JP2006056876A - 含酸素有機化合物の製造方法および酸化触媒組成物 - Google Patents

含酸素有機化合物の製造方法および酸化触媒組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】
工業的に有利な酸化反応を開発すること。
【解決手段】
(1)セレン化合物、含窒素芳香族化合物および酸の混合物を含む組成物の存在下に、酸化剤と有機化合物とを反応させることを特徴とする含酸素有機化合物の製造方法。
(2)酸化剤が有機ヒドロパーオキシドであり、有機化合物が、炭素−炭素二重結合のα位の炭素原子上に2以上の水素原子を有するオレフィン類であり、含酸素有機化合物がα−ヒドロキシオレフィン類および/またはα−オキソオレフィン類である(1)項に記載の製造方法。
(3)酸化剤が過酸化水素であり、有機化合物がシクロアルカノン類であり、含酸素有機化合物がシクロアルカンカルボン酸類である(1)項に記載の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、含酸素有機化合物の製造方法および酸化触媒組成物に関する。
セレン化合物を用いた酸化反応は、その反応選択性の点において重要な反応であり、種々の有機化合物を酸化して含酸素有機化合物を製造する方法が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。古くから知られているセレン化合物を当モル量以上用いる酸化反応は、毒性の面で工業的な実施には問題があった。そこで近年、酸化剤と併用することによって、セレン化合物を触媒として使用する方法が種々開発され、さらに実用的な方法として、触媒として用いたセレン化合物をリサイクル使用する方法が開発されている。
かかる酸化反応のうち、オレフィン類のアリル位のメチル基もしくはメチレン基を酸化して含酸素有機化合物を製造する方法としては、例えば、二酸化セレン触媒の存在下にオレフィン類と有機ヒドロパーオキシドとを反応させる方法(例えば、非特許文献2参照。)、パーフルオロアルキルセレン触媒存在下にオレフィン類とヨードキシベンゼンとを反応させた後にフルオラス媒体を用いパーフルオロアルキルセレン触媒を回収してリサイクル使用する方法(例えば、非特許文献3参照。)が知られている。しかしながら、前者の方法は、触媒である二酸化セレンの回収、再使用が困難であり、またケトン類、アルデヒド類、カルボン酸類を得る方法としては酸化活性が充分ではなく、後者の方法は、酸化剤として高価なヨードキシベンゼンを使用する点において、いずれも工業的には満足し得るものではなかった。
また、セレン化合物を用いた酸化反応のうち、シクロアルカノン類を酸化してシクロアルカンカルボン酸類を製造する方法としては、例えば、二酸化セレン触媒の存在下にシクロアルカノン類と過酸化水素とを反応させる方法(例えば、非特許文献4参照。)、アントラセンにセレンを固定化した含セレン高分子化合物を触媒として、シクロアルカノン類と過酸化水素とを反応させる方法(例えば、非特許文献5参照。)が知られている。しかしながら、前者の方法は、触媒である二酸化セレンの回収、再使用が困難であり、また収率も十分なものとはいえず、後者の方法は、含セレン高分子化合物の合成に多段階を要する点において、いずれも工業的には満足し得るものではなかった。
Eur. J. Org. Chem., 4329(2003) J. Amer. Chem. Soc., 99, 5526(1977) Org. Lett., 6, 775(2004) J. Org. Chem., 22, 1680(1957) Synth. Commun., 29, 2281(1999)
このような状況のもと、本発明者は、セレン化合物を触媒として用いる工業的に有利な酸化反応を開発すべく検討したところ、セレン化合物、含窒素芳香族化合物および酸の混合物を含む組成物の存在下に、酸化剤を用いて有機化合物を効率よく酸化できることを見出した。さらに、イオン性液体の存在下に本反応を実施すれば、さらに効率よく反応が進行し、セレン化合物の回収、再使用も容易に達成できることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、
セレン化合物、含窒素芳香族化合物および酸の混合物を含む組成物の存在下に、酸化剤と有機化合物とを反応させることを特徴とする含酸素有機化合物の製造方法;
かかる反応をイオン性液体の存在下に実施することを特徴とする含酸素有機化合物の製造方法;
含酸素有機化合物の製造後に、セレン化合物、含窒素芳香族化合物および酸の混合物を含む組成物を回収し、該組成物をリサイクル使用することを特徴とする含酸素有機化合物の製造方法;
セレン化合物、含窒素芳香族化合物および酸の混合物を含む酸化触媒組成物;
などを提供するものである。
本発明によれば、例えば、炭素−炭素二重結合のα位の炭素原子上に2以上の水素原子を有するオレフィン類を酸化することによりα−ヒドロキシオレフィン類および/またはα−オキソオレフィン類が、シクロアルカノン類を酸化することによりシクロアルカンカルボン酸類が、それぞれ効率よく得られる。かかる酸化反応は、家庭用防疫薬や殺虫剤等の酸部分として重要な化合物である3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸エステル(例えば、Synthetic Pyrethroid Insecticides : Structure and Properties, 3(1990)参照。)や、天然物合成の中間体として重要な化合物であるE,E−2,6−ジメチル−8−アセトキシ−2,6−オクタジエン−1−オール(例えば、Tetrahedron Letters, 42, 2205(2001)参照。)等の製造に利用できる。また、シクロアルカンカルボン酸類は、液晶化合物や医薬中間体として重要な化合物(例えば、特開平11−263761号公報参照。)である。しかも、イオン性液体を用いることにより、さらに効率よく反応が進行し、セレン化合物の回収、再使用も容易に達成できるため、工業的に有利である。なお、本発明は上記した酸化反応に限定されず、様々な酸化反応にも適用できる可能性がある。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられるセレン化合物としては、例えば二酸化セレン、塩化セレニル、亜セレン酸等の4価のセレン化合物が挙げられ、好ましくは二酸化セレン、亜セレン酸が挙げられる。亜セレン酸は、亜セレン酸ナトリウム、亜セレン酸カリウムなどのアルカリ金属塩の形態で用いてもよい。かかるセレン化合物は市販されている化合物であってもよいし、公知の方法に準じて製造した化合物であってもよい。セレン化合物は、それぞれ単独で用いてもよいし、二種以上用いてもよい。また、二酸化セレンを用いる場合は、水を共存させることが好ましく、水の使用量は二酸化セレンに対して1モル倍以上であれば特に限定されない。水は、後述する酸の溶媒として用いてもよいし、反応溶媒として用いてもよい。
含窒素芳香族化合物としては、窒素原子を含んだ芳香環を持つ化合物であれば、特に限定されずに用いることができる。かかる含窒素芳香族化合物としては、例えば、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、キノリン、キナゾリン、キノキザリン、フタラジン、フェナジン、ビピリジル、フェナンスリジン、フェナンスロリン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール等の単環性、多環性あるいは他のヘテロ原子を含む化合物が挙げられる。これらの含窒素芳香族化合物は、反応を阻害しない置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、シアノ基、カルバモイル基等が挙げられる。
かかる含窒素芳香族化合物上に置換していてもよい置換基のうち、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
無置換アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロプロピル基、2,2−ジメチルシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メンチル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基およびドデシル基等の直鎖状、分枝鎖状または環状の炭素数1〜20のアルキル基が例示される。
置換アルキル基としては、前記ハロゲン原子、後述する置換もしくは無置換のアルコキシ基、後述する置換もしくは無置換のアリール基、後述する置換もしくは無置換のアリールオキシ基、後述する置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基、後述する置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、後述する置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、後述する置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、カルボキシ基等で置換されたアルキル基が例示される。具体的には、例えばベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、3−フェノキシベンジル基、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル基、クロロメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシカルボニルメチル基等が挙げられる。
無置換アリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基が例示される。置換アリール基としては、前記置換もしくは無置換のアルキル基、前記アリール基、後述する置換もしくは無置換のアルコキシ基、後述する置換もしくは無置換のアリールオキシ基、後述するハロゲン原子等の置換基で置換されたアリール基が例示される。具体的には、例えば2−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−フェノキシフェニル基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルコキシ基におけるアルキル基としては、前記置換もしくは無置換のアルキル基が例示される。置換もしくは無置換のアルコキシ基の具体例としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、デシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メンチルオキシ基、ベンジルオキシ基、4−クロロベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基、3−フェノキシベンジルオキシ基、2,3,5,6−テトラフルオロベンジルオキシ基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジルオキシ基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジルオキシ基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジルオキシ基、クロロメトキシ基、フルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアリールオキシ基におけるアリール基としては、前記置換もしくは無置換のアリール基が例示される。置換もしくは無置換のアリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、3−フェノキシフェノキシ基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基および置換もしくは無置換のアリールカルボニル基におけるアルキル基およびアリール基としては、前記置換もしくは無置換のアルキル基および前記置換もしくは無置換のアリール基が例示される。置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基および置換もしくは無置換のアリールカルボニル基の具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、ベンジルカルボニル基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基および置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基におけるアルコキシ基およびアリールオキシ基としては、前記置換もしくは無置換のアルコキシ基および前記置換もしくは無置換のアリールオキシ基が例示される。置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基および置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等が挙げられる。
また、含窒素芳香族化合物の芳香環上には、置換もしくは無置換のベンゾ基を有していてもよく、かかるベンゾ基上の置換基としては、前述した反応を阻害しない置換基が挙げられる。
含窒素芳香族化合物の具体例としては、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、3−ブチルピリジン、2−ドデシルピリジン、3−トリデシルピリジン、4−オクタデシルピリジン、2−ドデシルオキシピリジン、3−トリデシルオキシピリジン、4−オクタデシルオキシピリジン、コリジン、2−フルオロピリジン、3−フルオロピリジン、4−フルオロピリジン、2−クロロピリジン、3−クロロピリジン、4−クロロピリジン、2−ブロモピリジン、3−ブロモピリジン、4−ブロモピリジン、2,3−ジフルオロピリジン、3,5−ジフルオロピリジン、2,6−ジクロロピリジン、2−シアノピリジン、3−シアノピリジン、4−シアノピリジン、ピコリン酸メチル、ニコチン酸メチル、イソニコチン酸メチル、ニコチンアミド、2−トリフルオロメチルピリジン、3−トリフルオロメトキシピリジン、4−メトキシピリジン、ピラジン、2−メチルピラジン、ピリミジン、4−メチルピリミジン、4,6−ジクロロピリミジン、ピリダジン、4−メチルピリダジン、キノリン、2−メチルキノリン、3−フルオロキノリン、8−クロロキノリン、2−ブロモキノリン、2,6−ジフルオロキノリン、3,5−ジクロロキノリン、2,4−ジブロモキノリン、2−シアノキノリン、4−キノリンカルボン酸メチル、イソキノリン、1−メチルイソキノリン、キナゾリン、キノキザリン、2−メチルキノキザリン、フタラジン、フェナジン、4,4’−ビピリジル、2,2’−ビピリジル、4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジル、4,4’−ジクロル−2,2’−ビピリジル、フェナンスリジン、1,10−フェナンスロリン、1,7−フェナンスロリン、5−メチル−1,10−フェナンスロリン、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、N−ブチルイミダゾール、N−ペンチルイミダゾール、N−オクチルイミダゾール、N−ドデシルイミダゾール、N−オクタデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2,4,5−トリメチルイミダゾール、4−クロロイミダゾール、4−メトキシイミダゾール、ベンゾイミダゾール、5−メチルベンゾイミダゾール、6−メチルベンゾイミダゾール、N−メチルベンゾイミダゾール、N−ブチルベンゾイミダゾール、N−ペンチルベンゾイミダゾール、N−オクチルベンゾイミダゾール、N−ドデシルベンゾイミダゾール、N−オクタデシルベンゾイミダゾール、5−クロロベンゾイミダゾール、6−クロロベンゾイミダゾール、5−メトキシカルボニルベンゾイミダゾール、チアゾール、4−メチルチアゾール、ベンゾチアゾール、2−メチルベンゾチアゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、2−メチルベンゾオキサゾール等が挙げられる。
