JP2006056450A - 車両用内外気切換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 車両用空調装置にて、風量変化によって内外気切換ドアの制御に悪影響が生じることを抑制する。
【解決手段】 車両用空調装置は、排気ガスセンサ44a、44bと、これら排気ガスセンサ検出される汚染物質の濃度に応じて、内外気切換ドア12を制御する電子制御装置30を備える。例えば、電子制御装置30は、酸化性ガスの濃度を検出する排気ガスセンサ44bの感度A2が酸化性ガスの濃度の上昇に伴って高くなるようになっている場合には、電子制御装置30において、加速度が一定レベルB2未満であるときには、閾値α2を濃度判定に用いる。その一方、加速度が一定レベルB2以上であるときには、閾値α2よりも大きな閾値β2を濃度判定に用いる。そして、この濃度判定に応じて、内外気切換ドア12の制御を良好に行う。
【選択図】 図5

Description

本発明は、内気および外気を選択的に導入する車両用内外気切換装置に関して、特に、車両用空調装置に適用されて有効である。
従来、自動車用空調装置には、排気ガスの車内への侵入を防止し乗客のフィーリングを向上させるために、排気ガス中のHCやCO、NOxなどのガス成分(汚染物質)を排ガスセンサによって検知し、そのセンサ信号に基づいて、ガス成分の濃度が閾値を越えると内外気ドアを自動的に制御し、排気ガスの車室内への侵入を防止するいわゆるオート内外気切換機能をもったものがある。
このオート内外気切換機能としては、車速が所定以上のときには内外気切換えの閾値を変更し、すばやく外気から内気に切換える手段を設けたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平5−124423号公報
ところで、本発明者は、上述の排ガスセンサに着目して、オート内外気切換機能の性能の向上について検討したところ、次のようなことが分かった。
先ず、上述の特許文献1には、排ガスセンサについて詳細に記述されていないが、排気ガスセンサとしては、半導体素子であるSnO2を基材に用いている半導体ガスセンサが一般的に使用されている。
この半導体ガスセンサでは、400℃程度まで暖めた状態でHC、COなどいわゆる還元性ガスと反応するとその抵抗値が小さくなり、またNO2などいわゆる酸化性ガスと反応するとその抵抗値が上昇するという特性を持っている。よって、このような特性を基に排気ガスの有無を検知することができる。
しかしながら、本発明者の検討によれば、半導体ガスセンサに当たる風量が増加すると、実際の排気ガスの濃度に関わらず、抵抗値が増加してしまうことが分かった。例えば、車両が加速して半導体ガスセンサに当たる風量が増加すると、酸化性ガスの濃度が低い状態でも、抵抗値が上昇してしまう。これに伴い、酸化性ガスの濃度が低い状態であっても、その検出濃度が高いと誤判定してしまい、外気から内気に切換えてしまう場合がある。
本発明は、上記点に鑑み、風量変化によって内外気切換制御に悪影響が生じることを抑制するようにした車両用内外気切換装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
内気導入口(11b)および外気導入口(11a)を備える内外気切換ケース(11)と、
前記内気導入口および前記外気導入口を選択的に開放する切換ドア(12)と、
外気に含まれる汚染物質を検出するガスセンサ(44a、44b)と、
前記ガスセンサにより検出される汚染物質の濃度が閾値を跨いだか否かを判定する判定手段(S160、S190、S160a、S190a)と、
前記汚染物質の濃度が閾値を跨いだと前記判定手段が判定したときには、前記切換ドアを制御して前記内気導入口を開放して、かつ前記外気導入口を閉止するドア制御手段(12a、S40)と、を備える車両用内外気切換装置であって、
風速変化量を検出する風速変化検出手段(S120、S130)と、を備えており、
前記風速変化検出手段により検出される風速変化量に基づいて、前記判定手段で用いる閾値を変えるようになっていることを特徴とする。
したがって、風速変化によってガスセンサに悪影響を与えて、実際のガス濃度と無関係にガスセンサの検出濃度が変化する場合にも、風速変化量に基づいて判定手段で用いる閾値を変えるため、前記判定手段の判定を正常に行うことができる。このため、ドア制御手段の制御を良好に行うことができるので、風量変化によって内外気切換制御に悪影響が生じることを抑制することができる。
