JP4048816B2 - 車両用空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車室内の空調状態を自動制御するために内気センサを備える車両用空調装置において、内気センサの検出温度の補正に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用空調装置においては、一般に、空調操作パネルを車両計器盤(インストルパネル)の幅方向中央部付近に搭載し、そして、空調操作パネルの裏面側に、内気温(車室内温度)を検出する内気センサを配置している。これにより、内気センサを空調操作パネルと一体的に取り扱って車室内へ簡単に搭載できる利点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、その反面、空調操作パネルの裏面側は車室内乗員着座部周辺の空気との循環が起こりにくい場所であるため、内気センサの検出温度が実際の内気温の変化に対して追従しない「追従遅れ」の問題が発生しやすい。このため、従来では、内気センサ周囲に内気(車室内空気)を強制的に吸引するアスピレータを設けている。
【0004】
しかし、冬期の暖房時には空調吹出モードとしてフットモードが選択され、空調室内ユニット部から温風が乗員足元部に向かって吹き出されるので、この温風吹出部位と内気センサの配置部位は大きく離れている。そのため、アスピレータを設けても、冬期の暖房始動直後のウォームアップ時のように、空調室内ユニット部からの温風吹出により内気温が上昇する過渡期においては、温風吹出により昇温した内気が内気センサ配置部位に十分流れ込まないので、内気センサの検出温度の追従遅れが発生して空調フィーリングを悪化させる。
【0005】
この従来技術の問題点を図8により具体的に説明すると、図8の横軸は暖房始動後における経過時間であり、図8(a)は内気センサの検出温度と実際の内気温(室温)の変化を示す。内気センサの検出温度は上記理由にて実際の代表的内気温の上昇に対して図中の斜線部に示す追従遅れを発生する。すなわち、内気センサは実際の平均的内気温より低い温度を検出する。
【0006】
ところで、車室内空調の自動制御を行う空調用制御装置においては、内気センサの検出温度等に基づいて車室内への吹出空気の目標吹出温度TAOを算出するのであるが、内気センサの検出温度が実際の平均的内気温より低いので、空調用制御装置は、目標吹出温度TAOとして実際に必要な温度より高めの温度を算出する。その結果、図8(b)に示すように、温度調整用のエアミックスドア開度が最大(100%)となって、最大暖房状態の維持時間が長くなる。これに伴って、送風機風量を決定するブロワ電圧レベルが最大値となる時間、すなわち、風量が最大となる時間も長くなる。
【0007】
以上の結果、内気温が図8のa部に示すように過剰に上がりすぎ、乗員が顔部に火照りを感じて、空調フィーリングを悪化させる。また、内気温が図8のa部に示すように過剰に上昇した後に、内気センサの検出温度の上昇に基づいて空調用制御装置は上がりすぎた内気温を設定温度に戻そうとして、目標吹出温度を引き下げるので、内気温のオーバシュートbが起こる。
【0008】
本発明は上記点に鑑みて、暖房始動直後のウォームアップ時における、内気センサの追従遅れに起因する空調フィーリングの悪化を抑制することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、車室内の空調状態に関係する環境条件の情報を検出するセンサ(39〜43)の検出信号、および乗員により操作され、車室内の空調状態を設定する操作手段(34〜38)の操作信号に基づいて車室内の空調状態を自動制御する車両用空調装置において、
センサ(39〜43)として車室内の内気温を検出する内気センサ(39)および外気温を検出する外気センサ(40)を少なくとも備え、
車室内の空調状態を自動制御する制御手段(30)は内気センサ(39)の検出温度を補正する内気温補正手段(S130)を有し、内気温補正手段(S130)により補正した補正内気温を用いて空調状態の自動制御を行うようになっており、
内気温補正手段(S130)は、暖房始動直後のウォームアップ時に、内気センサ(39)の検出温度(TR)に対応して設定される適正内気温(TR’)であって、基準外気温における内気センサ(39)の検出温度(TR)に追従遅れ分の温度を加えることにより設定される適正内気温(TR’)と、内気センサ(39)の検出温度(TR)との差(TR’−TR)を求め、
内気温補正手段(S130)は、外気センサ(40)により検出される外気温が基準外気温よりも高いときは補正係数(K)により前記差(TR’−TR)を減少側に補正し、外気温が基準外気温よりも低いときは補正係数(K)により前記差(TR’−TR)を増大側に補正し、
