JP2006052426A - 窒化タンタル膜の形成方法 - Google Patents
窒化タンタル膜の形成方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2006052426A JP2006052426A JP2004233319A JP2004233319A JP2006052426A JP 2006052426 A JP2006052426 A JP 2006052426A JP 2004233319 A JP2004233319 A JP 2004233319A JP 2004233319 A JP2004233319 A JP 2004233319A JP 2006052426 A JP2006052426 A JP 2006052426A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- gas
- chamber
- tantalum
- supplied
- generating means
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Chemical Vapour Deposition (AREA)
- Electrodes Of Semiconductors (AREA)
Abstract
【課題】成膜時において処理温度の低減、膜へのプラズマダメージの低減を図るとともに膜中へのカーボンの混入を回避した窒化タンタル膜を低温で形成できる。
【解決手段】(a)チャンバ内に被処理基板を収納する工程;(b)1)0.1〜100Torrの減圧下、250〜400℃の基板温度にてチャンバ内に不活性ガスを供給してチャンバ内のガスを一掃する、2)同減圧および同温度の下でチャンバ内にハロゲン化タンタルガスを供給し、被処理基板上にハロゲン化タンタルを吸着させる、3)同減圧および同温度の下でチャンバ内の未吸着ハロゲン化タンタルを不活性ガスにより一掃する、4)同減圧および同温度の下でチャンバ内に予めラジカル化された水素およびアンモニアの混合ラジカル化ガスを供給し、被処理基板上に吸着されたハロゲン化タンタルと反応させて窒化タンタルを生成する、工程;(c)前記1)〜4)の工程を繰り返す工程;を含む。
【選択図】図1
【解決手段】(a)チャンバ内に被処理基板を収納する工程;(b)1)0.1〜100Torrの減圧下、250〜400℃の基板温度にてチャンバ内に不活性ガスを供給してチャンバ内のガスを一掃する、2)同減圧および同温度の下でチャンバ内にハロゲン化タンタルガスを供給し、被処理基板上にハロゲン化タンタルを吸着させる、3)同減圧および同温度の下でチャンバ内の未吸着ハロゲン化タンタルを不活性ガスにより一掃する、4)同減圧および同温度の下でチャンバ内に予めラジカル化された水素およびアンモニアの混合ラジカル化ガスを供給し、被処理基板上に吸着されたハロゲン化タンタルと反応させて窒化タンタルを生成する、工程;(c)前記1)〜4)の工程を繰り返す工程;を含む。
【選択図】図1
Description
本発明は、窒化タンタル膜の形成方法に関し、特にALD(Atomic Layer Deposition)法により窒化タンタル膜を形成する方法に係わる。
近年、半導体装置の設計において配線としてアルミニウムの代わりにより低抵抗の銅を用いることが検討または一部実施されている。例えば埋込み配線を絶縁膜(例えばLow−k膜)上に形成した場合、銅が絶縁膜等に拡散して半導体装置の動作に悪影響を及ぼす。このため、TiN、TaN、WN、TiSiNなどのバリア膜を前記絶縁膜と埋込み銅配線の界面に形成して銅が絶縁膜等に拡散するのを防ぐことが行われている。
特許文献1には、前記バリア膜(例えば窒化タンタル膜)をフッ素を含む前駆体を用いる熱CVD、プラズマCVDで成膜することが開示されている。例えば、原料ガスとしてTaF5とN2/H2を用いてPECVD法で窒化タンタル膜を成膜すること、原料ガスとしてTaF5とNH3を用いて熱CVD法で窒化タンタル膜を成膜することが記載されている。
しかしながら、PECVD法では成膜中に窒化タンタル膜がプラズマによるダメージを受け、膜質の低下を招く。また、熱CVD法では400℃を超える比較的高い温度で成膜する必要があり、例えば半導体装置のバリア膜の形成に適用した場合には、半導体装置のプロセスを制約することになる。
前記PECVD法、熱CVD法に代わる成膜技術として気相反応を起こさないALD(Atomic Layer Deposition)法が注目されている。このALD法は、良好なステップカバレージおよび品位等を有する薄膜を成膜できる特徴を有する。
前記ALD法により原料ガスとして無機系タンタル化合物(例えばハロゲン化タンタル)を用いて窒化タンタル膜を成膜する場合、被処理基板の表面に吸着させた前記ハロゲン化タンタルを所望の成分に還元しながら窒化することが困難である点がネックになっていた。
このようなことから、特許文献2にはチャンバ内に金属前駆体ガス(例えばTaCl5ガス)を供給してそのチャンバ内に設置した被処理基板上にTaCl5を原子層状態で堆積する工程と、未反応TaCl5ガスを不活性ガスを用いてパージする工程と、チャンバ内に水素ラジカルを導入して前記TaCl5を還元する工程と、前記チャンバ内に窒素ラジカル、NHまたはNH2ラジカルを導入して窒化して窒化タンタルを原子層状態で生成する工程を含むALD(Atomic Layer Deposition)法により窒化タンタル膜の成膜方法が開示されている。
しかしながら、特許文献2には各ガスをラジカル化するための具体的な方法が記載されていない。また、特許文献2では被処理基板上のTaCl5の還元処理と窒化処理とを別つに行うために成膜操作が煩雑になる。
一方、タンタル前駆体ガスとしてタンタルの有機化合物を用いてALD法により窒化タンタル膜を成膜することが知られている。しかしながら、この方法では有機物に由来するフリーカーボンが窒化タンタル膜中に混入して抵抗値を高くする等の問題があった。
米国特許第6,139,922明細書
米国特許第6,200,893明細書
本発明は、成膜時において処理温度の低減、膜へのプラズマダメージの低減を図るとともに膜中へのカーボンの混入を回避することが可能な窒化タンタル膜の形成方法および窒化タンタル膜の成膜装置を提供することを目的とする。
本発明によると、
(a)チャンバ内に被処理基板を収納する工程;
(b)前記チャンバ内で次の工程を行う工程;
1)0.1〜100Torrの減圧下、250〜400℃の基板温度にてチャンバ内に不活性ガスを供給してチャンバ内のガスを一掃する、
2)同減圧および同温度の下でチャンバ内にハロゲン化タンタルガスを供給し、前記被処理基板上にハロゲン化タンタルを吸着させる、
3)同減圧および同温度の下でチャンバ内の未吸着ハロゲン化タンタルを不活性ガスにより一掃する、
4)同減圧および同温度の下でチャンバ内に予めラジカル化された水素およびアンモニアの混合ラジカル化ガスを供給し、前記被処理基板上に吸着されたハロゲン化タンタルと反応させて窒化タンタルを生成する、
(c)前記1)〜4)の工程を繰り返して前記被処理基板上に所望厚さの窒化タンタルを成膜する工程;
を含むことを特徴とする窒化タンタル膜の形成方法が提供される。
(a)チャンバ内に被処理基板を収納する工程;
(b)前記チャンバ内で次の工程を行う工程;
1)0.1〜100Torrの減圧下、250〜400℃の基板温度にてチャンバ内に不活性ガスを供給してチャンバ内のガスを一掃する、
2)同減圧および同温度の下でチャンバ内にハロゲン化タンタルガスを供給し、前記被処理基板上にハロゲン化タンタルを吸着させる、
3)同減圧および同温度の下でチャンバ内の未吸着ハロゲン化タンタルを不活性ガスにより一掃する、
4)同減圧および同温度の下でチャンバ内に予めラジカル化された水素およびアンモニアの混合ラジカル化ガスを供給し、前記被処理基板上に吸着されたハロゲン化タンタルと反応させて窒化タンタルを生成する、
(c)前記1)〜4)の工程を繰り返して前記被処理基板上に所望厚さの窒化タンタルを成膜する工程;
を含むことを特徴とする窒化タンタル膜の形成方法が提供される。
本発明に係る窒化タンタル膜の形成方法において、前記1)〜4)の工程中にチャンバ内に不活性ガスを常に供給することが好ましい。
本発明に係る窒化タンタル膜の形成方法において、前記1)〜4)の工程において、不活性ガスを遠隔プラズマ発生手段に供給してプラズマを発生させる待機状態とし、前記4)の工程のときに水素およびアンモニアの混合ガスを前記待機状態の遠隔プラズマ発生手段に供給して水素およびアンモニアをラジカル化して前記チャンバ内に供給し、この工程以外では遠隔プラズマ発生手段での発生ガスを外部に排出すると共に、遠隔プラズマ発生手段とは別の系統から不活性ガスを前記チャンバ内に供給することを許容する。
本発明に係る窒化タンタル膜の形成方法において、前記1)〜4)の工程において、遠隔プラズマ発生手段で水素およびアンモニアを不活性ガスの共存下にてラジカル化して混合ラジカル化ガスを発生する待機状態とし、前記4)の工程のときに混合ラジカル化ガスを前記チャンバ内に供給し、この工程以外では混合ラジカル化ガスを外部に排出すると共に、遠隔プラズマ発生手段とは別の系統から不活性ガスを前記チャンバ内に供給することを許容する。
