JP2016224013A - 早期診断用肺癌診断薬及びその利用 - Google Patents

早期診断用肺癌診断薬及びその利用 Download PDF

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佐藤 雄一
Yuichi Sato
雄一 佐藤
信 小林
Makoto Kobayashi
信 小林
和男 鉢村
Kazuo Hachimura
和男 鉢村
亮 長塩
Akira Nagashio
亮 長塩
世旭 蒋
shi-xu Jiang
世旭 蒋
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Abstract

【課題】治療可能な早期に肺癌を発見することができる肺癌マーカーを提供する。【解決手段】カルネキシンに対する特異的結合物質又はカルネキシン遺伝子を増幅可能なプライマーセットを有効成分とする、早期診断用肺癌診断薬。【選択図】なし

Description

本発明は、早期診断用肺癌診断薬及びその利用に関する。より具体的には、早期診断用肺癌診断薬、被検者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量が、健常者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量よりも多いか否かを判定する方法、及び、被検者由来の生体試料におけるカルネキシン遺伝子の発現量が、健常者由来の生体試料におけるカルネキシン遺伝子の発現量よりも多いか否かを判定する方法に関する。
肺癌は薬剤感受性の高い小細胞肺癌と、薬剤感受性の低い非小細胞肺癌に分類される。小細胞肺癌は肺癌全体の2割を占め、非小細胞肺癌は肺癌全体の8割を占める。非小細胞肺癌は更に肺腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌に分類される。
肺癌は、発生頻度が高く、また膵臓癌と並び難治性癌の代表であり、患者が病状に気付く時には、治療不可能な状態まで進行していることが多い。従来、肺癌の診断は胸部X線検査と喀痰液の細胞学検査を組み合わせて行われてきたが、治療可能な早期に肺癌を発見することが難しい場合が多かった。
これまでに、HCAVIIIがヒト非小細胞肺癌の肺癌マーカーとして単離され、当該肺癌マーカーに対する抗体をヒト非小細胞肺癌の診断及び治療に用いることが検討されている(例えば、特許文献1を参照)。
ところで、ヒトカルネキシンは、小胞体において新たに合成された糖タンパク質と相互作用するカルシウム結合蛋白質として知られている。ヒトカルネキシンは、小胞体中で合成されるタンパク質の品質管理の役割を持つほか、タンパク質の折りたたみや分泌、抗原提示等に関わっている。また、ヒトカルネキシンの細胞質ドメインがカスパーゼにより切断され、その断片がアポトーシスを抑制すると考えられている(例えば、非特許文献1を参照)。
特表平10−503087号公報
Takizawa T., et al., Cleavage of calnexin caused by apoptotic stimuli: implication for the regulation of apoptosis., J. Biochem., 136(3), 399-405, 2004.
上述したように、治療可能な早期に肺癌を発見することは難しい場合が多い。そこで本発明は、治療可能な早期に肺癌を発見することができる肺癌マーカーを提供することを目的とする。
本発明は、以下の通りである。
(1)カルネキシンに対する特異的結合物質又はカルネキシン遺伝子を増幅可能なプライマーセットを有効成分とする、早期診断用肺癌診断薬。
(2)前記肺癌が、肺腺癌、肺扁平上皮癌、小細胞肺癌又は大細胞性神経内分泌肺癌である、(1)に記載の肺癌診断薬。
(3)被検者由来の血清、血漿、組織又は尿を試料に用いるものである、(1)又は(2)に記載の肺癌診断薬。
(4)カルネキシンに対する特異的結合物質を有効成分とし、逆相タンパク質アレイ用である、(1)〜(3)のいずれかに記載の肺癌診断薬。
(5)被検者由来の生体試料及び健常者由来の生体試料をそれぞれ固相に固定する工程と、前記固相にカルネキシンに対する特異的結合物質を反応させる工程と、前記被検者由来の生体試料に結合した前記特異的結合物質の量及び前記健常者由来の生体試料に結合した前記特異的結合物質の量を測定し、いずれが多いかを判定する工程と、前記被検者由来の生体試料に結合した前記特異的結合物質の量が、前記健常者由来の生体試料に結合した前記特異的結合物質の量よりも多い場合に、前記被検者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量が、前記健常者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量よりも多いと判定する工程と、を備える、被検者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量が、健常者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量よりも多いか否かを判定する方法。
