JP7156455B2 - プロピレン及び直鎖ブテンの製造方法 - Google Patents
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Description
例えば特許文献1では、10員環細孔のMFI型アルミノケイ酸塩を触媒に用いて、低級オレフィンを製造する方法を開示している。
また、特許文献2では、8員環細孔のCHA型シリコアルミノリン酸塩(SAPO-34)を活性成分とする触媒を用いて、エチレン及びプロピレンを主成分とする低級オレフィンを高収率で製造する方法を開示している。
特許文献4では、比較的低シリカ組成の8員環細孔のAEI型構造のアルミノケイ酸塩を触媒に用いて、低級オレフィンを製造する方法を開示している。
一方、特許文献5では、フッ化水素を添加して合成した高シリカ組成のAEI型構造のアルミノケイ酸塩を触媒に用いて、低級オレフィンを高収率で得られることが記載されている。
しかしながら、上記の公知の方法には諸種の問題があり、必ずしも満足する結果は得られていない。
特許文献1の方法では、エチレンや芳香族化合物の生成量が多く、プロピレンとC4(ブテン/ブタン)成分の合計収率は35%程度であり、プロピレン及び直鎖ブテンの生産面で実用に耐えるものではない。
特許文献3の方法では、MSE型アルミノケイ酸塩(MCM-68)を触媒として、反応温度350~400℃の条件で、プロピレンとブテン類を生成するが、プロピレンの収率が35%程度、C4成分の収率が25%程度であり、これらの合計収率は60%程度で
ある。また、生成するC4成分中の直鎖ブテンの割合については記載がなく、追試してみたところ、C4成分中にイソブテンが半分程度含まれることから、プロピレン及び直鎖ブテンの生産面で実用に耐えるものではない。
そこで、エチレンよりも、プロピレン及び直鎖ブテンを高収率、かつ長時間にわたって安定して製造する方法が求められている。
(2)アルミニウム、ガリウム、ホウ素、及び鉄からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素Mを含む。
(3)前記メタロケイ酸塩中に含まれるSiと前記Mの量比が、SiO2/M2O3モル比換算で5以上100未満である。(ただし、前記モル比の分母はAl2O3、Ga2O3、B2O3およびFe2O3の合計量を表す)
すなわち本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)その構造がInternational Zeolite Association(IZA)で規定されるコードでAEIである。
(2)アルミニウム、ガリウム、ホウ素、及び鉄からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素Mを含む。
(3)前記メタロケイ酸塩中に含まれるSiと前記Mの量比が、SiO2/M2O3モル比換算で5以上100未満である。(ただし、前記モル比の分母はAl2O3、Ga2O3、B2O3およびFe2O3の合計量を表す)
[3]前記プロピレン及び直鎖ブテンを含む混合物を得る工程における、エチレンに対する直鎖ブテンの質量比(直鎖ブテン/エチレン)が1.5以上であることを特徴とする[1]又は[2]に記載のプロピレン及び直鎖ブテンの製造方法。
[4]前記メタロケイ酸塩が、水蒸気処理、熱処理、酸処理、及びイオン交換からなる群より選ばれる少なくとも1つの処理をされたものであることを特徴とする[1]~[3]のいずれかに記載のプロピレン及び直鎖ブテンの製造方法。
[5]前記メタロケイ酸塩が、少なくともアルミニウムを含むアルミノケイ酸塩であることを特徴とする[1]~[4]のいずれかに記載のプロピレン及び直鎖ブテンの製造方法。
[8]前記メタロケイ酸塩中のアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素の合計の含有量が、0.005質量%以上10質量%以下であることを特徴とする[7]に記載のプロピレン及び直鎖ブテンの製造方法。
[9]前記アルカリ金属元素として、少なくともナトリウムを含有することを特徴とする[7]又は[8]に記載のプロピレン及び直鎖ブテンの製造方法。
[11]前記メタロケイ酸塩がシリル化処理されていることを特徴とする[1]~[10]のいずれかに記載のプロピレン及び直鎖ブテンの製造方法。
[12]前記触媒のアンモニア昇温脱離スペクトルにおける高温脱離量から求められる全酸量が0.001mmol/g以上0.80mmol/g以下であることを特徴とする[1]~[11]のいずれかに記載のプロピレン及び直鎖ブテンの製造方法。
(1)その構造がInternational Zeolite Association(IZA)で規定されるコードでAEIである。
(2)アルミニウム、ガリウム、ホウ素、及び鉄からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素Mを含む。
(3)前記メタロケイ酸塩中に含まれるSiと前記Mの量比が、SiO2/M2O3モル比換算で5以上100未満である。(ただし、前記モル比の分母はAl2O3、Ga2O3、B2O3およびFe2O3の合計量を表す)
(4)アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する。
(5)アンモニア昇温脱離スペクトルにおける高温脱離量から求められる全酸量が0.001mmol/g以上0.80mmol/g以下である。
[15]アルカリ金属元素として、少なくともナトリウムを含有することを特徴とする[13]又は[14]に記載のメタロケイ酸塩。
[16]平均一次粒子径が、0.03μm以上5μm以下であることを特徴とする[13]~[15]いずれかに記載のメタロケイ酸塩。
(1)その構造がInternational Zeolite Association(IZA)で規定されるコード
でAEIである。
(2)アルミニウム、ガリウム、ホウ素、及び鉄からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素Mを含む。
(3)前記メタロケイ酸塩中に含まれるSiと前記Mの量比が、SiO2/M2O3モル比換算で5以上100未満である。(ただし、前記モル比の分母はAl2O3、Ga2O3、B2O3およびFe2O3の合計量を表す)
(4)平均一次粒子径が、0.03μm以上0.60μm以下である。
(5)アンモニア昇温脱離スペクトルにおける高温脱離量から求められる全酸量が0.001mmol/g以上0.80mmol/g以下である。
本発明は、メタノール及びジメチルエーテルから選ばれる少なくとも1種の原料を触媒と接触させてプロピレン及び直鎖ブテンを製造する方法であって、前記触媒の活性成分として、下記(1)~(3)を満たすメタロケイ酸塩を含み、かつ、前記原料を前記触媒と接触させてプロピレン及び直鎖ブテンを含む混合物を得る工程の反応温度が380℃以下であることを特徴。
(2)アルミニウム、ガリウム、ホウ素、及び鉄からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素Mを含む。
(3)前記メタロケイ酸塩中に含まれるSiと前記Mの量比が、SiO2/M2O3モル比換算で5以上100未満である。(ただし、前記モル比の分母はAl2O3、Ga2O3、B2O3およびFe2O3の合計量を表す)
なお、前記メタロケイ酸塩を、以下「本発明のメタロケイ酸塩」という。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いられる触媒は、活性成分として下記のメタロケイ酸塩を含む。
