JP2006052255A - 発光物質、この発光物質を用いた発光装置、並びにこの発光装置を用いた照明装置及び画像表示装置 - Google Patents

発光物質、この発光物質を用いた発光装置、並びにこの発光装置を用いた照明装置及び画像表示装置 Download PDF

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憲一 町田
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Abstract

【課題】耐久性が高く、かつ演色性が高いか、或いは色再現範囲が広い発光物質及びこの発光物質を波長変換材料として用いた発光効率及び耐久性に優れた発光装置、並びに、この発光装置を使用した照明装置及び画像表示装置を提供する。
【解決手段】蛍光性錯体と、無機酸化物及び/又は有機物含有無機酸化物と、ポリマーとを含有する発光物質であって、該ポリマーを構成するモノマー1モルに対する、該無機酸化物及び/又は有機物含有無機酸化物中の金属元素のモル比が、0.01以上1.8以下である発光物質。波長350〜415nmの光を発生する第1の発光体と、該第1の発光体からの光の照射によって可視光を発生する第2の発光体とを有する発光装置において、該第2の発光体として、この発光物質を含む発光装置。この発光装置を用いた照明装置及び画像表示装置。

Description

本発明は、発光物質及びこの発光物質を用いた発光装置と、この発光装置を用いた照明装置及び画像表示装置に関する。詳しくは、本発明は、電力源により波長350〜415nmの光から可視光領域の光を発光する第1の発光体と、その紫外光から可視光領域にある光を吸収しその光より長波長の可視光を発する発光物質となる蛍光体を有する波長変換材料としての第2の発光体とを組み合わせることにより、使用環境によらず演色性が良く、色再現範囲が広く、かつ高強度の発光を発生させる発光装置の第2の発光体として用いられる発光物質と、この発光物質を用いた発光装置と、この発光装置を使用した照明装置及び画像表示装置に関する。
青、赤、緑の混色により、白色その他の様々な色を、むらなくかつ演色性良く、かつ色再現範囲の広い状態で発生させるために、LEDやLDの発光色を蛍光体で色変換させた発光装置が提案されている。例えば、特公昭49−1221号公報では、300〜530nmの波長の放射ビームを発するレーザーのビームを、燐光体(Y3−x−yCeGd5−zGa12(YはY、Lu,又はLaを表し、MはAl、Al−In、又はAl−Scを表す。))に照射させ、これを発光させてディスプレイを形成する方法が示されている。また、近年では、青色発光の半導体発光素子として注目されている発光効率の高い窒化ガリウム(GaN)系LEDやLDと、波長変換材料としての蛍光体とを組み合わせて構成される白色発光の発光装置が、消費電力が小さく長寿命であるという特徴を活かして照明装置や画像表示装置の発光源として提案されている。実際に、特開平10−242513号公報において、この窒化物系半導体のLED又はLDチップを使用し、蛍光体としてイットリウム・アルミニウム・ガーネット系を使用することを特徴とする発光装置が示されている。また、米国特許第6,278,135号明細書においては、LEDからの紫外光を受けて蛍光体が可視光を発する発光装置において、その蛍光体としてBaMgAl1627:Eu2+などの無機蛍光体が示されている。
しかしながら、LED等の第1の発光体に対し、特開平10−242513号公報に示されるようなイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体を第2の発光体として組み合わせたような発光装置では、発光強度を高くすると同時に演色性を高くするか、もしくは色再現範囲を広くすることはできず、その発光装置を使用してなる照明装置やそれをディスプレイ用バックライト光源として使用してなる画像表示装置には、更なる改良が求められていた。
蛍光灯における白色光は、3色の無機蛍光体から放射される蛍光の組み合わせにより実現されている。GaN系LEDから高効率に発せられる波長400nm付近の励起光で効率良く発光する無機蛍光体としては、ZnS:Cu,Al等の緑色蛍光体とBaMgAl1017:Eu等の青色蛍光体が見出されている。しかし、効率良く赤色発光を示す無機蛍光体は開発されておらず、最も高輝度に発光するYS:Eu蛍光体においても発光強度が不十分である。その結果、青色と緑色と赤色とを合わせた場合に高輝度の白色光が得られないことが問題となっており、このことが、効率の高い白色固体照明として実用化する上での妨げとなっている。
無機赤色蛍光体の赤色光はEuイオンの発光による。同じ発光スペクトルはEu錯体色素でも観測され、通常の有機色素の蛍光に比べ発光スペクトル幅が狭く発光強度がはるかに高いことが知られており、無機蛍光体と同じ発光スペクトルのEu錯体色素を赤の蛍光体として用いることができれば、固体照明の白色光源が実現できるはずである。
しかし、従来のEu錯体色素はバイオ関係を中心とする微量分析用が主な用途であるため、輝度の向上の研究は盛んに行われたものの、耐久性の必要性が低いため、耐光性の改良検討は殆ど行われていない。このため、従来既知のEu錯体色素では照明用の蛍光体として実用化することはできなかった。
