JPWO2016013400A1 - 肺癌診断用バイオマーカー - Google Patents
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Abstract
本発明は、被験者由来の試料から回収された免疫複合体における、gelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出することを含む、肺癌の検査方法およびgelsolinを特異的に認識する抗体および/またはcomplement component C9を特異的に認識する抗体を含む、肺癌の検査用キットを提供する。
Description
本発明は肺癌の新規バイオマーカーを標的とした、肺癌の検査方法、薬効評価方法および検査キットに関する。
抗体はBリンパ球から産生されるタンパク質の1種であり、体外から侵入する非自己(細菌、ウイルス等)を認識し、これらと結合することで白血球やマクロファージを活性化することによって生体防御に大きな役割を果たしている。このように抗体は、本来、非自己である生体異物を認識し、排除する働きをもつ。しかし、ある種の疾患では、自己の正常な細胞や組織を認識する抗体が産生されると免疫複合体(イムノコンプレックス)が形成されることがある。このような疾患としては、自己免疫疾患が知られているほか、ウイルスや細菌感染、がんなどでも免疫複合体が形成されることが知られている。特にがんは、早期発見が予後や治療方針に大きく影響を与えることから、がん特異的免疫複合体の探索には大きなニーズが存在する。
近年、プロテオーム解析が多くの生命分析科学研究領域において利用され始め、疾患の原因や発症のメカニズムの解明手段として有望視されてきている。特に全てのタンパク質を酵素分解によりペプチド断片化し、これを高速液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析計(LC−MS/MS)で解析するショットガンプロテオミクスが開発され、疾患マーカーの探索などが迅速、効率的かつ再現性良く行えるようになってきた。また、抗体マイクロアレイを用いて血清中の免疫複合体を同定し、大腸癌特異的な免疫複合体を形成した抗原タンパク質を網羅的に特定する方法も報告されている(非特許文献1)。本発明者らは、免疫複合体を捕集してプロテオミクスによって免疫複合体中の抗原を網羅的に同定する“イムノコンプレキソーム解析法”を開発し、該方法を用いて関節リウマチ患者でのみ特異的に検出される2種類の自己抗原タンパク質(トロンボスポンジン-1、血小板第4因子)を特定することに成功した(特許文献1、非特許文献2、3)。しかし、肺癌においては、例えば、p53に対する遊離抗体の存在は知られているものの、肺癌特異的な抗原に対する免疫複合体が見出されたとの報告はこれまでにない。
Rho JH et al: J Proteome Res. 2013; 12(5): 2311-20.
K. Ohyama et al: Clin. Chem. 2011; 57: 905-909
K. Ohyama et al: Ann. Rheum. Dis. 2012; 71: 1916-1917
本発明の目的は、肺癌の診断のための検査、薬効評価方法および検査キットなどを提供することである。
免疫複合体は自己免疫疾患以外にも悪性腫瘍で高値を示すことが知られている。また、肺癌や大腸癌などでは近年、自己抗体検査が早期診断に用いられるようになっており、血清中で癌特異的な免疫複合体が形成される可能性は十分にあると考えられた。そこで発明者らは癌患者(肺癌、大腸癌、悪性リンパ腫)由来の血清を用いてイムノコンプレキソーム解析を行い、疾患特異的な免疫複合体の探索を試みた。その結果、肺癌の新規マーカーを見出した。
本発明者らは、これらの知見に基づいてさらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
本発明者らは、これらの知見に基づいてさらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
[1]被験者由来の試料から回収された免疫複合体における、gelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出することを含む、肺癌の検査方法;
[2]以下の工程を含む、[1]に記載の検査方法:
(1)被験者由来の試料から免疫複合体を回収する工程、
(2)該免疫複合体を分解し、分解産物を分離する工程、
(3)分離した分解産物を質量分析することによって、該免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出する工程;
[3]以下の工程を含む、[1]に記載の検査方法:
(1)被験者由来の試料から免疫複合体を回収する工程、
(2)免疫学的測定法によって該免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出する工程;
[4]肺癌が肺腺癌である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の検査方法;
[5]試料が血液、血清または組織である、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の検査方法;
[6]プロテインGまたはプロテインAを用いて免疫複合体を回収することを特徴とする、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の検査方法;
[7]治療中または治療を受けた肺癌患者から経時的に採取された試料から回収した免疫複合体における、gelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出し、経時的に比較することを含む、肺癌患者に対する治療効果の評価方法;
[8]以下の工程を含む、[7]に記載の評価方法:
(1)治療中または治療を受けた肺癌患者由来の経時的に採取された試料から免疫複合体を回収する工程、
(2)該免疫複合体を分解し、分解産物を分離する工程、
(3)分離した分解産物を質量分析することによって、該免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出し、経時的に比較する工程;
[9]以下の工程を含む、[7]に記載の評価方法:
(1)治療中または治療を受けた肺癌患者由来の経時的に採取された試料から免疫複合体を回収する工程、
(2)免疫学的測定法によって該免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出し、経時的に比較する工程;
[10]肺癌が肺腺癌である、[7]〜[9]のいずれか1つに記載の評価方法;
[11]試料が血液、血清または組織である、[7]〜[10]のいずれか1つに記載の評価方法;
[12]プロテインGまたはプロテインAを用いて免疫複合体を回収することを特徴とする、[7]〜[11]のいずれか1つに記載の評価方法;
[13]肺癌の発症歴を有し、かつ肺癌以外の癌を有する被験者由来の試料から回収された免疫複合体における、gelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出することを含む、当該癌が肺癌の転移癌であるか否かの判定方法;
[14]以下の工程を含む、[13]に記載の判定方法:
(1)肺癌の発症歴を有し、かつ肺癌以外の癌を有する被験者由来の試料から免疫複合体を回収する工程、
(2)該免疫複合体を分解し、分解産物を分離する工程、
(3)分離した分解産物を質量分析することによって、該免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出する工程;
[15]以下の工程を含む、[13]に記載の判定方法:
(1)肺癌の発症歴を有し、かつ肺癌以外の癌を有する被験者由来の試料から免疫複合体を回収する工程、
(2)免疫学的測定法によって該免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出する工程;
[16]肺癌が肺腺癌である、[13]〜[15]のいずれか1つに記載の判定方法;
[17]試料が血液、血清または組織である、[13]〜[16]のいずれか1つに記載の判定方法;
[18]プロテインGまたはプロテインAを用いて免疫複合体を回収することを特徴とする、[13]〜[17]のいずれか1つに記載の判定方法;
[19]gelsolinを特異的に認識する抗体および/またはcomplement component C9を特異的に認識する抗体を含む、肺癌の検査用キット;
[20]肺癌が肺腺癌である、[19]に記載の検査用キット;
を提供する。
[1]被験者由来の試料から回収された免疫複合体における、gelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出することを含む、肺癌の検査方法;
[2]以下の工程を含む、[1]に記載の検査方法:
(1)被験者由来の試料から免疫複合体を回収する工程、
(2)該免疫複合体を分解し、分解産物を分離する工程、
(3)分離した分解産物を質量分析することによって、該免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出する工程;
[3]以下の工程を含む、[1]に記載の検査方法:
(1)被験者由来の試料から免疫複合体を回収する工程、
(2)免疫学的測定法によって該免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出する工程;
[4]肺癌が肺腺癌である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の検査方法;
[5]試料が血液、血清または組織である、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の検査方法;
[6]プロテインGまたはプロテインAを用いて免疫複合体を回収することを特徴とする、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の検査方法;
[7]治療中または治療を受けた肺癌患者から経時的に採取された試料から回収した免疫複合体における、gelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出し、経時的に比較することを含む、肺癌患者に対する治療効果の評価方法;
