JP2006055720A - 分離膜モジュールとその製造方法並びに分離膜モジュールの気密検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポッティング法として、遠心成形法を行う場合であっても、膜の変形・潰れ現象などを起こすことなく、優れた固着を実現し、長期に亘って、その機能を十分に発揮させるようにした分離膜モジュールとその製造方法並びに分離膜モジュールの気密検査方法を提供する。
【解決手段】分離膜1の少なくとも両端を熱シールして気体を内封した後、この気体を昇温して膨張させた状態でモジュールケース7内に配置し、このモジュールケース7内にポッティング材を充填して膜束2を固定した後、硬化したポッティング部10の端部を切断して膜束2を開口させ、次いで、この状態で気密検査を経た後、分離膜1の非ポッティング側端部を切断して製造する分離膜モジュールの製造方法である。
【選択図】 図9
【解決手段】分離膜1の少なくとも両端を熱シールして気体を内封した後、この気体を昇温して膨張させた状態でモジュールケース7内に配置し、このモジュールケース7内にポッティング材を充填して膜束2を固定した後、硬化したポッティング部10の端部を切断して膜束2を開口させ、次いで、この状態で気密検査を経た後、分離膜1の非ポッティング側端部を切断して製造する分離膜モジュールの製造方法である。
【選択図】 図9
Description
本発明は、電子工業、食品工業、飲料工業、医薬品工業、発酵工業、光学工業、医療、精密工業等において使用される無孔質の分離膜を用いた流体処理に好適であり、特に、室内等の空間に水分を供給する加湿器などにも適した分離膜モジュールとその製造方法並びに分離膜モジュールの気密検査方法に関する。
近年、加湿器などで採用され始めたウレタン樹脂や、フッ素系イオン交換樹脂などの透湿材料は、水の透湿性が高いために、水膨潤による寸法変化が大きいという特徴を有している。一般に、このような材料から成る膜モジュールは、複数本のチューブ状、或は中空糸状の分離膜が収束した膜束をモジュールケース内に装填し、その端部にポッティング材を注入してこれを硬化させた後、このポッティング部の端部を分離膜と共に切断して、端部を開口することで製造される。この製造工程において、ポッティング材は個々の分離膜の間や、膜束とモジュールケースとの間に浸透し、硬化することで一体化している。
前述のように、ウレタン樹脂などの無孔質透湿材料は、水の透湿性が高いために、水膨潤による寸法変化が大きいという特徴であることから、ポッティングに遠心成形法を採用すると、遠心力を伴うポッティング圧力によって、膜が変形して潰れてしまうなどの問題を有している。この遠心力を伴うポッティング圧力は、多孔質から成る分離膜をポッティングする場合にも、問題を発生させている。この場合には、ポッティング圧力によって、ポッティング材が膜細孔へ侵入し、中空糸内部で硬化するいわゆる不通糸が生じることがある。この不通糸の問題を解決するものとして、以下に示す技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平7−308550号公報(特許文献1)には、ポッティングを行う前に中空糸端部内部に予め充填物質を入れておくことを特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法が開示されており、遠心力により発生する圧力が、ポッティング材側よりも充填物質側の方が大きく、且つ、充填物質が中空糸膜の外へ透過しない圧力差に成るよう、充填物質の比重と充填量を調節するものである。これにより、ポッティング材が細孔から中空糸膜内部へ流れ込むのを防いで、不通糸を防止できる旨が記載されている。
特開平7−308550号公報
しかしながら、特開平7−308550号公報(特許文献1)は、充填物を中空糸膜内部に一本一本充填するために、多くの工数と手間を必要とし、作業性並びに経済性にも問題を有するものであった。また、特開平7−308550号公報に記載されている製造方法は、遠心成形法を採用した場合の多孔質膜における問題を解決する技術であって、これをウレタン樹脂などの無孔質透湿材料、とりわけ、充填物質の注入により膨潤してしまう材料にそのまま転用することはできない。従って、前述した無孔質の分離膜に遠心成形法を用いた場合の問題は、依然として、解決するに至っていないのが実情である。
