JP5120827B2 - 発光物質及びその製造方法、該発光物質を用いた発光装置、並びに該発光装置を用いた照明装置及び画像表示装置 - Google Patents

発光物質及びその製造方法、該発光物質を用いた発光装置、並びに該発光装置を用いた照明装置及び画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、発光物質及びその製造方法と、この発光物質を用いた発光装置、並びにこの発光装置を用いた照明装置及び画像表示装置に関する。詳しくは、耐久性に優れ、発光強度が高く、かつ、演色性が高い、或いは色再現範囲が広い発光物質及びその製造方法と、この発光物質を用いた発光装置と、この発光装置を使用した照明装置及び画像表示装置に関する。
青、赤、緑の混色により、白色その他の様々な色を、むらなくかつ演色性良く色再現範囲の広い状態で発生させるために、発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード(LD)の発光色を蛍光体で色変換させた発光装置が提案されている。近年では、青色発光の半導体発光素子として注目されている発光効率の高い窒化ガリウム(GaN)系LEDやLDと、波長変換材料としての蛍光体とを組み合わせて構成される白色発光の発光装置が、消費電力が小さく長寿命であるという特徴を活かして照明装置や画像表示装置の発光源として提案されている。
しかしながら、この発光装置は、発光強度を高くすると同時に演色性を高くすること、色再現範囲を広くすることについては、未だ不十分な点もあり、前記発光装置を照明装置やディスプレイ用バックライト光源として用いるには、更なる改良が要求されている。
例えば、蛍光灯における白色光は、3色の無機蛍光体から放射される蛍光の組み合わせにより実現されているが、効率良く赤色発光を示す無機蛍光体は十分に開発されておらず、最も高輝度に発光するYS:Eu蛍光体においても発光強度が不十分である。その結果、青色と緑色と赤色とを合わせた場合に高輝度の白色光が得られないことが問題となっており、効率の高い白色固体照明を実用化する上での妨げとなっている。
無機赤色蛍光体の赤色光は、通常Euイオンの発光による。同じ発光スペクトルはEu錯体色素(蛍光性錯体)でも観測され、通常の有機色素の蛍光に比べ発光スペクトル幅が狭く発光強度がはるかに高いことが知られており、無機蛍光体と同じ発光スペクトルのEu錯体色素を赤の蛍光体として用いることができれば、固体照明の白色光源が実現できると考えられる。
しかしながら、従来のEu錯体色素はバイオ関係を中心とする微量分析用が主な用途であるため、輝度の向上の研究は盛んに行われたものの、耐久性の必要性が低いため、耐光性の改良検討はほとんど行われておらず、既知のEu錯体色素では照明用の蛍光体として実用化することができない。一方、蛍光性錯体は、無機蛍光体に比べて熱に対する安定性が十分でないため、無機蛍光体における公知の耐久性向上の処方を転用することは困難であるとされていた。
そこで、以下に示すように、前記蛍光性錯体の耐久性向上を目的とした開発が行なわれている。
例えば、非特許文献1には、Eu錯体色素をポアサイズ2.9nm、比表面積が600〜800m/gである結晶性シリカ粒子に挿入した発明が開示されている。
また、特許文献1には、多孔質無機粒子を構成する一次粒子の内部に蛍光性錯体が含有されてなる発光物質が開示されている。
また、特許文献2には、蛍光性錯体とゾル−ゲル前駆体を含有するスラリーを、スプレードライする発光物質の製造方法が開示されている。
しかしながら、これらは、いずれも蛍光性錯体の発光輝度を維持しつつ、LEDの耐久性向上の両方を満たすものとしては、十分とはいえず、さらなる改良が要求されている。
Qinghong Xu,Liansheng Li,Xinsheng Liu,Chemistry of Materials.,vol.14,pp549−555,2002 特開2005−41941号公報 特願2005−112923号公報
本発明は、前述の従来技術に鑑み、耐久性に優れ、発光強度が高く、かつ、演色性が高い、或いは色再現範囲が広い発光物質及びそれを用いた発光装置、及び、それを使用した照明装置または画像表示装置を得ることを目的になされたものである。
本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、蛍光性錯体を金属化合物で被覆などする際に、真密度を大きくすることにより、蛍光性錯体の発光輝度を維持しつつ、LEDにおける耐久性向上が得られるという、当業者の予測を超える優れた効果を奏すること見出し本発明に到達した。
即ち、本発明の要旨は下記の〔1〕〜〔9〕に存する。
〔1〕 (a)テトラメトキシシラン及びそのオリゴマーから選ばれるゾル−ゲル前駆体の加水分解物により形成されたケイ素化合物を表面に有する発光物質であって、
(b)下記一般式(2)で表されるユーロピウム錯体を、発光物質全体に対して10重量%以上20重量%以下含有し、かつ
真密度が1.75g/ml以上であることを特徴とする発光物質。
(REu(R (2)
(式(2)中、Rは芳香族環を含む置換基を有するβ−ジケトンのアニオンであり、Rはルイス塩基からなる補助配位子である。)
〔2〕 前記ルイス塩基からなる補助配位子が、置換されていてもよいフェナントロリンである〔1〕に記載の発光物質。
〕 下記に示される発光輝度維持率測定方法により得られる発光輝度維持率が20%以上である請求項〔1〕又は〔2〕に記載の発光物質。
<発光輝度維持率測定方法>
(i)(b)蛍光性錯体の発光輝度xを蛍光分光光度計により測定する。
(ii)前記(i)と同一条件により発光物質の発光輝度yを測定する。
(iii)発光輝度維持率(y/x)×100を算出する。
〔4〕 (a)テトラメトキシシラン及びそのオリゴマーから選ばれるゾル−ゲル前駆体の加水分解により形成されたケイ素化合物を表面に有し、かつ(b)下記一般式(2)で表されるユーロピウム錯体を含有する発光物質の製造方法であって、下記(I)〜(III)の工程を含むことを特徴とする発光物質の製造方法。
(I)(a)テトラメトキシシラン及びそのオリゴマーから選ばれるゾル−ゲル前駆体アンモニア、エタノール、及び水の存在下で加水分解させる。
(II)テトラメトキシシラン及びそのオリゴマーから選ばれるゾル−ゲル前駆体、及び/又は前記工程(I)で生成されるテトラメトキシシラン及びそのオリゴマーから選ばれるゾル−ゲル前駆体の加水分解物と(b)下記一般式(2)で表されるユーロピウム錯体とを混合する。
(III)50℃以上150℃以下の雰囲気温度で1時間以上10時間以下加熱する。
(REu(R (2)
(式(2)中、Rは芳香族環を含む置換基を有するβ−ジケトンのアニオンであり、Rはルイス塩基からなる補助配位子である。)
〔5〕 (b)前記一般式(2)で表されるユーロピウム錯体を、発光物質全体に対して10重量%以上20重量%以下含有することを特徴とする〔4〕に記載の発光物質の製造方法。
〔6〕 前記ルイス塩基からなる補助配位子が、置換されていてもよいフェナントロリンであることを特徴とする〔4〕又は〔5〕に記載の発光物質の製造方法。
〔7〕 〔1〕ないし〔〕のいずれかに記載の発光物質を用いたことを特徴とする発光装置。
〔8〕 〔7〕に記載の発光装置を有する照明装置。
〔9〕 〔7〕に記載の発光装置を有する画像表示装置。
本発明によれば、耐久性に優れ、発光強度が高く、かつ、演色性が高い、或いは色再現範囲が広い発光物質が提供され、これを用いて、高性能かつ高効率で高耐久性の発光装置、照明装置、及び画像表示装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[1]発光物質
