(実施形態1)
以下、図1〜図4を参照して本発明の第1の実施の形態に係る壁貫通配管の壁通し具を説明する。
図1は第1実施形態の壁貫通配管の壁通し具1を一戸建の建屋の外壁2の設置穴3に取付けて、配管4及び鞘管5を貫通させた状態を示す断面図である。
図2(a)及び(b)に示すように、この壁通し具1は第1壁通し部材6と第2壁通し部材7と連結手段とからなる。
合成樹脂製の第1壁通し部材6は、住宅の壁としての外壁2の厚み方向両面に夫々開放されていると共に上下方向に長い小判形をなして設けられた設置穴3に、屋外側から嵌め込む第1筒部8と、この第1筒部8と一体に形成されて外側に張り出し、設置穴3の屋外側縁部と引掛かり合う第1フランジ部10と、第1筒部8の例えば屋外側端部に一体に形成されて第1筒部8の内側を閉じる閉塞部12と、この閉塞部12の下部に一体に形成されて屋内側から屋外側にかけて斜めに貫通する円筒形をなした鞘管ガイド13とから構成される。なお、前記設置穴3は、外壁2に対して直交する方向に沿って、前記外壁2を貫通している。
鞘管ガイド13はその屋内側端部が屋外側端部よりも上側に位置するように斜めに設けられ、したがって閉塞部12の一端部から斜め下向きに突設されている。さらに、鞘管ガイド13は後述する鞘管5を挿通できるように鞘管5よりやや大径となっている。使用状態において鞘管ガイド13の屋内側端部は図3に示されるように設置穴3内に位置される。
周方向に連続すると共に例えば閉塞部12と面一に連続した第1フランジ部10の外壁2側には、第1壁通し部材6を設置穴3に設置したときに、第1フランジ部10と外壁2との隙間を埋めて挟み込まれ雨水等の設置穴3への浸入を防止するための止水パッキン14aが設けられている。なお、前記隙間をコーキング処理する場合には止水パッキン14aは省略できる。
閉塞部12には、この第1壁通し部材6と後述の第2壁通し部材7とを連結するための連結手段としてのねじ15をねじ込むためのねじ通孔16が第1筒部8の内側に貫通して設けられている。
合成樹脂製の第2壁通し部材7は、外壁2に設けられた設置穴3に、屋内側から嵌め込む第2筒部17と、この第2筒部17と一体に形成されて外側に張り出し、設置穴3の屋内側縁部と引掛かり合う第2フランジ部19とからなる。周方向に連続する第2フランジ部19の外壁2側には、第2壁通し部材7を設置穴3に設置したときに、第2フランジ部19と外壁2との隙間を埋めて挟み込まれる止水パッキン14bが設けられている。この止水パッキン14bは省略してもよい。又、第2筒部17の屋外側端部の内側には、連結手段としてのねじ15を受け止めるためのねじ孔を有した螺合部21が第1壁通し部材6のねじ通孔16と対向する位置に設けられている。
壁通し具1が設置穴3に嵌め込まれるなどして取り付けられた際に、住宅の鉛直方向に沿う第1筒部8及び第2筒部17の幅Dは、鞘管5の外径dの約2から3倍以上の寸法に形成されている。このように、第1筒部8及び第2筒部17の幅Dは、鞘管5の外径dより十分大きく形成されている。
前記壁通し具1の具体的な寸法例を挙げると、呼び径が直径13mmの配管4を呼び径が直径28mmの鞘管5に通して、厚さ75mmの外壁2を貫通させる場合、外壁2を通る配管4及び鞘管5の外壁2に対する挿入角度が45°となるように鞘管ガイド13を閉塞部12に対して設ける。又、このとき、設置穴3の口径の最も長い方向は長さ150mm以上が望ましい。又、図3に示すように、鞘管ガイド13は鞘管5が貫通する際に接触する方向にのみ開口部があれば良く、正面から見て開口部は楕円形状でも構わない。この場合、配設に必要な壁裏空間24は幅70mm以上とする。
次に、外壁2への壁貫通配管の壁通し具1の取付け作業を説明する。
外壁2には予め前記第1、第2筒部8、17の大きさに合わせた設置穴3が、屋外側と屋内側とを連通して外壁2に対して直交する方向に沿って貫通して開けられている。まず、第1壁通し部材6を取付ける。第1壁通し部材6の第1筒部8を設置穴3の屋外側から屋内側へ向かって、第1フランジ部10が設置穴3の屋外側縁部に引掛かって止まるまで嵌め込む。このとき、第1フランジ部10と外壁2の屋外側との隙間は、第1フランジ部10の壁側に設けられた止水パッキン14aによって隙間無く塞がれる。
次に、第2壁通し部材7を取付ける。第1壁通し部材6とは反対に、第2壁通し部材7の第2筒部17を設置穴3の屋内側から屋外側へ向かって、第2フランジ部19が設置穴3の屋内側縁部に引掛かって止まるまで嵌め込む。それにより、設置穴3内で第1筒部8の屋内側端部と第2筒部17の屋外側端部とが接近する。このとき、前述の第1壁通し部材6の場合と同様に、第2フランジ部19と外壁2の屋内側との隙間は、第2フランジ部19の壁側に設けられた止水パッキン14bによって隙間無く塞がれる。
この後、第1壁通し部材6の閉塞部12のねじ通孔16を通して、屋外側からねじ15を第2壁通し部材7の螺合部21にねじ込むことで、第1壁通し部材6と第2壁通し部材7とを連結すると共に、止水パッキン14a、14bが外壁2の内外両壁面に夫々圧接される。以上で外壁2の設置穴3への壁貫通配管の壁通し具1の取付けが終了する。
この第1実施形態の壁貫通配管の壁通し具1は第1壁通し部材6と第2壁通し部材7とをねじ15により連結しているだけなので、将来この壁貫通配管の壁通し具1を取り外す必要が生じたときには、ねじ15を緩めて外すだけで、外壁2の設置穴3からこの壁貫通配管の壁通し具1を取り外すことができる。
次に、例えば給湯又は給水のための送液用の配管4及び鞘管5を、前述のようにして外壁2の設置穴3に取付けた壁貫通配管の壁通し具1に通す配設作業を説明する。配管4は架橋ポリエチレン管であって可撓性を有し、この配管4が通される鞘管5は配管4よりも硬質な合成樹脂製ではあるが、可撓性に優れた波付け管が採用されている。
鞘管5は、例えば屋外から屋内へと通される。すなわち、鞘管5の一端を第1壁通し部材6の鞘管ガイド13に屋外側から斜め上向きに通していく。図3及び図4(a)、(b)に示されるように、鞘管ガイド13はこの屋内側端部が屋外側端部よりも上側に在るように閉塞部12を斜めに貫通して設けられているため、鞘管ガイド13を通して屋外から屋内へと通された鞘管5は、壁通し具1をその第2壁通し部材16に引掛かることなく斜め上向きに通り抜けて外壁2の屋内側壁面に沿って上方へと押し込まれるから、図1に示されるように、外壁2と部屋の内装板23とによって作られる幅の狭い壁裏空間24や、部屋の天井25の上の屋根裏空間26にも無理に折り曲げられて座屈変形を起こすことなく配設できる。配設し終わった鞘管5は、外壁2等に適当な間隔に取付けられるU字形をなしたサドル27等を用いてずれ落ちないように固定される。
次に、壁通し具1を斜めに貫通して鞘管ガイド13に中間部が支持された鞘管5に対して、屋外より配管4を斜め上向きに挿入することによって、この配管4を鞘管5に沿わせて配設する。鞘管5は無理に折り曲げられることなく既に必要とされる所定の位置まで配設されているので、配管4は、無理に折り曲げられて座屈変形を起こすことなく鞘管5の内部を通って所定の位置まで案内される。鞘管5の配設及び固定作業の終了後に、図3に示すように、鞘管ガイド13の屋外側の開口部において、コーキング材28による止水処理を施して鞘管5と開口部との隙間を塞ぐ。この止水処理によって、鞘管ガイド13を通して屋外から屋内へ雨水等が浸入するおそれを極めて低くできる。なお、コーキング処理に代えて鞘管ガイド13と鞘管5との間にOリングを挟んでもよく、又、これら両止水処理を兼用してもよい。
又、屋外側の鞘管5の他端は外壁2の屋外側に設置されたシステムアジャスタ支え29によって支持されたシステムアジャスタ30に接続される。配管4が通るシステムアジャスタ30は伸縮自在の蛇腹部31を有しており、鞘管5の屋外に露出している部分の長さに適合した高さに伸び縮みできる。又、システムアジャスタ30の下端を受けるピン付オスアダプタ33には継手32を介して配管4が接続されている。このアダプタ33は屋外に設置された給湯器34に連結されていて、給湯器34の温水等が導かれる。
以上、説明した壁貫通配管の壁通し具1を用いた配管4及び鞘管5の配設作業によれば、外壁2に対して斜めに設けられた鞘管ガイド13に鞘管5を通すことで、外壁2の壁面に沿うように鞘管5を屋内へと配設する。第1筒部8及び第2筒部17の鉛直方向に沿った幅Dが、鞘管5の外径dより十分大きく形成されているので、鞘管5が無理に折り曲げられて座屈変形を起さない十分に広い空間Sを、第1筒部8及び第2筒部17内に確保できる。また、外壁2に対して斜めに設けられた鞘管ガイド13に鞘管5を通すことで、外壁2の壁面に沿うように鞘管5を屋内へと配設できる。
したがって、外壁2の屋内側の狭い壁裏空間内においても鞘管5を無理に折り曲げて座屈変形を起こさせることがない。このため、鞘管5の内部に通して屋外から屋内へと配設する配管4も無理に折り曲げて座屈変形を起こさせることなく、容易に配設できる。さらに、屋外側より配管4を斜め下方に引っ張ることにより、挿入時と同様に鞘管5をガイドとして少ない抵抗で容易に配管4を引き出せるので、こうした配管4の出し入れ操作によって、将来において配管4が老朽化した場合の配管4の更新作業も簡単に行うことができる。
又、壁貫通配管の壁通し具1の位置において鞘管5は途切れることなく屋外から屋内へと連続して配設されている。このため、屋内で配管4から水が漏れ出しても鞘管5の内部を伝わって屋外へと排出されるので、屋内への浸水のおそれが低い。しかも、鞘管5及び配管4が外壁2を貫通しており、配管4に対する継手部分は外壁2の屋外側にあるので、漏水し易い継手部分からの漏水があっても屋内への浸水のおそれがない。
又、鞘管ガイド13はこの屋内側が屋外側よりも上側に位置するように閉塞部12を斜めに貫通して設けられているので、雨水等が斜め下向きの鞘管ガイド13を通って屋外から屋内へと浸入するおそれが殆どない。加えて、この鞘管ガイド13の屋外側の開口部にコーキング材28等による止水処理を施して鞘管5と開口部との隙間を塞いだので、より一層のこと浸水のおそれがない。
又、第1、第2フランジ部10、19及びそれらに夫々設けられた止水パッキン14a、14bによって、外壁2の両側から設置穴3を隙間なく挟み込むサンドイッチ構造をとっているので、簡単に止水処理ができると共に、設置穴3と壁通し具1との間の埋め戻し作業等の閉栓処理も不要にでき、施工性がよい。