かかる含窒素芳香族化合物のなかでも、ピリジン、2−メチルピリジン、3−ブチルピリジン、コリジン、キノリン、1,10−フェナンスロリン、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、ベンゾイミダゾールが好ましい。
かかる含窒素芳香族化合物は、それぞれ単独で用いても、二種以上用いてもよく、その使用量は、セレン化合物に対して、通常0.5〜10モル倍であり、好ましくは0.9〜8モル倍の範囲である。
酸としては、無機酸、有機酸いずれでも使用できる。無機酸としては、例えばヘキサフルオロリン酸、リン酸、ポリリン酸等のリン酸類、例えばテトラフルオロホウ酸、ホウ酸等のホウ酸類、硝酸、硫酸、塩酸、などが挙げられ、テトラフルオロホウ酸、硝酸、リン酸が好ましい。これらは市販されているものを用いることができ、通常、水溶液あるいは有機溶媒の溶液として用いられ、好ましくは水溶液である。
有機酸としては、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロピオン酸等の肪族カルボン酸;安息香酸、サリチル酸、桂皮酸等の芳香族カルボン酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の脂肪族スルホン酸;ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸;などが挙げられる。これらは市販されているものを用いることができ、水和物であってもよい。
かかる酸は、それぞれ単独で用いても、二種以上用いてもよく、その使用量は、含窒素芳香族化合物に対して、通常0.5〜2モル倍の範囲である。
セレン化合物、含窒素芳香族化合物および酸は、通常は、予めそれらを混合することにより組成物として用いる。その混合順序は特に限定されない。また、後述するとおり、酸化剤と有機化合物との反応時に任意の順序で混合して用いてもよい。
かかる混合操作は、溶媒の存在下または非存在下のいずれでも実施可能であるが、操作温度でセレン化合物、含窒素芳香族化合物および酸のいずれもが固体の場合は、溶媒の存在下に実施することが好ましい。溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒;酢酸エチル等のエステル溶媒;tert−ブタノール等のアルコール溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド溶媒;ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホラン等の含硫黄溶媒;水;などの単独または混合溶媒が挙げられる。少なくとも水が存在していることが好ましい。また、後述するイオン性液体を溶媒として用いることもできる。これら溶媒の使用量は特に制限されないが、得られる混合物が均一溶液となる量であることが好ましい。
混合操作時の温度は、通常0〜200℃である。
かかる混合操作により、均一の液体あるいは結晶の析出したスラリーの状態で酸化触媒組成物が得られる。これをそのままあるいは溶媒で希釈して、有機化合物の酸化反応に用いることができる。
続いて、酸化触媒組成物の存在下に、酸化剤と有機化合物とを反応させて、含酸素化合物を製造する方法について説明する。
本発明に用いられる酸化剤としては、例えば、過酸化水素;tert−ブチルヒドロパーオキシド、tert−アミルヒドロパーオキシド、キュメンヒドロパーオキシド、シメンヒドロパーオキシド等の有機ヒドロパーオキシド;酸素などが挙げられ、目的とする反応に応じて適宜選択できる。
酸化反応に供する有機化合物の代表例として、以下、オレフィン類の酸化によるα−ヒドロキシオレフィン類および/またはα−オキソオレフィン類の製造ならびに、シクロアルカノン類の酸化によるシクロアルカンカルボン酸類の製造について詳細に説明する。
まず、オレフィン類の酸化によるα−ヒドロキシオレフィン類および/またはα−オキソオレフィン類の製造について説明する。
酸化反応に供するオレフィン類としては、分子内に炭素−炭素二重結合を有し、そのα位の炭素原子上に2以上の水素原子を有するオレフィン類であれば特に制限されず、例えば、式(1)
Figure 2006056876
(式中、Rはハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。R、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、カルボキシ基または水素原子を表す。ここで、RとR、RとR、RとRおよびRとRのうちの少なくとも一組が結合して、その結合炭素原子とともに環を形成していてもよい。)
で示されるオレフィン類(以下、オレフィン(1)と略記する。)や、式(4)
Figure 2006056876
(式中、R、RおよびRはそれぞれ上記と同一の意味を表す。ここで、RとRまたはRとRが結合して、その結合炭素原子とともに環を形成していてもよい。)
で示されるオレフィン類(以下、オレフィン(4)と略記する。)等が挙げられる。本発明において、オレフィン(1)とオレフィン(4)とを総称して、単に「オレフィン類」と称することもある。
〜Rで示される置換基のうち、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
無置換アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロプロピル基、2,2−ジメチルシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メンチル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基およびドデシル基等の直鎖状、分枝鎖状または環状の炭素数1〜20のアルキル基が例示される。
置換アルキル基としては、前記ハロゲン原子、後述する置換もしくは無置換のアルコキシ基、後述する置換もしくは無置換のアリール基、後述する置換もしくは無置換のアリールオキシ基、後述する置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基、後述する置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、後述する置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、後述する置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、カルボキシ基等で置換されたアルキル基が例示される。具体的には、例えばベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、3−フェノキシベンジル基、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル基、クロロメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシカルボニルメチル基、アリル基等が挙げられる。
無置換アリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基が例示される。置換アリール基としては、前記置換もしくは無置換のアルキル基、前記アリール基、後述する置換もしくは無置換のアルコキシ基、後述する置換もしくは無置換のアリールオキシ基、後述するハロゲン原子等の置換基で置換されたアリール基が例示される。具体的には、例えば2−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−フェノキシフェニル基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルコキシ基におけるアルキル基としては、前記置換もしくは無置換のアルキル基が例示される。置換もしくは無置換のアルコキシ基の具体例としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、デシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メンチルオキシ基、ベンジルオキシ基、4−クロロベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基、3−フェノキシベンジルオキシ基、2,3,5,6−テトラフルオロベンジルオキシ基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジルオキシ基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジルオキシ基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジルオキシ基、クロロメトキシ基、フルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシメトキシ基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアリールオキシ基におけるアリール基としては、前記置換もしくは無置換のアリール基が例示される。置換もしくは無置換のアリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、3−フェノキシフェノキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基および置換もしくは無置換のアリールカルボニル基におけるアルキル基およびアリール基としては、前記置換もしくは無置換のアルキル基および前記置換もしくは無置換のアリール基が例示される。置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基および置換もしくは無置換のアリールカルボニル基の具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、ベンジルカルボニル基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基および置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基におけるアルコキシ基およびアリールオキシ基としては、前記置換もしくは無置換のアルコキシ基および前記置換もしくは無置換のアリールオキシ基が例示される。置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基および置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等が挙げられる。
無置換のアルケニル基としては、例えばエテニル基、1−プロペニル基、1−メチルエテニル基、1−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−デセニル基、2−シクロペンテニル基、2−シクロヘキセニル基等の炭素数2〜12のアルケニル基が例示される。
置換アルケニル基としては、前記ハロゲン原子、前記置換もしくは無置換のアルキル基、前記置換もしくは無置換のアルコキシ基、前記置換もしくは無置換のアリール基、前記置換もしくは無置換のアリールオキシ基、前記置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基、前記置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、前記置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、前記置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、カルボキシ基等で置換されたアルケニル基が例示される。具体的には、例えば3−アセトキシ−1−メチル−1−プロペニル基、2,2−ジクロロエテニル基、5−オキソ−1−メチル−1−ヘキセニル基、3−ブロモ−1−メチル−1−プロペニル基、3−メトキシ−1−メチル−1−プロペニル基等が挙げられる。
オレフィン(1)の具体例としては、例えば1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ドデセン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、3−メチルシクロペンテン、4−メチルシクロペンテン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−クロロシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、1,7−オクタジエン、1,2,3,4−テトラヒドロ無水フタル酸、インデン、メチレンシクロブタン、メチレンシクロペンタン、β−ピネン、α−メチレン−γ−ブチロラクトン、シクロヘキシリデンシクロヘキサン等が挙げられる。
オレフィン(4)の具体例としては、例えばゲラニルアセテート、ゲラニルベンゾエート、ゲラニルメチルエーテル、ゲラニルベンジルエーテル、ゲラニルフェニルスルホン、2−ヘキセン、α−メチルスチレン、プレゴン、イソホロン、2−カレン、3−カレン、α−ピネン、後述する菊酸類(8)等が挙げられる。
これらのオレフィン類は、市販されているものを用いてもよいし、例えばWittig反応等の公知の方法を用いて適宜製造したものを用いてもよい。