[8]以下の工程を含む、[7]に記載の評価方法:
(1)治療中または治療を受けた肺癌患者由来の経時的に採取された試料から免疫複合体を回収する工程、
(2)該免疫複合体を分解し、分解産物を分離する工程、
(3)分離した分解産物を質量分析することによって、該免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出し、経時的に比較する工程;
[9]以下の工程を含む、[7]に記載の評価方法:
(1)治療中または治療を受けた肺癌患者由来の経時的に採取された試料から免疫複合体を回収する工程、
(2)免疫学的測定法によって該免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出し、経時的に比較する工程;
[10]肺癌が肺腺癌である、[7]〜[9]のいずれか1つに記載の評価方法;
[11]試料が血液、血清または組織である、[7]〜[10]のいずれか1つに記載の評価方法;
[12]プロテインGまたはプロテインAを用いて免疫複合体を回収することを特徴とする、[7]〜[11]のいずれか1つに記載の評価方法;
[13]肺癌の発症歴を有し、かつ肺癌以外の癌を有する被験者由来の試料から回収された免疫複合体における、gelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出することを含む、当該癌が肺癌の転移癌であるか否かの判定方法;
[14]以下の工程を含む、[13]に記載の判定方法:
(1)肺癌の発症歴を有し、かつ肺癌以外の癌を有する被験者由来の試料から免疫複合体を回収する工程、
(2)該免疫複合体を分解し、分解産物を分離する工程、
(3)分離した分解産物を質量分析することによって、該免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出する工程;
[15]以下の工程を含む、[13]に記載の判定方法:
(1)肺癌の発症歴を有し、かつ肺癌以外の癌を有する被験者由来の試料から免疫複合体を回収する工程、
(2)免疫学的測定法によって該免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出する工程;
[16]肺癌が肺腺癌である、[13]〜[15]のいずれか1つに記載の判定方法;
[17]試料が血液、血清または組織である、[13]〜[16]のいずれか1つに記載の判定方法;
[18]プロテインGまたはプロテインAを用いて免疫複合体を回収することを特徴とする、[13]〜[17]のいずれか1つに記載の判定方法;
[19]gelsolinを特異的に認識する抗体および/またはcomplement component C9を特異的に認識する抗体を含む、肺癌の検査用キット;
[20]肺癌が肺腺癌である、[19]に記載の検査用キット;
を提供する。
本発明では、肺癌患者において免疫複合体として存在するgelsolinおよび/またはcomplement component C9の存在を調べることにより、迅速かつ簡便に肺癌の検査、治療評価が可能になる。
本発明は、被験者由来の試料から回収された免疫複合体における、gelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出することを含む、肺癌の検査方法に関する。本発明において免疫複合体とは、抗原タンパク質(自己抗原タンパク質または非自己抗原タンパク質)と該抗原に特異的な抗体からなる複合体をいう。また、本発明において検出対象となるgelsolinのアミノ酸配列は、UniProtにアクセッション番号B7Z2X4、B7Z992などとしてそれぞれ登録されている。具体的には、gelsolinは、例えば、配列番号:1または2に示されるアミノ酸配列を有していてもよい。また、本発明において検出対象となるcomplement component C9は、UniProtにアクセッション番号P02748として登録されている。具体的には、complement component C9は、例えば、配列番号:3に示されるアミノ酸配列を有していてもよい。本発明の検査方法において検出または定量される、gelsolinまたはcomplement component C9は、タンパク質を構成するアミノ酸配列が、上記で特定されるアミノ酸配列であってもよいし、当該アミノ酸配列に1〜複数個のアミノ酸が置換、欠失、付加、導入されていても良い。さらには、gelsolinおよびcomplement component C9は全長タンパク質であってもよいし、部分タンパク質であってもよい。以下、本明細書において「gelsolin」および「complement component C9」とは、上述のアクセッション番号で特定されるアミノ酸配列、上述の配列番号で特定されるアミノ酸配列又は前記特定されるアミノ酸配列に1〜複数個のアミノ酸が置換、欠失、付加、導入されているアミノ酸配列から構成されるタンパク質や、それらの部分タンパク質も含む意味で用いられる。あるいは、本発明の検査方法において検出または定量されるgelsolinは、配列番号:1または配列番号:2で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むタンパク質であり、complement component C9は、配列番号:3で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むタンパク質であってもよい。配列番号:1または配列番号:2で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、配列番号:1または配列番号:2で表されるアミノ酸配列と約80%以上、好ましくは約85%以上、さらに好ましくは約90%以上、特に好ましくは約95%以上、最も好ましくは約98%以上の相同性を有するアミノ酸配列などが挙げられる。また、配列番号:3で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、配列番号:3で表されるアミノ酸配列と約80%以上、好ましくは約85%以上、さらに好ましくは約90%以上、特に好ましくは約95%以上、最も好ましくは約98%以上の相同性を有するアミノ酸配列などが挙げられる。ここで「相同性」とは、当該技術分野において公知の数学的アルゴリズムを用いて2つのアミノ酸配列をアラインさせた場合の、最適なアラインメント(好ましくは、該アルゴリズムは最適なアラインメントのために配列の一方もしくは両方へのギャップの導入を考慮し得るものである)における、オーバーラップする全アミノ酸残基に対する同一アミノ酸および類似アミノ酸残基の割合(%)を意味する。「類似アミノ酸」とは物理化学的性質において類似したアミノ酸を意味し、例えば、芳香族アミノ酸(Phe、Trp、Tyr)、脂肪族アミノ酸(Ala、Leu、Ile、Val)、極性アミノ酸(Gln、Asn)、塩基性アミノ酸(Lys、Arg、His)、酸性アミノ酸(Glu、Asp)、水酸基を有するアミノ酸(Ser、Thr)、側鎖の小さいアミノ酸(Gly、Ala、Ser、Thr、Met)などの同じグループに分類されるアミノ酸が挙げられる。このような類似アミノ酸による置換は蛋白質の表現型に変化をもたらさない(即ち、保存的アミノ酸置換である)ことが予測される。保存的アミノ酸置換の具体例は当該技術分野で周知であり、種々の文献に記載されている(例えば、Bowieら,Science, 247: 1306-1310 (1990)を参照)。
本明細書におけるアミノ酸配列の相同性は、相同性計算アルゴリズムNCBI BLAST(National Center for Biotechnology Information Basic Local Alignment Search Tool)を用い、以下の条件(期待値=10;ギャップを許す;マトリクス=BLOSUM62;フィルタリング=OFF)にて計算することができる。アミノ酸配列の相同性を決定するための他のアルゴリズムとしては、例えば、Karlinら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 5873-5877 (1993)に記載のアルゴリズム[該アルゴリズムはNBLASTおよびXBLASTプログラム(version 2.0)に組み込まれている(Altschulら,Nucleic Acids Res., 25: 3389-3402 (1997))]、Needlemanら, J .Mol. Biol., 48: 444-453 (1970)に記載のアルゴリズム[該アルゴリズムはGCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラムに組み込まれている]、MyersおよびMiller, CABIOS, 4: 11-17 (1988)に記載のアルゴリズム[該アルゴリズムはCGC配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(version 2.0)に組み込まれている]、Pearsonら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85: 2444-2448 (1988)に記載のアルゴリズム[該アルゴリズムはGCGソフトウェアパッケージ中のFASTAプログラムに組み込まれている]等が挙げられ、それらも同様に好ましく用いられ得る。
また、本発明の検査方法において検出または定量されるgelsolinまたはcomplement component C9の転写産物は、上記gelsolinまたはcomplement component C9をコードする塩基配列と同一または実質的に同一な塩基配列を含有するDNAなどが挙げられる。gelsolinおよびcomplement component C9をコードする塩基配列と実質的に同一なDNAとしては、例えば、該塩基配列と約50%以上、好ましくは約60%以上、さらに好ましくは約70%以上、特に好ましくは約80%以上、最も好ましくは約90%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが挙げられる。本明細書における塩基配列の相同性は、相同性計算アルゴリズムNCBI BLAST(National Center forBiotechnology Information Basic Local Alignment Search Tool)を用い、以下の条件(期待値=10;ギャップを許す;フィルタリング=ON;マッチスコア=1;ミスマッチスコア=−3)にて計算することができる。
