JP5120827B2 - 発光物質及びその製造方法、該発光物質を用いた発光装置、並びに該発光装置を用いた照明装置及び画像表示装置 - Google Patents
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Description
例えば、蛍光灯における白色光は、3色の無機蛍光体から放射される蛍光の組み合わせにより実現されているが、効率良く赤色発光を示す無機蛍光体は十分に開発されておらず、最も高輝度に発光するY2O2S:Eu蛍光体においても発光強度が不十分である。その結果、青色と緑色と赤色とを合わせた場合に高輝度の白色光が得られないことが問題となっており、効率の高い白色固体照明を実用化する上での妨げとなっている。
例えば、非特許文献1には、Eu錯体色素をポアサイズ2.9nm、比表面積が600〜800m2/gである結晶性シリカ粒子に挿入した発明が開示されている。
また、特許文献1には、多孔質無機粒子を構成する一次粒子の内部に蛍光性錯体が含有されてなる発光物質が開示されている。
また、特許文献2には、蛍光性錯体とゾル−ゲル前駆体を含有するスラリーを、スプレードライする発光物質の製造方法が開示されている。
しかしながら、これらは、いずれも蛍光性錯体の発光輝度を維持しつつ、LEDの耐久性向上の両方を満たすものとしては、十分とはいえず、さらなる改良が要求されている。
Qinghong Xu,Liansheng Li,Xinsheng Liu,Chemistry of Materials.,vol.14,pp549−555,2002
即ち、本発明の要旨は下記の〔1〕〜〔9〕に存する。
(b)下記一般式(2)で表されるユーロピウム錯体を、発光物質全体に対して10重量%以上20重量%以下含有し、かつ
真密度が1.755g/ml以上であることを特徴とする発光物質。
(R1)3Eu(R2)2 (2)
(式(2)中、R1は芳香族環を含む置換基を有するβ−ジケトンのアニオンであり、R2はルイス塩基からなる補助配位子である。)
<発光輝度維持率測定方法>
(i)(b)蛍光性錯体の発光輝度xを蛍光分光光度計により測定する。
(ii)前記(i)と同一条件により発光物質の発光輝度yを測定する。
(iii)発光輝度維持率(y/x)×100を算出する。
(I)(a)テトラメトキシシラン及びそのオリゴマーから選ばれるゾル−ゲル前駆体をアンモニア、エタノール、及び水の存在下で加水分解させる。
(II)テトラメトキシシラン及びそのオリゴマーから選ばれるゾル−ゲル前駆体、及び/又は前記工程(I)で生成されるテトラメトキシシラン及びそのオリゴマーから選ばれるゾル−ゲル前駆体の加水分解物と(b)下記一般式(2)で表されるユーロピウム錯体とを混合する。
(III)50℃以上150℃以下の雰囲気温度で1時間以上10時間以下加熱する。
(R1)3Eu(R2)2 (2)
(式(2)中、R1は芳香族環を含む置換基を有するβ−ジケトンのアニオンであり、R2はルイス塩基からなる補助配位子である。)
〔5〕 (b)前記一般式(2)で表されるユーロピウム錯体を、発光物質全体に対して10重量%以上20重量%以下含有することを特徴とする〔4〕に記載の発光物質の製造方法。
〔6〕 前記ルイス塩基からなる補助配位子が、置換されていてもよいフェナントロリンであることを特徴とする〔4〕又は〔5〕に記載の発光物質の製造方法。
本発明の発光物質は、(a)金属化合物を表面に有する発光物質であって、(b)蛍光性錯体を含有し、かつ真密度が1.75g/ml以上であることを特徴とする。
以下、各構成について説明する。
本発明に用いられる(a)金属化合物は、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、スズ、ゲルマニウム、タンタル、ニオビウム、バナジウム、硼素、アンチモン、亜鉛、イットリウム、ビスマス、カルシウム、バリウム、ストロンチウム等の金属元素を含有する化合物をいい、発光物質の表面に存在することにより後述の(b)蛍光体錯体を外的環境から保護し、発光物質の経時劣化を抑制する働きを有する。このような(a)金属化合物としては、具体的には、例えば以下のものを挙げることができる。
(2)窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化アルミニウム 等の金属窒化物又は金属酸窒化物。
(3)燐酸カルシウム、燐酸バリウム、燐酸ストロンチウム等のオルト燐酸塩、ポリリン酸塩。
