JP2006063047A - 硫化アルケンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 生成硫化アルケンとの分離が容易であり、かつ繰り返し使用可能であり従来の触媒と同一触媒量での対比において、短時間における反応での収率が飛躍的に高い硫化アルケンの製造方法を提供する。
【解決手段】 アルケン、硫化水素および硫黄を触媒の存在下で反応させる硫化アルケンの製造方法において、前記触媒として、ZSM−5型アルミノシリケートまたはそれ以外のZSM−5型メタロシリケートを用いることを特徴とする硫化アルケンの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、硫化アルケンを、アルケン、硫化水素および硫黄から製造する方法に関するものであり、より具体的には、触媒として、ZSM−5型アルミノシリケートまたはそれ以外のZSM−5型メタロシリケートを用いて硫化アルケンを製造する方法に関する。
ジアルキルポリスルフィドに代表される硫化アルケンは硫黄架橋数の異なるポリスルフィドの混合物からなり、硫黄架橋数の大きなものは脱硫触媒の予備硫化剤として、また硫黄架橋数の小さなものは金属どうしの摩擦面での磨耗減少および焼き付きを防止する硫黄系極圧添加剤として、切削油、塑性加工油、ギアー油、摺動面油、グリースなどに幅広く利用されている。
硫化アルケンを製造するための多くの方法が知られている。代表的なものとして塩基触媒存在下でメルカプタンと硫黄を反応させる方法がある。しかしながら、この方法では原料として、アルケンやアルコールから合成されるメルカプタン類を使用するため工業的には不利である。
上記したのと別の製造方法としてアルケン、硫化水素および硫黄を原料とする方法がある。この方法は安価なアルケンを原料とするため、メルカプタンを使用する方法に比べて、工業的には有利である。
この方法では、触媒としてアミン、アンモニア、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属酸化物等の塩基性触媒が有効であり、特にアミン触媒が高活性であることが知られている(例えば特許文献1、2、3、4、5、6、7及び8参照。)。
しかしながら、活性の高いアミン系均一触媒を用いる場合、反応操作後に生成した硫化アルケンからの触媒の分離が困難であり、この残存アミンは長期間貯蔵すると濁りや沈殿の原因となり、製品外観の透明性に悪影響を及ぼす。また、脱硫触媒の予備硫化剤と使用する際には触媒の被毒物質となることから、この方法では生成硫化アルケンからアミン触媒を分離することが大きな課題となる。
固体触媒を用いるアルケン、硫化水素および硫黄からのジアルキルポリスルフィドの合成法としては、X型、Y型、L型ゼオライトまたはモルデン沸石を用いる方法、固体塩基触媒と固体酸触媒の共存系での方法が知られている(特許文献9および10参照。)。しかしながら、X型ゼオライト等はジアルキルポリスルフィドの合成反応において、活性が不充分であった。しかも、これらの製造方法は長い反応時間を要し、かつポリスルフィドの硫黄架橋数分布についても検討されておらず、改良の余地を残しており、工業的には未だ満足すべきものではない。
米国特許第419549号明細書 特開昭53−52510号公報 特開昭55−38819号公報 特開昭62−240387号公報 特開昭63−245493号公報 特開昭63−500949号公報 特開平2−28145号公報 特開昭58−132089号公報 特開2001−354643公報 特開2001−354644公報
本発明は、アルケン、硫化水素および硫黄からの硫化アルケンの製造方法において、X型ゼオライト等と同様に生成硫化アルケンとの分離が容易であり、かつ繰り返し使用可能であり、同一触媒量においてX型ゼオライト等より更に高い活性を有するゼオライトを見い出し、短時間における反応での収率が飛躍的に高い硫化アルケンの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を進め、上記課題を解決するため固体触媒を用いてアルケン、硫化水素、および硫黄から硫化アルケンを製造する方法を見出した。