具体的には、ガスセンサは、風速増加によって、実際のガス濃度と無関係に、その感度が上昇するため、風速増加によりガス濃度が高いと誤って判定する可能性がある。
このため、請求項2に記載の発明の如く、前記ガスセンサとしては、その感度(図5中符号A2)が前記汚染物質の濃度の上昇に伴って高くなるようになっている場合には、
前記判定手段は、前記感度が閾値以上になったか否かを判定することにより、前記汚染物質の濃度が閾値を跨いだか否かを判定するものであり、
前記風速検出手段により検出される風速変化量が一定レベル(図5中符号B2)未満になったときには、前記閾値として第1の閾値(図5中符号α2)を前記判定手段で用いる一方、前記風速変化量が一定レベル以上になったときには、前記第1の閾値(図5中符号α2)よりも大きな閾値(図5中符号β2)を前記判定手段で用いることが必要になる。
また、これに代えて、請求項3に記載の発明の如く、前記ガスセンサとしては、その感度(図4中符号A1)が前記汚染物質の濃度の上昇に伴って低くなるようになっている場合には、
前記判定手段は、その感度が閾値未満になったか否かを判定することにより、前記汚染物質の濃度が閾値を跨いだか否かを判定するものであり、
前記風速変化量が一定レベル未満になったときには、前記閾値として第1の閾値(図4中符号α1)を前記判定手段で用いる一方、前記風速変化量が一定レベル以上になったときには、前記第1の閾値(図4中符号α1)よりも小さな閾値(図4中符号β1)を前記判定手段で用いることが必要になる。
具体的には、請求項4に記載の発明のように、前記風速変化検出手段は、
風速を測定する風速センサを備え、
前記風速センサにより測定される風速に基づき、前記風速変化量を算出するようにしてもよい。
さらに、請求項5に記載の発明のように、当該車両の加速度を検出する加速度検出手段(45、S120、S130)を備えており、
前記風速変化検出手段は、前記加速度検出手段の検出加速度を前記風速変化量として擬制するようにしてもよい。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
以下に、本発明に係る車両用内外気切換装置が適用される車両用空調装置の一実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。図1は本実施形態の全体システム構成を示すもので、図2は図1中のブロアユニット周辺の構成を示す図である。
車両用空調装置の空調室内ユニット100は、図示しない車室内計器盤の内側に搭載されるものであって、空調室内ユニット100の空気流れ最上流側にはブロアユニット200が配置されている。
ブロアユニット200は、ブロアケーシング本体11及び外気導入ダクト300を備えており、このブロアケーシング本体11は、外気導入口11a、および、内気導入口11bを備えている。
外気導入ダクト300は、車両のカウルパネルに設けられた外気取入口40とブロアケーシング本体11の内気導入口11bとの間を連通する。そして、外気導入ダクト300は、車両の外気取入口40を介して取り入れられる外気を外気導入口11aを介してブロアケーシング本体11内に導入する。
一方、ブロアケーシング本体11内には、内外気切替ドア12が回動自在に設置されている。内外気切替ドア12は、サーボモータを用いたアクチュエータ12aにより駆動されて、外気導入口11a及び内気導入口11bを選択的に開閉する。このことによって、各種の内外気吸入モータ(内気モード、半内気モード、外気モード)を設定する。
送風機13は、外気導入口11a及び内気導入口11bのうち一方からブロアケーシング本体11内に空気を吸い込んで空調室内ユニット100の下流側に送風するものである。そして、送風機13は、ブロワモータ14と、その回転軸に連結された遠心式送風ファン15を有している。送風ファン15の下流には蒸発器16とヒータコア17が設けられている。
ここで、ブロアケーシング本体11内で送風ファン15の空気上流側には、フィルタ70が設けられており、フィルタ70は、外気導入口11a及び内気導入口11bから導入された空気を浄化する。
蒸発器16は冷却用熱交換器であって、図示しない車両エンジンにより駆動される圧縮機等と結合されて冷凍サイクルを構成し、その内部の低圧冷媒が空気から吸熱して蒸発することにより空気を冷却する。また、ヒータコア17は加熱用熱交換器であって、図示しない車両エンジンからの温水(エンジン冷却水)が内部を循環し、この温水を熱源として空気を加熱する。