また本発明によると、
(a)チャンバ内に被処理基板を収納する工程;
(b)前記チャンバ内で次の工程を行う工程;
1)0.1〜100Torrの減圧下、250〜400℃の基板温度にてチャンバ内にハロゲン化タンタルガスを供給し、前記被処理基板上にハロゲン化タンタルを吸着させる、
2)同減圧および同温度の下でチャンバ内に予めラジカル化され、水素およびアンモニアの混合比(NH3/H2)が0.1〜10の混合ラジカル化ガスを供給し、前記被処理基板上に吸着されたハロゲン化タンタルと反応させて窒化タンタルを生成する、
(c)前記1)〜2)の工程を繰り返して前記被処理基板上に所望厚さの窒化タンタルを成膜する工程;
を含み、
前記1)〜2)の工程において、不活性ガスを遠隔プラズマ発生手段に供給してプラズマを発生させる待機状態とし、前記2)の工程のときに水素およびアンモニアの混合ガスを前記待機状態の遠隔プラズマ発生手段に供給して水素およびアンモニアをラジカル化して前記チャンバ内に供給し、この工程以外では遠隔プラズマ発生手段での発生ガスを外部に排出することを特徴とする窒化タンタル膜の形成方法が提供される。
(a)チャンバ内に被処理基板を収納する工程;
(b)前記チャンバ内で次の工程を行う工程;
1)0.1〜100Torrの減圧下、250〜400℃の基板温度にてチャンバ内にハロゲン化タンタルガスを供給し、前記被処理基板上にハロゲン化タンタルを吸着させる、
2)同減圧および同温度の下でチャンバ内に予めラジカル化され、水素およびアンモニアの混合比(NH3/H2)が0.1〜10の混合ラジカル化ガスを供給し、前記被処理基板上に吸着されたハロゲン化タンタルと反応させて窒化タンタルを生成する、
(c)前記1)〜2)の工程を繰り返して前記被処理基板上に所望厚さの窒化タンタルを成膜する工程;
を含み、
前記1)〜2)の工程において、不活性ガスを遠隔プラズマ発生手段に供給してプラズマを発生させる待機状態とし、前記2)の工程のときに水素およびアンモニアの混合ガスを前記待機状態の遠隔プラズマ発生手段に供給して水素およびアンモニアをラジカル化して前記チャンバ内に供給し、この工程以外では遠隔プラズマ発生手段での発生ガスを外部に排出することを特徴とする窒化タンタル膜の形成方法が提供される。
さらに本発明によると、
(a)チャンバ内に被処理基板を収納する工程;および
(b)前記チャンバ内で次の工程を行う工程;
1)0.1〜100Torrの減圧下、250〜400℃の基板温度にてチャンバ内に不活性ガスを供給してチャンバ内のガスを一掃する、
2)同減圧および同温度の下でチャンバ内に不活性ガスを供給しながら、ハロゲン化タンタルガスを供給し、前記被処理基板上にハロゲン化タンタルを吸着させる、
3)同減圧および同温度の下でチャンバ内の未吸着ハロゲン化タンタルを不活性ガスにより一掃する、
4)同減圧および同温度の下でチャンバ内に不活性ガスを供給しながら、予めラジカル化され、水素およびアンモニアの混合比(NH3/H2)が0.1〜10の混合ラジカル化ガスを供給し、前記被処理基板上に吸着されたハロゲン化タンタルと反応させて窒化タンタルを生成する、
を含み、
前記1)〜4)の工程において、不活性ガスを遠隔プラズマ発生手段に供給してプラズマを発生させる待機状態とし、前記4)の工程のときに水素およびアンモニアの混合ガスを前記待機状態の遠隔プラズマ発生手段に供給して水素およびアンモニアをラジカル化して前記チャンバ内に供給し、この工程以外では遠隔プラズマ発生手段での発生ガスを外部に排出すると共に、遠隔プラズマ発生手段とは別の系統から不活性ガスを前記チャンバ内に供給することを特徴とする窒化タンタル膜の形成方法が提供される。
(a)チャンバ内に被処理基板を収納する工程;および
(b)前記チャンバ内で次の工程を行う工程;
1)0.1〜100Torrの減圧下、250〜400℃の基板温度にてチャンバ内に不活性ガスを供給してチャンバ内のガスを一掃する、
2)同減圧および同温度の下でチャンバ内に不活性ガスを供給しながら、ハロゲン化タンタルガスを供給し、前記被処理基板上にハロゲン化タンタルを吸着させる、
3)同減圧および同温度の下でチャンバ内の未吸着ハロゲン化タンタルを不活性ガスにより一掃する、
4)同減圧および同温度の下でチャンバ内に不活性ガスを供給しながら、予めラジカル化され、水素およびアンモニアの混合比(NH3/H2)が0.1〜10の混合ラジカル化ガスを供給し、前記被処理基板上に吸着されたハロゲン化タンタルと反応させて窒化タンタルを生成する、
を含み、
前記1)〜4)の工程において、不活性ガスを遠隔プラズマ発生手段に供給してプラズマを発生させる待機状態とし、前記4)の工程のときに水素およびアンモニアの混合ガスを前記待機状態の遠隔プラズマ発生手段に供給して水素およびアンモニアをラジカル化して前記チャンバ内に供給し、この工程以外では遠隔プラズマ発生手段での発生ガスを外部に排出すると共に、遠隔プラズマ発生手段とは別の系統から不活性ガスを前記チャンバ内に供給することを特徴とする窒化タンタル膜の形成方法が提供される。
さらに本発明によると、
チャンバ;
前記チャンバ内に配置され、加熱手段を内蔵し、被処理基板が載置される基板載置台;
前記チャンバ内のガスを排気するための排気手段;
前記チャンバに連結手段により連結され、成膜工程中にプラズマを発生させる待機状態とする遠隔プラズマ発生手段;
前記チャンバおよび前記遠隔プラズマ発生手段に不活性ガスをそれぞれ供給するための不活性ガス供給手段;
前記チャンバ内にハロゲン化タンタルガスを供給するためのハロゲン化タンタルガス供給手段;および
前記遠隔プラズマ発生手段に水素およびアンモニアの混合ガスを供給するための混合ガス供給手段;
を具備し、
前記チャンバと遠隔プラズマ発生手段との連結手段は、前記遠隔プラズマ発生手段で水素およびアンモニアをラジカル化し、その混合ラジカル化ガスを前記チャンバ内に供給するとき以外、遠隔プラズマ発生手段の発生ガスを外部に排出する弁機構および配管系統を有することを特徴とする窒化タンタル膜の成膜装置が提供される。
チャンバ;
前記チャンバ内に配置され、加熱手段を内蔵し、被処理基板が載置される基板載置台;
前記チャンバ内のガスを排気するための排気手段;
前記チャンバに連結手段により連結され、成膜工程中にプラズマを発生させる待機状態とする遠隔プラズマ発生手段;
前記チャンバおよび前記遠隔プラズマ発生手段に不活性ガスをそれぞれ供給するための不活性ガス供給手段;
前記チャンバ内にハロゲン化タンタルガスを供給するためのハロゲン化タンタルガス供給手段;および
前記遠隔プラズマ発生手段に水素およびアンモニアの混合ガスを供給するための混合ガス供給手段;
を具備し、
前記チャンバと遠隔プラズマ発生手段との連結手段は、前記遠隔プラズマ発生手段で水素およびアンモニアをラジカル化し、その混合ラジカル化ガスを前記チャンバ内に供給するとき以外、遠隔プラズマ発生手段の発生ガスを外部に排出する弁機構および配管系統を有することを特徴とする窒化タンタル膜の成膜装置が提供される。
本発明は、プラズマダメージが低減され、かつカーボンの混入のない高品質で低抵抗の窒化タンタル膜を低温で形成する方法および成膜装置を提供できる。
以下、本発明に係る窒化タンタル膜の形成方法および成膜装置を図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、この第1実施形態に係るALD法に適用される成膜装置(不活性ガスのパージ時における各制御弁の開閉状態を併記)を示す概略図、図2および図3は図1と同じ成膜装置でそれぞれ塩化タンタルガスのパルス時における各制御弁の開閉状態、NH3ラジカル/H2ラジカルパルス時における各制御弁の開閉状態を示す概略図である。
図1は、この第1実施形態に係るALD法に適用される成膜装置(不活性ガスのパージ時における各制御弁の開閉状態を併記)を示す概略図、図2および図3は図1と同じ成膜装置でそれぞれ塩化タンタルガスのパルス時における各制御弁の開閉状態、NH3ラジカル/H2ラジカルパルス時における各制御弁の開閉状態を示す概略図である。
成膜容器1は、被処理基板(例えば半導体ウェハ)を収納し、処理するための処理空間を規定する気密なチャンバ2を有する。この成膜容器1は、例えばステンレス鋼から作られている。ヒータとクーラを組合わせた温度調節器3を内蔵した載置台4は、前記成膜容器1のチャンバ2内底部に配置されている。排気管5は、前記成膜容器1の底部に連結されている。この排気管5には、前記成膜容器1側から圧力制御弁6およびチャンバ2内のガスを排気するとともに所望の真空度に維持する真空ポンプ7がこの順序で介装されている。
不活性ガス、例えばアルゴン(Ar)ガスのボンベ8には、第1ガス供給管9が連結され、この第1ガス供給管9は第1、第2の分岐ガス供給管10a,10b分岐されている。第1分岐ガス供給管10aの他端は、前記成膜容器1の上部に連結され、第2分岐ガス供給管10bは後述する遠隔プラズマ発生手段の真空容器に連結されている。この第1分岐ガス供給管10aには、前記アルゴンガスボンベ8側から圧力制御弁11およびマスフローコントローラ12がこの順次で介装されている。なお、不活性ガスはアルゴンガスの他にヘリウムガスなどのアルゴンガス以外の希ガスまたは窒素ガスを用いることができる。