本発明は、上記の課題点に鑑み、鋭意研究の結果開発に至ったものであり、その目的とするところは、ポッティング法として、遠心成形法を行う場合であっても、膜の変形・潰れ現象などを起こすことなく、優れた固着を実現し、長期に亘って、その機能を十分に発揮させるようにした分離膜モジュールとその製造方法並びに分離膜モジュールの気密検査方法を提供することである。
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、無孔質の分離膜から成る膜束の少なくとも一端部を、ポッティング部を介してモジュールケース内に固定した分離膜モジュールであって、前記分離膜に内封した気体の膨張圧によって、ポッティング時の分離膜の変形を防止した分離膜モジュールである。
請求項2に係る発明は、前記分離膜の少なくとも両端を押圧溶融接着して閉塞し、分離膜内に気体を内封した分離膜モジュールである。
請求項3に係る発明は、前記分離膜の膨張圧を、遠心成形法を行う際の、遠心力を伴うポッティング圧力により、分離膜が変形しない圧力以上に設定した分離膜モジュールである。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3の何れか1項に記載の分離膜モジュールにおいて、前記膜束の長手方向の途中位置を所定間隔毎に熱シールを施して、気体を内封した複数の密閉区間を形成し、この密閉区間を区画するシール部を屈曲部として折り曲げた状態で、この分離膜束をモジュールケース内に収容可能とした分離膜モジュールである。
請求項5に係る発明は、チューブ状の分離膜を複数本並列して配置し、この分離膜の少なくとも両端を熱シールして溶融結束し、且つ、前記熱シールによるシール部の形成によって、相隣れる分離膜間に長手方向に沿った隙間部を形成した分離膜モジュールである。
請求項6に係る発明は、無孔質の分離膜に気体を内封し、この気体の膨張圧によって、ポッティング時における分離膜の変形を防止して製造する分離膜モジュールの製造方法である。
請求項7に係る発明は、無孔質の分離膜から成る膜束を形成し、この分離膜束の少なくとも一端部を、開口した状態でポッティング材によりモジュールケース内に固定する分離膜モジュールの製造方法において、前記分離膜の少なくとも両端を熱シールして気体を内封した後、この気体を昇温して膨張させた状態でモジュールケース内に配置し、このモジュールケース内にポッティング材を充填して膜束を固定した後、硬化したポッティング部の端部を切断して膜束を開口させ、次いで、この状態で気密検査を経た後、分離膜の非ポッティング側端部を切断して製造する分離膜モジュールの製造方法である。
請求項8に係る発明は、前記ポッティング工程前に乾燥工程を設けて、分離膜を乾燥するようにした分離膜モジュールの製造方法である。
請求項9に係る発明は、ポッティング材により、モジュールケース内に固定されたチューブ状の分離膜の両端、又は非ポッティング側の一端を閉塞した状態で、ポッティング部及び分離膜の気密検査を行う分離膜モジュールの気密検査方法である。
請求項1乃至3に係る発明によると、遠心成形法を行う際の、遠心力を伴うポッティング圧力によって引き起こされていた分離膜の変形・潰れ現象を確実に防止することが可能になった。これにより、無孔質材料、例えば、無孔質透湿材料であるウレタン樹脂から成る分離膜であっても、高い遠心力を利用した遠心ポッティングを行うことができ、その優れた固着状態を長期に亘って維持できるので、例えば、無孔質透湿材料から成る分離膜モジュールとして、加湿器などに提供した場合であっても、加湿器としての性能を十分に発揮させるという効果を奏する。あらゆる分野に対応し得る分離膜モジュールとして提供することが可能となる。
請求項4に係る発明によると、一度に多数の分離膜を収納するのと同じ効果を発揮し、しかも、熱シールによって、相隣れる分離膜間に好適な隙間部を確保した状態で収納することが可能となる
請求項5に係る発明によると、熱シールによって、分離膜毎に横方向へ膨出した膨出部が形成され、相隣れる分離膜間に長手方向に沿った隙間部を形成することが可能となった。これにより、ポッティング時においては、分離膜間にポッティング材を均等に浸透させ、全体に行き渡らせることができ、また、完成品にあっては、相隣れる分離膜同士が密着することを防いで、膜面積は確実に確保されるという効果を奏する。さらに、熱シールの前工程として、一定間隔を空けた状態で夫々分離膜を保持しておく必要がなく、工数や手間を大幅に削減させるという効果を奏する。