本発明の発光物質は、(a)金属化合物を表面に有する発光物質であって、(b)蛍光性錯体を含有し、かつ真密度が1.75g/ml以上であることを特徴とする。
以下、各構成について説明する。
[1−1](a)金属化合物
本発明に用いられる(a)金属化合物は、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、スズ、ゲルマニウム、タンタル、ニオビウム、バナジウム、硼素、アンチモン、亜鉛、イットリウム、ビスマス、カルシウム、バリウム、ストロンチウム等の金属元素を含有する化合物をいい、発光物質の表面に存在することにより後述の(b)蛍光体錯体を外的環境から保護し、発光物質の経時劣化を抑制する働きを有する。このような(a)金属化合物としては、具体的には、例えば以下のものを挙げることができる。
(1)酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化ゲルマニウム、酸化タンタル、酸化ニオビウム、酸化バナジウム、酸化硼素、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化イットリウム、酸化ビスマス等の金属酸化物。
(2)窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化アルミニウム 等の金属窒化物又は金属酸窒化物。
(3)燐酸カルシウム、燐酸バリウム、燐酸ストロンチウム等のオルト燐酸塩、ポリリン酸塩。
(4)ホウケイ酸塩、ホスホケイ酸塩、アルカリケイ酸塩等のガラス材料。
なお、これらの(a)金属化合物は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
上記(a)金属化合物のうち好ましいものは、含有される金属元素の原子量が、通常80以下、好ましくは50以下、さらに好ましくは40以下のものである。(a)金属化合物としては、中でも、ケイ素化合物が好ましく、特に、アルコキシシラン及び/又はアルコキシシランの加水分解物により形成されたものが好ましい。
本発明において、発光物質全体に対する(a)金属化合物の割合は、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上であり、通常99重量%以下、好ましくは97重量%以下である。(a)金属化合物の割合が少なすぎると封止効果が不十分となり、多すぎると十分な発光が得られない。
なお、本発明において、発光物質全体とは、(a)金属化合物を表面に有する発光物質の全体((a)金属化合物を含む)を示す。
[1−2](b)蛍光性錯体
(b)蛍光性錯体としては希土類錯体系蛍光体を用いることが好ましく、その希土類元素としてはCe、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybなどの元素が使用できるが、Euが好適に用いられる。
また、希土類錯体系蛍光体としては特に制限はないが、希土類イオン錯体の中でも、特に、無機蛍光体では困難である近紫外光照射において高輝度に発光する赤色蛍光体として、ユーロピウム錯体が好ましい。また、希土類イオン錯体は、芳香族環を含む置換基を有するβ−ジケトンのアニオン、あるいは芳香族基を含む置換基を有するカルボン酸イオンを配位子とする錯体であることが好ましい。
ここで、芳香族環を含む置換基を有するβ−ジケトンのアニオンを配位子とする錯体としては、例えば、下記一般式(1)、(2)及び(3)のいずれか1つの式で表されるユーロピウム錯体が挙げられる。
(REu (1)
(REu(R (2)
〔(REu〕 (3)
(式(1)、(2)及び(3)中、Rは芳香族環を含む置換基を有するβ−ジケトンのアニオンであり、Rはルイス塩基からなる補助配位子であり、R は4級アンモニウムイオンである。)
一般式(1)、(2)及び(3)における芳香族環を含む置換基を有するβ−ジケトンとしては、少なくとも1つの芳香族基を有することが好ましく、さらに、この芳香族基としては、置換基を有することがある芳香族炭化水素化合物又は芳香族複素環化合物由来の基が挙げられる。
ここで、芳香族炭化水素化合物としては、例えば、ベンゼン、ナフタリン、フェナントレン等が挙げられる。芳香族複素環化合物としては、フラン、チオフェン、ピラゾリン、ピリジン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン等の酸素、窒素、硫黄原子を含む複素環化合物が挙げられる。
また、これらの芳香族炭化水素化合物又は芳香族複素環化合物が有する置換基としては、例えば、次の置換基群Zが挙げられる。
<置換基群Z>
メチル、エチル、プロピル、ブチル等のアルキル基;トリフルオロメチル、ペンタフルオロメチル等のフルオロアルキル基;メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基;ベンジル、フェネチル等のアリールオキシ基;ヒドロキシル基;アリル基;アセチル、プロピオニル等のアシル基;アセトキシ、プロピオニルオキシ、ベンゾイルオキシ等のアシルオキシ基;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等のアルコキシカルボニル基;フェノキシカルボニル等のアリールオキシカルボニル基;カルボキシル基;カルバモイル基;アミノ基;ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、アセチルメチルアミノ等の置換アミノ基;メチルチオ、エチルチオ、フェニルチオ、ベンジルチオ等の置換チオ基;メルカプト基;エチルスルフォニル、フェニルスルフォニル等の置換スルフォニル基;シアノ基;フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード等のハロゲン基等。
これらの置換基は、互いに結合して環を形成してもよい。
β−ジケトンを構成する芳香族基以外の置換基としては、前述した置換基群Zと同様な置換基(但し、ハロゲン基は除く)が挙げられる。芳香族環を含む置換基を有するβ−ジケトンの具体例を以下の(H−1)〜(H−19)に示す。なお、本実施の形態においてはこれらに限定されるものではない。
Figure 0005120827
一般式(1)で表されるユーロピウム錯体の具体例を以下の(E1−1)〜(E1−7)に示す。なお、本実施の形態においてはこれらに限定されるものではない。
Figure 0005120827
次に、一般式(2)で表されるユーロピウム錯体について説明する。一般式(2)におけるルイス塩基からなる補助配位子(R)としては特に限定されないが、通常、ユーロピウムイオンに配位可能な窒素原子又は酸素原子を有するルイス塩基化合物から選択される。それらの例としては、置換基を有することがあるアミン、アミンオキシド、ホスフィンオキシド、スルホキシド等が挙げられる。一般式(2)において補助配位子として使用される2個のルイス塩基化合物は、それぞれ異なる化合物でもよく、又、2個の化合物で1つの化合物を形成していてもよい。
ここで、ルイス塩基化合物の具体例としては例えば、アミンとしては、ピリジン、ピラジン、キノリン、イソキノリン、フェナントリジン、2,2’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン等が挙げられる。アミンオキシドとしては、ピリジン−N−オキシド、2,2’−ビピリジン−N,N’−ジオキシド等の上記アミンのN−オキシドが挙げられる。ホスフィンオキシドとしては、トリフェニルホスフィンオキシド、トリメチルホスフィンオキシド、トリオクチルホスフィンオキシド等が挙げられる。スルホキシドとしては、ジフェニルスルホキシド、ジオクチルスルホキシド等が挙げられる。