ハロゲン化タンタル(例えば塩化タンタル;TaCl5)ガスを生成するための気化器13は、例えば固体状(例えば粒状)の塩化タンタルを収納する両端封じ円筒状の密封容器14と、この密封容器14の外周に配置され、前記粒状塩化タンタルを加熱して気化するためのヒータ15と、前記密封容器14の底部に連結され、不活性ガス(例えばアルゴンガス)を導入するための導入管16とを備えている。なお、導入管16にはアルゴンガスの供給側から圧力制御弁17およびマスフローコントローラ18がこの順序で介装されている。気化器13は、第2ガス供給管19を通して前記成膜容器1とマスフローコントローラ12の間に位置する前記第1分岐ガス供給管10aに連結されている。この第2ガス供給管19には、制御弁20が介装されている。第1ガス排出管21は、前記気化器13と制御弁20の間に位置する前記第2ガス供給管19部分から分岐され、かつ制御弁22が介装されている。なお、前記第2ガス供給管19および第1ガス排出管21にそれぞれ介装された制御弁20、22は、それら制御弁20、22を同期的に開閉するプログラムが入力された図示しないマイクロコンピュータにより自動開閉される。
このような気化器13を備えた塩化タンタルガス供給系において、導入管16の圧力制御弁17を開き、不活性ガス(例えばアルゴンガス)を粒状塩化タンタルが収納された密閉容器14に導入管16を通して導入するとともに、マスフローコントローラ18でその導入流量を調整する。ヒータ15により密閉容器14内の粒状塩化タンタルを加熱して気化させることにより、塩化タンタルガスが導入されたアルゴンガスと共に第2ガス供給管19に流出される。このとき、前記塩化タンタルガスを成膜容器1のチャンバ2内に供給する場合には、第1ガス排出管21の制御弁22を閉じ、同時に第2ガス供給管19の制御弁20を開くことによって、前記塩化タンタルガスは第2ガス供給管19、第1分岐ガス供給管10aを通してチャンバ2内に供給される。一方、前記塩化タンタルガスを成膜容器1のチャンバ2内に供給させない場合には、第2ガス供給管19の制御弁20を閉じ、同時に第1ガス排出管21の制御弁22を開くことによって、前記塩化タンタルガスは第1ガス排出管21を通して外部に排出される。したがって、ハロゲン化タンタルガス供給手段である例えば塩化タンタルガス供給系は塩化タンタルガスを不活性ガスと共に前記成膜容器1のチャンバ2内に供給するとき以外、外部に排出する弁機構である制御弁20,22および配管系統である第2ガス供給管19、第1ガス排出管21を備えた構成になっている。なお、必要に応じて気化器13と第1ガス排出管21の分岐部の間に位置する第2ガス供給管19部分に密閉容器14の内部圧力を調節するための背圧制御弁を介装してもよい。
真空容器23は、前記成膜容器1に対して離れた位置に配置されている。図示しないマイクロ波導波管は、前記真空容器23に取り付けられ、例えば2.45GHzのマイクロ波を真空容器23内に導入する。この真空容器23は、真空排気される成膜容器1と後述するように第4ガス供給管37を通して連結されている。このような真空容器23、導波管等により予めラジカル化された水素およびアンモニアの混合ラジカル化ガスを生成するための遠隔プラズマ発生手段を構成している。前記アルゴンガスボンベ8のガス供給管9から分岐された第2分岐ガス供給管10bは、前記真空容器23に連結されている。この第2分岐ガス供給管10bには、前記第1供給管9側から圧力制御弁24およびマスフローコントローラ25がこの順次で介装されている。アンモニア(NH3)および水素(H2)の混合器26は、第3ガス供給管27を通して前記真空容器23に連結されている。アンモニア(NH3)ガスの導入管28は、前記混合器26に連結されている。この導入管28には、そのNH3ガスの供給側から圧力制御弁29およびマスフローコントローラ30がこの順序で介装されている。水素(H2)の導入管31は、前記混合器26に連結されている。この導入管31には、そのH2ガス供給側から圧力制御弁32およびマスフローコントローラ33がこの順序で介装されている。前記第3ガス供給管27には、制御弁34が介装されている。第2ガス排出管35は、前記混合器26と前記制御弁34の間に位置する前記第3ガス供給管27から分岐され、かつ制御弁36が介装されている。なお、前記第3ガス供給管27および第2ガス排出管35にそれぞれ介装された制御弁34,36は、それら制御弁34,36を同期的に開閉するプログラムが入力された前述したマイクロコンピュータ(図示せず)により自動開閉される。
前記真空容器23は、第4ガス供給管37を通して前記成膜容器1に連結されている。この第4ガス供給管37には、制御弁38が介装されている。第3ガス排出管39は、前記真空容器23と制御弁38の間に位置する前記第4ガス供給管37から分岐され、かつ制御弁40が介装されている。なお、前記第4ガス供給管37および第3ガス排出管39にそれぞれ介装された制御弁38,40は、それら制御弁38,40を同期的に開閉するプログラムが入力された前述したマイクロコンピュータ(図示せず)により自動開閉される。
このような混合ガス供給手段である混合ガス供給系において、導入管28、31の圧力制御弁29、32を開いた状態でアンモニアガスおよび水素ガスを導入管28、31を通して混合器26内にそれぞれ供給すると共に、マスフローコントローラ30,33でそれぞれの供給流量を調整し、それらガスを混合され、第3ガス供給管27に流出される。このとき、混合ガスを真空容器23に供給する場合には第2ガス排出管35の制御弁36を閉じ、同時に第3ガス供給管27の制御弁34を開くことによって、混合ガスは第3ガス供給管27を通して真空容器23内に供給される。一方、混合ガスを真空容器23内に供給させない場合には第3ガス供給管27の制御弁34を閉じ、同時に第2ガス排出管35の制御弁36を開くことによって混合ガスは前記第2ガス排出管35を通して外部に排出される。したがって、混合ガス供給系は混合ガスを前記遠隔プラズマ発生手段の真空容器23に供給するとき以外、外部に排出する弁機構である制御弁34,36および配管系統である第3ガス供給管27、第2ガス排出管35を備えた構成になっている。
また、前記遠隔プラズマ発生手段において、アルゴンガスボンベ8からアルゴンガスを第1ガス供給管9および第2分岐ガス供給管10bを通して真空容器23内に供給すると共に、マスフローコントローラ25でその供給流量を調整する。第2ガス排出管35の制御弁36を閉じ、同時に第3ガス供給管27の制御弁34を開くことによって、混合器26からNH3/H2が所望の流量および比率で混合された混合ガスを第3ガス供給管27を通して真空容器23内に供給する。このとき、前記真空容器23は第4ガス供給管37を通して成膜容器1に連結され、その成膜容器1内を真空ポンプ7により排気することにより同様に排気される。なお、第4ガス供給管37の制御弁38を閉じ、第3ガス排出管39の制御弁40を開いて真空容器23を成膜容器1に対する連通を断つ場合には、真空容器23内のガス排気は第3ガス排出管39を通してなされる。このような排気、アルゴンガスおよびNH3/H2の混合ガスの供給により真空容器23内を所望の真空度にする。真空容器23内の真空度が安定した後、マイクロ波導波管から例えば2.45GHzのマイクロ波を真空容器23に導入することにより、アルゴンガスの存在によりプラズマが発生されると共に、NH3/H2が活性化されてNH3ラジカル/H2ラジカル(混合ラジカル化ガス)が生成される。生成した混合ラジカル化ガスは、アルゴンガスと共に第4ガス供給管37に流出される。
前記真空容器23内の混合ラジカル化ガスを成膜容器1のチャンバ2内に供給する場合には第3ガス排出管39の制御弁40を閉じ、同時に第4ガス供給管37の制御弁38を開くことによって、前記混合ラジカル化ガスは第4ガス供給管37を通してチャンバ2内に供給される。一方、真空容器23内の混合ラジカル化ガス(またはプラズマ下で活性化されたアルゴンガス)のような発生ガスをチャンバ2内に供給させない場合には、第4ガス供給管37の制御弁38を閉じ、同時に第3ガス排出管39の制御弁40を開くことによって、前記発生ガスは第3ガス排出管39を通して外部に排出される。したがって、前記チャンバ2と遠隔プラズマ発生手段とを連結するための手段の一形態は前記遠隔プラズマ発生手段の真空容器23で水素およびアンモニアをラジカル化し、その混合ラジカル化ガスを前記チャンバ2内に供給するとき以外、真空容器23の発生ガスを外部に排出する弁機構である制御弁38,40および配管系統である第4ガス供給管37、第3ガス排出管39を備えた構成になっている。
次に、前述した図1〜図3に示す成膜装置を用いて第1実施形態に係るALD法による窒化タンタル膜の形成方法を説明する。
1)アルゴンガスパージ
図1に示すように被処理基板、例えば半導体ウェハ41を載置台4上に載置し、その載置台4に内蔵された温度調節器3によりウェハ41を加熱する。第2ガス供給管19、第3ガス供給管27および第3ガス排出管39の制御弁20、34、40を閉じ、これ以外の制御弁を全て開放する。なお、図1において閉鎖した制御弁を黒で塗りつぶし、開放された制御弁を白抜きとして表示する。また、以下の説明における制御弁の開閉状態も同様に表示する。