請求項6又は7に係る発明によると、遠心成形法を行う際の、遠心力を伴うポッティング圧力によって引き起こされていた分離膜の変形・潰れ現象を確実に防止することが可能になった。これにより、無孔質材料、例えば、無孔質透湿材料であるウレタン樹脂から成る分離膜であっても、高い遠心力を利用した遠心ポッティングを行うことができ、その優れた固着状態を長期に亘って維持できる分離膜モジュールの製造方法として、提供することが可能となる。
請求項8に係る発明によると、分離膜に浸透している水分を効果的に除去でき、ポッティング材の水分による発泡を防止することが可能となる。
請求項9に係る発明によると、分離膜束の両端を熱シールすることにより、硬化したポッティング部の端部を切断して、膜束を開口させた後の構造は、下端はポッティングがなされ、上端は熱シールによって閉塞されているので、ポッティング部の完全性試験を容易に行うことが可能となった。従来の検査では、分離膜の非ポッティング側端部が開口されていたために水張り検査が行われ、検査後には分離膜の乾燥を行ってカビの発生等を防ぐ工程を要し、非常に手間を要するものであったが、本発明によれば、圧力容器を装着し、空気圧での検査で済み、モジュールの気密性検査を容易に、しかも確実に行うことが可能となった。
本発明における分離膜モジュールとその製造方法について、好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明における分離膜モジュールを構成する膜束の平面図である。図中1は、チューブ状の分離膜であり、この分離膜1の材質は無孔質(非多孔質)であって、気体は透過し難いもの、例えば、ポリウレタン、シリコン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)、フッ素イオン交換樹脂などが挙げられ、本例では高透湿性ウレタンチューブを採用する。図中2は、複数本(又は1本)の前記分離膜1を押圧溶融接着(以下、熱シールという)して成る分離膜束であり、同図に示すように、密接して並列配置した分離膜1の両端に熱シールを施して結束して成り、また、この熱シールによって夫々分離膜1を密閉状態にして、分離膜内に気体を内封させている。本例では空気を内封しているが、例えば、窒素などの不活性から成る気体を採用してもよい。この構造は、内封した気体の膨張圧を利用して、後述する遠心成形法を行う際の、遠心力を伴うポッティング圧力によって、分離膜1が変形したり、潰れたりするのを防ぐよう機能する。図中3は、熱シールによって形成されたシール部である。なお、分離膜内に気体を内封可能であれば、本例に示す押圧溶融接着に限定することはなく、例えば、ウレタン樹脂による目止め等の密閉方法を採用してもよいが、後述する押圧溶融接着(熱シール)の効果、並びにシール部3によって発揮される効果を期待することはできない。
図2は、図1の要部拡大平面図である。シール部3の分離膜1は、押圧により径方向に潰されることによって、分離膜毎に横方向へ膨出した膨出部1aが形成されると共に、隣接する膨出部1a同志が当接し、相隣れる分離膜間に長手方向に沿った隙間部4が形成され、この状態でシール部3の分離膜1は溶融接着される。即ち、シール部3の形成は、同時に、相隣れる分離膜間に隙間部4を形成し、これにより、ポッティング時においては、分離膜間にポッティング材を均等に浸透させ、全体に行き渡らせることができ、また、完成品にあっては、相隣れる分離膜同士が密着することを防いで、膜面積は確実に確保される。
図3(a)は、分離膜束の他例を示した平面図であり、図3(b)は、その斜視図である。図3(a)に示すように、本例の分離膜束5は、密接して並列配置した分離膜両端の2箇所に加え、長手方向の途中位置を等間隔で熱シールしており、所定間隔毎に空気が内封され、密閉された状態となっている。従って、本例の分離膜束5は、気体を内封した複数の密閉区間が長手方向に連設して成る構造を有している。図3(b)に示すように、この密閉区間を区画する平面状のシール部3を屈曲部とし、各シール部3を順次折り曲げた状態で、後述するモジュールケース7内に収納することができる。これにより、一度に多数の分離膜1を収納するのと同じである上に、熱シールによって、相隣れる分離膜間に長手方向に沿った隙間部4を有した状態で収納することができる。この隙間部4の効果は前述した通りである。また、平面状のシール部3を折り曲げの支点とすることにより、チューブ状の分離膜束5が折り曲げ易くなることに加え、気体を内封した密閉区間が小分けに形成されるので、1つ1つの密閉区間の内容積が小さいものとなり、昇温による密閉区間の内圧上昇を容易にしている。