本明細書におけるアミノ酸配列の相同性は、相同性計算アルゴリズムNCBI BLAST(National Center for Biotechnology Information Basic Local Alignment Search Tool)を用い、以下の条件(期待値=10;ギャップを許す;マトリクス=BLOSUM62;フィルタリング=OFF)にて計算することができる。アミノ酸配列の相同性を決定するための他のアルゴリズムとしては、例えば、Karlinら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 5873-5877 (1993)に記載のアルゴリズム[該アルゴリズムはNBLASTおよびXBLASTプログラム(version 2.0)に組み込まれている(Altschulら,Nucleic Acids Res., 25: 3389-3402 (1997))]、Needlemanら, J .Mol. Biol., 48: 444-453 (1970)に記載のアルゴリズム[該アルゴリズムはGCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラムに組み込まれている]、MyersおよびMiller, CABIOS, 4: 11-17 (1988)に記載のアルゴリズム[該アルゴリズムはCGC配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(version 2.0)に組み込まれている]、Pearsonら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85: 2444-2448 (1988)に記載のアルゴリズム[該アルゴリズムはGCGソフトウェアパッケージ中のFASTAプログラムに組み込まれている]等が挙げられ、それらも同様に好ましく用いられ得る。
また、本発明の検査方法において検出または定量されるgelsolinまたはcomplement component C9の転写産物は、上記gelsolinまたはcomplement component C9をコードする塩基配列と同一または実質的に同一な塩基配列を含有するDNAなどが挙げられる。gelsolinおよびcomplement component C9をコードする塩基配列と実質的に同一なDNAとしては、例えば、該塩基配列と約50%以上、好ましくは約60%以上、さらに好ましくは約70%以上、特に好ましくは約80%以上、最も好ましくは約90%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが挙げられる。本明細書における塩基配列の相同性は、相同性計算アルゴリズムNCBI BLAST(National Center forBiotechnology Information Basic Local Alignment Search Tool)を用い、以下の条件(期待値=10;ギャップを許す;フィルタリング=ON;マッチスコア=1;ミスマッチスコア=−3)にて計算することができる。
本発明の肺癌の検査方法は、例えば、以下の工程を含む方法であってよい(検査方法I)。
(1)被験者由来の試料から免疫複合体を回収する工程、
(2)該免疫複合体を分解し、分解産物を分離する工程、
(3)分離した分解産物を質量分析することによって、該免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出する工程
(1)被験者由来の試料から免疫複合体を回収する工程、
(2)該免疫複合体を分解し、分解産物を分離する工程、
(3)分離した分解産物を質量分析することによって、該免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出する工程
本発明の検査方法が適用できる被験者は特に制限されないが、例えば、肺癌に罹患するおそれがあるか、もしくは罹患していることが疑われる被験者が挙げられる。また、肺癌としては、小細胞肺癌、非小細胞肺癌(肺腺癌、肺扁平上皮癌)が挙げられ、肺腺癌が本発明の検査方法により適している。
本発明の検査方法Iの工程(1)に用いられる試料としては、被験者から採取されるものであって、検出対象である抗原(即ち、gelsolinおよびcomplement component C9)と該抗原に結合する抗体からなる免疫複合体を含有するものであれば特に制限されない。そのような試料としては、例えば、全血、血漿、血清、リンパ液、唾液、脳脊髄液、関節液等の体液もしくはそのフラクション、粘膜、生検により得られる組織標本(肺組織)などが挙げられ、血液、血清または組織が好ましく、試料中の夾雑物が少なく、被験者に対する負担が小さいという利点から、血清がより好ましい。
上記試料中の免疫複合体は、自体公知の方法を用いて回収することができる。例えば、免疫グロブリンの分離精製法[例:塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換体(例:DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ過法、プロテインAあるいはプロテインGなどの活性吸着剤により免疫複合体及び抗体のみを採取し、活性吸着剤との結合を解離させて免疫複合体を得る特異的精製法]に従って分離精製することができる。具体的には、下記実施例に記載の通り、プロテインAあるいはプロテインGなどの活性吸着剤が結合した担体(セファロースカラム、磁性ビーズなど)により血清中から直接、免疫複合体及び遊離抗体のみを回収することができる。また、試料が組織である場合であっても、公知の方法に基づき、タンパク質画分を調製し、該画分中に含まれる免疫複合体を上記の手法に従い、回収することができる。また、免疫複合体を構成する抗体はいずれのサブクラスであってもよく、IgG、IgM、IgA、IgDまたはIgEが含まれ、さらにIgGにはIgG1、IgG2、IgG3、IgG4が含まれてよい。
本発明の検査方法Iの工程(2)において、試料から回収された免疫複合体は、そのまま分離してもよいが、抗体のジスルフィド結合を還元するために予め還元アルキル化してもよい。還元剤としては、例えば、ジチオスレイトール(DTT)等が挙げられる。さらに、プロテアーゼまたはペプチターゼによって免疫複合体を形成する抗体と抗原をペプチド断片に分解し、分解産物を分離することが好ましい。ペプチターゼ(プロテアーゼ)としては、例えば、トリプシンまたはペプシンが挙げられる。
前記分解産物の分離は、自体公知の方法に従って行うことができる。このような方法としては、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を利用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの主として分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法、アフィニティークロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法などが用いられる。これらの方法は、適宜組み合わせることもできる。本発明の分解産物を分離するには、分解産物がペプチドであること、次に質量分析に供試する際に容易であることから、液体クロマトグラフィーを用いることが好ましい。
分離の際に用いられる液体クロマトグラフィー用充填剤の担体は、シリカゲル又は、ポリビニルアルコール等の合成樹脂の球状又は破砕状のものが好ましい。また、その平均粒径は、約0.5μmから約100μmのものが好ましく、より好ましくは約1μmから約50μm、さらに好ましくは約3μmから約5μmのものである。当業者であれば、平均粒径が小さいほど単位長あたりのカラム理論段数は大きくなるが、カラムの圧力損失も大きくなることなどを考慮して、適した粒径を選択することができる。また、本発明において用いられる液体クロマトグラフィー用充填剤の担体は、該担体に、置換又は未置換の炭化水素基を結合させたものであり、特に鎖長が炭素数8以上のものを用いることが好ましい。そのような炭化水素基の例としては、特に制限をされるものではないが、オクチル基、オクタデシル基、およびこれらの末端を改変した官能基等が挙げられ、オクタデシル基が好ましく用いられる。また、保持力は炭化水素基の鎖長に依存するので、当業者であれば、炭化水素基の鎖長の炭素数を調節することで、固定相における保持力を調節することができる。また、官能基として、フェニル基、ジオール基、ニトリル基、アミノ基などを用いて固定相の極性を調節することもできる。
鎖長が炭素数8以下の置換又は未置換の炭化水素基としては、例えばトリメチル基、ブチル基、フェニル基、シアノプロピル基、アミノプロピル基等が挙げられる。
本発明の液体クロマトグラフィー用充填剤に適するものとして、例えば市販されているオクチル基をシリカゲルに化学的に結合させた液体クロマトグラフィー用充填剤〔Acclaim(R) PepMap100 C8〕、オクタデシル基をシリカゲルに化学的に結合させた液体クロマトグラフィー用充填剤〔Acclaim(R) PepMap300 C18〕、〔Acclaim(R) PepMap100 C18〕などが挙げられる。これらの充填剤は、品質が安定しており、かつ入手が容易である点で適しているが、これらに制限されるものではない。
液体クロマトグラフィー用充填剤に接触させる溶媒としては、水及び有機溶媒、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトニトリル、酢酸エチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)もしくはDMSOなどの混合溶媒系に塩を含むものを用いる。本発明の場合、例えば、後述の実施例においては、アセトニトリル中にギ酸を混合した溶媒を液体クロマトグラフィー用充填剤に接触させているが、これに限定されない。また、溶媒に濃度勾配(グラディエント)を付与し、例えば後述の実施例のように、アセトニトリル濃度が低い溶媒で極性の高い分子を溶出させ、順次アセトニトリル濃度を高めることによって、極性の低い分子を溶出させることができる。また溶出する際の溶出時間についても当業者は適宜設定することができる。