図1に示すように被処理基板、例えば半導体ウェハ41を載置台4上に載置し、その載置台4に内蔵された温度調節器3によりウェハ41を加熱する。第2ガス供給管19、第3ガス供給管27および第3ガス排出管39の制御弁20、34、40を閉じ、これ以外の制御弁を全て開放する。なお、図1において閉鎖した制御弁を黒で塗りつぶし、開放された制御弁を白抜きとして表示する。また、以下の説明における制御弁の開閉状態も同様に表示する。
次いで、真空ポンプ7を作動して成膜容器1内のガスを排気管5を通して排気しながら、アルゴンガスボンベ8からアルゴンガスを第1ガス供給管9および第1分岐ガス供給管10aを通して成膜容器1内に供給すると共に、マスフローコントローラ12でその供給流量を調整する。同時に、遠隔プラズマ発生手段において前述した操作で真空容器23内にプラズマを発生させる。ただし、この工程ではNH3/H2の混合ガスを供給せず、アルゴンガスのみを真空容器23に供給し、プラズマを発生するために導入したアルゴンガスを真空容器23から第4ガス供給管37を通して前記成膜容器1内に供給する。このような成膜容器1内のガスの排気、アルゴンガスの成膜容器1内への供給により所望の真空度でアルゴンガスパージがなされ、成膜容器1内がアルゴンガスで置換される。
なお、前記アルゴンガスパージの工程以降において、前述したように気化器13を備えた塩化タンタルガス供給系で塩化タンタルガスの生成がなされる。ただし、アルゴンガスパージの工程およびNH3ラジカル/H2ラジカルのパルス工程では第2ガス供給管19の制御弁20を閉じ、第1ガス排出管21の制御弁22を開くことにより、アルゴンガスと共に塩化タンタルガスは図1の矢印で示すようにこの第1ガス排出管21から排出される。
また、同アルゴンガスパージの工程以降において前述したように混合器26でNH3/H2を所望の比率で混合した混合ガスが調製される。ただし、同アルゴンガスパージの工程および塩化タンタルガスのパルス工程では第3ガス供給管27の制御弁34を閉じ、第2ガス排出管35の制御弁36を開くことにより、混合ガスは図1の矢印で示すようにこの第2ガス排出管35から排出される。
2)塩化タンタルガスのパルス
図1に示す状態から図2に示すように第1ガス排出管21の制御弁22を閉じ、それと同時に第2ガス供給管19の制御弁20を開き、所望時間この状態を保つことによって、既に気化器13を備えた塩化タンタルガス供給系で生成した塩化タンタルガスをアルゴンガスと一緒に第1分岐ガス供給管10a(アルゴンガスが流通)に所望量供給する。第1分岐ガス供給管10aに供給された塩化タンタルガスは、アルゴンガスと一緒に成膜容器1のチャンバ2内に供給され、チャンバ2内の載置台4に載置され、所望温度に加熱された半導体ウェハ41表面に塩化タンタルが単分子層または単分子層に近い状態で吸着される。
図1に示す状態から図2に示すように第1ガス排出管21の制御弁22を閉じ、それと同時に第2ガス供給管19の制御弁20を開き、所望時間この状態を保つことによって、既に気化器13を備えた塩化タンタルガス供給系で生成した塩化タンタルガスをアルゴンガスと一緒に第1分岐ガス供給管10a(アルゴンガスが流通)に所望量供給する。第1分岐ガス供給管10aに供給された塩化タンタルガスは、アルゴンガスと一緒に成膜容器1のチャンバ2内に供給され、チャンバ2内の載置台4に載置され、所望温度に加熱された半導体ウェハ41表面に塩化タンタルが単分子層または単分子層に近い状態で吸着される。
3)アルゴンガスパージ
第2ガス供給管19の制御弁20を閉じると同時に、第1ガス排出管21の制御弁22を開くことにより、図2に示す状態から前述した図1に示すアルゴンガスパージを行う。このとき、成膜容器1のチャンバ2内に残留した未反応の塩化タンタルがアルゴンガスにより排出され、チャンバ2内が再びアルゴンガスで置換される。
第2ガス供給管19の制御弁20を閉じると同時に、第1ガス排出管21の制御弁22を開くことにより、図2に示す状態から前述した図1に示すアルゴンガスパージを行う。このとき、成膜容器1のチャンバ2内に残留した未反応の塩化タンタルがアルゴンガスにより排出され、チャンバ2内が再びアルゴンガスで置換される。
4)NH3ラジカル/H2ラジカルのパルス
図1に示す状態から図3に示すように第2ガス排出管35の制御弁36を閉じ、それと同時に第3ガス供給管27の制御弁34を開き、所望時間この状態を保つことによって、アルゴンの供給およびマイクロ波の導入によりプラズマが発生された真空容器23内に混合器26からNH3/H2の混合ガスを所望量供給する。真空容器23に供給されたNH3/H2の混合ガスは、プラズマにより活性化され、NH3ラジカル/H2ラジカル(混合ラジカル化ガス)が生成される。生成した混合ラジカル化ガスは、アルゴンガスと共に第4ガス供給管37を通して成膜容器1のチャンバ2内に供給され、所望温度に加熱された半導体ウェハ41表面に吸着された塩化タンタルに対して還元および窒化を同時になすため、窒化タンタル膜が単分子層または単分子層に近い状態で成膜される。また、混合ラジカル化ガスは成膜容器1で生成されるのではなく、遠隔プラズマ発生手段の真空容器23内で生成され、成膜容器1のチャンバ2内に輸送されるため、プラズマに起因する窒化タンタル膜へのダメージが抑制される。
図1に示す状態から図3に示すように第2ガス排出管35の制御弁36を閉じ、それと同時に第3ガス供給管27の制御弁34を開き、所望時間この状態を保つことによって、アルゴンの供給およびマイクロ波の導入によりプラズマが発生された真空容器23内に混合器26からNH3/H2の混合ガスを所望量供給する。真空容器23に供給されたNH3/H2の混合ガスは、プラズマにより活性化され、NH3ラジカル/H2ラジカル(混合ラジカル化ガス)が生成される。生成した混合ラジカル化ガスは、アルゴンガスと共に第4ガス供給管37を通して成膜容器1のチャンバ2内に供給され、所望温度に加熱された半導体ウェハ41表面に吸着された塩化タンタルに対して還元および窒化を同時になすため、窒化タンタル膜が単分子層または単分子層に近い状態で成膜される。また、混合ラジカル化ガスは成膜容器1で生成されるのではなく、遠隔プラズマ発生手段の真空容器23内で生成され、成膜容器1のチャンバ2内に輸送されるため、プラズマに起因する窒化タンタル膜へのダメージが抑制される。
このような1)アルゴンガスパージ、2)塩化タンタルガスのパルス、3)アルゴンガスパージおよび4)NH3ラジカル/H2ラジカルのパルスの工程を繰り返すことによって、半導体ウェハ41表面に所望厚さの窒化タンタル膜を形成する。なお、前記1)のアルゴンガスパージにおいては成膜容器1のチャンバ2内に残留した未反応のNH3ラジカル/H2ラジカルおよび反応副生物がアルゴンガスにより排出され、チャンバ2内が再びアルゴンガスで置換される。
前記1)〜4)の工程を1サイクルとするALD法による窒化タンタルの成膜において、被処理基板である半導体ウェハの温度を250〜400℃にする。半導体ウェハの温度が400℃を超えると、窒化タンタル膜を再現性よく成膜することが困難になるばかりか、窒化タンタル膜の表面が荒れたり、膜中に不純物が混入したりする。
前記1)〜4)の工程を1サイクルとするALD法による窒化タンタルの成膜において、成膜容器のチャンバ内の圧力を0.1〜100Torrにする。このチャンバ内の圧力を0.1Torr未満にすると、特に塩化タンタルのパルス工程において半導体ウェハ表面への塩化タンタルの吸着量が低下する。一方、前記チャンバ内の圧力が100Torrを超えると、塩化タンタルのパルス工程において半導体ウェハ表面への塩化タンタルの吸着量が増大するものの、成膜された窒化タンタル膜の面内均一性が損なわれる。また、アルゴンガスパージ工程での置換効率が低下し、その結果例えば置換が完了するまでの時間が長くなり、スループットが低下する虞がある。さらに、前記4)の工程において成膜容器1のチャンバ2内に導入されたNH3ラジカル/H2ラジカルを半導体ウェハ41表面に吸着された塩化タンタルと十分な還元および窒化を行うために必要なラジカル状態に維持することが困難になる。より好ましい前記チャンバ内の圧力は0.3〜10Torrである。
前記塩化タンタルガスのパルス工程において、塩化タンタルガスに代えてフッ化タンタル、臭化タンタル、ヨウ化タンタルのような他のハロゲン化タンタルのガスを用いることができる。これらの他のハロゲン化タンタルも塩化タンタルと同様に常温下で固体状であるため、図1で説明したのと同様な気化器を用いてハロゲン化タンタルガスを発生させる。
前記NH3ラジカル/H2ラジカルのパルス工程に用いられる混合ガスのNH3/H2比率(体積比率)は、0.1〜10にすることが好ましい。前記混合比率を0.1未満にすると、NH3ラジカル/H2ラジカルのパルス工程において窒素源であるNH3ラジカル量が不足して所定の窒化タンタル膜の成膜が困難になるばかりか、場合によってTaの金属膜が成膜される虞がある。一方、前記混合比率が10を超えると、パルス工程においてH2ラジカルによる還元が十分になされず、所定の窒化タンタル膜の成膜が困難になる虞がある。より好ましい混合ガスのNH3/H2比率(体積比率)は、1〜5である。なお、混合ガス中のNH3/H2比率の調整は前述した図1におけるアンモニアガスの導入管28および水素ガスの導入管31のマスフローコントローラ30、33による流量の調節によって行うことができる。