(4)ホウケイ酸塩、ホスホケイ酸塩、アルカリケイ酸塩等のガラス材料。
なお、これらの(a)金属化合物は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
なお、本発明において、発光物質全体とは、(a)金属化合物を表面に有する発光物質の全体((a)金属化合物を含む)を示す。
(b)蛍光性錯体としては希土類錯体系蛍光体を用いることが好ましく、その希土類元素としてはCe、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybなどの元素が使用できるが、Euが好適に用いられる。
(R1)3Eu (1)
(R1)3Eu(R2)2 (2)
〔(R1)4Eu〕−R3 + (3)
(式(1)、(2)及び(3)中、R1は芳香族環を含む置換基を有するβ−ジケトンのアニオンであり、R2はルイス塩基からなる補助配位子であり、R3 +は4級アンモニウムイオンである。)
ここで、芳香族炭化水素化合物としては、例えば、ベンゼン、ナフタリン、フェナントレン等が挙げられる。芳香族複素環化合物としては、フラン、チオフェン、ピラゾリン、ピリジン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン等の酸素、窒素、硫黄原子を含む複素環化合物が挙げられる。
メチル、エチル、プロピル、ブチル等のアルキル基;トリフルオロメチル、ペンタフルオロメチル等のフルオロアルキル基;メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基;ベンジル、フェネチル等のアリールオキシ基;ヒドロキシル基;アリル基;アセチル、プロピオニル等のアシル基;アセトキシ、プロピオニルオキシ、ベンゾイルオキシ等のアシルオキシ基;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等のアルコキシカルボニル基;フェノキシカルボニル等のアリールオキシカルボニル基;カルボキシル基;カルバモイル基;アミノ基;ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、アセチルメチルアミノ等の置換アミノ基;メチルチオ、エチルチオ、フェニルチオ、ベンジルチオ等の置換チオ基;メルカプト基;エチルスルフォニル、フェニルスルフォニル等の置換スルフォニル基;シアノ基;フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード等のハロゲン基等。
これらの置換基は、互いに結合して環を形成してもよい。
これらに置換する置換基としては、前述した置換基群Zが例示される。中でも、特に、アルキル基、アリール基、アルコシキル基、アラルキル基、アリールオキシ基、ハロゲン基等が好ましい。
(R4−(X)n−COO)3Eu(R5)2 (4)
(式(4)中、R4は、置換基を有することがある芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を少なくとも1つ含む基であり、Xは、2価の連結基であり、nは、0又は1であり、R5は、ルイス塩基からなる補助配位子である。)
[1−3−1]真密度
本発明の発光物質は、真密度が1.75g/ml以上であることが特徴である。真密度の大きい発光物質は、緻密で気孔が少ないために(b)蛍光性錯体の劣化の原因となる湿度や酸素などの進入を遮断するため、(b)蛍光性錯体の輝度を効率よく維持することができるものと推定される。
本発明の発光物質は、下記に示される発光輝度維持率測定方法により得られる発光輝度維持率が20%以上であるものが好ましい。
<発光輝度維持率測定方法>
(i)(b)蛍光性錯体の発光輝度xを蛍光分光光度計により測定する。
(ii)前記(i)と同一条件により発光物質の発光輝度yを測定する。
(iii)発光輝度維持率(y/x)×100を算出する。
以下に、具体的な測定方法及び測定条件の例を示す。
(i)(b)蛍光性錯体粉末を光路長2mmのガラスセルに詰め、単一光子計数方式による蛍光分光光度計で発光輝度を測定する。励起光は、測定しようとする波長、バンド幅を適宜設定し(例えば波長400nm、バンド幅1nm)、試料セル面の法線に対して入射角30度で入射させる。試料からの発光は励起光と直角方向に取り、ニュートラルデンシティーフィルタを通して分光器に入射させる。バンド幅0.1nm、積算時間は1秒で、1nm間隔にデータを取得し、460〜680nm間をスキャンして発光スペクトルを得る。測定した(b)蛍光性錯体の発光輝度をxとする。