図4(a)は、分離膜束の更に他例を示した平面図であり、図4(b)は、その斜視図である。図4(a)に示すように、本例の分離膜束6は、密接して並列配置した分離膜1の両端に熱シールを施して結束して成り、また、この熱シールによって夫々分離膜1を密閉状態にして、分離膜1内に気体を内封させている。本例の分離膜束6はすだれ状を呈しており、図4(b)に示すように、分離膜1の長手方向に沿って折り曲げることができ、この折り曲げた状態で後述するモジュールケース7内に収納することができる。図示するように、この分離膜束6は膜長が短いため、扱い易いというメリットがある一方、シール部3が長くなり、折り曲げた場合には屈曲部近傍に分離膜1が密集し易く、また、熱シールは確実に行わなければならない。従って、折り曲げた状態で収納する好ましい形態としては、前述した分離膜束5が好適といえる。
次に、本発明における分離膜モジュールの製造方法について説明する。本発明である製造方法は、無孔質の分離膜に気体を内封し、この気体の膨張圧によって、ポッティング時における分離膜の変形を防止して製造することを特徴としており、本実施形態では、分離膜の少なくとも両端を閉塞して気体を内封する膜束製造工程と、分離膜束を乾燥する乾燥工程と、分離膜に内封した気体を昇温して膨張させた状態でモジュールケース内に配置し、このモジュールケース内にポッティング材を充填して膜束を固定するポッティング工程と、硬化したポッティング部の端部を切断して膜束を開口させるスライス工程と、気密検査工程から構成される。なお、本例では分離膜を複数本結束して成る分離膜束に対し、分離膜が1本から成るものにも適用可能である。図5は、本発明における分離膜モジュールの製造方法を示した工程説明図であり、各工程を以下に説明する。
先ず、膜束製造工程について説明する。本例では高透湿性ウレタンチューブ(本例では外径約3mm)を分離膜1として採用しており、また、この分離膜1を密閉する方法として、押圧溶融接着(熱シール)を採用している。密接して並列配置した複数本の分離膜1の両端に熱シールを施して結束し、また、この熱シールによって夫々分離膜1を密閉状態にして、分離膜1内に気体を内封する。このとき、内封された気体は熱シール時の熱によってやや膨張した状態となっており、分離膜1の内圧は上昇している。本例では空気を内封しているが、例えば、窒素などの不活性から成る気体を採用してもよい。なお、前述した分離膜束5を製造する場合には、密接して並列配置した分離膜両端の2箇所に加え、長手方向の途中位置を所定間隔(本例では、等間隔)で熱シールし、気体を内封した複数の密閉区間を長手方向に連設させる。例えば、モジュール完成時の高さなどを考慮して、密閉区間を約25mm毎のように連設する。また、このときの熱シールによって形成されるシール幅は、シールの確実性や折り曲げ作業の容易性を考慮して設定するとよい(例えば、約3〜5mm)。
この工程では、前述した熱シールによるシール部3の形成と同時に、相隣れる分離膜間に長手方向に沿った隙間部4が形成される。即ち、密接して並列配置した分離膜1を熱シールすると、分離膜毎に横方向へ膨出した膨出部1aによって、相隣れる分離膜同士が互いに押し合って、分離膜間に長手方向に沿った隙間部4が形成される。従って、熱シールの前工程として、一定間隔を空けた状態で分離膜1を治具等で保持しておく必要がなく、工数や手間を大幅に削減させることができる。本工程において、分離膜1内に気体を内封し、且つ、分離膜間に隙間部4を形成した分離膜束2(5)が完成する。なお、シール部3のシール性、すなわち、分離膜1の気密性は気体が内封された分離膜束を水に浸漬し、シール部3からの気泡の発生有無を見る水没検査により確認することができる。
前述した膜束製造工程を経た後、乾燥工程に入る。本工程では、分離膜1に水分が含まれていると、ポッティング材が発泡してポッティング不良となることから、分離膜束2の雰囲気温度を、本例では約50℃に上げて、これを約3時間保持し、分離膜束2を乾燥させる。この昇温によって、分離膜1の内圧は上昇する。図中7は、両端を開口した筒状のモジュールケースであり、円筒状、角形状を呈したものなど、実施に応じた形状を適宜選択するとよい。このモジュールケース7の材質としては、例えば、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ABS、塩化ビニルなど、利用分野の要求に合った材質を適宜採用することができる。なお、ポッティング材との接着性が低い場合には、プライマー処理を施して使用してもよい。図6(a)に示すように、分離膜束2は充填率などを考慮して、実施に応じた数量分(1つ又は複数)をモジュールケース7内に収納するとよい。乾燥後、分離膜1が冷えて内圧が低下する前に、図5(a)に示すように、分離膜束2を速やかにモジュールケース7に収納し、これらをポッティングカップ8にセットする。