[本発明のメタロケイ酸塩]
(構造)
本発明のメタロケイ酸塩は、通常、結晶性を有する。メタロケイ酸塩は、通常、ゼオライトと呼ばれる開かれた規則的なミクロ細孔(以下、単に「細孔」ということがある)を形成している多孔質結晶性化合物であり、四面体構造をもつTO4単位(Tは、ゼオライトを構成する酸素以外の元素をいう)が酸素原子を共有して三次元的に連結した構造を有している。
AEI型構造を有するメタロケイ酸塩は、3種類の3.8×3.8Åの8員環細孔から構成される3次元細孔を有する。8員環細孔が交差することで、その構造内に広い空洞(ケージ)が存在する。また、AEI型構造のユニットセル(単位胞)は空間座標の定まっている原子で表した場合、その組成はT48O96であり、単斜晶系である。
なおフレームワーク密度(単位:T/nm3)とは、ゼオライトの単位体積(1nm3)当たりに存在する骨格を形成する酸素以外の原子Tの個数を意味し、この値はゼオライトの構造により決まるものである。なお、フレームワーク密度とゼオライトの構造との関係は、IZAの構造委員会(Structure Commission)により編纂されたゼオライトに関するデータ集(Atlas of Zeolite Framework Types,Sixth Revised Edition 2007, ELSEVIER)に示されている。
本発明のメタロケイ酸塩は、ケイ素と酸素以外に、アルミニウム、ガリウム、ホウ素、及び鉄から選ばれる少なくとも1種の元素Mを含む。本発明のメタロケイ酸塩は、T原子中にケイ素原子を70mol%以上含む。
前記メタロケイ酸塩中にアルミニウム、ガリウム、または鉄を含むものは、これらの原子がメタロケイ酸塩のT原子としてその骨格内に取り込まれ、比較的強い酸点となり、メタノール転化反応の活性点として働くため、触媒活性に優れる。具体的には、構成元素としてアルミニウムを含有するアルミノケイ酸塩や、ガリウムを含有するガロケイ酸塩、ホウ素を含有するボロケイ酸塩、鉄を含有するフェリケイ酸塩等が挙げられる。
本発明のメタロケイ酸塩としては、好ましくは、アルミノケイ酸塩、ボロアルミノケイ酸塩、ガロケイ酸塩、ガロボロケイ酸塩、フェリケイ酸塩であり、より好ましくはアルミノケイ酸塩、ボロアルミノケイ酸塩であり、さらに好ましくはアルミノケイ酸塩である。
本発明のメタロケイ酸塩のSiO2/M2O3(ただし、前記モル比の分母はAl2O3、Ga2O3、B2O3およびFe2O3の合計量を表す)モル比は5以上であり、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、さらに好ましくは15以上であり、100未満、好ましくは60以下、より好ましくは40以下であり、さらに好ましくは30以下である。なお、前記の比率は、メタロケイ酸塩中のSi原子が全てSiO2として含まれ、メタロケイ酸塩中に含まれる前記MがすべてM2O3として含まれると仮定して求める値である。SiO2/M2O3モル比が上記範囲にあることで、強酸点及び弱酸点由来の酸量が十分得られ、高いメタノール吸着能、高いメタノール転化活性及びオレフィン相互変換活性が得られる。またコーク付着による触媒の失活、ケイ素以外のT原子の骨格からの脱離、酸点当たりの酸強度の低下といった現象を防ぐことができる。本発明のメタロケイ酸塩のSiO2/M2O3モル比は、通常、ICP元素分析や蛍光X線分析で測定でき
る。蛍光X線分析は、標準試料中の分析元素の蛍光X線強度と分析元素の原子濃度との検量線を作成し、この検量線により、蛍光X線分析法(XRF)でメタロケイ酸塩試料中の
ケイ素原子、アルミニウム、ガリウム、鉄原子の含有量を求めることができる。なお、ホウ素元素の蛍光X線強度は比較的小さいため、ホウ素原子の含有量はICP元素分析で測定することが好ましい。
本発明のメタロケイ酸塩の全酸量(以下、全酸量という)は、前記メタロケイ酸塩の結晶細孔内に存在する酸点の量と、前記メタロケイ酸塩の結晶外表面酸点の量(以下、外表面酸量という)の総和である。全酸量は、特に限定されるものではないが、通常0.001mmol/g以上、好ましくは0.01mmol/g以上、より好ましくは0.03mmol/g以上、さらに好ましくは0.05mmol/g以上、特に好ましくは0.07mmol/g以上である。また、通常1.2mmol/g以下、好ましくは0.80mmol/g以下、より好ましくは0.50mmol/g以下、さらに好ましくは0.30mmol/g以下、特に好ましくは0.20mmol/g以下である。全酸量を上記の範囲とすることで、メタノールの転化活性が担保されるとともに、メタロケイ酸塩の細孔内部におけるコーク生成が抑制され、分子の結晶内拡散性が上昇することで、プロピレンと直鎖ブテンの生成を促進することができる点で好ましい。
本発明の全酸量には、ピークトップを240℃未満に有する弱酸点由来の酸量は含めないものとする。これは、TPDプロファイルにおいて、弱酸点由来の吸着と物理吸着との区別が容易ではないためである。
本発明のメタロケイ酸塩の結晶外表面酸量は、特に限定されるものではないが、通常、メタロケイ酸塩の全酸量に対して5%以下であるものが好ましく、3%以下であるものがより好ましく、0%であるものが最も好ましい。
外表面酸量が大きすぎる場合には、外表面酸点で起こる副反応によりプロピレンや直鎖
ブテンの選択性が低下する傾向がある。これは、外表面酸点で目的物以外の炭化水素を生成する反応が進行するためと推測される。また、前記メタロケイ酸塩の細孔内で生成したプロピレンや直鎖ブテンが外表面酸点で更に反応してしまうことも選択率低下の一因であると推測される。
前記メタロケイ酸塩の外表面酸量を、上記範囲に調整する方法としては、特に限定はされないが、通常、前記メタロケイ酸塩の外表面のシリル化、水蒸気処理、熱処理等の方法が挙げられる。また、メタロケイ酸塩を成形する際にバインダーと前記メタロケイ酸塩の外表面酸点を結合させる、といった方法が挙げられる。
本発明において、前記メタロケイ酸塩の全酸量だけでなく、メタロケイ酸塩中に含まれるアルミニウム、ガリウム、ホウ素、及び鉄の由来の弱酸点が、メタノール吸着、メタノール転化やオレフィン相互変換に効果的に作用する。よって、その弱酸点由来の弱酸量の指標として、前記メタロケイ酸塩に含まれるアルミニウム、ガリウム、ホウ素、及び鉄の合計量(mmol/g)から前記全酸量(mmol/g)を差し引いた値(mmol/g)、を用いる。この値は、通常0.10mmol/g以上、好ましくは0.30mmol/g以上、より好ましくは0.50mmol/g以上、さらに好ましくは1.0mmol/g以上であり、通常5.0mmol/g以下、好ましくは4.0mmol/g以下、より好ましくは3.0mmol/g以下、さらに好ましくは2.0mmol/g以下である。この値を上記範囲とすることで、メタノール吸着、メタノール転化を促進することができ、高い触媒活性を得ることができる。
なお、前記メタロケイ酸塩に含まれるアルミニウム、ガリウム、ホウ素、及び鉄の合計量(mmol/g)は、ICP元素分析またはXRF分析等より算出する。
