JP2006053057A - 漏水センサーおよび漏水検出システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】筐体10内部に水分が供給されると、電解質15が溶解し電解液が生成され、この電解液、正極11および負極12により化学変化が生じ、正極11と負極12との間に電位差が発生する。これにより、導線17、18を介して正極11および負極12に接続されている電子回路16に電力が供給され、電子回路16が駆動する。
【選択図】 図1
Description
また、育児や老人介護の分野においても、オムツの交換の遅れは、介護人の仕事の効率低下、新生児や被介護人の不快感の増長等を招いている。このため、オムツに漏水センサーを設け、失禁を早期に発見することが提案されている。
なお、出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
そこで、本発明は上述したような課題を解決するためになされたものであり、安価で使い勝手のよい漏水センサーおよび漏水検出システムを提供することを目的とする。
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる漏水センサーの構成を示す断面図である。
漏水センサー1は、一の側面に開口10aを有する筐体10と、この筐体10の上面の内側に配設された正極11と、筐体10の底面の内側に配設された負極12と、正極11と負極12との間に配設された一対のセパレータ13,14と、このセパレータ13,14間に配設された電解質15と、筐体10の上面の外側に配設された電気回路16と、この電気回路16と正極11とを接続する導線17と、電気回路16と負極12とを接続する導線18と、筐体10の上面に配設され導線18を中継するスイッチ19と、筐体10の外部表面を覆う吸水体20と、この吸水体20と連続して筐体10の開口10aに配設された導水路21とを有する。
ここで、正極11の材料は、漏水により生じた水分が筐体内部に流入したときに電池反応の速度を増加させるために微粒子状であるのが好ましい。
二酸化マンガンは、導電率が低く内部抵抗が大きくなる可能性がある。このため、導電助剤として正極の重量当たり30〜40%のカーボン粉末と、バインダーとして正極の重量当たり10〜20%のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはポリ塩化ビニデン(PVDF)を二酸化マンガン粉末と混合し、ロールプレスなどよって膜状に成型したコンポジット電極を正極11として用いるようにしてもよい。
このような負極12は、シート状の亜鉛箔を筐体10の底面の内側に配設することにより構成するようにしてもよい。また、正極12の場合と同様、カーボン粉末およびバインダーを亜鉛粉末に混合したコンポジット電極を用いるようにしてもよい。
このように、正極11を筐体10の上面に配設し、負極12を筐体10の底面に配設することにより、正極11と負極12とが筐体10内部で対向するように配設される。
セパレータ14は、親水性を有する公知の材料から構成され、筐体の形状や大きさに合わせて、シート状の素材から、ポンチなどの適切な治具を用いて、適切な形状および寸法に切り出したものであり、対となるセパレータ13および負極12と離間または接触し、かつ、それぞれと略平行になるよう筐体10内部に配設される。
なお、セパレータ13、14の筐体10内部への配設は、例えば、セパレータ13、14の一端を吸収体20と連結させ、水分を効率的に筐体10内部に導入するようにしてもよい。
セパレータ13,14としては、ポリエチレンやポリエステル等のポリマーシートやガラス繊維からなるシートの何れか、またはこれらを含むコンポジット膜を用いるようにしてもよい。
ここで、電解質15は、漏水により生じた水分が筐体10内部に流入したときに溶解しやすいよう微粉状のものが好ましい。
電解質15をセパレータ13、14の間に配設することにより、漏水前に電解質15と正極11および負極12とが接触して腐食するのを防ぐことができる。
なお、電解質15として水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムを用いる場合は、水の分解による水素発生を抑制するために酸化亜鉛も同時に筐体10内部に添加することが望ましい。
なお、電子回路16を配設する位置は、導線17,18に接続可能な位置であるならば筐体10の上面の外側に限定されず、筐体10の側面や底面など、漏水センサー1の用途等に応じて適宜自由に設定することができる。
導線18は、銅線等から構成され、漏水により筐体10の内部に流入する水分に接触しないよう筐体10内部に埋設されており、一端が負極12に、他端が電子回路16に接続される。
このようなスイッチ19を配設する位置は、ユーザが漏水センサー1外部から操作可能な位置であるならば、筐体10の上面に限定されず、筐体10の側面や底面など、漏水センサー1の用途に応じて適宜自由に設定することができる。