オレフィン類と酸化剤との反応は、セレン化合物、含窒素芳香族化合物および酸の混合物を含む組成物の存在下に実施され、オレフィン類の炭素−炭素二重結合のα位の炭素原子が酸化された含酸素有機化合物が得られる。炭素−炭素二重結合のα位の炭素原子上に3つの水素原子を有するオレフィン類を用いた場合には、アルコール類;アルデヒド類;カルボン酸類;からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物が得られ、その生成比率は、酸化剤の使用量や反応条件等により異なる。また、炭素−炭素二重結合のα位の炭素原子上に2つの水素原子を有するオレフィン類を用いた場合には、アルコール類および/またはケトン類が得られ、その生成比率は、酸化剤の使用量や反応条件等により異なる。なお、水素原子を2以上有する炭素原子が炭素−炭素二重結合のα位に2以上存在するオレフィンを用いる場合、酸化剤の使用量や反応条件等により、1つのα位の炭素原子のみが酸化されることもあれば、2以上のα位の炭素原子が酸化されることもある。
オレフィン類として、例えば前記オレフィン(1)を用いた場合には、式(2)
Figure 2006056876
(式中、R、R、RおよびRは上記と同一の意味を表す。)
で示されるアルコール(以下、アルコール(2)と略記する。)および/または式(3)
Figure 2006056876
(式中、R、R、RおよびRは上記と同一の意味を表す。)
で示されるケトン類(以下、ケトン(3)と略記する。)が得られる。さらに具体的に化合物を挙げて説明すると、例えばオレフィン(1)としてシクロヘキセンを用いた場合には、2−シクロヘキセノールおよび/または2−シクロヘキセノンが得られる。
また、オレフィン類として、例えばオレフィン(4)を用いた場合には、式(5)
Figure 2006056876
(式中、R、RおよびRは上記と同一の意味を表す。)
で示されるアルコール類(以下、アルコール(5)と略記する。);
式(6)
Figure 2006056876
(式中、R、RおよびRは上記と同一の意味を表す。)
で示されるアルデヒド類(以下、アルデヒド(6)と略記する。);
式(7)
Figure 2006056876
(式中、R、RおよびRは上記と同一の意味を表す。)
で示されるカルボン酸類(以下、カルボン酸(7)と略記する。);
からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物が得られる。さらに具体的に化合物を挙げて説明すると、例えばオレフィン(4)としてイソホロンを用いた場合には、3−ヒドロキシメチル−5,5−ジメチル−2−シクロヘキセン−1−オン;ホルミルイソホロン;5,5−ジメチル−3−オキソ−1−シクロヘキセン−1−カルボン酸;からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物が得られる。
本反応に用いる酸化剤としては、有機ヒドロパーオキシドが好ましい。かかる有機ヒドロパーオキシドとしては、例えばtert−ブチルヒドロパーオキシド、tert−アミルヒドロパーオキシド、キュメンヒドロパーオキシド、シメンヒドロパーオキシド等が挙げられる。有機ヒドロパーオキシドは通常、水溶液もしくは有機溶媒溶液として用いられる。水溶液もしくは有機溶媒溶液中の有機ヒドロパーオキシド濃度は特に制限されないが、容積効率、安全面等を考慮すると、実用的には1〜90重量%程度である。
セレン化合物の使用量は、オレフィン類に対して、通常、0.001〜0.95モル倍である。
有機ヒドロパーオキシドの使用量により、生成する含酸素有機化合物の種類や生成比率等が異なるため、目的とする含酸素有機化合物に応じて、適宜その使用量を決めればよい。例えばオレフィン(1)を用いた場合、オレフィン(1)に対して、1〜1.5モル倍の有機ヒドロパーオキシドを用いると、通常アルコール(2)が主として生成する。また、オレフィン(1)に対して、1.5モル倍を越える有機ヒドロパーオキシドを用いると、通常ケトン(3)が主として生成する。有機ヒドロパーオキシドの使用量の上限は特にないが、実用的には50モル倍以下である。
また、オレフィン(4)を用いた場合、オレフィン(4)に対して、1〜2モル倍の有機ヒドロパーオキシドを用いると、通常アルコール(5)が主として生成し、オレフィン(4)に対して、2〜3.5モル倍の有機ヒドロパーオキシドを用いると、通常アルデヒド(6)が主として生成する。また、オレフィン(4)に対して、3.5モル倍を越える有機ヒドロパーオキシドを用いると、通常カルボン酸(7)が主として生成する。有機ヒドロパーオキシドの使用量の上限は特にないが、実用的には50モル倍以下である。
オレフィン類と有機ヒドロパーオキシドとの反応は、反応を阻害しない溶媒の存在下または非存在下いずれでも実施可能である。かかる溶媒としては、例えばジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒;例えば酢酸エチル等のエステル溶媒;例えばtert−ブタノール等のアルコール溶媒;例えばクロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素溶媒;例えばアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル溶媒;水;などの単独または混合溶媒が挙げられ、その使用量は特に制限されない。
オレフィン類と有機ヒドロパーオキシドとの反応は、通常オレフィン類と有機ヒドロパーオキシドと酸化触媒組成物と必要に応じて溶媒とを混合することにより実施され、その混合順序は特に制限されないが、酸化触媒組成物と溶媒とを混合した後、オレフィン類と有機ヒドロパーオキシドとを加えることが好ましい。また、予め調製した酸化触媒組成物を用いず、セレン化合物と含窒素芳香族化合物と酸とを反応系内に加えて、酸化触媒組成物を反応系中で調製しながら反応を実施してもよい。
反応温度は、通常0〜200℃の範囲である。本反応は、常圧条件下で実施してもよいし、加圧条件下で実施してもよい。また、反応の進行は、例えばガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、NMR、IR等の通常の分析手段により確認することができる。
反応終了後、反応液をそのままもしくは必要に応じて残存する酸化剤を、例えば亜硫酸ナトリウム等の還元剤で分解した後、水および必要に応じて水と混合しない有機溶媒を加えて、セレン化合物、含窒素芳香族化合物および酸を含む水層と、含酸素有機化合物含有有機層とを分離することができる。
水と混合しない有機溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;例えばジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル等のエーテル溶媒;例えば酢酸エチル等のエステル溶媒;例えばクロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素溶媒などが挙げられ、その使用量は特に制限されない。
得られた有機層を濃縮処理することにより、含酸素有機化合物を取り出すことができる。取り出した含酸素有機化合物は、例えば蒸留、カラムクロマトグラフィー等の通常の精製手段によりさらに精製してもよい。
また、得られた水層には、通常、セレン化合物、含窒素芳香族化合物および酸が含まれており、そのままもしくは必要に応じて濃縮処理等を行った後、再度、オレフィン類と有機ヒドロパーオキシドとの反応に使用することができる。かかる水層を再使用する場合は、新たにセレン化合物を用いなくてもよいが、必要に応じてセレン化合物を追加して用いてもよい。
かくして得られる含酸素有機化合物のうち、アルコール類としては、例えばE,E−2,6−ジメチル−8−アセトキシ−2,6−オクタジエン−1−オール、E,E−2,6−ジメチル−8−ベンゾイルオキシ−2,6−オクタジエン−1−オール、E,E−2,6−ジメチル−8−メトキシ−2,6−オクタジエン−1−オール、E,E−2,6−ジメチル−8−ベンジルオキシ−2,6−オクタジエン−1−オール、E,E−2,6−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−オール−8−フェニルスルホン、1−ヘキセン−3−オール、1−ヘプテン−3−オール、1−オクテン−3−オール、1−ドデセン−3−オール、1−ヒドロキシ−2−シクロペンテン、1−ヒドロキシ−2−シクロヘキセン、1−ヒドロキシ−2−シクロヘプテン、1−ヒドロキシ−2−シクロオクテン、1−ヒドロキシ−4−メチル−2−シクロペンテン、1−ヒドロキシ−5−メチル−2−シクロペンテン、1−ヒドロキシ−4,5−ジメチル−2−シクロペンテン、1−ヒドロキシ−4−クロロ−2−シクロペンテン、1−ヒドロキシ−4−メチル−2−シクロヘキセン、4−ヒドロキシ−2−ヘキセン、3−ヒドロキシ−1,7−オクタジエン、3−ヒドロキシ−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、1−インデン−1−オール、2−フェニル−2−プロペン−1−オール、2−メチレンシクロブタノール、2−メチレンシクロペンタノール、ピノカルベロール、ジヒドロ−4−ヒドロキシ−3−メチレン−2−フラノン、2−シクロヘキシリデンシクロヘキサノール、2−(2−ヒドロキシ−1−メチルメチリデン)−5−メチルシクロヘキサノン、3−ヒドロキシメチル−5,5−ジメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、2−カレン−10−オール、イソカモール、ミルテノール等が挙げられる。
アルデヒド類としては、例えばE,E−2−ホルミル−8−アセトキシ−6−メチル−2,6−オクタジエン、E,E−2−ホルミル−8−ベンゾイルオキシ−6−メチル−2,6−オクタジエン、E,E−2−ホルミル−8−メトキシ−6−メチル−2,6−オクタジエン、E,E−2−ホルミル−8−ベンジルオキシ−6−メチル−2,6−オクタジエン、E,E−2−ホルミル−8−フェニルスルホン−6−メチル−2,6−オクタジエン、α−ホルミルスチレン、2−(4−メチル−2−シクロヘキシリデン)プロパナール、ホルミルイソホロン、7,7−ジメチル−2−ノルカレン−3−カルボキシアルデヒド、7,7−ジメチル−3−ノルカレン−3−カルボキシアルデヒド、ミルテノナール等が挙げられる。
ケトン類としては、例えば3−オキソ−1−ヘキセン、3−オキソ−1−ヘプテン、3−オキソ−1−オクテン、3−オキソ−1−ドデセン、2−シクロペンテノン、2−シクロヘキセノン、2−シクロヘプテノン、2−シクロオクテノン、4−メチル−2−シクロペンテノン、5−メチル−2−シクロペンテノン、4,5−ジメチル−2−シクロペンテノン、4−クロロ−2−シクロペンテノン、4−メチル−2−シクロヘキセノン、4−オキソ−2−ヘキセン、3−オキソ−1,7−オクタジエン、3−オキソ−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、インデン−1−オン、2−メチレンシクロブタノン、2−メチレンシクロペンタノン、ピノカルボン、ジヒドロ−4−オキソ−3−メチレン−2−フラノン、2−シクロヘキシリデンシクロヘキサノン等が挙げられる。
カルボン酸類としては、例えばE,E−2−カルボキシ−8−アセトキシ−6−メチル−2,6−オクタジエン、E,E−2−カルボキシ−8−ベンゾイルオキシ−6−メチル−2,6−オクタジエン、E,E−2−カルボキシ−8−メトキシ−6−メチル−2,6−オクタジエン、E,E−2−カルボキシ−8−ベンジルオキシ−6−メチル−2,6−オクタジエン、E,E−2−カルボキシ−8−フェニルスルホン−6−メチル−2,6−オクタジエン、α−カルボキシスチレン、2−(4−メチル−2−シクロヘキシリデン)プロパノイック酸、5,5−ジメチル−3−オキソ−1−シクロヘキセン−1−カルボン酸、7,7−ジメチル−ビシクロ[4.1.0]ヘプト−2−エン−3−カルボン酸、カミニック酸、ミルテニック酸等が挙げられる。
次に、本発明の適用について具体例を挙げて説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
本発明におけるオレフィン類として、例えば式(8)
Figure 2006056876
(式中、Rは置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基または水素原子を表す。)
で示される化合物(以下、菊酸類(8)と略記する。)を用いれば、含酸素有機化合物として式(9)
Figure 2006056876
(式中、Rは上記と同一の意味を表す。)
で示されるアルコール類(以下、アルコール(9)と略記する。);
式(10)
Figure 2006056876
(式中、Rは上記と同一の意味を表す。)
で示されるアルデヒド類(以下、アルデヒド(10)と略記する。);
式(11)
Figure 2006056876
(式中、Rは上記と同一の意味を表す。)
で示されるカルボン酸類(以下、カルボン酸(11)と略記する。);
からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物を得ることができる。
置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基および置換もしくは無置換のアラルキル基は、R〜Rとして上述したものと同様の置換基が挙げられる。
菊酸類(8)としては、例えば3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸エチル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸イソプロピル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸tert−ブチル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸シクロヘキシル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メンチル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸ベンジル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(4−クロロベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(3−フェノキシベンジル)等が挙げられる。
かかる菊酸類(8)は、シクロプロパン環平面に対して、−COで示される基と2−メチル−1−プロペニル基が、同じ側にあるシス体と反対側にあるトランス体が存在するが、本発明にはいずれか一方を用いてもよいし、混合物を用いてもよい。混合物を用いる場合のシス体とトランス体の混合割合は特に制限されない。
またかかる菊酸類(8)は、その分子内に不斉炭素原子を有しており、光学異性体が存在するが、本発明には、光学異性体の単独または混合物のいずれを用いてもよい。