又、設置穴3への壁通し具1の取付け作業と、屋内における配管4及び鞘管5の配設作業の順序はどちらが先でも構わない。又、プレハブ住宅の場合には壁通し具1を外壁2に予め取付けておくことができるから、その場合には建築現場での壁通し具1の取付けが不要であり、容易に配設作業を行うことができる。
又、壁通し具1は正面から見た形状が上下方向に沿って長い小判形となっていて小型であるため、外壁2に設けられた設置穴3も正面から見た形状を同様の小判形とできるので、大きな円形の穴を外壁2に設ける必要がなく、設置穴3を設けることによる外壁2の強度の低下を抑制できる。
(実施形態2)
次に、図5〜図7を参照して本発明の第2の実施の形態に係る壁貫通配管の壁通し具1を説明する。
図5に示すように、第2実施形態の壁貫通配管の壁通し具1は、円筒形をなしている第1壁通し部材6及び第2壁通し部材7と、連結手段とからなる。
第1壁通し部材6は、外壁2に設けられた設置穴3に、この設置穴3の屋外側から嵌め込む第1筒部8と、この第1筒部8と一体に形成されて外側に張り出し、設置穴3の屋外側縁部と引掛かり合う第1フランジ部10と、第1筒部8及び第1フランジ部10と一体に形成されて第1筒部8の屋外側端部を閉じる閉塞部12と、この閉塞部12を屋内側から屋外側にかけて、屋内側が屋外側よりも上側に位置するように上下方向斜めに貫通する円筒形をなした鞘管ガイド13とから構成される。第1フランジ部10の壁側には、第1壁通し部材6を設置穴3に設置したときに、第1フランジ部10と外壁2との隙間を埋めて雨水等の設置穴3への浸入を防止するための止水パッキン14aが設けられている。又、第1筒部8の屋内側端部の内周面には、この第1壁通し部材6と後述の第2壁通し部材7とを連結するための連結手段としての第1ねじ部35が形成されている。
第2壁通し部材7は、外壁2に設けられた設置穴3に、この設置穴3の屋内側から嵌め込む第2筒部17と、この第2筒部17と一体に形成されて外側に張り出し、設置穴3の屋内側縁部と引掛かり合う第2フランジ部19とからなる。第2フランジ部19の壁側には、第2壁通し部材7を設置穴3に設置したときに、第2フランジ部19と外壁2との隙間を埋めて屋内への水漏れを防止するための止水パッキン14bが設けられている。又、第2筒部17の屋外側端部の外周面には、この第2壁通し部材7と前述の第1壁通し部材6とを連結するための連結手段としての第2ねじ部36が、第1壁通し部材6の第1ねじ部35と例えば同じ幅だけ設けられている。
又、図6に示すように、第1筒部8と第2筒部14の長さは外壁2の厚みよりも第1、及び第2ねじ部35、36の幅の分だけ長くなるように設計されている。
次に、外壁2の設置穴3への第1壁通し部材6及び第2壁通し部材7の取付け作業を説明する。なお、第1壁通し部材6と第2壁通し部材7とを連結する以前の作業は第1実施形態の場合と全く同じであるのでその説明を省略し、第1壁通し部材6と第2壁通し部材7との連結作業についてのみ説明する。
第1実施形態の場合と同様にして、第1壁通し部材6及び第2壁通し部材7を夫々設置穴3の屋外側及び屋内側から設置穴3に押し込むと、第1筒部8の屋内側端部と第2筒部17の屋外側端部とが当接する。この後、第1壁通し部材6を屋外側から作業員の人手等により回転しないように外壁2に押さえ付けてから、屋内側から第2筒部17を回転させることによって、第1壁通し部材6の第1ねじ部35に第2壁通し部材7の第2ねじ部36を噛み合わせる。第2壁通し部材7の第2フランジ部19が設置穴3の屋内側縁部に引掛かって圧接し、第2壁通し部材7を回転操作できなくなった時点で、外壁2への壁貫通配管の壁通し具1の取付けが終了する。
この第2実施形態の壁貫通配管の壁通し具1は第1壁通し部材6の第1ねじ部35に第2壁通し部材7の第2ねじ部36を噛み合わせることにより連結しているだけであるので、第1実施形態の場合と同様に、将来この第2実施形態の壁貫通配管の壁通し具1を取り外す必要が生じたときには、第1、第2壁通し部材6、7を回して両ねじ部35、36の噛み合いを外すだけで、外壁2の設置穴3からこの第2実施形態の壁貫通配管の壁通し具1を取り外すことができる。
又、この第2実施形態の壁貫通配管の壁通し具1は、第1ねじ部35と第2ねじ部36との噛み合い寸法Lの範囲内で、壁通し具1の軸方向の寸法を調節できる。このため、この第2実施形態の壁貫通配管の壁通し具1を取付ける外壁2の厚みが予定されていたものと若干違っていたとしても、前記寸法Lの範囲内であれば、第1ねじ部35と第2ねじ部36との噛み合いの深さを調節することによって、外壁2の厚み変動に対応して、この第2実施形態の壁貫通配管の壁通し具1を外壁2に設けられた設置穴3へ取付けることが可能であるという点で優れている。
さらに、この第2実施形態の壁貫通配管の壁通し具1は円筒形であるので、これに合わせて設置穴3も円筒形となっている。このため、外壁2の屋外側に設置された給湯器34の位置や、屋内における配管4及び鞘管5を配設する方向に合わせて、壁通し具1の姿勢、つまり、第1壁通し部材6を回動させて鞘管ガイド13の向きを適合させることができ、それにより配管4及び鞘管5を曲げようとする力が最も小さくなるように壁通し具1を調整して設置できる。
以上説明した点以外の構成、及び配管4及び鞘管5の配設作業は第1実施形態の場合と同じであるので、図5〜図7において第1実施形態と同一部分には同一符号を付してある。したがって、この第2実施形態の壁貫通配管の壁通し具1とこれを用いた壁貫通構造は、本発明が解決しようとする第1〜第3の課題を解決できる。
(実施形態3)
次に、図8を参照して本発明の第3の実施の形態に係る壁貫通配管の壁通し具1を説明する。
この第3実施形態の壁貫通配管の壁通し具1は鞘管ガイド13の本数が第1実施形態の壁貫通配管の壁通し具1とは異なり、その他は第1実施形態と全て同じである。すなわち、図8に示すように、この第3実施形態の壁貫通配管の壁通し具1は、第1実施形態の壁貫通配管の壁通し具1の鞘管ガイド13を2本並列させた小判形をなしている。
このような壁通し具1を用いれば、送水用及び給湯用等の2本の配管4を複数本同時に外壁2に斜めに貫通させて配設できる。そのため、外壁2に設置穴3を多数設けて強度低下を招くことを抑制しつつ外壁2に複数本の配管4を貫通して配設できる点で優れている。
以上説明した点以外の構成、外壁2への取付け作業の仕方、及び配管4及び鞘管5の配設作業は第1実施形態の場合と同じであり、図8において第1実施形態と同一部分には同一符号を付してある。したがって、この第3実施形態の壁貫通配管の壁通し具1とこれを用いた壁貫通構造においても本発明が解決しようとする第1〜第3の課題を解決できる。
(実施形態4)
次に、図9及び図10を参照して本発明の第4の実施の形態に係る壁貫通配管の壁通し具1を説明する。
図9に示すように、この第4実施形態の壁貫通配管の壁通し具1は、前述の第1実施形態の第1壁通し部材6だけで構成されており、その第1筒部8の長さは外壁2の厚みに応じて長く作られている。又、図9及び図10(a)に示すように、その閉塞部12には、この第4実施形態の壁貫通配管の壁通し具1を外壁2の設置穴3へ固定するための取付け手段としてのねじ15が貫通するねじ通孔16が、第1筒部8及び止水パッキン14aの外側4箇所に設けられている。
次に、この第4実施形態の壁通し具1の外壁2の設置穴3への取付け作業を説明する。
第1実施形態の壁通し具1の第1壁通し部材6と同様の方法で、この第4実施形態の壁通し具1を設置穴3に嵌め込んだ後、閉塞部12に設けられたねじ通孔16を通して、その屋外側からねじ15を外壁2に直接ねじ込んで、固定する。以上で外壁2の設置穴3への第4実施形態の壁貫通配管の壁通し具1の取付けが終了する。
この第4実施形態の壁貫通配管の壁通し具1はねじ15を用いて直接外壁2に固定しているだけであるので、将来この壁貫通配管の壁通し具1を取り外す必要が生じたときには、ねじ15を緩めて外すだけで、外壁2の設置穴3からこの第4実施形態の壁貫通配管の壁通し具1を外壁2の屋外側から簡単に取り外すことができるという点で優れている。
以上説明した点以外の構成、外壁2への取付け作業の仕方、及び配管4及び鞘管5の配設作業は第1実施形態の場合と同じであり、図9及び図10において第1実施形態と同一部分には同一符号を付してある。したがって、この第4実施形態の壁貫通配管の壁通し具1とこれを用いた壁貫通構造においても本発明が解決しようとする第1〜第3の課題を解決できる。
(実施形態5)
次に、図11を参照して本発明の第5の実施の形態に係る壁貫通配管の壁通し具51を説明する。なお、以下説明する壁通し具51及び壁の設置穴53以外は、図11に示されない部分を含めて前記第1の実施の形態と同じであるから、鞘管及び配管等の同一部分についての説明は、第1の実施の形態と同じ符号を付してその説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
この第5の実施形態に係る壁通し具51が設置される住宅の壁、本実施形態の場合にはプレハブ工法により作られる住宅の外装パネル(外壁)52の所定位置には、斜めに貫通する断面円形の設置穴53が開けられている。この穴53は屋内側から屋外側に行くにしたがって次第に下がるように傾斜している。壁通し具51は、鞘管ガイド54と、壁押さえ55と、固定手段としての締付けナット56とを具備している。
金属又は硬質合成樹脂製の鞘管ガイド54は、外装パネル52の厚みよりも長い円筒状をなしており、その一端部外周には周方向に連続するフランジ部61が設けられ、他端部外周にはねじ部62が設けられている。フランジ部61は鞘管ガイド54の軸線に対して交差する方向に沿って外側に張り出して設けられている。この鞘管ガイド54は、そのねじ部62が設けられた端部を先頭にして、例えば外装パネル52の内側から設置穴53に通して斜めに設けられ、それによって、フランジ部61が外装パネル55の内面、詳しくは設置穴53の室内側の穴縁に引掛るようになっている。