本発明のメタロケイ酸塩のイオン交換サイトは、特に限定されない。通常、プロトン型(以下、H型ともいう)、一部がナトリウム(Na)、カリウム(K)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属;マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)やバリウム(Ba)等のアルカリ土類金属;等の金属イオンである。イオン交換サイトは、好ましくはプロトン、ナトリウム、カリウム、カルシウムであり、より好ましくはプロトン、ナトリウム、カリウムであり、さらに好ましくはナトリウム、カリウムであり、特に好ましくはナトリウムである。以下、例えばNaイオンで交換されているものを「Na型」ということがある。なお、アンモニウム(NH4)でイオン交換されたものは、反応条件の高温下でアンモニアが脱離するため、通常プロトン型と同等に扱う。
制することができる点でも好ましい。
これらイオン交換サイト以外に、Na、K等のアルカリ金属;Mg、Ca等のアルカリ
土類金属;Cr、Cu、Ni、Fe、Mo、W、Pt、Re等の遷移金属に金属担持されていてもよい。ここで、金属担持は、通常、平衡吸着法、蒸発乾固法、ポアフィリング法等の含浸法で行うことができる。
本発明のメタロケイ酸塩中のアルカリ金属及びアルカリ土類金属の合計量としては、イオン交換サイト以外にも含有する場合も、上記の含有量の範囲であることが好ましい。
本発明のメタロケイ酸塩の平均一次粒子径は、特に限定されるものではないが、通常0.03μm以上、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは0.15μm以上、特に好ましくは0.20μm以上であり、通常5μm以下、好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.60μm以下、特に好ましくは0.40μm以下である。上記範囲とすることで、触媒反応におけるゼオライト結晶内の拡散性及び触媒有効係数が十分高くなり、ゼオライト結晶性が十分なものとなり、耐水熱安定性が高い点で好ましい。
本発明のメタロケイ酸塩のBET比表面積は、特に限定されるものではないが、通常300m2/g以上、好ましくは400m2/g以上、より好ましくは500m2/g以上であり、通常1000m2/g以下、好ましくは800m2/g以下、より好ましくは750m2/g以下である。上記範囲にあることで、細孔内表面に存在する活性点が十分多く、触媒活性が高くなるため好ましい。なお、BET比表面積は、JIS8830(ガス吸着による粉体(固体)の比表面積測定方法)に準じた測定方法によって測定できる。吸着ガスとして窒素を使用し、1点法(相対圧:p/p0=0.30)でBET比表面積を求められる。
本発明のメタロケイ酸塩の細孔容積は、特に限定されるものではないが、通常0.1ml/g以上、好ましくは0.2ml/g以上であり、通常3ml/g以下、好ましくは2ml/g以下である。上記範囲にあることで、細孔内表面に存在する活性点が十分多く、触媒活性が高くなるため好ましい。細孔容積は相対圧法により得られる窒素の吸着等温線から求める値であることが好ましい。
本発明のメタロケイ酸塩の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、米国特許第5958370号公報に記載の方法等の公知の方法で製造することができる。
本発明のメタロケイ酸塩は、一般的に水熱合成法により調製することが可能である。例えば水にアルミニウム源、ガリウム源、ホウ素源、及び鉄源から選ばれる少なくとも1種類と、ケイ素源やアルカリ水溶液等を加えて均一なゲルを生成させ、これに必要に応じて構造規定剤を加えて攪拌し、原料ゲルを調製する。得られた前記原料ゲルを、密閉容器中で加熱し、自圧下反応させることにより、結晶化させる。このときの反応温度は特に限定されないが、通常100~200℃に保持して結晶化させる。結晶化の際に、必要に応じて種結晶を添加してもよく、製造性の面では種結晶を添加する方が、反応時間を短縮できる点や結晶粒子を微粒子化できる点で好ましい。次いで結晶化した固形成分を濾過および
洗浄した後、固形分を乾燥し、引き続き焼成することによって、アルカリ(土類)金属型のメタロケイ酸塩として得ることができる。前記の乾燥温度は限定されないが、通常100~200℃である。また前記の焼成温度は限定されないが、通常400~700℃である。その後、酸性溶液やアンモニウム塩溶液でイオン交換し、焼成することにより、H型のメタロケイ酸塩を得ることができる。
上記のうち好ましくは、N,N‐ジメチル‐3,5‐ジメチルピペリジウムカチオン、N,N‐ジエチル‐2,6‐ジメチルピペリジウムカチオン、N,N‐ジメチル‐9‐アゾニアビシクロ[3.3.1]ノナンカチオン等である。
ン酸塩が含まれる。中でも、水酸化物イオンは特に好適に用いられる。
また、リン含有系構造規定剤として、テトラエチルホスホニウム水酸化物、テトラエチルホスホニウムブロミドのような物質を使用することもできる。
AEI型メタロケイ酸塩の合成方法としては、アルカリ源の代わりにフッ酸等のフッ素源を添加して合成する方法も公知の技術としてはあるが、フッ酸は非常に危険な酸であり、ましてや高温下での水熱合成時に使用することは、工業的には現実的ではない。また、フッ酸を添加して合成されるAEI型メタロケイ酸塩は、プロピレン及び直鎖ブテン製造用の触媒として用いるには以下の点で好ましくない。
(2)粒子径が大きく、触媒の有効係数が小さくなりやすい。
(3)構造規定剤を除去するための焼成を行っても、フッ素は除かれず、比表面積や細孔容積が小さくなる傾向があり、オレフィンへの転化活性が低くなりやすい。
以下、これらの処理方法について述べる。
本発明のAEI型構造のメタロケイ酸塩の水蒸気処理方法は、特に限定されるものではないが、本発明の効果を損なわない範囲において水蒸気を含む気体に接触させることができる。具体的には水蒸気、空気又は不活性ガスで希釈した水蒸気、メタノールおよび/またはジメチルエーテルとともに水蒸気を含む反応雰囲気、または水蒸気を生成する反応雰囲気等に接触させる方法などが挙げられる。水蒸気を生成する反応とは、メタノールおよび/またはジメチルエーテルの脱水反応のように脱水が起こって水蒸気を生成する反応のことである。なお、条件によって水蒸気が部分的に液体の水として存在しても構わないが、前記メタロケイ酸塩に一様な水蒸気処理効果を与えるために、全体が水蒸気の状態で存在していることが好ましい。
前記メタロケイ酸塩の水蒸気処理温度は、特に限定されるものではないが、通常600℃以上であり、好ましくは700℃以上、より好ましくは750℃以上、さらに好ましくは800℃以上である。また通常1000℃以下であり、好ましくは950℃以下、より好ましくは900℃以下、さらに好ましくは850℃以下である。水蒸気処理温度を上記の範囲とすることで、骨格構造の崩壊を起こさずに、短い処理時間で効率的にヘテロ金属原子を骨格から除去することができる点で好ましい。
水蒸気処理の圧力(希釈ガスを含む全圧)は特に制限されるものではないが、通常50kPa(絶対圧、以下同様)以上、好ましくは75kPa以上、より好ましくは100kPa以上であり、通常2MPa以下、好ましくは1MPa以下、より好ましくは0.5MPa以下である。水蒸気処理の圧力を上記圧力範囲にすることで、短時間で効率的に前記T原子を骨格から除去することができる点で好ましい。
前記メタロケイ酸塩の水蒸気処理は、その細孔内部に有機物が存在している状態で行ってもよい。有機物が細孔内部に存在することで、特に強い水蒸気処理を行なった場合に、細孔内部の酸点の極端な減少を防ぎつつ、外表面酸点の大幅な減少をはかることができる。
アルカリ土類金属を含む化合物の量は、特に限定されないが、前記メタロケイ酸塩に対して通常、0.5質量%以上、好ましくは3質量%以上、通常30質量%以下、好ましくは10質量%以下である。