(ii)発光物質を瑪瑙乳鉢でするなどして、粉末とする。粉砕した試料を前記(i)と同様に光路長2mmのガラスセルに詰め、同一条件で発光輝度を測定する。測定した発光物質の発光輝度をyとする。
(iii)発光輝度維持率(y/x)×100を算出する。
本発明の発光物質が得られる限り、本発明の発光物質の製造方法に特に制限はなく、公知のものを採用することができる。例えば、特許文献1に記載される、原料となるゾル−ゲル前駆体から多孔質無機粒子を製造する段階で、(b)蛍光性錯体を存在させ、ゾル−ゲル反応を行う方法を用いながら真密度を調整する方法;特許文献2に記載される、無機粒子の原料となるゾル−ゲル前駆体から、スプレードライ法(噴霧乾燥法)により略球状の無機粒子を形成した後、該無機粒子の細孔中に(b)蛍光性錯体を導入することにより、無機粒子の表面に(b)蛍光性錯体を含有する無機粒子を得る方法;及び/又は、(b)蛍光性錯体とゾル−ゲル前駆体とを混合した後、スプレードライ法により略球状の粒子を形成することにより内部及び/又は表面に(b)蛍光性錯体を含有する無機粒子を得る方法を用いながら真密度を調整する方法;等が挙げられる。
(I)(a)金属化合物を触媒、及び水の存在下で加水分解させる。
(II)前記(I)工程で生成される金属化合物の加水分解物と(b)蛍光性錯体とを混合する。
(III)50℃以上200℃以下の雰囲気温度で加熱する。
工程(I)では、(a)金属化合物を触媒、及び水の存在下で加水分解させる。
(a)金属化合物を形成するゾル−ゲル前駆体としては下記一般式(7)或いは下記一般式(8)で表されるものを好適に用いることができる。
M(R)x(G)y (7)
(式(7)中、Mは金属または半金属、Rは加水分解可能な基、Gは蛍光性錯体と結合を形成しうる有機鎖を表し、xは2≦x≦4、yは0≦y≦2を満たす。)
M(R)z (8)
(式(8)中、Mは金属または半金属、Rは加水分解可能な基を表し、zは4≦z≦6を満たす。)
Rで表される加水分解可能な基とは、エトキシ基やメトキシ基等の加水分解されて水酸基を生成する基である。
一般式(7)中のGで表される蛍光性錯体と結合を形成しうる有機鎖とは、金属陽イオンに配位可能な官能基を少なくとも一つ以上含有する有機鎖であり、官能基としては、アミノ基等の窒素含有官能基やカルボキシル基などが挙げられ、特に窒素含有官能基が好ましい。
液のpH値は、蛍光性錯体が酸性条件で分解される等の場合にはアルカリ条件例えばpH8〜14であることが好ましい。pHの調製には、NH3等の塩基性物質を用いることができる。
ゾル−ゲル前駆体がアルコキシシランの場合、ゾル−ゲル前駆体の加水分解により、シリカのヒドロゲルとアルコールが生成する。この加水分解反応は、通常、室温から100℃程度であるが、加圧下で液相を維持することでより高い温度で行うことも可能である。反応時間は反応液組成(ゾル−ゲル前駆体の種類や、水とのモル比)並びに反応温度に依存し、ゲル化するまでの時間が異なるので、一概には規定されないが通常数時間から数日程度である。
工程(II)では、前記工程(I)で生成される金属化合物の加水分解物に(b)蛍光性錯体を加えて混合する。蛍光性錯体を加えるタイミングは、二つの容器の中身を混合し、室温、400rpmでスターラー攪拌を開始して2〜3分後に所定量を一度に加える。
更に、同条件でスターラー攪拌を行い、スターラーが廻らなくなるまでドラフト中、一時間程度反応させる。
(b)蛍光性錯体の添加量は、工程(I)で用いたゾル−ゲル前駆体量に対して通常0.1重量%以上30重量%以下であるが、下限としては1重量%以上が好ましく、3重量%以上がより好ましい。上限としては20重量%以下が好ましい。(b)蛍光性錯体の添加量が多すぎてもコストがかかるだけでそれ相応の輝度が得られるわけではなく、逆に少なすぎると十分な輝度が得られない。
工程(III)では、前記工程(II)の混合物を50℃以上200℃以下の雰囲気温度で加熱する。具体的には、室温下、蛍光性錯体を加えた状態で一時間程度反応させてスターラーが停止し、容器を逆さにしても内容物が落ちなくなるほど粘度が増加したら、オーブン等を用いて大気圧下で加熱処理を行う。なお、雰囲気温度(気温)とは、オーブン内の温度をさし、好ましくは25℃以上、さらに好ましくは50℃以上であり、通常200℃以下、好ましくは150℃以下である。この温度が高すぎると蛍光性錯体の劣化もしくは分解が起こり、低すぎると水分の除去が不十分となる。加熱後、冷却すると自然に粉化して粒子となる。加熱時間は、通常1時間以上、好ましくは2時間以上であり、通常10時間以下、好ましくは5時間以下である。加熱時間が長すぎると蛍光性錯体の劣化もしくは分解が起こり易く、短すぎると水分の除去が不十分となる。