(6)被検者由来の生体試料を固相に固定する工程と、前記固相にカルネキシンに対する特異的結合物質を反応させる工程と、前記被検者由来の生体試料に結合した前記特異的結合物質の量を測定し、予め設定された基準値と比較する工程と、前記被検者由来の生体試料に結合した前記特異的結合物質の量が、前記基準値よりも多い場合に、前記被検者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量が、健常者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量よりも多いと判定する工程と、を備える、被検者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量が、健常者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量よりも多いか否かを判定する方法。
(7)被検者由来の生体試料及び健常者由来の生体試料におけるカルネキシン遺伝子の発現量を測定する工程を備える、被検者由来の生体試料におけるカルネキシン遺伝子の発現量が、健常者由来の生体試料におけるカルネキシン遺伝子の発現量よりも多いか否かを判定する方法。
(8)被検者由来の生体試料におけるカルネキシン遺伝子の発現量を測定し、予め設定された基準値と比較する工程を備える、被検者由来の生体試料におけるカルネキシン遺伝子の発現量が、健常者由来の生体試料におけるカルネキシン遺伝子の発現量よりも多いか否かを判定する方法。
本発明によれば、治療可能な早期に肺癌を発見することができる肺癌マーカーを提供することができる。また、被検者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量が、健常者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量よりも多いか否かを判定する方法、被検者由来の生体試料におけるカルネキシン遺伝子の発現量が、健常者由来の生体試料におけるカルネキシン遺伝子の発現量よりも多いか否かを判定する方法を提供することができる。
肺癌患者及び健常者の血清中のカルネキシンレベルを示すグラフである。 肺癌患者及び健常者の間のROC解析によるAUC曲線を示すグラフである。
<早期診断用肺癌診断薬>
1実施形態において、本発明は、カルネキシンに対する特異的結合物質又はカルネキシン遺伝子を増幅可能なプライマーセットを有効成分とする、早期診断用肺癌診断薬を提供する。
本明細書において、「早期診断用」とは、ステージIの肺癌を検出できることを意味する。実施例において後述するように、発明者らは、肺腺癌、肺扁平上皮癌、小細胞肺癌及び大細胞神経内分泌癌の患者の血清中のカルネキシンの存在量が、健常者のそれよりも有意に増加していることを見出した。また、これらの肺癌に罹患しているか否かの判定は、ステージIから可能であった。したがって、本実施形態の早期診断用肺癌診断薬によれば、肺癌の種類に関わらず、初期段階から肺癌を検出することができる。
本実施形態の早期診断用肺癌診断薬は、被検者由来の血清、血漿、組織又は尿を試料に用いるものであってもよい。また、カルネキシンに対する特異的結合物質を有効成分とするものであってもよいし、カルネキシン遺伝子を増幅可能なプライマーセットを有効成分とするものであってもよい。
カルネキシンに対する特異的結合物質としては、抗体、抗体断片、アプタマー等が挙げられる。抗体は、例えば、マウス等の動物にカルネキシンタンパク質又はその断片を抗原として免疫することによって作製することができる。あるいは、例えば、ファージライブラリーのスクリーニングにより作製することができる。抗体断片としては、Fv、Fab、scFv等が挙げられる。
抗カルネキシン抗体は、モノクローナル抗体であってもよく、ポリクローナル抗体であってもよい。また、市販の抗体であってもよく、後述する実施例において使用したモノクローナル抗体KU−Lad−001であってもよい。