これらに置換する置換基としては、前述した置換基群Zが例示される。中でも、特に、アルキル基、アリール基、アルコシキル基、アラルキル基、アリールオキシ基、ハロゲン基等が好ましい。
これらのルイス塩基化合物の中でも、ビピリジンやフェナントロリン等のように、分子内に配位する原子、例えば窒素原子等が2個存在する場合は、1つのルイス塩基化合物で2個の補助配位子と同様な働きをさせてもよい。なお、これらのルイス塩基化合物に置換する置換基としても、前述した置換基群Zが例示される。中でも、特に、アルキル基、アリール基、アルコシキル基、アラルキル基、アリールオキシ基、ハロゲン基等が好ましい。
補助配位子として使用するルイス塩基化合物(R)の具体例を以下の(L−1)〜(L−23)に例示する。なお、本実施の形態において使用するルイス塩基化合物は、これらに限定されるものではない。
Figure 0005120827
一般式(2)で表されるユーロピウム錯体の具体例を以下の(E2−1)〜(E2−13)に示す。なお、本実施の形態においてはこれらに限定されるものではない。
Figure 0005120827
次に、一般式(3)で表されるユーロピウム錯体について説明する。一般式(3)におけるアンモニウムイオンR としては、アルキルアミン、アリールアミン、アラルキルイオンから誘導される4級アンモニウム塩が挙げられる。アミンの置換基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル等のアルキル基;ヒドロキシエチル、メトキシエチル等の置換アルキル基;フェニル、トリル等のアリール基;ベンジル、フェネチル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。
一般式(3)で表されるユーロピウム錯体の具体例を以下の(E3−1)〜(E3−5)に示す。なお、本実施の形態においてはこれらに限定されるものではない。
Figure 0005120827
希土類イオン錯体のもう一つの化合物である、芳香族基を含む置換基を有するカルボン酸イオンを配位子とする錯体としては、例えば、下記一般式(4)で表されるユーロピウム錯体が挙げられる。
(R−(X)−COO)Eu(R (4)
(式(4)中、Rは、置換基を有することがある芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を少なくとも1つ含む基であり、Xは、2価の連結基であり、nは、0又は1であり、Rは、ルイス塩基からなる補助配位子である。)
一般式(4)で表されるユーロピウム錯体の配位子は、芳香族環を少なくとも1つ含み、π電子を8個以上有し、π電子共役系を構成するカルボン酸イオンを配位子として用いることが、吸収波長域の点から好ましい。又、芳香族環の個数は、カルボン酸イオンの母体化合物の三重項エネルギーが、ユーロピウムイオン励起状態エネルギーレベルよりも高いものであれば特に制限されないが、通常、3環式以下の芳香族又は芳香族複素環を用いることが好ましい。芳香族環の個数が4環以上の場合は、例えば、芳香族環を4環以上有するピレン等の化合物は、半導体発光素子11からの光を吸収して励起された三重項エネルギーが低くなり、ユーロピウム錯体が発光しなくなるおそれがある。
一般式(4)中のRは、置換基を有することがある3環式以下の芳香族環、又は複素芳香族環から誘導される1価の基であることが好ましい。この芳香族環としては、例えば、ベンゼン、ナフタリン、インデン、ビフェニレン、アセナフテン、フルオレン、フェナントレン、テトラリン、インダン、インデン等の芳香族単環式炭化水素又は芳香族縮合多環式炭化水素;ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン等の芳香族炭化水素から誘導される化合物等が挙げられる。複素芳香族環としては、フラン、ピロール、チオフェン、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピリジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、クマリン、ベンゾピラン、カルバゾール、キサンテン、キノリン、トリアジン等の芳香族単環式複素環又は芳香族縮合多環式複素環等が挙げられる。
また、Rが有することがある置換基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル等のアルキル基;トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル等のフルオロアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;エチニル基;フェニルエチニル、ピリジルエチニル、チエニルエチニル等のアリールエチニル基;メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基;フェニル、ナフチル等のアリール基;ベンジル、フェネチル等のアラルキル基;フェノキシ、ナフトキシ、ビフェニルオキシ等のアリールオキシ基;ヒドロキシル基;アリル基;アセチル、プロピオニル、ベンゾイル、トルオイル、ビフェニルカルボニル等のアシル基;アセトキシ、プロピオニルオキシ、ベンゾイルオキシ等のアシルオキシ基;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等のアルコキシカルボニル基;フェノキシカルボニル等のアリールオキシカルボニル基;カルボキシル基;カルバモイル基;アミノ基;ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、アセチルメチルアミノ等の置換アミノ基;メチルチオ、エチルチオ、フェニルチオ、ベンジルチオ等の置換チオ基;メルカプト基;エチルスルフォニル、フェニルスルフォニル基等の置換スルフォニル基;シアノ基;フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード等のハロゲン基等が挙げられる。これらの中でも、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルキル基、アリールオキシ基、アラルキル基、エチニル基、ハロゲン基が好ましい。尚、Rが有する置換基はこれらの置換基に限定するものではない。また、これらの置換基はさらに置換基を有することがある。
一般式(4)におけるカルボン酸イオン(R−(X)−COO)は、2価の連結基であるXを有さない場合(n=0)と有する場合(n=1)とに分けられる。更に、2価の連結基であるXを有する場合(n=1)、Xが、カルボニル基を有する場合及び有さない場合の2種類の形態に分けられる。このため一般式(4)におけるカルボン酸イオン(R−(X)−COO)は、さらに、カルボニル基を有さない下記一般式(5)とカルボニル基を有する下記一般式(6)とで表される。ユーロピウム錯体は、これらのカルボン酸イオンを配位子とする錯体構造のいずれもが使用することができる。
Figure 0005120827
一般式(5)及び一般式(6)中、Rは、2価の連結基となるものであればよいが、例えば、アルキレン基、環集合炭化水素から誘導される2価の連結基、脂肪族環、芳香族環、複素環から誘導される2価の連結基等が挙げられる。また、一般式(6)中、mは0又は1である。
