JP2006053113A - 肺腺癌リンパ節転移診断方法及び診断キット - Google Patents

肺腺癌リンパ節転移診断方法及び診断キット Download PDF

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Atsushi Ogiwara
淳 荻原
Takao Kawakami
隆雄 川上
Hisae Anyoji
久栄 安養寺
Kiyonaga Fujii
清永 藤井
Shingo Akimoto
秋元  信吾
Toshihide Nishimura
俊秀 西村
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Abstract

【課題】 肺腺癌リンパ節転移患者において特異的に発現量が変化するタンパク質を同定することで感度及び/又は特異度に優れた肺腺癌リンパ節転移診断方法及び診断キットを提供する
【解決手段】 診断対象者から採取した生体由来試料における、表1に示すタンパク質群から選ばれる少なくとも1以上のタンパク質の発現を測定するステップaと、測定の結果、前記表1に示すタンパク質の発現量に基づいて肺腺癌リンパ節転移を診断するステップbとを含む肺腺癌リンパ節転移診断方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、肺腺癌リンパ節転移診断方法及び診断キットに関する。
肺癌は大きく分けて小細胞癌と非小細胞癌とに分類される。非小細胞癌は、さらに腺癌(以下、肺腺癌)、扁平上皮癌、大細胞癌、腺扁平上皮癌などに分けられる。肺腺癌は、日本人における癌死亡者数の最も高い癌腫である。
肺腺癌の臨床的診断は、主として、胸部レントゲン検査、シングルスライスCT検査、マルチスライスCT検査等により行うのが一般的であった。また、肺腺癌マーカーとしては、いくつかの報告(CEA, NCC-ST-439)があるが、感度及び特異度の点で臨床的に使用可能なマーカーは存在しなかった。
また、従来、腫瘍マーカーを同定する手法としては、免疫生化学的同定法と呼ばれる方法が知れている。近年、ポストゲノム研究の一環として、病態プロテオミクスと呼ばれるアプローチ、すなわち実際に発現しているタンパク質を一斉に網羅的に分析し、そこから疾患のマーカータンパク質を探索する方法が注目されている。この病態プロテオミクス・アプローチとしては、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析計(MALDI-TOF-MS)を用いる方法やLC-イオントラップ型質量分析計を用いる方法を挙げることができる。
しかしながら、健常者由来の細胞と癌患者由来の細胞とにおけるタンパク質の発現パターンを比較するといった疾患病態解析や薬剤応答性解析のように、多くの因子の変動が予想され、しかもそれぞれの変動量が微細で、個体差や測定誤差などに紛れそうな場合には、上述した病態プロテオミクス・アプローチでは十分な分析能を発揮できない。
川上隆雄,藤田芳司「プロテオミクスの解析技術と臨床応用」 JIM 14, 129-133 (2004).
そこで、本発明者らは、全く新規な解析方法又は解析プログラムを使用することによって、肺腺癌リンパ節転移患者において特異的に発現量が変化するタンパク質を同定することで感度及び/又は特異度に優れた肺腺癌リンパ節転移診断方法及び診断キットを提供することを目的としている。
上述した目的を達成するため、本発明者は、先に出願した病態プロテオミクス解析を可能とする、優れた分析能を達成する試料解析方法及び試料解析プログラム(国際出願番号PCT/JP2004/004621の明細書に記載した試料解析プログラム)を適用して、肺腺癌リンパ節転移に関連し、肺腺癌リンパ節転移の腫瘍マーカーを同定し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下を包含する。
(1) 診断対象者から採取した生体由来試料における、表1に示すタンパク質群から選ばれる少なくとも1以上のタンパク質の発現を測定するステップaと、
測定の結果、前記表1に示すタンパク質の発現量に基づいて肺腺癌リンパ節転移を診断するステップbと、
を含む肺腺癌リンパ節転移診断方法。
(2) 前記ステップaでは、表1に示すタンパク質群から選択された表2に示すタンパク質群から選ばれる少なくとも1以上のタンパク質の発現を測定することを特徴とする(1)記載の肺腺癌リンパ節転移診断方法。
(3) 前記生体由来試料は、組織、細胞、体液、尿及びその他生体試料由来の蛋白質抽出液から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする(1)記載の肺腺癌リンパ節転移診断方法。
(4) 前記細胞は、診断対象者の肺組織から採取されたものであることを特徴とする(3)記載の肺腺癌リンパ節転移診断方法。