なお、電子回路16およびスイッチ19の表面には、吸収体20を配設しないようにしてもよい。
負極:Zn+4OH-→Zn(OH)4 2-+2e-
全反応:Zn+2MnO2+2H2O+2OH-→Zn(OH)4 2-+2MnOOH
一方、ユーザの目視等により電子回路16の警告灯から漏水を発見する場合は、ユーザが巡視する時間間隔に基づいて、正極11、負極12および電解質15の量を設定することによりセンサーの作動時間を調節できる。
また、結露などにより生じる水滴を漏水と区別して誤動作を防ぐためには、吸収体20の量を多くすればよい。このようにすると、吸収体20に大量の水分が吸収されないと筐体10内部へは水分が流入しないので、少量の水分での誤動作は起こらない。
上述した本実施の形態の実施例について説明する。
正極11には、電界二酸化マンガン(EMD)、アセチレンブラック、およびPTFEを重量比で50:35:15でよく混合し、ロールプレスにより500μmのシート状にして、半径1cmの円形に切り抜き、チタンメッシュ上に圧着したものを用いた。このときの正極11に含まれるEMDの量は46mgであった。
負極12には、厚さ0.1mmの亜鉛箔を正極と同形状に切り抜き、チタンメッシュ上に圧着したもの用いた。
このような正極11および負極12は、容量が約10mlのPTFE製の筐体10にスポット溶接することにより固定した。このとき、正極11および負極12は、筐体10に配設されている銅線からなる導線17,18とそれぞれ接続されるように筐体10に溶接される。
吸収体20および導水路21には、市販の紙おむつに用いられている吸水ポリマー(0.5g)を用い、筐体10に公知の接着剤で貼り付けた。このポリマーの性能は、ポリマー1g当たり100mlの水分を吸収できる能力を有している。したがって、吸収体20および導水路21は、50mlの水分吸収能を有していることになる。
また、電子回路16には、電子ブザー(スター社製、MMB−01、必要電力3.4mW)を用いた。
ブザーは、4時間鳴動し、EMDの利用効率は約90%と高い利用効率を得られた。また、筐体10内部から水酸化カリウム水溶液の漏洩は発生しなかった。
次に、図2を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。図2は、本実施の形態にかかる漏水センサーの構成を示す断面図である。
漏水センサー2は、一の側面に開口30aを有しかつ上面に複数の孔30bが設けられた筐体30と、この筐体30の上面の内側に配設された正極31と、筐体30の底面の内側に配設された負極32と、正極31と負極32との間に配設された一対のセパレータ33,34と、このセパレータ33,34間に配設された電解質35と、筐体30の上面の外側に配設された電気回路36と、この電気回路36と正極31とを接続する導線37と、電気回路36と負極32とを接続する導線38と、筐体30の側面に配設され導線38を中継するスイッチ39と、筐体30の外部表面を覆う吸水体40と、この吸水体40と連続して筐体30の開口30aに配設された導水路31とを有する。
なお、筐体30の形状は、内部に正極31、負極32、電解質35等の漏水センサー2を構成する構成要素を配設可能な形状であるならば、直方体に限定されず、正方体、円柱形状など適宜自由に設定することができる。
また、正極31には、酸素と電解液の反応をスムーズに進行させるための酸素還元触媒を添加することが望ましい。触媒としては、白金、ルテニウムなどの貴金属、コバルトポルフィリンなどの有機金属錯体、酸化マンガンやペロブスカイト型酸化物などの金属酸化物等を用いることができる。
このような正極31は、カーボン、触媒、および、バインダーとしてのPTFEまたはPVDFを混合し、ホットプレスすることにより作成することができる。
負極32は、コストや電解液中での安定性を考慮すると、亜鉛を用いることが望ましい。このような負極32は、第1の実施の形態の負極12と同等の方法で製造することができる。
このように、正極31を筐体30の上面に配設し、負極32を筐体10の底面に配設することにより、正極31と負極32とが筐体30内部で対向するように配設される。
セパレータ34は、親水性を有する公知の材料から構成され、筐体の形状や大きさに合わせて、シート状の素材から、ポンチなどの適切な治具を用いて、適切な形状および寸法に切り出したものであり、対となるセパレータ33および負極32と離間または接触し、かつ、それぞれと略平行になるよう筐体30内部に配設される。
なお、セパレータ33、34の筐体30内部への配設は、例えば、セパレータ33、34の一端を吸収体40と連結させて、筐体30内部に水分が効率的に導入されるようにするのが望ましい。
セパレータ13,14としては、ポリエチレンやポリエステル等のポリマーシートやガラス繊維からなるシートの何れか、またはこれらを含むコンポジット膜を用いるようにしてもよい。