金属又は硬質合成樹脂製の壁押さえ55は、外装パネル52の外面から斜めに突出した部分の外周に摺動可能に嵌合して設けられている。この壁押さえ55は鞘管ガイド54の軸方向に少なくとも摺動可能であればよい。例えば、鞘管ガイド54の外周面と壁押さえ55との内周面とに夫々軸方向に延びる1以上の凹部又は凸部を設けて、これらを互いの延び方向、つまり、前記軸方向に沿って摺動可能に凹凸嵌合させて、鞘管ガイド54に対して壁押さえ55を回り止めしてもよく、このようにする場合には後述の固定操作に伴って壁押さえ55が回ることを防止して施工性をより向上できる点で優れる。
壁押さえ55は外装パネル52の壁面に沿う斜めの壁押さえ面55aを有している。この面55aは正面から見た場合にリング形をなしており、そこには同形状の止水パッキン63が接着されている。このパッキン63は、設置穴53と鞘管ガイド54との間の止水手段として用いられるものであるが、前記の例に代えて外装パネル52の外面に接着してもよく、或いは、壁押さえ面55a及び外装パネル52の外面のいずれにも接着することなく、これらの間に挟んで設けてもよい。なお、止水パッキン63に代えてコーキング材を壁押さえ面55aと外装パネル52の外面とにわたってコーキング処理を行なってもよい。
金属又は硬質合成樹脂製の締付けナット56は、中央部に鞘管通孔56aを有していて、前記ねじ部62にねじ込んで取外し可能に螺着されている。このナット56の周部端面は壁押さえ55の前記面55aとは反対側の端面に当接されている。したがって、締付けナット56は鞘管ガイド54と壁押さえ55とにわたって設けられており、このナット56の締付けにより、壁押さえ55を外装パネル52の外面に向けて移動させ、かつ、押付け保持できるようになっている。
又、図11中符号64は鞘管ガイド54のねじ部62を設けた側の端面と締付けナット56との間に挟んで設けられたOリングであり、締付けナット56の締付けにより弾性変形して鞘管5の外周面に密着し、鞘管通孔56a部分での止水を行なうために使用されている。なお、Oリング64に代えてコーキング処理を鞘管通孔56a部分に施して、鞘管ガイド54と鞘管5との間の止水手段を構成してもよい。
なお、前記構成の壁貫通配管の壁通し具51の具体的な寸法例を挙げると、呼び径13mmの配管4を呼び径28mmの鞘管5とともに、75mmの厚みの外装パネル52に斜めに貫通させる場合、設置穴53の壁貫通角度θは45°とし、設置穴53の穴径は45mm程度とすることが、設置穴53による外装パネル52の強度低下を小さくする上で望ましい。又、以上説明した点以外の構成は前記第1の実施の形態と同じである。
次に、前記構成の壁貫通配管の壁通し具51を用いた配管4及び鞘管5の配設作業を説明する。まず、外装パネル52に壁通し具51を設置する手順を説明する。
鞘管ガイド54をその壁押さえ55が嵌合される側の端部を先頭にして、外装パネル52をその内壁面側から外壁面側に向けて斜めに下がるように貫通した設置穴53に前記内壁面側から挿通する。この挿通はフランジ部61が前記内壁面において設置穴53の穴縁に引掛るまで行われ、それにより、鞘管ガイド54が設置穴53を斜めに貫通してそのねじ部62を有した端部が、外装パネル52の外壁面から斜め下向きに突出する。次に、斜め下向きに突出した鞘管ガイド54の前記端部の外周に壁押さえ55を、その止水パッキン63全体が外装パネル52の外面に接するように嵌合させる。最後に、鞘管ガイド54のねじ部62に固定手段としての締付けナット56を螺合して、これを回動操作し締付けることにより、鞘管ガイド54と壁押さえ55とにわたって締付けナット56を設ける。
このナット56の締付けにより、壁押さえ55を鞘管ガイド54の軸方向に沿って外装パネル52の外壁面に押付けて保持する。それにより、フランジ部61と壁押さえ55との間に外装パネル52を挟んだ状態で外装パネル52を斜めに貫通して壁通し具51が設置される。この設置と同時に、外装パネル52の外面と壁押さえ55との間に配置された止水パッキン63が圧縮状態となって、設置穴53と鞘管ガイド54との間への浸水を阻止できる。
前記設置作業において、外装パネル52の外壁面から斜め下向きに突出された鞘管ガイド54の端部に対してこれに嵌合された壁押さえ55は軸方向に摺動可能であり、かつ、壁押さえ55は締付けナット56の締付けにより外装パネル52へ移動されるものであるから、壁押さえ55を軸方向に移動によりこれとフランジ部61との間の距離を調節して壁通し具51を設置できる。すなわち、本実施形態に係る壁通し具51は厚みの異なる種々の外装パネル72への設置に容易に適合できる。
この後には、外装パネル52を斜めに貫通した鞘管ガイド54及び締付けナット56の鞘管通孔56aに外装パネル52の例えば外壁面側から鞘管5を通して、この鞘管5の中間部を外装パネル52に対して斜めに貫通させた後、この鞘管5内に外装パネル52の外壁面側から配管4を挿入することにより、鞘管5内を通して所定の場所に配管4を導いて配設する。この設置状態において、鞘管ガイド54と鞘管5との間の止水を行なう場合には、一旦、締付けナット56を取外してその内側にOリング64を配置させた状態で、再び締付けナット56を締付ければよい。それにより、Oリング64が締付けナット56と鞘管ガイド54の端面との間に挟着されるに伴って弾性変形されて、このOリング64が鞘管5の外周面に密着して、鞘管ガイド54と鞘管5との間の止水が行われる。なお、コーキング処理により止水を行なう場合には、締付けナット56を取外すことなく、その鞘管通孔56aと鞘管5との間にコーキング材を充填することで行なえばよい。
なお、以上の点以外の接続作業等は前記第1の実施の形態と同じである。又、プレハブ住宅の外装パネル52に対してはその生産段階で予め壁通し具51を装着して置くことができるので、このようにして建築現場に供給する場合には、建築現場では壁通し具51を外装パネル52に設置する作業を要することがなくなり、したがって、建築現場での鞘管5及び配管4の配設作業を速やかに開始することができる。
以上説明した壁貫通配管の壁通し具51を用いた配管4及び鞘管5の配設作業によれば、外装パネル52を斜めに貫通して設けられた鞘管ガイド54に鞘管5を通すことで、外装パネル52の内壁面に沿うように鞘管5を屋内へと配設でき、外装パネル52の屋内側の狭い壁裏空間内においても鞘管5を無理に折り曲げて座屈変形を起こさせることがない。このため、鞘管5の内部に通して屋外から屋内へと配設する配管4も無理に折り曲げて座屈変形を起こさせることなく、容易に配設できる。さらに、屋外側より配管4を斜め下方に引っ張ることにより、挿入時と同様に鞘管5をガイドとして少ない抵抗で容易に配管4を引き出せるので、こうした配管4の出し入れ操作によって、将来において配管4が老朽化した場合の配管4の更新作業も簡単に行うことができる。
しかも、前記壁通し具51の採用により、鞘管5を外装パネル52の位置において途切れることなく屋外から屋内へと連続して配設できるため、屋内で配管4から水が漏れ出しても鞘管5の内部を伝わって屋外へと排出され、屋内への浸水のおそれが低いとともに、外装パネル52を貫通した配管4に対する継手部分は外装パネル52の屋外側にあるので、漏水し易い前記継手部分からの漏水があっても屋内へ浸入するおそれがない。
又、鞘管ガイド54は屋外側に向けて斜めに下がるように傾斜して外装パネル52を貫通して設けられているので、雨水等が斜めの鞘管ガイド54を通って屋外から屋内へと浸入するおそれが殆どない。加えて、この鞘管ガイド54の屋外側の開口部にOリング64等による止水処理を施したので、より一層のこと浸水のおそれがない。
更に、この壁通し具51は、鞘管ガイド54のフランジ部61と壁押さえ55とで、外装パネル52を厚み方向から挟み込むサンドイッチ構造をとっているので、止水パッキン63を用いて簡単に止水処理ができると共に、設置穴53と壁通し具51との間の埋め戻し作業等の閉栓処理も不要にでき、施工性がよい。その上、前記サンドイッチ構造において外装パネル52を挟み込む力を与える締付けナット56は外装パネル52に対して進退可能であるから、外装パネル52の厚み変化に対応して壁通し具51を取付けて用いることができる。又、前記サンドイッチ構造により、鞘管ガイド54に新規に配管4を通すときは勿論のこと、老朽化した配管4を新品の配管と交換するときにおいても、配管4や鞘管5を鞘管ガイド54に通す際等に加わる操作力を、配管等を押し込んだり、引き出したりする操作方向の上流側において外装パネル52に引掛かっているフランジ部61又は壁押さえ55に波及させて外装パネル52で分散して支持できる。よって、壁通し具51が外装パネル52から不用意に外れたり、外装パネル52とこれを挟んだフランジ部61及び壁押さえ55との接合が緩むことがなく、したがって、防水性が損なわれるおそれを低くできる。
又、前記構成の壁通し具51の採用により、大きな円形の穴を外装パネル52に設ける必要がなく、斜めの設置穴53を設けることに伴う外装パネル52の強度の低下を抑制できる。しかも、この第5実施形態では、前記サンドイッチ構造の採用とその締付けを行なう固定手段として締付けナット56を用いたから、外装パネル52への固定に要する固定部品と手間が少なく、しかも、締付け操作も回動するだけであって容易であるので、外装パネル52への壁通し具51の設置作業性がよい。しかし、この第5実施形態における固定手段としては、締付けナットに代えて、鞘管ガイド54の外面に予め回動可能に取付けられているレバーを操作することにより、このレバーのカム部で壁押さえ55を外装パネル52側に押圧移動させて締付け力(外装パネル52をフランジ部61と壁押さえ55とで挟み付ける力)を与えるレバー式等のクランプを採用することもできる。
(実施形態6)
次に、図12〜図14を参照して本発明の第6の実施の形態に係る壁貫通配管の壁通し具71を説明する。なお、以下説明する壁通し具71及び壁の設置穴73以外は、図12〜図14に示されない部分を含めて前記第1の実施の形態と同じであるから、鞘管及び配管等の同一部分についての説明は、第1の実施の形態と同じ符号を付してその説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