(5) 前記ステップaでは、測定対象のタンパク質に対するモノクローナル抗体を用いた免疫組織化学的染色法によって、当該タンパク質の発現を測定することを特徴とする(1)記載の肺腺癌リンパ節転移診断方法。
(6) 前記ステップaでは、測定対象のタンパク質に対するモノクローナル抗体を固定した支持体に、前記診断対象者から採取した生体由来試料からの抽出物を接触させることによって、当該タンパク質の発現を測定することを特徴とする(1)記載の肺腺癌リンパ節転移診断方法。
(7) 表1に示すタンパク質と反応する抗体から構成される群から選ばれる少なくとも1以上の抗体を含む、肺腺癌リンパ節転移診断用検査キット。
(8) 表2に示すタンパク質と反応する抗体から構成される群から選ばれる少なくとも1以上の抗体を含む、肺腺癌リンパ節転移診断用検査キット。
(9) 上記抗体は支持体に固定されていることを特徴とする(7)又は(8)記載の肺腺癌リンパ節転移診断用検査キット。
(10) 6種類の上記抗体を含むことを特徴とする(7)又は(8)記載の肺腺癌リンパ節転移診断用検査キット。
本発明によれば、肺腺癌リンパ節転移を早期に且つ優れた信頼度をもって診断できる肺腺癌リンパ節転移診断方法及び診断キットを提供することができる。
以下、本発明に係る肺腺癌リンパ節転移診断方法及び/又は診断キットを詳細に説明する。
本肺腺癌リンパ節転移診断方法は、診断対象者から採取した生体由来試料における、表1に示すタンパク質群から選ばれる少なくとも1以上のタンパク質の発現を測定するステップaと、前記表1に示すタンパク質の発現量に基づいて肺腺癌リンパ節転移を診断するステップbとを含んでいる。
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表1において「ProteinName」の欄は一般的なタンパク質の名称を意味している。また、「SWISSPROT」の欄はSWISSPROTデータベースに登録されている登録IDであり、「REFSEQ」はRefSeqデータベースに登録されている登録IDである。「Method」は、実施例等において詳細を後述するが、測定方法の種類を意味している。また、「Fold」は、肺腺癌患者群をリンパ節転移陽性群とリンパ節転移陰性群とに分けたとき、両群間における発現量の差を意味している。さらに、「Up/down」は、リンパ節転移陽性群において発現量が増加(Up)したか、発現量が減少(Down)したかを意味している。
また、表1に挙げたタンパク質の中で、リンパ節転移陰性群における発現量と比較して、リンパ節転移陽性群の発現量が1.2倍以上であるタンパク質を表2にまとめる。
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表1に挙げたタンパク質は、試料中に含まれる成分を解析する全く新規な解析方法によって、肺腺癌リンパ節転移と関連していることが新たに同定されたものである。また、表2に挙げたタンパク質は、肺腺癌リンパ節転移とより強く関連していることが新たに同定されたものである。したがって、本発明にかかる肺腺癌リンパ節転移診断方法では、先ず、診断対象者から採取した生体由来試料における、表1又は表2に示すタンパク質群から選ばれる少なくとも1以上のタンパク質の発現を測定する。
ここで、診断対象者としては、特に限定されず、肺癌に罹患した患者、肺癌を疑われた者及び健常者のいずれであっても良い。また、本発明に係る肺腺癌リンパ節転移診断方法は、診断対象者の対して直接何らかの処置を施すものではなく、診断対象者から採取した生体由来試料を用いて実施する。
本発明に係る肺腺癌リンパ節転移診断方法において生体由来試料とは、診断対象者における病態プロテオミクス解析が可能であれば特に限定されないが、例えば、組織、細胞、体液、尿及びその他生体試料由来の蛋白質抽出液を挙げることができる。生体由来試料は、組織、細胞、体液、尿及びその他生体試料由来の蛋白質抽出液のいずれか一種でも複数種でもよい。
組織としては、肺癌罹患患者の治療目的で行われた手術の際に得られた肺組織の一部、肺癌を疑われた診断対象者から生検等によって採取された肺及び/又は気管組織の一部、肺癌又は他臓器癌罹患患者で、原発性か転移性かを鑑別する目的で生検等によって採取された肺及び/又は気管組織の一部、健常者も含めた診断対象者の血液を含む意味である。
また、本発明に係る肺腺癌リンパ節転移診断方法において細胞としては、上記各組織から単離した細胞を使用することができる。また、体液としては、上記血液組織から分離した血漿又は血清、尿、リンパ液、脳脊髄液或いは腹水を使用することができる。本発明に係る肺腺癌リンパ節転移診断方法においてその他の生体由来試料としては、喀痰などから単離した細胞又は蛋白質抽出液を用いることができる。
具体的に、診断対象者から採取した生体由来試料における、表1又は表2に示すタンパク質群から選ばれる少なくとも1以上のタンパク質の発現を測定するには、例えば、測定対象のタンパク質に対するモノクローナル抗原を使用することができる。
