成部材が固定される。当該第1部材である第2の流路形成部材1600がインク流路形成面1520に超音波溶着により固定され、更に、当該第2部材である第3の流路形成部材1700が第2の流路形成部材1600に超音波溶着により固定される。このように、インクタンクから支持プレート1200に亘るインク流路は、タンクホルダー1500と第2の流路形成部材1600と第3の流路形成部材1700により形成される。また、インクタンクと係合する部分にはフィルター2000が設けられており、外部からの塵埃の侵入を防止し得るようになっている。また、インクタンクとの係合部にはシールゴム2100が装着され、係合部からのインクの蒸発を防止し得るようになっている。
さらに、前述のようにタンクホルダー1500、第2の流路形成部材1600、第3の流路形成部材1700、フィルター2000及びシールゴム2100から構成されるタンクホルダー部と、記録素子基板1100、支持プレート1200、電気配線基板1300から構成される記録素子部とを、パッキン部材1800を介して結合することにより、インクジェット記録ヘッドを構成している。
図2は、本発明の第1の実施形態によるインクジェット記録ヘッドのインク流路(タンクホルダー1500と第2の流路形成部材と第3の流路形成部材とで形成されるインク流路)を示す模式図である。
インクタンク(不図示)からのインクはフィルター2000を通ってインクジェット記録ヘッド内に入り、Bk、淡マゼンタ(LM)、イエロー(Y)、淡シアン(LC)、マゼンタ(M)、シアン(C)の第1の垂直流路100,110,120,130,140,150から、タンクホルダー1500と第2の流路形成部材1600で形成されるBk、淡マゼンタ、イエロー、淡シアン、マゼンタ、シアンの水平流路200,210,220,230,240,250に達する。水平流路200,210,220,240は、第2の垂直流路300,310,320,340を介して、第2の流路形成部材1600と第3の流路形成部材1700で形成される2階層目の水平流路(破線で示す)400,410,420,440と接続され、1階層目の水平流路と立体交差する。2階層目の水平流路400,410,420,440は、第3の垂直流路500,510,520,540を介して、再び1階層目の水平流路201,211,221,241に接続される。
そして、イエローに対応する水平流路221は第4の垂直流路620に接続される。ブラックに対応する水平流路201は分岐していて第4の垂直流路600,601と接続される。淡マゼンタに対応する水平流路211は分岐していて第4の垂直流路610,611と接続される。マゼンタに対応する水平流路241は分岐していて第4の垂直流路640,641と接続される。淡シアンに対応する水平流路230は分岐して第4の垂直流路630,631と接続される。シアンに対応する水平流路250は分岐して第4の垂直流路650,651と接続される。
ここで、図3に示す記録素子基板は、中央のイエローの吐出口列720Yを中心とする対称のノズル列配置であり、イエローの吐出口列720Yを挟むようにして内側から外側へ、ブラックの吐出口列700Bk,701Bk、次に淡マゼンタの吐出口列710LM,711LM、次にマゼンタの吐出口列740M,741M、次に淡シアンの吐出口列730LC,731LC、次にシアンの吐出口列750C,751Cと配置されるため、図2の水平流路201、211、241、230、250が分岐する構成となる。
したがって、第4の垂直流路620が、イエローの吐出口列720Yに対応するインク供給口1130に接続され、第4の垂直流路600,601が、ブラックの吐出口列700Bk,701Bkの各々に対応するインク供給口1130に接続され、第4の垂直流路610,611が、淡マゼンタの吐出口列710LM,711LMの各々に対応するインク供給口1130に接続され、第4の垂直流路640,641が、マゼンタの吐出口列740M,741Mの各々に対応するインク供給口1130に接続され、第4の垂直流路630,631が、淡シアンの吐出口列730LC,731LCの各々に対応するインク供給口1130に接続され、第4の垂直流路650,651が、シアンの吐出口列750C,751Cの各々に対応するインク供給口1130に接続されている。
上記のような各吐出口列(ノズル列)は、インク供給口1130の長手方向に沿って供給口の両側に配置することによって形成されている。封止材1310は、記録素子基板1100と電気配線部材1300の電気接続部を保護するものである。
図4は、図2のイエローのインク流路に沿った縦断面を示す模式図である。タンクホルダー1500、第2の流路形成部材1600、第3の流路形成部材1700によって立体的な流路が形成され、淡シアンのインク流路の一部である水平流路230と淡マゼンタのインク流路である水平流路211と立体交差している。そしてインクは、第4の垂直流路640を通って、パッキン部材1800から支持プレート1200、記録素子基板1100に達し、吐出口から吐出される。