この第6の実施形態に係る壁通し具71が設置される住宅の壁、本実施形態の場合にはプレハブ工法により作られる住宅の外装パネル(外壁)72の所定位置には斜めに貫通する断面円形の設置穴73が開けられている。この穴73は屋内側から屋外側に行くにしたがって次第に下がるように傾斜しており、その壁貫通角度θは45°である。壁通し具71は、鞘管ガイド74と、壁押さえ75とを具備している。
金属又は硬質合成樹脂製の鞘管ガイド74は、外装パネル72の厚みよりも長い円筒からなるガイド筒部74aの一端部外周に、周方向に連続して円形をなす(図13参照)フランジ部74bを一体に設けて形成されている。ガイド筒部74aの外径は設置穴73の径に略等しい。フランジ部74bはガイド筒部74aの軸線に対して交差する方向に沿って外側に張り出して設けられており、その複数箇所には図示しないねじ通し穴が開けられている。このフランジ部74bが連なるガイド筒部74aの一端部の内周面にはテーパ面76が設けられている。このテーパ面76によってガイド筒部74aの内径はフランジ部74b側程次第に大きくなっている。
金属又は硬質合成樹脂製の壁押さえ75は、外装パネル72の外面から斜めに突出した部分の外周に摺動可能に嵌合して設けられている。この壁押さえ75はガイド筒部74aの軸方向に少なくとも摺動可能であればよい。例えば、鞘管ガイド74の前記突出部外周面と壁押さえ75の内周面との夫々に軸方向に延びる1以上の凹部又は凸部を設けて、これらを壁通し具71の軸方向に沿って摺動可能に凹凸嵌合させて、ガイド筒部74aに対して壁押さえ75を回り止めしてもよい。
壁押さえ75は外装パネル72の壁面に沿うフランジ部75aを一体に有している。このフランジ部75aは円形をなして(図14参照)壁押さえ75の軸線に対して交差する方向に沿って外側に張り出して設けられており、その複数箇所には図示しないねじ通し穴が開けられている。フランジ部75aにはこれと同形状の止水パッキン77が接着されている。このパッキン77は、設置穴73と鞘管ガイド74との間の止水手段として用いられるものであるが、外装パネル72の外面に接着してもよく、或いは、フランジ部74b及び外装パネル72の外面のいずれにも接着することなく、これらの間に挟んで設けてもよい。なお、この止水パッキン77に代えてコーキング処理をフランジ部75aと外装パネル72の外面とにわたって施してもよい。
次に、前記構成の壁貫通配管の壁通し具71を用いた配管4及び鞘管5の配設作業を説明する。まず、外装パネル72に壁通し具71を設置する手順を説明する。
フランジ部74bがない方のガイド筒部74aの端部を先頭にして鞘管ガイド74を、外装パネル72の屋内側から設置穴73に挿通させる。この挿通はフランジ部74bが外装パネル72の内壁面において設置穴73の穴縁に引っ掛るまで行われ、それにより、ガイド筒部74aは屋内側から屋外側に行くにしたがって外装パネル72を斜め下向きに貫通する。この状態で、フランジ部74bの図示しないねじ通し穴に通されて外装パネル72にねじ込まれるねじ78を夫々締付けて、鞘管ガイド74を外装パネル72に固定する。次に、外装パネル72の外壁面から斜め下向きに突出された鞘管ガイド74の端部に、壁押さえ75をその止水パッキン77全体が外装パネル72の外壁面に接するように嵌合させる。最後に、この壁押さえ75のフランジ部75aの図示しないねじ通し穴に通されて外装パネル72にねじ込まれるねじ79を夫々締付けて、壁押さえ75を外装パネル72に固定する。
以上の手順により、フランジ部74b、75a間に外装パネル72を挟んだ状態でこのパネル72を斜めに貫通して壁通し具71が設置される。この設置と同時に、外装パネル72の外壁面と壁押さえ75との間に挟まれた止水パッキン77が圧縮状態となって、設置穴73と鞘管ガイド74との間への屋外からの浸水を防止できる。
前記設置作業において、外装パネル72の外壁面から斜め下向きに突出された鞘管ガイド74の端部に対してこれに嵌合された壁押さえ75は軸方向に摺動可能であり、かつ、壁押さえ75は外装パネル72にねじ止めされるものであるから、外装パネル72の厚みが例えば75mm又は100mmのいずれであっても壁押さえ75を軸方向に動かして、既述のように壁通し具71を設置できる。すなわち、本実施形態に係る壁通し具71は厚みの異なる種々の外装パネル72への設置に容易に適合できる。
この後には、外装パネル72を斜めに貫通した鞘管ガイド74のガイド筒部74aに外装パネル72の例えば内壁面側から鞘管5を通して、この鞘管5を外装パネル72に対して斜めに貫通させた後、この鞘管5内に外装パネル72の外面側から配管4を挿入することにより、鞘管5内を通して所定の場所に配管4を導いて配設する。
この場合、ガイド筒部74aの屋内側端部にはテーパ面76を設けてあり、屋内側から鞘管5を壁通し具71に貫通する際の入口が広くなっているだけではなく、ガイド筒部74aは途中に継ぎ目がなく外装パネル72を貫通する斜めの直管であるから、この筒部74aへの鞘管5の挿通(挿入方向は問わない)に際して鞘管5がガイド筒部74aに引掛る恐れがなく、したがって、鞘管5の挿通作業性がよい。この設置状態において、鞘管ガイド74と鞘管5との間の止水を必要とする場合には、ガイド筒部74aの屋外に突出した端部と鞘管5とにわたって図示しないコーキング材を充填することで行なえばよい。
なお、以上の点以外の接続作業等は前記第1の実施の形態と同じである。又、プレハブ住宅の外装パネル72に対してはその生産段階で予め壁通し具71を装着して置くことができるので、このようにして建築現場に供給する場合には、建築現場では壁通し具71を外装パネル72に設置する作業を要することがなくなり、したがって、建築現場での鞘管5及び配管4の配設作業を速やかに開始させることができる。
以上説明した壁貫通配管の壁通し具71を用いた配管4及び鞘管5の配設作業によれば、外装パネル72を斜めに貫通して設けられた鞘管ガイド74に鞘管5を通すことで、外装パネル72の内壁面に沿うように鞘管5を屋内へと配設でき、外装パネル72の屋内側の狭い壁裏空間内においても鞘管5を無理に折り曲げて座屈変形を起こさせることがない。このため、鞘管5の内部に通して屋外から屋内へと配設する配管4も無理に折り曲げて座屈変形を起こさせることなく、容易に配設できる。さらに、屋外側より配管4を斜め下方に引っ張ることにより、挿入時と同様に鞘管5をガイドとして少ない抵抗で容易に配管4を引き出せるので、こうした配管4の出し入れ操作によって、将来において配管4が老朽化した場合の配管4の更新作業も簡単に行うことができる。
しかも、前記壁通し具71の採用により、鞘管5を外装パネル72の位置において途切れることなく屋外から屋内へと連続して配設できるため、屋内で配管4から水が漏れ出しても鞘管5の内部を伝わって屋外へと排出され、屋内への浸水のおそれが低いとともに、外装パネル72を貫通した配管4に対する継手部分は外装パネル72の屋外側にあるので、漏水し易い前記継手部分からの漏水があっても屋内へ浸水するおそれがない。
又、鞘管ガイド74は屋外側に向けて斜めに下がるように傾斜して外装パネル72を貫通して設けられているので、雨水等が斜めの鞘管ガイド74を通って屋外から屋内へと浸入するおそれが殆どない。
更に、この壁通し具71は、鞘管ガイド74のフランジ部74bと壁押さえ75のフランジ部75aとで、外装パネル72を厚み方向から挟み込むサンドイッチ構造をとっているので、止水パッキン77を用いて簡単に止水処理ができると共に、設置穴73と壁通し具71との間の埋め戻し作業等の閉栓処理も不要にでき、施工性がよい。その上、前記サンドイッチ構造により、鞘管ガイド74に新規に配管4を通すときは勿論のこと、老朽化した配管4を新品の配管と交換するときにおいても、配管4や鞘管5を鞘管ガイド74に通す際等に加わる操作力を、配管等を押し込んだり、引き出したりする操作方向の上流側において外装パネル72に引掛かっているフランジ部74b又は75aに波及させて外装パネル72で分散して支持できる。よって、壁通し具71が外装パネル72から不用意に外れたり、外装パネル72とこれを挟んだフランジ部74b又は75aとの接合が緩むことがなく、したがって、防水性が損なわれるおそれを低くできる。
又、前記構成の壁通し具71の採用により、大きな円形の穴を外装パネル72に設ける必要がなく、斜めの設置穴73を設けることに伴う外装パネル72の強度の低下を抑制できる。しかも、この第6実施形態に係る壁通し具71は、その構成部品が二部品で済むので、構造が簡単であり、安価に提供できるとともに、その外装パネル72への固定も通常のねじ止め作業により容易に行なうことができる。
(実施形態7)
次に、図15〜図17を参照して本発明の第7の実施の形態に係る壁貫通配管の壁通し具81を説明する。なお、以下説明する壁通し具81及び壁の設置穴83以外は、図15〜図17に示されない部分を含めて前記第1の実施の形態と同じであるから、鞘管及び配管等の同一部分についての説明は、第1の実施の形態と同じ符号を付してその説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
この第7の実施形態に係る壁通し具81が設置される住宅の壁、本実施形態の場合にはプレハブ工法により作られる住宅の外装パネル(外壁)82の所定位置には斜めに貫通する断面円形の設置穴83が開けられている。この穴83は屋内側から屋外側に行くにしたがって次第に下がるように傾斜しており、その壁貫通角度θは45°である。壁通し具81は、第1、第2の鞘管ガイド84、85と、第1引掛り部86と、複数の第2引掛り部87〜89とを具備している。
金属又は硬質合成樹脂製の第1鞘管ガイド84は、外装パネル82の厚みよりも短い円筒からなるガイド筒部84aの一端部外周に、周方向に連続して円形をなす(図16参照)フランジ部84bを一体に設けて形成されている。ガイド筒部84aの外径は設置穴83の径よりも小さい。フランジ部84bはガイド筒部84aの軸線に対して交差する方向に沿って外側に張り出して設けられており、その複数箇所には図示しないねじ通し穴が開けられている。