耐久性向上のために、Eu錯体色素を、ポアサイズ2.9nm、比表面積600〜800m/gの結晶性シリカ粒子に挿入した例(Qinghong Xu,Liansheng Li,Xinsheng Liu,Chemistry of Materials.,vol.14,pp549−555,2002)が知られているが、錯体の挿入量としてはたかだか7重量%程度であり、十分な輝度が得られなかった。
また、Eu錯体をORMOSILに複合化した例(特開平9−227861号公報)も知られている。ORMOSILとは、Organically modified silicatesの略称であり、有機−無機ハイブリッド材料の一つである。有機−無機複合材料は、構造的に(A)有機修飾シリケート(ORMOSIL)系ハイブリッド、(B)層状シリケート/ポリマー系ハイブリッド、(C)シリカ粒子/ポリマー系ハイブリッドの3種類に大別される。ORMOSIL系ハイブリッドは、1983年ドイツで開発された一連の有機修飾シリケートに始まる。コンタクトレンズ材料として用いられたことで脚光を浴びたものであるが、現在では、有機基で修飾した3官能性シリコンアルコキシドや2官能性シリコンアルコキシドを原料に用いたゾル−ゲルプロセスにより得られるハイブリッド材料を広くORMOSILと呼んでいる。しかし、Eu錯体をORMOSILに複合化したものでは、ORMOSIL中の微細孔のために、Eu錯体が水、酸素と接触し十分な耐光性が得られなかった。
更に、ゾルゲルプロセスを用いて、Eu(TTA)Phen錯体(TTA:トリフルオロテノイルアセトン,Phen:フェナントロリン)をVTMOS(ビニルトリメトキシシラン)とPMMA(ポリメチルメタクリレート)との複合物中に分散させることにより寿命が向上したという例(H.R.Li,H.J.Zhang,J.Lin,S.B.Wang,K.Y.Yang,Journal of Non−Crystalline Solids.,vol.278,PP218−222,2000)も報告されている。この複合物は、PMMAを構成するモノマー1モルに対してVTMOS中のSi元素のモル比が2モルとなるようにこれらを複合化させたものであるが、後述の比較例1に示されるように、耐久性、耐光性が十分でなく、波長400nm付近の紫外光の吸収による発光強度が十分ではないという欠点があった。
特公昭49−1221号公報 特開平10−242513号公報 米国特許第6,278,135号明細書 特開平9−227861号公報 Qinghong Xu,Liansheng Li,Xinsheng Liu,Chemistry of Materials.,vol.14,pp549−555,2002 H.R.Li,H.J.Zhang,J.Lin,S.B.Wang,K.Y.Yang,Journal of Non−Crystalline Solids.,vol.278,PP218−222,2000
本発明は、前述の従来技術に鑑み、耐久性が高く、かつ演色性が高いか、或いは色再現範囲が広い発光物質及びこの発光物質を波長変換材料として用いた発光効率及び耐久性に優れた発光装置、並びに、この発光装置を使用した照明装置及び画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の組成を有する無機酸化物及び/又は有機物含有無機酸化物とポリマーとの複合体の内部に蛍光性錯体が含有されることにより、前記目的を達成できることを見出し本発明に到達した。
従って、本発明は、次を要旨とする。
(1)蛍光性錯体と、無機酸化物及び/又は有機物含有無機酸化物と、ポリマーとを含有する発光物質であって、該ポリマーを構成するモノマー1モルに対する、該無機酸化物及び/又は有機物含有無機酸化物中の金属元素のモル比が、0.01以上1.8以下であることを特徴とする発光物質。
(2)ポリマーがメチルメタクリル樹脂であることを特徴とする(1)の発光物質。
(3)波長350〜415nmの光を発生する第1の発光体と、該第1の発光体からの光の照射によって可視光を発生する第2の発光体とを有する発光装置において、該第2の発光体が、(1)又は(2)の発光物質を含むことを特徴とする発光装置。
(4)(3)の発光装置を有する照明装置。
(5)(3)の発光装置を有する画像表示装置。
本発明によれば、蛍光性錯体自体の演色性が強く、複合化してもその性質が損なわれることはなく、このため、耐久性が高く、かつ演色性が高く、色再現範囲が広い発光物質及びこの発光物質を波長変換材料として用いた発光効率及び耐久性に優れた発光装置、並びに、この発光装置を使用した照明装置及び画像表示装置が提供される。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に特定はされない。
[発光物質]
本発明の発光物質は、蛍光性錯体と、無機酸化物及び/又は有機物含有無機酸化物と、ポリマーとを含有し、ポリマーを構成するモノマー1モルに対する、無機酸化物及び/又は有機物含有無機酸化物中の金属元素のモル比(以下、「金属元素/モノマー比」と称す場合がある。)が、0.01以上1.8以下であることを特徴とする。
〈蛍光性錯体〉
本発明に係る蛍光性錯体としては、有機系の配位子を有するものであり、本発明の目的に適した蛍光性を有する錯体であれば特に制限はないが、中でも希土類錯体系蛍光体を用いることが好ましい。