図5及び図6は、本発明のインクジェット記録ヘッドの立体交差インク流路の形成工程を示す断面図である。図5は、タンクホルダー1500と第2の流路形成部材1600の組み立て工程を示す。タンクホルダー1500には、溝1510が設けられ、その溝1510に第2の流路形成部材1600の溶着リブ1610が位置決めされた後に、超音波溶着ホーン7000により、超音波振動と圧力をかけることで溶着する。この時の溶着バリが流路形成部分1520と流路形成部分1620でなる1階層目の水平流路にはみ出ないようにするために、上記の溝1510を設けてある。第2の流路形成部材1600の第3の流路形成部材1700との接合面には、溶着バリのための溝1630が設けられ、2階層目の水平流路の流路形成部分1640は、超音波接合時に傷つかないように超音波ホーンが当る面1650(二点鎖線で示す。)よりも一段低くなっている。図6は、第2の流路形成部材1600と第3の流路形成部材1700の組み立て工程を示す。第3の流路形成部材1700の溶着リブ1710が上記の溝1630に位置決めされた後に、超音波溶着ホーン7000により、超音波振動と圧力をかけて溶着することで、流路形成部分1640と流路形成部分1720でなる2階層目の水平流路を形成する。
図7及び図8は、本発明のインクジェット記録ヘッドの立体交差インク流路の他の形成工程を示す断面図である。
図7は、タンクホルダー1500と第2の流路形成部材1600と第3の流路形成部材1700を一度に組み立てる工程を示す。タンクホルダー1500には、溝1510が設けられ、その溝1510に第2の流路形成部材1600の溶着リブ1610が位置決めされる。また、第2の流路形成部材1600の第3の流路形成部材1700との接合面には、溝1630が設けられ、その溝1630に第3の流路形成部材1700の溶着リブ1710が位置決めされる。その後に、超音波溶着ホーン7000により、超音波振動と圧力をかけることで、タンクホルダー1500と第2の流路形成部材1600と第3の流路形成部材1700を一度に超音波溶着で組み立てる。この時の溶着バリが1階層目および2階層目の水平流路にはみ出ないようにするために、上記の溝1510および溝1630が設けられている。図8は、タンクホルダー1500と第2の流路形成部材1600と第3の流路形成部材1700を一度に組み立てる工程の他の例を示す。タンクホルダー1500には、溝1510が設けられ、その溝1510に第2の流路形成部材1600の溶着リブ1610が位置決めされる。また、第2の流路形成部材1600の第3の流路形成部材1700との接合面には、溶着リブ1650が設けられ、その溶着リブ1650に第3の流路形成部材1700の溝1730が位置決めされる。その後に、超音波溶着ホーン7000により、超音波振動と圧力をかけることで、タンクホルダー1500と第2の流路形成部材1600と第3の流路形成部材1700を一度に超音波溶着で組み立てる。この時の溶着バリが1階層目および2階層目の水平流路にはみ出ないようにするために、上記の溝1510および溝1730が設けられる。
(第2の実施形態)
図9は、本発明の第2の実施形態によるインクジェット記録ヘッドのインク流路(タンクホルダーと第2の流路形成部材と第3の流路形成部材とで形成されるインク流路)を示す模式図である。図10は、図9のイエロー部でのインク流路の断面を示す模式図である。
図9は、本発明の第2の実施形態によるインクジェット記録ヘッドのインク流路(タンクホルダーと第2の流路形成部材と第3の流路形成部材とで形成されるインク流路)を示す模式図である。図10は、図9のイエロー部でのインク流路の断面を示す模式図である。
インクタンクからのイエローインクはフィルター2000からインクジェット記録ヘッド内に入る。イエロー(Y)の第1の垂直流路120は上下の開口にそれぞれフィルター2000,2010が備えられており、フィルターが付いた開口穴の内側はテーパー形状となっており、インクのスムーズな流れを形成している。
また、第2の流路形成部材1600に形成され、第2のフィルター2010が当接する縁部を有する開口穴もテーパー形状とし、インクのスムーズ流れを形成している。そして、2階層目の水平流路420にイエローインクは導かれる。その後は、図2と同様の経路で記録素子部へとインクは供給される。
第1のフィルター2000は、インクタンク(インク供給口に繊維またはスポンジなどからなる圧接体を具えたインクタンク)からのインクを導き出すために設けられ、ある程度目が粗いものである。第2のフィルター2010は、吐出口よりも大きいゴミをトラップするためのに設けたものである。吐出量が4plで15μm、2plで10μmのゴミをトラップする必要があり、トラップするゴミが小さくなるほどフィルターの目が小さくなり、単位面積当りの流体抵抗は大きくなる。その対策としてフィルター面積を大きくすることが必要であるが、第1のフィルターを大きくすることは、インクタンクが大きくなり、その結果、インクジェット記録ヘッド、更にはインクジェット記録装置の大型化につながるので、本実施形態のようなフィルター構成が有効である。
(第3の実施形態)
図11は、本発明の第3の実施形態によるインクジェット記録ヘッドのインク流路を説明するため、図2のイエローのインク流路に沿った断面を示す模式図である。
図11は、本発明の第3の実施形態によるインクジェット記録ヘッドのインク流路を説明するため、図2のイエローのインク流路に沿った断面を示す模式図である。