なお、測定対象のタンパク質を抗原とし、当該抗原に結合する限り、前記抗体としては特に制限はなく、マウス抗体、ラット抗体、ウサギ抗体、ヒツジ抗体等を適宜用いることができる。抗体は、ポリクローナル抗体であってもモノクローナル抗体であってもよいが、均質な抗体を安定に生産できる点でモノクローナル抗体が好ましい。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体は当業者に周知の方法により作製することができる。
モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、基本的には公知技術を使用し、以下のようにして作製できる。すなわち、所望の抗原や所望の抗原を発現する細胞を感作抗原として使用して、これを通常の免疫方法にしたがって免疫し、得られる免疫細胞を通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合させ、通常のスクリーニング法により、モノクローナルな抗体産生細胞(ハイブリドーマ)をスクリーニングすることによって作製できる。ハイブリドーマの作製は、たとえば、ミルステインらの方法(Kohler. G. and Milstein, C., Methods Enzymol. (1981) 73: 3-46 )等に準じて行うことができる。
ここで、モノクローナル抗体を作製する際には、表1又は表2に示したタンパク質若しくは当該タンパク質の断片を抗原として使用することができ、また、表1又は表2に示したタンパク質若しくは当該タンパク質の断片を発現する細胞を抗原として使用することができる。なお、表1又は表2に示したタンパク質若しくは当該タンパク質の断片は、例えば、Molecuar Cloning: A Laboratory Manual第2版第1−3巻 Sambrook, J.ら著、Cold Spring Harber Laboratory Press出版New York 1989年に記載された方法に準じて、当業者であれば容易に取得することができる。また、表1又は表2に示したタンパク質若しくは当該タンパク質の断片を発現する細胞も、Molecuar Cloning: A Laboratory Manual第2版第1−3巻 Sambrook, J.ら著、Cold Spring Harber Laboratory Press出版New York 1989年に記載された方法に準じて、当業者であれば容易に取得することができる。
なお、表1又は表2に示したタンパク質のアミノ酸配列及び当該タンパク質をコードする塩基配列は、表中「SWISSPROT」の欄は及び「REFSEQ」の欄に記載した登録IDに基づいて各データベースから取得することができる。そして、当業者であれば、各データベースから取得したアミノ酸配列及び塩基配列に基づいて、表1又は表2に示したタンパク質若しくはその断片を定法に従って容易に取得することができる。
得られたモノクローナル抗体は、測定対象のタンパク質の定量用に、エンザイム−リンクイムノソルベントアッセイ(ELISA)、酵素イムノドットアッセイ、ラジオイムノアッセイ、凝集に基づいたアッセイ、あるいは他のよく知られているイムノアッセイ法で検査試薬として用いることができる。また、モノクローナル抗体は標識化されることが好ましい。標識化を行う際、標識化合物としては例えば当分野で公知の酵素、蛍光物質、化学発光物質、放射性物質、染色物質などを使用することができる。
また、本発明に係る癌リンパ節転移診断方法においては、測定対象のタンパク質として、表1又は表2に示すタンパク質群のうち特に限定されないが、肺腺癌リンパ節転移診断の確度及び特異度を最適にするような組み合わせで複数のタンパク質を選択することが好ましい。選択するタンパク質の個数は、特に限定されないが、例えば、3〜10個程度とする。
一方、本発明に係る肺腺癌リンパ節転診断用検査キットは、上述した表1又は表2に示すタンパク質に対する抗体群か選ばれる少なくとも1以上の抗体、好ましくはモノクローナル抗体を有する。ここで、抗体群とは、表1又は表2に示したタンパク質群を構成するタンパク質毎の抗体の集合を意味する。
例えば、当該検査キットは、支持体(例えばマイクロタイターウェルの内壁)に上述したモノクローナル抗体(又はそのフラグメント)を被覆したものを挙げることができる。支持体としてはポリスチレンやポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリビニール製のマイクロタイタープレート、試験管、キャピラリー、ビーズ、膜、フィルターなどが挙げられる。
また、当該検査キットは、特に限定されないが、肺腺癌リンパ節転移診断の確度及び特異度を最適にするような組み合わせで複数の抗体を備える。抗体の個数は、特に限定されないが、例えば、3〜10個程度とする。
以上のようにして、診断対象者から採取した生体由来試料における、表1又は表2に示すタンパク質の発現量を測定した後、本発明にかかる肺腺癌リンパ節転移診断方法では、当該発現量に基づいて肺腺癌リンパ節転移を診断する。