アプタマーとは、標識物質に対する特異的結合能を有する物質である。アプタマーとしては、核酸アプタマー、ペプチドアプタマー等が挙げられる。標識ペプチドに特異的結合能を有する核酸アプタマーは、例えば、systematic evolution of ligand by exponential enrichment(SELEX)法等により選別することができる。また、標識ペプチドに特異的結合能を有するペプチドアプタマーは、例えば酵母を用いたTwo−hybrid法等により選別することができる。
本実施形態の早期診断用肺癌診断薬が、カルネキシン遺伝子を増幅可能なプライマーセットを有効成分とするものである場合には、例えば、被検者由来の組織を試料に用いた逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)により、カルネキシン遺伝子の発現を検出するものであってもよい。
カルネキシン遺伝子を増幅可能なプライマーセットとしては、カルネキシン遺伝子を増幅可能なセンスプライマー及びアンチセンスプライマーのセットであれば特に制限なく用いることができる。当業者は、カルネキシン遺伝子を増幅可能なプライマーセットを適宜設計することができる。
また、本実施形態の早期診断用肺癌診断薬が、カルネキシンに対する特異的結合物質を有効成分とするものである場合には、被検者由来の血清、血漿、組織又は尿を試料に用い、試料中のカルネキシンタンパク質を検出するものであってもよい。カルネキシンタンパク質の検出方法としては、サンドイッチELISA、ウエスタンブロット、逆相タンパク質アレイを用いた検出、組織切片の免疫染色等が挙げられる。なお、逆相タンパク質アレイを用いた検出とは、試料を固相にアレイ状に固定し、特定物質に特異的な抗体等を反応させることにより、試料中の特定物質を検出する解析方法である。
<被検者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量が、健常者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量よりも多いか否かを判定する方法>
1実施形態において、本発明は、被検者由来の生体試料及び健常者由来の生体試料をそれぞれ固相に固定する工程(a)と、前記固相にカルネキシンに対する特異的結合物質を反応させる工程(b)と、前記被検者由来の生体試料に結合した前記特異的結合物質の量及び前記健常者由来の生体試料に結合した前記特異的結合物質の量を測定し、いずれが多いかを判定する工程(c)と、前記被検者由来の生体試料に結合した前記特異的結合物質の量が、前記健常者由来の生体試料に結合した前記特異的結合物質の量よりも多い場合に、前記被検者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量が、前記健常者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量よりも多いと判定する工程(d)と、を備える、被検者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量が、健常者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量よりも多いか否かを判定する方法を提供する。
[工程(a)]
本工程において、被検者由来の生体試料及び健常者由来の生体試料をそれぞれ固相に固定する。固相としては、スライドガラス、イムノプレート、膜、ビーズ等が挙げられる。固相は、タンパク質を吸着しやすいよう表面処理を施されていることが好ましい。
[工程(b)]
本工程において、上記の固相にカルネキシンに対する特異的結合物質を反応させる。特異的結合物質としては上述したものが挙げられる。
[工程(c)]
本工程において、被検者由来の生体試料に結合した特異的結合物質の量及び健常者由来の生体試料に結合した特異的結合物質の量を測定し、いずれが多いかを判定する。
特異的結合物質の量は、例えば、特異的結合物質を予め蛍光色素で標識しておき、当該蛍光色素が発する蛍光強度を測定することにより測定することができる。あるいは、特異的結合物質に、蛍光標識された2次抗体等を反応させ、当該蛍光色素が発する蛍光強度を測定することにより測定してもよい。また、上記の特異的結合物質又は2次抗体は、蛍光色素ではなく酵素で標識されており、当該酵素の基質を反応させて得られた反応物を測定する構成としてもよい。酵素としては、例えば、アルカリフォスファターゼ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ等が挙げられる。
[工程(d)]
本工程において、被検者由来の生体試料に結合した特異的結合物質の量が、健常者由来の生体試料に結合した特異的結合物質の量よりも多い場合に、被検者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量が、健常者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量よりも多いと判定する。