同様に、金属又は硬質合成樹脂製の第2鞘管ガイド85も、外装パネル82の厚みよりも短い円筒からなるガイド筒部85aの一端部外周に、周方向に連続して円形をなす(図17参照)フランジ部85bを一体に設けて形成されている。ガイド筒部85aは、前記ガイド筒部84aよりも大径であるとともに、その外径は設置穴83の径に略等しく、又、ガイド筒部85aの先端部内周面にはテーパ面が設けられている。前記両ガイド筒部84a、85aは設置穴83内において互いに嵌合されるようになっている。フランジ部85bはガイド筒部85aの軸線に対して交差する方向に沿って外側に張り出して設けられており、その複数箇所には図示しないねじ通し穴が開けられている。
第1引掛り部86は、第1鞘管ガイド84に対する第2鞘管ガイド85の嵌合部、つまり、ガイド筒部85aの端部内周面に、その周方向に連続して一体に設けられており、例えば断面三角形状の突条により形成されている。この第1引掛り部86に係脱可能な複数の第2引掛り部87〜89は、第2鞘管ガイド85に対する第1鞘管ガイド84の嵌合部、つまり、ガイド筒部84aの外周面に、その周方向に連続して一体に設けられており、例えば断面三角形状の突条により形成されている。各第2引掛り部87〜89はガイド筒部84aの軸方向に違いに離間して間隔的に設けられている。
これら第2引掛り部87〜89は、外装パネル82の厚みに対応して設けられており、それが第1引掛り部86に引掛った時に、それに応じた両鞘管ガイド84、85の嵌合深さを得て異なる厚みの外装パネル82の夫々適合して壁通し具81が組立てられるようになっている。
つまり、プレハブ住宅の外装パネル82には厚みが異なる数種類のものが用意されていて、その中からいずれかが選択して使用されるものであり、最大厚さ(例えば100mm)の外装パネル82への適用においては、図15のように第1引掛り部86と第2引掛り部89とを引掛けることにより壁通し具81の長さを延ばして適合させ、最小厚さ(例えば75mm)の外装パネル82への適用においては、第1引掛り部86と第2引掛り部87とを引掛けることにより壁通し具81の長さを縮めて適合させ、又、これらの中間厚さの外装パネル82への適用においては、第1引掛り部86と第2引掛り部87とを引掛けることにより壁通し具81の長さを適合させることができる。すなわち、本実施形態に係る壁通し具81は厚みの異なる種々の外装パネル82への設置に容易に適合できる。
なお、こうした複数段階の壁厚への適合機能は必須ではなく、第1、第2引掛り部は少なくとも一つあればよいとともに、これらの引掛り構造としては第1、第2引掛り部の双方が本実施形態のような突起ではなく、一方が突条で、他方がそれに対応する形状の溝条で形成してもよい。しかし、本実施形態のように断面三角形状の突条とした場合には、それらの斜面によって第1、第2引掛り部の係脱が円滑であるだけではなく、両ガイド筒部84a、85aの嵌合における抵抗を引掛り部の係合位置だけに制限できる点で優れている。なお、これらの係脱に際しては両ガイド筒部84a、85aが多少の弾性変形を伴う。
次に、前記構成の壁貫通配管の壁通し具81を用いた配管4及び鞘管5の配設作業を説明する。まず、外装パネル82に壁通し具81を設置する手順を説明する。
フランジ部84bがない方のガイド筒部84aの端部を先頭にして第1鞘管ガイド84を、外装パネル82の屋内側から設置穴83に挿入させる。この挿入はフランジ部84bが外装パネル82の内壁面において設置穴83の穴縁に引っ掛るまで行われ、それにより、ガイド筒部84aは屋内側から屋外側に行くにしたがって外装パネル82を斜め下向きにとなる姿勢で設置穴83内に収容される。この状態で、フランジ部84bの図示しないねじ通し穴に通されて外装パネル82にねじ込まれるねじ90を夫々締付けて、第1鞘管ガイド84を外装パネル82に固定する。この設置状態において、ガイド筒部84aの外周面と設置穴83の内周面とは接触しておらず、これらの間には図15に示されるように空隙gが設けられる。
なお、本実施形態の構成に加えて、ガイド筒部84aのフランジ部84b側の根元部外周に設置穴83と略同径のスペーサ段部を周方向に連続或いは非連続に設けて実施する場合には、この段部によって設置穴83の径方向に対するガイド筒部84aの位置決めができる。そのため、ガイド筒部84aを設置穴83に対する同軸度を簡単に出して外装パネル82の第1鞘管ガイド84を固定できる点で優れるとともに、次に述べる第2鞘管ガイド85との嵌合においても両ガイド筒部84a、85aの先端同士が互いに当るような相互干渉を防止できるので、壁通し具81の設置作業性を容易にできる点でも優れる。
次に、外装パネル82の屋外側から第2鞘管ガイド85を、フランジ部85bがない方のガイド筒部85aの端部を先頭にして設置穴83にその内周面に沿わせながら挿入させる。この挿入はフランジ部85bが外装パネル82の外壁面において設置穴83の穴縁に引っ掛るまで行われ、それにより、ガイド筒部85aは外装パネル82を屋外側から屋内側に行くにしたがって斜め上向きにとなる姿勢で設置穴83内に収容される。
このとき、ガイド筒部85aが、前記ガイド筒部84aの外周面と設置穴83の内周面と間の空隙gに挿入されて、ガイド筒部84aの外側に嵌合される。同時に、この筒部85aに設けられた第1引掛り部86が外装パネル82の厚みに適合した位置の第2引掛り部例えば第2引掛り部89を節度感を伴いながら乗り越えて、これに引掛かる(図15参照)。これらの引掛り部86、89の係合により第2鞘管ガイド85は第1鞘管ガイド84に連結されるから、以上の挿入作業を終えて第2鞘管ガイド85から手を離しても、このガイド85が斜め下方に脱落することがない。
そして、このように両鞘管ガイド84、85が連結された状態で、第2鞘管ガイド85のフランジ部85bの図示しないねじ通し穴に通されて外装パネル82にねじ込まれるねじ91を夫々締付けて、第2鞘管ガイド85を外装パネル82に固定する。この場合、既述のように第2鞘管ガイド85が脱落しないように第1鞘管ガイド84に支持されているので、ねじ91の締め付け作業において第2鞘管ガイド85の脱落を片手で阻止しつつ作業を行なう面倒がないので、容易にねじ止めすることができる。
最後に、図15及び図16に示されるようにフランジ部85bとその周囲の外装パネル82の外壁面とにわたってコーキング材92を設けて止水処理をする。それにより設置穴83と第2鞘管ガイド85との間への屋外からの浸水を防止できる。なお、この止水処理に代えて、フランジ部85bと外装パネル82の外面との間に止水パッキンを接着することもできる。
以上の手順により、フランジ部84b、85a間に外装パネル82を挟んだ状態で外装パネル82を斜めに貫通して壁通し具81が設置される。
この後には、互いに連結された外装パネル82を斜めに貫通した第1、第2鞘管ガイド84、85を備えた壁通し具81の互いに連続するガイド筒部84a、85aに外装パネル82の例えば内壁面側から鞘管5を通して、この鞘管5を外装パネル82に対して斜めに貫通させた後、この鞘管5内に外装パネル82の外面側から配管4を挿入することにより、鞘管5内を通して所定の場所に配管4を導いて配設する。
この場合、第1鞘管ガイド84のガイド筒部84aが第2鞘管ガイド85のガイド筒部85aの内側に嵌合されているから、屋内側から鞘管5を壁通し具81を貫通する鞘管5が、ガイド筒部85aの先端に引掛る恐れがなく、したがって、鞘管5の挿通作業性がよい。この設置状態において、屋外側の鞘管ガイド85と鞘管5との間の止水を行なう場合には、これらにわたって図示しないコーキング材を充填することで行なえばよい。
なお、以上の点以外の接続作業等は前記第1の実施の形態と同じである。又、プレハブ住宅の外装パネル82に対してはその生産段階で予め壁通し具81を装着して置くことができるので、このようにして建築現場に供給する場合には、建築現場では壁通し具81を外装パネル82に設置する作業を要することがなくなり、したがって、建築現場での鞘管5及び配管4の配設作業を速やかに開始することができる。
以上説明した壁貫通配管の壁通し具81を用いた配管4及び鞘管5の配設作業によれば、外装パネル82を斜めに貫通して設けられた壁通し具81に鞘管5を通すことで、外装パネル82の内壁面に沿うように鞘管5を屋内へと配設でき、外装パネル82の屋内側の狭い壁裏空間内においても鞘管5を無理に折り曲げて座屈変形を起こさせることがない。このため、鞘管5の内部に通して屋外から屋内へと配設する配管4も無理に折り曲げて座屈変形を起こさせることなく、容易に配設できる。さらに、屋外側より配管4を斜め下方に引っ張ることにより、挿入時と同様に鞘管5をガイドとして少ない抵抗で容易に配管4を引き出せるので、こうした配管4の出し入れ操作によって、将来において配管4が老朽化した場合の配管4の更新作業も簡単に行うことができる。
しかも、前記壁通し具81の採用により、鞘管5を外装パネル82の位置において途切れることなく屋外から屋内へと連続して配設できるため、屋内で配管4から水が漏れ出しても鞘管5の内部を伝わって屋外へと排出され、屋内への浸水のおそれが低いとともに、外装パネル82を貫通した配管4に対する継手部分は外装パネル82の屋外側にあるので、漏水し易い前記継手部分からの漏水があっても屋内へ浸水するおそれがない。
又、屋外側の第2鞘管ガイド85は屋外側に向けて斜めに下がるように傾斜して外装パネル82をねじ止めされているので、雨水等が斜めの壁通し具81内のガイド筒部84a、85aを通って屋外から屋内へと浸入するおそれが殆どない。
更に、この壁通し具81は、第1、第2の鞘管ガイド84、85のフランジ部84b、85bで、外装パネル82を厚み方向から挟み込むサンドイッチ構造をとっているので、設置穴83と壁通し具81のガイド筒部84a、85aとの間の埋め戻し作業等の閉栓処理も不要にでき、施工性がよい。その上、前記サンドイッチ構造により、鞘管ガイド84、85に新規に配管4を通すときは勿論のこと、老朽化した配管4を新品の配管と交換するときにおいても、配管4や鞘管5を壁通し具81に通す際等に加わる操作力を、配管4等を押し込んだり、引き出したりする操作方向の上流側において外装パネル82に引掛かっているフランジ部84b又は85bに波及させて外装パネル82で分散して支持できる。よって、壁通し具81が外装パネル82から不用意に外れたり、外装パネル82とこれを挟んだフランジ部84b又は85bとの接合が緩むことがなく、したがって、防水性が損なわれるおそれを低くできる。
