JP2006055703A - カーテン塗布装置及びカーテン塗布方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】多種多様な塗布液物性、流量等の条件下でも、ティーポット現象に起因したカーテン膜両縁部の歪みを緩和しカーテンの衝突線を直線状にすることによってカーテン膜幅方向の塗布量を均一化させ、塗布欠陥発生を防止する塗布方法を提供すること。
【解決手段】少なくとも1層の塗布液を平板型エッジガイドで両側端を支えて、該塗布液のカーテン膜を形成して支持体上に塗布するカーテン塗布装置において、該エッジガイドの接液面同士がなす角度を90度より小さい範囲で可変できることを特徴とするカーテン塗布装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ハロゲン化銀写真感光材料、磁気記録材料、感圧・感熱記録紙、アート紙、コート紙、インクジェット記録シートの製造に関し、連続走行する帯状支持体(以下、ウエブと称する。)にカーテン膜を衝突架橋させて塗布するためのカーテン塗布装置及びカーテン塗布方法に関するものである。
多層同時塗布方式としてスライドビード方式あるいはエクストルージョン方式は一般的に知られているが、近年、高速塗布が要求されるに伴いカーテン塗布方式が多用されるようになってきた。カーテン塗布方式は、連続的に走行するウエブ上にカーテン膜を自由落下させて塗布する方法である(例えば、特許文献1参照)。
カーテン塗布装置によってウェブ上へ塗布する場合、自由落下するカーテン膜の不安定性は製品品質に大きな影響を及ぼす。カーテン膜の安定性を阻害する現象として代表的なものにティーポットと称せられる現象が知られている。
ティーポット現象は、カーテン膜が鉛直下方に落下せずリップ後方に向かって湾曲する現象であり、スライド面を流下する塗布液のリップ先端における運動量の不均衡によるものとされている。ティーポット現象は、塗布液粘度が低いとき、あるいは塗布液流量が多いとき、すなわち塗布液のレイノルズ数が比較的大きいとき、または最上層自由表面と最下層自由表面の表面張力差が大きいときに顕著である。ティーポット現象によって、カーテン両縁部の衝突線が直線状とならず歪んだ形状となるので、カーテン膜幅方向の塗布量が不均一となり良好な塗布面質を得ることができなくなる。
かかるティーポット現象による前記弊害を取り除く方法として、例えば、特許文献2には、エッジガイドの形状を平板型とすることでカーテン膜の湾曲変形に自由度を持たせたことを特徴とする塗布装置が開示され、特許文献3には、エッジガイドの下端をリップ先端部からの鉛直線よりもコーティングダイ側に位置させてカーテン膜の湾曲にエッジガイドの形状を合わせたことを特徴とする塗布装置が開示され、特許文献4には、スライド面上の塗布液運動量を低下させるべく最下層の塗布液粘度を40cP以上になるよう増粘させたことを特徴とする塗布方法が開示されている。
これらの開示装置、開示方法によって上述したようなティーポット現象による弊害をある程度まで回避することができても、多種多様な塗布液物性、流量等に対して十分な対策とはなっていなかった。
一方、特許文献5にはロッド型エッジガイドをカーテン膜の内側に向けて傾斜させる塗布装置が開示されているが、本開示装置は、カーテン膜形成時の縮流現象を防止することでカーテン膜の安定性向上を目的としたものであり、ティーポット現象による膜歪み防止を目的とした本発明とは相違する。また、カーテン膜の内側に向けてエッジガイドを傾斜させる本開示装置に対して、エッジガイドの接液面同士がなす角度を可変する本発明とは相違する。
特公昭49−24133号公報(第18頁、第1図) 特開昭51−57734号公報(第3頁、第1図) 特開平9−253552号公報(第5頁、第2図) 特開平1−131549号公報(第4頁、第1表) 特開平6−134378号公報(第5項、第2図)
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、多種多様な塗布液物性、流量等の条件下でも、ティーポット現象に起因したカーテン膜両縁部の歪みを緩和しカーテンの衝突線を直線状にすることによってカーテン膜幅方向の塗布量を均一化させ、塗布欠陥発生を防止するカーテン塗布装置及びカーテン塗布方法を提供することにある。
本発明の上記課題は、以下のカーテン塗布装置及びカーテン塗布方法によって達成された。