のアルキレン基としては、メチレン、エチレン等が挙げられる。環集合炭化水素としては、ビフェニル、テルフェニル、ビナフチル、シクロヘキシルベンゼン、フェニルナフタレン等が挙げられる。脂肪族環としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、ノルボルナン、ビシクロヘキシル等が挙げられる。芳香族環としては、前述した芳香族環の具体例と同様な化合物が挙げられる。複素環としては、前述した芳香族複素環の他に、ピラゾリン、ピペラジン、イミダゾリジン、モルホリン等の脂肪族複素環が挙げられる。その他、−SCH−等のチオアルキレン;−OCH−等のオキシアルキレン;ビニレン(−C=C−)等が挙げられる。尚、Rは、これらの2価の置換基に限定するものではない。また、これらの2価の置換基はさらに置換基を有することがある。
一般式(4)におけるカルボン酸イオンが誘導されるカルボン酸の具体例を以下に例示する。なお、本実施の形態において使用するカルボン酸は、これらに限定されるものではない。
一般式(4)においてnが0の場合の化合物は、以下のカルボン酸(C−1)〜(C−10)が挙げられる。
Figure 0005120827
一般式(4)においてnが1であり、XがRである一般式(5)の化合物は、以下のカルボン酸(C−11)〜(C−15)が挙げられる。
Figure 0005120827
一般式(6)において、mが0の場合の化合物は、以下のカルボン酸(C−16),(C−17)が挙げられる。
Figure 0005120827
一般式(6)において、mが1の場合であって、Rがフェニル基、Rがフェニル基の場合の化合物は、以下のカルボン酸(C−18)〜(C−30)が挙げられる。
Figure 0005120827
一般式(6)において、mが1の場合であって、Rがフェニル基、Rがナフチル基の場合の化合物は、以下のカルボン酸(C−31)〜(C−34)が挙げられる。
Figure 0005120827
一般式(6)において、mが1の場合であって、Rがフェニル基、Rがその他の基の場合の化合物は、以下のカルボン酸(C−35)〜(C−37)が挙げられる。
Figure 0005120827
一般式(6)において、mが1の場合であって、Rがナフチル基、Rが芳香族環の場合の化合物は、以下のカルボン酸(C−38)〜(C−41)が挙げられる。
Figure 0005120827
一般式(6)において、mが1の場合であって、Rがナフチル基、Rがその他の基の場合の化合物は、以下のカルボン酸(C−42)〜(C−44)が挙げられる。
Figure 0005120827
一般式(6)において、mが1の場合であって、Rがアセナフチル基、Rがフェニル基その他の場合の化合物は、以下のカルボン酸(C−45)〜(C−48)が挙げられる。
Figure 0005120827
一般式(6)において、mが1の場合であって、Rがフルオレニル基、Rがフェニル基の場合の化合物は、以下のカルボン酸(C−49)〜(C−55)が挙げられる。
Figure 0005120827
一般式(6)において、mが1の場合であって、Rがフェナントレニル基、Rがフェニル基その他の場合の化合物は、以下のカルボン酸(C−56)〜(C−59)が挙げられる。
Figure 0005120827
一般式(6)において、mが1の場合であって、Rが複素環基、Rがフェニル基の場合の化合物は、以下のカルボン酸(C−60),(C−61)が挙げられる。
Figure 0005120827
一般式(4)における配位子としてのカルボン酸イオンが誘導されるカルボン酸は、公知の合成方法により合成することが出来る。合成法については、例えば、新実験化学講座第14巻「有機化合物の合成と反応(II)」第921頁(1977)日本化学会編、又は、第4版実験化学講座第22巻「有機合成IV」第1頁(1992)日本化学会編等に記載されている。代表的な合成法としては、対応する第1アルコールやアルデヒドの酸化反応、エステルやニトリルの加水分解反応、酸無水物によるフリーデル・クラフツ反応等が挙げられる。
特に、無水フタル酸、ナフタル酸無水物、無水こはく酸、ジフェン酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、2,3−ピリダジンジカルボン酸無水物等のジカルボン酸の環状無水物を用いたフリーデル・クラフツ反応では、分子内にカルボニル基を有するカルボン酸が合成できる。例えば、芳香族炭化水素又は芳香族複素環と無水フタル酸とを用いたフリーデル・クラフツ反応によれば、下記反応式に示すように、ベンゼン環のオルト位にカルボニル基が結合したカルボン酸が容易に合成できる。ベンゼン環のオルト位にカルボニル基が結合したカルボン酸は、パラ位置換体に比べ輝度が高い錯体が得られやすいことから好ましい。尚、式中、Arは、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表す。
Figure 0005120827
一般式(4)におけるルイス塩基からなる補助配位子(R)としては、前述した一般式(2)におけるルイス塩基からなる補助配位子(R)と同様な化合物が挙げられる。
これらの(b)蛍光性錯体は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
本発明において、発光物質全体に対する(b)蛍光性錯体の割合は、通常1重量%以上、好ましくは3重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上であり、通常50重量%以下、好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下である。(b)蛍光性錯体の割合が少なすぎると発光量が不十分となり、多すぎるとコスト高となる。
[1−3]発光物質の特性
[1−3−1]真密度
本発明の発光物質は、真密度が1.75g/ml以上であることが特徴である。真密度の大きい発光物質は、緻密で気孔が少ないために(b)蛍光性錯体の劣化の原因となる湿度や酸素などの進入を遮断するため、(b)蛍光性錯体の輝度を効率よく維持することができるものと推定される。
本発明の発光物質の真密度は、好ましくは1.755g/ml以上であり、通常5g/ml以下である。真密度が小さすぎると発光物質の耐久性が低下し、大きすぎると例えば、後述の発光装置において、封止樹脂中での発光物質の沈降が起こり、発光物質を有効に使うことができない。
本発明の発光物質の真密度を大きくするための具体的な手段としては、例えば、発光物質を製造する際、後述する本発明の製造方法を採用する;適切な(a)金属化合物を選択する;焼成温度を高くする;等の方法を挙げることができる。
[1−3−2]発光輝度維持率
本発明の発光物質は、下記に示される発光輝度維持率測定方法により得られる発光輝度維持率が20%以上であるものが好ましい。
<発光輝度維持率測定方法>
(i)(b)蛍光性錯体の発光輝度xを蛍光分光光度計により測定する。
(ii)前記(i)と同一条件により発光物質の発光輝度yを測定する。
(iii)発光輝度維持率(y/x)×100を算出する。
なお、発光輝度維持率は、(b)蛍光性錯体の発光輝度xと発光物質の発光輝度yの比で算出されるものであるため、同一条件により測定を行なう必要がある。
以下に、具体的な測定方法及び測定条件の例を示す。
<発光輝度測定方法の具体例>