また、分離の際に必要に応じて、硫安、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の塩を用いて、溶媒のpHを調節することができるが、これらに制限されるものではない。
溶媒のpHを調整することにより、溶質のイオン化を制御することができるが、本発明の場合、イオンモードとして、陽イオンを対象として検出するポジティブイオンモードを選択するため、pHは、2〜6が好ましく、2〜3がより好ましい。また、温度を一定にすることにより安定した成績を得ることが可能であるが、本実施形態における温度は0〜40℃が好ましく、より好ましくは10〜30℃がよい。
本発明の検査方法Iの工程(3)において、質量分析は、イオン化された分析物を気相で測定する方法であり、該分析装置は大別すると、イオン源、イオン化された分析物の質量対電荷比(m/z)を測定する質量分析部、及びそれぞれのm/z値におけるイオンの数を記録するイオン検出部からなる。タンパク質やペプチド等の試料をイオン化するために最も一般的に用いられる技術として、例えば、エレクトロスプレーイオン化法(ESI)、大気圧化学イオン化法(APCI)及びマトリクス支援レーザー脱着/イオン化法(MALDI)等が挙げられる。ESIはキャピラリーに溶液状の試料を導入し、高電圧を印加することによって噴霧・イオン化させる方法であり、クロマトグラフィーや電気泳動などの分離手段と組み合わせて分析することができる。APCIは、400〜500℃の高温加熱によって試料溶液を強制的に気化させた後、コロナニードルの放電を利用してイオンを生成させる方法である。MALDIは、マトリックス(芳香族有機化合物など)中に試料を混在させて得られる結晶をレーザーパルスによって、試料を昇華及びイオン化する方法である。本発明の場合、抗原となるタンパク質が分析対象であるため、適用可能な分子量範囲が大きいほうが好ましい。従って、本発明の試料のイオン化にはESIまたはMALDIを用いるのがよいが、高価イオンを発生させやすい点でESIがより好ましい。
前記イオン源でイオン化された試料は、質量分析部に高電圧で印加され引き込まれる。かかる電圧は、試料を分析できる範囲であれば当業者が適宜設定できるが、電圧が低すぎた場合、イオン化された試料の質量分析部への移動が不十分となり、電圧が高すぎた場合、イオン化された試料にフラグメンテーションが生じる。本発明を実施する際には、例えば、電圧1.0kV〜2.5kV、好ましくは1.2kV〜2.0kVで印加することができる。
質量分析部は、選択された質量対電荷比(m/z)内においてイオンを分離する。質量分析部は、分析データの感度や分解能、質量の正確さやマススペクトルデータから得られる情報の豊富さに重要な役割を果たしている。イオンの分離方法としては、6種類の基本的なタイプに分類することができ、それらは、磁場型、電場型、イオントラップ型、飛行時間(TOF)型、四重極型、及びフーリエ変換サイクロトロン型である。これらはそれぞれ長所と短所があり、単独で又は互いに連結して用いることができる。
また、質量分析の途中で試料を断片化し、断片化されたイオンを分析する質量分析方法として、タンデム質量(MS/MS)分析法が用いられる。本発明の方法を実施するためには上記いずれの質量分析法を用いてもよく、当業者であればこれらと実質的に同一か又は類似の方法により本発明の方法を実施することができる。本発明では、タンデム質量分析法が好ましく用いられ、例えば、後述の実施例ではイオントラップ型タンデム質量分析法が用いられる。
質量分析によって得られたスペクトル(例えば、タンデム質量分析によって得られたMS/MSスペクトル)は、公知の方法で解析できるが、公共のタンパク質/ペプチドデータベースと比較して抗原を決定することもできる。そのようなデータベースとしては、例えば、The Europe Bioinformatics Instituteによって提供されているInternational Protein Indexのタンパク質データベース、National Center Biotechnology Information(NCBI)に公開されているタンパク質データベース、Swiss-Protに公開されているタンパク質データベース等が挙げられる。従って、質量分析によって得られたスペクトルデータと前記データベースを比較することによって、試料から回収した免疫複合体にgelsolinおよび/またはcomplement component C9が含まれているかを決定することができる。
あるいは、本発明の肺癌の検査方法は、以下の工程を含む方法であってよい(検査方法II)。
(1)被験者由来の試料から免疫複合体を回収する工程、
(2)免疫学的測定法によって該免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出する工程
(1)被験者由来の試料から免疫複合体を回収する工程、
(2)免疫学的測定法によって該免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出する工程
本発明の検査方法IIの工程(1)に用いられる試料、該試料から免疫複合体を回収する方法は、本発明の検査方法Iの工程(1)の通りに従ってよい。
本発明の検査方法IIの工程(2)において、被験者由来の試料から回収された免疫複合体におけるgelsolinおよび/またはcomplement component C9の検出は、それぞれgelsolinを特異的に認識する抗体およびcomplement component C9を特異的に認識する抗体を用いて、免疫学的測定法(例:ELISA、FIA、RIA、ウェスタンブロット等)によって行うことができる。
例えば、免疫学的測定法として、サンドイッチELISA法を使用することができる。サンドイッチELISA法では、免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9と担体上に不溶化したgelsolin(またはcomplement component C9)を特異的に認識する抗体およびgelsolin(またはcomplement component C9)を特異的に認識する標識化された抗体とを同時あるいは連続的に反応させた後、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することによって免疫複合体を形成したgelsolin(またはcomplement component C9)を定量することができる。
上記サンドイッチELISA法においては、不溶化抗体と標識化抗体とが互いにgelsolin(またはcomplement component C9)との結合を妨害しないような抗原認識部位を有することが好ましい(例えば、一方の抗体がgelsolin(またはcomplement component C9)のN端部を認識し、他方の抗体がgelsolin(またはcomplement component C9)のC端部に反応する等)。
上記サンドイッチELISA法においては、不溶化抗体と標識化抗体とが互いにgelsolin(またはcomplement component C9)との結合を妨害しないような抗原認識部位を有することが好ましい(例えば、一方の抗体がgelsolin(またはcomplement component C9)のN端部を認識し、他方の抗体がgelsolin(またはcomplement component C9)のC端部に反応する等)。
被験者がヒトである場合、gelsolin(またはcomplement component C9)を特異的に認識する抗体およびgelsolin(またはcomplement component C9)を特異的に認識する標識化された抗体は、gelsolin、complement component C9ポリペプチドやそれらの抗原性を有する部分ペプチド、具体的には、gelsolinについてUniProtにアクセッション番号B7Z2X4またはB7Z992、complement component C9についてUniProtにアクセッション番号P02748に示されるペプチド配列の全部またはエピトープに当たる部分を有する部分ペプチドを免疫原として用い、既存の一般的な製造方法によって製造することができる。そのようにして製造できる抗体としては、エピトープとしてPRLKDKKMDAHP(配列番号:4)を認識する抗gelsolin抗体が挙げられる。本明細書において、抗体には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(mAb)等の天然型抗体、遺伝子組換技術を用いて製造され得るキメラ抗体、ヒト化抗体や一本鎖抗体、およびこれらの結合性断片が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、抗体はポリクローナル抗体、モノクローナル抗体又はこれらの結合性断片である。結合性断片とは、特異的結合活性を有する前述の抗体の一部分の領域を意味し、具体的には例えばF(ab’)2、Fab’、Fab、Fv、sFv、dsFv、sdAb等が挙げられる(Exp. Opin. Ther. Patents, Vol.6, No.5, p.441-456, 1996)。抗体のクラスは、特に限定されず、IgG、IgM、IgA、IgDあるいはIgE等のいずれのアイソタイプを有する抗体をも包含する。好ましくは、IgG又はIgMであり、精製の容易性等を考慮するとより好ましくはIgGである。
標識剤としては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質などが用いられる。放射性同位元素としては、例えば、〔125I〕、〔131I〕、〔3H〕、〔14C〕などが用いられる。上記酵素としては、安定で比活性の大きなものが好ましく、例えば、β-ガラクトシダーゼ、β-グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用いられる。蛍光物質としては、例えば、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが用いられる。発光物質としては、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが用いられる。