希土類錯体系蛍光体としては特に制限はなく、その希土類元素としてはCe、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybなどの元素が使用できるが、特にEuが好適に用いられる。即ち、希土類イオン錯体の中でも、Eu錯体は、無機蛍光体では困難である近紫外光照射において高輝度に発光する赤色蛍光体として、特に好ましい。
また、希土類イオン錯体は、置換基を有していてもよいβ−ジケトンのアニオンを配位子とする錯体であることが好ましく、芳香族環を含む置換基を有していてもよいβ−ジケトンのアニオンを配位子とする錯体であることがより好ましい。
以下、芳香族環を含む置換基を有していてもよいβ−ジケトンのアニオンを配位子とする錯体について説明する。
芳香族環を含む置換基を有していてもよいβ−ジケトンとしては、少なくとも1つの芳香族基を有することが好ましく、更に、この芳香族基としては、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素化合物又は芳香族複素環化合物由来の基が挙げられる。ここで、芳香族炭化水素化合物としては、例えば、ベンゼン、ナフタリン、フェナントレン等が挙げられる。芳香族複素環化合物としては、フラン、チオフェン、ピラゾリン、ピリジン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン等の酸素、窒素、硫黄原子を含む複素環化合物が挙げられる。
また、これらの芳香族炭化水素化合物又は芳香族複素環化合物の置換基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等のアルキル基;トリフルオロメチル、ペンタフルオロメチル等のフルオロアルキル基;メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基;ベンジル、フェネチル等のアリールオキシ基;ヒドロキシル基;アリール基;アセチル、プロピオニル等のアシル基;アセトキシ、プロピオニルオキシ、ベンゾイルオキシ等のアシルオキシ基;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等のアルコキシカルボニル基;フェノキシカルボニル等のアリールオキシカルボニル基;カルボキシル基;カルバモイル基;アミノ基;ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、アセチルメチルアミノ等の置換アミノ基;メチルチオ、エチルチオ、フェニルチオ、ベンジルチオ等の置換チオ基;メルカプト基;エチルスルフォニル、フェニルスルフォニル等の置換スルフォニル基;シアノ基;フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード等のハロゲン基等が挙げられる。これらの置換基は、互いに結合して環を形成してもよい。
β−ジケトンに導入され得る上記芳香族基以外の置換基としては、上述した芳香族炭化水素化合物又は芳香族複素環化合物の置換基と同様な置換基(但し、ハロゲン基は除く)が挙げられる。
希土類イオン錯体はまた、ルイス塩基からなる補助配位子を有していてもよく、その種類は特に限定されないが、通常、希土類元素イオンに配位可能な窒素原子又は酸素原子を有するルイス塩基化合物から選択される。それらの例としては、置換基を有していてもよいアミン、アミンオキシド、ホスフィンオキシド、スルホキシド等が挙げられる。補助配位子として使用される2個のルイス塩基化合物は、それぞれ異なる化合物でもよく、また、2個の化合物で1つの化合物を形成していてもよい。また、以下に例示したルイス塩基化合物の中でも、ビピリジンやフェナントロリン等のように、窒素原子等の配位可能な原子を分子内に2個有するルイス塩基化合物の場合は、1つのルイス塩基化合物で2個の補助配位子と同様な働きをさせてもよい。
ルイス塩基化合物としては、具体的には、アミンとしては、ピリジン、ピラジン、キノリン、イソキノリン、フェナントリジン、2,2’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン等が挙げられる。アミンオキシドとしては、ピリジン−N−オキシド、2,2’−ビピリジン−N,N’−ジオキシド等の上記アミンのN−オキシドが挙げられる。ホスフィンオキシドとしては、トリフェニルホスフィンオキシド、トリメチルホスフィンオキシド、トリオクチルホスフィンオキシド等が挙げられる。スルホキシドとしては、ジフェニルスルホキシド、ジオクチルスルホキシド等が挙げられる。また、これらは置換基を有していても良く、その置換基としては、前述した芳香族炭化水素化合物又は芳香族複素環化合物の置換基と同様な置換基が例示される。中でも、特に、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシル基、アリールオキシ基、ハロゲン基等が好ましい。
本発明で用いる蛍光性錯体は、下記(I)式で表されることが好ましい。
EA …(I)
(I)式中、E:希土類イオン、好ましくはEu2+又はEu3+
A=芳香族環を含む置換基を有していてもよいβ−ジケトンのアニオンを配位子
、例えば1−(2−テノイル)−4,4,4−トリフルオロ−1,3−ブタ
ンジオネート(TTA)や、ジベンゾイルメタン(DBM)等