遠隔プラズマ発生手段は、前述した真空容器にマイクロ波導波管を取り付けた形態の他に、例えば真空容器内に平行平板電極を配置し、これら電極の一方に高周波電力が供給し、他方の電極を接地する形態、または接地される真空容器内に高周波電力が供給される電極を配置する形態にしてもよい。
以上、第1実施形態によればプラズマダメージが低減され、かつカーボンの混入のない高品質で低抵抗の窒化タンタル膜を低温で形成することができる。
また、前記NH3ラジカル/H2ラジカルのパルス工程において混合ガスのNH3/H2比率(体積比率)を0.1〜10にすれば、半導体ウェハ41表面に吸着された塩化タンタルに対する還元および窒化のバランスが良好になり、所望の元素比を持つ窒化タンタル膜を効率的にかつ安定的に成膜することができる。
(第2実施形態)
前述した図3および図4、図5に示す成膜装置を用いて第2実施形態に係る窒化タンタル膜の形成方法を説明する。図4は、前述した第1実施形態で用いたのと同様な成膜装置を示し、この第2実施形態に係るALD法の適用に際してのパージ時における制御弁の開閉状態を示す概略図、図5は前述した第1実施形態で用いたのと同様な成膜装置を示し、この第2実施形態に係るALD法の適用に際しての塩化タンタルのパルス時における制御弁の開閉状態を示す概略図である。
前述した図3および図4、図5に示す成膜装置を用いて第2実施形態に係る窒化タンタル膜の形成方法を説明する。図4は、前述した第1実施形態で用いたのと同様な成膜装置を示し、この第2実施形態に係るALD法の適用に際してのパージ時における制御弁の開閉状態を示す概略図、図5は前述した第1実施形態で用いたのと同様な成膜装置を示し、この第2実施形態に係るALD法の適用に際しての塩化タンタルのパルス時における制御弁の開閉状態を示す概略図である。
1)アルゴンガスパージ
図4に示すように被処理基板、例えば半導体ウェハ41を載置台4上に載置し、その載置台4に内蔵された温度調節器3によりウェハ41を加熱する。第2ガス供給管19、第3ガス供給管27および第4ガス供給管37の制御弁20、34、38を閉じ、これ以外の制御弁を全て開放する。つづいて、真空ポンプ7を作動して成膜容器1内のガスを排気管5を通して排気しながら、アルゴンガスボンベ8からアルゴンガスを第1ガス供給管9および第1分岐ガス供給管10aを通して成膜容器1内に供給すると共に、マスフローコントローラ12でその供給流量を調整する。同時に、遠隔プラズマ発生手段において前述した第1実施形態と同様に真空容器23内にアルゴンガスのみを供給し、プラズマを発生させる。このプラズマを発生するために導入したアルゴンガスは、前記成膜容器1内に供給せず、第3ガス排出管39を通して外部に排出する。このような成膜容器1内のガスの排気、アルゴンガスボンベ8からアルゴンガスを第1ガス供給管9および第1分岐ガス供給管10aを経由するアルゴンガスのみの成膜容器1内への供給により所望の真空度でアルゴンガスパージがなされ、成膜容器1内がアルゴンガスで置換される。なお、成膜容器1内へのアルゴンガスの供給は第1分岐ガス供給管10aを経由するアルゴンガスのみでなされるため、第1実施形態に比べてその供給量が不足する場合には第1分岐ガス供給管10aに介装されたマスフローコントローラ12で流量制御を行ってアルゴンガスの供給量を増大してもよい。
図4に示すように被処理基板、例えば半導体ウェハ41を載置台4上に載置し、その載置台4に内蔵された温度調節器3によりウェハ41を加熱する。第2ガス供給管19、第3ガス供給管27および第4ガス供給管37の制御弁20、34、38を閉じ、これ以外の制御弁を全て開放する。つづいて、真空ポンプ7を作動して成膜容器1内のガスを排気管5を通して排気しながら、アルゴンガスボンベ8からアルゴンガスを第1ガス供給管9および第1分岐ガス供給管10aを通して成膜容器1内に供給すると共に、マスフローコントローラ12でその供給流量を調整する。同時に、遠隔プラズマ発生手段において前述した第1実施形態と同様に真空容器23内にアルゴンガスのみを供給し、プラズマを発生させる。このプラズマを発生するために導入したアルゴンガスは、前記成膜容器1内に供給せず、第3ガス排出管39を通して外部に排出する。このような成膜容器1内のガスの排気、アルゴンガスボンベ8からアルゴンガスを第1ガス供給管9および第1分岐ガス供給管10aを経由するアルゴンガスのみの成膜容器1内への供給により所望の真空度でアルゴンガスパージがなされ、成膜容器1内がアルゴンガスで置換される。なお、成膜容器1内へのアルゴンガスの供給は第1分岐ガス供給管10aを経由するアルゴンガスのみでなされるため、第1実施形態に比べてその供給量が不足する場合には第1分岐ガス供給管10aに介装されたマスフローコントローラ12で流量制御を行ってアルゴンガスの供給量を増大してもよい。
2)塩化タンタルガスのパルス
図4に示す状態から図5に示すように第1ガス排出管21の制御弁22を閉じ、それと同時に第2ガス供給管19の制御弁20を開き、所望時間この状態を保つことによって、既に気化器13を備えた塩化タンタルガス供給系で生成した塩化タンタルガスをアルゴンガスと一緒に第1分岐ガス供給管10a(アルゴンガスが流通)に所望量供給し、前述した第1実施形態と同様に所望温度に加熱された半導体ウェハ41表面に塩化タンタルを吸着する。このとき、遠隔プラズマ発生手段の真空容器23内にプラズマを発生するために導入したアルゴンガスは、前記成膜容器1内に供給せず、第3ガス排出管39を通して外部に排出する。
図4に示す状態から図5に示すように第1ガス排出管21の制御弁22を閉じ、それと同時に第2ガス供給管19の制御弁20を開き、所望時間この状態を保つことによって、既に気化器13を備えた塩化タンタルガス供給系で生成した塩化タンタルガスをアルゴンガスと一緒に第1分岐ガス供給管10a(アルゴンガスが流通)に所望量供給し、前述した第1実施形態と同様に所望温度に加熱された半導体ウェハ41表面に塩化タンタルを吸着する。このとき、遠隔プラズマ発生手段の真空容器23内にプラズマを発生するために導入したアルゴンガスは、前記成膜容器1内に供給せず、第3ガス排出管39を通して外部に排出する。
3)アルゴンガスパージ
第2ガス供給管19の制御弁20を閉じると同時に、第1ガス排出管21の制御弁22を開くことにより、図5に示す状態から前述した図4に示すように第1ガス供給管9および第1分岐ガス供給管10aを経由するアルゴンガスのみでアルゴンガスパージを行い、成膜容器1のチャンバ2内に残留した未反応の塩化タンタルがアルゴンガスにより排出し、チャンバ2内を再びアルゴンガスで置換する。
第2ガス供給管19の制御弁20を閉じると同時に、第1ガス排出管21の制御弁22を開くことにより、図5に示す状態から前述した図4に示すように第1ガス供給管9および第1分岐ガス供給管10aを経由するアルゴンガスのみでアルゴンガスパージを行い、成膜容器1のチャンバ2内に残留した未反応の塩化タンタルがアルゴンガスにより排出し、チャンバ2内を再びアルゴンガスで置換する。
4)NH3ラジカル/H2ラジカルのパルス
図4に示す状態から前記第1実施形態で説明した図3に示すように第3ガス排出管39の制御弁40を閉じ、それと同時に第4ガス供給管37の制御弁38を開くと共に、第2ガス排出管35の制御弁36を閉じ、それと同時に第3ガス供給管27の制御弁34を開き、所望時間この状態を保つことによって、アルゴンの供給およびマイクロ波の導入によりプラズマが発生された真空容器23内に混合器26からNH3/H2の混合ガスを所望量供給する。このとき、前述した第1実施形態1と同様に真空容器23で供給されたNH3/H2の混合ガスがプラズマにより活性化され、生成したNH3ラジカル/H2ラジカルは、アルゴンガスと共に第4ガス供給管37を通して成膜容器1のチャンバ2内に供給され、所望温度に加熱された半導体ウェハ41表面に吸着された塩化タンタルに対し還元および窒化を同時になすため、窒化タンタル膜が成膜される。また、NH3ラジカル/H2ラジカルは成膜容器1で生成されるのではなく、遠隔プラズマ発生手段の真空容器23内で生成され、成膜容器1のチャンバ2内に輸送されるため、プラズマに起因する窒化タンタル膜へのダメージが抑制される。
図4に示す状態から前記第1実施形態で説明した図3に示すように第3ガス排出管39の制御弁40を閉じ、それと同時に第4ガス供給管37の制御弁38を開くと共に、第2ガス排出管35の制御弁36を閉じ、それと同時に第3ガス供給管27の制御弁34を開き、所望時間この状態を保つことによって、アルゴンの供給およびマイクロ波の導入によりプラズマが発生された真空容器23内に混合器26からNH3/H2の混合ガスを所望量供給する。このとき、前述した第1実施形態1と同様に真空容器23で供給されたNH3/H2の混合ガスがプラズマにより活性化され、生成したNH3ラジカル/H2ラジカルは、アルゴンガスと共に第4ガス供給管37を通して成膜容器1のチャンバ2内に供給され、所望温度に加熱された半導体ウェハ41表面に吸着された塩化タンタルに対し還元および窒化を同時になすため、窒化タンタル膜が成膜される。また、NH3ラジカル/H2ラジカルは成膜容器1で生成されるのではなく、遠隔プラズマ発生手段の真空容器23内で生成され、成膜容器1のチャンバ2内に輸送されるため、プラズマに起因する窒化タンタル膜へのダメージが抑制される。