得られる含酸素有機化合物のうち、アルコール(9)としては、例えば3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸、3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル、3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸エチル、3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸イソプロピル、3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸tert−ブチル、3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸シクロヘキシル、3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メンチル、3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸ベンジル、3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(4−クロロベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(3−フェノキシベンジル)等が挙げられる。
アルデヒド(10)としては、例えば3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸、3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル、3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸エチル、3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸イソプロピル、3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸tert−ブチル、3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸シクロヘキシル、3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メンチル、3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸ベンジル、3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(4−クロロベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(3−フェノキシベンジル)等が挙げられる。
カルボン酸(11)としては、例えば3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸、3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル、3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸エチル、3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸イソプロピル、3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸tert−ブチル、3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸シクロヘキシル、3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メンチル、3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸ベンジル、3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(4−クロロベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(3−フェノキシベンジル)等が挙げられる。
なお、菊酸類(8)としてトランス体を用いた場合には、通常、トランス体の含酸素有機化合物(アルコール(9);アルデヒド(10);カルボン酸(11);からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物を示す。)が得られ、シス体の菊酸類(8)を用いた場合には、通常、シス体の含酸素有機化合物が得られる。また、光学活性の菊酸類(8)を用いた場合には、通常、光学活性な含酸素有機化合物が得られる。
かくして得られるアルコール(9)、アルデヒド(10)およびカルボン酸(11)は、いずれもピレスロイド系家庭防疫薬や殺虫剤等の合成中間体として重要な化合物であり、これらの化合物の工業的製法として本反応を適用することができる。
次に、シクロアルカノン類の酸化によるシクロアルカンカルボン酸類の製造について説明する。
本発明におけるシクロアルカノン類としては、その環状の飽和炭化水素を構成する少なくとも一つの炭素原子がカルボニル炭素であるシクロアルカノン類であって、該カルボニル炭素が2以上存在する場合はそれらが互いに隣接しない化合物であれば特に制限されず、例えば、式(12)
Figure 2006056876
(式中、Rはハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアルコキシ基を表し、mは0〜11の整数を表す。mが2以上の場合、Rは互いに同一であっても相異なっていてもよく、同一炭素原子上に2つのRを有していてもよい。また、任意の2つのRが結合して、その結合炭素原子とともに環構造を形成していてもよい。nは0〜8の整数を表し、m≦n+3である。)
で示されるシクロアルカノン類(以下、シクロアルカノン(12)と略記する。)が例示される。
ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアルコキシ基としては、R〜Rとして上述したものと同様の置換基が挙げられる。
シクロアルカノン類としては、例えばシクロブタノン、3−メチルシクロブタノン、3−フェニルシクロブタノン、3−クロロシクロブタノン、シクロペンタノン、3−メチルシクロペンタノン、3−フェニルシクロペンタノン、3−クロロシクロペンタノン、1,3−シクロペンタンジオン、シクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、4−メトキシシクロヘキサノン、4−tert−ブチルシクロヘキサノン、4−フェニルシクロヘキサノン、4−クロロシクロヘキサノン、1,4−シクロヘキサンジオン、シクロへプタノン、4−メチルシクロヘプタノン、4−フェニルシクロヘプタノン、3−クロロシクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロノナノン、1,4,7−シクロノナントリオン、シクロデカノン、シクロドデカノン、10−メチル−2−デカロン、2−デカロン、ヘキサヒドロ−2−インダノン等が挙げられる。
これらのシクロアルカノン類は、市販されているものを用いてもよいし、例えば、対応するシクロアルカノール類を酸化する等の公知の方法を用いて適宜製造したものを用いてもよい。
シクロアルカノン類と酸化剤との反応は、セレン化合物、含窒素芳香族化合物および酸の混合物を含む組成物の存在下に実施され、含酸素有機化合物として得られるシクロアルカンカルボン酸類の環を構成する炭素数は、通常、シクロアルカノン類を構成する炭素数より一つ減じたものとなる。また、シクロアルカノン類の環を構成するカルボニル炭素が2以上存在する場合は、反応条件により、含酸素有機化合物として得られるシクロアルカンカルボン酸類の環を構成する炭素数は、シクロアルカノン類を構成する炭素数より2以上減ずることもある。
例えば、シクロアルカノン類として前記シクロアルカノン(12)を用いた場合には、式(13)
Figure 2006056876
(式中、R,mおよびnは上記と同一の意味を表す。)
で示されるシクロアルカンカルボン酸類が得られる。
本反応に用いる酸化剤としては、過酸化水素が好ましい。過酸化水素は、通常水溶液として用いられる。もちろん過酸化水素の有機溶媒溶液を用いてもよい。過酸化水素水もしくは有機溶媒溶液中の過酸化水素濃度は特に制限されないが、容積効率、安全面等を考慮すると、実用的には1〜60重量%である。過酸化水素水は、通常市販のものをそのままもしくは必要に応じて希釈、濃縮等により濃度調整を行った後用いられる。過酸化水素の有機溶媒溶液は、例えば過酸化水素水を有機溶媒で抽出処理する、もしくは有機溶媒の存在下に過酸化水素水を蒸留処理する等の手段により、調製することができる。
セレン化合物の使用量は、シクロアルカノン類に対して、通常、0.001〜0.95モル倍である。
過酸化水素の使用量は、シクロアルカノン類に対して、通常1モル倍以上であり、その使用量の上限は特にないが、経済的な面も考慮すると、実用的には、シクロアルカノン類に対して10モル倍以下である。
シクロアルカノン類と過酸化水素との反応は、反応を阻害しない溶媒の存在下または非存在下いずれでも実施可能である。かかる溶媒としては、例えばジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒;例えば酢酸エチル等のエステル溶媒;例えばtert−ブタノール等のアルコール溶媒;例えばクロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素溶媒;例えばアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル溶媒;水;などの単独または混合溶媒が挙げられ、その使用量は特に制限されない。
シクロアルカノン類と過酸化水素との反応は、シクロアルカノン類と過酸化水素と酸化触媒組成物と必要に応じて溶媒とを混合することにより実施され、その混合順序は特に制限されない。また、予め調製した酸化触媒組成物を用いず、セレン化合物と含窒素芳香族化合物と酸とを反応系内に加えて、酸化触媒組成物を反応系中で調製しながら反応を実施してもよい。
反応温度は、通常0〜200℃の範囲である。本反応は、常圧条件下で実施してもよいし、加圧条件下で実施してもよい。また、反応の進行は、例えばガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、NMR、IR等の通常の分析手段により確認することができる。
反応終了後、反応液をそのままもしくは必要に応じて残存する酸化剤を、例えば亜硫酸ナトリウム等の還元剤で分解した後、水および必要に応じて水と混合しない有機溶媒を加えて、セレン化合物、含窒素芳香族化合物および酸を含む水層と、シクロアルカンカルボン酸含有有機層とを分離することができる。
水と混合しない有機溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;例えばジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル等のエーテル溶媒;例えば酢酸エチル等のエステル溶媒;例えばクロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素溶媒などが挙げられ、その使用量は特に制限されない。
得られた有機層を濃縮処理することにより、シクロアルカンカルボン酸類を取り出すことができる。取り出したシクロアルカンカルボン酸類は、例えば蒸留、カラムクロマトグラフィー等の通常の精製手段によりさらに精製してもよい。
また、得られた水層には、通常、セレン化合物、含窒素芳香族化合物および酸が含まれており、そのままもしくは必要に応じて濃縮処理等を行った後、再度本反応に使用することができる。かかる水層を再使用する場合は、新たにセレン化合物を用いなくてもよいが、必要に応じてセレン化合物を追加して用いてもよい。
かくして得られるシクロアルカンカルボン酸類としては、例えばシクロプロパンカルボン酸、2−メチルシクロプロパンカルボン酸、2−フェニルシクロプロパンカルボン酸、2−クロロシクロシクロプロパンカルボン酸、シクロブタンカルボン酸、2−メチルシクロブタンカルボン酸、2−フェニルシクロブタンカルボン酸、2−クロロシクロブタンカルボン酸、3−オキソシクロブタンカルボン酸、1,2−シクロプロパンジカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、3−メチルシクロペンタンカルボン酸、2−メチルシクロペンタンカルボン酸、3−メトキシシクロペンタンカルボン酸、3−tert−ブチルシクロペンタンカルボン酸、3−オキソシクロペンタンカルボン酸、3−クロロシクロペンタンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、3−メチルシクロヘキサンカルボン酸、4−フェニルシクロヘキサンカルボン酸、2−クロロシクロヘキサンカルボン酸、シクロヘプタンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、3、6−ジオキソシクロオクタンカルボン酸、シクロノナンカルボン酸、シクロデカンカルボン酸、10−メチルヘキサヒドロ−2−インダンカルボン酸、ヘキサヒドロ−2−インダンカルボン酸、ビシクロ[4.2.0]オクタン−7−カルボン酸等が挙げられる。
上述のセレン化合物、含窒素芳香族化合物および酸の混合物を含む組成物の存在下に実施する有機化合物の酸化反応は、溶媒としてイオン性液体を用いれば、さらに効率よく進行する。イオン性液体とは、有機カチオン種とアニオン種とから構成される塩であり、その融点が100℃以下であり、300℃まで安定で液体状態を保つ化合物が挙げられる。かかるイオン性液体としては、例えばアルキル置換イミダゾリウム塩、アルキル置換ピリジニウム塩、第四級アンモニウム塩、第四級ホスフォニウム塩、第三級スルホニウム塩等が挙げられ、アルキル置換イミダゾリウム塩、アルキル置換ピリジニウム塩、第四級アンモニウム塩が好ましく、なかでもアルキル置換イミダゾリウム塩が好ましい。
アルキル置換イミダゾリウム塩としては、イミダゾリン環上の少なくとも一つの窒素原子が、置換もしくは無置換のアルキル基と結合したイミダゾリウムカチオンと、例えばテトラフルオロボレートアニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)アミドアニオン、アルキルカルボキシレートアニオン、アルカンスルホネートアニオン等のアニオン種とから構成される塩が挙げられる。ここで、置換もしくは無置換のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基等の炭素数1〜8の低級アルキル基およびそれらが、例えばメトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜8の低級アルコキシ基;例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;などで置換された、例えばクロロメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシカルボニルメチル基等が挙げられる。かかる置換もしくは無置換のアルキル基は、イミダゾリン環上の炭素原子にも結合していてよい。