B=ルイス塩基からなる補助配位子、例えばピリジンや1,10−フェナントロ
リン(Phen)等
a=3
b=0,1,2のいずれか
これらの蛍光性錯体は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
〈無機酸化物及び/又は有機物含有無機酸化物〉
本発明に係る無機酸化物としては特に制限はないが、例えば、シリカ系、アルミナ系、チタニア系、ジルコニア系等の無機酸化物が挙げられ、詳細は後述の通りであるが、例えばシリカ系であれば、テトラアルコキシシランの加水分解縮合物等が挙げられる。
有機物含有無機酸化物としては、例えば、ORMOSIL、即ち、有機基で修飾した3官能性シリコンアルコキシド(R−Si(OR))や2官能性シリコンアルコキシド(R−Si(OR))を原料に用いたゾル−ゲルプロセスにより得られるハイブリッド材料等が挙げられる。ここで、Rはアルキル基である。3官能性シリコンアルコキシドのRは1価の基であり、2官能性シリコンアルコキシドのR,Rは各々独立の1価の基であるか、互いに連結してSiを含む環を形成する2価の基であり、具体的には、水素、アルキル基、アリール基等の1価の基、アルキレン基、アリーレン基等の2価の基、或いはアルキル、アルキレン、アリール、アリーレン基の組み合わせからなる有機官能基が挙げられる。
なお、上述のシリカ系以外にアルミナ系、チタニア系、ジルコニア系等の有機物含有無機酸化物も利用できる。
無機酸化物、有機物含有無機酸化物は各々1種を単独で用いても良く、無機酸化物の1種又は2種以上と有機物含有無機酸化物の1種又は2種以上とを併用しても良い。
〈ポリマー〉
本発明で用いられるポリマーとしては、通常、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられ、例えば、熱可塑性樹脂であれば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、メタクリル樹脂、メチルメタクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、フッ素樹脂などが好ましく、中でもPMMAが好ましい。熱硬化性樹脂であれば、尿素樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂などが好ましい。
ポリマーの分子量としては、オリゴマーの状態から数百万のものまで用いることができるが、好ましくは、数百から数十万のものを好ましく採用する。一般的にこれらの合成樹脂は非晶質性であるが、微結晶が含まれていてもよい。
ポリマーは1種を単独で用いても良く、また、2種以上を混合して用いても良い。
〈金属元素/モノマー比〉
本発明においては、上述のようなポリマーを構成するモノマー1モルに対する、無機酸化物及び/又は有機物含有無機酸化物中の金属元素(例えば、前述の無機酸化物及び/又は有機物含有無機酸化物の具体例として挙げた、シリカ系、アルミナ系、チタニア系、ジルコニア系の無機酸化物及び/又は有機物含有無機酸化物であれば、各々Si、Al、Ti、Zrを指す。)のモル比が、0.01以上、1.8以下となるように配合する。この金属元素/モノマー比の下限値としては、0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、上限値としては、1.6以下が好ましく、1.2以下がより好ましい。
金属元素/モノマー比が小さすぎると、含有し得る蛍光性錯体の量が少なくなるため、所定の輝度が得られず、逆に大きすぎると、ポリマーにより無機酸化物及び/又は有機物含有無機酸化物中に存在するポアを十分埋めることができないため、発光物質中の蛍光性錯体と水、酸素等が接触し、十分な耐久性、耐光性が得られ難くなる。
〈発光物質の製造方法〉
本発明の発光物質は、無機酸化物及び/又は有機物含有無機酸化物の原料となるゾル−ゲル前駆体から無機酸化物及び/又は有機物含有無機酸化物を製造する段階で、蛍光性錯体とポリマー材料とを存在させてゾル−ゲル反応を行うことにより得られる。
無機酸化物及び/又は有機物含有無機酸化物を形成するゾル−ゲル前駆体としては、下記一般式(1)及び/又は下記一般式(2)で表されるものを好適に用いることができる。一般式(2)で表されるゾル−ゲル前駆体はオリゴマーの形になっていても良い。
M(R)(G) ‥(1)
(式(1)中、Mは金属又は半金属、Rは加水分解可能な基、Gは有機鎖を表し、xは2≦x≦4、yは0≦y≦2を満たす。)
M(R) ‥(2)
(式(2)中、Mは金属又は半金属、Rは加水分解可能な基を表し、zは4≦z≦6を満たす。)
一般式(1)及び(2)中のMで表される金属或いは半金属元素としては、Si,Ti,Zr,Al等を用いることができるが、好ましくはSiを用いることができる。また、Rで表される加水分解可能な基とは、エトキシ基やメトキシ基等のアルコキシ基等の加水分解されて水酸基を生成する基である。一般式(1)中のGで表される有機鎖とは、1価の基であるか、y=2の場合は、各々単独の1価の基又は互いに連結してMを含む環を形成する2価の基であり、水素、アルキル基、アリール基、アルキレン基、アリーレン基、或いはアルキル、アルキレン、アリール、アリーレン基、アミノ基、カルボキシル基等の組み合わせからなる有機官能基である。これらのうち、アルキル基、フェニル基、アミノ基やカルボキシル基などが好ましい。