ヒータコア17の上流側には、吹出空気温度調整手段としてのエアミックスドア18が回動自在に設けられ、エアミックスドア18の開度はサーボモータを用いたアクチュエータ18aにより駆動されて調節される。これによって、ヒータコア17を通過する空気(温風)とヒータコア17をバイパスする空気(冷風)の風量割合が調整され、車室内に吹き出す空気の温度が調整される。
空調室内ユニット100の最下流には、デフロスタ吹出口19を開閉するデフロスタドア20、フェイス吹出口21を開閉するフェイスドア22、およびフット吹出口23を開閉するフットドア24が設けられている。
これら各ドア20、22、24は吹出モード切替手段を構成するもので、サーボモータを用いたアクチュエータ25により駆動されて各吹出口19、21、23を開閉する。これによって、各種の吹出モード(フェイスモード、バイレベルモード、フットモード、フットデフモード、デフロスタモード等)が設定される。そして、各吹出モードに応じて開口した吹出口から、温度調整された空気が車室内へ吹き出される。
また、電子制御装置30は、図1に示すように、マイクロコンピュータ31を有し、送風量は、マイクロコンピュータ31からの出力信号に基づいて駆動回路32を介してブロワモータ14の印加電圧(ブロワ電圧)を調整してモータ回転数を調整することにより制御されるものである。なお、その他のアクチュエータ12a、18a、25も、マイクロコンピュータ31からの出力信号に基づいて駆動回路32にて制御される。
マイクロコンピュータ31には、車室内計器盤に設置された空調操作パネル33から操作信号が入力される。この空調操作パネル33には、空調装置の自動制御状態を設定するAUTOスイッチ34、内外気吸入モードを手動で切替設定するための内外気切替スイッチ35、吹出モードを手動で切替設定するための吹出モード切替スイッチ36、ファン15の送風量を手動で切替設定するための送風量切替スイッチ37、車室内温度を乗員の好みの温度に設定するための温度設定スイッチ38等が設けられている。
また、マイクロコンピュータ31には、車室内の空調状態に影響を及ぼす環境条件を検出する各種センサからの信号が入力される。具体的には、内気温度(車室内空気温度)TRを検出する内気センサ39、外気温度(車室外空気温度)TAMを検出する外気センサ40、車室内に入射する日射量TSを検出する日射センサ41、蒸発器吹出空気温度TEを検出する蒸発器温度センサ42、ヒータコア17を循環する温水温度(エンジン水温)TWを検出する水温センサ43等からの各信号がマイクロコンピュータ31に入力される。さらに、マイクロコンピュータ31には、車速を検出する車速センサ45から出力される車速信号、および外気に含まれる汚染物質の濃度を検出する排気ガスセンサ44a、44bから出力される検出信号が入力される。
次に、排気ガスセンサ44a、44bについて具体的に説明すると、排気ガスセンサ44a、44bは、半導体素子であるSnO2を基材に用いているセンサエレメントを備えている。
先ず、排気ガスセンサ44aのセンサエレメントは、外気に含まれる汚染物質のうちHC、CO等の還元性ガスに反応すると抵抗値が低くなるものであり、当該センサエレメントおよび基準抵抗素子R1は、電子制御装置30の正極端子V+およびグランドの間において直列接続されている。このため、当該センサエレメントおよび基準抵抗素子R1の共通接続端子からは、当該センサエレメントの抵抗値(すなわち、分圧値)を示す検出信号(以下、HC信号という)を出力する。
一方、排気ガスセンサ44bのセンサエレメントは、外気に含まれる汚染物質のうちNOx等の酸化性ガスに反応すると抵抗値が高くなるものであり、当該センサエレメントおよび基準抵抗素子R2は、電子制御装置30の正極端子V+およびグランドの間において直列接続されている。このため、当該センサエレメントおよび基準抵抗素子R2の共通接続端子からは、当該センサエレメントの抵抗値(すなわち、分圧値)を示す検出信号(以下、NOx信号という)を出力する。
ここで、排気ガスセンサ44a、44bには、それぞれのセンサエレメントを約400℃に暖める電気式ヒータが設けられている。これは、排気ガスセンサ44a、44bのそれぞれのセンサエレメントを還元性ガス、酸化性ガスなどに反応させる状態に保つためである。また、電子制御装置(30)には、車載バッテリの出力電圧を一定電圧に調整してその一定電圧を正極端子V+から出力するレギュレータ回路(すなわち、定電圧回路)が設けられている。