このような1)アルゴンガスパージ、2)塩化タンタルガスのパルス、3)アルゴンガスパージおよび4)NH3ラジカル/H2ラジカルのパルスの工程を繰り返すことによって、半導体ウェハ41表面に所望厚さの窒化タンタル膜を形成する。
以上、第2実施形態によればプラズマダメージが低減され、かつカーボンの混入のない高品質で低抵抗の窒化タンタル膜を低温で形成することができる。
また、前記1)〜4)の工程において、アルゴンガスを第1ガス供給管8および第2分岐ガス供給管10bを通して遠隔プラズマ発生手段の真空容器23に供給してプラズマを発生させる待機状態とし、前記4)のNH3ラジカル/H2ラジカルのパルス工程のときに水素およびアンモニアの混合ガスを前記待機状態の遠隔プラズマ発生手段の真空容器23に第3ガス供給管27を通して供給して水素およびアンモニアをラジカル化し、これを前記成膜容器1のチャンバ2内に第4ガス供給管37を通して供給し、この工程以外では遠隔プラズマ発生手段の真空容器23で活性化されたアルゴンガスを成膜容器1内に導入せず、第3ガス排出管39を通して外部に排出すると共に、遠隔プラズマ発生手段とは別の系統(第1分岐ガス供給管10a)から不活性ガスを前記成膜容器1のチャンバ2内に供給する。その結果、塩化タンタルのパルス工程において成膜容器1のチャンバ2内の半導体ウェハ41表面に塩化タンタルを吸着させる際に半導体ウェハ41表面および吸着すべき塩化タンタルが活性化されたアルゴンガスの影響を受けるのを回避できる。しかも、塩化タンタルのパルス後のアルゴンガスパージ工程において半導体ウェハ41表面に吸着された塩化タンタルが活性化されたアルゴンガスの影響を受けるのを回避できる。その結果、前述した第1実施形態に比べてより良好な膜質を有する窒化タンタル膜を形成することができる。
(第3実施形態)
前述した図3および図6、図7に示す成膜装置を用いて第3実施形態に係る窒化タンタル膜の形成方法を説明する。図6は、前述した第1実施形態で用いたのと同様な成膜装置を示し、この第3実施形態に係るALD法の適用に際してのパージ時における制御弁の開閉状態を示す概略図、図7は前述した第1実施形態で用いたのと同様な成膜装置を示し、この第3実施形態に係るALD法の適用に際しての塩化タンタルのパルス時における制御弁の開閉状態を示す概略図である。
(第3実施形態)
前述した図3および図6、図7に示す成膜装置を用いて第3実施形態に係る窒化タンタル膜の形成方法を説明する。図6は、前述した第1実施形態で用いたのと同様な成膜装置を示し、この第3実施形態に係るALD法の適用に際してのパージ時における制御弁の開閉状態を示す概略図、図7は前述した第1実施形態で用いたのと同様な成膜装置を示し、この第3実施形態に係るALD法の適用に際しての塩化タンタルのパルス時における制御弁の開閉状態を示す概略図である。
1)アルゴンガスパージ
図6に示すように被処理基板、例えば半導体ウェハ41を載置台4上に載置し、その載置台4に内蔵された温度調節器3によりウェハ41を加熱する。第2ガス供給管19、第2ガス排出管35および第4ガス供給管37の制御弁20、36、38を閉じ、これ以外の制御弁を全て開放する。つづいて、真空ポンプ7を作動して成膜容器1内のガスを排気管5を通して排気しながら、アルゴンガスボンベ8からアルゴンガスを第1ガス供給管9および第1分岐ガス供給管10aを通して成膜容器1内に供給すると共に、マスフローコントローラ12でその供給流量を調整する。同時に、遠隔プラズマ発生手段において前述した第1実施形態と同様に真空容器23内にアルゴンガスを供給してプラズマを発生させ、かつ混合器26からNH3/H2の混合ガスを供給し、NH3/H2の混合ガスをプラズマにより活性化し、NH3ラジカル/H2ラジカル(混合ラジカル化ガス)を生成する。生成した混合ラジカル化ガスは、前記成膜容器1内に供給せず、アルゴンガスと共に第3ガス排出管39を通して外部に排出する。このような成膜容器1内のガスの排気、アルゴンガスボンベ8からアルゴンガスを第1ガス供給管9および第1分岐ガス供給管10aを経由するアルゴンガスのみの成膜容器1内への供給により所望の真空度でアルゴンガスパージがなされ、成膜容器1内がアルゴンガスで置換される。なお、成膜容器1内へのアルゴンガスの供給は第1分岐ガス供給管10aを経由するアルゴンガスのみでなされるため、第1実施形態に比べてその供給量が不足する場合には第1分岐ガス供給管10aに介装されたマスフローコントローラ12で流量制御を行ってアルゴンガスの供給量を増大してもよい。
図6に示すように被処理基板、例えば半導体ウェハ41を載置台4上に載置し、その載置台4に内蔵された温度調節器3によりウェハ41を加熱する。第2ガス供給管19、第2ガス排出管35および第4ガス供給管37の制御弁20、36、38を閉じ、これ以外の制御弁を全て開放する。つづいて、真空ポンプ7を作動して成膜容器1内のガスを排気管5を通して排気しながら、アルゴンガスボンベ8からアルゴンガスを第1ガス供給管9および第1分岐ガス供給管10aを通して成膜容器1内に供給すると共に、マスフローコントローラ12でその供給流量を調整する。同時に、遠隔プラズマ発生手段において前述した第1実施形態と同様に真空容器23内にアルゴンガスを供給してプラズマを発生させ、かつ混合器26からNH3/H2の混合ガスを供給し、NH3/H2の混合ガスをプラズマにより活性化し、NH3ラジカル/H2ラジカル(混合ラジカル化ガス)を生成する。生成した混合ラジカル化ガスは、前記成膜容器1内に供給せず、アルゴンガスと共に第3ガス排出管39を通して外部に排出する。このような成膜容器1内のガスの排気、アルゴンガスボンベ8からアルゴンガスを第1ガス供給管9および第1分岐ガス供給管10aを経由するアルゴンガスのみの成膜容器1内への供給により所望の真空度でアルゴンガスパージがなされ、成膜容器1内がアルゴンガスで置換される。なお、成膜容器1内へのアルゴンガスの供給は第1分岐ガス供給管10aを経由するアルゴンガスのみでなされるため、第1実施形態に比べてその供給量が不足する場合には第1分岐ガス供給管10aに介装されたマスフローコントローラ12で流量制御を行ってアルゴンガスの供給量を増大してもよい。
2)塩化タンタルガスのパルス
図6に示す状態から図7に示すように第1ガス排出管21の制御弁22を閉じ、それと同時に第2ガス供給管19の制御弁20を開き、所望時間この状態を保つことによって、既に気化器13を備えた塩化タンタルガス供給系で生成した塩化タンタルガスをアルゴンガスと一緒に第1分岐ガス供給管10a(アルゴンガスが流通)に所望量供給し、前述した第1実施形態と同様に所望温度に加熱された半導体ウェハ41表面に塩化タンタルを吸着する。このとき、遠隔プラズマ発生手段の真空容器23内で生成したNH3ラジカル/H2ラジカルは、前記成膜容器1内に供給せず、アルゴンガスと共に第3ガス排出管39を通して外部に排出する。
図6に示す状態から図7に示すように第1ガス排出管21の制御弁22を閉じ、それと同時に第2ガス供給管19の制御弁20を開き、所望時間この状態を保つことによって、既に気化器13を備えた塩化タンタルガス供給系で生成した塩化タンタルガスをアルゴンガスと一緒に第1分岐ガス供給管10a(アルゴンガスが流通)に所望量供給し、前述した第1実施形態と同様に所望温度に加熱された半導体ウェハ41表面に塩化タンタルを吸着する。このとき、遠隔プラズマ発生手段の真空容器23内で生成したNH3ラジカル/H2ラジカルは、前記成膜容器1内に供給せず、アルゴンガスと共に第3ガス排出管39を通して外部に排出する。
3)アルゴンガスパージ
第2ガス供給管19の制御弁20を閉じると同時に、第1ガス排出管21の制御弁22を開くことにより、図7に示す状態から前述した図6に示すように第1ガス供給管9および第1分岐ガス供給管10aを経由するアルゴンガスのみでアルゴンガスパージを行い、成膜容器1のチャンバ2内に残留した未反応の塩化タンタルがアルゴンガスにより排出し、チャンバ2内を再びアルゴンガスで置換する。
第2ガス供給管19の制御弁20を閉じると同時に、第1ガス排出管21の制御弁22を開くことにより、図7に示す状態から前述した図6に示すように第1ガス供給管9および第1分岐ガス供給管10aを経由するアルゴンガスのみでアルゴンガスパージを行い、成膜容器1のチャンバ2内に残留した未反応の塩化タンタルがアルゴンガスにより排出し、チャンバ2内を再びアルゴンガスで置換する。
4)NH3ラジカル/H2ラジカルのパルス
図6に示す状態から前記第1実施形態で説明した図3に示すように第3ガス排出管39の制御弁40を閉じ、それと同時に第4ガス供給管37の制御弁38を開き、所望時間この状態を保つことによって、既に遠隔プラズマ発生手段の真空容器23内で生成したNH3ラジカル/H2ラジカル(混合ラジカル化ガス)をアルゴンガスと共に第4ガス供給管37を通して成膜容器1のチャンバ2内に所望量供給する。このとき、供給された混合ラジカル化ガスは、所望温度に加熱された半導体ウェハ41表面に吸着された塩化タンタルに対し還元および窒化を同時になすため、窒化タンタル膜が成膜される。また、混合ラジカル化ガスは成膜容器1で生成されるのではなく、遠隔プラズマ発生手段の真空容器23内で生成され、成膜容器1のチャンバ2内に輸送されるため、プラズマに起因する窒化タンタル膜へのダメージが抑制される。