抗体の不溶化に当っては、物理吸着を用いてもよく、また通常、タンパク質あるいは酵素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を用いる方法でもよい。担体としては、例えば、アガロース、デキストラン、セルロースなどの不溶性多糖類、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹脂、あるいはガラス等が用いられる。
サンドイッチELISA法においては不溶化抗体に免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を反応させ(1次反応)、さらに標識化抗体を反応させ(2次反応)た後、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することにより免疫複合体中のgelsolinおよび/またはcomplement component C9量を定量することができる。1次反応と2次反応は逆の順序に行なっても、また、同時に行なってもよいし時間をずらして行なってもよい。標識化剤および不溶化の方法は上記のそれらに準じることができる。
また、サンドイッチELISA法による免疫測定法において、固相用抗体あるいは標識用抗体に用いられる抗体は必ずしも1種類である必要はなく、測定感度を向上させる等の目的で2種類以上の抗体の混合物を用いてもよい。
サンドイッチELISA法においては不溶化抗体に免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を反応させ(1次反応)、さらに標識化抗体を反応させ(2次反応)た後、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することにより免疫複合体中のgelsolinおよび/またはcomplement component C9量を定量することができる。1次反応と2次反応は逆の順序に行なっても、また、同時に行なってもよいし時間をずらして行なってもよい。標識化剤および不溶化の方法は上記のそれらに準じることができる。
また、サンドイッチELISA法による免疫測定法において、固相用抗体あるいは標識用抗体に用いられる抗体は必ずしも1種類である必要はなく、測定感度を向上させる等の目的で2種類以上の抗体の混合物を用いてもよい。
また、本発明の検査方法IIの工程(1)を経由することなく、被験者由来の試料を直接、本発明の検査方法IIの工程(2)における免疫複合体の代わりに用いてもよい。その場合、本発明の肺癌の検査方法は、免疫学的測定法によって被験者由来の試料中に含まれる免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出することを特徴とする、方法である。
具体的には、被験者由来の試料中に含まれる免疫複合体と担体上に不溶化したgelsolin(またはcomplement component C9)を特異的に認識する抗体およびヒトIgGを特異的に認識する標識化された抗体とを同時あるいは連続的に反応させた後、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することによって免疫複合体を形成したgelsolin(またはcomplement component C9)を定量することができる。本法の原理は、例えば、J Proteome Res. 2013 May 3;12(5):2311-20などに記載されており、当業者は適宜、条件を設定し、本発明の方法を実施することができる。なお、抗体の作製方法、不溶化方法、標識化方法などは、前記に従ってよい。
具体的には、被験者由来の試料中に含まれる免疫複合体と担体上に不溶化したgelsolin(またはcomplement component C9)を特異的に認識する抗体およびヒトIgGを特異的に認識する標識化された抗体とを同時あるいは連続的に反応させた後、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することによって免疫複合体を形成したgelsolin(またはcomplement component C9)を定量することができる。本法の原理は、例えば、J Proteome Res. 2013 May 3;12(5):2311-20などに記載されており、当業者は適宜、条件を設定し、本発明の方法を実施することができる。なお、抗体の作製方法、不溶化方法、標識化方法などは、前記に従ってよい。
個々の免疫学的測定法を本発明の検査方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えてgelsolinおよびcomplement component C9の測定系を構築すればよい。これらの一般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを参照することができる。例えば、入江寛編「ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和49年発行)、入江寛編「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和54年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」Vol.70(Immunochemical Techniques(Part A))、同書Vol.73(Immunochemical Techniques(Part B))、同書Vol.74(Immunochemical Techniques(Part C))、同書Vol.84(Immunochemical Techniques(Part D:Selected Immunoassays))、同書Vol.92(Immunochemical Techniques(Part E:Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods))、同書Vol.121(Immunochemical Techniques(Part I:Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies))(以上、アカデミックプレス社発行)などを参照することができる。
本発明の検査方法は、上記手法により、被験者由来の試料から回収した免疫複合体における、gelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出することによって、被験者が肺癌に罹患しているか否かの検査を行うことができる。例えば、被験者由来の試料から回収した免疫複合体中にgelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出した場合、被験者が肺癌に罹患している可能性が高いと判断することができる。特に免疫複合体中にgelsolinとcomplement component C9の両者を検出できた場合は、どちらか一方のみを検出した場合よりも、肺癌に罹患している可能性がより高いと判断できる。
あるいは、肺癌に罹患していないことが確認されている個体(ネガティブコントロール)及び、肺癌に罹患していると臨床的に判断されている個体(ポジティブコントロール)由来の試料から免疫複合体を回収し、被験者由来の試料から回収された免疫複合体におけるgelsolinおよび/またはcomplement component C9の検出レベルがポジティブコントロール及びネガティブコントロールのそれと比較される。
そして、gelsolinおよび/またはcomplement component C9の検出レベルの比較結果より、測定対象のgelsolinおよび/またはcomplement component C9の検出レベルが相対的に高い場合には、肺癌である確率が相対的に高いと判定することができる。逆に、測定対象のgelsolinおよび/またはcomplement component C9の検出レベルが相対的に低い場合には、肺癌である確率が相対的に低いと判定することができる。従って、本発明の検査方法は、さらに被験者においてgelsolinおよび/またはcomplement component C9が検出若しくは対照群に比べて高値で定量された場合には、肺癌に罹患していると判断する工程を含んでもよい。
上記肺癌の検査方法を、肺癌に対する治療を施された患者や肺癌治療薬候補化合物を投与された実験動物(例、サル、イヌ、ラット、マウス等)に適用することにより、治療効果の評価を行うことができる。即ち、治療中または治療を受けた肺癌患者から経時的に採取した試料から回収した免疫複合体におけるgelsolinおよび/またはcomplement component C9をそれぞれ測定・比較し、治療前と比較して治療後のgelsolinおよび/またはcomplement component C9を含む免疫複合体のレベルが抑制される傾向を示すか、もしくは検出できなくなれば、治療効果が認められると判定することができる。
従って、本発明はまた、治療中または治療を受けた肺癌患者から経時的に採取された試料から回収した免疫複合体における、gelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出し、経時的に比較することを含む、肺癌患者に対する治療効果の評価方法に関する。
さらに本発明の評価方法は、例えば、以下の工程を含む方法であってよい(評価方法I)。
(1)治療中または治療を受けた肺癌患者由来の経時的に採取された試料から免疫複合体を回収する工程、
(2)該免疫複合体を分解し、分解産物を分離する工程、
(3)分離した分解産物を質量分析することによって、該免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出し、経時的に比較する工程。
あるいは、本発明の評価方法は、例えば、以下の工程を含む方法であってよい(評価方法II)。
(1)治療中または治療を受けた肺癌患者由来の経時的に採取された試料から免疫複合体を回収する工程、
(2)免疫学的測定法によって該免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出し、経時的に比較する工程。