又、前記構成の壁通し具81の採用により、大きな円形の穴を外装パネル82に設ける必要がなく、斜めの設置穴83を設けることに伴う外装パネル82の強度の低下を抑制できる。しかも、この第7実施形態に係る壁通し具81は、その構成部品が二つで済むので、構造が簡単であり、安価に提供できるとともに、その外装パネル82への固定も通常のねじ止め作業により容易に行なうことができる。なお、この第7実施形態において、フランジ部84b、85bを外装パネル82に固定する手段は、ねじ止めに代えて、接着剤や両面接着テープ等の接着手段を用いてもよいものであり、また、第1引掛り部86と第2の引掛り部87〜89との引掛りによる連結強度が大きく、それにより両フランジ部84b、85bが外装パネル82の内外壁面に夫々圧接する場合には、前記固定手段は省略してもよい。
(実施形態8)
次に、図18を参照して本発明の第7の実施の形態に係る壁貫通配管の壁通し具101を説明する。なお、以下説明する壁通し具101及び壁の設置穴103以外は、図18に示されない部分を含めて前記第1の実施の形態と同じであるから、鞘管及び配管等の同一部分についての説明は、第1の実施の形態と同じ符号を付してその説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
この第8の実施形態に係る壁通し具101が設置される住宅の壁、本実施形態の場合にはプレハブ工法により作られる住宅の外装パネル(外壁)102の所定位置には斜めに貫通する断面円形の設置穴103が開けられている。この穴103は屋内側から屋外側に行くにしたがって次第に下がるように傾斜しており、その壁貫通角度θは45°である。壁通し具101は、金属又は硬質合成樹脂により一体成形された単一の部品で形成されていて、鞘管ガイド104と、フランジ部105とを有している。
詳しくは、鞘管ガイド104は外装パネル102の厚みよりも短い円筒からなり、その一端部外周に周方向に連続して円形をなすフランジ部105が一体に設けられている。鞘管ガイド104の外径は設置穴103の穴径に略等しく、そして、フランジ部105がない方の鞘管ガイド104の端部内周面にはテーパ面104aが設けられている。フランジ部105は鞘管ガイド104の軸線に対して交差する方向に沿って外側に張り出して設けられており、その複数箇所には図示しないねじ通し穴が開けられている。
次に、前記構成の壁貫通配管の壁通し具101を用いた配管4及び鞘管5の配設作業を説明する。まず、外装パネル102に壁通し具101を設置する手順を説明する。
テーパ面104aがある方の鞘管ガイド104の端部を先頭にして壁通し具101を、外装パネル102の屋外側から設置穴103に挿入させる。この挿入はフランジ部105が外装パネル102の外壁面に置いて設置穴103の穴縁に引っ掛るまで行われ、それにより、鞘管ガイド104が外装パネル102を屋外側から屋内側に行くにしたがって斜め上向きにとなる姿勢で設置穴103内に収容される。この状態で、フランジ部105の図示しないねじ通し穴に通されて外装パネル102にねじ込まれるねじ106を夫々締付けて、壁通し具101を外装パネル102に固定する。最後に、フランジ部105とその周囲の外装パネル102の外壁面とにわたってコーキング材107を設けて止水処理をする。それにより設置穴103と壁通し具101との間への屋外からの浸水を防止できる。なお、この止水処理に代えて、フランジ部105と外装パネル102の外面との間に止水パッキンを接着することもできる。
以上の手順により外装パネル102を斜めに貫通して壁通し具101が設置される。
この後には、鞘管ガイド104に外装パネル102の例えば内壁面側から鞘管5を通して、この鞘管5を外装パネル102に対して斜めに貫通させた後、この鞘管5内に外装パネル102の外面側から配管4を挿入することにより、鞘管5内を通して所定の場所に配管4を導いて配設する。
この場合、鞘管ガイド104の先端部にはテーパ面104aが設けられているから、屋内側から鞘管5を壁通し具101を貫通する鞘管5が、鞘管ガイド104の先端に引掛る恐れが少なく、したがって、鞘管5の挿通作業性がよい。この設置状態において、屋外側で壁通し具101と鞘管5との間の止水を行なう場合には、これらにわたって図示しないコーキング材を充填することで行なえばよい。
なお、以上の点以外の接続作業等は前記第1の実施の形態と同じである。又、プレハブ住宅の外装パネル102に対してはその生産段階で予め壁通し具101を装着して置くことができるので、このようにして建築現場に供給する場合には、建築現場では壁通し具101を外装パネル102に設置する作業を要することがなくなり、したがって、建築現場での鞘管5及び配管4の配設作業を速やかに開始させることができる。
以上説明した壁貫通配管の壁通し具101を用いた配管4及び鞘管5の配設作業によれば、外装パネル102を斜めに貫通して設けられた壁通し具101に鞘管5を通すことで、外装パネル102の内壁面に沿うように鞘管5を屋内へと配設でき、外装パネル102の屋内側の狭い壁裏空間内においても鞘管5を無理に折り曲げて座屈変形を起こさせることがない。このため、鞘管5の内部に通して屋外から屋内へと配設する配管4も無理に折り曲げて座屈変形を起こさせることなく、容易に配設できる。さらに、屋外側より配管4を斜め下方に引っ張ることにより、挿入時と同様に鞘管5をガイドとして少ない抵抗で容易に配管4を引き出せるので、こうした配管4の出し入れ操作によって、将来において配管4が老朽化した場合の配管4の更新作業も簡単に行うことができる。
しかも、前記壁通し具101の採用により、鞘管5を外装パネル102の位置において途切れることなく屋外から屋内へと連続して配設できるため、屋内で配管4から水が漏れ出しても鞘管5の内部を伝わって屋外へと排出され、屋内への浸水のおそれが低いとともに、外装パネル102を貫通した配管4に対する継手部分は外装パネル102の屋外側にあるので、漏水し易い前記継手部分からの漏水があっても屋内へ浸水するおそれがない。
又、この壁通し具101は屋外側に向けて斜めに下がるように傾斜して外装パネル102にねじ止めされているので、雨水等が斜めの壁通し具101の鞘管ガイド104を通って屋外から屋内へと浸入するおそれが殆どない。更に、この壁通し具101は、フランジ部105で設置穴103の屋外側の開口を覆い隠しているので、設置穴103と鞘管ガイド104との間の埋め戻し作業等の閉栓処理も不要にでき、施工性がよい。
又、前記構成の壁通し具101の採用により、大きな円形の穴を外装パネル102に設ける必要がなく、斜めの設置穴103を設けることに伴う外装パネル102の強度の低下を抑制できる。しかも、この第8実施形態に係る壁通し具101は、その構成部品が一つで済むので、構造が極めて簡単であり、より安価に提供できるとともに、その外装パネル102への固定も通常のねじ止め作業により容易に行なうことができる。なお、この第8実施形態において、フランジ部105を外装パネル102に固定する手段は、ねじ止めに代えて、接着剤や両面接着テープ等の接着手段を用いることができる。
(実施形態9)
次に、図19から図21を参照して本発明の第9の実施の形態に係る壁貫通配管の壁通し具1を説明する。なお、前述した第1から第4の実施の形態に係る壁貫通配管の壁通し具1と同一構成部分には、同一符号を付して説明を省略する。
本実施の形態の壁通し具1が取付けられる設置穴3は、外壁2に対し直交する方向に沿って、この外壁2を貫通している。設置穴3は丸形に形成されている。また、本実施形態の壁通し具1は、屋外Oから屋内Iに向うにしたがって上方から下方に向って給湯器などから供給される湯を導くために用いられる。
図19から図21に示すように、本実施形態の壁貫通配管の壁通し具1は、第1壁通し部材6だけで構成されている。本実施形態の第1壁通し部材6は、その第1筒部8が円筒状に形成されている。第1筒部8はその軸線Pが、壁通し具1が設置穴3に取付けられた際に、外壁2に対し直交する方向に沿う。
壁通し具1が設置穴3に取付けられた際に、第1筒部8の鉛直方向に沿った幅Dは、鞘管5の外径dの約2から3倍以上の寸法に形成されている。第1筒部8の鉛直方向に沿った幅Dは、鞘管5の外径dより十分大きく形成されている。また、第1壁通し部材6は、壁通し具1が設置穴3に取付けられた際に、第1筒部8の屋外O側に露出する一端部8aに閉塞部12を設けている。
鞘管ガイド13は、前記閉塞部12から屋外O側でかつ斜め上方に向って突出して形成されている。鞘管ガイド13は、前記軸線Pより上方に位置する閉塞部12の端部から突出している。第1筒部8の内側において鞘管ガイド13と閉塞部12との接合部には、滑らかに湾曲した湾曲面110が形成されている。鞘管ガイド13は閉塞部12の内面12aより第1筒部8の内側には突出していない。
第1筒部8の外周面には、全周に亘って止水パッキン14が設けられている。この止水パッキン14は、第1筒部8と設置穴3の内面との間の隙間Gを埋めて、この隙間Gを通る雨水などの屋内Iへの浸入を防止する。止水パッキン14の代わりに周知のコーキング材を用いて前記隙間Gを埋めるようにしても良い。
鞘管ガイド13の屋内I側に位置する他端部8bには、フランジ取付け部111が形成されている。このフランジ取付け部111には、設置穴3の穴縁に引掛るフランジ部材112が取付けられるようになっている。
フランジ取付け部111は、第1筒部8の外周面に形成されかつこの外周面から凹に形成された凹溝113を複数備えている。図示例において、フランジ取付け部111は、凹溝113を二つ備えている。それぞれの凹溝113は、前記他端部8bのうち少なくとも前記軸線Pより鞘管ガイド13が設けられた側の外周面に、第1筒部8の周方向に沿って形成されている。それぞれの凹溝113は、壁通し具1が設置穴3に取付けられた際に、外壁2に沿うように形成されている。
それぞれの凹溝113は、前記閉塞部12の表面12bからの距離が壁通し具1が取付けられる外壁2の厚みに応じた位置に形成されるのが望ましい。凹溝113は、前記閉塞部12の表面12bからの距離が互いに異なる位置に形成されている。また、それぞれの凹溝113は、前記他端部8bのうち軸線Pより鞘管ガイド13が配置されていない側の外周面には形成されていない。