即ち本発明は、アルケン、硫化水素および硫黄を触媒の存在下で反応させる硫化アルケンの製造方法において、前記触媒として、ZSM−5型アルミノシリケートまたはそれ以外のZSM−5型メタロシリケートを用いることを特徴とする硫化アルケンの製造方法を提供する。
本発明は、アルケン、硫化水素および硫黄を触媒の存在下で反応させる硫化アルケンの製造方法において、前記触媒として、ZSM−5型アルミノシリケートまたはそれと同じ立体構造を有するその他のメタロシリケートを用いるので、X型ゼオライト等より更に高い活性を有し、X型ゼオライト等と同様に、生成硫化アルケンとの分離が容易であり、かつ繰り返し使用可能であり従来の触媒と同一触媒量での対比において、短時間における反応での収率を飛躍的に高く硫化アルケンを製造できるという格別顕著な効果を奏する。
本発明においては、特定の固体触媒を硫化アルケンの製造に適用する。
ゼオライトとは、Si−O−Al−O−Siの単位が三次元的に組み合わさった結晶性アルミノシリケートを意味し、ZSM−5は結晶性アルミノシリケートの一種で、The Structure Commission of the International Zeolite Associationにより公表された公知のゼオライト構造に属する(Atlas of Zeolite Structure Types, by V. M. Meiyer and D.H. Olson(1978). Distributed by Polycrystal Book Service, Pittsuburgh, PA, USA)。このZSM−5は、MFI型と呼ばれる特異な三次元細孔構造を持つ。
この様な細孔構造を持つ結晶性アルミノシリケートは、その他の細孔構造のものと区別するために、ZSM−5型アルミノシリケートと言われる。またアルミノシリケート以外のZSM−5と同じ細孔構造を持つメタロシリケートはZSM−5型メタロシリケートと言われるが、以下、本発明においては、これらを総称してZSM−5型メタロシリケートと言うこととする。
本発明においては、アルケン、硫化水素および硫黄からの硫化アルケンの製造方法に、ZSM−5型メタロシリケートの適用を試みた。その結果、ZSM−5型メタロシリケートに特異な細孔構造及び選択性により、それには従来のX型、Y型、L型等の従来構造のアルミノシリケートにない優れた触媒特性が見い出された。
アルミノシリケートは、一般式M2/nO・Al2O3・ySiO2・wH2Oで表され、Mはカチオン、nはその価数であり、wは結晶水の量であり、yは整数である。アルミノシリケート以外のメタロシリケートは、アルミノシリケートにおけるAl2O3が他の金属酸化物で同型置換されたものである。
本発明で使用する、この様なZSM−5型のメタロシリケートとしては、二価金属又は三価の金属のシリケートがあり、例えばアルミノシリケート、ガロシリケート、ジンコシリケート等が挙げられる。
本発明で好適に使用されるZSM−5型アルミノシリケートは、骨格構造中に0.1〜5.0重量%のアルミニウムを、ZSM−5型ガロシリケートでは0.1〜10重量%のガリウムを、またZSM−5型ジンコシリケートでは0.1〜6.0重量%の亜鉛を含有するメタロシリケートである。ZSM−5型メタロシリケートは、1種だけを用いても良いし、異なる金属を含有するメタロシリケートの2種以上を併用しても良い。同一金属のメタシリケートの同一使用量での対比では、金属含有率が高いほうが、硫化アルケンの収率はより高い。
この様なZSM−5型メタロシリケートは、公知の水熱合成によるゲル結晶化法、例えば米国特許第3702886号明細書等で開示された方法、またはそれに準拠した方法で調製することができる。