内気温補正手段(S130)は、前記差(TR’−TR)の補正した後の値と内気センサ(39)の検出温度(TR)との和を補正内気温(TRa)とすることにより、暖房始動直後のウォームアップ時に、内気センサ(39)の検出温度(TR)を高くする方向に補正することを特徴とする。
【0010】
これによると、暖房始動直後のウォームアップ時に内気温の上昇に対して、内気センサ(39)の検出温度に追従遅れがあっても、この追従遅れを解消するように内気センサ検出温度を補正し、この補正内気温に基づいて車室内の空調状態を自動制御できる。その結果、暖房始動直後のウォームアップ時における、内気センサの追従遅れに起因する乗員顔部の火照りといった空調フィーリングの悪化を抑制できる。
【0012】
本発明者の実験検討によると、内気センサ(39)の検出温度の追従遅れは後述の図6に示すように外気温が低下するほど拡大するという相関がある。そこで、この相関関係に基づいて請求項1記載の発明では、外気温が基準外気温よりも高いときは補正係数(K)により前記差(TR’−TR)を減少側に補正し、外気温が基準外気温よりも低いときは補正係数(K)により前記差(TR’−TR)を増大側に補正することにより、内気センサ検出温度の補正量を外気温が低下するほど大きくすることができ、内気センサの追従遅れをより適切に解消できる。
請求項2記載の発明のように、請求項1に記載の車両用空調装置において、補正係数(K)は、具体的には、外気温が基準外気温であるときに1となり、
外気温が基準外気温よりも高いときは補正係数(K)が1よりも小さい値となり、かつ、外気温の上昇につれて補正係数(K)がより小さい値となり、
外気温が基準外気温よりも低いときは補正係数(K)が1よりも大きい値となり、かつ、外気温の低下につれて補正係数(K)がより大きい値となるように決定すればよい。
【0013】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2において、制御手段(30)は、少なくとも、補正内気温(TRa)および操作手段(34〜38)からの設定温度信号に基づいて車室内吹出空気の目標吹出空気温度を算出し、目標吹出空気温度に基づいて車室内吹出空気の温度調整手段(18)の作動および車室内吹出空気の風量を制御することを特徴とする。
【0014】
これにより、暖房始動直後のウォームアップ時に車室内吹出空気の目標吹出空気温度を補正内気温に基づいて適切に算出して、ウォームアップ時における温度調整手段(18)の作動および車室内吹出空気の風量を適切に制御することができる。
【0015】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本発明の一実施形態を図に基づいて説明する。図1は本実施形態の全体システム構成を示すもので、車両用空調装置の空調室内ユニット10は、図示しない車両計器盤の内側に搭載されるものであって、空調室内ユニット10の空気流れ最上流側には外気導入口11aと内気導入口11bを有する内外気切替箱11が配置され、この内外気切替箱11内に内外気切替ドア12が回動自在に設置されている。
【0017】
この内外気切替ドア12はサーボモータを用いたアクチュエータ12aにより駆動されて、空調ユニット10に導入する空気を内気と外気に切り替えたり、あるいは内気と外気の吸入割合を調整する。
【0018】
送風機13は内外気切替箱11内に空気を吸い込んで空調ユニット10の下流側に送風するものであり、ブロワモータ14と、その回転軸に連結された遠心式送風ファン15を有している。送風ファン15の下流には蒸発器16とヒータコア17が設けられている。
【0019】
蒸発器16は冷却用熱交換器であって、図示しない車両エンジンにより駆動される圧縮機等と結合されて冷凍サイクルを構成し、その内部の低圧冷媒が空気から吸熱して蒸発することにより空気を冷却する。また、ヒータコア17は加熱用熱交換器であって、図示しない車両エンジンからの温水(エンジン冷却水)が内部を循環し、この温水を熱源として空気を加熱する。
【0020】
ヒータコア17の上流側には、吹出空気温度調整手段としてのエアミックスドア18が回動自在に設けられ、エアミックスドア18の開度はサーボモータを用いたアクチュエータ18aにより駆動されて調節される。これによって、ヒータコア17を通過する空気(温風)とヒータコア17をバイパスする空気(冷風)の風量割合が調整され、車室内に吹き出す空気の温度が調整される。
【0021】
空調ユニット10の最下流には、デフロスタ(DEF)吹出口19を開閉するデフロスタドア20、フェイス(FACE)吹出口21を開閉するフェイスドア22、およびフット(FOOT)吹出口23を開閉するフットドア24が設けられている。
【0022】
これら各ドア20、22、24は吹出モード切替手段を構成するもので、サーボモータを用いたアクチュエータ25により駆動されて各吹出口19、21、23を開閉する。これによって、各種の吹出モード(フェイスモード、バイレベルモード、フットモード、フットデフモード、デフロスタモード等)が設定される。そして、各吹出モードに応じて開口した吹出口から、温度調整された空気が車室内へ吹き出される。