次に、本実施形態の作動について図2ないし図10を用いて説明する。図2はマイクロコンピュータ31により実行される本実施形態の空調制御のフローチャートである。
先ず、マイクロコンピュータ31は、車両エンジンのイグニッションスィッチオンとともに図2の制御をスタートする。まず、ステップS1にて各種変換、フラグ等の初期値を設定する。
次のステップS2では空調操作パネル33の各種スィッチ34〜38の操作信号を読み込む。次のステップS3では各種センサ39〜43からのセンサ検出信号(環境条件信号)を読み込む。
次のステップS4では、ステップS110、S120で読み込んだ設定温度TSETおよび環境条件信号等に基づいて車室内に吹き出す空気の目標吹出温度TAOを下記数式1により算出する。ここで、TAOは環境条件(車両熱負荷条件)の変化にかかわらず車室内を設定温度TSETに維持するために必要な吹出空気温度である。
TAO=KSET×TSET−KR×TR−KAM×TAM−KS×TS+C……(数式1)
但し、KSET、KR、KAM、KSは係数、Cは定数であり、TSET、TR、TAM、TSはそれぞれ前述した設定温度、内気温度、外気温度、日射量である。
次のステップS5では、送風量を決めるブロワ電圧(送風機モータ14への印加電圧)を上記TAOに基づいて決定する。ここで、ブロワ電圧は周知のように上記TAOの低温側および高温側で最大(Hi)となり、上記TAOの中間温度域で最小(Lo)となるように決定され、上記TAOの変化に連動して多段階に変化する。
次のステップS6ではTAOに基づいて吹出モードドア20、22、24の開閉による吹出モードを決定する。すなわち、TAOが低温側から高温側へと変化するにつれて、フェイスモード(FACE)→バイレベルモード(B/L)→フットモード(FOOT)と切替設定する。
次のステップS7では、TAOに対するエアミックスドア18の開度SWを下記数式2に基づいて算出する。
SW={(TAO−TE)/(TW−TE)}×100(%)…(数式2)
ここで、TEは蒸発器吹出空気温度で、TWはヒータコア17の温水温度である。
次のステップS8では、TAO、排気ガスセンサ44a、44bの検出信号に基づいて内外気切替ドア12による内外気吸込モードを決定する。この内外気吸込モードを決定処理については、後述する。
次のステップS190では、上記各ステップS150〜S180で決定された各種制御信号を駆動回路32を介して送風機モータ14、および各アクチュエータ12a、18a、25に加えて、ブロワモータ14の回転数および各アクチュエータ12a、18a、25の作動を制御する。
次のステップS200では、制御周期であるt秒経過したか判定し、t秒経過後にステップS110に戻り、上記処理を繰り返す。
次に、内外気吸込モードを決定処理(S8)の詳細について図3〜図5を参照して説明する。
図3は、図2中のステップS8の処理の詳細を示すフローチャートであり、図4は、図3中ステップS10の処理の詳細を示すフローチャートであり、図5は、図3中ステップS20の処理の詳細を示すフローチャートである。
先ず、図3中のステップS10の処理について説明すると、排気ガスセンサ44aからHC信号を取り込む(ステップS100)。これに伴い、HC信号に基づいて排気ガスセンサ44aのセンサエレメントの抵抗値Raを求める。さらに、この抵抗値Raと当該センサエレメントの基準抵抗値Rxaとの抵抗比を感度A1として(A1=Ra/Rxa)演算する(ステップS110)。
ここで、当該センサエレメントの基準抵抗値Rxaとしては、次のように求められる。
すなわち、一定期間Tの間において、当該センサエレメントの抵抗値を測定してその測定結果のうち、最大抵抗値が基準抵抗値Rxaとして選ばれる。この最大抵抗値は、一定期間の間で、還元性ガスの濃度が最も低い状態での抵抗値であり、その抵抗値が一定期間毎に更新されるものである。
次に、車速センサ45から出力される車速信号を取り込み(ステップS120)、この車速信号に基づいて、車両の加速度を算出する(ステップS130)。ここで、加速度が基準加速度B1よりも高いとき、ステップ140においてYESと判定する。
ここで、当該加速度としては風量変化量として擬制されており、ステップ140においてYESと判定される場合には、風速変化量(風量増加量)が一定レベル以上であると判定されることを意味する。
この場合、後述する還元性ガスの濃度の判定に用いる閾値をβ1とする(ステップS150)。