なお、分離膜束5を用いたモジュールを製造する場合には、図7(a)に示すように、シール部3を屈曲部として折り曲げ、この状態でモジュールケース7に収納する。従って、折り曲げた分離膜束5の収納方向の一方側にあるシール部群(屈曲群)がポッティングカップ8の底面に接した状態で収納されることになる。これにより、万が一、図3(a)に示すシール部3aに欠陥が生じ、このシール部3aによって区画されていた密閉区間5a,5bが連通した状態にあっても、この区間を囲むシール部3b,3cが確実にシールされていれば、屈曲によって密閉区間5a,5bをそれぞれ独立してその気密性を確保することができる。従って、分離膜束5の少なくとも両端が閉塞されていれば、折り曲げによって、各シール部3を支点に複数の密閉区間を形成することができ、分離膜1に内封した気体の膨張圧を利用して、遠心成形法を行う際の、遠心力を伴うポッティング圧力による分離膜2の変形・潰れ現象を確実に防ぐことができる。
次に、ポッティング工程について説明する。図5(b)に示すように、分離膜束2(5)とモジュールケース7を収容したポッティングカップ8を遠心機9にセットする。遠心機9は、ポッティング材の硬化を促進させ、モジュールの生産性を高めるため、本例では約50℃に昇温している。この昇温によって、分離膜1の内圧は上昇する。昇温装置がない場合でも、前述した乾燥工程での昇温によって、分離膜1の内圧が維持されている場合には、常温下でのポッティングも可能である。図中10は、ポッティング部であり、ポッティング材としては、十分な接着強度を有したものであればよく、例えば、ウレタン系、エポキシ系、不飽和ポリエステル系などが挙げられる。本工程においては、分離膜1の膨張圧(内圧)を遠心ポッティングに伴うポッティング圧力により、分離膜が変形しない圧力以上とした状態が確保され、遠心ポッティングを行う際の、遠心力に伴うポッティング圧力の影響は抑制され、分離膜1が変形したり、潰れたりすることなく、ポッティングを良好に行い得る。より好ましくは、分離膜1の強度も考慮しつつ、「遠心ポッティングに伴うポッティング圧力」≦「分離膜内部の圧力」としてもよい。
モジュール内の所定領域にポッティング材が行き渡ったのを確認した後、遠心機9からモジュールを取り外し、ポッティング部10を下方に向けて放置し、ポッティング材の凝固を待つ。なお、ポッティング工程に静置成形法を採用することも勿論、可能である。図6(b)は、分離膜束2を用いた場合のポッティング後の状態説明図であり、図7(b)は、分離膜束5を用いた場合のポッティング後の状態説明図である。
次に、スライス工程について説明する。図5(c)に示すように、モジュールからポッティングカップ8を取り外し、硬化したポッティング材から成るポッティング部10の端部を切断して、分離膜束2(5,6)を開口させる。切断装置としては、ウォータージェットカッターや、レーザーカッターなど、適宜の装置を使用する。切断する位置は、分離膜束2に接着して残る部分がモジュールケース7の一部を成す底板部(又は、天板部)として十分な強度を有するだけの厚みを有し、且つ、切断により更新された分離膜束2の端部が切断面に開口していることなどを考慮して決定するとよい。本工程を経た後、気密検査工程に入る。
本発明における分離膜モジュールの気密検査方法について説明する。図5(d)に示すように、前述した一連の工程を経たモジュールを、分離膜1の非ポッティング側端部を閉塞したまま、モジュール全体を圧力容器11で覆う。このとき、圧力容器11とモジュールケース7との間にOリング12を介在させる。圧力容器11中に空気圧(約50KPa(0.5kgf/cm2))を加えて保持し、圧力降下の有無により、ポッティング部10や分離膜1からの漏れを確認する。本例の場合、圧力容器11はモジュール全体を覆うため、やや大きいものとなる一方、分離膜1の外側に空気圧を加圧するため、シール部3のシール性を損ねる心配がない。気密検査が終了した後、図5(e)に示すように、分離膜1の密閉された非ポッティング側端部を開口して、分離膜モジュール13が完成する。