また、本発明の評価方法は、治療前と比較して治療後のgelsolinおよび/またはcomplement component C9を含む免疫複合体のレベルが減少した場合、治療効果が認められると判定する工程をさらに含んでもよい。
さらに本発明の評価方法は、例えば、以下の工程を含む方法であってよい(評価方法I)。
(1)治療中または治療を受けた肺癌患者由来の経時的に採取された試料から免疫複合体を回収する工程、
(2)該免疫複合体を分解し、分解産物を分離する工程、
(3)分離した分解産物を質量分析することによって、該免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出し、経時的に比較する工程。
あるいは、本発明の評価方法は、例えば、以下の工程を含む方法であってよい(評価方法II)。
(1)治療中または治療を受けた肺癌患者由来の経時的に採取された試料から免疫複合体を回収する工程、
(2)免疫学的測定法によって該免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出し、経時的に比較する工程。
また、本発明の評価方法は、治療前と比較して治療後のgelsolinおよび/またはcomplement component C9を含む免疫複合体のレベルが減少した場合、治療効果が認められると判定する工程をさらに含んでもよい。
さらに、上記肺癌の検査方法を、肺癌の発症歴を有し、かつ肺癌以外の癌を有する患者に適用することにより、当該癌が肺癌の転移癌であるか否かの判定を行うことができる。即ち、前記癌患者から採取した試料から回収した免疫複合体中にgelsolinおよび/またはcomplement component C9が検出された場合、当該癌が肺癌の転移癌である可能性が高いと判定することができる。肺癌は過去において発症し、判定時においては既に治療済みであってもよいし、判定時において治療中であってもよい。また判定時において肺癌を治療中である場合は、試料は判定する癌組織由来のものであることが好ましい。判定基準は上記肺癌の検査方法に記載の判定基準に従ってよい。本判定方法により、適切な治療方針を選択することができる。
従って、本発明はまた、肺癌の発症歴を有し、かつ肺癌以外の癌を有する被験者由来の試料から回収された免疫複合体における、gelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出することを含む、当該癌が肺癌の転移癌であるか否かの判定方法に関する。
さらに本発明の判定方法は、例えば、以下の工程を含む方法であってよい(判定方法I)。
(1)肺癌の発症歴を有し、かつ肺癌以外の癌を有する被験者由来の試料から免疫複合体を回収する工程、
(2)該免疫複合体を分解し、分解産物を分離する工程、
(3)分離した分解産物を質量分析することによって、該免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出する工程。
あるいは、本発明の判定方法は、例えば、以下の工程を含む方法であってよい(判定方法II)。
(1)肺癌の発症歴を有し、かつ肺癌以外の癌を有する被験者由来の試料から免疫複合体を回収する工程、
(2)免疫学的測定法によって該免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出する工程。
また、本発明の判定方法は、前記癌患者から採取した試料から回収した免疫複合体においてgelsolinおよび/またはcomplement component C9が検出された場合、当該癌が肺癌の転移癌であると可能性が高いと判定する工程をさらに含んでもよい。
さらに本発明の判定方法は、例えば、以下の工程を含む方法であってよい(判定方法I)。
(1)肺癌の発症歴を有し、かつ肺癌以外の癌を有する被験者由来の試料から免疫複合体を回収する工程、
(2)該免疫複合体を分解し、分解産物を分離する工程、
(3)分離した分解産物を質量分析することによって、該免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出する工程。
あるいは、本発明の判定方法は、例えば、以下の工程を含む方法であってよい(判定方法II)。
(1)肺癌の発症歴を有し、かつ肺癌以外の癌を有する被験者由来の試料から免疫複合体を回収する工程、
(2)免疫学的測定法によって該免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出する工程。
また、本発明の判定方法は、前記癌患者から採取した試料から回収した免疫複合体においてgelsolinおよび/またはcomplement component C9が検出された場合、当該癌が肺癌の転移癌であると可能性が高いと判定する工程をさらに含んでもよい。
本発明はまた、上記本発明の検査方法において好ましく使用され得る、肺癌を検査するための検査キットを提供する。該検査キットは、gelsolinを特異的に認識する抗体および/またはcomplement component C9を特異的に認識する抗体を含有してなる。該検査するための剤が2以上の上記抗体を含む場合、各抗体は互いにgelsolinおよびcomplement component C9の異なるエピトープを特異的に認識し得るものである。なお、免疫複合体を形成していない遊離抗原を検出対象から除外するため、gelsolinを特異的に認識する抗体および/またはcomplement component C9を免疫複合体として捕集した後、検出を行うことが好ましい。また、gelsolinを特異的に認識する抗体およびcomplement component C9を特異的に認識する抗体としては、本発明の検査方法において前記した抗体が挙げられる。
本発明の検査キットを構成する試薬として、gelsolinを特異的に認識する抗体および/またはcomplement component C9を特異的に検出し得る抗体に加えて、gelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出するための反応において必要な他の物質であって、共存状態で保存することにより反応に悪影響を及ぼさない物質をさらに含有することができる。あるいは、該試薬は、gelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出するための反応において必要な他の物質を含有する別個の試薬とともに提供されてもよい。例えば、gelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出するための反応が抗原抗体反応の場合、当該他の物質としては、例えば、反応緩衝液、competitor抗体、標識された二次抗体(例えば、一次抗体がウサギ抗ヒトgelsolinおよび/またはウサギ抗ヒトcomplement component C9抗体の場合、ペルオキシダーゼやアルカリホスファターゼ等で標識されたマウス抗ウサギIgGなど)、ブロッキング液等が挙げられる。また、該検査キットは、免疫複合体の捕集のためのプロテインAまたはプロテインGを試薬として含有していてもよく、それらは担体(セファロースカラム、磁性ビーズなど)に固相化されていてもよい。
以下に、実施例により本発明をより具体的に説明するが、この発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1 肺腺癌患者に特異的な免疫複合体の検出
試料の回収
肺腺癌患者28名(Stage III〜IV;年齢, 34-81歳;男性17名, 女性11名)、大腸癌患者11名(Stage I〜IV;年齢, 51-93歳;男性2名, 女性9名;術前CEA陽性6名, 術前CA19-9陽性1名, 術前p53陽性4名)、悪性リンパ腫患者9名(年齢, 61-81歳;男性5名, 女性4名)及び健常人11名(年齢, 30-65歳;男性9名, 女性2名)から血清を回収した。
試料の回収
肺腺癌患者28名(Stage III〜IV;年齢, 34-81歳;男性17名, 女性11名)、大腸癌患者11名(Stage I〜IV;年齢, 51-93歳;男性2名, 女性9名;術前CEA陽性6名, 術前CA19-9陽性1名, 術前p53陽性4名)、悪性リンパ腫患者9名(年齢, 61-81歳;男性5名, 女性4名)及び健常人11名(年齢, 30-65歳;男性9名, 女性2名)から血清を回収した。
免疫複合体(IC:immunocomplex)の捕集と消化
プロテインGが固定化された磁性ビーズ(PureProteome, Millipore)を用いて免疫複合体を精製した。ビーズ40μlをリン酸緩衝生理食塩水(PBS, Wako Chemicals)500μlで洗浄し、PBSで希釈した血清(血清:PBS=1:9, v/v)100μlと共にゆっくり攪拌しながら30分間インキュベートした。免疫複合体が結合したビーズを磁石で回収し、PBS500μlで3回洗浄した。ビーズを10mMジチオスレイトール100μl中に再懸濁し、56℃で45分間インキュベートした後、55mMヨードアセトアミド100μlを加え、暗所、室温で30分間インキュベートした。続いて、トリプシン溶液(25mM重炭酸アンモニウム)を終濃度0.5mg/mlで添加し、混合液を37℃で一晩培養した。TFA(10%, v/v)を加えて、消化を停止させた後、抗原および抗体由来のペプチド消化物を含む上清を磁石を用いて回収した。最終的に、この混合液を減圧下、約80μlに濃縮した。
プロテインGが固定化された磁性ビーズ(PureProteome, Millipore)を用いて免疫複合体を精製した。ビーズ40μlをリン酸緩衝生理食塩水(PBS, Wako Chemicals)500μlで洗浄し、PBSで希釈した血清(血清:PBS=1:9, v/v)100μlと共にゆっくり攪拌しながら30分間インキュベートした。免疫複合体が結合したビーズを磁石で回収し、PBS500μlで3回洗浄した。ビーズを10mMジチオスレイトール100μl中に再懸濁し、56℃で45分間インキュベートした後、55mMヨードアセトアミド100μlを加え、暗所、室温で30分間インキュベートした。続いて、トリプシン溶液(25mM重炭酸アンモニウム)を終濃度0.5mg/mlで添加し、混合液を37℃で一晩培養した。TFA(10%, v/v)を加えて、消化を停止させた後、抗原および抗体由来のペプチド消化物を含む上清を磁石を用いて回収した。最終的に、この混合液を減圧下、約80μlに濃縮した。