かかるアルキル置換イミダゾリウム塩としては、例えば1−メチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−メチル−3−ブチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−メチル−3−イソブチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−メチル−3−メトキシエチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−エチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−ブチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3,5−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,3−ジエチル−5−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート等のアルキル置換イミダゾリウムテトラフルオロボレートおよび前記各化合物のテトラフルオロボレートアニオンが塩化物イオンに代わったアルキル置換イミダゾリウムクロリド;前記各化合物のテトラフルオロボレートアニオンが臭化物イオンに代わったアルキル置換イミダゾリウムブロミド;前記各化合物のテトラフルオロボレートアニオンがヨウ化物イオンに代わったアルキル置換イミダゾリウムヨーダイド;前記各化合物のテトラフルオロボレートアニオンがヘキサフルオロホスフェートアニオンに代わったアルキル置換イミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート;前記各化合物のテトラフルオロボレートアニオンがビス(パーフルオロアルカンスルホニル)アミドアニオンに代わったアルキル置換イミダゾリウムビス(パーフルオロアルカンスルホニル)アミド;前記各化合物のテトラフルオロボレートアニオンがアルキルカルボキシレートアニオンに代わったアルキル置換イミダゾリウムアルキルカルボキシレート;前記各化合物のテトラフルオロボレートアニオンがアルカンスルホネートアニオンに代わったアルキル置換イミダゾリウムアルカンスルホネート;などが挙げられる。
アルキル置換ピリジニウム塩としては、例えばピリジン環上の窒素原子が前記置換もしくは無置換のアルキル基と結合したピリジニウムカチオンと、前記アニオン種とから構成される塩が挙げられ、例えばN−メチルピリジニウムテトラフルオロボレート、N−エチルピリジニウムテトラフルオロボレート、N−プロピルピリジニウムテトラフルオロボレート、N−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、N−ブチル−4−メチルピリジニウムテトラフルオロボレート、N−イソブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、N−ペンチルピリジニウムテトラフルオロボレート等のアルキル置換ピリジニウムテトラフルオロボレートおよび前記各化合物のテトラフルオロボレートアニオンが塩化物イオンに代わったアルキル置換ピリジニウムクロリド;前記各化合物のテトラフルオロボレートアニオンが臭化物イオンに代わったアルキル置換ピリジニウムブロミド;前記各化合物のテトラフルオロボレートアニオンがヨウ化物イオンに代わったアルキル置換ピリジニウムヨーダイド;前記各化合物のテトラフルオロボレートアニオンがヘキサフルオロホスフェートアニオンに代わったアルキル置換ピリジニウムヘキサフルオロホスフェート;前記各化合物のテトラフルオロボレートアニオンがビス(パーフルオロアルカンスルホニル)アミドアニオンに代わったアルキル置換ピリジニウムビス(パーフルオロアルカンスルホニル)アミド;前記各化合物のテトラフルオロボレートアニオンがアルキルカルボキシレートに代わったアルキル置換ピリジニウムアルキルカルボキシレート;前記各化合物のテトラフルオロボレートアニオンがアルカンスルホネートアニオンに代わったアルキル置換ピリジニウムアルカンスルホネート;などが挙げられる。
第四級アンモニウム塩としては、例えば、同一または相異なる4つの前記置換もしくは無置換のアルキル基が窒素原子に結合したアンモニウムカチオンと、前記アニオン種とから構成される塩が挙げられ、例えばトリメチルペンチルアンモニウムテトラフルオロボレート、トリメチルヘキシルアンモニウムテトラフルオロボレート、トリメチルヘプチルアンモニウムテトラフルオロボレート、トリメチルオクチルアンモニウムテトラフルオロボレート、トリエチルペンチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の第四級アンモニウムテトラフルオロボレートおよび前記各化合物のテトラフルオロボレートアニオンがヘキサフルオロホスフェートアニオンに代わった第四級アンモニウムヘキサフルオロホスフェート;前記各化合物のテトラフルオロボレートアニオンがビス(パーフルオロアルカンスルホニル)アミドアニオンに代わった第四級アンモニウムビス(パーフルオロアルカンスルホニル)アミド;前記各化合物のテトラフルオロボレートアニオンがアルキルカルボキシレートアニオンに代わった第四級アンモニウムアルキルカルボキシレート;前記各化合物のテトラフルオロボレートアニオンがアルカンスルホネートアニオンに代わった第四級アンモニウムアルカンスルホネート;などが挙げられる。
第四級ホスフォニウム塩としては、例えば、同一または相異なる4つの前記置換もしくは無置換のアルキル基がリン原子に結合したホスフォニウムカチオンと、前記アニオン種とから構成される塩が挙げられ、例えばトリメチルペンチルホスフォニウムテトラフルオロボレート、テトラブチルホスフォニウムテトラフルオロボレートの第四級ホスフォニウムテトラフルオロボレートおよび前記各化合物のテトラフルオロボレートアニオンがヘキサフルオロホスフェートアニオンに代わった第四級ホスフォニウムヘキサフルオロホスフェート;前記各化合物のテトラフルオロボレートアニオンがビス(パーフルオロアルカンスルホニル)アミドアニオンに代わった第四級ホスフォニウムビス(パーフルオロアルカンスルホニル)アミド;前記各化合物のテトラフルオロボレートアニオンがアルキルカルボキシレートアニオンに代わった第四級ホスフォニウムアルキルカルボキシレート;前記各化合物のテトラフルオロボレートアニオンがアルカンスルホネートアニオンに代わった第四級ホスフォニウムアルカンスルホネート;などが挙げられる。
第三級スルホニウム塩としては、例えば、同一または相異なる3つの前記置換もしくは無置換のアルキル基がイオウ原子に結合したスルホニウムカチオンと、前記アニオン種とから構成される塩が挙げられ、例えばトリエチルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリブチルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリプロピルスルホニウムテトラフルオロボレート等の第三級スルホニウムテトラフルオロボレートおよび前記各化合物のテトラフルオロボレートアニオンがヘキサフルオロホスフェートアニオンに代わった第三級スルホニウムヘキサフルオロホスフェート;前記各化合物のテトラフルオロボレートアニオンがビス(パーフルオロアルカンスルホニル)アミドアニオンに代わった第三級スルホニウムビス(パーフルオロアルカンスルホニル)アミド;前記各化合物のテトラフルオロボレートアニオンがアルキルカルボキシレートアニオンに代わった第三級スルホニウムアルキルカルボキシレート;前記各化合物のテトラフルオロボレートアニオンがアルカンスルホネートアニオンに代わった第三級スルホニウムアルカンスルホネート;などが挙げられる。
かかるイオン性液体は、市販されているものを用いてもよいし、例えばTetrahedron,59,2253(2003)等に記載の方法に従い製造したものを用いてもよい。それらは、それぞれ単独で用いても、二種以上用いてもよく、その使用量は、特に制限されないが、セレン化合物に対して、通常0.1〜100重量倍程度である。また、イオン性液体を溶媒として用いる場合、通常は前述した他の溶媒を用いる必要は無いが、もちろんそれらを用いて実施してもよい。
イオン性液体を溶媒として用いる場合の混合順序、反応温度およびその他の反応条件は、前述した他の溶媒を用いる場合と同様である。
反応終了後、反応液をそのままもしくは必要に応じて残存する酸化剤を、例えば亜硫酸ナトリウム等の還元剤で分解した後、イオン性液体と混合しない有機溶媒を加えて、イオン性液体層と含酸素有機化合物含有有機層を分離することができる。反応時または還元剤による後処理時に水溶液を用いた場合は、イオン性液体層と含酸素有機化合物含有有機層と水層の3層に分離することもあるが、この場合もそれぞれの層に分離することにより、含酸素有機化合物含有有機層とイオン性液体層を取得すればよい。こうして得られた有機層を濃縮処理することにより、含酸素有機化合物を取り出すことができる。取り出した含酸素有機化合物は、例えば蒸留、カラムクロマトグラフィー等の通常の精製手段によりさらに精製してもよい。
イオン性液体と混合しない有機溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;などが挙げられ、その使用量は特に制限されない。
また、前記イオン性液体層には、通常、含窒素芳香族化合物、セレン化合物および酸が含まれており、かかるイオン性液体層は、そのままもしくは必要に応じて濃縮処理等を行った後、再度本反応に使用することができる。かかるイオン性液体層を再使用する場合は、新たにセレン化合物を用いなくてもよいが、必要に応じてセレン化合物を追加して用いてもよい。
イオン性液体層と含酸素有機化合物含有有機層と水層の3層に分離する場合には、イオン性液体層と水層のいずれにも、含窒素芳香族化合物、セレン化合物および酸が含まれる場合がある。この場合には、イオン性液体層と水層の両方を回収し、そのままもしくは必要に応じて濃縮処理等を行った後、再度本反応に使用することができる。もちろん、イオン性液体層、水層のどちらか一方のみを回収し、再使用することもできる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
各実施例における収率は、それぞれ以下の手段により分析した結果から算出した。
生成物が
3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル;
3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸;
3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル;
3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸;
の場合は高速液体クロマトグラフィー内部標準法。
その他の生成物の場合はガスクロマトグラフィー内部標準法。
実施例1
5mLサンプル瓶に、二酸化セレン100mg、N−メチルイミダゾール444mgおよび42重量%テトラフルオロホウ酸水溶液1130mgを仕込み、室温で10分間攪拌したところ、酸化触媒組成物を含む均一な水溶液となった。この水溶液を800mgサンプリングして77Se−NMRを測定したところ、Seピークは1309.6ppm(基準物質:ジメチルセレニド)に観測された。
上記の酸化触媒組成物を含む水溶液を800mgサンプリングして、50mlフラスコに仕込み、さらにシクロペンタノン90mg、30%過酸化水素水120mgを仕込み、室温で4時間攪拌した。反応液に、酢酸エチル10gを加えると、2層に分液した。有機層をガスクロマトグラフィー内部標準法にて分析したところ、シクロブタンカルボン酸の収率は16%であった。原料シクロペンタノンが18%残存していた。
実施例2
5mLサンプル瓶に、二酸化セレン70mg、ピリジン300mgおよび42重量%テトラフルオロホウ酸水溶液791mgを仕込み、室温で10分間攪拌したところ、白色結晶が析出したスラリー液となった。この液体に水を500mg加えると、酸化触媒組成物を含む均一な水溶液となった。この水溶液を800mgサンプリングして77Se−NMRを測定したところ、Seピークは1308.5ppm(基準物質:ジメチルセレニド)に観測された。
実施例3
5mLサンプル瓶に、二酸化セレン70mg、N−メチルイミダゾール311mgおよび85%リン酸436mgを仕込み、室温で10分間攪拌したところ、白色結晶が析出したスラリー液となった。この液体に水を500mg加えると、酸化触媒組成物を含む均一な水溶液となった。この水溶液を800mgサンプリングして77Se−NMRを測定したところ、Seピークは1313.5ppm(基準物質:ジメチルセレニド)に観測された。
実施例4
磁気回転子と還流冷却管を備えた100mLフラスコに、二酸化セレン90mg、2−エチル−4−メチルイミダゾール560mgおよび42重量%テトラフルオロホウ酸水溶液881mgを仕込み、室温で10分間攪拌したところ、酸化触媒組成物を含む均一な水溶液が得られた。その後、70重量%tert−ブチルヒドロパーオキシド水850mgと3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル500mgを仕込み、内温70℃に昇温し、同温度で3時間攪拌反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、ヘキサン10gを加え、分液処理し、酸化触媒組成物を含む水層と、有機層を得た。水層をヘキサンでさらに2回抽出処理し、得られた有機層を、先に得た有機層と合一し、含酸素化合物を含有する有機層を得た。
<各成分の収率>
3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:66%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:8%、
有機層のセレン含量は10ppm(ICP発光法)であり、用いたセレン分の99.3%が酸化触媒組成物を含む水層側に回収された。
実施例5
磁気回転子と還流冷却管を備えた100mLフラスコに、実施例4で回収された酸化触媒組成物を含む水層と、70重量%tert−ブチルヒドロパーオキシド水850mgと3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル500mgを仕込み、内温80℃に昇温し、同温度で3時間攪拌反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、ヘキサン10gを加え、分液処理し、酸化触媒組成物を含む水層と、有機層を得た。酸化触媒組成物を含む水層をヘキサンでさらに2回抽出処理し、得られた有機層を、先に得た有機層と合一し、含酸素化合物を含有する有機層を得た。
<各成分の収率>
3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:10%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:76%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:13%、