さらに、分離膜モジュールの気密検査方法の他例を説明すると、少なくとも、ポッティング部10のみを圧力容器(図示しない)で覆い、圧力容器内に加えた空気圧の圧力降下の有無により、ポッティング部10や分離膜1からの漏れを確認する。本例の場合、圧力容器が比較的小型で済むという利点がある一方、分離膜1の内側に空気圧を加圧するため、シール部3のシール性を損ねるおそれがあることから、前述した気密検査方法が好ましい。気密検査が終了した後、分離膜1の密閉された非ポッティング側端部を開口させて、分離膜モジュール14が完成する。
また、図8は、本発明における製造方法の他例を示した工程説明図であり、同図に示すように、ポッティング工程において、分離膜束2(5)とのポッティング基端面に、ポッティング材の凝固収縮に伴う反力を緩和させる溝部10aを形成することもできる。この場合には、図8(a)、図8(b)に示すように、筒状の差込部15aとフランジ部15bとから成る溝部形成治具15を予めモジュールケース7内に配置し、これらをポッティングカップ8にセットしてポッティングを行う。
図8(c)に示すように、ポッティング材が硬化した後、溝部形成治具15並びにポッティングカップ8を取り外す。溝部形成治具15の材質をシリコン、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素系樹脂など、離型性に富む材料から成形することで、硬化したポッティング材から容易に引き抜くことができる。溝部形成治具15を取り外した後の分離膜束2とポッティング部10との基端部には、溝部形成治具15の差込部15aによって形成された溝部10aが現われる。
図8(d)に示すように、前述した一連の工程を経たモジュールを、分離膜1の非ポッティング側端部を閉塞したまま、モジュール全体を圧力容器11で覆う。このとき、圧力容器11とモジュールケース7との間にOリング12を介在させる。圧力容器11中に空気圧(約50KPa(0.5kgf/cm2))を加えて保持し、圧力降下の有無により、ポッティング部10や分離膜1からの漏れを確認する。気密検査が終了した後、図8(e)に示すように、密閉された非ポッティング側端部を開口して、分離膜モジュール13が完成する。図9は、本発明における分離膜モジュールの一例を示した一部切欠き斜視図である。溝部10aの形成によって、ポッティング材の残留応力に起因する分離膜1との剥離現象の防止も図ることができる。なお、上記実施例においては、昇温によって分離膜1の内圧を上昇するようにしているが、遠心ポッティングによって最も高いポッティング圧が加わる、分離膜のポッティング側端部(スライス工程により切除される部分)が潰れることによる体積収縮により、分離膜1の内圧を上昇するようにしてもよい。
次に、本発明の分離膜モジュールに気密試験を行い、その試験結果を図10のグラフに示す。
供試品:
本発明品として、高透湿性ウレタンチューブ(束外径φ40)を並列配置し、このチューブ両端と、長手方向の途中位置を等間隔で熱シールしたものを円筒状の硬質塩化ビニル製モジュールケース(内径51mm、外径60mm、長さ200mm)に収納し、これを二液硬化型ウレタン樹脂により遠心ポッティングした。ポッティング時の雰囲気温度は約50℃である。比較品として、高透湿性ウレタンチューブ(束外径φ40)の非ポッティング側端部を開口した状態で、円筒状の硬質塩化ビニル製モジュールケース(内径51mm、外径60mm、長さ200mm)に収納し、これを二液硬化型ウレタン樹脂により遠心ポッティングした。ポッティング時の雰囲気温度は約25℃である。
遠心加重:
ポッティング材がモジュールケース内のポッティング領域に行き渡り、欠陥のないポッティング部を形成可能な遠心Gを100%とした。
真円率:
ポッティング前のチューブ内径の直径寸法を基準に、チューブの潰れ度合いを直径寸法の比率で示した。
供試品:
本発明品として、高透湿性ウレタンチューブ(束外径φ40)を並列配置し、このチューブ両端と、長手方向の途中位置を等間隔で熱シールしたものを円筒状の硬質塩化ビニル製モジュールケース(内径51mm、外径60mm、長さ200mm)に収納し、これを二液硬化型ウレタン樹脂により遠心ポッティングした。ポッティング時の雰囲気温度は約50℃である。比較品として、高透湿性ウレタンチューブ(束外径φ40)の非ポッティング側端部を開口した状態で、円筒状の硬質塩化ビニル製モジュールケース(内径51mm、外径60mm、長さ200mm)に収納し、これを二液硬化型ウレタン樹脂により遠心ポッティングした。ポッティング時の雰囲気温度は約25℃である。