ここで、電解質35は、漏水により生じた水分が筐体30内部に流入したときに溶解しやすいよう微粉状のものが好ましい。
電解質35をセパレータ33、34の間に配設することにより、漏水前に電解質35と正極31および負極32とが接触して腐食するのを防ぐことができる。
なお、電解質35として水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムを用いる場合は、水の分解による水素発生を抑制するために酸化亜鉛も同時に筐体30内部に添加することが望ましい。
なお、電子回路36を配設する位置は、導線37,38に接続可能な位置であるならば筐体30の上面の外側に限定されず、筐体30の側面や底面など、漏水センサー2の用途等に応じて適宜自由に設定することができる。
導線38は、銅線等から構成され、漏水により筐体30の内部に流入する水分に接触しないよう筐体30内部に埋設されており、一端が負極32に、他端が電子回路36に接続される。
このようなスイッチ39を配設する位置は、ユーザが漏水センサー2外部から操作可能な位置であるならば、筐体30の側面に限定されず、筐体10の上面や底面など、漏水センサー2の用途に応じて適宜自由に設定することができる。
ここで、吸収体40は、例えば、筐体30の上面には配設しないなど、筐体30の上面に設けられた孔30aを塞がないように筐体30の外側表面に配設される。
また、電子回路36およびスイッチ39の表面には、吸収体40を配設しないようにしてもよい。
なお、以下の化学式は、負極32に亜鉛を用いた場合の反応を示している。
負極:2Zn+8OH-→2Zn(OH)4 2-+4e-
全反応:2Zn+O2+2H2O+4OH-→2Zn(OH)4 2-
このとき、筐体30の上面に撥水コートを施すようにしてもよい。これにより、孔30bを水分が塞いだり、孔30bから筐体30内部に水分が侵入することを防ぐことが可能となる。
また、電子回路36は、筐体30上部や導線37または38を延長し筐体30から離れた位置に配設することが望ましい。
上述した本実施の形態の実施例について説明する。
正極31には、ペロブスカイト型酸化物(La0.6Sr0.4MnO3)、ケチェンブラック、およびPTFEを重量比で50:35:15でよく混合し、半径1cmのチタンメッシュ上にホットプレスすることにより作製したものを用いた。
負極32には、亜鉛粉末100mgをチタンメッシュ上に圧着したものを用いた。
このような正極31および負極32は、容量が約10mlのPTFE製の筐体30にスポット溶接することにより固定した。このとき、正極31および負極32は、筐体30に配設されている銅線からなる導線37,38とそれぞれ接続されるように筐体30に溶接される。
吸収体40および導水路41には、市販の紙おむつに用いられている吸水ポリマー(0.4g)を用い、筐体30に公知の接着剤で貼り付けた。このポリマーの性能は、ポリマー1g当たり100mlの水分を吸収できる能力を有している。したがって、吸収体20および導水路21は、40mlの水分吸収能を有していることになる。
なお、本実施例では、実施例1とは異なり、筐体30の上面に複数の孔30bが形成されており、空気極へ酸素を送り込む構造を有する。このため、吸収体40は、筐体30側面と底面に貼り付けた。また、筐体30の上面には、孔30bへの水の侵入を防ぐために、公知の撥水コート剤を塗布した。
電子回路16には、市販のLED素子を用いた。他の実験方法は、実施例1と同様である。
次に、図3を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。図3は、本実施の形態にかかる漏水センサーの構成を示す断面図である。
なお、本実施の形態は、第1、2の実施の形態で示した使い捨て用途の漏水センサーとは異なり、繰り返しの使用が可能な漏水センサーであり、第1の実施の形態の漏水センサー1を改良したものである。したがって、本実施の形態において、第1の実施の形態と同等の構成要素については、同じ符号および名称を付し適宜説明を省略する。
このようなカートリッジ51は、上面を筐体50の底面に対向させた状態で、筐体50内部に挿入することにより、筐体50内部に配設される。
導線18は、筐体50に設けられた導線18aと、カートリッジ51に設けられた導線18bとから構成される。このような導線18aと導線18bは、カートリッジ51を筐体50内部に配設したときに、互いに接続されるように筐体50またはカートリッジ51に配設されている。
第1、2の実施の形態で示した漏水センサーは、筐体内部が水分が侵入して一度漏水を検出した後は、漏水センサーとして再利用することができない。これに対して、本実施の形態にかかる漏水センサー3は、漏水を検出しても、カートリッジ51を交換することにより、再び漏水を検出することが可能となる。これにより、筐体50に配設された電子回路16およびスイッチ19を再利用できるので、低コスト化を実現することができる。