有機層のセレン含量は12ppm(ICP発光法)であり、用いたセレン分の99.2%が酸化触媒組成物を含む水層側に回収された。
実施例6
磁気回転子と還流冷却管を備えた100mLフラスコに、二酸化セレン90mg、3−ブチルピリジン690mgおよび42重量%テトラフルオロホウ酸水溶液881mgを仕込み、室温で10分間攪拌したところ、酸化触媒組成物を含む均一な水溶液が得られた。その後、70重量%tert−ブチルヒドロパーオキシド水850mgと3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル500mgを仕込み、内温70℃に昇温し、同温度で4時間攪拌反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、ヘキサン10gを加え、分液処理し、酸化触媒組成物を含む水層と、有機層を得た。水層をヘキサンでさらに2回抽出処理し、得られた有機層を、先に得た有機層と合一し、含酸素化合物を含有する有機層を得た。同時に、酸化触媒組成物を含む水層を回収した。
<各成分の収率>
3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:79%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:6%
原料が5%回収された。
実施例7
磁気回転子と還流冷却管を備えた300mLフラスコに、二酸化セレン1.8g、N−メチルイミダゾール8.3gおよび42重量%テトラフルオロホウ酸水溶液17.6gを仕込み、室温で30分間攪拌したところ、酸化触媒組成物を含む均一な水溶液が得られた。その後、70重量%tert−ブチルヒドロパーオキシド水4.0g,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル10.0gを仕込み、内温50℃に昇温した。同温度で攪拌しながら70重量%tert−ブチルヒドロパーオキシド水14.0gを3時間かけて滴下し、さらに21時間攪拌反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、ヘキサン100gを加え、分液処理し、酸化触媒組成物を含む水層と、有機層を得た。水層をヘキサンでさらに2回抽出処理し、得られた有機層を、先に得た有機層と合一し、含酸素化合物を含有する有機層を得た。同時に、酸化触媒組成物を含む水層を回収した。
<各成分の収率>
3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:12%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:67%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:16%、
原料が3%回収された。
実施例8
実施例7において、二酸化セレン1.8g、N−メチルイミダゾール8.3gおよび42重量%テトラフルオロホウ酸水溶液17.6gから得られる酸化触媒組成物を含む均一な水溶液に代えて、実施例7で回収された酸化触媒組成物を含む水層を用いることと、反応時間を33時間に延長すること以外は実施例7と同様な操作を行い、含酸素化合物を含有する有機層と、酸化触媒組成物を含む水層を得た。
<各成分の収率>
3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:4%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:80%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:11%、
原料が2%回収された。
実施例9
実施例7において、二酸化セレン1.8g、N−メチルイミダゾール8.3gおよび42重量%テトラフルオロホウ酸水溶液17.6gから得られる酸化触媒組成物を含む均一な水溶液に代えて、実施例8で回収された酸化触媒組成物を含む水層を用いることと、反応時間を33時間に延長すること以外は実施例7と同様な操作を行い、含酸素化合物を含有する有機層と、酸化触媒組成物を含む水層を得た。
<各成分の収率>
3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:7%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:75%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:13%、
原料が2%回収された。
実施例10
実施例7において、二酸化セレン1.8g、N−メチルイミダゾール8.3gおよび42重量%テトラフルオロホウ酸水溶液17.6gから得られる酸化触媒組成物を含む均一な水溶液に代えて、実施例9で回収された酸化触媒組成物を含む水層を用いることと、反応時間を33時間に延長すること以外は実施例7と同様な操作を行い、含酸素化合物を含有する有機層と、酸化触媒組成物を含む水層を得た。
<各成分の収率>
3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:6%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:78%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:11%、
原料が1%回収された。
実施例11
磁気回転子と還流冷却管を備えた300mLフラスコに、二酸化セレン1.8g、ピリジン6.0g、N−メチル−4−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート18gおよび42重量%テトラフルオロホウ酸水溶液10.0gを仕込み、室温で30分間攪拌したところ、酸化触媒組成物を含む均一な溶液が得られた。その後、70重量%tert−ブチルヒドロパーオキシド水4.0g、3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル10.0gを仕込み、内温50℃に昇温した。同温度で攪拌しながら、70重量%tert−ブチルヒドロパーオキシド水14.0gを3時間かけて滴下し、さらに7時間攪拌反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、ヘキサン100gを加えたところ、2層に分離した。分液処理し、酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層と、有機層を得た。酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層をヘキサンでさらに2回抽出処理し、得られた有機層を、先に得た有機層と合一し、含酸素化合物を含有する有機層を得た。
<各成分の収率>
3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:26%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:64%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:10%、
実施例12
実施例11において、二酸化セレン1.8g、ピリジン6.0g、N−メチル−4−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート18gおよび42重量%テトラフルオロホウ酸水溶液10.0gからなる酸化触媒組成物を含む均一な溶液に代えて、実施例11で回収された酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層を用いること以外は実施例11と同様な操作を行い、含酸素化合物を含有する有機層と、酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層を得た。
<各成分の収率>
3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:9%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:84%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:2%、
原料が3%回収された。
実施例13
実施例11において、二酸化セレン1.8g、ピリジン6.0g、N−メチル−4−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート18gおよび42重量%テトラフルオロホウ酸水溶液10.0gからなる酸化触媒組成物を含む均一な溶液に代えて、実施例12で回収された酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層を用いること以外は実施例11と同様な操作を行い、含酸素化合物を含有する有機層と、酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層を得た。
<各成分の収率>
3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:11%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:81%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:8%。
実施例14
磁気回転子と還流冷却管を備えた100mLフラスコに、二酸化セレン25mg、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート1g、ベンゾイミダゾール 160mgおよび42重量%テトラフルオロホウ酸水溶液210mgを仕込み、室温で 10分間攪拌したところ、酸化触媒組成物を含む均一な溶液が得られた。その後、70重量%tert−ブチルヒドロパーオキシド水2.5gと3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル1.5gを仕込み、内温60℃に昇温し、同温度で1時間攪拌後、80℃に昇温し、同温度で2時間攪拌反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、ヘキサン10gを加えたところ、2層に分離した。分液処理し、酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層と、有機層を得た。酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層をヘキサンでさらに2回抽出処理し、得られた有機層を、先に得た有機層と合一し、含酸素化合物を含有する有機層を得た。
<各成分の収率>
3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:31%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:41%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:15%、
原料が10%回収された。
実施例15
実施例14において、ベンゾイミダゾール160mgに代えて、イミダゾール85mgを用いる以外は実施例14と同様に実施し、含酸素化合物を含有する有機層を得た。
<各成分の収率>
3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:34%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:41%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:9%、
原料が12%回収された。
実施例16
磁気回転子と還流冷却管を備えた100mLフラスコに、二酸化セレン25mg、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート1g、ベンゾイミダゾール 125mgおよび65重量%硝酸水110mgを仕込み、室温で10分間攪拌したところ、酸化触媒組成物を含む均一な溶液が得られた。その後、70重量%tert−ブチルヒドロパーオキシド水2.5gと3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル1.5gを仕込み、内温60℃に昇温し、同温度で1時間攪拌後、70℃に昇温し、同温度で2時間攪拌反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、ヘキサン10gを加えたところ、2層に分離した。分液処理し、酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層と、有機層を得た。酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層をヘキサンでさらに2回抽出処理し、得られた有機層を、先に得た有機層と合一し、含酸素化合物を含有する有機層を得た。
<各成分の収率>
3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:25%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:33%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:7%、
原料が30%回収された。
実施例17
実施例16において、65重量%硝酸水110mgに代えて、85重量%リン酸水溶液130mgを用いる以外は実施例16と同様に実施し、含酸素化合物を含有する有機層を得た。
<各成分の収率>
3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:34%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:32%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:8%、
原料が20%回収された。
実施例18
磁気回転子と還流冷却管を備えた100mLフラスコに、亜セレン酸ナトリウム140mg、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート900mg、ピリジン300mgおよび42重量%テトラフルオロホウ酸840mgを仕込み、室温で10分間攪拌したところ、酸化触媒組成物を含む均一な溶液が得られた。その後、70重量%tert−ブチルヒドロパーオキシド水900mgと3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル500mgを仕込み、内温50℃に昇温し、同温度で6時間攪拌反応した。反応終了後、室温まで冷却し、ヘキサン10gを加えたところ、2層に分離した。分液処理し、酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層と、有機層を得た。酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層をヘキサンでさらに2回抽出処理し、得られた有機層を、先に得た有機層と合一し、含酸素化合物を含有する有機層を得た。