具体的には、術前検査(診断)の生検によって得られる組織を用いる場合は、さらに癌部と非癌部の部分組織又は細胞に細分してそれぞれについて上記検査方法で測定し、その結果を比較することで非癌部に対する癌部におけるタンパク質の発現の増減を直接に判定することができる。また、血液サンプル等、同一患者の同一組織から目的組織と対照組織を同時に得ることができない場合、本出願の表2に挙げる発現量が増加するタンパク質の発現量を、本出願の表1に上げるタンパク質のうち比較的発現変動が小さいものの発現量、あるいはこれ以外の血清アルブミン等一般的な血清学的検査で測定されるタンパク質の量で除算した比を用いて、この値が基準値以上になった場合にリンパ節転移の危険ありと診断することができる。
本発明に係る肺腺癌リンパ節転移診断方法及び検査キットによれば、非常に優れた感度及び/又は優れた特異度で診断対象者の肺腺癌リンパ節転移を診断することができる。ここで、感度とは、肺腺癌リンパ節転移群における陽性率を意味する。特異度とは、肺腺癌リンパ節転移を持たない群における陰性率を意味する。
特に、本発明に係る肺腺癌リンパ節転移診断方法において、測定対象のタンパク質の種類を増やすこと(例えば、6種類のタンパク質)によって、より優れた感度及び/又はより優れた特異度で診断することができる。
本発明に係る肺腺癌リンパ節転移診断方法によれば、手術前の肺腺癌患者から採取した組織を用いた免疫組織化学的染色により、リンパ節転移性をより客観的、特異的に判別することが出来ることから、外科手術後の抗がん剤等による治療のための判断基準となりうる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明に係る技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例では、肺腺癌のリンパ節転移に関連するタンパク質群を同定し、このタンパク質群の一部又は全部を肺腺癌リンパ節転移診断マーカーとして使用できることを検証した。
試料
試料は、36名の異なった肺癌患者より、外科的に切除された肺の組織片を用いた。病理診断により、これらの患者は腫瘍径の大きな群と小さな群、および所属リンパ節への転移が認められる群と認められない群の合計4群に分けられる。
36例の試料を分類したところ、腫瘍径小でリンパ節転移なしの群に10例、腫瘍径大でリンパ節転移なしの群に11例、腫瘍径小でリンパ節転移ありの群に12例、腫瘍径大でリンパ節転移ありの群に3例であった。
測定方法(1)
試料調製および蛋白質分画
ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)用の試料緩衝液中にて各組織片を破砕した。試料緩衝液の組成は以下のとおりである。62.5mMトリス-塩酸(pH6.8)、2%w/v SDS、5%v/v 2-メルカプトエタノール、10%v/vグリセリン、0.0025%w/vブロモフェノールブルー。この懸濁液を室温にて30分間振とうしたのち、上清と沈殿に遠心分離した。上清の蛋白質の濃度をLowry法の変法によって測定した。蛋白質100μg分の試料上清に対して同じ組成の試料緩衝液を加え、総液量を50μLにした。この溶液に対して1Mトリス水溶液を加え、pHを8.8にした。システイン残基の還元アルキル化のため、2μLの400mMジチオトレイトールを加え、60℃にて30分間保温した。つぎに10μLの400mMヨードアセトアミド溶液を加え、室温・暗条件下で60分間放置した。約5μLの1.0N塩酸を加え、pHを6.8に戻した。この溶液をLaemmliのSDS-PAGEにかけた。このとき、ポリアクリルアミドゲルとしては、不連続の緩衝液系、すなわち上部の濃縮ゲル(pH6.8)と下部の分離ゲル(pH8.8)からなるものを使用した。ポリアクリルアミドゲルの濃度は各々4%と12.5%であり、全体の大きさは幅14cm、高さ14cm、および厚さ1mmとした。電気泳動時の電流は一定の10mAとした。色素ブロモフェノールの泳動フロントが濃縮ゲルと分離ゲルの界面から分離ゲルの48mmまで達したところで泳動を停止した。ポリアクリルアミドゲルを40%メタノール、10%酢酸水溶液中で振とうし、ポリアクリルアミドゲル内で分離されている蛋白質を固定した。このあと、ポリアクリルアミドゲルを水で2回洗浄した。洗浄したポリアクリルミドゲルの分離ゲル部分を試料当たり24個のゲル片に切り出し分画した。すなわち、泳動方向に対して垂直の向きに2mmの等幅で梯子状に切り出し、各切片をさらに一辺約1mmのサイコロ状に分割した。
標準蛋白質の調製