ゲル結晶化法によるZSM−5型メタロシリケートの製造には、シリカ源として、例えば、けい酸ソーダ、けい酸カリウム等のけい酸塩、シリカ粉末等を用いることができ、アルミナ源として、例えば、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム等のアルミニウム塩、アルミン酸ソーダ等のアルミン酸塩を用いることができる。
ガリウム源としては、例えば、硝酸ガリウム、塩化ガリウム等のガリウム塩や酸化ガリウム等を用いることができる。また、亜鉛源としては、例えば、硝酸亜鉛等の硝酸塩を用いることができる。
ZSM−5型メタロシリケートの良質の結晶を得るためには、更に有機化合物を添加物として併用することができる。これらの化合物としては、例えば、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩、プロピルアミン、ブチルアミン等のアミン類、その他アルコール類、有機酸、エーテル類、メルカプタン類、およびチオエーテル類を用いることができる。
アルカリ金属源としては、例えば、ナトリウム、カリウム等の水酸化物、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩等を用いることができる。水としては、例えば、結晶化を阻害しないように、例えば、イオン交換水、純水、超純水等を用いることができる。
上記したような反応原料となる化合物の混合物を水中にて水熱合成反応させるが、更にpH調整剤として、硫酸、硝酸等の鉱酸をそこに含有させてもよい。
ZSM−5型メタロシリケートは、上記の各々の原料となる化合物の水溶液または水分散液を100〜250℃の自己圧下で、1〜5日間保持することで容易に製造できる。この操作により結晶化を行う。必要であれば、遠赤外線やマイクロ波を照射するようにして水熱合成しても良いし、未反応原料を水洗除去する等精製を行っても良い。次いで350〜650℃で焼成を行う。更には、生成結晶化物に対して下記するような変成処理を行うこともできる。
即ち、水熱合成で得られるZSM−5型メタロシリケートは、通常、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属を含んでいるが、必要に応じて慣用の変成処理を施すことができる。例えば、硝酸アンモニウムや塩酸水溶液でイオン交換してアンモニウム型とした後、例えば、350〜650℃で焼成することにより水素型にすることができる。
こうして合成されたZSM−5型メタロシリケートは、粉末の他、アルミナやシリカ等のバインダーを加えて押出し成型や打錠成型等の方法で、粒状またはペレット状の成型体にすることができる。ZSM−5型メタロシリケートは、焼成後多孔質となるバインダーと混練して成型体とすることが出来る。
ZSM−5型メタロシリケートの性状として酸性質が挙げられる。一般に酸量はアンモニア、ピリジン等の気体塩基を用いた昇温脱離等によって測定することができる。これらの触媒では含まれるアルカリ金属以外の金属の量に見合う酸量が測定されている。これらの金属が結晶構造中のアニオン性骨格構造中にあることが示されるとともに、強い酸点を持つことが明らかとなっている。
本発明における硫化アルケンの製造方法は、アルケン、硫化水素および硫黄の反応がZSM−5型メタロシリケートの存在下で一段で行われることを特徴とする。
本発明の製造方法ではアルケンを硫化して硫化アルケンを製造する。アルケンは少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を含有する化合物である。本発明で用いられるアルケンとしては、例えば、イソブチレン、ジイソブチレン、トリイソブチレン、トリプロピレンまたはテトラプロピレンの鎖状アルケンのほか、シクロペンテン、シクロヘキセンの環状アルケンが挙げられる。しかしながら、アルケンとしては、例えば、イソブチレン、ジイソブチレン、トリイソブチレン、トリプロピレンまたはテトラプロピレンからなる群から選ばれる一種の鎖状アルケンを用いることが好ましい。