ナノ−HPLC−MS/MSによるタンパク質同定
LCフロースプリッター(Accurate, Dionex, Sunnyvale, CA, USA)付きのLCポンプ(Surveyor MS pump, Thermo Fihser Scientific, Waltham, MA, USA)およびHCT PALオートサンプラー(CTC Analytics, Zwingen, Switzerland)からなるカスタムナノLCシステムを搭載したLC−エレクトロスプレーイオン化−タンデムMS(LCQ Fleet, Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA, USA)にペプチド混合物(1μl)を供試した。インジェクションループ中のナノ−プレカラム(300μm i.d.×5.0mm, L-C-18, Chemicals and Evaluation and Research, Tokyo, Japan)に試料を注入し、2%アセトニトリル中の1%TFAを用いて洗浄した。ペプチドをナノHPLCカラム(75μm,i.d., Acclaim PepMap 100C18, 3μm, Dionex, Sunnyvale, CA, USA)で分離し、スプレー電圧1.2から2.0kVでMSにイオン噴霧した。移動相のグラディエント条件を以下のように設定し、分離を行った:移動相中の移動相B含量を10分間で5から24%に増加(90%アセトニトリル中に0.1%ギ酸[Kanto Kagaku, Tokyo, Japan])(移動相A:0.1%ギ酸);移動相B含量を70分間で24から34%に増加;移動相B含量を16分間で34から50%に増加;移動相B含量を0.1分間で50から100%に増加;移動相B含量100%を9分間維持(総分離時間:105分)。単位時間当たり最も強度の高い3つの前駆体質量の3つのタンデムMSスキャンにプロセスする(Xcaliber(R)ソフトウェアー[Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA, USA]によってリアルタイムに決定)ように質量分析計を設定した。衝突エネルギーは35%とした。全体質量/電荷比の範囲を400-1500で全スペクトルを計測した。トランスファーキャピラリー温度を200℃に設定した。MS/MSデータをProteome Discoverer V3.3(Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA, USA)を用いて抽出した。欧州バイオインフォマティクス研究所(EBI, Cambridge, UK)によって提供されるInternational Protein Index, IPI.HUMAN, version 3.84に公開されている非重複タンパク質データベースからヒトサブデータベースに対して以下のサーチパラメータでスペクトルを検索した:質量型、モノアイソトピック前駆体および断片;酵素、トリプシン(KR);酵素限界、2つまでの誤開裂を許容する全酵素的開裂;ペプチド許容、2.0原子質量単位;断片イオン許容、1.0原子質量単位;スコア結果数、250;計測されるイオンおよびイオンシリーズ、BおよびYイオン;静的修正、C(カルボキシメチル化);特異的修飾、M(酸化);NおよびQ(アミド分解)。False-discovery rate(FDR)5%となるようにフィルター基準値(関連ファクター[XCorr]およびタンパク質確率[P]を有するシングル、ダブル、トリプル電荷ペプチド)を調整した。リバースデータベースの固有ペプチドの数をフォワードデータベースの重要な固有ペプチドの数で割って、FDRを計算した。タンパク質は6アミノ酸長以上のペプチドについて同定した。ケラチンやトリプシンは潜在的な一致として除外された。
LCフロースプリッター(Accurate, Dionex, Sunnyvale, CA, USA)付きのLCポンプ(Surveyor MS pump, Thermo Fihser Scientific, Waltham, MA, USA)およびHCT PALオートサンプラー(CTC Analytics, Zwingen, Switzerland)からなるカスタムナノLCシステムを搭載したLC−エレクトロスプレーイオン化−タンデムMS(LCQ Fleet, Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA, USA)にペプチド混合物(1μl)を供試した。インジェクションループ中のナノ−プレカラム(300μm i.d.×5.0mm, L-C-18, Chemicals and Evaluation and Research, Tokyo, Japan)に試料を注入し、2%アセトニトリル中の1%TFAを用いて洗浄した。ペプチドをナノHPLCカラム(75μm,i.d., Acclaim PepMap 100C18, 3μm, Dionex, Sunnyvale, CA, USA)で分離し、スプレー電圧1.2から2.0kVでMSにイオン噴霧した。移動相のグラディエント条件を以下のように設定し、分離を行った:移動相中の移動相B含量を10分間で5から24%に増加(90%アセトニトリル中に0.1%ギ酸[Kanto Kagaku, Tokyo, Japan])(移動相A:0.1%ギ酸);移動相B含量を70分間で24から34%に増加;移動相B含量を16分間で34から50%に増加;移動相B含量を0.1分間で50から100%に増加;移動相B含量100%を9分間維持(総分離時間:105分)。単位時間当たり最も強度の高い3つの前駆体質量の3つのタンデムMSスキャンにプロセスする(Xcaliber(R)ソフトウェアー[Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA, USA]によってリアルタイムに決定)ように質量分析計を設定した。衝突エネルギーは35%とした。全体質量/電荷比の範囲を400-1500で全スペクトルを計測した。トランスファーキャピラリー温度を200℃に設定した。MS/MSデータをProteome Discoverer V3.3(Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA, USA)を用いて抽出した。欧州バイオインフォマティクス研究所(EBI, Cambridge, UK)によって提供されるInternational Protein Index, IPI.HUMAN, version 3.84に公開されている非重複タンパク質データベースからヒトサブデータベースに対して以下のサーチパラメータでスペクトルを検索した:質量型、モノアイソトピック前駆体および断片;酵素、トリプシン(KR);酵素限界、2つまでの誤開裂を許容する全酵素的開裂;ペプチド許容、2.0原子質量単位;断片イオン許容、1.0原子質量単位;スコア結果数、250;計測されるイオンおよびイオンシリーズ、BおよびYイオン;静的修正、C(カルボキシメチル化);特異的修飾、M(酸化);NおよびQ(アミド分解)。False-discovery rate(FDR)5%となるようにフィルター基準値(関連ファクター[XCorr]およびタンパク質確率[P]を有するシングル、ダブル、トリプル電荷ペプチド)を調整した。リバースデータベースの固有ペプチドの数をフォワードデータベースの重要な固有ペプチドの数で割って、FDRを計算した。タンパク質は6アミノ酸長以上のペプチドについて同定した。ケラチンやトリプシンは潜在的な一致として除外された。
結果
前記血清試料に対するプロテオーム解析によって同定された抗原タンパク質は、肺腺癌患者由来の血清試料で418種類、大腸癌患者由来の血清試料で160種類、悪性リンパ腫患者由来の血清試料で127種類を見出した。さらに、今回解析した健常人に加え、自己免疫疾患(ANCA関連血管炎、高安動脈炎、混合性結合組織病、皮膚筋炎、強皮症、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス)とも比較解析した結果、各癌患者に特異的に検出された抗原タンパク質は、肺腺癌患者由来の血清試料で10種類、大腸癌患者由来の血清試料で2種類であり、悪性リンパ腫では認められなかった。肺腺癌由来の血清試料に対するプロテオーム解析によって同定された肺腺癌特異的タンパク質を表1に略記する。また、大腸癌由来の血清試料に対するプロテオーム解析によって同定された大腸癌特異的タンパク質を表2に略記する。
前記血清試料に対するプロテオーム解析によって同定された抗原タンパク質は、肺腺癌患者由来の血清試料で418種類、大腸癌患者由来の血清試料で160種類、悪性リンパ腫患者由来の血清試料で127種類を見出した。さらに、今回解析した健常人に加え、自己免疫疾患(ANCA関連血管炎、高安動脈炎、混合性結合組織病、皮膚筋炎、強皮症、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス)とも比較解析した結果、各癌患者に特異的に検出された抗原タンパク質は、肺腺癌患者由来の血清試料で10種類、大腸癌患者由来の血清試料で2種類であり、悪性リンパ腫では認められなかった。肺腺癌由来の血清試料に対するプロテオーム解析によって同定された肺腺癌特異的タンパク質を表1に略記する。また、大腸癌由来の血清試料に対するプロテオーム解析によって同定された大腸癌特異的タンパク質を表2に略記する。
大腸癌で検出された2種類の抗原タンパク質の検出頻度はいずれも18%(11名中2名陽性)であったのに対し、肺腺癌で検出された抗原タンパク質は8種類のうち3種類(cDNA FLJ53327, highly similar to Gelsolin; Complement component C9; cDNA FLJ53698, highly similar to Gelsolin)の抗原タンパク質が患者の60%以上で検出された。以上の結果から、肺腺癌では疾患特異的な免疫複合体が複数形成され、他の癌とは大きく異なる自己抗原プロファイルを示すと考えられた。
実施例2 Gelsolinタンパク質の磁気ビーズへの非特異的吸着の検証