ゾル−ゲル前駆体としては、Si含有ゾル−ゲル前駆体が特に好ましい。Si含有ゾル−ゲル前駆体を以下に例示するが、Ti、Zr、Al含有ゾル−ゲル前駆体としては、下記例のSiをTi、Zr、Alで置き換えたもの等が挙げられる。
一般式(1)で示されるSi含有ゾル−ゲル前駆体としては、例えば、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリエトキシシラン、アミノエチルトリエトキシシラン、アミノエチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン等を用いることができ、好ましくは、フェニルトリメトキシシランを用いることができるが、例示した範囲に限定されるものではない。
一般式(2)で示されるゾル−ゲル前駆体としては、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、トリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等の炭素数1〜4の低級アルキル基を有するトリ又はテトラアルコキシシラン或いはそれらのオリゴマーが挙げられ、好ましくはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン及びそれらのオリゴマーを用いることができるが、例示した範囲に限定されるものではない。
以上のシリコンアルコキシドは蒸留により容易に精製し得るので、高純度のシリカ粒子の原料として好適である。
これらのゾル−ゲル前駆体は単独で用いることもできるし、また2種類以上を組み合わせて用いることもできる。更に、ゾル−ゲル前駆体全体に対する、前記一般式(1)で示されるゾル−ゲル前駆体の割合を20モル%以上とすることにより、蛍光性錯体と前駆体との親和性が高くなり、均一に分散しやすくなる傾向がある。
本発明の発光物質の製造方法としては、次の手法を好適に用いることができる。なお、ここでは前述のゾル−ゲル前駆体としてテトラメトキシシラン(TMOS)やテトラエトキシシラン(TEOS)等のテトラアルコキシシランを用いた場合を例に挙げて説明する。
Eu(TTA)Phen等の蛍光性錯体をジメチルホルムアミド(DMF)などの蛍光性錯体可溶の溶媒に溶かした後、その溶液に、テトラアルコキシシラン、エタノール、水、テトラヒドロフラン(THF)、塩酸などの酸触媒からなるアルコキシシラン還流液を加え、続いてポリマーの溶解液(PMMAの場合にはアセトン溶液)を加えた後攪拌し、乾燥する。
ここで、蛍光性錯体の濃度は、固体マトリクスを形成する成分濃度に対して規定でき、系内のSi元素のモル数と、PMMA等のポリマーを構成するモノマーのモル数の合計に対して、1モル%以上、好ましくは3モル%以上で、30モル%以下、好ましくは10モル%以下である。この範囲より蛍光性錯体の濃度が高いと蛍光性錯体の偏析が起こりやすく、低いと充分な輝度が得られない傾向がある。
ゾル−ゲル前駆体の加水分解において、ゾル−ゲル前駆体1モルに対する水の使用量は、通常0.25モル以上、好ましくは0.5モル以上、特に好ましくは1モル以上であり、上限としては通常1000モル以下、好ましくは10モル以下、特に好ましくは4モル以下である。ゾル−ゲル前駆体の加水分解により、シリカのヒドロゲルとアルコールが生成する。この加水分解反応の温度条件は、通常、室温から100℃程度であるが、加圧下で液相を維持することでより高い温度で行うことも可能である。反応時間は反応液組成(ゾル−ゲル前駆体の種類や、水とのモル比)並びに反応温度に依存し、ゲル化するまでの時間が異なるので、一概には規定されないが、数時間から数日程度である。なお、反応系に、触媒として、酸、アルカリ、塩類などを添加することで加水分解を促進させることができる。
反応に用いるエタノール量としては、TEOS或いはTMOS等のテトラアルコキシシラン1モルに対して0.1モル以上、特に1モル以上、とりわけ2モル以上で、20モル以下、特に10モル以下、とりわけ5モル以下とするのが好ましい。また、ポリマーの溶解液中の溶媒(例えば、アセトン)量としては、PMMA等のポリマー重量1gに対して1g以上、特に10g以上、とりわけ15g以上で、50g以下、特に30g以下、とりわけ20g以下とするのが好ましい。塩酸等の酸触媒量は、TEOS或いはTMOS等のテトラアルコキシシラン1モルに対して1ミリモル以上、特に10ミリモル以上、とりわけ30ミリモル以上で、500ミリモル以下、特に100ミリモル以下、とりわけ70ミリモル以下とするのが好ましい。
加水分解反応を行った後の乾燥温度条件としては、通常50〜150℃、好ましくは50〜120℃、より好ましくは50〜100℃である。乾燥時間としては、数分から数日、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上程度で、好ましくは10時間以下、より好ましくは5時間以下程度である。乾燥の後、場合によっては適宜粉砕・分級等を行うことにより本発明の発光物質が得られる。
このような本発明の発光物質は、従来の本発明の発光装置の第2の発光体として、第1の発光体からの波長350〜415nmの光の照射により可視光を発生する。即ち、本発明の発光物質は、波長350〜415nmの光の励起によって、演色性が良く、かつ、強い発光強度の可視光を発生するものであり、