(i)(b)蛍光性錯体粉末を光路長2mmのガラスセルに詰め、単一光子計数方式による蛍光分光光度計で発光輝度を測定する。励起光は、測定しようとする波長、バンド幅を適宜設定し(例えば波長400nm、バンド幅1nm)、試料セル面の法線に対して入射角30度で入射させる。試料からの発光は励起光と直角方向に取り、ニュートラルデンシティーフィルタを通して分光器に入射させる。バンド幅0.1nm、積算時間は1秒で、1nm間隔にデータを取得し、460〜680nm間をスキャンして発光スペクトルを得る。測定した(b)蛍光性錯体の発光輝度をxとする。
(ii)発光物質を瑪瑙乳鉢でするなどして、粉末とする。粉砕した試料を前記(i)と同様に光路長2mmのガラスセルに詰め、同一条件で発光輝度を測定する。測定した発光物質の発光輝度をyとする。
(iii)発光輝度維持率(y/x)×100を算出する。
本発明の発光物質の発光輝度維持率は、好ましくは30%以上であり、さらに好ましくは35%以上である。また、通常100%以下である。発光輝度維持率は高いほど発光装置の発光強度が高くなるので好ましい。発光輝度維持率が低すぎると発光量が不十分となるため好ましくない。
本発明の発光物質の発光輝度維持率を高くするための具体的な手段としては、例えば、発光物質を製造する際、後述する製造方法を採用する;適切な(a)金属化合物、(b)蛍光性錯体、及び(a)と(b)の組み合わせを選択する;(b)蛍光性錯体の含有量を上げる;等の方法を挙げることができる。
[1−4]発光物質の製造方法
本発明の発光物質が得られる限り、本発明の発光物質の製造方法に特に制限はなく、公知のものを採用することができる。例えば、特許文献1に記載される、原料となるゾル−ゲル前駆体から多孔質無機粒子を製造する段階で、(b)蛍光性錯体を存在させ、ゾル−ゲル反応を行う方法を用いながら真密度を調整する方法;特許文献2に記載される、無機粒子の原料となるゾル−ゲル前駆体から、スプレードライ法(噴霧乾燥法)により略球状の無機粒子を形成した後、該無機粒子の細孔中に(b)蛍光性錯体を導入することにより、無機粒子の表面に(b)蛍光性錯体を含有する無機粒子を得る方法;及び/又は、(b)蛍光性錯体とゾル−ゲル前駆体とを混合した後、スプレードライ法により略球状の粒子を形成することにより内部及び/又は表面に(b)蛍光性錯体を含有する無機粒子を得る方法を用いながら真密度を調整する方法;等が挙げられる。
真密度を目的の範囲に調整し得る本発明の発光物質の製造方法としては、下記(I)〜(III)の工程を含む製造方法を用いるのが好ましい。
(I)(a)金属化合物を触媒、及び水の存在下で加水分解させる。
(II)前記(I)工程で生成される金属化合物の加水分解物と(b)蛍光性錯体とを混合する。
(III)50℃以上200℃以下の雰囲気温度で加熱する。
[1−4−1]工程(I)
工程(I)では、(a)金属化合物を触媒、及び水の存在下で加水分解させる。
(a)金属化合物を形成するゾル−ゲル前駆体としては下記一般式(7)或いは下記一般式(8)で表されるものを好適に用いることができる。
M(R)(G) (7)
(式(7)中、Mは金属または半金属、Rは加水分解可能な基、Gは蛍光性錯体と結合を形成しうる有機鎖を表し、xは2≦x≦4、yは0≦y≦2を満たす。)
M(R) (8)
(式(8)中、Mは金属または半金属、Rは加水分解可能な基を表し、zは4≦z≦6を満たす。)
一般式(7)及び(8)中のMで表される金属或いは半金属元素としては、Si,Ti,Zr,Al等を用いることができるが、好ましくはSiを用いることができる。
Rで表される加水分解可能な基とは、エトキシ基やメトキシ基等の加水分解されて水酸基を生成する基である。
一般式(7)中のGで表される蛍光性錯体と結合を形成しうる有機鎖とは、金属陽イオンに配位可能な官能基を少なくとも一つ以上含有する有機鎖であり、官能基としては、アミノ基等の窒素含有官能基やカルボキシル基などが挙げられ、特に窒素含有官能基が好ましい。
また、一般式(7)のxは、2≦x≦4を満たし、yは、0≦y≦2を満たす。一般式(8)のzは、4≦z≦6を満たす。
一般式(7)で示されるゾル−ゲル前駆体としては、例えば、エチレンジアミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルトリエトキシシラン、アミノエチルトリメトキシシラン、アミノブチルトリエトキシシラン、アミノブチルトリメトキシシラン等を用いることができ、好ましくは、エチレンジアミノプロピルトリエトキシシランを用いることができるが、例示した範囲に限定されるものではない。
一般式(8)で示されるゾル−ゲル前駆体としては、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、トリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等の炭素数1〜4の低級アルキル基を有するトリまたはテトラアルコキシシラン或いはそれらのオリゴマーが挙げられるが、例示した範囲に限定されるものではない。好ましくはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン及びそれらのオリゴマーを用いることができる。
一般式(8)で示されるゾル−ゲル前駆体としては特にテトラメトキシシラン(TMOS)あるいはテトラエトキシシラン(TEOS)を好適に用いることができる。
以上のアルコキシシラン或いはそれらのオリゴマーは蒸留により容易に精製し得るので、高純度のシリカ粒子の原料として好適である。アルコキシシラン中の金属不純物の総含有量は、通常100ppm以下、好ましくは10ppm以下である。
触媒としては、HCl,HNOなどの酸触媒やアンモニアなどの塩基性触媒を用いることができるが、好適には、アンモニアなどの塩基性触媒を用いる。その使用量は、ゾルーゲル前駆体に対して通常0.01〜0.1mol%程度である。
スラリー中のゾル−ゲル前駆体の濃度としては通常、0.1重量%以上50重量%以下であるが、下限としては1重量%以上が好ましく、3重量%以上がより好ましく、5重量%以上が特に好ましい。上限としては20重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましい。スラリー中のゾル−ゲル前駆体の濃度が高すぎると得られる発光物質の粒径が大きくなり所定の粒径のものが得られず、また、ゲルの乾燥が不十分となって固化しにくい。一方、濃度が低すぎると収率が低下するという問題点がある。
ゾル−ゲル前駆体の加水分解は、ゾル−ゲル前駆体1モルに対して、通常2モル以上20モル以下の水を用いて行うが、水量の下限としては3モル以上が好ましく、4モル以上がより好ましい。上限としては10モル以下が好ましく、8モル以下がより好ましい。
スラリーの調製には、まず、容器に蒸留水、エタノール、5重量%アンモニア(NHOH)水を秤量して混合した後にTMOSを秤量して混合する。その後、室温、400rpmでスターラー攪拌を行い、加水分解反応を開始する。
液のpH値は、蛍光性錯体が酸性条件で分解される等の場合にはアルカリ条件例えばpH8〜14であることが好ましい。pHの調製には、NH等の塩基性物質を用いることができる。
ゾル−ゲル前駆体がアルコキシシランの場合、ゾル−ゲル前駆体の加水分解により、シリカのヒドロゲルとアルコールが生成する。この加水分解反応は、通常、室温から100℃程度であるが、加圧下で液相を維持することでより高い温度で行うことも可能である。反応時間は反応液組成(ゾル−ゲル前駆体の種類や、水とのモル比)並びに反応温度に依存し、ゲル化するまでの時間が異なるので、一概には規定されないが通常数時間から数日程度である。