被検者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量が、健常者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量よりも多い場合、被検者は肺癌に罹患している可能性がある。すなわち、本実施形態の方法は、肺癌の診断方法であるともいえる。本実施形態の方法によれば、肺癌の種類に関わらず、初期段階から肺癌を検出することができる。
[変形例]
本実施形態の方法においては、上述した工程(a)〜(d)に健常者由来の生体試料を供した場合に、健常者由来の生体試料に結合する特異的結合物質の量を予め測定して基準値として求めておき、被検者由来の生体試料に結合する特異的結合物質の量を上記基準値と比較する構成としてもよい。
すなわち、本実施形態の方法は、被検者由来の生体試料を固相に固定する工程と、前記固相にカルネキシンに対する特異的結合物質を反応させる工程と、前記被検者由来の生体試料に結合した前記特異的結合物質の量を測定し、予め設定された基準値と比較する工程と、前記被検者由来の生体試料に結合した前記特異的結合物質の量が、前記基準値よりも多い場合に、前記被検者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量が、健常者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量よりも多いと判定する工程と、を備えるものであってもよい。
これにより、毎回、健常者由来の生体試料を上述した工程(a)〜(d)に供しなくても、被検者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量が、健常者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量よりも多いか否かを判定することができる。
<被検者由来の生体試料におけるカルネキシン遺伝子の発現量が、健常者由来の生体試料におけるカルネキシン遺伝子の発現量よりも多いか否かを判定する方法>
1実施形態において、本発明は、被検者由来の生体試料及び健常者由来の生体試料におけるカルネキシン遺伝子の発現量を測定する工程を備える、被検者由来の生体試料におけるカルネキシン遺伝子の発現量が、健常者由来の生体試料におけるカルネキシン遺伝子の発現量よりも多いか否かを判定する方法を提供する。
[カルネキシン遺伝子の発現量を測定する工程]
本工程において、被検者由来の生体試料及び健常者由来の生体試料におけるカルネキシン遺伝子の発現量を測定する。
生体試料としては組織等が挙げられる。例えば、肺癌の可能性が考えられる生検組織であってもよい。
カルネキシン遺伝子の発現量は、例えば、RT−PCR、ノーザンブロッティング等により測定することができる。発現量の測定は定量的であることが好ましい。
被検者由来の生体試料中のカルネキシンの発現量が健常者のそれと比較して多い場合には、被検者は肺癌に罹患している可能性がある。すなわち、本実施形態の方法は、肺癌の診断方法であるともいえる。本実施形態の方法によれば、肺癌の種類に関わらず、初期段階から肺癌を検出することができる。
[変形例]
本実施形態の方法においては、健常者由来の生体試料におけるカルネキシンの発現量を予め測定して基準値として求めておき、被検者由来の生体試料におけるカルネキシンの発現量を測定して上記基準値と比較する構成としてもよい。
すなわち、本実施形態の方法は、被検者由来の生体試料におけるカルネキシン遺伝子の発現量を測定し、予め設定された基準値と比較する工程を備えるものであってもよい。
これにより、毎回、健常者由来の生体試料におけるカルネキシンの発現量を測定しなくても、被検者由来の生体試料におけるカルネキシンの発現量が、健常者由来の生体試料におけるカルネキシンの発現量よりも多いか否かを判定することができる。
次に実験例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。また、本研究は、北里大学医学部の倫理委員会に「原発性肺癌に関するプロテオーム解析による診断マーカーの検索」という課題名で申請し承認を得ており、その後も継続申請し、承認されている(B倫理07−06)。
[実験例1]
(抗カルネキシン抗体の作製)
ヒト肺腺癌(adenocarcinoma、AC)由来細胞株であるA549細胞株でマウスを免疫し、定法によりハイブリドーマを作製した。A549細胞株の固定標本の染色性を指標として、作製したハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体のスクリーニングを行った結果、188個の肺癌特異的モノクローナル抗体が得られた。得られた肺癌特異的モノクローナル抗体の1つをKU−Lad−001と命名した。