硫黄は、ペレットまたは粉末状の固体形態または液状形態で用いてもよい。液状形態としては、溶媒に溶解した溶液状態やそれ自体の溶融状態が挙げられる。硫黄/アルケンのモル比は、0.3〜3.0好ましくは0.5〜2.5とすることができる。
硫化水素は、それ自体を用いても良いし、必要であれば、不活性ガスで希釈して用いても良い。硫化水素/アルケンのモル比は、0.3〜2.5好ましくは0.5〜2.0とすることができる。
硫化アルケンを製造するための本発明による反応は、各種の反応器、例えば、撹拌器を備えたバッチ式、硫黄を液状で供給する固定床流通式、または硫黄を硫化アルケンに溶解して液状で供給する固定床流通式のいずれの反応器でも操作することができる。ZSM−5型メタロシリケートは、この際に、硫化アルケンを製造する際の固定床に充填して用いることが好ましい。
バッチ式反応器を用いる場合、触媒としてのZSM−5型メタロシリケート量はアルケン量の0.2〜12重量%相当量で、好ましくは4〜10重量%相当量の範囲である。
反応は、硫黄が溶融して適度の粘性を持つ範囲の温度で行うことが好ましく、使用するアルケンに応じて調節すれば良いが、通常120〜140℃の範囲で行うことが好ましい。反応全圧は特に制限されるものではないが、0.2〜3.4MPaの範囲とすることが好ましい。
本発明で用いるZSM−5型メタロシリケートは、アミン系均一触媒と異なり、著しい失活は起こらないので、繰り返し使用できる。そのため、上記したような流通式の反応器を用いることにより、触媒交換頻度等をより低減させた連続反応や循環反応を行うことができ、バッチ式反応器を用いる場合よりも硫化アルケンを生産性高く製造することができる。勿論、バッチ式反応器を用いる場合、反応操作終了後、触媒から、付着している生成物等を分離して再使用することもできる。
本発明で用いるZSM−5型の各種ゼオライトは、アミン系均一触媒より優れた特徴を有しているX型ゼオライトやY型ゼオライト等よりも更に高い活性を有している。そのため、ZSM−5型メタロシリケートを用いる本発明の製造方法では硫化アルケンがより高収率で得られる。
製造された硫化アルケンは、元素分析、硫黄分析、HPLC(高速液体クロマトグラフィ)、FD−MS(電界脱離イオン化質量分析計)、1H−NMR(プロトン核磁気共鳴スペクトル)および13C−NMR(炭素13核磁気共鳴スペクトル)、およびFT−IR(フーリエ変換赤外線吸収スペクトル)の測定から、総合的にその性状を調べることができる。
また、硫化アルケンの元素分析および硫黄分析から元素組成比を、HPLCとFD−MSの組み合わせで硫黄架橋数の範囲(定性的分布)を各々決めることができる。
また、13C−NMRおよびFT−IRの測定からは、ジアルキルポリスルフィドのアルキル基の構造を推測することができる。
原料アルケンとしてイソブテンを用いた場合に本発明の製造方法で得られる硫化アルケンである、ジ−tert−ブチルポリスルフィドは、生成ジ−tert−ブチルポリスルフィドのプロトンすべてがメチルプロトンであることから、1H−NMRスペクトル図の化学シフトδ1.31〜1.44ppmのシグナルが硫黄架橋数に対応し、GrantとWazerの帰属(Grant,D.,Van Wazer,J.R.,J. Am.Chem.Soc.,86,3012(1964))に準拠して、ジ−tert−ブチルポリスルフィドの硫黄架橋数分布を求めることができる。
本発明の製造方法により得られた硫化アルケンは、硫黄架橋数の異なるジアルキルポリスルフィドの混合物である場合が一般的である。触媒使用量一定の条件において、原料硫黄を減らすと、硫化アルケン全体の収率はやや低下するが、ジアルキルポリスルフィドの硫黄架橋数分布をよりシャープとすることができ、しかもジアルキルポリスルフィドの平均架橋数を低い方にシフトさせることができる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<ZSM−5型アルミノシリケート触媒の調製>