[1−4−2]工程(II)
工程(II)では、前記工程(I)で生成される金属化合物の加水分解物に(b)蛍光性錯体を加えて混合する。蛍光性錯体を加えるタイミングは、二つの容器の中身を混合し、室温、400rpmでスターラー攪拌を開始して2〜3分後に所定量を一度に加える。
更に、同条件でスターラー攪拌を行い、スターラーが廻らなくなるまでドラフト中、一時間程度反応させる。
(b)蛍光性錯体の添加量は、工程(I)で用いたゾル−ゲル前駆体量に対して通常0.1重量%以上30重量%以下であるが、下限としては1重量%以上が好ましく、3重量%以上がより好ましい。上限としては20重量%以下が好ましい。(b)蛍光性錯体の添加量が多すぎてもコストがかかるだけでそれ相応の輝度が得られるわけではなく、逆に少なすぎると十分な輝度が得られない。
[1−4−3]工程(III)
工程(III)では、前記工程(II)の混合物を50℃以上200℃以下の雰囲気温度で加熱する。具体的には、室温下、蛍光性錯体を加えた状態で一時間程度反応させてスターラーが停止し、容器を逆さにしても内容物が落ちなくなるほど粘度が増加したら、オーブン等を用いて大気圧下で加熱処理を行う。なお、雰囲気温度(気温)とは、オーブン内の温度をさし、好ましくは25℃以上、さらに好ましくは50℃以上であり、通常200℃以下、好ましくは150℃以下である。この温度が高すぎると蛍光性錯体の劣化もしくは分解が起こり、低すぎると水分の除去が不十分となる。加熱後、冷却すると自然に粉化して粒子となる。加熱時間は、通常1時間以上、好ましくは2時間以上であり、通常10時間以下、好ましくは5時間以下である。加熱時間が長すぎると蛍光性錯体の劣化もしくは分解が起こり易く、短すぎると水分の除去が不十分となる。
上記工程(I)〜(III)を経る本発明の発光物質の製造方法により、(a)金属化合物を表面に有し、(b)蛍光性錯体を含有し、かつ好ましくは真密度が1.75g/ml以上の発光物質を製造することができる。
[2]発光装置
次に、このような本発明の発光物質を用いる本発明の発光装置について説明する。
本発明の発光装置の構成には特に制限はないが、波長350〜415nmの光を発生する第1の発光体と、当該第1の発光体からの光の照射によって可視光を発生する第2の発光体とを有する発光装置において、第2の発光体として、本発明の前記発光物質を含有する蛍光体を用いると、該発光物質が、波長350〜415nmの光により励起され、演色性がよく、かつ、強い発光強度の可視光を発生するため好ましい。また、このような発光装置は各種の照明装置や画像表示装置などに好適に用いることができる。
以下に、この発光装置について説明する。
まず、第1の発光体は波長350〜415nmの光を発生する。第1の発光体としては、好ましくは波長350〜415nmの範囲にピーク波長を有する光を発生する発光体を使用する。第1の発光体の具体例としては、発光ダイオード(LED)またはレーザーダイオード(LD)等を挙げることができる。消費電力がより少ない点でレーザーダイオードが好ましい。その中で、GaN系化合物半導体を使用した、GaN系LEDやLDが好ましい。なぜなら、GaN系LEDやLDは、この領域の光を発するSiC系LED等に比し、発光出力や外部量子効率が格段に大きく、前記蛍光体と組み合わせることによって、非常に低電力で非常に明るい発光が得られるからである。例えば、20mAの電流負荷に対し、通常GaN系はSiC系の100倍以上の発光強度を有する。GaN系LEDやLDにおいては、AlGaN発光層、GaN発光層、またはInGaN発光層を有しているものが好ましい。GaN系LEDにおいては、それらの中でInGaN発光層を有するものが発光強度が非常に強いので、特に好ましく、GaN系LDにおいては、InGaN層とGaN層の多重量子井戸構造のものが発光強度が非常に強いので、特に好ましい。なお、上記においてX+Yの値は通常0.8〜1.2の範囲の値である。GaN系LEDにおいて、これら発光層にZnやSiをドープしたものやドーパント無しのものが発光特性を調節する上で好ましいものである。GaN系LEDはこれら発光層、p層、n層、電極、及び基板を基本構成要素としたものであり、発光層をn型とp型のAlGaN層、GaN層、またはInGaN層などでサンドイッチにしたヘテロ構造を有しているものが発光効率が高く、好ましく、さらにヘテロ構造を量子井戸構造にしたものが発光効率がさらに高く、より好ましい。
本発明において、面発光型の発光体、特に面発光型GaN系レーザーダイオードを第1の発光体として使用することは、発光装置全体の発光効率を高めることになるので、特に好ましい。面発光型の発光体とは、膜の面方向に強い発光を有する発光体であり、面発光型GaN系レーザーダイオードにおいては、発光層等の結晶成長を制御し、かつ、反射層等をうまく工夫することにより、発光層の縁方向よりも面方向の発光を強くすることができる。このような面発光型のものを使用することによって、発光層の縁から発光するタイプに比べ、単位発光量あたりの発光断面積が大きくとれる結果、第2の発光体の蛍光体にその光を照射する場合、同じ光量で照射面積を非常に大きくすることができ、照射効率を良くすることができるので、第2の発光体である蛍光体からより強い発光を得ることができる。
第1の発光体として面発光型のものを使用する場合、第2の発光体を膜状とするのが好ましい。面発光型の発光体からの光は断面積が十分大きいので、第2の発光体をその断面の方向に膜状とすると、第1の発光体からの蛍光体への照射断面積が蛍光体単位量あたり大きくなるので、蛍光体からの発光の強度をより大きくすることができる。
また、第1の発光体として面発光型のものを使用し、第2の発光体として膜状のものを用いる場合、第1の発光体の発光面に、直接膜状の第2の発光体を接触させた形状とするのが好ましい。ここでいう接触とは、第1の発光体と第2の発光体とが空気や気体を介さないでぴたりと接している状態をつくることを言う。その結果、第1の発光体からの光が第2の発光体の膜面で反射されて外にしみ出るという光量損失を避けることができるので、装置全体の発光効率を良くすることができる。
第1の発光体からの光や第2の発光体からの光は通常四方八方に向いているが、第2の発光体である本発明の発光物質の粉を樹脂中に分散させると、光が樹脂の外に出る時にその一部が反射されるので、ある程度光の向きを揃えられる。従って、効率の良い向きに光をある程度誘導できるので、第2の発光体として、前記発光物質の粉を樹脂中へ分散したものを使用するのが好ましい。また、発光物質を樹脂中に分散させると、第1の発光体からの光の第2の発光体への全照射面積が大きくなるので、第2の発光体からの発光強度を大きくすることができるという利点も有する。
この場合に使用できる樹脂としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂等各種のものが挙げられるが、発光物質粉の分散性や安定性が良い点で好ましくはシリコーン樹脂、及び/又はエポキシ樹脂である。第2の発光体である発光物質粉を樹脂中に分散させる場合、当該発光物質粉と樹脂の全体に対する発光物質粉の重量割合は、通常10〜95%、好ましくは20〜90%、さらに好ましくは30〜80%である。発光物質が多すぎると粉の凝集により発光効率が低下することがあり、少なすぎると今度は樹脂による光の吸収や散乱のため発光効率が低下することがある。
本発明が適用される発光装置において使用する第2の発光体である発光物質は、第1の発光体からの光に対して実質的に350nm以下の光から遮蔽されることが好ましく、このための方法としては、例えば、