図6に示す状態から前記第1実施形態で説明した図3に示すように第3ガス排出管39の制御弁40を閉じ、それと同時に第4ガス供給管37の制御弁38を開き、所望時間この状態を保つことによって、既に遠隔プラズマ発生手段の真空容器23内で生成したNH3ラジカル/H2ラジカル(混合ラジカル化ガス)をアルゴンガスと共に第4ガス供給管37を通して成膜容器1のチャンバ2内に所望量供給する。このとき、供給された混合ラジカル化ガスは、所望温度に加熱された半導体ウェハ41表面に吸着された塩化タンタルに対し還元および窒化を同時になすため、窒化タンタル膜が成膜される。また、混合ラジカル化ガスは成膜容器1で生成されるのではなく、遠隔プラズマ発生手段の真空容器23内で生成され、成膜容器1のチャンバ2内に輸送されるため、プラズマに起因する窒化タンタル膜へのダメージが抑制される。
このような1)アルゴンガスパージ、2)塩化タンタルガスのパルス、3)アルゴンガスパージおよび4)NH3ラジカル/H2ラジカルのパルスの工程を繰り返すことによって、半導体ウェハ41表面に所望厚さの窒化タンタル膜を形成する。
以上、第3実施形態によればプラズマダメージが低減され、かつカーボンの混入のない高品質で低抵抗の窒化タンタル膜を低温で形成することができる。
また、前記1)〜4)の工程において、遠隔プラズマ発生手段の真空容器23にアルゴンガスを第1ガス供給管8および第2分岐ガス供給管10bを通して供給してプラズマを発生させ、かつ混合器26からNH3/H2の混合ガスを供給し、NH3/H2の混合ガスをプラズマにより活性化し、NH3ラジカル/H2ラジカルが生成する待機状態とし、前記4)のNH3ラジカル/H2ラジカルのパルス工程のときに遠隔プラズマ発生手段の真空容器23の混合ラジカル化ガスを第4ガス供給管37を通して前記成膜容器1のチャンバ2内に供給し、この工程以外では遠隔プラズマ発生手段の真空容器23で生成した混合ラジカル化ガスを成膜容器1内に導入せず、第3ガス排出管39を通して外部に排出すると共に、遠隔プラズマ発生手段とは別の系統(第1分岐ガス供給管10a)から不活性ガスを前記チャンバ2内に供給する。
その結果、塩化タンタルのパルス工程において成膜容器1のチャンバ2内の半導体ウェハ41表面に塩化タンタルを吸着させる際に第1実施形態のように半導体ウェハ41表面および吸着すべき塩化タンタルが活性化されたアルゴンガスの影響を受けるのを回避できる。しかも、塩化タンタルのパルス後のアルゴンガスパージ工程においても第1実施形態のように半導体ウェハ41表面に吸着された塩化タンタルが活性化されたアルゴンガスの影響を受けるのを回避できる。その結果、前述した第1実施形態に比べてより良好な膜質を有する窒化タンタル膜を形成することができる。
さらに、前述した第1、第2の実施形態ではNH3ラジカル/H2ラジカルのパルス工程の直前でプラズマが発生された真空容器23内に混合器26からNH3/H2の混合ガスを所望量供給し、NH3ラジカル/H2ラジカルを生成し、これを成膜容器1内に供給するため、それらラジカルの混合比率等が複数回のNH3ラジカル/H2ラジカルのパルス工程間でばらつく虞がある。
さらに、前述した第1、第2の実施形態ではNH3ラジカル/H2ラジカルのパルス工程の直前でプラズマが発生された真空容器23内に混合器26からNH3/H2の混合ガスを所望量供給し、NH3ラジカル/H2ラジカルを生成し、これを成膜容器1内に供給するため、それらラジカルの混合比率等が複数回のNH3ラジカル/H2ラジカルのパルス工程間でばらつく虞がある。
この第3実施形態では、前記1)〜4)の工程において、遠隔プラズマ発生手段の真空容器23でNH3ラジカル/H2ラジカル(混合ラジカル化ガス)を生成する待機状態とすることによって、NH3ラジカル/H2ラジカルのパルス時において、NH3ラジカル/H2ラジカルの混合比率等を常に安定させた状態で第4ガス供給管37を通して成膜容器1内に供給できるため、前記1)〜4)工程を1サイクルとするALD法で半導体ウェハ41表面に成膜される各窒化タンタル膜間の膜質、組成を均一化でき、より一層良好な特性を有する窒化タンタル膜を形成することができる。
1…成膜容器、2…チャンバ、4…載置台、7…真空ポンプ、8…アルゴンガスボンベ、9…第1ガス供給管、10a,10b…分岐ガス供給管、20,22,34,36,38,40…制御弁、13…気化器、11,17,24,29,32…圧力制御弁、19…第2ガス供給管、21…第1ガス排出管、23…真空容器、26…混合器、27…第3ガス供給管、35…第2ガス排出管、37…第4ガス供給管、39…第3ガス排出管、41…半導体ウェハ(被処理基板)。
Claims (10)
- (a)チャンバ内に被処理基板を収納する工程;
(b)前記チャンバ内で次の工程を行う工程;
1)0.1〜100Torrの減圧下、250〜400℃の基板温度にてチャンバ内に不活性ガスを供給してチャンバ内のガスを一掃する、
2)同減圧および同温度の下でチャンバ内にハロゲン化タンタルガスを供給し、前記被処理基板上にハロゲン化タンタルを吸着させる、
3)同減圧および同温度の下でチャンバ内の未吸着ハロゲン化タンタルを不活性ガスにより一掃する、
4)同減圧および同温度の下でチャンバ内に予めラジカル化された水素およびアンモニアの混合ラジカル化ガスを供給し、前記被処理基板上に吸着されたハロゲン化タンタルと反応させて窒化タンタルを生成する、
(c)前記1)〜4)の工程を繰り返して前記被処理基板上に所望厚さの窒化タンタルを成膜する工程;
を含むことを特徴とする窒化タンタル膜の形成方法。 - 前記予めラジカル化された水素およびアンモニアの混合比(NH3/H2)は、0.1〜10であることを特徴とする請求項1記載の窒化タンタル膜の形成方法。
- 前記不活性ガスは、前記1)〜4)の工程中にチャンバ内に常に供給することを特徴とする請求項1または2記載の窒化タンタル膜の形成方法。
- 前記1)〜4)の工程において、不活性ガスを遠隔プラズマ発生手段に供給してプラズマを発生させる待機状態とし、前記4)の工程のときに水素およびアンモニアの混合ガスを前記待機状態の遠隔プラズマ発生手段に供給して水素およびアンモニアをラジカル化して前記チャンバ内に供給し、この工程以外では遠隔プラズマ発生手段での発生ガスを外部に排出すると共に、遠隔プラズマ発生手段とは別の系統から不活性ガスを前記チャンバ内に供給することを特徴とする請求項3記載窒化タンタル膜の形成方法。
- 前記1)〜4)の工程において、遠隔プラズマ発生手段で水素およびアンモニアを不活性ガスの共存下にてラジカル化して混合ラジカル化ガスを発生する待機状態とし、前記4)の工程のときに混合ラジカル化ガスを前記チャンバ内に供給し、この工程以外では混合ラジカル化ガスを外部に排出すると共に、遠隔プラズマ発生手段とは別の系統から不活性ガスを前記チャンバ内に供給することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の窒化タンタル膜の形成方法。
- (a)チャンバ内に被処理基板を収納する工程;
(b)前記チャンバ内で次の工程を行う工程;
1)0.1〜100Torrの減圧下、250〜400℃の基板温度にてチャンバ内にハロゲン化タンタルガスを供給し、前記被処理基板上にハロゲン化タンタルを吸着させる、
2)同減圧および同温度の下でチャンバ内に予めラジカル化され、水素およびアンモニアの混合比(NH3/H2)が0.1〜10の混合ラジカル化ガスを供給し、前記被処理基板上に吸着されたハロゲン化タンタルと反応させて窒化タンタルを生成する、
(c)前記1)〜2)の工程を繰り返して前記被処理基板上に所望厚さの窒化タンタルを成膜する工程;
を含み、
前記1)〜2)の工程において、不活性ガスを遠隔プラズマ発生手段に供給してプラズマを発生させる待機状態とし、前記2)の工程のときに水素およびアンモニアの混合ガスを前記待機状態の遠隔プラズマ発生手段に供給して水素およびアンモニアをラジカル化して前記チャンバ内に供給し、この工程以外では遠隔プラズマ発生手段での発生ガスを外部に排出することを特徴とする窒化タンタル膜の形成方法。 - (a)チャンバ内に被処理基板を収納する工程;および
(b)前記チャンバ内で次の工程を行う工程;
1)0.1〜100Torrの減圧下、250〜400℃の基板温度にてチャンバ内に不活性ガスを供給してチャンバ内のガスを一掃する、
2)同減圧および同温度の下でチャンバ内に不活性ガスを供給しながら、ハロゲン化タンタルガスを供給し、前記被処理基板上にハロゲン化タンタルを吸着させる、
3)同減圧および同温度の下でチャンバ内の未吸着ハロゲン化タンタルを不活性ガスにより一掃する、
4)同減圧および同温度の下でチャンバ内に不活性ガスを供給しながら、予めラジカル化され、水素およびアンモニアの混合比(NH3/H2)が0.1〜10の混合ラジカル化ガスを供給し、前記被処理基板上に吸着されたハロゲン化タンタルと反応させて窒化タンタルを生成する、