本発明のAEI型構造のメタロケイ酸塩を熱処理する方法は、特に限定されるものではないが、具体的には、前記メタロケイ酸塩を、空気及び不活性ガスから選ばれる少なくとも1つの雰囲気下で高温処理する方法や、メタノールおよび/またはジメチルエーテルを含む混合ガス雰囲気下で高温処理する方法などが挙げられる。
熱処理温度は特に限定されるものではないが、通常600℃以上、好ましくは700℃
以上、より好ましくは800℃以上、さらに好ましくは900℃以上であり、通常1200℃以下、好ましくは1100℃以下、より好ましくは1000℃以下、さらに好ましくは950℃以下である。熱処理温度を上記の範囲とすることで、骨格構造の崩壊を起こさずに、短い処理時間で効率的に前記T原子を骨格から除去することができる点で好ましい。
熱処理も水蒸気処理同様に、細孔内部に有機物が存在している状態で行っても良い。ヘリウムや窒素等の不活性ガスを用いた場合、熱処理により有機物が炭化する場合があるが、空気での焼成により、除去することができる。
熱処理の時間は、特に限定されるものではないが、通常0.1時間以上、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1.0時間以上である。また触媒活性を著しく阻害しない限りにおいては処理時間の上限はなく、熱処理温度により、処理時間は適宜調整することができる。
本発明のAEI型構造のメタロケイ酸塩の酸処理の方法は、特に限定されるものではないが、具体的には、酸性水溶液を用いる方法が挙げられる。
前記酸性水溶液に用いる酸の種類としては、特に限定されるものではないが、硫酸、硝酸、塩酸、リン酸などの無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などのカルボン酸、シュウ酸、マロン酸などのジカルボン酸などを使用することができる。これらのうち好ましいのは、硫酸、硝酸、塩酸である。
において処理時間の上限は特にない。酸の濃度や反応温度により、処理時間は適宜調整することができる。
酸性水溶液中に、シリル化剤を添加することにより、酸処理とシリル化処理を同時に行うこともできる。その際に用いるシリル化剤は、前記シリル化剤と同じである。
メタロケイ酸塩のヘテロ金属原子のカウンターカチオンは、通常、ナトリウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム(NH4)あるいはプロトン(H)である。これらのカウンターカチオンはイオン交換可能であり、適宜、金属イオン交換して使用することができる。
を抑制することができる点でも好ましい。
金属源としては、通常、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩等が用いられ、好ましくは硝酸塩、硫酸塩、塩化物塩であり、より好ましくは硝酸塩である。
金属源溶液の濃度は、特に限定されるものではないが、通常0.1M以上、好ましくは0.5M以上、より好ましくは1M以上であり、また上限は、通常10M以下、好ましくは8M以下、より好ましくは6M以下である。金属源の溶解度見合いで濃度を調整することが望ましい。
所定の時間処理した懸濁液からのメタロケイ酸塩の分離は、通常の固液分離操作、例えば濾過や遠心分離によって行う。
イオン交換後のメタロケイ酸塩は、適宜焼成を行って使用する。焼成温度は金属源の分解温度よりも高温であればよく、通常200℃~600℃、好ましくは300℃~500℃である。焼成温度が低すぎると金属源が残留しやすく、焼成温度が高すぎるとメタロケイ酸塩の構造崩壊や、金属のシンタリングが進行し易くなる。
AEI型構造のメタロケイ酸塩をシリル化処理する方法は、特に限定されるものではな
く、公知の方法を適宜用いることができ、具体的には液相シリル化や気相シリル化等を行うことができる。
AEI型構造のメタロケイ酸塩は、シリル化処理により、通常、外表面の酸点が被覆され、不活性化されることにより、外表面酸量が低下するものと考えられる。外表面酸量が低下すると、前記メタロケイ酸塩の外表面で起こる副反応が抑制される。具体的には、有機化合物原料や、メタロケイ酸塩の細孔内で生成した低級オレフィンがメタロケイ酸塩の外表面の酸点と接触することで、目的物以外の成分が生成する反応を抑制する効果があると考えられる。また、外表面酸点のシリル化では、前記メタロケイ酸塩が有する細孔を構成する酸点にもシリル基が結合するため、外表面開口部の細孔径が僅かに縮小し、結晶外への分子拡散を抑制する効果もあると考えられる。これにより、より大きい分子である炭素数5以上の炭化水素の生成を抑制することができ、低級オレフィンの選択率が向上するものと考える。
シリル化剤としては、特に限定されるものではなく、通常はメタロケイ酸塩の外表面をシリル化することができ、かつメタロケイ酸塩の細孔内をシリル化することができないものを使用する。具体的には、シリコーン類、クロロシラン類、アルコキシシラン類、シロキサン類、シラザン類などが使用できる。これらのうち、気相シリル化には通常クロロシラン類、液相シリル化には通常アルコキシシラン類が用いられ、より好ましいシリル化剤は、反応性が高く、取り扱いが比較的容易であるという点で、アルコキシシラン類である。
アルコキシシラン類としては、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等;の4級アルコキシシラン、トリメトキシメチルシラン、トリメトキシエチルシラン、トリエトキシメチルシラン、トリエトキシエチルシラン等;の3級アルコキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシジエチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジエトキシジエチルシラン等;の2級アルコキシシラン、メトキシトリメチルシラン、メトキシトリエチルシラン、エトキシトリメチルシラン、エトキシトリエチルシラン等;の1級アルコキシシランが用いられる。好ましくは2級以上のアルコキシシランであり、より好ましくは3級以上のアルコキシシランであり、さらに好ましくは4級アルコキシシランである。
シラザン類としては、具体的には、ヘキサメチルジシラザン、ジプロピルテトラメチルジシラザン、ジフェニルテトラメチルジシラザン、テトラフェニルジメチルジシラザン等が挙げられ、ヘキサメチルジシラザンが好ましい。
うために、メタロケイ酸塩を混合または攪拌しながら調湿処理を行ってもよい。
本発明の触媒は、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明のメタロケイ酸塩以外の他の活性成分を含んでいてもよい。他の活性成分としては、例えばシリコアルミノリン酸塩等のアルミノリン酸塩等が挙げられる。本発明の触媒中に含まれるアルミノリン酸塩の含有量は、通常20%質量以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは0質量%である。また、本発明の触媒中に含まれるメタロケイ酸塩の含有量は、通常80質量%以上、好ましくは90%質量以上、より好ましくは100質量%である。シリコアルミノリン酸塩は、高温条件や水蒸気条件に対する安定性が低いため、メタロケイ酸塩の含有量が高い方が好ましい。他の活性成分は、本発明のメタロケイ酸塩中に混晶の形で含有させてもよいが、通常は、各活性成分を各々合成した後に混合する。
上記した触媒活性成分のメタロケイ酸塩は、そのまま触媒として反応に用いてよいし、反応に不活性な物質やバインダーを混合して触媒とし、これを反応に用いてもよい。