[発光装置]
本発明の発光装置は、波長350〜415nmの光を発生する第1の発光体と、この第1の発光体からの光の照射によって可視光を発生する第2の発光体とを有し、第2の発光体が、上記本発明の発光物質を含むことを特徴とするものである。
〈第1の発光体〉
第2の発光体に光を照射する第1の発光体は、波長350〜415nmの光を発生するものであるが、好ましくは波長350〜415nmの範囲にピーク波長を有する光を発生する発光体が使用される。
この第1の発光体の具体例としては、発光ダイオード(LED)又はレーザーダイオード(LD)等を挙げることができる。消費電力がより少ない点でより好ましくはレーザーダイオードが用いられる。その中で、GaN系化合物半導体を使用した、GaN系LEDやLDが好ましい。なぜなら、GaN系LEDやLDは、この領域の光を発するSiC系LED等に比し、発光出力や外部量子効率が格段に大きく、本発明の発光物質と組み合わせることによって、非常に低電力で非常に明るい発光が得られるからである。例えば、20mAの電流負荷に対し、通常GaN系はSiC系の100倍以上の発光強度を有する。
GaN系LEDやLDとしては、AlGaN発光層、GaN発光層、又はInGaN発光層を有しているものが好ましい。GaN系LEDにおいては、それらの中でInGaN発光層を有するものが発光強度が非常に強いので、特に好ましく、GaN系LDにおいては、InGaN層とGaN層の多重量子井戸構造のものが発光強度が非常に強いので、特に好ましい。なお、上記においてX+Yの値は通常0.8〜1.2の範囲の値である。GaN系LEDにおいて、これら発光層にZnやSiをドープしたものやドーパント無しのものが発光特性を調節する上で好ましいものである。GaN系LEDはこれら発光層、p層、n層、電極、及び基板を基本構成要素としたものであり、発光層をn型とp型のAlGaN層、GaN層、又はInGaN層などでサンドイッチにしたヘテロ構造を有しているものが発光効率が高く、好ましく、更にヘテロ構造を量子井戸構造にしたものが発光効率が更に高く、より好ましい。
本発明においては、面発光型の発光体、特に面発光型GaN系レーザーダイオードを第1の発光体として使用することは、発光装置全体の発光効率を高めることになるので、特に好ましい。面発光型の発光体とは、膜の面方向に強い発光を有する発光体であり、面発光型GaN系レーザーダイオードにおいては、発光層等の結晶成長を制御し、かつ、反射層等をうまく工夫することにより、発光層の縁方向よりも面方向の発光を強くすることができる。面発光型のものを使用することによって、発光層の縁から発光するタイプに比べ、単位発光量あたりの発光断面積が大きくとれる結果、第2の発光体の蛍光体にその光を照射する場合、同じ光量で照射面積を非常に大きくすることができ、照射効率を良くすることができるので、第2の発光体である蛍光体からより強い発光を得ることができる。
第1の発光体として面発光型のものを使用する場合、第2の発光体を膜状とするのが好ましい。即ち、面発光型の発光体からの光は断面積が十分大きいので、第2の発光体をその断面の方向に膜状とすると、第1の発光体からの蛍光体への照射断面積が蛍光体単位量あたり大きくなるので、蛍光体からの発光の強度をより大きくすることができる。
また、第1の発光体として面発光型のものを使用し、第2の発光体として膜状のものを用いる場合、第1の発光体の発光面に、直接膜状の第2の発光体を接触させた形状とするのが好ましい。ここでいう接触とは、第1の発光体と第2の発光体とが空気や気体を介さないで直接接している状態を形成することを指す。その結果、第1の発光体からの光が第2の発光体の膜面で反射されて外にしみ出るという光量損失を避けることができるので、装置全体の発光効率を良くすることができる。
第1の発光体からの光や第2の発光体からの光は通常四方八方に向いているが、第2の発光体の発光物質を粉状に樹脂中に分散させると、光が樹脂の外に出る時にその一部が反射されるので、ある程度光の向きを揃えられることができ、効率の良い向きに光を誘導できる。従って、第2の発光体として、前記本発明の発光物質の粉を樹脂中へ分散したものを使用するのが好ましい。また、発光物質を樹脂中に分散させると、第1の発光体からの光の第2の発光体への全照射面積が大きくなるので、第2の発光体からの発光強度を大きくすることができるという利点も有する。
この場合に使用できるマトリックス樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂等各種のものの1種を単独で或いは2種以上を混合して用いることができるが、発光物質粉の分散性が良い点で好ましくはエポキシ樹脂である。
第2の発光体として用いる本発明の発光物質の粉を樹脂中に分散させる場合、発光物質の粉と樹脂との合計重量に対する発光物質の重量の割合は、通常10%以上、好ましくは20%以上、更に好ましくは30%以上で、通常95%以下、好ましくは90%以下、更に好ましくは80%以下である。発光物質が多すぎると粉の凝集により発光効率が低下することがあり、少なすぎると樹脂による光の吸収や散乱のため発光効率が低下することがある。
なお、発光物質の粉の粒径は大き過ぎると樹脂中で沈降しやすくなり、樹脂内での均一分散が困難であり、小さ過ぎるとハンドリングが困難であることから、平均粒径で0.1μm以上、特に0.5μm以上で、30μm以下、特に10μm以下であることが好ましい。