内部標準蛋白質はゲル中に固定された状態で各試料ゲル分画に加えた。最初に12.5%のアクリルアミド、0.1%SDS、375mMトリス塩酸(pH8.8)よりなる水溶液に対して、内部標準蛋白質として卵白リゾチーム水溶液を混合し、さらにN, N, N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンと過硫酸アンモニウムを加えた溶液を調製した。次に、1mmの幅をおいて一対のガラス板を重ね合わせ、その1mm幅の間に上記溶液を流し込み、アクリルアミドを重合した。この内部標準蛋白質を含むゲルを直径1.5mmの円形に繰り抜いた。ゲル切片当たり2.5pmolの卵白リゾチームが含まれるように、重合前の水溶液の蛋白質濃度をあらかじめ計算しておいた。
プロテアーゼ消化
上に示した一定量の標準蛋白質を含むゲルの繰り抜き切片を各試料ゲル分画に1個ずつ加えた。つぎに各分画ごとにゲル片を十分量の水で洗浄してからアセトニトリルで脱水した。ゲル片に残った水とアセトニトリルを減圧留去してからトリプシン水溶液をゲル片全部が浸かる程度に加え氷中で45分間放置した。ゲル中に染み込まなかった水溶液を除き、50mM重炭酸アンモニウム水溶液をゲル片全部が浸かる程度に加え、37℃にて16時間保温し消化反応を行った。ゲル片に含まれるペプチド断片の抽出は25mM重炭酸アンモニウム/50%アセトニトリル水溶液で1回、続いて5%蟻酸/50%アセトニトリル水溶液で2回行い、抽出溶液は1個の容器にまとめて減圧濃縮した。
LC-MS解析
各ペプチド試料の三次元プロファイルを得るために、以下に示す装置と操作によってペプチド試料を分析した(Kawakami,T.et al, Jpn.J.Electrophoresis 44: 185-190 (2000))。まず、減圧濃縮したペプチド試料を、トリフルオロ酢酸、アセトニトリルおよび水の混合比が0.1:2:98の溶媒45μlに溶解した。これを溶解液とする。
次に、CTC Analytics社製のオートサンプラーPAL LC-1TMを用い、Michrom BioResources社製のMAGIC MSTM C18キャピラリーカラム(内径0.2mm、長さ50mm、粒径5μm、孔径200オングストローム)に溶解液20μlを導入した。ペプチドの溶出はMAGIC 2002TM HPLCシステム(Michrom BioResources社)を用いて行った。このときのHPLC移動相Aは蟻酸、アセトニトリルおよび水を0.1:2:98の容積比で混合した溶媒とし、これに対して移動相Bの混合比は0.1:90:10とした。そして移動相Bの濃度を5%から85%まで直線勾配で上げ、ペプチド断片を連続的に溶出した。このときの流速は約1μl/minとした。液体クロマトグラフィの溶出液は、New Objective社製のPicoTipTMニードル(内径20μm)を介し、LCQTMイオントラップ型質量分析計(ThermoElectron社)のイオン源に直接導入した。NanoESIニードルの位置は加熱キャピラリーとの距離を微調整できるようになっている。スプレー電圧はニードルではなく、溶離液に直接荷電するようにした。噴霧のためのガスは使用せず、スプレー電圧は1.7kVとした。
測定方法(2)
前述の36検体より、リンパ節転移陽性群に属する6例および、転移陰性群に属する9例の計15例に絞り、下記の手順により測定を行った。
試料調製および蛋白質分画
ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)用の試料緩衝液中にて各組織片を破砕した。試料緩衝液の組成は以下のとおりである。62.5mMトリス-塩酸(pH6.8)、2%w/vSDS、5%v/v2-メルカプトエタノール、10%v/vグリセリン、0.0025%w/vブロモフェノールブルー。この懸濁液を室温にて30分間振とうしたのち、上清と沈殿に遠心分離した。上清の蛋白質の濃度をLowry法の変法によって測定した。蛋白質10μg分の試料上清に対して同じ組成の試料緩衝液を加え、総液量を10μLにした。ここへさらに内部標準蛋白質として、上記試料緩衝液に溶かした2pmol/μLのニワトリ卵白リゾチーム溶液10μLを加えた。この溶液に対して1Mトリス水溶液を加え、pHを8.8にした。システイン残基の還元アルキル化のため、2μLの40mMジチオトレイトールを加え、60℃にて30分間保温した。つぎに10μLの40mMヨードアセトアミド溶液を加え、室温・暗条件下で60分間放置した。約5μLの1.0N塩酸を加え、pHを6.8に戻した。この溶液をLaemmliのSDS-PAGEにかけた。このとき、ポリアクリルアミドゲルとしては、不連続の緩衝液系、すなわち上部の濃縮ゲル(pH6.8)と下部の分離ゲル(pH8.8)からなるものを使用した。ポリアクリルアミドゲルの濃度は各々4%と12.5%とし、全体の大きさは幅14cm、高さ14cm、および厚さ1mmとした。電気泳動時の電流は一定の10mAとした。色素ブロモフェノールの泳動フロントが濃縮ゲルと分離ゲルの界面から分離ゲルの2mmまで達したところで泳動を停止した。ポリアクリルアミドゲルを40%メタノール、10%酢酸水溶液中で振とうし、ポリアクリルアミドゲル内の蛋白質を固定した。このあと、ポリアクリルアミドゲルを水で2回洗浄した。洗浄したポリアクリルミドゲルの分離ゲル部分を切り出し、一辺約1mmのサイコロ状に分割した。