1)少なくとも1層の塗布液を平板型エッジガイドで両側端を支えて、該塗布液のカーテン膜を形成して支持体上に塗布するカーテン塗布装置において、該エッジガイドの接液面同士がなす角度を90度より小さい範囲で可変できることを特徴とするカーテン塗布装置。
2)上記1)のカーテン塗布装置を用いた塗布方法であって、前記カーテン膜の歪み量に応じて前記エッジガイドの接液面同士がなす角度を0度より大きく90度より小さい範囲で可変することを特徴とするカーテン塗布方法。
本発明により、多種多様な塗布液物性、流量条件下であっても、ティーポット現象によるカーテン膜歪みを緩和させてカーテンの衝突線を直線状にすることによってカーテン膜幅方向の塗布量を均一化させた結果、塗布欠陥発生を防止するとともに良好な塗布面質を得ることができた。
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施態様であるカーテン塗布装置の斜視図であり、図2は図1の概略側面図である。薄層状態の塗布液をスライド面8上に形成させるとともに平板型エッジガイド7に沿わせてカーテン膜2として自由落下させ、バックアップロール3に支持されて連続走行するウェブ4上に衝突させて塗布が行われる。
従来技術では、2つの平板型エッジガイドは、ウェブ4の走行方向Yに対してエッジガイドの接液面は互いに平行に配置されていた。本発明の特徴は、2つの平板型エッジガイド7が、ウェブ4の走行方向Yに対して可変できることである。即ち、2つの平板型エッジガイド7の接液面10が平行状態から接液面10同士がなす角度θ(以降、エッジガイドの可変角度θと称する)を90度より小さい範囲で可変できることを特徴とする。
本発明において、エッジガイドの可変角度θは、カーテン膜2のティーポット現象によるカーテン膜歪み量Lに応じて、0度より大きく90度より小さい範囲で調整される。例えば、カーテン膜歪み量Lが1〜10mmの場合は、エッジガイドの可変角度θは1〜15度の範囲で調整され、カーテン膜歪み量Lが10mmを超え20mm以下の場合は、エッジガイドの可変角度θは15〜30度の範囲で調整され、カーテン膜歪み量Lが20mmを超え30mm以下の場合は、エッジガイドの可変角度θは30〜45度の範囲で調整され、カーテン膜歪み量Lが30mmを超える場合は、エッジガイドの可変角度θは45度〜90度未満の範囲で調整される。
図3は、本発明における別の実施態様を示したカーテン塗布装置の斜視図である。通常ティーポット現象によるカーテン膜の歪みは、図2に示したように、塗布ヘッド1に向かってカーテン膜2が歪む。ところが、塗布条件(例えば、塗速、塗布量等)によって、前記歪み方向とは逆方向、即ち、ウェブ4の走行方向Yに向かって膜歪みが生じることがある。このような場合、図3に示すように、図2に示したエッジガイドの可変角度θとは逆方向にエッジガイドの可変角度θを調整・設定する。前記したように、エッジガイドの可変角度θは、カーテン膜2のティーポット現象によるカーテン膜歪み量Lに応じて、0度より大きく90度より小さい範囲で調整され、カーテン膜歪み量Lに対するエッジガイドの可変角度θの調整についても、前記した調整範囲と同一の範囲で調整・設定される。
エッジガイドの可変角度θを調整する方法として、例えば、図2に示すような回転軸23を有する平板型エッジガイド7に対してモータ駆動させる方法、ギア機構を介したハンドルを手動で廻して調整する方法、リンク機構を介して回転させる方法など、エッジガイドの可変角度θを調整できる機構であれば特に限定されない。
平板型エッジガイドの幅Wは、ティーポット現象によるカーテン膜歪み量Lを許容するに足りる幅とする必要がある。リップ先端5位置を平板型エッジガイドの幅Wの二分の一位置に設置した場合、平板型エッジガイドの幅Wは10mm以上とすることが好ましく、より好ましくは30mm以上80mm以下の範囲である。平板型エッジガイド7の厚みは特に限定されるものではなく、強度上、主として1mm厚以上のものが好ましい。
平板型エッジガイド7の材質は、耐食性、加工精度、強度の観点からステンレス製であることが好ましいが、これに限定されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン等のプラスチック、ゴムなどを適宜用いることができる。
平板型エッジガイド7の接液面10は、カーテン膜2との濡れ性を向上させてカーテン膜2の形成を安定化させるという観点から、例えば、水、メタノール、エタノール等のアルコール水溶液などの公知の補助液によって湿潤状態にしておくことが好ましい。