Gelsolinが検出されなかった大腸癌患者の血清検体(n=2)にGelsolin標準タンパク質を血中濃度の約10倍量を添加し、前記と同様に該血清試料を用いてイムノコンプレキソーム解析を実施した。その結果、いずれの検体でもGelsolinが検出されなかったことから、肺腺癌患者におけるGelsolinとGelsolinに特異的な抗体からなる免疫複合体の特異的検出が、磁気ビーズ表面への非特異的な吸着ではないことが分かった。
Gelsolinが検出されなかった大腸癌患者の血清検体(n=2)にGelsolin標準タンパク質を血中濃度の約10倍量を添加し、前記と同様に該血清試料を用いてイムノコンプレキソーム解析を実施した。その結果、いずれの検体でもGelsolinが検出されなかったことから、肺腺癌患者におけるGelsolinとGelsolinに特異的な抗体からなる免疫複合体の特異的検出が、磁気ビーズ表面への非特異的な吸着ではないことが分かった。
実施例3 Gelsolinタンパク質の異常発現の検証
肺癌(肺腺癌、28名;扁平上皮癌、3名;小細胞癌、2名)患者33名、大腸癌患者20名、悪性リンパ腫患者9名、尿路癌患者20名、非癌性の肺疾患(間質性肺炎・肺結核)患者20名の各血清中のGelsolin濃度を市販のELISAキットを用いて測定した。本実施例では、GelsolinとGelsolinに特異的な抗体からなる免疫複合体の濃度ではなく、遊離抗原としてのGelsolin濃度を定量した。その結果、肺癌患者のGelsolin濃度の平均値を基準として、肺癌患者以外のGelsolin濃度は、大腸癌患者で0.95倍、悪性リンパ腫患者で0.84倍、尿路癌患者で0.87倍、非癌性の肺疾患患者で1.64倍であり、肺癌患者においてGelsolinの異常な高発現または低発現は認められなかった。従って、肺癌患者におけるGelsolinとGelsolinに特異的な抗体からなる免疫複合体の特異的な検出は、Gelsolinの異常発現によるものではなく、GelsolinとGelsolinに特異的な抗体が肺癌患者において特異的に免疫複合体を形成することによって検出されたものと推定された。
肺癌(肺腺癌、28名;扁平上皮癌、3名;小細胞癌、2名)患者33名、大腸癌患者20名、悪性リンパ腫患者9名、尿路癌患者20名、非癌性の肺疾患(間質性肺炎・肺結核)患者20名の各血清中のGelsolin濃度を市販のELISAキットを用いて測定した。本実施例では、GelsolinとGelsolinに特異的な抗体からなる免疫複合体の濃度ではなく、遊離抗原としてのGelsolin濃度を定量した。その結果、肺癌患者のGelsolin濃度の平均値を基準として、肺癌患者以外のGelsolin濃度は、大腸癌患者で0.95倍、悪性リンパ腫患者で0.84倍、尿路癌患者で0.87倍、非癌性の肺疾患患者で1.64倍であり、肺癌患者においてGelsolinの異常な高発現または低発現は認められなかった。従って、肺癌患者におけるGelsolinとGelsolinに特異的な抗体からなる免疫複合体の特異的な検出は、Gelsolinの異常発現によるものではなく、GelsolinとGelsolinに特異的な抗体が肺癌患者において特異的に免疫複合体を形成することによって検出されたものと推定された。
実施例4 Gelsolinの臓器特異的な異常発現の検証
前記と同様に、非癌性の肺疾患(間質性肺炎・肺結核)患者20名の各血清試料を用いてイムノコンプレキソーム解析を実施した。その結果、当該患者ではGelsolinとGelsolinに特異的な抗体が全く検出されず、肺癌患者におけるGelsolinとGelsolinに特異的な抗体からなる免疫複合体の特異的形成が示唆された。
前記と同様に、非癌性の肺疾患(間質性肺炎・肺結核)患者20名の各血清試料を用いてイムノコンプレキソーム解析を実施した。その結果、当該患者ではGelsolinとGelsolinに特異的な抗体が全く検出されず、肺癌患者におけるGelsolinとGelsolinに特異的な抗体からなる免疫複合体の特異的形成が示唆された。
実施例5 尿路癌患者の血清に対するイムノコンプレキソーム解析
Gelsolinとの関連性が指摘されている尿路癌(Tanaka et al, Cancer Research, 55, 3228-3232, 1995)患者20名の各血清試料を用いてイムノコンプレキソーム解析を実施した。その結果、当該患者ではGelsolinは全く検出されず、肺癌患者におけるGelsolinとGelsolinに特異的な抗体からなる免疫複合体の特異的形成が強く示唆された。
Gelsolinとの関連性が指摘されている尿路癌(Tanaka et al, Cancer Research, 55, 3228-3232, 1995)患者20名の各血清試料を用いてイムノコンプレキソーム解析を実施した。その結果、当該患者ではGelsolinは全く検出されず、肺癌患者におけるGelsolinとGelsolinに特異的な抗体からなる免疫複合体の特異的形成が強く示唆された。
本発明によれば、肺癌において見出された免疫複合体中の新規バイオマーカーを調べることにより、迅速かつ簡便に肺癌の検査が可能になる。
本出願は、日本で出願された特願2014−150493(出願日:平成26年7月24日)を基礎としており、その内容はすべて本明細書に包含されるものとする。
本出願は、日本で出願された特願2014−150493(出願日:平成26年7月24日)を基礎としており、その内容はすべて本明細書に包含されるものとする。
Claims (20)
- 被験者由来の試料から回収された免疫複合体における、gelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出することを含む、肺癌の検査方法。
- 以下の工程を含む、請求項1に記載の検査方法:
(1)被験者由来の試料から免疫複合体を回収する工程、
(2)該免疫複合体を分解し、分解産物を分離する工程、
(3)分離した分解産物を質量分析することによって、該免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出する工程。 - 以下の工程を含む、請求項1に記載の検査方法:
(1)被験者由来の試料から免疫複合体を回収する工程、
(2)免疫学的測定法によって該免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出する工程。 - 肺癌が肺腺癌である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の検査方法。
- 試料が血液、血清または組織である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の検査方法。
- プロテインGまたはプロテインAを用いて免疫複合体を回収することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の検査方法。
- 治療中または治療を受けた肺癌患者から経時的に採取された試料から回収した免疫複合体における、gelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出し、経時的に比較することを含む、肺癌患者に対する治療効果の評価方法。
- 以下の工程を含む、請求項7に記載の評価方法:
(1)治療中または治療を受けた肺癌患者由来の経時的に採取された試料から免疫複合体を回収する工程、
(2)該免疫複合体を分解し、分解産物を分離する工程、
(3)分離した分解産物を質量分析することによって、該免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出し、経時的に比較する工程。 - 以下の工程を含む、請求項7に記載の評価方法:
(1)治療中または治療を受けた肺癌患者由来の経時的に採取された試料から免疫複合体を回収する工程、
(2)免疫学的測定法によって該免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出し、経時的に比較する工程。 - 肺癌が肺腺癌である、請求項7〜9のいずれか1項に記載の評価方法。
- 試料が血液、血清または組織である、請求項7〜10のいずれか1項に記載の評価方法。
- プロテインGまたはプロテインAを用いて免疫複合体を回収することを特徴とする、請求項7〜11のいずれか1項に記載の評価方法。
- 肺癌の発症歴を有し、かつ肺癌以外の癌を有する被験者由来の試料から回収された免疫複合体における、gelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出することを含む、当該癌が肺癌の転移癌であるか否かの判定方法。
- 以下の工程を含む、請求項13に記載の判定方法:
(1)肺癌の発症歴を有し、かつ肺癌以外の癌を有する被験者由来の試料から免疫複合体を回収する工程、
(2)該免疫複合体を分解し、分解産物を分離する工程、
(3)分離した分解産物を質量分析することによって、該免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出する工程。 - 以下の工程を含む、請求項13に記載の判定方法:
(1)肺癌の発症歴を有し、かつ肺癌以外の癌を有する被験者由来の試料から免疫複合体を回収する工程、
(2)免疫学的測定法によって該免疫複合体中に含まれるgelsolinおよび/またはcomplement component C9を検出する工程。 - 肺癌が肺腺癌である、請求項13〜15のいずれか1項に記載の判定方法。
- 試料が血液、血清または組織である、請求項13〜16のいずれか1項に記載の判定方法。
- プロテインGまたはプロテインAを用いて免疫複合体を回収することを特徴とする、請求項13〜17のいずれか1項に記載の判定方法。
- gelsolinを特異的に認識する抗体および/またはcomplement component C9を特異的に認識する抗体を含む、肺癌の検査用キット。
- 肺癌が肺腺癌である、請求項19に記載の検査用キット。
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JP2016535868A Pending JPWO2016013400A1 (ja) | 2014-07-24 | 2015-07-08 | 肺癌診断用バイオマーカー |
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