次に、このような本発明の発光物質を用いる本発明の発光装置について説明する。
本発明の発光装置の構成には特に制限はないが、波長350〜415nmの光を発生する第1の発光体と、当該第1の発光体からの光の照射によって可視光を発生する第2の発光体とを有する発光装置において、第2の発光体として、本発明の前記発光物質を含有する蛍光体を用いると、該発光物質が、波長350〜415nmの光により励起され、演色性がよく、かつ、強い発光強度の可視光を発生するため好ましい。また、このような発光装置は各種の照明装置や画像表示装置などに好適に用いることができる。
以下に、この発光装置について説明する。
また、第1の発光体として面発光型のものを使用し、第2の発光体として膜状のものを用いる場合、第1の発光体の発光面に、直接膜状の第2の発光体を接触させた形状とするのが好ましい。ここでいう接触とは、第1の発光体と第2の発光体とが空気や気体を介さないでぴたりと接している状態をつくることを言う。その結果、第1の発光体からの光が第2の発光体の膜面で反射されて外にしみ出るという光量損失を避けることができるので、装置全体の発光効率を良くすることができる。
(A)発光体と発光物質の間に、実質的に350nm以下の紫外光を吸収する紫外線吸収物質を含有する紫外線吸収層を設け、350nm以下の光を遮断する方法
(B)350nm以下の波長光を実質的に発光しない、LEDやLDからなる半導体発光体を光源として用いる方法
が挙げられる。
そしてこの発光装置は、バックライト光源、信号機などの発光源、又、カラー液晶ディスプレイ等の画像表示装置や面発光等の照明装置等の光源に適している。
<Eu(TTA)3Phenの合成>
6.67g(30mmol)のH−TTA(4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−1,3−ブタンジオン)、1.98g(10mmol)の1,10−フェナントロリン(Phen)1水和物及び3.16g(30mmol)の2,2’−イミノジエタノールをエタノール500mlに溶解した。この溶液へ、3.67g(10mmol)の塩化ユーロピウム(III)6水和物をエタノール200mlに溶解した溶液を室温にて4時間かけて滴下し、さらに数時間室温にて静置した後、生成した沈殿を吸引濾過し、エタノールで洗浄した。得られた淡黄色粉体を、50℃で真空乾燥し、下記構造式で表される目的物Eu(TTA)3Phenを得た。
得られたEu(TTA)3Phen錯体について、粉末X線回折測定を行い、そのX線回折パターンから、結晶性の化合物であることを確認した。また、X線結晶構造解析を行ったところ、以下の結果となった。
結晶系;三斜晶系
空間群;P1
格子定数;a=13.0Å,b=15.0Å,c=9.6Å,
α=92.9゜,β=102.8゜,γ=91.5゜
[1−1]比較例3
TMOS:H2O:EtOH:NH4OH=1:10:2.7:0.00037(モル比)の組成で、図1に示したプロセスを用いて蛍光性錯体Eu(TTA)3Phenの封止試料を作製した。
出発溶液としてTMOS:2.0093g、H2O:2.3419ml、EtOH:2.0888ml、NH4OH:0.0376mlを25ccのフッ素樹脂製耐熱ビーカー中で混合して反応を開始し、マグネチックスターラで約400rpmでの攪拌を続けた。Eu錯体を均一に分散させるために、反応開始後2〜3分以内にEu錯体Eu(TTA)3Phen:40.3mgを出発溶液に添加した。1時間程度で反応が進み粘度が高くなったところ(スターラの回転子が止まる)で回転子を取り出し、フッ素樹脂製耐熱ビーカーを中温炉に入れ、15分程度で120℃まで加熱して105分間保持し、メノウ乳鉢を用いて手粉砕し、小片状の封止試料を得た。
このときのEu錯体/ガラスの発光物質中のSiのモル比は0.00306であった。
TMOS:H2O:EtOH:NH4OH=1:10:2.7:0.00037(モル比)の組成で、図1に示したプロセスを用いて蛍光性錯体Eu(TTA)3Phenの封止試料を作製した。