【0023】
空調制御装置30は本発明の制御手段であり、マイクロコンピュータ31を有し、送風量はマイクロコンピュータ31からの出力信号に基づいて駆動回路32を介してブロワモータ14の印加電圧(ブロワ電圧)を調整してモータ回転数を調整することにより制御される。なお、その他のアクチュエータ12a、18a、25も、マイクロコンピュータ31からの出力信号に基づいて駆動回路32にて制御される。
【0024】
マイクロコンピュータ31には、車室内計器盤に設置された空調操作パネル33から操作信号が入力される。この空調操作パネル33には、空調装置の自動制御状態を設定するAUTOスイッチ34、内外気吸入モードを手動で切替設定するための内外気切替スイッチ35、吹出モードを手動で切替設定するための吹出モード切替スイッチ36、ファン15の送風量を手動で切替設定するための送風量切替スイッチ37、車室内温度を乗員の好みの温度に設定するための温度設定スイッチ38等が設けられている。
【0025】
また、マイクロコンピュータ31には、車室内の空調状態に影響を及ぼす環境条件を検出する各種センサからの信号が入力される。具体的には、内気温度(車室内空気温度)TRを検出する内気センサ39、外気温度(車室外空気温度)TAMを検出する外気センサ40、車室内に入射する日射量TSを検出する日射センサ41、蒸発器吹出空気温度TEを検出する蒸発器温度センサ42、ヒータコア17を循環する温水温度(エンジン水温)TWを検出する水温センサ43等からの各信号がマイクロコンピュータ31に入力される。
【0026】
図2は空調操作パネル33の具体例を示すものであり、空調操作パネル33は横長の箱状の形状に形成され、その前面に、上記の各種操作スイッチ34、35、36等の操作ノブが配置されている。空調操作パネル33の前面にスリット状の内気吸い込み口44を形成し、また、箱状の空調操作パネル33の裏面にアスピレータホース45の一端部を内気吸い込み口44と対向するように配置して、アスピレータホース45の一端部を空調操作パネル33の内部空間に連通させている。そして、箱状の空調操作パネル33の内部において、アスピレータホース45の一端部と内気吸い込み口44との間に内気温センサ39を配置している。
【0027】
アスピレータホース45の他端部はベンチュリー機構による負圧発生部に接続してある。この負圧発生部は、空調室内ユニット10内の空気流れの一部が導入されるベンチュリー機構を有し、このベンチュリー機構の絞りにより負圧を発生する。従って、内気はスリット状の内気吸い込み口44から空調操作パネル33内部の内気温センサ39配置部位の周辺に吸入され、更に、内気はアスピレータホース45を通過してベンチュリー機構による負圧発生部に吸い込まれる。
【0028】
図3はマイクロコンピュータ31により実行される本実施形態の空調制御のフローチャートであり、車両エンジンのイグニッションスィッチオンとともに図3の制御をスタートする。まず、ステップS100にて各種変換、フラグ等の初期値を設定する。次のステップS110では空調操作パネル33の各種スィッチ34〜38の操作信号を読み込む。次のステップS120では各種センサ39〜43からのセンサ検出信号(環境条件信号)を読み込む。
【0029】
次のステップS130では、ステップS120で読み込まれる内気センサ39の検出温度(生値)TRに対して所定の補正処理を行って、補正内気温TRaを算出する。この補正内気温TRaは、暖房始動直後のウォームアップ時における内気センサ39の検出温度の追従遅れを解消するための補正量を内気センサ39の検出温度に加えることにより算出できる。具体的には、補正内気温TRaは下記数式1により算出される。
【0030】
【数1】
TRa=(TR’−TR)×K+TR
以下、数式1による補正内気温TRaの算出方法の考え方を具体的に説明すると、数式1において、TR’は、図4(a)に示すように、内気センサ39の検出温度TRに対応して設定される適正内気温であって、基準外気温における内気センサ39の検出温度TRに追従遅れ分の温度を加えることによりTR’は算出できる。
【0031】
本例では、基準外気温を0℃とし、この基準外気温=0℃における内気センサ39の検出温度TRに対応する適正内気温TR’を実験等により予め設定し、この適正内気温TR’を図4(b)のように検出温度TRに対応して一義的に決定するマップを作成し、このマップをマイクロコンピュータ31の記憶手段(ROM)に記憶保持する。
【0032】
次に、数式1において、Kは外気温によって決まる補正係数であり、基準外気温=0℃として適正内気温TR’を設定しているので、図5に示すように外気温=0℃の時にK=1としている。そして、外気温が0℃より低下すると、Kを1より増大し、逆に、外気温が0℃より上昇すると、Kを1より減少させている。