該反応に不活性な物質やバインダーとしては、アルミナまたはアルミナゾル、シリカ、シリカゾル、石英、およびこれらの混合物等が挙げられる。
触媒の全酸量及び外表面酸量は、上述のメタロケイ酸塩の全酸量及び外表面酸量と同様の方法にて測定することができる。触媒の全酸量は、特に限定されるものではないが、通常0.001mmol/g以上、好ましくは0.01mmol/g以上、より好ましくは0.03mmol/g以上、さらに好ましくは0.05mmol/g以上、特に好ましくは0.07mmol/g以上である。また、通常1.2mmol/g以下、好ましくは0.80mmol/g以下、より好ましくは0.50mmol/g以下、さらに好ましくは0.30mmol/g以下、特に好ましくは0.20mmol/g以下である。触媒全酸量を上記の範囲とすることで、メタノールの転化活性が担保されるとともに、メタロケイ酸塩の細孔内部におけるコーク生成が抑制され、プロピレンと直鎖ブテンの生成を促進す
ることができる点で好ましい。
メタロケイ酸塩に、反応に不活性な物質やバインダーを混合したものを触媒として使用する場合、触媒の全酸量及び外表面酸量を上記範囲に調整するには、酸点を有さないシリカやシリカゾル等をバインダーとして用いることが好ましい。
触媒の粒子径は、メタロケイ酸塩の合成条件や造粒・成型条件により異なるが、通常、平均粒子径として、通常0.01μm~500μmであり、好ましくは0.1~100μmである。触媒の粒子径が大きくなり過ぎると、触媒の有効係数が低下する傾向があり、小さすぎると取り扱い性が劣るものとなる。この平均粒子径は、SEM観察等により求めることができる。
(メタノール、ジメチルエーテル)
本発明の原料であるメタノール、ジメチルエーテルの製造由来は特に限定されない。例えば、石炭および天然ガス、ならびに製鉄業における副生物由来のCO/水素の混合ガスの水素化反応により得られるもの、植物由来のアルコール類の改質反応により得られるもの、発酵法により得られるもの、再循環プラスチックや都市廃棄物等の有機物質から得られるもの等が挙げられる。このとき各製造方法に起因するメタノールおよびジメチルエーテル以外の化合物が任意に混合した状態のものをそのまま用いても良いし、精製したものを用いても良い。
なお、反応原料としては、メタノールのみを用いてもよく、ジメチルエーテルのみを用いてもよく、これらを混合して用いてもよい。メタノールとジメチルエーテルを混合して用いる場合、その混合割合に制限はない。
本発明における反応様式としては、メタノールおよび/またはジメチルエーテル供給原料が反応域において気相であれば特に限定されないが、固定床反応器、移動床反応器や流動床反応器が選ばれる。プロピレンと直鎖ブテンを併産する場合は、転化率の変動に伴い、プロピレン及び直鎖ブテンの選択率が変動する傾向にあるため、プロピレンと直鎖ブテンを一定の割合で製造するためには、流動床反応器が好ましい。
なお、流動床反応器に前述の触媒を充填する際、触媒層の温度分布を小さく抑えるため
に、石英砂、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ等の反応に不活性な粒状物を、触媒と混合して充填しても良い。この場合、石英砂等の反応に不活性な粒状物の使用量には特に限定されない。なお、粒状物は、触媒との均一混合性の面から、触媒と同程度の粒径であることが好ましい。
また、反応器には、反応に伴う発熱を分散させることを目的に、反応基質(反応原料)を分割して供給しても良い。
反応器に供給する全供給成分中の、メタノールとジメチルエーテルの合計濃度(基質濃度)に関して特に制限はないが、メタノールとジメチルエーテルの和は、全供給成分中、通常5モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上、さら好ましくは30モル%以上、特に好ましくは50モル%以上であり、通常95モル%以下、好ましくは90モル%以下、より好ましくは70モル%以下である。基質濃度を上記範囲にすることで、芳香族化合物やパラフィン類の生成を抑制することができ、プロピレン及び直鎖ブテンの収率を向上させることができる。また反応速度を維持できるため、触媒量を抑制することができ、反応器の大きさも抑制可能となる。
従って、このような好ましい基質濃度となるように、必要に応じて以下に記載する希釈剤で反応基質を希釈することが好ましい。
反応器内には、メタノールおよび/またはジメチルエーテルの他に、ヘリウム、アルゴン、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、水素、水、パラフィン類、メタン等の炭化水素類、芳香族化合物類、および、それらの混合物など、反応に不活性な気体を存在させることができるが、この中でもヘリウム、窒素、水(水蒸気)が共存しているのが、分離が良好であることから好ましい。
このような希釈剤としては、反応原料に含まれている不純物をそのまま使用しても良いし、別途調製した希釈剤を反応原料と混合して用いても良い。
また、希釈剤は反応器に入れる前に反応原料と混合しても良いし、反応原料とは別に反応器に供給しても良い。
ここで言う重量空間速度とは、触媒(触媒活性成分)の重量当たりの反応原料であるメタノールおよび/またはジメチルエーテルの流量であり、ここで触媒の重量とは触媒の造粒・成形に使用する不活性成分やバインダーを含まない触媒活性成分の重量である。また、流量はメタノールおよび/またはジメチルエーテルの合計の流量(重量/時間)である。
反応温度は、メタノールおよび/またはジメチルエーテルが触媒と接触してプロピレン及び直鎖ブテンを生成する温度であれば、特に制限されるものではないが、通常250℃
以上、好ましくは280℃以上、より好ましくは310℃以上、さらに好ましくは330℃以上、特に好ましくは350℃以上であり、380℃以下、好ましくは375℃以下、より好ましくは370℃以下、さらに好ましくは365℃以下、特に好ましくは360℃以下である。反応温度を上記範囲にすることで、エチレン、芳香族化合物やパラフィン類の生成を抑制することができるため、プロピレン及び直鎖ブテンの収率、とりわけ直鎖ブテン収率を向上させることができる。また、メタノールおよび/またはジメチルエーテルの転化活性を高いレベルで維持することができるため、長時間にわたって高いプロピレン及び直鎖ブテン収率で製造することができる。さらに、ゼオライト骨格からの脱アルミニウムが抑制されるため、触媒寿命を維持できる点で好ましい。なお、ここでの反応温度とは、触媒層出口の温度をさす。
反応圧力は特に制限されるものではないが、通常0.01MPa(絶対圧、以下同様)以上、好ましくは0.05MPa以上、より好ましくは0.1MPa以上、さらに好ましくは0.2MPa以上であり、通常5MPa以下、好ましくは1MPa以下、より好ましくは0.7MPa以下、さらに好ましくは0.5MPa以下である。反応圧力を上記範囲にすることで芳香族化合物やパラフィン類等の副生成物の生成を抑制することができ、プロピレン及び直鎖ブテンの収率を向上させることができる。また反応速度も維持できる。
メタノール及びジメチルエーテルの合計の分圧は特に制限されるものではないが、通常0.005MPa以上(絶対圧、以下同様)、好ましくは0.01MPa以上、より好ましくは0.03MPa以上、さらに好ましくは0.05MPa以上、特に好ましくは0.07MPa以上であり、通常3MPa以下、好ましくは1MPa以下、より好ましくは0.5MPa以下、さらに好ましくは0.3MPa以下、特に好ましくは0.1MPa以下である。原料の分圧を上記範囲にすることで芳香族化合物やパラフィン類等の副生成物の生成を抑制することができ、プロピレン及び直鎖ブテンの収率を向上させることができる。また反応速度も維持できる。