本発明において、エッジガイドの可変角度θの設定は、塗布液の種類や物性(粘度、表面張力等)、塗布条件(塗布量、塗布速度等)によって、経験的に得られたデータを元に予め決定し設定することができるが、塗布しながら自動的に調整・設定することもできる。エッジガイドの可変角度θを自動的に調整・設定する方法について図2を参照して以下に説明する。
カーテン膜2に向けて設置した非接触距離センサー20から得られたカーテン膜歪み量Lは演算処理装置21に送られる。演算処理装置21は、カーテン膜歪み量Lが予め設定された値になるようにエッジガイドの可変角度θを調整するための角度補正信号としてサーボモータ22に対して出力する。角度補正信号を受けたサーボモータ22は、平板型エッジガイド7と一体化させた回転軸23を回転させる。カーテン膜2の衝突線9が直線化してカーテン膜2に生じた歪みがなくなったときにサーボモータ22は停止し、エッジガイド7の可変角度θは固定化される。
本発明における非接触距離センサー20として、例えば超音波式、レーザー式、渦電流式など、カーテン膜2に対して非接触に設置できるものであれば如何なるセンサーも使用することができるが、塗布液が感光材料の場合には超音波式変位センサーを用いることが好ましい。非接触距離センサー20の設置については、カーテン膜2の幅方向に対して、カーテン膜2の中央に1台、カーテン膜2の両縁部に各1台、合計3台設置することが好ましい。
下記条件に従って塗布を行った。
ウェブ:厚み250μmポリエチレン樹脂被覆紙
ウェブ幅:1200mm
カーテン膜幅:1000mm
カーテン高さ:100mm
塗布速度:300m/min
エッジガイド
形状:平板型
材質:SUS316
幅W:60mm
厚み:5mm
補助液:40℃の純水
塗布液上層
保護層(粘度30mPa・s、表面張力28mN/m(37℃))
湿潤塗布量:30g/m2
塗布液下層
ハロゲン化銀乳剤層(粘度35mPa・s、表面張力33mN/m(37℃))
湿潤塗布量:45g/m2
図2に示すように、非接触距離センサー20はレーザ式変位センサー(キーエンス社製LB01長距離タイプ)を使用し、着膜位置を基点としてウェブ4の走行方向に対して下流側100mm位置に設置した。非接触距離センサー20の設置台数はカーテン膜2の幅方向に対して、カーテン膜2の中央部に1台、カーテン膜2の両縁部に各1台、合計3台設置した。実施例1は自動的にエッジガイドの可変角度θを調整する方法であるので、カーテン膜の歪み量Lは、10〜15mmであり、エッジガイドの可変角度θは15〜25度の範囲であった。
ティーポット現象によるカーテン膜歪みを緩和させてカーテンの衝突線9を直線状にすることによってカーテン膜2の幅方向に対する塗布量を均一化させた結果、塗布欠陥発生を防止するとともに良好な塗布面質を得ることができた。
(比較例1)
特許文献2に記載の装置構成と同条件にすべく、エッジガイドの可変角度θを0度、すなわち、平板型エッジガイド7の接液面10同士を平行にしたこと以外は、実施例1と同一の条件で塗布を行った。結果は、カーテン膜2の衝突線9が直線とならず歪んだ形状となり、塗布面に筋状塗布欠陥が発生した。
(比較例2)
特許文献1に記載されたロッド型エッジガイドを用いたこと以外は実施例1と同一の条件で塗布を行った。結果は、カーテン膜2の衝突線9の形状が直線とならず強く歪んだ形状となり、筋状塗布欠陥が発生した。また、10回の塗り出し作業につき2〜3回の割合で、歪んだ部位からカーテン膜2が割れ、塗布作業の中断を余儀なくされた。
本発明におけるカーテン塗布装置の斜視図。 本発明におけるカーテン塗布装置の概略側面図。 本発明における別の実施態様を示したカーテン塗布装置の斜視図。
符号の説明
1 塗布ヘッド
2 カーテン膜
7 平板型エッジガイド
9 衝突線
10 接液面
θ 平板型エッジガイドの接液面同士がなす角度(エッジガイドの可変角度)

Claims (2)

  1. 少なくとも1層の塗布液を平板型エッジガイドで両側端を支えて、該塗布液のカーテン膜を形成して支持体上に塗布するカーテン塗布装置において、該エッジガイドの接液面同士がなす角度を90度より小さい範囲で可変できることを特徴とするカーテン塗布装置。
  2. 請求項1のカーテン塗布装置を用いた塗布方法であって、前記カーテン膜の歪み量に応じて前記エッジガイドの接液面同士がなす角度を0度より大きく90度より小さい範囲で可変することを特徴とするカーテン塗布方法。
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