続いて、モノクローナル抗体KU−Lad−001が認識する抗原タンパク質を同定した。まず、A549細胞破砕物を試料とした免疫沈降を行った結果、モノクローナル抗体KU−Lad−001が認識する抗原タンパク質は約90kDaの分子量を有することが明らかとなった。
続いて、上記のタンパク質をMALDI−TOF/TOF−MS解析及びMASCOTサーチにより解析した結果、カルネキシン(アクセッション番号P27824)であることが明らかとなった。カルネキシンは、592アミノ酸からなる分子量約90kDaのタンパク質である。
[実験例2]
(逆相タンパク質アレイ解析)
肺癌患者195人及び健常人100人から血清を採取し試料とした。肺癌患者には、肺腺癌(AC)、肺扁平上皮癌(Squamous cell carcinoma、SCC)、小細胞肺癌(small cell lung cancer、SCLC)及び大細胞性神経内分泌肺癌(large cell neuroendocrine carcinoma、LCNEC)に罹患したステージI〜IVの患者が含まれていた。
上記の血清試料を逆相タンパク質アレイにより解析した。具体的には、まず、血清試料を0.01%Triton X−100−リン酸バッファー(PBS)で100倍希釈した。続いて、ガラススライドマイクロアレイヤー(V&Pサイエンティフィク社)を使用して、スライドガラス(商品名「ProteoChip Glass Slide」、Proteogen社、又は商品名「DMSO対応TYPE1高密度化アミノ基導入タイプスライドグラス」、マツナミ社)上に、各血清試料について2スポットずつ、640スポット/スライドガラスの密度でスポットした。血清試料をスポットしたスライドガラスは、37℃で4時間静置して乾燥させた。
続いて、スライドガラスを0.5w/v%カゼインナトリウム(和光純薬)を用いて室温で1時間ブロッキングした後、抗カルネキシンモノクローナル抗体KU−Lad−001を室温で1時間反応させた。
続いて、上記のスライドガラスに、100倍希釈したビオチン標識抗マウスIgG抗体(型式「BA−2000」、ベクターラボラトリー社)を室温で1時間反応させた。
続いて、1000倍希釈したストレプトアビジン−セイヨウワサビペルオキシダーゼ複合体(GEヘルスケアバイオサイエンス社)を室温で30分間反応させた。
続いて、100倍希釈した検出試薬(商品名「Tyramide Signal Amplification Cyanine 5 System」、パーキンエルマー社)を室温で20分間反応させた。
また、上記のスライドガラスに、200倍希釈したアレクサフルオロ546標識ヤギ抗ヒトIgG(ライフテクノロジーズ社)を室温で5分間反応させて対比染色も行った。
続いて、染色されたスライドガラスを、マイクロアレイスキャナー(型式「Genepix4000b」、モレキュラーデバイス社)でスキャンした。スキャンデータをもとに、各サンプルの蛍光強度を、ソフトウエア(商品名「Genepix pro 6.0」、モレキュラーデバイス社)を用いて2スポットの中央値として数値化した。
(統計解析)
数値化された肺癌患者及び健常者の血清中のカルネキシンレベルを、マン・ホイットニーのU検定により統計的に解析した。感度(sensitivity)、特異度(specificity)及びROC解析によるAUC曲線下面積は、ソフトウエア(商品名「StatFlex」、Artiteck社)を使用して計算した。
図1及び表1に、肺癌患者及び健常者の血清中のカルネキシンレベルを示す。図1のグラフの縦軸は、肺癌患者及び健常者の血清中のカルネキシンレベルに対応するシグナル強度(相対値)である。図1中、「AC」は肺腺癌患者の結果を示し、「SCC」は肺扁平上皮癌患者の結果を示し、「SCLC」は小細胞肺癌患者の結果を示し、「LCNEC」は大細胞性神経内分泌肺癌患者の結果を示し、かっこ内の数字はn数を示す。また、表1には、血清中のカルネキシンレベルに加えて、癌の臨床病理学的な特徴も示す。表1中、「AC」、「SCC」、「SCLC」、「LCNEC」は図1と同様の意味を示す。
その結果、肺癌患者の血清中のカルネキシンレベルは、肺癌の種類に関わらず、健常者と比較して、危険率0.01%未満で有意に高かった。より具体的には、図1及び表1に示すように、肺癌患者の血清中のカルネキシンレベルの相対値は、0.00〜4.31(中央値:3.74)で分布していた。また、健常者の血清中のカルネキシンレベルの相対値は、0.00〜3.29(中央値:2.13)で分布していた。