本発明において、メタノールおよび/またはジメチルエーテルの転化率は特に制限されるものではないが、通常転化率は90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上、さらに好ましくは99.5%以上であり、通常100%以下である。本発明は、転化率が上記範囲になるように調整することで、芳香族化合物やパラフィン類の副生、および細孔内へのコークの蓄積を抑制することができ、プロピレン及び直鎖ブテンの収率を向上させることができ、かつ高い直鎖ブテン/プロピレン比で製造することができる。また、生成物中からのメタノールおよび/またはジメチルエーテルの分離効率を高めることができる。
例えば、固定床反応器で反応を行う場合には、複数個の反応器を並列に備え、転化率が上記の好ましい範囲から低下した際には、触媒と反応原料との接触を停止し、該触媒を再生工程に供する。固定床反応器においては、反応時間及び再生時間を適宜調整する、すなわち、運転における反応工程と再生工程とを切り替える時間を適宜調整することにより、上記の好ましい範囲の転化率で連続的に運転することができる。
応器から抜き出した触媒を連続的に再生器に送り、再生器において再生された触媒を連続的に反応器に戻しながら、反応を行うことが好ましい。触媒の反応器内での滞留時間と再生器内での滞留時間を適宜調整することにより、上記の好ましい範囲の転化率で連続的に運転することができる。
メタノールおよび/またはジメチルエーテルの転化率が低下した触媒は、各種公知の触媒の再生方法を使用して再生することができる。
再生方法は特に限定されるものではないが、具体的には例えば、空気、窒素、水蒸気、水素等を用いて再生することができ、空気、水素を用いて再生することが好ましい。
メタノールおよび/またはジメチルエーテルの転化によって、その一部が結晶の内部/外表面にコークとして蓄積する。コーク量は、メタノールおよび/またはジメチルエーテルが転化して、プロピレン及び直鎖ブテンを生成する量であれば、特に制限されるものではないが、メタロケイ酸塩に対して、通常0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、さらに好ましくは2.0質量%以上であり、通常20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは8.0質量%以下である。コーク量を上記範囲になるように調整することで、メタノールおよび/またはジメチルエーテルの転化活性を保ちつつ、エチレンやパラフィン類の副生を抑制することができ、プロピレン及び直鎖ブテンの収率を向上させることができる。なお、ここでのコーク量は、例えば熱重量分析(TG)により求めることができる。具体的には、メタノールおよび/またはジメチルエーテルの転化反応によりコークが蓄積したメタロケイ酸塩を、ヘリウム等の不活性ガス流通下(50cc/min)、550℃まで昇温速度10℃/分で加熱し、30分間保持することで、吸着水や軽沸炭化水素成分を除去する。続いて、空気流通に切り替え(50cc/min)、550℃から600℃まで昇温速度10℃/分で加熱し、60分間保持する。このときの550℃以上の温度領域での酸化燃焼による重量減少をコーク量とする。
反応器出口ガス(反応器流出物)としては、反応生成物である、エチレン、プロピレン及び直鎖ブテン等の低級オレフィン、副生成物及び希釈剤を含む混合ガスが得られる。前記混合ガス中のプロピレン及び直鎖ブテンの濃度は、特に限定されないが、通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上であり、通常95質量%以下、好ましくは90質量%以下である。
が十分なものとなり、原料コスト及び分離・精製の負荷を低減することができる点で好ましい。
メタノール転化率(%)=〔[反応器入口メタノール(mol/Hr)-反応器出口メタノール(mol/Hr)]/反応器入口メタノール(mol/Hr)〕×100
ジメチルエーテル転化率(%)=〔[反応器入口ジメチルエーテル(mol/Hr)-反応器出口ジメチルエーテル(mol/Hr)-反応器出口メタノール(mol/Hr)÷2]/反応器入口ジメチルエーテル(mol/Hr)〕×100
本明細書における選択率とは、以下の各式により算出される値である。下記の各式において、エチレン、プロピレン、ブテン、C5+、パラフィンおよび芳香族化合物等の炭化水素の「由来カーボン流量(mol/Hr)」とは、各炭化水素を構成する炭素原子のモル流量を意味する。原料にジメチルエーテルを用いた場合には、次の式の反応器出口原料由来カーボンモル流量に、ジメチルエーテルとメタノールの合計カーボンモル流量を用いて算出する。
・エチレン選択率(%)=〔反応器出口エチレン由来カーボンモル流量(mol/Hr)/[反応器出口総カーボンモル流量(mol/Hr)-反応器出口メタノール由来カーボンモル流量(mol/Hr)]〕×100
・プロピレン選択率(%)=〔反応器出口プロピレン由来カーボンモル流量(mol/Hr)/[反応器出口総カーボンモル流量(mol/Hr)-反応器出口メタノール由来カーボンモル流量(mol/Hr)]〕×100
・ブテン選択率(%)=〔反応器出口ブテン由来カーボンモル流量(mol/Hr)/[反応器出口総カーボンモル流量(mol/Hr)-反応器出口メタノール由来カーボンモル流量(mol/Hr)]〕×100
・C5+選択率(%)=〔反応器出口C5+由来カーボンモル流量(mol/Hr)/[反応器出口総カーボンモル流量(mol/Hr)-反応器出口メタノール由来カーボンモル流量(mol/Hr)]〕×100
・パラフィン選択率(%)=〔反応器出口パラフィン由来カーボンモル流量(mol/Hr)/[反応器出口総カーボンモル流量(mol/Hr)-反応器出口メタノール由来カーボンモル流量(mol/Hr)]〕×100
・芳香族化合物選択率(%)=〔反応器出口芳香族化合物由来カーボンモル流量(mol/Hr)/[反応器出口総カーボンモル流量(mol/Hr)-反応器出口メタノール由来カーボンモル流量(mol/Hr)]〕×100
・ジメチルエーテル選択率(%)=〔反応器出口ジメチルエーテル由来カーボンモル流量(mol/Hr)/[反応器出口総カーボンモル流量(mol/Hr)-反応器出口メタノール由来カーボンモル流量(mol/Hr)]〕×100(ただし、原料にメタノールを用いた場合のみ使用)
ブテン類中の各異性体の比率は、下記の各式により算出される。
・trans‐2‐ブテン比率(%)=〔反応器出口trans‐2‐ブテン由来カーボンモル流量(mol/Hr)/反応器出口ブテン由来カーボンモル流量(mol/Hr)〕×100
・cis‐2‐ブテン比率(%)=〔反応器出口cis‐2‐ブテン由来カーボンモル流量(mol/Hr)/反応器出口ブテン由来カーボンモル流量(mol/Hr)〕×100
・イソブテン比率(%)=〔反応器出口イソブテン由来カーボンモル流量(mol/Hr)/反応器出口ブテン由来カーボンモル流量(mol/Hr)〕×100
なお、本明細書における収率とは、前記原料転化率と、生成した各成分の選択率の積により求められ、具体的にプロピレン収率、直鎖ブテン収率は、それぞれ次の式で表される。ここでの直鎖ブテン選択率とは、ブテン選択率と、ブテン類中の1-ブテン、trans‐2‐ブテン及びcis‐2‐ブテンの比率の合計との積で表される。