本発明で用いる固体触媒として、ZSM−5型アルミノシリケートをつぎの方法により調製した。
まず、珪酸ナトリウム(Jケイ酸ソーダ3号、28〜30重量%SiO2、9〜10重量%Na2O)42.65gおよび53.32gの水からなる溶液(I)と、1.42gのAl2(SO43・14〜18H2O、5.33gのテトラプロピルアンモニウムブロマイド、3.55gの硫酸、15.98gの塩化ナトリウムおよび72.87gの水からなる溶液(II)をそれぞれ調製した。
ついで、上記溶液(I)中に溶液(II)を室温で撹拌しながら徐々にいれ、混合物を5 分間激しく撹拌した後、チタン製オートクレーブに入れて175℃自圧下で結晶化操作を48時間行った。ついで、オートクレーブ内容物を取り出し、吸引濾過して固形物を水で洗浄し、120℃で3時間乾燥後、600℃、空気流通下で3時間焼成し結晶物を得た。こうして得られた結晶物、X線回折によりZSM−5構造を持つアルミノシリケートであることを確認した。
こうして得られたZSM−5型アルミノシリケートに、バインダーとしてCataloid AP(触媒化成工業(株)製ベーマイトパウダー)と水を加えて混練して押し出し成型した。成型物を120℃で3時間乾燥後600℃で3時間焼成した。ついで、成型物1g当たり 5mlの2規定の硝酸アンモニウム水溶液を加え、100℃で2時間のイオン交換処理を4回繰り返した後、120℃で3時間乾燥してNH4 +型とした。さらに、空気流通下600℃で3時間焼成して、H+型となったZSM−5型アルミノシリケート触媒Al−1(アルミノシリケート中のアルミニウム含有量2.51重量%)を得た。
<ZSM−5型ガロシリケート触媒の調製>
上記ZSM−5型アルミノシリケート触媒Al−1の場合と同じ操作で、Al2(SO43・14〜18H2Oの代りにGa(NO33・9H2Oを用いて、ZSM−5型ガロシリケート触媒を調製した。
骨格Ga濃度を変えるためGa(NO33・9H2Oを1.61gと3.77gとを、それに見合うテトラプロピルアンモニウムブロマイドおよび硫酸の量をそれぞれ調整して仕込み、各々のガロシリケートを調製した。触媒化の操作も実施例1と同様にして実施し、ZSM−5型ガロシリケート触媒Ga−1(ガロシリケート中のGa含有量1.81重量%)および同Ga−2(ガロシリケート中のGa含有量3.59重量%)を得た。
<バッチ式反応器による硫化アルケンの合成反応>
上記のZSM−5型アルミノシリケート触媒Al−1について、バッチ式反応装置を用いてイソブテン、硫化水素および硫黄からの硫化アルケン合成反応を行った。反応器本体は50mlオートクレーブであり、硫化水素ボンベとはステンレス管で接続されている。反応操作は次の通りである。
オートクレーブ内に触媒Al−1、硫黄、撹拌子およびイソブテンを封入したアンプルを入れて閉じた。つぎに、オートクレーブに硫化水素を導入し、徐々に大気圧まで除圧して内部の空気を硫化水素で共洗いするかたちで除いた。 ついで硫化水素を所定圧力まで導入した。その後、オートクレーブを上下に激しく振り、アンプルの先端をオートクレーブ内の上部に当てて割り、封入したイソブテンを内部に開放した。つぎに、オートクレーブを電気炉に装着し昇温を始め、所定温度に達した時点で撹拌を開始して反応開始時間とした。主要な反応条件は、仕込み原料としてイソブテン3.0g、硫化水素0.96g、硫黄1.60gまたは3.20g、反応温度125℃、反応時間1時間である。
所定反応時間経過後オートクレーブを水に浸し急冷した。その後、未反応ガス、ポリスルフィドを含む液状生成物、液状生成物が付着した触媒、撹拌子、アンプル残骸および未反応の硫黄をそれぞれ分取した。原料、触媒の仕込み量及び生成硫化アルケン量について、纏めて表−1に示した。