プロテアーゼ消化
上記ゲル片を十分量の水で洗浄してからアセトニトリルで脱水した。ゲル片に残った水とアセトニトリルを減圧留去してからトリプシン水溶液をゲル片全部が浸かる程度に加え氷中で45分間放置した。ゲル中に染み込まなかった水溶液を除き、50mM重炭酸アンモニウム水溶液をゲル片全部が浸かる程度に加え、37℃にて16時間保温し消化反応を行った。ゲル片に含まれるペプチド断片の抽出は25mM重炭酸アンモニウム/50%アセトニトリル水溶液で1回、続いて5%蟻酸/50%アセトニトリル水溶液で2回行い、抽出溶液は1個の容器にまとめて減圧濃縮した。
LC-MS解析
各ペプチド試料の三次元プロファイルを得るために、以下に示す装置と操作によってペプチド試料を分析した(Kawakami,T.et al, Jpn.J.Electrophoresis 44: 185-190 (2000))。まず、減圧濃縮したペプチド試料を、トリフルオロ酢酸、アセトニトリルおよび水の混合比が0.1:2:98の溶媒150μlに溶解した。これを溶解液とする。
次に、CTC Analytics社製のオートサンプラーPAL HTCTMを用い、Michrom BioResources社製のMAGIC MSTM C18キャピラリーカラム(内径0.2mm、長さ50mm、粒径3μm、孔径200オングストローム)に溶解液6μlを導入した。ペプチドの溶出はParadigm MS-4TM HPLCシステム(Michrom BioResources社)を用いて行った。このときのHPLC移動相Aは蟻酸、アセトニトリルおよび水を0.1:2:98の容積比で混合した溶媒とし、これに対して移動相Bの混合比は0.1:90:10とした。そして移動相Bの濃度を5%から85%まで直線勾配で上げ、ペプチド断片を連続的に溶出した。このときの流速は約1μl/minとした。LCの溶出液は、New Objective社製のPicoTipTMニードル(内径20μm)を介し、Finnigan LTQTMイオントラップ型質量分析計(ThermoElectron社)のイオン源に直接導入した。NanoESIニードルの位置は加熱キャピラリーとの距離を微調整できるようになっている。スプレー電圧はニードルではなく、溶離液に直接荷電するようにした。噴霧のためのガスは使用せず、スプレー電圧は2.0kVとした。
データ解析
データ解析は、いずれも、国際出願番号PCT/JP2004/004621の明細書に記載した試料解析プログラム(i-OPALプログラムと称する)を用いて行った。具体的な手順およびパラメータは以下のとおりとした。
解析手順(I)
測定方法(1)により得られたLC-MSプロファイルデータは、36サンプル×24バンド分の、合計864個である。これらのプロファイルデータについて、XcaliburTMのユーティリティソフトウェアを用いてテキストファイルに変換した後、C、C++言語及びPerl言語で作成されたプログラムにより、以下のような手順で解析を行った。
(1)ノイズレベルのデータを除去するため、イオン強度が102以下のシグナルを除去した。
(2)処理時間の節約のために、m/zと保持時間を量子化することでデータ点を集約した。具体的には、保持時間が約1刻みになるよう、シグナル強度が大きなものから順次、時間差1を最大限度に近傍を探し、単調減少する範囲までを1つのシグナルとしてまとめられる範囲とした。またm/zは1刻みになるよう、元データのm/z値の値を丸め、前述の時間範囲内でm/zが同じ値を持つデータ点は加算集計した。
(3)標準物質であるニワトリ卵白リゾチーム由来のシグナルを同定した。すなわち、予備実験で実測した標準物質のm/z値および保持時間の値の前後ある範囲内で、最も高いイオン強度を与えるデータ点を探し、次いでそのデータ点を中心に、イオン強度値が単調減少しかつ0より大きな範囲にあるデータ点を拾い、これらを標準物質由来のシグナルによるデータ点であると見なした。標準物質由来のシグナルの総イオン強度値としては、標準物質由来シグナルと見なされたデータ点のイオン強度の総和をもって当てた。具体的には、ニワトリ卵白リゾチーム由来のm/z値が715近傍及び877近傍のシグナルを標準シグナルとし、サンプルの測定データからこれらの標準物質由来シグナルを探索する際には、m/zについては前後±1の範囲で、保持時間に関してはm/z 715のシグナルについては10分±5分の範囲で、m/z 877のシグナルについては18分±5分の範囲で探索した。但し、得られた標準物質由来シグナルの絶対強度、全シグナル中での相対強度、および2種類の標準物質由来シグナルの強度比のいずれかが他のものに比べてかけ離れているものについては、個別にプロファイルのプロットを確認のうえ、標準物質由来シグナルと考えられるシグナル群のピークが探索時のパラメータの中心点に来るように調整した上で取り直した。得られた標準物質由来シグナルの総イオン強度値をもって、各シグナルのイオン強度を除算し、得られた値に107を乗じることで、標準物質由来のシグナル強度を107に補正した。さらに、便宜上、m/z 715のシグナルとm/z 877のシグナルのピーク位置がそれぞれ保持時間に関して10分、20分となるよう、保持時間軸を線型変換した。