・直鎖ブテン収率(%)=原料転化率(%)×直鎖ブテン選択率(%)/100
・直鎖ブテン選択率(%)=ブテン選択率(%)×〔1‐ブテン比率+trans‐2‐ブテン比率+cis‐2‐ブテン比率(%)〕/100
反応器出口ガスとしての、反応生成物であるプロピレン及び直鎖ブテン、未反応原料、副生成物及び希釈剤を含む混合ガスは、公知の分離・精製設備に導入し、それぞれの成分
に応じて回収、精製、リサイクル、排出の処理を行えば良い。
プロピレン及び直鎖ブテン以外の成分(オレフィン、パラフィン等)、特に炭素数5以上の炭化水素の一部または全ては、上記分離・精製された後に反応原料と混合するか、または直接反応器に供給することでリサイクルしても良い。また、副生成物のうち、反応に不活性な成分は希釈剤として再利用することができる。
本発明の製造方法によって得られたプロピレンは、これを重合することによりポリプロピレンを製造することができる。プロピレンの重合の方法は特に限定されないが、本発明により得られたプロピレンを直接、原料モノマーとして重合反応器に導入して使用することができる。また、本発明により得られたプロピレンは、ポリプロピレン以外にも、後述する各種反応を経てプロピレン誘導品の原料としても利用できる。例えば、アンモニア酸化によりアクリロニトリル、選択酸化によりアクロレイン、アクリル酸及びアクリル酸エステル、オキソ反応によりノルマルブチルアルコール、選択酸化によりプロピレンオキサイド及びプロピレングリコール等が製造できる。またプロピレンは、ワッカー反応によりアセトンが製造でき、更に得られたアセトンよりメチルイソブチルケトンが製造できる。またアセトンからは、アセトンシアンヒドリンを経てメチルメタクリレートを製造することができる。またプロピレンは、水和反応によりイソプロピルアルコールを製造することができる。またプロピレンは、ベンゼンと反応させて得られる、キュメンを原料にフェノール、ビスフェノールA、またはポリカーボネート樹脂を製造することができる。
本発明の製造方法によって得られた直鎖ブテンは、脱水素化することによりブタジエンを製造することができる。さらに、ブタジエンは、単独重合によりポリブタジエン(BR)、スチレンとの重合によりスチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルとスチレンとの重合によりアクリロニトリル‐スチレン‐ブタジエン樹脂(ABS樹脂)等を製造することができる。また直鎖ブテンは、その他のブテン誘導品の原料としても利用できる。例えば、直鎖ブテンは、間接水和法によりsec-ブチルアルコールを経て、続く脱水素化反応によりメチルエチルケトンを製造することができる。1-ブテンは、重合によりポリブテン-1や、オキソ反応によりアミルアルコール等が製造できる。
なお、以下の調製例において、合成で得られたゼオライトの結晶のX線回折(XRD)パターンは、PANalytical社製のX’Pert Pro MPDを用いて得た。X線源はCuKαであり(X線出力:40kV、30mA)、読込幅は0.016°である。
ゼオライト粒子の形状は、日立ハイテク社製の走査電子顕微鏡(S‐4100)を用いて、導電処理を行った試料を、加速電圧15kVで観察を行った。
メタロケイ酸塩の全酸量の測定は、NH3‐TPDにて測定した。測定には、キヤノンアネルバ社製AGS7000を用い、以下の通りに行った。試料のメタロケイ酸塩50mgをPtボートに秤量し、石英管にセットし、前処理として真空下500℃で30分間乾燥させた。その後、100℃で過剰量のアンモニアと15分間接触させて、メタロケイ酸塩にアンモニアを吸着させた。引き続き、100℃で真空乾燥することで、余剰アンモニアを除くことで、アンモニアの吸着したメタロケイ酸塩を得た。次いで、アンモニアの吸着したメタロケイ酸塩を、ヘリウム雰囲気下、昇温速度10℃/分で加熱して、100-600℃におけるアンモニアの脱離量を質量分析法で測定した。得られたTPDプロファイルをガウス関数によって波形分離し、ピークトップを240℃以上に有する波形の面積の合計から、メタロケイ酸塩の質量当たりの全酸量を算出した。
1M水酸化ナトリウム水溶液123g、N,N‐ジメチル‐3,5‐ジメチルピペリジウムハイドロキサイド水溶液(21.8質量%)32.9gを順に、水8.2gに溶解し、Y型ゼオライトCBV720(SiO2/Al2O3比 30、ZEOLYST社製)14.4gを加えて、30分間撹拌した。さらに、コロイダルシリカSI-30(SiO2 30質量%、Na 0.3質量%、日揮触媒化成社製)14.8gを加え、ゲル状反応液(以下、原料ゲルということがある)とし、2時間撹拌した。前記原料ゲルを1000mlのオートクレーブに仕込み、自圧下、150rpmで撹拌しながら、135℃で7日間、水熱合成反応に供した。得られた生成物を濾過、水洗した後、100℃で乾燥させた。
生成物のXRDパターンから、得られた生成物はAEI型構造を有するアルミノケイ酸塩であることを確認した。蛍光X線分析より、SiO2/Al2O3比は17であった。また、走査電子顕微鏡より、平均一次粒子径はおよそ800nmであった。
水熱合成により得られたアルミノケイ酸塩(焼成前アルミノケイ酸塩)を、空気流通下580℃で6時間焼成を行い、Na型のアルミノケイ酸塩を得た。元素分析の結果、アルミノケイ酸塩中のナトリウムの含有量は1.0質量%であった。
得られたAEI型構造のアルミノケイ酸塩1.0gを800℃で、常圧にて50%水蒸気(水蒸気/空気=50/50(体積/体積))流通下、5時間処理することにより、水蒸気処理されたNa型のAEI型構造のアルミノケイ酸塩を得た。水蒸気処理による結晶全体のSi及びAlの含有量に変化はなく、SiO2/Al2O3比は17であった。元素分析の結果、アルミノケイ酸塩中のナトリウムの含有量は1.0質量%であった。このアルミノケイ酸塩の全酸量は、NH3‐TPDより、0.08mmol/gであった。(触媒1)
水酸化ナトリウム1.60g、N,N‐ジメチル‐3,5‐ジメチルピペリジウムハイドロキサイド水溶液(21.8重量%)205gを順に、水56.6gに溶解し、Y型ゼオライトCBV720(SiO2/Al2O3比 30、ZEOLYST社製)51.2gを加えて2時間撹拌した。さらにシリカの重量に対して5質量%に相当するCHA型ゼオライト(SiO2/Al2O3比25、平均粒子径200nm、有機構造規定剤含まない)2.40gを種結晶として加えて、撹拌することにより混合物を得た。前記混合物を1000mlのオートクレーブに仕込み、自圧下、150rpmで回転させながら、160℃で7日間、水熱合成反応に供した。得られた生成物を濾過、水洗した後、100℃で乾燥させ、白色粉末41.0gを得た。
生成物のXRDパターンから、得られた生成物はAEI型構造を有するアルミノケイ酸塩であることを確認した。蛍光X線分析より、SiO2/Al2O3比は22であった。また、走査電子顕微鏡より、平均一次粒子径はおよそ100~200nmであった。水熱
合成により得られたアルミノケイ酸塩(焼成前アルミノケイ酸塩)を、空気流通下580℃で6時間焼成を行い、Na型のアルミノケイ酸塩を得た(アルミノケイ酸塩(A))。
得られたAEI型構造のアルミノケイ酸塩(A)1.0gを800℃で、常圧にて50%水蒸気(水蒸気/空気=50/50(体積/体積))流通下、5時間処理することにより、水蒸気処理された微粒子のNa型のAEI型構造のアルミノケイ酸塩を得た。水蒸気処理による結晶全体のSi及びAlの含有量に変化はなく、SiO2/Al2O3比は22であった。元素分析の結果、ゼオライト中のNa濃度は1.0重量%であった。(触媒2)