次に、排気ガスセンサ44aの感度A1と閾値β1とを比較して、感度A1の方が閾値β1に比べて低くなったとき、ステップ160でYESと判定して、還元性ガスの濃度が基準濃度を超えているとする。すなわち、汚染物質としての還元性ガスの濃度が高いとする(ステップ170)。
一方、感度A1の方が閾値β1に比べて高いと判定されたとき、ステップ160でNOと判定して、還元性ガスの濃度が基準濃度未満であるとする。すなわち、汚染物質としての還元性ガスの濃度が低いとする(ステップ200)。
また、ステップS140において、加速度が基準加速度B1よりも低いとき、ステップ140においてNOと判定する。この場合、後述する還元性ガスの濃度の判定に用いる閾値をα1とする(ステップS180)。この閾値α1は、上述の閾値β1に比べて低い値が用いられる(α1>β1)。
次に、排気ガスセンサ44aの感度A1と閾値α1とを比較して、感度A1の方が閾値α1に比べて低くなったとき、ステップ190でYESと判定して、還元性ガスの濃度が基準濃度を超えていると判定する。すなわち、汚染物質としての還元性ガスの濃度が高いとする(ステップ170)。
一方、感度A1の方が閾値α1に比べて高いと判定されたとき、ステップ190でNOと判定して、還元性ガスの濃度が基準濃度未満であると判定する。すなわち、汚染物質としての還元性ガスの濃度が低いとする(ステップ200)。
次に、図3中のステップS20のNOx判定処理に移行して、排気ガスセンサ44bからNOx信号を取り込む(図5中のステップS100a)。これに伴い、NOx信号に基づいて排気ガスセンサ44bのセンサエレメントの抵抗値Rbを求める。さらに、この抵抗値Rbと当該センサエレメントの基準抵抗値Rxbとの抵抗比を感度A2として(A2=Rb/Rxb)演算する(ステップS110a)。
ここで、当該センサエレメントの基準抵抗値Rxbとしては、次のように求められる。
すなわち、一定期間Tの間において、当該センサエレメントの抵抗値を測定してその測定結果のうち、最小抵抗値が基準抵抗値Rxbとして選ばれる。この最大抵抗値は、一定期間の間で、酸化性ガスの濃度が最も低い状態での抵抗値であり、その抵抗値が一定期間毎に更新されるものである。
次に、車速センサ45から出力される車速信号を取り込み(ステップS120)、この取り込んだ車速信号に基づいて、車両の加速度を算出する(ステップS130)。
ここで、加速度が基準加速度B2よりも高いとき、ステップ140aにおいてYESと判定する。
ここで、当該加速度としては風量変化量として擬制されており、ステップ140aにおいてYESと判定される場合には、風速変化量(風量増加量)が一定レベル以上であると判定されることを意味する。
この場合、後述する酸化性ガスの濃度の判定に用いる閾値をβ2とする(ステップS150a)。
次に、排気ガスセンサ44bの感度A2と閾値β2とを比較して、感度A2の方が閾値β2に比べて高くなったときには、ステップ160aでYESと判定して、酸化性ガスの濃度が基準濃度を超えていると判定する。すなわち、酸化性ガスの濃度が高いと判定する(ステップS170)。
一方、感度A2の方が閾値β2に比べて高いと判定されたとき、ステップ160aでNOと判定して、酸化性ガスの濃度が基準濃度未満であると判定する。すなわち、酸化性ガスの濃度が低いと判定する(ステップ200)。
また、ステップS140aにおいて、加速度が基準加速度B1よりも低いとき、NOと判定して、後述する酸化性ガスの濃度の判定に用いる閾値をα2とする(ステップS180a)。ここで、閾値α2は、上述の閾値β2に比べて低い値が用いられる(β2>α2)。
次に、排気ガスセンサ44bの感度A2と閾値α2とを比較して、感度A2の方が閾値α2に比べて高くなったときには、ステップ190aでYESと判定して、酸化性ガスの濃度が基準濃度を超えていると判定する。すなわち、酸化性ガスの濃度が高いと判定する(ステップS170)。
一方、感度A2の方が閾値α2に比べて低いと判定されたとき、ステップS190でNOと判定して、酸化性ガスの濃度が基準濃度未満であると判定する。すなわち、酸化性ガスの濃度が低いと判定する(ステップ200)。
次に、図3のステップS30に戻り、上述のステップS10、S20のいずれかの判定処理で汚染物質の濃度が基準濃度を超えていると判定されたときには、すなわち、ガス濃度が高いと判定されたときには、TAOに関係なく、内気モードを設定する(ステップS40)。
すなわち、外気中の汚染物質の濃度が一定値以上であるときには、外気モード及び半内気モードを実施するのを禁止することになる。