<各成分の収率>
3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:28%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:44%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:15%、
原料が10%回収された。
実施例19
磁気回転子と還流冷却管を備えた100mLフラスコに、二酸化セレン90mg、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート900mg、ベンゾイミダゾール450mgおよび42重量%テトラフルオロホウ酸水溶液440mgを仕込み、室温で10分間攪拌したところ、酸化触媒組成物を含む均一な溶液が得られた。その後、70重量%tert−ブチルヒドロパーオキシド水850mgと3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル500mgを仕込み、内温60℃に昇温し、同温度で2時間攪拌後、70℃に昇温し、同温度で2時間攪拌反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、ヘキサン10gを加えたところ、2層に分離した。分液処理し、酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層と、有機層を得た。酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層をヘキサンでさらに2回抽出処理し、酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層2.1gと、有機層を得た。得られた有機層を、先に得た有機層と合一し、含酸素化合物を含有する有機層を得た。
<各成分の収率>
3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:4%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:81%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:6%。
実施例20
磁気回転子と還流冷却管を備えた100mLフラスコに、実施例19で得た酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層2.1gを仕込み、その後、70重量%tert−ブチルヒドロパーオキシド水850mgと3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル500mgを仕込み、内温60℃に昇温し、同温度で2時間攪拌後、70℃に昇温し、同温度で2時間攪拌反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、ヘキサン10gを加えたところ、2層に分離した。分液処理し、酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層と、有機層を得た。酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層をヘキサンでさらに2回抽出処理し、酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層2.1gと、有機層を得た。得られた有機層を、先に得た有機層と合一し、含酸素化合物を含有する有機層を得た。
<各成分の収率>
3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:2%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:79%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:7%。
実施例21
磁気回転子と還流冷却管を備えた100mLフラスコに、実施例20で得た酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層2.1gを仕込み、その後、70重量%tert−ブチルヒドロパーオキシド水850mgと3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル500mgを仕込み、内温60℃に昇温し、同温度で2時間攪拌後、70℃に昇温し、同温度で2時間攪拌反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、ヘキサン10gを加えたところ、2層に分離した。分液処理し、酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層と、有機層を得た。酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層をヘキサンでさらに2回抽出処理し、酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層2.2gと、有機層を得た。得られた有機層を、先に得た有機層と合一し、含酸素化合物を含有する有機層を得た。
<各成分の収率>
3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:79%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:8%。
実施例22
磁気回転子と還流冷却管を備えた100mLフラスコに、実施例21で得た酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層2.1gを仕込み、その後、70重量%tert−ブチルヒドロパーオキシド水850mgと3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル500mgを仕込み、内温60℃に昇温し、同温度で2時間攪拌後、70℃に昇温し、同温度で2時間攪拌反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、ヘキサン10gを加えたところ、2層に分離した。分液処理し、酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層と、有機層を得た。酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層をヘキサンでさらに2回抽出処理し、酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層2.2gと、有機層を得た。得られた有機層を、先に得た有機層と合一し、含酸素化合物を含有する有機層を得た。
<各成分の収率>
3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:3%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:80%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:8%。
比較例1
実施例19において、ベンゾイミダゾールを用いない以外は実施例19と同様に実施したところ、原料の3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチルは消失したが、3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル、3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチルおよび3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチルの生成は見られなかった。
実施例23
実施例19において、ベンゾイミダゾール450mgに代えて、1,10−フェナンスロリン750mgを用いる以外は実施例19と同様に実施し、含酸素化合物を含有する有機層を得た。
<各成分の収率>
3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:4%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:74%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:1%。
実施例24
実施例19において、ベンゾイミダゾール450mgに代えて、ピリジン300mgを用い、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート900mgに代えてN−メチル−4−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート900mgを用いる以外は実施例19と同様に実施し、含酸素化合物を含有する有機層を得た。
<各成分の収率>
3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:2%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:73%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:16%。
実施例25
磁気回転子と還流冷却管を備えた100mLフラスコに、二酸化セレン90mg、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート900mg、ピリジン300mgおよび42重量%テトラフルオロホウ酸水溶液500mgを仕込み、室温で10分間攪拌したところ、酸化触媒組成物を含む均一な溶液が得られた。その後、70重量%tert−ブチルヒドロパーオキシド水900mgと3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸500mgを仕込み、内温50℃に昇温し、同温度で6時間攪拌反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、メチル−tert−ブチルエーテル10gを加えたところ、2層に分離した。分液処理し、酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層と、有機層を得た。酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層をヘキサンでさらに2回抽出処理し、酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層2.1gと、有機層を得た。得られた有機層を、先に得た有機層と合一し、含酸素化合物を含有する有機層を得た。
<各成分の収率>
3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸:32%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸:52%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸:3%。
実施例26
磁気回転子と還流冷却管を備えた100mLフラスコに、実施例25で得た酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層2.1gを仕込み、その後、70重量%tert−ブチルヒドロパーオキシド水900mgと3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸500mgを仕込み、内温50℃に昇温し、同温度で6時間攪拌反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、メチル−tert−ブチルエーテル10gを加えたところ、2層に分離した。分液処理し、酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層と、有機層を得た。酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層をヘキサンでさらに2回抽出処理し、酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層2.2gと、有機層を得た。得られた有機層を、先に得た有機層と合一し、含酸素化合物を含有する有機層を得た。
<各成分の収率>
3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸:8%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸:71%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸:2%。
実施例27
磁気回転子と還流冷却管を備えた100mLフラスコに、二酸化セレン28mg、ピリジン100mgおよび42重量%テトラフルオロホウ酸水溶液210mgを仕込み、室温で10分間攪拌したところ、酸化触媒組成物を含む均一な溶液が得られた。その後、70重量%tert−ブチルヒドロパーオキシド水3.2gと3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル1.82gとtert−ブタノール10gを仕込み、内温60℃に昇温し、同温度で8時間攪拌反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、ヘキサン10gと水10gを加え、分液処理し、酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層と、有機層を得た。酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層をヘキサンでさらに2回抽出処理し、得られた有機層を、先に得た有機層と合一し、含酸素化合物を含有する有機層を得た。
<各成分の収率>
3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:33%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:25%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:5%、
原料が37%残存した。
実施例28