調製例2のアルミノケイ酸塩(A)1.0gを1Mの硝酸アンモニウム水溶液で80℃、1時間のイオン交換を2回行い、100℃で乾燥した後、空気流通下、500℃で6時間焼成し、H型のアルミノケイ酸塩を得た。得られたAEI型構造のアルミノケイ酸塩1gを750℃で、常圧にて50%水蒸気(水蒸気/空気=50/50(体積/体積))流通下、5時間処理することにより、水蒸気処理されたH型のAEI型構造のアルミノケイ酸塩を得た。水蒸気処理による結晶全体のSi及びAlの含有量に変化はなく、SiO2/Al2O3比は22であった。(触媒3)
調製例2のアルミノケイ酸塩(A)1.0gを5Mの硝酸カルシウム水溶液で80℃、5時間のイオン交換を1回行い、100℃で乾燥した後、得られたAEI型構造のアルミノケイ酸塩を900℃で、常圧にて空気流通下、6時間処理することにより、熱処理されたCa,Na型のAEI型構造のアルミノケイ酸塩を得た。水蒸気処理による結晶全体のSi及びAlの含有量に変化はなく、SiO2/Al2O3比は22であった。(触媒4)
触媒1、2を用いて、メタノールを原料とする、プロピレン及び直鎖ブテンの合成反応を行った。反応には、常圧固定床流通反応装置を用い、内径6mmの石英反応管に、上記触媒200mgと石英砂300mgの混合物を充填した。メタノール及び窒素を、メタノールの重量空間速度が0.50Hr‐1で、メタノール50体積%と窒素50体積%となるように反応器に供給し、350℃、0.1MPa(絶対圧)でプロピレン及び直鎖ブテンの合成反応を実施し、反応器出口ガスをガスクロマトグラフィーにより分析を行った。反応成績を表1に示した。
触媒1を用いて、メタノール及び窒素を、メタノールの重量空間速度が1.3Hr‐1で、メタノール10体積%と窒素90体積%となるように反応器に供給し、400℃、0.1MPa(絶対圧)とする以外は実施例1,2と同様の操作を行い、プロピレン及び直鎖ブテンの合成反応を実施した。反応成績を表1に示した。
空間速度0.50Hr‐1の条件で、メタノールと接触させてプロピレンと直鎖ブテンを合成した反応例である。反応開始1.83時間後のプロピレン収率は34.2%、直鎖ブテン収率は29.0%であった。反応開始4.17時間後には、プロピレン収率は46.0%、直鎖ブテン収率は27.5%であり、プロピレン、直鎖ブテンともに高い収率が維持された。
また実施例2は、SiO2/Al2O3モル比22、平均一次粒子径100~200nmであるAEI型構造のアルミノケイ酸塩(触媒2)を触媒として、350℃、メタノール濃度50体積%、メタノール分圧0.05MPa(絶対圧)、重量空間速度0.50Hr‐1の条件で、メタノールと接触させてプロピレンと直鎖ブテンを合成した反応例である。反応開始1.83時間後のプロピレン収率は37.6%、直鎖ブテン収率は34.2%であった。反応開始4.17時間後には、プロピレン収率は45.2%、直鎖ブテン収率は31.1%であり、プロピレン、直鎖ブテンともに高い収率が維持された。
一方、比較例は、触媒1を用いて、400℃、メタノール濃度10体積%、メタノール分圧0.01MPa(絶対圧)、重量空間速度1.3Hr‐1の条件で、メタノールと接触させてプロピレンと直鎖ブテンを合成した反応例である。反応開始1.92時間後のプロピレン収率は48.6%、直鎖ブテン収率は22.3%であった。しかし、反応開始4.25時間後には、プロピレン収率は41.7%、直鎖ブテン収率は19.1まで低下した。
実施例1及び2から分かるように、反応を350℃のような低温下で行うことにより、高いプロピレン及び直鎖ブテン収率を達成し、かつ、コーク蓄積による活性低下を抑制し、長時間わたって安定して高い収率で合成することができる。
触媒2を用いて、反応温度が335℃とする以外は実施例2と同様の操作を行い、プロピレン及び直鎖ブテンの合成反応を実施した。反応成績を表2に示した。
触媒2を用いて、反応温度が365℃とする以外は実施例2と同様の操作を行い、プロピレン及び直鎖ブテンの合成反応を実施した。反応成績を表2に示した。
触媒2を用いて、反応温度が380℃とする以外は実施例2と同様の操作を行い、プロピレン及び直鎖ブテンの合成反応を実施した。反応成績を表2に示した。
触媒2を用いて、メタノール及び窒素を、メタノール30体積%と窒素70体積%となるように反応器に供給する以外は実施例2と同様の操作を行い、プロピレン及び直鎖ブテンの合成反応を実施した。反応成績を表3に示した。
触媒2を用いて、メタノール及び窒素を、メタノール75体積%と窒素25体積%となるように反応器に供給する以外は実施例2と同様の操作を行い、プロピレン及び直鎖ブテンの合成反応を実施した。反応成績を表3に示した。
触媒3を用いる以外は実施例1と同様の操作を行い、プロピレン及び直鎖ブテンの合成反応を実施した。反応成績を表3に示した。
触媒4を用いる以外は実施例1と同様の操作を行い、プロピレン及び直鎖ブテンの合成
反応を実施した。反応成績を表3に示した。
Claims (5)
- 下記(1)~(6)を満たすメタロケイ酸塩。
(1)その構造がInternational Zeolite Association(IZA)で規定されるコードでAEIである。
(2)アルミニウム、ガリウム、ホウ素、及び鉄からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素Mを含む。
(3)前記メタロケイ酸塩中に含まれるSiと前記Mの量比が、SiO2/M2O3モル比換算で5以上100未満である。(ただし、前記モル比の分母はAl2O3、Ga2O3、B2O3およびFe2O3の合計量を表す)
(4)アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する。
(5)アンモニア昇温脱離スペクトルにおける高温脱離量から求められる全酸量が0.001mmol/g以上0.80mmol/g以下である。
(6)リンの含有量が500ppm以下である。 - アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素の合計の含有量が、0.005質量%以上10質量%以下である請求項1に記載のメタロケイ酸塩。
- アルカリ金属元素として、少なくともナトリウムを含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のメタロケイ酸塩。
- 平均一次粒子径が、0.03μm以上5μm以下であることを特徴とする請求項1~3いずれか1項に記載のメタロケイ酸塩。
- 下記(1)~(6)を満たすメタロケイ酸塩。
(1)その構造がInternational Zeolite Association(IZA)で規定されるコードでAEIである。
(2)アルミニウム、ガリウム、ホウ素、及び鉄からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素Mを含む。
(3)前記メタロケイ酸塩中に含まれるSiと前記Mの量比が、SiO2/M2O3モル
比換算で5以上100未満である。(ただし、前記モル比の分母はAl2O3、Ga2O3、B2O3およびFe2O3の合計量を表す)
(4)平均一次粒子径が、0.03μm以上0.60μm以下である。
(5)アンモニア昇温脱離スペクトルにおける高温脱離量から求められる全酸量が0.001mmol/g以上0.80mmol/g以下である。
(6)リンの含有量が500ppm以下である。
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