ZSM−5型アルミノシリケート触媒Al−1の0.25gをZSM−5型ガロシリケート触媒Ga−1の0.5gに代える以外は上記実施例1と同様の操作を行った。原料、触媒の仕込み量及び生成硫化アルケン量について、纏めて表−1に示した。
硫黄3.20gを1.6gに代える以外は上記実施例2と同様の操作を行った。原料、触媒の仕込み量及び生成硫化アルケン量について、纏めて表−1に示した。
ZSM−5型ガロシリケート触媒Ga−1の0.50gを0.25gに代える以外は上記実施例2と同様の操作を行った。原料、触媒の仕込み量及び生成硫化アルケン量について、纏めて表−1に示した。
ZSM−5型ガロシリケート触媒Ga−1の0.25gを0.125gに代える以外は上記実施例4と同様の操作を行った。原料、触媒の仕込み量及び生成硫化アルケン量について、纏めて表−1に示した。
ZSM−5型ガロシリケート触媒Ga−1を同量のZSM−5型ガロシリケート触媒Ga−2に代える以外は上記実施例4と同様の操作を行った。原料、触媒の仕込み量及び生成硫化アルケン量について、纏めて表−1に示した。
ZSM−5型ガロシリケート触媒Ga−2の0.25gを0.125gに代える以外は上記実施例6と同様の操作を行った。原料、触媒の仕込み量及び生成硫化アルケン量について、纏めて表−1に示した。
硫黄3.20gを1.6gに代える以外は上記実施例7と同様の操作を行った。原料、触媒の仕込み量及び生成硫化アルケン量について、纏めて表−1に示した。
ZSM−5型ガロシリケート触媒Ga−2の0.125gを0.068gに代える以外は上記実施例7と同様の操作を行った。原料、触媒の仕込み量及び生成硫化アルケン量について、纏めて表−1に示した。
ZSM−5型ガロシリケート触媒Ga−2の0.068gを0.034gに代える以外は上記実施例9と同様の操作を行った。原料、触媒の仕込み量及び生成硫化アルケン量について、纏めて表−1に示した。
比較例1
実施例1の条件で、ZSM−5型アルミノシリケート触媒Al−1に代えてジシクロヘキシルアミン(DCHA)触媒を用いた反応を実施した。原料、触媒の仕込み量及び生成硫化アルケン量について、実施例の結果と併せて表−1に示した。
比較例2
実施例1の条件で、ZSM−5型アルミノシリケート触媒Al−1に代えて同量のX型ゼオライト(Na+X)触媒を用いた反応を実施した。原料、触媒の仕込み量及び生成硫化アルケン量について、実施例の結果と併せて表−1に示した。
表−1
Figure 2006063047
表−1からわかる通り、ZSM−5型メタロシリケート触媒は、硫化アルケン合成反応にDCHA触媒更にはX型ゼオライト触媒をも越える活性をもつ上、DCHA触媒で問題になる、繰り返し使用ができないこと、反応操作後に生成した硫化アルケンからの触媒の分離が困難であること、この残存触媒に起因する長期間貯蔵後の濁りや沈殿がなく、製品外観の透明性に悪影響を及ぼさないこと等が判る。
<バッチ式反応実験での生成硫化アルケンの性状>
上記実施例の硫化アルケンを含有する各液状生成物について、それらの性状をHPLCとFD−MS、およびIRで比較した。これらの液状生成物は、いずれもジ−tert−ブチルポリスルフィドの混合物で、硫黄架橋数は1〜9に分布し、HPLCのクロマトグラフチャートから見た定性的な硫黄架橋数分布に大きな違いは見られなかった。
また、Al−1触媒(0.25g)、Ga−1触媒(0.25g)およびGa−2触媒(0.125g)で原料硫黄3.20gの組み合わせによる反応で得られた、実施例1〜3及び実施例7〜8の生成硫化アルケン中のポリスルフィドについて1H−NMRスペクトルを測定し、それから得られた硫黄架橋数分布を表−2に示した。参考までに比較例1〜2で用いたDCHA触媒やX型ゼオライトについても、同様にして測定した結果を併せて示した。表中のSは硫黄原子を表し、下付添字の数字は架橋数を意味する。
表−2