(4)SDS-PAGEによって分画した24バンド分のプロファイルについて、バンド間にまたがって存在する蛋白質の定量性を保証するため、全バンドについて重ね合わせたプロファイルをもって、各試料のプロファイルとして扱った。具体的には、本発明に係る試料解析プログラムの、プロファイル重ね合わせ機能を用い、隣接バンド間のプロファイルを逐次重ね合わせて加算集計した。即ち、まずはバンド1+2, 2+3, 3+4, … , 23+24 のように、共通バンドを有する形で隣接バンドを重ねあわせ、次段階では1+2と2+3から1〜3の重ね合わせ得るという形で、常に最低1バンドは重なるようにして重ねてゆくと、6段階の重ね合わせ操作により、最終的には1〜17と9〜24の重ね合わせによって、全バンドの重ね合わせを得た。なお、重複して重ね合わせたバンドに関しては、最終段階で重複回数を除算することで定量性を保つよう調整した。
重ね合わせの際のi-OPALプログラムのパラメータは以下のとおり:
時間軸上の差(絶対値)のペナルティ1.0、シグナル強度の差のペナルティ1.0(但しシグナル強度を常用対数に変換後の差の絶対値とした)、点の一致に対するボーナス点100、不一致点に対するペナルティ10、標準物質由来シグナルに対する一致のボーナス点1000。また重ね合わせプロファイルの出力オプションは、不一致を含む全ての点とした。さらに重ね合わせの処理が終わるごとに、保持時間とm/zがそれぞれ分解能1.0および1.0となるようデータ点の集約操作を行った。
(5)リンパ節転移のある群とない群を特徴付ける蛋白質を探すため、前述の試料の4種類の分類に従って、まずは群内でプロファイル同士を重ね合わせて集約プロファイルを得、次いで群間について同様にプロファイル重ね合わせ操作を行った。このときの重ね合わせ処理の際のパラメータは、前述のバンド間重ね合わせ処理と同じとした。また重ね合わせ順序については、群内については事前に総当りで行っておいた同一パラメータの下での重ね合わせ処理の評価関数スコアをもとに、近いものから順次重ね合わせた。群間については、まずリンパ節転移のある群内の腫瘍径の違いの2群と、リンパ節転移のない群内での腫瘍径の違いの2群を重ねた後、最終的にリンパ節転移のある群とない群を重ねた。
(6)前述の重ね合わせた順序を逆にたどることで、重ね合わせの出発点となっている36検体×24バンドの元データにたどれるようにし、最終的な全てを重ね合わせたプロファイル上の各点について、元データとの対応を取れるようにした。
(7)最終的な集約プロファイル上の各点について、リンパ節転移ありの検体由来のデータと、なしの検体由来のデータをそれぞれ集計し、これら両群の平均値の差について両側t検定を行った。
(8)上述の検定によりp値が0.001未満で、かつ集約されたシグナルに対して生データのLC-MSプロファイル上のデータ点が少なくとも5つ以上存在する点に限って、転移陽性群と陰性群の間で有意な差を持つシグナルとして選別した。選別されたシグナルについて、シグナルの情報をもとにターゲットMS/MSを行い、あるいは別途行ったMS/MS解析から、蛋白質同定ソフトMASCOTTMを用いて、シグナルが由来するところの蛋白質同定を行った。探索に用いた蛋白質配列データベースはSWISS-PROTおよびRefSeqである。得られた同定結果はMASCOTのスコアが30以上のものに限定した。
(9)このようにして得られた同定結果を、これまで述べた定量結果と照合させるために、m/zの許容範囲を±0.25、保持時間の許容範囲を±6分に設定したところ、739個のシグナルが得られた。それぞれの点に対応するペプチドシグナルを蛋白質レベルで集約した際に、転移陰性群に対する転移陽性群のシグナル強度の比(fold)が一定の値に収まるものだけを選ぶため、foldの標準偏差が0.8以内に収まるものだけにさらに限定すると、蛋白質データベースエントリー数にして195個と関連付けられた。
解析手順(II)
出発点の解析データおよび解析手順は殆ど(I)と同様である。ただし、(2)の量子化処理は行わずに、(3)の標準物質由来シグナルの探索を行った。この際、(I)の方法のように単に強度が単調減少する範囲で周辺シグナルを探索するのではなく、シグナル強度がガウス分布で近似できると仮定して分布が当てはめられる範囲内のシグナルを拾う処理を行った。得られた標準物質シグナルを用いてシグナル強度の補正は行ったが、相対保持時間への変換はここでは行っていない。分画によるバンド間のプロファイルの集約方法は(I)に同じ。また、重ね合わせの際のi-OPALプログラムのパラメータは以下のとおり:
時間軸上の差(絶対値)のペナルティ0.1、シグナル強度の差のペナルティ0.1(但しシグナル強度を常用対数に変換後の差の絶対値とした)、点の一致に対するボーナス点0.1、不一致点に対するペナルティ100、標準物質由来シグナルに対する一致のボーナス点10000。また重ね合わせプロファイルの出力オプションは、不一致を含む全ての点とし、2段階め以降の重ね合わせで以前一致している点に再度重ねた場合のボーナス点を100とした。
(5)リンパ節転移のある群とない群を特徴付ける蛋白質を探すため、まずは転移陽性と陰性の各群内でプロファイル同士を重ね合わせて集約プロファイルを得、次いで群間について同様にプロファイル重ね合わせ操作を行った。この手順も(I)と同じ。群間でのプロファイル重ね合わせが終わった時点で、(2)の量子化に相当するシグナル検出を行った。シグナルの検出範囲は、保持時間が前後2分(絶対範囲4分)、m/zが前後1.0(絶対範囲2.0)とした。(6)、(7)の元データとの対応付けおよび統計検定は手順(I)と同じ。
また、得られた定量シグナルの選別条件、および蛋白質同定の手順と条件も(I)に同じ。
定量結果と同定結果を照合する際のパラメータは、保持時間に関してはMSのスキャン数にして前後それぞれ20以内にあること、m/zに関しては小数第1位で一致することを条件とした。絞り込まれたシグナルは823個、さらに(I)で述べたようにfoldの標準偏差が0.5以下に収まるものに限定したところ、蛋白質データベースエントリー数は389個であった。
解析手順(III)
出発点の解析データを、測定方法(2)に記載したLTQによるものとし、解析手順はほぼ(II)に準じて行った。i-OPALのパラメータも含めて(II)と同様である。
最後の定量結果と同定結果の照合に際しては、LTQを用いた場合には1回の測定で同時に定量解析用データと同定用のMS/MSデータが得られるため、両者の突合せは最初の測定データに遡って直接照合することで行った。
絞り込まれたシグナルは1,134個、foldの標準偏差が0.07以下に収まるものに限定したところ、対応する蛋白質データベースエントリー数は551個であった。
転移マーカーリストの作成
上述の解析手順(I)から(III)の方法のいずれかで得られた蛋白質を全て集約することで、計751個の蛋白質名が得られたが、さらに同じ蛋白質の重複したエントリーを排除した結果、604個の転移関連蛋白質リストを得た(表1)。特に604個の転移関連蛋白質リストのなかで、リンパ節転移群で1.2倍以上に有意に発現量が増加している蛋白質として151個のタンパク質を同定した(表2)。なお、表1及び表2「Method」の欄において、「LCQ/1.0」とは解析手段(I)を意味し、「LCQ/2.0」とは解析手段(II)を意味し、「LTQ」とは解析手段(III)を意味する。

Claims (10)

  1. 診断対象者から採取した生体由来試料における、表1に示すタンパク質群から選ばれる少なくとも1以上のタンパク質の発現を測定するステップaと、
    測定の結果、前記表1に示すタンパク質の発現量に基づいて肺腺癌リンパ節転移を診断するステップbと、
    を含む肺腺癌リンパ節転移診断方法。
  2. 前記ステップaでは、表1に示すタンパク質群から選択された表2に示すタンパク質群から選ばれる少なくとも1以上のタンパク質の発現を測定することを特徴とする請求項1記載の肺腺癌リンパ節転移診断方法。
  3. 前記生体由来試料は、組織、細胞、体液、尿及びその他生体試料由来の蛋白質抽出液から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1記載の肺腺癌リンパ節転移診断方法。
  4. 前記細胞は、診断対象者の肺組織から採取されたものであることを特徴とする請求項3記載の肺腺癌リンパ節転移診断方法。
  5. 前記ステップaでは、測定対象のタンパク質に対するモノクローナル抗体を用いた免疫組織化学的染色法によって、当該タンパク質の発現を測定することを特徴とする請求項1記載の肺腺癌リンパ節転移診断方法。
  6. 前記ステップaでは、測定対象のタンパク質に対するモノクローナル抗体を固定した支持体に、前記診断対象者から採取した生体由来試料からの抽出物を接触させることによって、当該タンパク質の発現を測定することを特徴とする請求項1記載の肺腺癌リンパ節転移診断方法。
  7. 表1に示すタンパク質と反応する抗体から構成される群から選ばれる少なくとも1以上の抗体を含む、肺腺癌リンパ節転移診断用検査キット。
  8. 表2に示すタンパク質と反応する抗体から構成される群から選ばれる少なくとも1以上の抗体を含む、肺腺癌リンパ節転移診断用検査キット。
  9. 上記抗体は支持体に固定されていることを特徴とする請求項7又は8記載の肺腺癌リンパ節転移診断用検査キット。
  10. 6種類の上記抗体を含むことを特徴とする請求項7又は8記載の肺腺癌リンパ節転移診断用検査キット。
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