発光物質の粉を樹脂中に分散させてなる第2の発光体は、例えば、エポキシ樹脂等のマトリックス樹脂に必要に応じて適当な溶剤と共に発光物質の粉を分散させ、これを適当な基板上に成膜することにより形成することができる。
なお、第2の発光体を構成する発光物質としては、本発明の発光物質以外の通常の発光物質が含まれていても良いが、他の発光物質の含有量は、全発光物質中の50重量%以下とすることが本発明による効果を十分に得る上で好ましい。
本発明の発光装置においては、第2の発光体である発光物質が、第1の発光体からの光に対して実質的に波長350nm未満の光から遮蔽されることが好ましく、そのために例えば、下記(1),(2)の方法を採用することが好ましい。
(1)第1の発光体と第2の発光体との間に、実質的に波長350nm未満の紫外光を吸収する紫外線吸収物質を含有する紫外線吸収層を設け、波長350nm未満の光を遮断する。
(2)波長350nm未満の光を実質的に発光しない、LEDやLDからなる半導体発光体を第1の発光体として用いる。
また、外光からの紫外光に対しては、第2の発光体と外光との間に紫外線吸収層を設け外光の紫外線を遮断する方法が挙げられる。この場合には、第2の発光体に対して第1の発光体からの光を遮蔽しないように配置することが必要である。また、外光からの紫外光としては、第2の発光体中の発光物質以外に共存する樹脂などの有機化合物の光劣化対策も考慮すると、波長400nm以下の紫外光を遮蔽することが望ましい。
本発明の発光装置において、第1の発光体としてLED、LDを使用する場合、例えば、この発光体素子の上側に、本発明の発光物質を樹脂に混合又は分散させた樹脂組成物による被膜の蛍光体層を第2の発光体として形成するか、或いはLED、LDを覆うエポキシ樹脂等の封止樹脂中に本発明の発光物質を混合又は分散させて配置することにより、発光物質を構成することができる。前者の場合は、第1の発光体の発光物質層の上部に紫外線吸収層を積層するか、発光物質層上部に設けられる封止樹脂中に紫外線吸収物質を含有させることにより、外光からの紫外線を遮断することができる。また、後者の場合は、例えば、発光体及び発光物質を内部に備えた封止樹脂体の外側を覆うように、紫外線吸収層を形成することにより紫外線を遮断することができる。いずれも、発光物質や樹脂が劣化を受けるおそれがある波長400nm以下の波長域の外光からの紫外光が遮蔽され、極めて良好な耐光堅牢度を得ることができる。
更に、ガラス又は樹脂ガラス等の光透過性材料を用いたランプ型の発光装置の場合、ランプ容器に用いる光透過性材料に紫外線吸収剤を混合するか、ランプ容器の外側又は内側に紫外線吸収層を設ける等の紫外線吸収処理を施すことにより、350nm未満、好ましくは400nm以下の波長の紫外線を遮断することができる。ランプ型発光装置の場合、更に、ランプ内部を真空又は不活性ガス置換により低酸素濃度雰囲気にすることで、耐光性を飛躍的に向上させることが可能となる。この場合、酸素濃度としては、1000ppm以下、特に100ppm以下、とりわけ20ppm以下とするのが好ましい。
本発明の発光装置は、波長変換材料としての前記本発明の発光物質を含む第2の発光体と、波長350〜415nmの光を発生する第1の発光体としての発光素子とから構成され、前記本発明の発光物質が発光素子の発する波長350〜415nmの光を吸収して、使用環境によらず、演色性が良く、かつ、高強度の可視光を発生させることのできる発光装置であり、バックライト光源、信号機などの発光源、又、カラー液晶ディスプレイ等の画像表示装置や面発光等の照明装置等の光源に適している。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、各実施例及び比較例で得られた発光物質を蛍光体とした場合の特性評価は、以下の方法で行った。
[耐久性(発光強度保持率)試験]
発光物質に波長400nmの光を照射した場合の発光強度の変化を測定した。400nm光の光照射量としては、約1mW/cmであり、発光強度の測定には、日立製作所社製分光蛍光光度計「F−4500」型を用いた。評価値としては、波長400nmの光を照射する前(未照射の場合)の発光強度と、3.5時間照射後の発光強度を求め、「(未照射の場合の発光強度)/(3.5時間照射後の発光強度) ×100」の値を発光強度保持率(%)とした。なお、発光強度の測定値については、実施例1における未照射の場合の発光強度を100としたときの相対値で示した。
(実施例1)
Si(OCH(100g)に、エタノール(56g)、水(13g)、及び0.1モル%HCl水溶液(0.5g)を加えた後、1時間還流した。還流液がまだ透明な状態で、下記構造式で表されるEu(TTA)Phen(1g)をDMF(10g)に溶かした溶液(168g)を加えた。
Figure 2006052255
更に、この液に分子量約10万のPMMA(10g)をアセトン(170g)に溶解させた液を、PMMAを構成するMMAモノマーと、Si(OCH中のSiとがモル比で1:1(金属元素/モノマー比:1)となるように加え、室温で1時間攪拌した後、50℃で5日間乾燥して目的の発光物質を得た。得られた発光物質中のEu(TTA)Phen錯体の濃度は、MMAモノマーとSiの総モル量に対して1モル%であった。