(A)発光体と発光物質の間に、実質的に350nm以下の紫外光を吸収する紫外線吸収物質を含有する紫外線吸収層を設け、350nm以下の光を遮断する方法
(B)350nm以下の波長光を実質的に発光しない、LEDやLDからなる半導体発光体を光源として用いる方法
が挙げられる。
また、外光からの紫外光に対しては、発光物質と外光との間に紫外線吸収層を設け外光の紫外線を遮断する方法が挙げられる。この場合には、発光物質に対して発光体からの光を遮蔽しないように配置することが必要である。また、外光からの紫外光は、発光物質以外に共存する樹脂などの有機化合物の光劣化対策も考慮すると、400nm以下の紫外光を遮蔽することが望ましい。
本発明が適用される発光装置において、発光体としてLED、LDを使用する場合は、発光体素子の上側に、蛍光性錯体を含有する発光物質を樹脂に混合又は分散させた樹脂組成物による被膜の蛍光体層を形成するか、LED、LDを覆うエポキシ樹脂等の封止樹脂中に発光物質を混合又は分散させて配置する。前者の場合は、発光物質層の上部に紫外線吸収層を積層するか、発光物質層上部に設けられる封止樹脂中に紫外線吸収物質を含有させることにより、外光からの紫外線を遮断できる。又、後者の場合は、例えば、発光体及び発光物質を内部に備えた封止樹脂体の外側を覆うように、紫外線吸収層を形成する。いずれも、発光物質や樹脂が劣化を受けるおそれがある400nm以下の波長域の外光からの紫外光が遮蔽され、極めて良好な耐光堅牢度を得ることが出来る。
さらに、ガラス又は樹脂ガラス等の光透過性材料を用いたランプ型の発光装置の場合、ランプ容器に用いる光透過性材料に紫外線吸収剤を混合する、ランプ容器の外側又は内側に紫外線吸収層を設ける等の紫外線吸収処理を施すことにより、発光物質に350nm以下、好ましくは400nm以下の波長の紫外線をカットすることが出来る。ランプ型発光装置の場合、さらに、ランプ内部を真空又は不活性ガス置換により低酸素濃度雰囲気にすることで、耐光性は飛躍的に向上させることが可能となる。酸素濃度としては、1000ppm以下、好ましくは100ppm以下、より好ましくは20ppm以下である。
このように本発明の発光装置は、好ましくは波長変換材料としての前記発光物質と、波長350〜415nmの光を発生する発光素子とから構成されてなり、前記発光物質が発光素子の発する波長350〜415nmの光を吸収して、使用環境によらず演色性が良く、かつ、高強度の可視光を発生させることのできる発光装置である。
そしてこの発光装置は、バックライト光源、信号機などの発光源、又、カラー液晶ディスプレイ等の画像表示装置や面発光等の照明装置等の光源に適している。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例で用いた蛍光性錯体Eu(TTA)Phenは次のようにして合成されたものである。
<Eu(TTA)Phenの合成>
6.67g(30mmol)のH−TTA(4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−1,3−ブタンジオン)、1.98g(10mmol)の1,10−フェナントロリン(Phen)1水和物及び3.16g(30mmol)の2,2’−イミノジエタノールをエタノール500mlに溶解した。この溶液へ、3.67g(10mmol)の塩化ユーロピウム(III)6水和物をエタノール200mlに溶解した溶液を室温にて4時間かけて滴下し、さらに数時間室温にて静置した後、生成した沈殿を吸引濾過し、エタノールで洗浄した。得られた淡黄色粉体を、50℃で真空乾燥し、下記構造式で表される目的物Eu(TTA)Phenを得た。
Figure 0005120827
この錯体を元素分析したところ、C43.33%;H2.36%;N2.78%であり、計算値C43.43%:H2.02%:N2.81%とほぼ同じであった。また、この錯体の融点は242〜243℃であった。
得られたEu(TTA)Phen錯体について、粉末X線回折測定を行い、そのX線回折パターンから、結晶性の化合物であることを確認した。また、X線結晶構造解析を行ったところ、以下の結果となった。
結晶系;三斜晶系
空間群;P1
格子定数;a=13.0Å,b=15.0Å,c=9.6Å,
α=92.9゜,β=102.8゜,γ=91.5゜
[1]発光物質(実施例1、比較例1〜3)の製造方法
[1−1]比較
TMOS:HO:EtOH:NHOH=1:10:2.7:0.00037(モル比)の組成で、図1に示したプロセスを用いて蛍光性錯体Eu(TTA)Phenの封止試料を作製した。
出発溶液としてTMOS:2.0093g、HO:2.3419ml、EtOH:2.0888ml、NHOH:0.0376mlを25ccのフッ素樹脂製耐熱ビーカー中で混合して反応を開始し、マグネチックスターラで約400rpmでの攪拌を続けた。Eu錯体を均一に分散させるために、反応開始後2〜3分以内にEu錯体Eu(TTA)Phen:40.3mgを出発溶液に添加した。1時間程度で反応が進み粘度が高くなったところ(スターラの回転子が止まる)で回転子を取り出し、フッ素樹脂製耐熱ビーカーを中温炉に入れ、15分程度で120℃まで加熱して105分間保持し、メノウ乳鉢を用いて手粉砕し、小片状の封止試料を得た。
このときのEu錯体/ガラスの発光物質中のSiのモル比は0.00306であった。
[1−2]実施例
TMOS:HO:EtOH:NHOH=1:10:2.7:0.00037(モル比)の組成で、図1に示したプロセスを用いて蛍光性錯体Eu(TTA)Phenの封止試料を作製した。
出発溶液としてTMOS:2.0093g、HO:2.3419ml、EtOH:2.0888ml、NHOH:0.0376mlを25ccのフッ素樹脂製耐熱ビーカー中で混合して反応を開始し、マグネチックスターラで約400rpmでの攪拌を続けた。Eu錯体を均一に分散させるために反応開始後2〜3分以内にEu錯体Eu(TTA)Phen:80.4mgを出発溶液に添加した。1時間程度で反応が進み粘度が高くなったところ(スターラの回転子が止まる)で回転子を取り出し、フッ素樹脂製耐熱ビーカーを中温炉に入れ、5分以内に120℃まで加熱して2時間保持し、メノウ乳鉢を用いて手粉砕し、小片状の封止試料を得た。
このときのEu錯体/ガラスの発光物質中のSiのモル比は0.00611であった。
[1−3]比較例1
0.1gのセチルアンモニウムブロマイド(CTAB)を蒸留水100gに溶解し、更に1.0gのエチレンジアミノプロピルシラン(EDAS)を加え、室温で一時間強攪拌して溶液Aを得た。次に、0.3gのEu錯体Eu(TTA)Phenを2.82gのテトラエトキシシラン(TEOS)に加え、室温で一時間強攪拌して溶液Bを得た。溶液Bを溶液Aに加えた後、室温で3時間攪拌した。若干濁った溶液がにかわ状の沈殿物となった後、室温で更に12時間放置した。沈殿物を濾別後、室温で一時間真空乾燥し、更に100℃で6時間乾燥させた後、メノウ乳鉢を用いて手粉砕し小片状の封止試料を得た。
このEu錯体/ガラスの発光物質中のSiのモル比は0.018であった。
[1−4]比較例2
ヤマト科学(株)製スプレードライヤー GA32を用いて、入り口温度;150℃、出口温度;69℃、ガス(圧空)流量;0.40m/minの条件に調整し、噴霧圧0.11MPaでまず水をガラスチャンバー内に噴霧した。ノズルは二流体ノズルを用い、液体ノズル径;406μm、気体用ノズル径;1626μmのものをそれぞれ用いた。装置の状態が安定した後、噴霧液を水から次に述べるシリケートスラリーに切り替えて噴霧し目的物を得た。