本実施形態の特徴は、図4に示した第3の流路形成部材1700を支持プレート1200によって兼用する構成である。2階層目の水平流路420は、第2の流路形成部材1600の、タンクホルダー1500とは反対側面に形成された溝と支持プレート1200の裏面とによって形成され、パッキン部材1810により水平流路420の密閉性が確保される。また、不図示であるが、支持プレート1200の、第2の流路形成部材1600と接する面に溝を設けることで、2階層目の水平流路420を形成しても良い。インク流路を密閉する手段は、ゴムなどのパッキン部材に代えて樹脂などの封止材を用いても良い。
以上、各実施形態にて説明したように、本発明の構成により、6色対象ヘッドのようなインク流路が11もあり、しかも途中分岐があるような複雑なインク流路も形成することが可能となった。しかも、安価で、簡易な製造方法で実現できる。また、インクジェット記録ヘッドを大型化せずにフィルター面積を大きくすることが可能であり、4plから2plへの小液滴化における、フィルター部の流抵抗の拡大を改善できる。
1100 記録素子基板
1200 支持プレート
1300 電気配線部材
1500 タンクホルダー
1600 第2の流路形成部材
1700 第3の流路形成部材
1200 支持プレート
1300 電気配線部材
1500 タンクホルダー
1600 第2の流路形成部材
1700 第3の流路形成部材
Claims (6)
- インク滴を吐出するための複数の吐出口列と該吐出口列の各々にインクを供給するための複数のインク供給口とを有する記録素子基板と、
該記録素子基板を支持し、前記記録素子基板の各インク供給口に対応する複数のインク供給口が設けられた支持プレートと、
複数のインクタンクを保持するタンクホルダーと、
前記支持プレートと前記タンクホルダーとの間に配置され、前記複数のインクタンクの各々と当該各インクタンクに対応する前記支持プレートの各インク供給口とを繋ぐインク流路が形成された流路形成部材とを備え、
前記流路形成部材のインク流路が第1階層のインク流路と第2階層のインク流路を含み、前記第1階層のインク流路と前記第2階層のインク流路とが立体交差しているインクジェット記録ヘッド。 - 前記流路形成部材が第1部材と第2部材を重ね合わせて構成されており、
前記第1階層のインク流路は、前記タンクホルダーと前記第1部材との接合部分に形成される、請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。 - 前記第2階層のインク流路は、前記第1部材と前記第2部材との接合部分に形成される水平なインク流路である、請求項2に記載のインクジェット記録ヘッド。
- 前記第1階層のインク流路は、前記タンクホルダーと前記流路形成部材との接合部分に形成され、前記第2階層のインク流路は、前記支持プレートと前記流路形成部材との接合部分に形成されている、請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
- インク滴を吐出するための複数の吐出口列と該吐出口列の各々にインクを供給するための複数のインク供給口とを有する記録素子基板と、
該記録素子基板を支持し、前記記録素子基板の各インク供給口に対応する複数のインク供給口が設けられた支持プレートと、
複数のインクタンクを保持するタンクホルダーと、
前記支持プレートと前記タンクホルダーとの間に配置され、前記複数のインクタンクの各々と当該各インクタンクに対応する前記支持プレートの各インク供給口とを繋ぐインク流路が形成された流路形成部材とを備え、
前記流路形成部材のインク流路が第1階層のインク流路と第2階層のインク流路で構成され、前記第1階層のインク流路と前記第2階層のインク流路とが立体交差しているインクジェット記録ヘッドの製造方法であって、
前記流路形成部材として第1部材と第2部材から構成されるものを用い、
前記タンクホルダーと前記第1部材を超音波溶着することによって前記第1階層のインク流路を形成し、その後、前記1部材に前記第2部材を超音波溶着することで前記第2階層のインク流路を形成する、インクジェット記録ヘッドの製造方法。 - インク滴を吐出するための複数の吐出口列と該吐出口列の各々にインクを供給するための複数のインク供給口とを有する記録素子基板と、
該記録素子基板を支持し、前記記録素子基板の各インク供給口に対応する複数のインク供給口が設けられた支持プレートと、
複数のインクタンクを保持するタンクホルダーと、
前記支持プレートと前記タンクホルダーとの間に配置され、前記複数のインクタンクの各々と当該各インクタンクに対応する前記支持プレートの各インク供給口とを繋ぐインク流路が形成された流路形成部材とを備え、
前記流路形成部材のインク流路が第1階層のインク流路と第2階層のインク流路を含み、前記第1階層のインク流路と前記第2階層のインク流路とが立体交差しているインクジェット記録ヘッドの製造方法であって、
前記流路形成部材として第1部材と第2部材から構成されるものを用い、
前記タンクホルダーと前記第1部材と前記第2部材とをこの順番に重ねるとともに同時に超音波溶着することによって前記第1階層のインク流路及び前記第2階層のインク流路を形成する、インクジェット記録ヘッドの製造方法。
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