出発溶液としてTMOS:2.0093g、H2O:2.3419ml、EtOH:2.0888ml、NH4OH:0.0376mlを25ccのフッ素樹脂製耐熱ビーカー中で混合して反応を開始し、マグネチックスターラで約400rpmでの攪拌を続けた。Eu錯体を均一に分散させるために反応開始後2〜3分以内にEu錯体Eu(TTA)3Phen:80.4mgを出発溶液に添加した。1時間程度で反応が進み粘度が高くなったところ(スターラの回転子が止まる)で回転子を取り出し、フッ素樹脂製耐熱ビーカーを中温炉に入れ、5分以内に120℃まで加熱して2時間保持し、メノウ乳鉢を用いて手粉砕し、小片状の封止試料を得た。
このときのEu錯体/ガラスの発光物質中のSiのモル比は0.00611であった。
0.1gのセチルアンモニウムブロマイド(CTAB)を蒸留水100gに溶解し、更に1.0gのエチレンジアミノプロピルシラン(EDAS)を加え、室温で一時間強攪拌して溶液A1を得た。次に、0.3gのEu錯体Eu(TTA)3Phenを2.82gのテトラエトキシシラン(TEOS)に加え、室温で一時間強攪拌して溶液B1を得た。溶液B1を溶液A1に加えた後、室温で3時間攪拌した。若干濁った溶液がにかわ状の沈殿物となった後、室温で更に12時間放置した。沈殿物を濾別後、室温で一時間真空乾燥し、更に100℃で6時間乾燥させた後、メノウ乳鉢を用いて手粉砕し小片状の封止試料を得た。
このEu錯体/ガラスの発光物質中のSiのモル比は0.018であった。
ヤマト科学(株)製スプレードライヤー GA32を用いて、入り口温度;150℃、出口温度;69℃、ガス(圧空)流量;0.40m3/minの条件に調整し、噴霧圧0.11MPaでまず水をガラスチャンバー内に噴霧した。ノズルは二流体ノズルを用い、液体ノズル径;406μm、気体用ノズル径;1626μmのものをそれぞれ用いた。装置の状態が安定した後、噴霧液を水から次に述べるシリケートスラリーに切り替えて噴霧し目的物を得た。
シリケートスラリーの調製方法としては、まず、0.05gのセチルアンモニウムブロマイド(CTAB)を蒸留水300gに溶解し、更に5.55gのエチレンジアミノプロピルシラン(EDAS)を加え、室温で2.5時間強攪拌して溶液A2を得た。次に、1.0gの蛍光性錯体Eu(TTA)3Phenを12.10gのテトラエトキシシラン(TEOS)に加え、室温で1時間強攪拌して溶液B2を得た。溶液B2を溶液A2に加えた後、室温にてスターラで攪拌しながらローラーポンプを用いて混合液のシリケートスラリーをスプレードライヤーのノズルに6.6g/minの流量で導入した。48分間噴霧した後、白色粉体6.1gを得た。このときのEu錯体/ガラスの発光物質中のSiのモル比は0.012であった。
[2−1]真密度測定方法
測定にはマイクロメリテックス社製マルチボリウム密度計「アキュピック1330型」を用いた。測定原理は、定容積膨張法によるものであり、これは、<密閉された系内に於いて、粉体によって置換される気体の体積がその粉体の体積に等しい>ことを利用するものである。まず、閉じたバルブで繋がれた試料室と膨張室(いずれも体積既知、密閉)の試料室側に測定用のサンプルを入れる(試料室側のみサンプル容積分だけ圧力上昇する。)。次に、バルブを開放すると、膨張室の圧力も上昇するので、その圧力変動からサンプルの体積を求めることができる(ボイルの法則)。
なお、測定に用いるガスとしてはHeを使用した。また、サンプル量は固体として約0.2〜0.7gを1mlセルに採り、繰り返し5回以上測定し、平均値を算出した。
(i)(b)蛍光性錯体粉末(Eu(TTA)3Phen)を光路長2mmのガラスセルに詰め、Spex製蛍光分光光度計FluoroMax(単一光子計数方式)で発光輝度を測定した。励起光は波長400nm、バンド幅1nmとし、試料セル面の法線に対して入射角30度で入射させた。試料からの発光は励起光と直角方向に取り、ニュートラルデンシティーフィルタND1を通して分光器に入射させた。バンド幅0.1nm、積算時間は1秒で、1nm間隔にデータを取得し、460〜680nm間をスキャンして発光スペクトルを得た。発光輝度は得られた発光スペクトルのうちの波長610nm付近のピーク強度値を発光輝度とした。測定した(b)蛍光性錯体Eu(TTA)3Phenの発光輝度をxとした。
(ii)作成した実施例及び比較例の発光物質(封止試料)を瑪瑙乳鉢ですり、粉末とした。粉砕した試料を前記(i)と同様に光路長2mmのガラスセルに詰め、同一条件で発光輝度を測定した。測定した発光物質の発光輝度をyとした。