この発光物質の400nm光未照射の場合の発光強度は100、3.5時間照射後の発光強度は112であり、発光強度保持率は112%であった。
(実施例2)
Si(OCH(100g)に、エタノール(56g)、水(13g)、及び0.1モル%HCl水溶液(0.5g)を加えた後、1時間還流した。還流液がまだ透明な状態で、Eu(TTA)Phen(1g)をDMF(10g)に溶かした溶液(336g)を加えた。更に、この液にPMMA(10g)をアセトン(170g)に溶解させた液を、PMMAを構成するMMAモノマーと、Si(OCH中のSiとがモル比で3:1(金属元素/モノマー比:0.33)となるように加え、室温で1時間攪拌した後、50℃で5日間乾燥して目的の発光物質を得た。得られた発光物質中のEu(TTA)Phen錯体の濃度は、MMAモノマーとSiの総モル量に対して1モル%であった。
この発光物質の400nm光未照射の場合の発光強度は82、3.5時間照射後の発光強度は84であり、発光強度保持率は102%であった。
(実施例3)
Si(OCH(100g)に、エタノール(56g)、水(13g)、及び0.1モル%HCl水溶液(0.5g)を加えた後、1時間還流した。還流液がまだ透明な状態で、Eu(TTA)Phen(1g)をDMF(10g)に溶かした溶液142gを加えた。更に、この液にPMMA(10g)をアセトン(170g)に溶解させた液を、PMMAを構成するMMAモノマーと、Si(OCH中のSiとがモル比で3:5(金属元素/モノマー比:1.67)となるように加え、室温で1時間攪拌した後、50℃で5日間乾燥して目的の発光物質を得た。得られた発光物質中のEu(TTA)Phen錯体の濃度は、MMAモノマーとSiの総モル量に対して1モル%であった。
この発光物質の400nm光未照射の場合の発光強度は203、3.5時間照射後の発光強度は189であり、発光強度保持率は93%であった。
(比較例1)
Si(OCH(100g)に、エタノール(56g)、水(13g)、及び0.1モル%HCl水溶液(0.5g)を加えた後、1時間還流した。還流液がまだ透明な状態で、Eu(TTA)Phen(1g)をDMF(10g)に溶かした溶液(128g)を加えた。更に、この液にPMMA(10g)をアセトン(170g)に溶解させた液を、PMMAを構成するMMAモノマーと、Si(OCH中のSiとがモル比で1:2((金属元素/モノマー比:2,前記非特許文献2と同一)となるように加え、室温で1時間攪拌した後、50℃で5日間乾燥して目的の発光物質を得た。得られた発光物質中のEu(TTA)Phen錯体の濃度は、MMAモノマーとSiの総モル量に対して1モル%であった。
この発光物質の400nm光未照射の場合の発光強度は173、3.5時間照射後の発光強度は154であり、発光強度保持率は89%であった。
(比較例2)
Eu(TTA)Phen(1g)をDMF(10g)に溶かした溶液に、PMMA(5g)をアセトン(85g)に溶解させた液を、PMMAを構成するMMAモノマーに対して、Eu(TTA)Phen錯体の濃度が1モル%となるように加えて、室温で1時間攪拌した後、50℃で5日間乾燥して目的の発光物質を得た。この発光物質は無機酸化物及び/又は有機物含有無機酸化物を用いておらず、金属元素/モノマー比は0である。
この発光物質の400nm光未照射の場合の発光強度は72、3.5時間照射後の発光強度は70であり、発光強度保持率は97%であった。
(比較例3)
Si(OCH(100g)に、エタノール(56g)、水(13g)、及び0.1モル%HCl水溶液(0.5g)を加えた後、1時間還流した。還流液がまだ透明な状態で、Eu(TTA)Phen(1g)をDMF(10g)に溶かした溶液(84g)を加え、室温で1時間攪拌した後、50℃で5日間乾燥して目的の発光物質を得た。得られた発光物質中のEu(TTA)Phen錯体の濃度は、Siのモル量に対して1モル%であった。
この発光物質の400nm光未照射の場合の発光強度は40、3.5時間照射後の発光強度は12であり、発光強度保持率は29%であった。
以上の結果を表1にまとめて示す。表1より、発光物質中に無機酸化物及び/又は有機物含有無機酸化物とポリマーを適切な割合で含むことにより、発光強度が高く、かつ、発光強度保持率の高い発光物質が得られることが分かる。
Figure 2006052255

Claims (5)

  1. 蛍光性錯体と、無機酸化物及び/又は有機物含有無機酸化物と、ポリマーとを含有する発光物質であって、
    該ポリマーを構成するモノマー1モルに対する、該無機酸化物及び/又は有機物含有無機酸化物中の金属元素のモル比が、0.01以上1.8以下であることを特徴とする発光物質。
  2. ポリマーがメチルメタクリル樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の発光物質。
  3. 波長350〜415nmの光を発生する第1の発光体と、該第1の発光体からの光の照射によって可視光を発生する第2の発光体とを有する発光装置において、該第2の発光体が、請求項1又は2に記載の発光物質を含むことを特徴とする発光装置。
  4. 請求項3に記載の発光装置を有する照明装置。
  5. 請求項3に記載の発光装置を有する画像表示装置。
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