フランジ部材112は、馬蹄形に形成されているとともに、凹溝113に係合するようになっている。フランジ部材112は、壁通し具1が設置穴3内に嵌め込まれた際に、上方から凹溝113に係合する。フランジ部材112は、凹溝113に係合すると、その端面が設置穴3の穴縁に引っ掛る。
フランジ部材112には、複数の貫通穴114が形成されている。これらの貫通穴114には、それぞれ、フランジ部材112を外壁2に固定するねじ115が通るようになっている。
第1筒部8は、その他端部8bの縁部8cが上方から下方に向うにしたがって即ち鞘管ガイド13から離れるのにしたがって、徐々に外壁2の外面側に近づく方向に傾斜するように形成されている。この他端部8bにおいて、前記軸線Pより鞘管ガイド13が設けられた側の縁部8cは、外壁2から屋内I側に突出しているとともに、軸線Pより鞘管ガイド13が配置されていない側の縁部8cは、設置穴3の穴縁より設置穴3内に位置するように形成されている。
前記壁通し具1の具体的な寸法例を示す。前記設置穴3は外壁2の機械的な強度を極力低下させないため、その直径を極力小さく形成するのが望ましい。呼び径が直径13mmの配管4を呼び径が直径28mmの鞘管5に通して、厚さ75mmから100mmの外壁2を貫通させる場合、外壁2を通る配管4及び鞘管5の前記軸線Pに対する挿入角度θ´が23°となるように鞘管ガイド13を閉塞部12に対して設ける。又、このとき、設置穴3の口径は、直径100mmに形成されるのが望ましい。
次に、この第9の実施の形態の壁通し具1の外壁2の設置穴3への取付け作業を説明する。
まず、第1壁通し部材6を、閉塞部12が屋外Oに露出するように、屋外O側から設置穴3内に嵌め込む。外壁2の厚みに応じた凹溝113にフランジ部材112を上方から係合させる。ねじ115を貫通穴114内に通して外壁2にねじ込んで、フランジ部材112とともに第1壁通し部材6を外壁2に固定する。このとき、第1筒部8と設置穴3との間の隙間Gは、止水パッキン14によって全周に亘って隙間なく埋められる。以上で外壁2の設置穴3への第9の実施の形態の壁貫通配管の壁通し具1の取付けが終了する。
壁通し具1を外壁2に固定した後、屋内I側から鞘管5及び配管4を順次、鞘管ガイド13内に挿入する。鞘管ガイド13の先端部13aから突出した配管4の端部に、継手32を介して、2階などの上方に設置された給湯器に連結した配管116を連結する。この連結を行なう際に、図示例では以下に示す継手部117を用いる。
継手部117は、前記継手32と、鞘管ガイド13の先端部13aの外周に形成されたねじ溝118と、このねじ溝118に螺合する継手固定部材119などを備えている。前記継手32は、金属からなりかつ鞘管ガイド13の開口縁13bと当接する鍔部120を一体に備えている。鍔部120は、継手32の全周に亘って設けられている。
継手固定部材119は、合成樹脂などからなりかつその内周に継手32が通ることが可能な円環状に形成されている。継手固定部材119は、円筒状に形成されかつ鞘管ガイド13のねじ溝118に螺合するねじ部121と、このねじ部121の一端から内周側に向って延びた円環状の円環部122と、を一体に備えている。この円環部122は、ねじ部121がねじ溝118に螺合すると継手32の鍔部120を鞘管ガイド13の開口縁13bに向かって押圧する。
このように、継手部117は、継手固定部材119が鞘管ガイド13のねじ溝118に螺合して、継手32の鍔部120を鞘管ガイド13の開口縁13bに向かって押圧することによって、鞘管ガイド13の開口部を雨水が入らないように閉じている。
本実施形態によれば、設置穴3内に嵌め込まれた際に第1筒部8の鉛直方向に沿った幅Dが、鞘管5の外径dより十分大きく形成されているので、鞘管5が無理に折り曲げられて座屈変形を起さない十分に広い空間Sを第1筒部8内に確保できる。さらに、第1筒部8の屋内I側に位置する他端部8bのうち軸線Pより鞘管ガイド13が配置されていない側の縁部8cが設置穴3の穴縁より設置穴3内に位置している。
このため、外壁2の裏側空間が狭い場合でも、鞘管5が無理に曲げることなく外壁2を貫通させてこの外壁2に沿って配設されることとなる。また、鞘管5が無理に曲げられることがないため、この鞘管5内に容易に配管4を通すことができる。
また、この壁貫通配管の壁通し具1が取り付けられる設置穴3が、外壁2に対して直交する方向に沿って貫通しているので、雨水などが第1筒部8の外表面などを伝わって屋内に侵入することを防止できる。本実施形態において、前記設置穴3は、屋外Oから屋内Iに向かうにしたがって、徐々に上方に向かうように外壁2を貫通するように形成されても良い。この場合、雨水の浸入をより一層防止できる。なお、このとき、第1筒部8は、その軸線Pが屋外Oから屋内Iに向かうにしたがって徐々に下方に向かうように傾いて、形成されるのが望ましい。
さらに、配管4と、給湯器などに連結した配管116とを互いに連結する継手32が、屋外Oに位置することとなる。また、鞘管5は、鞘管ガイド13の中ほどまで挿入されている。このため、たとえ、この継手32に水漏れが生じても屋内Iへの浸水を防止できる。
また、フランジ部材112が外壁2にねじ115などによって固定されている。このため、鞘管ガイド13に新規に鞘管5及び配管4を通すときは勿論のこと、老朽化した配管4などを新品と交換するときにおいても、配管4や鞘管5を鞘管ガイド13内に通す際等に加わる操作力を、フランジ部材112に波及させて外壁2で分散して支持できる。
このため、壁通し具1が外壁2などから不用意に外れることを防止できる。したがって、配管4の出し入れに拘わらず外壁2への鞘管5の設置状況を確実に保持することができる。
さらに、フランジ取付け部111が、閉塞部12の表面12bからの距離が互いに異なる凹溝113を複数備えている。このため、外壁2の厚みに応じて、フランジ部材112を係合させる凹溝113を任意に選択することによって、互いに異なる厚みの外壁2に形成された設置穴3へも、容易に取付けることができる。
なお、この例では、鞘管ガイド13の内面中ほどに突設したストッパ13dまで鞘管5を挿入するようになっているが、鞘管5は鞘管ガイド13の外まで引出されても良い。この場合、配管4も鞘管ガイド13の外に引出される。このようにすれば、配管4と配管116との接続部から水漏れが生じたときの屋内Iへの浸水をより高度に防止できる。
(実施形態10)
次に、図22を参照して本発明の第10の実施の形態に係る壁貫通配管の壁通し具1を説明する。なお、前述した第9の実施の形態に係る壁貫通配管の壁通し具1と同一構成部分には、同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態の壁通し具1の第1筒部8の一端部8aに、第2のフランジ部材130が着脱自在となっている。本実施形態の壁通し具1の第1筒部8の一端部8aの外周には、全周に亘ってねじ溝131が形成されている。第2のフランジ部材130は、円環状に形成されており、その内周面に前記ねじ溝131に螺合するねじ溝132が全周に亘って形成されている。
本実施形態の壁通し具1を設置穴3に取付ける際には、予め、第2のフランジ部材130を第1筒部8に取付けておく。この第2のフランジ部材130が取付けられた第1筒部8を設置穴3内に嵌め込む。そして、前述した第9の実施の形態の壁通し具1と同様の方法で、外壁2に固定するとともに、配管4と、給湯器などと連結した配管116と、を互いに連結する。
本実施形態によれば、前述した第9の実施の形態の壁通し具1の効果にくわえ、外壁2をフランジ部材112と第2のフランジ部材130とによって挟み込んだ状態で取付けられている。このため、配管4や鞘管5を鞘管ガイド13内に通す際等に加わる操作力を、フランジ部材112及び第2のフランジ部材130に波及させて外壁2でより分散して支持できる。
このため、壁通し具1が外壁2などから不用意に外れることをより確実に防止できる。したがって、配管4の出し入れに拘わらず外壁2への鞘管5の設置状況をより確実に保持できる。
さらに、第2のフランジ部材130の第1筒部8へのねじ込み量を調整することによって、互いに異なる厚みの外壁2に形成された設置穴3へも、より容易に取付けることができる。したがって、互いに異なる厚みの外壁2への設置性がより向上する。
なお、本発明は前記第1〜第10の実施の形態には制約されない。例えば、第1〜第10の実施形態において壁貫通配管の壁通し具を住宅の外壁へ取付けるにあたって、ねじによって前記外壁に直接穴を開けられるのを嫌う場合には、防水効果の高い接着剤等を用いて前記外壁に設けられた設置穴に直接取付けても構わない。
又、配管及び鞘管の配設も、前述のように住宅の外壁を貫通させて屋外から屋内へと引き込むばかりではなく、その逆に屋内から屋外へと引き出しても差し支えない。
又、本発明の壁貫通配管の壁通し具を用いて住宅の外壁を貫通させて屋外と屋内とにわたって配設するものは、給湯器等から延ばされる送液管に限らず、例えば、電話線などの通信系ケーブル、電線などの電力系ケーブル等であってもよい。この場合、鞘管を作る材料もこの内部に通して配設する管や線に合わせて、防電磁波能力に優れたもの等、様々な材料を使い分けることが望ましい。
又、以上説明したいずれかの実施形態に記載の壁貫通配管の壁貫通構造は、住宅の壁を貫通する設置孔内に少なくとも一部が位置される筒状の鞘管ガイドを、前記壁に対して斜めとなる姿勢に配置し、前記鞘管ガイドにその傾き方向に鞘管を通してこの鞘管を前記壁に対して斜めに貫通させるとともに、前記鞘管内に配管を通したことを特徴としている。
この壁貫通構造を構成するには、まず、筒状の鞘管ガイドを住宅の壁に対して斜めとなる姿勢に配置する。この配置において鞘管ガイドの少なくとも一部は前記壁を貫通する設置穴内に位置される。次に、前記壁に対して斜めに配置された鞘管ガイドに前記壁の一面側から鞘管を貫通させる。それにより、鞘管は鞘管ガイドの傾斜に沿って設置穴を通り抜けて前記壁を斜めに貫通して設けられる。最後に、鞘管の内側に配管を挿入することにより、壁貫通配管としての鞘管及び配管を夫々前記壁に対して斜めに貫通させた壁貫通構造が形成され、配管は鞘管内を通して所定の場所まで配設される。