(iii)発光輝度維持率(y/x)×100を算出した。
東洋電波社製SMD LEDパッケージTY−SMD1202B(2.8×3.5×1.9mm厚)にCREE社製LEDチップ(C405−MB290)(発光波長=406nm)をボンディングした。
信越化学工業社製付加硬化型シリコーン樹脂商品名LSP−2410(主材)と硬化剤(商品名C−2410)との混合物100重量部(主剤:硬化剤(C−2410)=100:10)にEu錯体含有蛍光体各5重量部を加え、シンキー社製攪拌装置(泡取り練太郎AR−100)で3分混練して発光物質含有組成物とした。これを前記LEDチップ付きパッケージの最上面まで充填し、60℃、3時間の雰囲気下で硬化させた。十分冷却した後、25℃±1℃に保たれた室内において、半導体発光装置発光輝度測定試験を行った。なお、発光輝度ならびにCx値はオーシャン オプティクス社製の色・照度測定ソフトウエア及びUSB2000シリーズ分光器(積分球仕様)を用いて測定した。
前記実施例1並びに比較例1〜3で得られた発光物質について、上記の物性の測定、及び耐久性の評価を行なった結果を表1に示す。なお、発光物質中の(a)金属化合物の含有量(重量%)と(b)蛍光性錯体の含有量(重量%)は、理論値より、TEOS3.6gからSiO2が1.0g生成すると仮定して概算により求めた値である。
Claims (9)
- (a)テトラメトキシシラン及びそのオリゴマーから選ばれるゾル−ゲル前駆体の加水分解物により形成されたケイ素化合物を表面に有する発光物質であって、
(b)下記一般式(2)で表されるユーロピウム錯体を、発光物質全体に対して10重量%以上20重量%以下含有し、かつ
真密度が1.755g/ml以上であることを特徴とする発光物質。
(R1)3Eu(R2)2 (2)
(式(2)中、R1は芳香族環を含む置換基を有するβ−ジケトンのアニオンであり、R2はルイス塩基からなる補助配位子である。) - 前記ルイス塩基からなる補助配位子が、置換されていてもよいフェナントロリンである請求項1に記載の発光物質。
- 下記に示される発光輝度維持率測定方法により得られる発光輝度維持率が20%以上で
ある請求項1又は請求項2に記載の発光物質。
<発光輝度維持率測定方法>
(i)(b)蛍光性錯体の発光輝度xを蛍光分光光度計により測定する。
(ii)前記(i)と同一条件により発光物質の発光輝度yを測定する。
(iii)発光輝度維持率(y/x)×100を算出する。 - (a)テトラメトキシシラン及びそのオリゴマーから選ばれるゾル−ゲル前駆体の加水分解物により形成されたケイ素化合物を表面に有し、かつ(b)下記一般式(2)で表されるユーロピウム錯体を含有する発光物質の製造方法であって、下記(I)〜(III)の工程を含むことを特徴とする発光物質の製造方法。
(I)(a)テトラメトキシシラン及びそのオリゴマーから選ばれるゾル−ゲル前駆体をアンモニア、エタノール、及び水の存在下で加水分解させる。
(II)テトラメトキシシラン及びそのオリゴマーから選ばれるゾル−ゲル前駆体、及び/又は前記工程(I)で生成されるテトラメトキシシラン及びそのオリゴマーから選ばれるゾル−ゲル前駆体の加水分解物と(b)下記一般式(2)で表されるユーロピウム錯体とを混合する。
(III)50℃以上150℃以下の雰囲気温度で1時間以上10時間以下加熱する。
(R1)3Eu(R2)2 (2)
(式(2)中、R1は芳香族環を含む置換基を有するβ−ジケトンのアニオンであり、R2はルイス塩基からなる補助配位子である。) - (b)前記一般式(2)で表されるユーロピウム錯体を、発光物質全体に対して10重量%以上20重量%以下含有することを特徴とする請求項4に記載の発光物質の製造方法。
- 前記ルイス塩基からなる補助配位子が、置換されていてもよいフェナントロリンであることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の発光物質の製造方法。
- 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発光物質を用いたことを特徴とする発光装置。
- 請求項7に記載の発光装置を有する照明装置。
- 請求項7に記載の発光装置を有する画像表示装置。
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