また、上述のステップS10、S20のいずれかの判定処理で汚染物質の濃度が基準濃度未満であると判定されたときには、すなわち、ガス濃度が低いと判定されたときには、TAOに基づき内外気吸込モードを決定する(ステップS182)。すなわち、図6に示すように、TAOが低温側から高温側へと変化するにつれて、内気モード→半内気モード→外気モードと切替設定する。また、半内気モードを廃止して内気モードから直接、外気モードへ切り替えるようにしてもよい。
次に、排気ガスセンサ44bから出力されるNOx信号に基づいて内外気吸入モータが決定される具体例について図7〜図10を参照して説明する。
先ず、車両が最初は一般道を走行しており、有る時刻t1になると高速道路を走行する場合、高速道路に進入するときには、加速度が高くなり閾値B2よりも高くなる。この場合、排気ガスセンサ44bに当たる風量も変化して、酸化性ガスの濃度に関わらず、排気ガスセンサ44bの抵抗値も高くなるものの、NOx信号の閾値としても、加速度が閾値B2未満の場合に用いる閾値α2比べて、高い値β2(>α2)を用いる(図9参照)。
そして、加速度が閾値B2より高いときには、排気ガスセンサ44bの感度が閾値β2を越えると、酸化性ガスの濃度が高い判定し、加速度が閾値B2より低いときには、排気ガスセンサ44bの感度が閾値α2を越えると、酸化性ガスの濃度が高い判定する。このように判定に用いる閾値を切り替えて、濃度判定を行う。そして、この判定結果に基づいて、内外気切替ドア12の切換制御を行うことになる。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。すなわち、本実施形態の車両用空調装置は、内気導入口11bおよび外気導入口11aを備えるブロアケーシング本体11と、内気導入口11aおよび外気導入口11bを選択的に開放する内外気切換ドア12と、外気に含まれる汚染物質(還元性ガス、酸化性ガス)を検出する排気ガスセンサ44a、44bと、排気ガスセンサ44a、44bにより検出される汚染物質の濃度が閾値を跨いだか否かを判定し、汚染物質の濃度が閾値を跨いだと前記判定手段が判定したときには、内外気切換ドア12を制御して内気導入口11aを開放して、かつ外気導入口11bを閉止する電子制御装置30とを備える。
ここで、電子制御装置30は、車速センサ45から出力される車速信号を取り込み、この車速信号に基づいて車両の加速度を算出する。そして、電子制御装置30は、当該車両の加速度を風量変化として擬制して、この風量変化に応じて、汚染物質の濃度判定に用いる閾値を切り替える。
例えば、酸化性ガスの濃度を検出する排気ガスセンサ44bの如く、その感度A2(図5中参照)が酸化性ガスの濃度の上昇に伴って高くなるようになっている場合には、電子制御装置30において、加速度が一定レベルB2(図5参照)未満であるときには、閾値α2(図5参照)を濃度判定に用いる。その一方、加速度が一定レベルB2以上であるときには、閾値α2よりも大きな閾値β2(図5参照)を濃度判定に用いる。
また、還元性ガスの濃度を検出する排気ガスセンサ44aの如く、その感度A1(図4中参照)が酸化性ガスの濃度の上昇に伴って低くなるようになっている場合には、電子制御装置30において、加速度が一定レベルB1(図4参照)未満であるときには、閾値α1(図4参照)を濃度判定に用いる。その一方、加速度が一定レベルB1以上であるときには、閾値α1よりも大きな閾値β1(図4参照)を濃度判定に用いる。
以上のように、加速度、すなわち風量変化に応じて濃度判定に用いる閾値を切り替えるため、風速増加によって実際のガス濃度と無関係に排気ガスセンサ44a、44bの感度が上昇しても、ガスの濃度判定を正常に行うことができ、内外気切換ドア12の制御を良好に行うことができる。よって、風量変化によって、内外気切換ドア12の制御に悪影響が生じることを抑制することができる。
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、車両の加速度を風速変化量として擬制して、この加速度を用いて、ガス濃度判定に用いる閾値を決定するようにした例について説明したが、これに代えて、次のようにしてもよい。すなわち、風速を測定する風速センサを排気ガスセンサ44a、44bに一体化して、この風速センサにより測定される風速に基づき、風速変化量を算出するようにしてもよい。