遠心加重:
ポッティング材がモジュールケース内のポッティング領域に行き渡り、欠陥のないポッティング部を形成可能な遠心Gを100%とした。
真円率:
ポッティング前のチューブ内径の直径寸法を基準に、チューブの潰れ度合いを直径寸法の比率で示した。
本発明の分離膜モジュールによれば、必要遠心Gの170%の遠心加重を加えても、分離膜に変形が発生することなく、ポッティングを行うことができた。本試験からも明らかであるように、遠心力に伴うポッティング圧力の影響を抑制することができ、分離膜が変形したり、潰れたりすることなく、ポッティングを良好に行い得ることが確認された。
本発明は、高透湿性ウレタンチューブをはじめ、あらゆる無孔質から成る分離膜を採用することができ、また、これら分離膜から成る膜束の一端にて各分離膜を開口させた片端ポッティング型モジュール、膜束の両端にて各分離膜を開口させた両端ポッティング型モジュールなど、膜束の一端又は両端の固定部端面において、分離膜を開口させた各種型式のモジュールにおいても実施可能であり、加湿器をはじめ、あらゆる分野に好適な分離膜モジュールとその製造方法並びに分離膜モジュールの気密検査方法として提供することが可能である。
1 分離膜
1a 膨出部
2 分離膜束
3 シール部
4 隙間部
5 分離膜束
5a,5b 密閉区間
6 分離膜束
7 モジュールケース
10 ポッティング部
13 分離膜モジュール
1a 膨出部
2 分離膜束
3 シール部
4 隙間部
5 分離膜束
5a,5b 密閉区間
6 分離膜束
7 モジュールケース
10 ポッティング部
13 分離膜モジュール
Claims (9)
- 無孔質の分離膜から成る膜束の少なくとも一端部を、ポッティング部を介してモジュールケース内に固定した分離膜モジュールであって、前記分離膜に内封した気体の膨張圧によって、ポッティング時の分離膜の変形を防止したことを特徴とする分離膜モジュール。
- 前記分離膜の少なくとも両端を押圧溶融接着して閉塞し、分離膜内に気体を内封した請求項1に記載の分離膜モジュール。
- 前記分離膜の膨張圧を、遠心成形法を行う際の、遠心力を伴うポッティング圧力により、分離膜が変形しない圧力以上に設定した請求項1又は2に記載の分離膜モジュール。
- 請求項1乃至3の何れか1項に記載の分離膜モジュールにおいて、前記膜束の長手方向の途中位置を所定間隔毎に熱シールを施して、気体を内封した複数の密閉区間を形成し、この密閉区間を区画するシール部を屈曲部として折り曲げた状態で、この分離膜束をモジュールケース内に収容可能とした分離膜モジュール。
- チューブ状の分離膜を複数本並列して配置し、この分離膜の少なくとも両端を熱シールして溶融結束し、且つ、前記熱シールによるシール部の形成によって、相隣れる分離膜間に長手方向に沿った隙間部を形成したことを特徴とする分離膜モジュール。
- 無孔質の分離膜に気体を内封し、この気体の膨張圧によって、ポッティング時における分離膜の変形を防止して製造することを特徴とする分離膜モジュールの製造方法。
- 無孔質の分離膜から成る膜束を形成し、この分離膜束の少なくとも一端部を、開口した状態でポッティング材によりモジュールケース内に固定する分離膜モジュールの製造方法において、前記分離膜の少なくとも両端を熱シールして気体を内封した後、この気体を昇温して膨張させた状態でモジュールケース内に配置し、このモジュールケース内にポッティング材を充填して膜束を固定した後、硬化したポッティング部の端部を切断して膜束を開口させ、次いで、この状態で気密検査を経た後、分離膜の非ポッティング側端部を切断して製造することを特徴とする分離膜モジュールの製造方法。
- 前記ポッティング工程前に乾燥工程を設けて、分離膜を乾燥するようにした請求項6又は7に記載の分離膜モジュールの製造方法。
- ポッティング材により、モジュールケース内に固定されたチューブ状の分離膜の両端、又は非ポッティング側の一端を閉塞した状態で、ポッティング部及び分離膜の気密検査を行うことを特徴とする分離膜モジュールの気密検査方法。
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2004
- 2004-08-18 JP JP2004238718A patent/JP2006055720A/ja active Pending
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