図2は、肺癌患者及び健常者の間のROC解析によるAUC曲線を示すグラフである。図2に示すように、肺癌患者及び健常者の間のAUC曲線下面積は0.980であった。
最適なカットオフ値である2.49を適用した場合、肺癌の診断の感度及び特異度は、それぞれ99.0%及び96.9%であり、陰性的中率(negative predictive value)及び陽性的中率(positive predictive value)はそれぞれ96.4%及び90.5%であった。また、表1に示すように、血清中のカルネキシンレベルと癌の臨床病理学的な特徴とには関連性が認められなかった。
Figure 2016224013
本発明によれば、治療可能な早期に肺癌を発見することができる肺癌マーカーを提供することができる。また、被検者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量が、健常者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量よりも多いか否かを判定する方法、被検者由来の生体試料におけるカルネキシン遺伝子の発現量が、健常者由来の生体試料におけるカルネキシン遺伝子の発現量よりも多いか否かを判定する方法を提供することができる。

Claims (8)

  1. カルネキシンに対する特異的結合物質又はカルネキシン遺伝子を増幅可能なプライマーセットを有効成分とする、早期診断用肺癌診断薬。
  2. 前記肺癌が、肺腺癌、肺扁平上皮癌、小細胞肺癌又は大細胞性神経内分泌肺癌である、請求項1に記載の肺癌診断薬。
  3. 被検者由来の血清、血漿、組織又は尿を試料に用いるものである、請求項1又は2に記載の肺癌診断薬。
  4. カルネキシンに対する特異的結合物質を有効成分とし、逆相タンパク質アレイ用である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の肺癌診断薬。
  5. 被検者由来の生体試料及び健常者由来の生体試料をそれぞれ固相に固定する工程と、
    前記固相にカルネキシンに対する特異的結合物質を反応させる工程と、
    前記被検者由来の生体試料に結合した前記特異的結合物質の量及び前記健常者由来の生体試料に結合した前記特異的結合物質の量を測定し、いずれが多いかを判定する工程と、
    前記被検者由来の生体試料に結合した前記特異的結合物質の量が、前記健常者由来の生体試料に結合した前記特異的結合物質の量よりも多い場合に、前記被検者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量が、前記健常者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量よりも多いと判定する工程と、
    を備える、被検者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量が、健常者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量よりも多いか否かを判定する方法。
  6. 被検者由来の生体試料を固相に固定する工程と、
    前記固相にカルネキシンに対する特異的結合物質を反応させる工程と、
    前記被検者由来の生体試料に結合した前記特異的結合物質の量を測定し、予め設定された基準値と比較する工程と、
    前記被検者由来の生体試料に結合した前記特異的結合物質の量が、前記基準値よりも多い場合に、前記被検者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量が、健常者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量よりも多いと判定する工程と、
    を備える、被検者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量が、健常者由来の生体試料中のカルネキシンの存在量よりも多いか否かを判定する方法。
  7. 被検者由来の生体試料及び健常者由来の生体試料におけるカルネキシン遺伝子の発現量を測定する工程を備える、被検者由来の生体試料におけるカルネキシン遺伝子の発現量が、健常者由来の生体試料におけるカルネキシン遺伝子の発現量よりも多いか否かを判定する方法。
  8. 被検者由来の生体試料におけるカルネキシン遺伝子の発現量を測定し、予め設定された基準値と比較する工程を備える、被検者由来の生体試料におけるカルネキシン遺伝子の発現量が、健常者由来の生体試料におけるカルネキシン遺伝子の発現量よりも多いか否かを判定する方法。
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