以下、上記実施形態と特許請求項の範囲の構成との対応関係について説明すると、車両用内外気切換装置がブロアユニット200に相当し、ブロアケーシング本体11が内外気切換ケースに相当し、内外気切替ドア12が切換ドアに相当し、排気ガスセンサ44a、44bがガスセンサに相当し、ステップS160およびステップS190の処理が「ガスセンサにより検出される汚染物質の濃度が閾値を跨いだか否かを判定する判定手段」に相当し、ステップS160aおよびステップS190aの処理が「ガスセンサにより検出される汚染物質の濃度が閾値を跨いだか否かを判定する判定手段」に相当する。アクチュエータ12aおよびステップS40の処理がドア制御手段に相当し、ステップS120およびステップS130の処理が風速変化検出手段に相当する。
本発明の一実施形態に係る車両用空調装置の全体システム構成を示す模式図である。 図1の電子制御装置の空調制御処理の概略を示すフローチャートである。 図2中の制御処理の一部の詳細を示すフローチャートである。 図3中の制御処理の一部の詳細を示すフローチャートである。 図3中の制御処理の一部の詳細を示すフローチャートである。 図1の電子制御装置の内外気切換処理を説明する為の図である。 上述の一実施形態に係る車両用空調装置の作用効果を説明する為の図である。 上述の一実施形態に係る車両用空調装置の作用効果を説明する為の図である。 上述の一実施形態に係る車両用空調装置の作用効果を説明する為の図である。
符号の説明
12…内外気切換ドア、44a、44b…排気ガスセンサ、
30…電子制御装置、α2、β2…閾値。

Claims (5)

  1. 内気導入口(11b)および外気導入口(11a)を備える内外気切換ケース(11)と、
    前記内気導入口および前記外気導入口を選択的に開放する切換ドア(12)と、
    外気に含まれる汚染物質を検出するガスセンサ(44a、44b)と、
    前記ガスセンサにより検出される汚染物質の濃度が閾値を跨いだか否かを判定する判定手段(S160、S190、S160a、S190a)と、
    前記汚染物質の濃度が閾値を跨いだと前記判定手段が判定したときには、前記切換ドアを制御して前記内気導入口を開放して、かつ前記外気導入口を閉止するドア制御手段(12a、S40)と、を備える車両用内外気切換装置であって、
    風速変化量を検出する風速変化検出手段(S120、S130)と、を備えており、
    前記風速変化検出手段により検出される風速変化量に基づいて、前記判定手段で用いる閾値を変えるようになっていることを特徴とする車両用内外気切換装置。
  2. 前記ガスセンサは、その感度が前記汚染物質の濃度の上昇に伴って高くなるようになっており、
    前記判定手段は、前記感度が閾値以上になったか否かを判定することにより、前記汚染物質の濃度が閾値を跨いだか否かを判定するものであり、
    前記風速検出手段により検出される風速変化量が一定レベル未満になったときには、前記閾値として第1の閾値を前記判定手段で用いる一方、前記風速変化量が一定レベル以上になったときには、前記第1の閾値よりも大きな閾値を前記判定手段で用いることを特徴とする請求項1に記載の車両用内外気切換装置。
  3. 前記ガスセンサは、その感度が前記汚染物質の濃度の上昇に伴って低くなるようになっており、
    前記判定手段は、その感度が閾値未満になったか否かを判定することにより、前記汚染物質の濃度が閾値を跨いだか否かを判定するものであり、
    前記風速変化量が一定レベル未満になったときには、前記閾値として第1の閾値を前記判定手段で用いる一方、前記風速変化量が一定レベル以上になったときには、前記第1の閾値よりも小さな閾値を前記判定手段で用いることを特徴とする請求項1に記載の車両用内外気切換装置。
  4. 前記風速変化検出手段は、
    風速を測定する風速センサを備え、
    前記風速センサにより測定される風速に基づき、前記風速変化量を算出するようになっていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用内外気切換装置。
  5. 当該車両の加速度を検出する加速度検出手段(45、S120、S130)を備えており、
    前記風速変化検出手段は、前記加速度検出手段の検出加速度を前記風速変化量として擬制するようになっていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用内外気切換装置。
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