【0033】
これは、図6のように内気センサ39の検出温度の追従遅れ量、すなわち、実際の内気温と内気センサ39の検出温度との温度差が、低外気温になるほど、拡大する関係にあるからである。すなわち、図6は内気センサ39の検出温度の追従遅れと外気温との相関を示すものであり、冬期に車両を長時間放置した後に、車両エンジンを起動して車室内の暖房を始動する当初には、内気温が外気温まで低下している。従って、低外気温になるほど、車室内の暖房始動後における内気温の上昇幅が大きくなる。そのため、低外気温になるほど、内気センサ39の検出温度の追従遅れ量、すなわち、実際の内気温と内気センサ39の検出温度との温度差が拡大する関係となる。
【0034】
上記相関関係を考慮して、補正係数Kを図5のように外気温が低下するにつれて増大するように設定する。なお、ステップS130は本発明の内気温補正手段を構成する。
【0035】
次のステップS140では、ステップS110、S120で読み込んだ設定温度TSETおよび環境条件信号等に基づいて車室内に吹き出す空気の目標吹出温度TAOを下記数式2により算出する。ここで、TAOは環境条件(車両熱負荷条件)の変化にかかわらず車室内を設定温度TSETに維持するために必要な吹出空気温度である。
【0036】
【数2】
TAO=KSET×TSET−KR×TRa−KAM×TAM−KS×TS+C但し、KSET、KR、KAM、KSは係数、Cは定数であり、TSET、TAM、TSはそれぞれ前述した設定温度、外気温度、日射量である。そして、TRaはステップS130で補正処理をした補正内気温である。
【0037】
次のステップS150では、送風量を決めるブロワ電圧(送風機モータ14への印加電圧)を上記TAOに基づいて決定する。ここで、ブロワ電圧は周知のように上記TAOの低温側および高温側で最大となり、上記TAOの中間温度域で最小となるように決定され、上記TAOの変化に連動して多段階に変化する。
【0038】
次のステップS160ではTAOに基づいて吹出モードドア20、22、24の開閉による吹出モードを決定する。すなわち、TAOが低温側から高温側へと変化するにつれて、フェイスモード→バイレベルモード→フットモードと切替設定する。
【0039】
次のステップS170では、TAOに対するエアミックスドア18の開度SWを下記数式3に基づいて算出する。
【0040】
【数3】
SW={(TAO−TE)/(TW−TE)}×100(%)
ここで、TEは蒸発器吹出空気温度で、TWはヒータコア17の温水温度である。
【0041】
次のステップS180では、内外気切替ドア12による内外気吸込モードをTAOに基づいて決定する。すなわち、TAOが低温側から高温側へと変化するにつれて、内気モード→半内気モード→外気モードと切替設定する。また、半内気モードを廃止して内気モードから直接、外気モードへ切り替えるようにしてもよい。
【0042】
次のステップS190では、上記各ステップS150〜S180で決定された各種制御信号を駆動回路32を介して送風機モータ14、および各アクチュエータ12a、18a、25に加えて、ブロワモータ14の回転数および各アクチュエータ12a、18a、25の作動を制御する。
【0043】
次のステップS200では、制御周期であるt秒経過したか判定し、t秒経過後にステップS110に戻り、上記処理を繰り返す。
【0044】
ところで、ステップS140で算出される目標吹出温度TAOは、上記各ステップS150〜S180の各種制御信号を決定するための、空調自動制御の基本目標値である。従って、目標吹出温度TAOは車室内の空調熱負荷条件の変化に対応して適切に算出する必要がある。
【0045】
しかし、冬期の暖房始動直後のウォームアップ時のように、空調室内ユニット10からの温風吹出により内気温が上昇する過渡期においては、温風吹出により昇温した内気が内気センサ39に十分流れ込まないので、内気センサ39の検出温度TRの追従遅れ(図8(a)の斜線部)が発生し、内気センサ39の検出温度TRが実際の平均的内気温より低い値となる。
【0046】
しかるに、従来技術では、数式2において補正内気温TRaでなく、内気センサ39の検出温度(生値)TRをそのまま用いて、目標吹出温度TAOを算出しているため、ウォームアップ時にTAOとして実際に必要な温度より高めの温度を算出してしまう。その結果、内気温が図8(a)のa部に示すように過剰に上がりすぎ、乗員の顔部が火照るという不具合が発生し、また、図8(a)のb部に示す内気温のオーバシュートが起こり、空調フィーリングを悪化させる。
【0047】
これに対し、本実施形態においては、ウォームアップ時における、内気センサ39の検出温度TRの追従遅れを解消した補正内気温TRaを数式1により算出し、この補正内気温TRaに基づいて目標吹出温度TAOを算出しているため、ウォームアップ時における目標吹出温度TAOを、ウォームアップ時の実際の内気温上昇に的確に追従した値として算出できる。