シリケートスラリーの調製方法としては、まず、0.05gのセチルアンモニウムブロマイド(CTAB)を蒸留水300gに溶解し、更に5.55gのエチレンジアミノプロピルシラン(EDAS)を加え、室温で2.5時間強攪拌して溶液Aを得た。次に、1.0gの蛍光性錯体Eu(TTA)Phenを12.10gのテトラエトキシシラン(TEOS)に加え、室温で1時間強攪拌して溶液Bを得た。溶液Bを溶液Aに加えた後、室温にてスターラで攪拌しながらローラーポンプを用いて混合液のシリケートスラリーをスプレードライヤーのノズルに6.6g/minの流量で導入した。48分間噴霧した後、白色粉体6.1gを得た。このときのEu錯体/ガラスの発光物質中のSiのモル比は0.012であった。
[2]発光物質の物性測定及び耐久性評価
[2−1]真密度測定方法
測定にはマイクロメリテックス社製マルチボリウム密度計「アキュピック1330型」を用いた。測定原理は、定容積膨張法によるものであり、これは、<密閉された系内に於いて、粉体によって置換される気体の体積がその粉体の体積に等しい>ことを利用するものである。まず、閉じたバルブで繋がれた試料室と膨張室(いずれも体積既知、密閉)の試料室側に測定用のサンプルを入れる(試料室側のみサンプル容積分だけ圧力上昇する。)。次に、バルブを開放すると、膨張室の圧力も上昇するので、その圧力変動からサンプルの体積を求めることができる(ボイルの法則)。
なお、測定に用いるガスとしてはHeを使用した。また、サンプル量は固体として約0.2〜0.7gを1mlセルに採り、繰り返し5回以上測定し、平均値を算出した。
[2−2]発光輝度維持率測定方法
(i)(b)蛍光性錯体粉末(Eu(TTA)Phen)を光路長2mmのガラスセルに詰め、Spex製蛍光分光光度計FluoroMax(単一光子計数方式)で発光輝度を測定した。励起光は波長400nm、バンド幅1nmとし、試料セル面の法線に対して入射角30度で入射させた。試料からの発光は励起光と直角方向に取り、ニュートラルデンシティーフィルタND1を通して分光器に入射させた。バンド幅0.1nm、積算時間は1秒で、1nm間隔にデータを取得し、460〜680nm間をスキャンして発光スペクトルを得た。発光輝度は得られた発光スペクトルのうちの波長610nm付近のピーク強度値を発光輝度とした。測定した(b)蛍光性錯体Eu(TTA)Phenの発光輝度をxとした。
(ii)作成した実施例及び比較例の発光物質(封止試料)を瑪瑙乳鉢ですり、粉末とした。粉砕した試料を前記(i)と同様に光路長2mmのガラスセルに詰め、同一条件で発光輝度を測定した。測定した発光物質の発光輝度をyとした。
(iii)発光輝度維持率(y/x)×100を算出した。
なお、本発明の発光物質は、LED適用性の評価となる、下記のLED耐久性評価においても、良好な耐久性を有することが確認された。
東洋電波社製SMD LEDパッケージTY−SMD1202B(2.8×3.5×1.9mm厚)にCREE社製LEDチップ(C405−MB290)(発光波長=406nm)をボンディングした。
信越化学工業社製付加硬化型シリコーン樹脂商品名LSP−2410(主材)と硬化剤(商品名C−2410)との混合物100重量部(主剤:硬化剤(C−2410)=100:10)にEu錯体含有蛍光体各5重量部を加え、シンキー社製攪拌装置(泡取り練太郎AR−100)で3分混練して発光物質含有組成物とした。これを前記LEDチップ付きパッケージの最上面まで充填し、60℃、3時間の雰囲気下で硬化させた。十分冷却した後、25℃±1℃に保たれた室内において、半導体発光装置発光輝度測定試験を行った。なお、発光輝度ならびにCx値はオーシャン オプティクス社製の色・照度測定ソフトウエア及びUSB2000シリーズ分光器(積分球仕様)を用いて測定した。
[3]評価結果
前記実施例1並びに比較例1〜3で得られた発光物質について、上記の物性の測定、及び耐久性の評価を行なった結果を表1に示す。なお、発光物質中の(a)金属化合物の含有量(重量%)と(b)蛍光性錯体の含有量(重量%)は、理論値より、TEOS3.6gからSiOが1.0g生成すると仮定して概算により求めた値である。
Figure 0005120827
表1より、本発明の発光物質は、高輝度でLED耐久性に優れることが分かる。
実施例における発光物質の作製プロセスを示す図である。

Claims (9)

  1. (a)テトラメトキシシラン及びそのオリゴマーから選ばれるゾル−ゲル前駆体の加水分解物により形成されたケイ素化合物を表面に有する発光物質であって、
    (b)下記一般式(2)で表されるユーロピウム錯体を、発光物質全体に対して10重量%以上20重量%以下含有し、かつ
    真密度が1.75g/ml以上であることを特徴とする発光物質。
    (REu(R (2)
    (式(2)中、Rは芳香族環を含む置換基を有するβ−ジケトンのアニオンであり、Rはルイス塩基からなる補助配位子である。)
  2. 前記ルイス塩基からなる補助配位子が、置換されていてもよいフェナントロリンである請求項1に記載の発光物質。
  3. 下記に示される発光輝度維持率測定方法により得られる発光輝度維持率が20%以上で
    ある請求項1又は請求項2に記載の発光物質。
    <発光輝度維持率測定方法>
    (i)(b)蛍光性錯体の発光輝度xを蛍光分光光度計により測定する。
    (ii)前記(i)と同一条件により発光物質の発光輝度yを測定する。
    (iii)発光輝度維持率(y/x)×100を算出する。
  4. (a)テトラメトキシシラン及びそのオリゴマーから選ばれるゾル−ゲル前駆体の加水分解により形成されたケイ素化合物を表面に有し、かつ(b)下記一般式(2)で表されるユーロピウム錯体を含有する発光物質の製造方法であって、下記(I)〜(III)の工程を含むことを特徴とする発光物質の製造方法。
    (I)(a)テトラメトキシシラン及びそのオリゴマーから選ばれるゾル−ゲル前駆体アンモニア、エタノール、及び水の存在下で加水分解させる。
    (II)テトラメトキシシラン及びそのオリゴマーから選ばれるゾル−ゲル前駆体、及び/又は前記工程(I)で生成されるテトラメトキシシラン及びそのオリゴマーから選ばれるゾル−ゲル前駆体の加水分解物と(b)下記一般式(2)で表されるユーロピウム錯体とを混合する。
    (III)50℃以上150℃以下の雰囲気温度で1時間以上10時間以下加熱する。
    (REu(R (2)
    (式(2)中、Rは芳香族環を含む置換基を有するβ−ジケトンのアニオンであり、Rはルイス塩基からなる補助配位子である。)
  5. (b)前記一般式(2)で表されるユーロピウム錯体を、発光物質全体に対して10重量%以上20重量%以下含有することを特徴とする請求項4に記載の発光物質の製造方法。
  6. 前記ルイス塩基からなる補助配位子が、置換されていてもよいフェナントロリンであることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の発光物質の製造方法。
  7. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発光物質を用いたことを特徴とする発光装置。
  8. 請求項7に記載の発光装置を有する照明装置。
  9. 請求項7に記載の発光装置を有する画像表示装置。
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