Figure 2006063047
表−2からわかる通り、いずれの触媒でも硫黄架橋数はS1〜S9に分布し、平均架橋数は3.6〜3.7であった。また、実施例2および実施例7との対比から、Ga−1触媒およびGa−2触媒で原料硫黄1.60gの反応で得られた実施例3及び8の生成硫化アルケンでは、硫黄架橋数は3〜4に多く分布し平均架橋数は2.9〜3.2と小さくなった。このことから、バッチ式反応器で原料硫黄の量を変えることによって硫黄架橋数分布を制御できることが確認された。
<固定床流通式反応器による硫化アルケンの合成>
上記のZSM−5型ガロシリケート触媒Ga−1と、固定床流通式反応器(内径7.4mm、長さ125mm)とを用いて硫化アルケンを得るべく、反応実験を行った。
Ga−1触媒を固定床に充填し、硫黄をポリスルフィド(硫黄架橋数分布:S1〜S9、平均硫黄架橋数:4.0)に120℃で溶解してポリスルフィド/硫黄(重量比)=4となるようし、これをポンプで供給し、イソブテンと硫化水素の流量をマスフローコントローラーで制御してそれぞれ供給する方式で、反応器内において硫化アルケンの合成反応を実施した。
主要な反応条件は、硫黄・ポリスルフィド供給速度5.2ml/時間、イソブテン供給速度30 STPml/分、硫化水素供給速度15 STPml/分、Ga−1触媒量3.0g、反応温度130℃、反応圧力0.4MPaである。そして、通液/通気期間を、1時間区切りで1時間超〜4時間まで反応のモニタリングを行った。反応の結果を表−3に示した。
表−3
Figure 2006063047
各通液/通気時間帯において、硫黄、イソブテン、及び硫化水素と反応して、反応のために供給した硫化アルケンとほぼ同量の硫化アルケンが生成している。しかも、通液/通気時間が長くなっても、触媒は経時的に著しい失活は見られず、硫化アルケンの収率は高水準を保持しており、触媒の交換頻度を低下できることが判る。しかも、触媒と生成物等との分離も容易である。これらの特徴は、DCHAのようなアミン系均一触媒では達成できない顕著なものである。

Claims (4)

  1. アルケン、硫化水素および硫黄を触媒の存在下で反応させる硫化アルケンの製造方法において、前記触媒として、ZSM−5型アルミノシリケートまたはそれ以外のZSM−5型メタロシリケートを用いることを特徴とする硫化アルケンの製造方法。
  2. ZSM−5型アルミノシリケートが、構造中に0.1〜5重量%のアルミニウムを含有するZSM−5型アルミノシリケートである請求項1記載の製造方法。
  3. ZSM−5型メタロシリケートが、構造中に0.1〜10重量%のガリウムを含有するZSM−5型ガリウムシリケートである請求項1記載の製造方法。
  4. ZSM−5型アルミノシリケートまたはそれ以外のZSM−5型メタロシリケートを充填した固定床を用い、硫化アルケンに溶解した硫黄、アルケンおよび硫化水素とを反応させる請求項1〜3のいずれか一項記載の製造方法。

JP2004249964A 2004-08-30 2004-08-30 硫化アルケンの製造方法 Pending JP2006063047A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015509930A (ja) * 2012-02-14 2015-04-02 ホルメン・アーベー シメンを単離する方法
CN114920674A (zh) * 2022-06-28 2022-08-19 山东京博石油化工有限公司 一种低成本制备有机预硫化剂的方法

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JP2015509930A (ja) * 2012-02-14 2015-04-02 ホルメン・アーベー シメンを単離する方法
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