【0048】
図7は本実施形態による作用効果を示すものであり、横軸の時間は車室内の暖房始動後の経過時間である。本実施形態によると、補正内気温TRaが図7(a)の1点鎖線に示すように実際の内気温(実線)の上昇に近似した値となる。その結果、目標吹出温度TAOが実際の内気温上昇に的確に追従して低下するので、エアミックスドア18の開度が開度100%の最大暖房位置(図1の破線位置)から減少し始める時点t1が従来技術による制御の時点t2より確実に早めることができる。同様に、送風機13の風量を決めるブロワ電圧レベルも、最大値から減少し始める時点t3が従来技術による制御の時点t4より確実に早めることができる。
【0049】
以上の結果、空調室内ユニット10による車室内暖房能力を、ウォームアップ時における実際の内気温上昇に的確に追従して減少させることができるので、図7(a)の斜線部cに示す内気温のオーバシュートを解消して、ウォームアップ時に乗員顔部の火照りを解消できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の全体システム構成の概要図である。
【図2】本発明の一実施形態における内気センサ取付位置を示す空調操作パネルの一部破断斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態の制御フローチャ−トである。
【図4】本発明の一実施形態による適正内気温TR’の設定方法の説明図である。
【図5】本発明の一実施形態による補正係数Kの設定方法の説明図である。
【図6】外気温による内気センサ検出温度への影響を示すグラフである。
【図7】本発明の一実施形態による作用効果の説明図である。
【図8】従来技術による問題点の説明図である。
【符号の説明】
30…空調制御装置(制御手段)、34〜38…操作スイッチ(操作手段)、
39…内気センサ。
Claims (3)
- 車室内の空調状態に関係する環境条件の情報を検出するセンサ(39〜43)と、
乗員により操作され、車室内の空調状態を設定する操作手段(34〜38)と、
前記センサ(39〜43)の検出信号および前記操作手段(34〜38)の操作信号に基づいて車室内の空調状態を自動制御する制御手段(30)とを備える車両用空調装置において、
前記センサ(39〜43)として車室内の内気温を検出する内気センサ(39)および外気温を検出する外気センサ(40)を少なくとも備え、
前記制御手段(30)は前記内気センサ(39)の検出温度(TR)を補正する内気温補正手段(S130)を有し、前記内気温補正手段(S130)により補正した補正内気温(TRa)を用いて前記空調状態の自動制御を行うようになっており、
前記内気温補正手段(S130)は、暖房始動直後のウォームアップ時に、前記内気センサ(39)の検出温度(TR)に対応して設定される適正内気温(TR’)であって、基準外気温における前記内気センサ(39)の検出温度(TR)に追従遅れ分の温度を加えることにより設定される適正内気温(TR’)と、前記内気センサ(39)の検出温度(TR)との差(TR’−TR)を求め、
前記内気温補正手段(S130)は、前記外気センサ(40)により検出される外気温が前記基準外気温よりも高いときは補正係数(K)により前記差(TR’−TR)を減少側に補正し、前記外気温が前記基準外気温よりも低いときは前記補正係数(K)により前記差(TR’−TR)を増大側に補正し、
前記内気温補正手段(S130)は、前記差(TR’−TR)の補正した後の値と前記内気センサ(39)の検出温度(TR)との和を前記補正内気温(TRa)とすることにより、前記暖房始動直後のウォームアップ時に、前記内気センサ(39)の検出温度(TR)を高くする方向に補正することを特徴とする車両用空調装置。 - 前記補正係数(K)は、前記外気温が前記基準外気温であるときに1となり、
前記外気温が前記基準外気温よりも高いときは前記補正係数(K)が1よりも小さい値となり、かつ、前記外気温の上昇につれて前記補正係数(K)がより小さい値となり、
前記外気温が前記基準外気温よりも低いときは前記補正係数(K)が1よりも大きい値となり、かつ、前記外気温の低下につれて前記補正係数(K)がより大きい値となることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。 - 前記制御手段(30)は、少なくとも、前記補正内気温(TRa)および前記操作手段(34〜38)からの設定温度信号に基づいて車室内吹出空気の目標吹出空気温度を算出し、
前記目標吹出空気温度に基づいて車室内吹出空気の温度調整手段(18)の作動および車室内吹出空気の風量を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置。
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