磁気回転子と還流冷却管を備えた100mLフラスコに、二酸化セレン20mg、ピリジン183mgおよび42重量%テトラフルオロホウ酸水溶液306mgを仕込み、室温で10分間攪拌したところ、酸化触媒組成物を含む均一な水溶液が得られた。その後、ゲラニルアセテート1.96g、ジクロロメタン35gおよび70重量%tert−ブチルヒドロパーオキシド水4.2gを仕込み、室温で24時間攪拌、反応させた。反応終了後、ヘキサン10gを加え、分液処理し、酸化触媒組成物を含む水層と、有機層を得た。有機層に含まれる含酸素化合物の収率は以下のとおりであった。
<各成分の収率>
E,E−2,6−ジメチル−8−アセトキシ−2,6−オクタジエン−1−オール:15%、
E,E−2−ホルミル−8−アセトキシ−6−メチル−2,6−オクタジエン:57%、
原料が1%回収された。
実施例29
磁気回転子と還流冷却管を備えた50mLフラスコに、二酸化セレン570mg、N−メチルイミダゾール2.6gおよび42重量%テトラフルオロホウ酸水溶液5.6gを仕込み、室温で10分間攪拌したところ、酸化触媒組成物を含む均一な水溶液が得られた。その後、30重量%過酸化水素水8.6gとシクロヘキサノン5.0gを仕込み、60℃で1時間攪拌反応させた。反応終了後、酢酸エチル10gを加え、分液処理し、酸化触媒組成物を含む水層と、有機層を得た。酸化触媒組成物を含む水層を酢酸エチルでさらに2回抽出処理し、得られた有機層を、先に得た有機層と合一し、シクロペンタンカルボン酸を含有する有機層を得た。収率は62%であった。同時に、酸化触媒組成物を含む水層を回収した。
実施例30
磁気回転子と還流冷却管を備えた100mLフラスコに、実施例29で回収された酸化触媒組成物を含む水層、30重量%過酸化水素水8.6gおよびシクロヘキサノン5.0gを仕込み、60℃で3時間攪拌反応させた。反応終了後、酢酸エチル10gを加え、分液処理し、酸化触媒組成物を含む水層と、有機層を得た。酸化触媒組成物を含む水層を酢酸エチルでさらに2回抽出処理し、得られた有機層を、先に得た有機層と混合し、シクロペンタンカルボン酸を含有する有機層を得た。収率は54%であった。原料が15%回収された。
実施例31
磁気回転子と還流冷却管を備えた50mLフラスコに、二酸化セレン110mg、N−メチルイミダゾール500mgおよび42重量%テトラフルオロホウ酸水溶液1.06gを仕込み、室温で10分間攪拌したところ、酸化触媒組成物を含む均一な水溶液が得られた。その後、30重量%過酸化水素水1.13gと1,4−シクロヘキサンジオン1.12gを仕込み、60℃で1時間攪拌反応させた。反応終了後、酢酸エチル10gを加え、分液処理し、酸化触媒組成物を含む水層と、有機層を得た。酸化触媒組成物を含む水層を酢酸エチルでさらに2回抽出処理し、得られた有機層を、先に得た有機層と合一し、3−オキソシクロペンタンカルボン酸を含有する有機層を得た。収率は、44%であった。
実施例32
磁気回転子と還流冷却管を備えた100mLフラスコに、二酸化セレン50mg、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート1000mg、ベンゾイミダゾール120mg、ベンゼンスルホン酸1水和物161mgを仕込み、室温で10分間攪拌したところ、酸化触媒組成物を含む均一な水溶液が得られた。その後、70重量%tert−ブチルヒドロパーオキシド水2.5gと3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル1.5gを仕込み、内温60℃に昇温し、同温度で6時間攪拌、反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、ヘキサン10gを加えたところ、2層に分離した。分液処理し、酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層と、有機層を得た。酸化触媒組成物とイオン性液体とを含む水層をヘキサンでさらに2回抽出処理し、得られた有機層を、先に得た有機層と合一し、含酸素化合物を含有する有機層を得た。同時に、セレン含有酸化触媒を含有するイオン性液体層を回収した。
<各成分の収率>
3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:27%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:44%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:9%。
原料が3%回収された。
比較例1
実施例19において、ベンゾイミダゾールを用いないこと以外は、実施例19と同様に実施した。
各成分の収率
3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:0%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:0%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:0%。
比較例2
実施例32において、ベンゼンスルホン酸1水和物を用いないこと以外は、実施例32と同様に実施した。
<各成分の収率>
3,3−ジメチル−2−(2−E−ヒドロキシメチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:27%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−ホルミル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:17%、
3,3−ジメチル−2−(2−E−カルボキシ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル:4%。
原料が50%回収された。

Claims (28)

  1. セレン化合物、含窒素芳香族化合物および酸の混合物を含む組成物の存在下に、酸化剤と有機化合物とを反応させることを特徴とする含酸素有機化合物の製造方法。
  2. 酸化剤が有機ヒドロパーオキシドであり、有機化合物が、炭素−炭素二重結合のα位の炭素原子上に2以上の水素原子を有するオレフィン類であり、含酸素有機化合物がα−ヒドロキシオレフィン類および/またはα−オキソオレフィン類である請求項1に記載の製造方法。
  3. 炭素−炭素二重結合のα位の炭素原子上に2以上の水素原子を有するオレフィン類が、式(1)
    Figure 2006056876
    (式中、Rはハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。R、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、カルボキシ基または水素原子を表す。ここで、RとR、RとR、RとRおよびRとRのうちの少なくとも一組が結合して、その結合炭素原子とともに環を形成していてもよい。)
    で示されるオレフィン類であり、α−ヒドロキシオレフィン類が、式(2)
    Figure 2006056876
    (式中、R、R、RおよびRは上記と同一の意味を表す。)
    で示されるアルコール類であり、α−オキソオレフィン類が、式(3)
    Figure 2006056876
    (式中、R、R、RおよびRは上記と同一の意味を表す。)
    で示されるケトン類である請求項2に記載の製造方法。
  4. 炭素−炭素二重結合のα位の炭素原子上に2以上の水素原子を有するオレフィン類が、式(4)
    Figure 2006056876
    (式中、R、RおよびRはそれぞれ上記と同一の意味を表す。ここで、RとRまたはRとRが結合して、その結合炭素原子とともに環を形成していてもよい。)
    で示されるオレフィン類であり、α−ヒドロキシオレフィン類が、式(5)
    Figure 2006056876
    (式中、R、RおよびRは上記と同一の意味を表す。)
    で示されるアルコール類であり、α−オキソオレフィン類が、式(6)
    Figure 2006056876
    (式中、R、RおよびRは上記と同一の意味を表す。)
    で示されるアルデヒド類および/または式(7)
    Figure 2006056876
    (式中、R、RおよびRは上記と同一の意味を表す。)
    で示されるカルボン酸類である請求項2に記載の製造方法。
  5. 有機ヒドロパーオキシドの使用量が、式(4)で示されるオレフィン類に対して2〜3.5モル倍の範囲であり、式(6)で示されるアルデヒド類が主成分である請求項4に記載の製造方法。
  6. 式(4)で示されるオレフィン類が、式(8)
    Figure 2006056876
    (式中、Rは置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基または水素原子を表す。)
    で示される菊酸類であり、式(5)で示されるアルコール類が、式(9)
    Figure 2006056876
    (式中、Rは上記と同一の意味を表す。)
    で示されるアルコール類であり、式(6)で示されるアルデヒド類が、式(10)
    Figure 2006056876
    (式中、Rは上記と同一の意味を表す。)
    で示されるアルデヒド類であり、式(7)で示されるカルボン酸類が、式(11)
    Figure 2006056876
    (式中、Rは上記と同一の意味を表す。)
    で示されるカルボン酸類である請求項4に記載の製造方法。
  7. 有機ヒドロパーオキシドの使用量が、式(8)で示されるオレフィン類に対して2〜3.5モル倍の範囲であり、式(10)で示されるアルデヒド類が主成分である請求項6に記載の製造方法。
  8. 酸化剤が過酸化水素であり、有機化合物がシクロアルカノン類であり、含酸素有機化合物がシクロアルカンカルボン酸類である請求項1に記載の製造方法。
  9. シクロアルカノン類が、式(12)
    Figure 2006056876
    (式中、Rはハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアルコキシ基を表し、mは0〜11の整数を表す。mが2以上の場合、Rは互いに同一であっても相異なっていてもよく、同一炭素原子上に2つのRを有していてもよい。また、任意の2つのRが結合して、その結合炭素原子とともに環構造を形成していてもよい。nは0〜8の整数を表し、m≦n+3である。)
    で示される化合物であり、シクロアルカンカルボン酸類が式(13)
    Figure 2006056876
    (式中、R,mおよびnは上記と同一の意味を表す。)
    で示される化合物である請求項8に記載の製造方法。
  10. 含窒素芳香族化合物が、置換もしくは無置換のピリジン、置換もしくは無置換のピラジン、置換もしくは無置換のピリミジン、置換もしくは無置換のピリダジン、置換もしくは無置換のキノリン、置換もしくは無置換のキナゾリン、置換もしくは無置換のキノキザリン、置換もしくは無置換のフタラジン、置換もしくは無置換のフェナジン、置換もしくは無置換のフェナンスロリン、置換もしくは無置換のイミダゾ−ル、置換もしくは無置換のチアゾールおよび置換もしくは無置換のオキサゾールからなる群から選ばれる少なくとも一つである請求項1に記載の製造方法。
  11. 含窒素化合物が、ピリジン、2−メチルピリジン、3−ブチルピリジン、コリジン、キノリン、1,10−フェナンスロリン、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールまたはベンゾイミダゾールである請求項1に記載の製造方法。
  12. セレン化合物が、二酸化セレン、亜セレン酸および亜セレン酸アルカリ金属塩からなる群から選ばれる少なくとも一つである請求項1に記載の製造方法。
  13. 酸が、テトラフルオロホウ酸、硝酸、リン酸、脂肪族スルホン酸、芳香族スルホン酸、脂肪族カルボン酸および芳香族カルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも一つである請求項1に記載の製造方法。
  14. セレン化合物の使用量が有機化合物に対して0.001〜0.95モル倍である請求項1に記載の製造方法。
  15. 含窒素芳香族化合物の使用量がセレン化合物に対して0.5〜10モル倍であり、酸の使用量が含窒素芳香族化合物に対して0.5〜2モル倍である請求項14に記載の製造方法。
  16. 水の存在下に反応を実施する請求項1に記載の製造方法。
  17. 含酸素有機化合物の製造後に、セレン化合物、含窒素芳香族化合物および酸の混合物を含む組成物を水層として回収し、該水層をリサイクル使用することを特徴とする請求項16に記載の製造方法。
  18. イオン性液体の存在下に反応を実施する請求項1に記載の製造方法。
  19. イオン性液体が、アルキル置換イミダゾリウム塩、アルキル置換ピリジニウム塩および第四級アンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも一つである請求項18に記載の製造方法。
  20. 含酸素有機化合物の製造後に、セレン化合物、含窒素芳香族化合物および酸の混合物を含む組成物をイオン性液体層として回収し、該イオン性液体層をリサイクル使用することを特徴とする請求項18に記載の製造方法。
  21. セレン化合物、含窒素芳香族化合物および酸の混合物を含む酸化触媒組成物。
  22. セレン化合物が、二酸化セレン、亜セレン酸および亜セレン酸アルカリ金属塩からなる群から選ばれる少なくとも一つである請求項21に記載の組成物。
  23. 含窒素芳香族化合物が、置換もしくは無置換のピリジン、置換もしくは無置換のピラジン、置換もしくは無置換のピリミジン、置換もしくは無置換のピリダジン、置換もしくは無置換のキノリン、置換もしくは無置換のキナゾリン、置換もしくは無置換のキノキザリン、置換もしくは無置換のフタラジン、置換もしくは無置換のフェナジン、置換もしくは無置換のフェナンスロリン、置換もしくは無置換のイミダゾ−ル、置換もしくは無置換のチアゾールおよび置換もしくは無置換のオキサゾールからなる群から選ばれる少なくとも一つである請求項21に記載の組成物。
  24. 酸が、テトラフルオロホウ酸、硝酸、リン酸、脂肪族スルホン酸、芳香族スルホン酸、脂肪族カルボン酸および芳香族カルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも一つである請求項21に記載の組成物。
  25. 含窒素芳香族化合物の使用量がセレン化合物に対して0.5〜10モル倍であり、酸の使用量が含窒素芳香族化合物に対して0.5〜2モル倍である請求項21に記載の組成物。
  26. セレン化合物、含窒素芳香族化合物、酸および水の混合物を含む酸化触媒組成物。
  27. セレン化合物、含窒素芳香族化合物、酸およびイオン性液体の混合物を含む酸化触媒組成物。
  28. イオン性液体が、アルキル置換イミダゾリウム塩、アルキル置換ピリジニウム塩および第四級アンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも一つである請求項27に記載の組成物。
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