漏水検出システム4は、このシステム全体を管理する集中管理センター5と、この集中管理センター5とそれぞれ無線または有線により接続された無線装置6、集音装置7、監視カメラ8と、無線装置6により監視される漏水センサー1aと、集音装置7により監視される漏水センサー1bと、監視カメラ8により監視される漏水センサー1cとから構成される。
なお、図4において、漏水センサー1a、1b、1cには、第1の実施の形態で説明した漏水センサー1を適用するが、第2、3の実施の形態で説明した漏水センサー2,3を適用してもよい。
このような集中管理装置5は、CPU等の演算装置、メモリ、HDD等の記憶装置、無線装置6、集音装置7および監視カメラ8と各種情報の送受を行うI/F装置、キーボード、マウス等の入力装置、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)、FED(Field Emission Display)または有機EL(Electro Luminescence)等の表示装置などを備えたコンピュータと、このコンピュータにインストールされたプログラムとからそれぞれ構成されており、上記ハードウェア装置がプログラムによって制御されることによって、すなわちハードウェア資源とソフトウェアが協働することによって、集中管理装置5の各機能部を実現する。
集音装置7は、漏水センサー1bから漏水が発生したことを示す警報音を検出すると、集中管理装置5に漏水が発生したことを伝える。このとき、集音装置7は、この集音装置7または漏水センサー1bの位置を示す情報を集中管理装置5に送信するようにしてもよい。
監視カメラ8は、漏水センサー1cから漏水が発生したことを示す警告光を検出すると、集中管理装置5に漏水が発生したことを伝える。このとき、監視カメラ8は、この監視カメラ8または漏水センサー1cの位置を示す情報を集中管理装置5に送信するようにしてもよい。
なお、漏水センサー1aは、図4に示すように、同じ漏水センサー1aを3つ直列に接続するようにしてもよい。このように漏水センサーを複数接続することにより、電子回路16の規格に応じてた電力を発生することができる。
Claims (7)
- 開口を有する筐体と、
この筐体内に配設された少なくとも1対の電極と、
少なくともこれらの電極間に配設された電解質およびセパレータ膜と、
前記電極に接続された電子回路と
を有し、
前記1対の電極は、それぞれイオン化傾向の異なる金属材料、合金材料および金属酸化物の何れかから成り、前記開口から前記筐体内に水分が侵入すると、前記電解質の水溶液との化学変化によって電池のアノードおよびカソードとして作用し、
前記電子回路は、前記電極間に生じた電位差によって起動して漏水が発生したことを報知する
ことを特徴とする漏水センサー。 - 前記筐体の表面および前記開口に配設された水分を吸収するポリマー
をさらに有することを特徴とする請求項1記載の漏水センサー。 - 開口を有する筐体と、
この筐体内に配設された金属電極および大気中の酸素を電気化学的に還元する触媒が添加されたカーボン電極と、
少なくとも前記金属電極と前記カーボン電極との間に配設された電解質およびセパレータ膜と、
前記金属電極および前記カーボン電極に接続された電子回路と
を有し、
前記金属電極および前記カーボン電極は、前記開口から前記筐体内に水分が侵入すると、前記電解質の水溶液との化学変化によって電池のアノードおよびカソードとして作用し、
前記電子回路は、前記金属電極と前記カーボン電極の間に生じた電位差によって起動して漏水が発生したことを報知する
ことを特徴とする漏水センサー。 - 前記カーボン電極は、前記筐体内部の前記筐体に複数の孔が形成された面に配設され、
前記孔が設けられた面を除く前記筐体の表面および前記開口に配設された水分を吸収するポリマー
をさらに有することを特徴とする請求項3記載の漏水センサー。 - 複数の漏水センサーを直列または並列に電気的に接続する
ことを特徴とする請求項請求項1乃至4の何れか1項に記載の漏水センサー。 - 前記電子回路は、無線信号を発信する無線装置、警報音を発生する音響装置および警告灯を点灯させる点灯装置の何れかから構成されることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の漏水センサー。
- 請求項1乃至6の何れか1項に記載された少なくとも1つの漏水センサーと、
前記漏水センサーから漏水が発生したことを検出する少なくとも1つの検出装置と、
この検出装置と通信回線により接続され、前記検出装置から漏水が発生したことに関する情報を受信する管理装置と
から構成されることを特徴とする漏水検出システム。
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