を含み、
前記1)〜4)の工程において、不活性ガスを遠隔プラズマ発生手段に供給してプラズマを発生させる待機状態とし、前記4)の工程のときに水素およびアンモニアの混合ガスを前記待機状態の遠隔プラズマ発生手段に供給して水素およびアンモニアをラジカル化して前記チャンバ内に供給し、この工程以外では遠隔プラズマ発生手段での発生ガスを外部に排出すると共に、遠隔プラズマ発生手段とは別の系統から不活性ガスを前記チャンバ内に供給することを特徴とする窒化タンタル膜の形成方法。 - チャンバ;
前記チャンバ内に配置され、加熱手段を内蔵し、被処理基板が載置される基板載置台;
前記チャンバ内のガスを排気するための排気手段;
前記チャンバに連結手段により連結され、成膜工程中にプラズマを発生させる待機状態とする遠隔プラズマ発生手段;
前記チャンバおよび前記遠隔プラズマ発生手段に不活性ガスをそれぞれ供給するための不活性ガス供給手段;
前記チャンバ内にハロゲン化タンタルガスを供給するためのハロゲン化タンタルガス供給手段;および
前記遠隔プラズマ発生手段に水素およびアンモニアの混合ガスを供給するための混合ガス供給手段;
を具備し、
前記チャンバと遠隔プラズマ発生手段との連結手段は、前記遠隔プラズマ発生手段で水素およびアンモニアをラジカル化し、その混合ラジカル化ガスを前記チャンバ内に供給するとき以外、遠隔プラズマ発生手段の発生ガスを外部に排出する弁機構および配管系統を有することを特徴とする窒化タンタル膜の成膜装置。 - 前記遠隔プラズマ発生手段での発生ガスは、プラズマ発生に用いた不活性ガスであることを特徴とする請求項8記載の窒化タンタル膜の成膜装置。
- 前記遠隔プラズマ発生手段での発生ガスは、不活性ガスを含む混合ラジカル化ガスであることを特徴とする請求項8記載の窒化タンタル膜の成膜装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004233319A JP2006052426A (ja) | 2004-08-10 | 2004-08-10 | 窒化タンタル膜の形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004233319A JP2006052426A (ja) | 2004-08-10 | 2004-08-10 | 窒化タンタル膜の形成方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006052426A true JP2006052426A (ja) | 2006-02-23 |
Family
ID=36030088
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004233319A Withdrawn JP2006052426A (ja) | 2004-08-10 | 2004-08-10 | 窒化タンタル膜の形成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006052426A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008184688A (ja) * | 2007-01-26 | 2008-08-14 | Asm America Inc | 窒化タンタル膜のプラズマald |
KR101858448B1 (ko) * | 2016-11-22 | 2018-06-28 | 한국기술교육대학교 산학협력단 | 실리콘 기판 표면의 잔류 할로겐 제거방법 및 이의 장치 |
JP2020126898A (ja) * | 2019-02-01 | 2020-08-20 | 東京エレクトロン株式会社 | 成膜方法 |
WO2022172757A1 (ja) * | 2021-02-09 | 2022-08-18 | 東京エレクトロン株式会社 | 成膜装置及び成膜方法 |
WO2023090168A1 (ja) * | 2021-11-19 | 2023-05-25 | 東京エレクトロン株式会社 | 窒化膜の成膜方法及びプラズマ処理装置 |
-
2004
- 2004-08-10 JP JP2004233319A patent/JP2006052426A/ja not_active Withdrawn
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008184688A (ja) * | 2007-01-26 | 2008-08-14 | Asm America Inc | 窒化タンタル膜のプラズマald |
KR101858448B1 (ko) * | 2016-11-22 | 2018-06-28 | 한국기술교육대학교 산학협력단 | 실리콘 기판 표면의 잔류 할로겐 제거방법 및 이의 장치 |
JP2020126898A (ja) * | 2019-02-01 | 2020-08-20 | 東京エレクトロン株式会社 | 成膜方法 |
JP7175209B2 (ja) | 2019-02-01 | 2022-11-18 | 東京エレクトロン株式会社 | 成膜方法 |
WO2022172757A1 (ja) * | 2021-02-09 | 2022-08-18 | 東京エレクトロン株式会社 | 成膜装置及び成膜方法 |
WO2023090168A1 (ja) * | 2021-11-19 | 2023-05-25 | 東京エレクトロン株式会社 | 窒化膜の成膜方法及びプラズマ処理装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4803578B2 (ja) | 成膜方法 | |
CN110959186B (zh) | 在互连金属化中沉积钌层 | |
US8435905B2 (en) | Manufacturing method of semiconductor device, and substrate processing apparatus | |
US8168539B2 (en) | Method for forming tungsten film at a surface of a processing target material, film-forming apparatus, storage medium and semiconductor device with a tungsten film | |
US7935384B2 (en) | Film forming method | |
JP4651955B2 (ja) | 成膜方法 | |
CN108735577B (zh) | 选择性沉积用于互连的wcn阻挡/粘附层 | |
US20070292974A1 (en) | Substrate Processing Method and Substrate Processing Apparatus | |
US20050221000A1 (en) | Method of forming a metal layer | |
JP2020510314A (ja) | 酸化シリコンの存在下でのシリコン表面上の酸化シリコンまたは窒化シリコンの選択的成長 | |
JP2003193233A (ja) | タングステン膜の形成方法 | |
JP2006287195A (ja) | 成膜方法、成膜装置及び記憶媒体 | |
KR101737215B1 (ko) | 반도체 장치의 제조 방법, 기판 처리 장치 및 프로그램 | |
KR20230043796A (ko) | 저저항 게이트 산화물 금속화 라이너 | |
US20090029047A1 (en) | Film-forming apparatus and film-forming method | |
JP2006052426A (ja) | 窒化タンタル膜の形成方法 | |
JP6253214B2 (ja) | 半導体装置の製造方法、基板処理装置および記録媒体 | |
TW202124761A (zh) | 成膜方法及成膜裝置 | |
JP2005197561A (ja) | 基板処理装置 | |
JP2004277864A (ja) | 成膜方法及び成膜装置 | |
TWI515326B (zh) | Film forming method and plasma film forming device | |
JP2005057133A (ja) | 半導体デバイスの製造方法及び基板処理装置 | |
WO2020184342A1 (ja) | 基板処理方法及び基板処理装置 | |
JP2006045604A (ja) | 成膜方法 | |
JP2008121054A (ja) | 真空処理装置のクリーニング方法及び真空処理装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070627 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Effective date: 20090403 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 |