この壁貫通構造によれば、鞘管ガイドの傾きを利用してこれとともに設置穴を貫通する鞘管を、無理に曲げることなく壁に斜めに貫通させて、壁に沿って配設できる。したがって、例えば、外壁裏の狭い壁裏空間の内部にも無理なく配設できると共に、この鞘管の内部に通して案内させる配管も無理に曲げることなく配設できる。
すなわち、壁貫通配管の壁貫通構造によれば、壁に対して斜めに設けられる筒状の鞘管ガイドに鞘管を通して、壁に対して鞘管を斜めに貫通させ、この鞘管に配管を通したことにより、鞘管を無理に曲げることなく壁に沿わせて配設できるので、例えば狭い壁裏空間の内部に鞘管等を配設するのに有利であるとともに、この鞘管内に通される配管も無理に曲げることなく配設できる。
そして、このように配管を配設できるので、この配管が送液管であって、そこから液漏れを生じた場合に、配管より漏れた液体を、壁を斜めに貫通した鞘管を通して屋外等に導出できる。
又、以上説明したいずれかの実施形態に記載の壁貫通配管の壁通し具は、住宅の壁を貫通する設置穴に嵌め込む第1筒部と、この第1筒部の内側を閉じる閉塞部と、この閉塞部から斜めに突出して、前記壁を貫通する鞘管が通される筒状の鞘管ガイドとを有することを特徴としている。
この壁通し具においては、まず、壁を貫通する設置穴に、この壁の一面側もしくは他面側から前記壁貫通配管の壁通し具を嵌め込み設置する。次に、前記他面側もしくは一面側から鞘管を鞘管ガイドに通すことにより壁を斜めに貫通させて配設する。最後に、配設し終わった鞘管の内部に配管を通すことにより、この配管を斜めにして壁に貫通させて、鞘管内を通して所定の場所まで配設する。
この壁貫通配管の壁通し具には、その閉塞部に斜めの筒状の鞘管ガイドが設けられている。この鞘管ガイドに鞘管を通すことにより、鞘管を無理に曲げることなく壁に斜めに貫通させて、壁に沿って配設できる。したがって、例えば、外壁裏の狭い壁裏空間の内部にも無理なく配設できると共に、この鞘管の内部に通して案内させる配管も無理に曲げることなく屋内等へと配設できる。
すなわち、この壁貫通配管の壁通し具によれば、その第1筒部の閉塞部に設けられた斜めの鞘管ガイドに鞘管を通して、壁に対して鞘管を斜めに貫通させることができ、それにより内部に配管が通される鞘管を無理に曲げることなく壁に沿わせて配設できるので、例えば狭い壁裏空間の内部に鞘管等を配設するのに有利であるとともに、この鞘管内に通される配管も無理に曲げることなく配設できる。
又、以上説明したいずれかの実施形態に記載の壁貫通配管の壁通し具は、住宅の壁を貫通する設置穴に嵌め込む第1筒部と、この第1筒部の内側を閉じる閉塞部と、この閉塞部から斜めに突出して、前記壁を貫通する鞘管が通される筒状の鞘管ガイドとを具備し、前記設置穴が前記住宅の壁に対して直交する方向に沿って貫通し、前記設置穴に嵌め込まれた際に鉛直方向に沿う前記第1筒部の幅が前記鞘管の外径より十分大きく形成され、前記鞘管ガイドが前記閉塞部から斜め上方に向かって突出して形成されている。
この壁通し具は、住宅の設置穴内に嵌め込まれた際に第1筒部の鉛直方向に沿った幅が、鞘管の外径より十分大きく形成されているので、鞘管が無理に折り曲げられて座屈変形を起さない十分に広い空間を第1筒部内に確保することができる。
したがって、鞘管を無理に曲げることなく壁を貫通させて壁に沿わせて配設することができる。また、鞘管が無理に曲げられることがないため、この鞘管内に容易に配管を通すことができる。
また、この壁貫通配管の壁通し具が取り付けられる設置穴が、住宅の壁に対して直交する方向に沿って貫通しているので、屋外から屋内に向うにしたがって上方から下方に向かって傾けて鞘管及び配管を配置する場合でも、雨水などが前記第1筒部の外表面などを伝わって屋内に侵入することを防止できる。
さらに、この壁貫通配管の壁通し具を壁に設置するには、まず、設置穴に対し屋外側から第1筒部を嵌め込む。この際、第1筒部を閉塞部及び鞘管ガイドが屋外に露出するように嵌め込む。そして、屋内側より第1筒部及び鞘管ガイド内に向って鞘管及び配管を挿入する。鞘管ガイドから屋外に露出した鞘管及び配管の先端部に周知の継手などを介して給湯器を接続する。このように、給湯器と、鞘管及び配管と、を互いに接続する継手が屋外に位置することとなる。このため、たとえ、この継手に水漏れが生じても屋内への浸水を防止することができる。
すなわち、この壁貫通配管の壁通し具によれば、住宅の鉛直方向に沿う前記第1筒部の幅が前記鞘管の外径より十分大きく形成されており、鞘管が無理に折り曲げられて座屈変形を起さない十分に広い空間を第1筒部内に確保できるので、鞘管を無理に曲げることなく壁を貫通させて壁に沿わせて配設することができる。また、鞘管が無理に曲げられることがないため、この鞘管内に容易に配管を通すことができる。
また、設置穴が、住宅の壁に対して直交する方向に沿って貫通しているので、屋外から屋内に向うにしたがって上方から下方に向かって傾けて鞘管及び配管が配置された場合でも、雨水などの屋内への侵入を防止できる。
さらに、鞘管ガイドから屋外に露出した鞘管及び配管の先端部に周知の継手などを介して給湯器を接続することができるので、たとえ、この継手に水漏れが生じても屋内への浸水を防止できる。
又、以上説明したいずれかの実施形態に記載の壁貫通配管の壁通し具は、前記閉塞部が前記住宅の屋外に露出する前記第1筒部の一端部に設けられ、前記第1筒部の他端部のうち少なくとも前記鞘管ガイドが配置された側の外周に取付けられかつ前記設置穴の穴縁に引掛るフランジ部材を備え、前記第1の筒部の他端部のうち前記鞘管ガイドが配置されていない側の縁部が前記穴縁より設置穴内に位置している。
この壁通し具は、住宅の設置穴内に嵌め込まれた際に第1筒部の鉛直方向に沿った幅が、鞘管の外径より十分大きく形成されている。このため、鞘管が無理に折り曲げられて座屈変形を起さない十分に広い空間を第1筒部内に確保することができる。さらに、前記第1筒部の屋内側に位置する他端部のうち鞘管ガイドが配されていない側の縁部が穴縁より設置穴内に位置している。
したがって、鞘管を無理に曲げることなく壁を貫通させて壁に沿わせて配設することができる。また、鞘管が無理に曲げられることがないため、この鞘管内に容易に配管を通すことができる。
また、この壁貫通配管の壁通し具は、雨水などの侵入を防止できるとともに、鞘管及び配管と給湯器とを接続する継手などに水漏れが生じても屋内への浸水を防止できる。
この壁通し具を壁に取付ける際には、閉塞部及び鞘管ガイドが屋外に露出するように、設置穴に対し屋外側から第1筒部を嵌め込んだ後、第1筒部の他端部にフランジ部材を取付ける。フランジ部材は設置穴の穴縁に引掛った状態となる。このフランジ部材を壁にねじ止め等により固定するのが望ましい。このように、壁通し具は住宅の壁に取付けられる。
この壁通し具は、鞘管ガイドに新規に鞘管及び配管を通すときは勿論のこと、老朽化した配管などを新品と交換するときにおいても、配管や鞘管を鞘管ガイドに通す際等に加わる操作力を、フランジに波及させて壁で分散して支持できる。
このため、壁通し具が壁などから不用意に外れることが防止される。したがって、配管の出し入れに拘わらず壁への鞘管の設置状況を確実に保持することができる。
すなわち、この壁貫通配管の壁通し具によれば、前記第1筒部の屋内側に位置する他端部のうち鞘管ガイドが配されていない側の縁部が設置穴の穴縁より設置穴内に位置しているので、鞘管を無理に曲げることなく壁を貫通させて壁に沿わせて配設することがより容易にできる。また、鞘管が無理に曲げられることがないため、この鞘管内に容易に配管を通すことができる。
フランジ部材が設置穴の穴縁に引掛かりかつこのフランジ部材を壁にねじ止め等することによって、壁に取付けることができる。このため、鞘管及び配管を鞘管ガイドに通す際等に加わる操作力を、フランジ部材に波及させて壁で分散して支持できる。このため、壁通し具が壁などから不用意に外れることが防止される。したがって、配管の出し入れに拘わらず壁への鞘管の設置状況を確実に保持することができる。
又、以上説明したいずれかの実施形態に記載の壁貫通配管の壁通し具は、住宅の壁を斜めに貫通する設置穴の一端の穴縁に引掛るフランジ部を有して前記設置穴に挿通されるとともに、内部に鞘管が貫通される筒状の鞘管ガイドと、この鞘管ガイドの前記壁から斜めに突出した部分の外周に摺動可能に嵌合して設けられ前記フランジ部との間に前記壁を挟む壁押さえと、この壁押さえと前記鞘管ガイドとにわたって設けられ前記壁押さえを前記壁に押付けた状態に保持する固定手段と、を具備している。
この壁貫通配管の壁通し具を壁に設置するには、まず、壁を斜めに貫通した設置穴に対して壁の一面側又は他面側から、壁押さえが嵌合される側の端部を先頭にして鞘管ガイドをそのフランジ部が壁に当接するまで挿通することにより、このガイドを壁に対して斜めに貫通させる。次に、壁より斜めに突出した鞘管ガイドの前記端部の外周に壁押さえを嵌合させる。最後に、鞘管ガイドと壁押さえとにわたって設けられる固定手段を操作して、壁押さえを鞘管ガイドの軸方向に沿って壁側に移動させて壁に押付けた状態に保持する。それにより、フランジ部と壁押さえとの間に壁を挟んだ状態で壁通し具を壁に対して斜めに設置できる。
したがって、この後には、壁を斜めに貫通した鞘管ガイドに対して前記一面側又は他面側から鞘管を通して、この鞘管を壁に対して斜めに貫通させた後、この鞘管内に配管を挿入することにより、鞘管内を通して所定の場所に配管を導いて配設できる。この壁貫通配管の壁通し具においては、壁に設けた斜めの設置穴を貫通する筒状の鞘管ガイドを備えているから、このガイドに鞘管を通すことにより、鞘管を、無理に曲げることなく壁に斜めに貫通させて壁に沿って配設できる。したがって、例えば、外壁裏の狭い壁裏空間の内部にも無理なく鞘管を配設できると共に、この鞘管の内部に通して案内させる配管も無理に曲げることなく屋内等へと配設できる。
すなわち、この壁貫通配管の壁通し具によれば、固定手段を介して壁押さえとともに壁に固定される斜めの鞘管ガイドを壁に斜めに設けた設置穴に貫通させて、このガイドに鞘管を通してこの鞘管を壁に対して斜めに貫通させることができ、それにより内部に配管が通される鞘管を無理に曲げることなく壁に沿わせて配設できるので、例えば狭い壁裏空間の内部に鞘管等を配設するのに有利であるとともに、この鞘管内に通される配管も無理に曲げることなく配設できる。
又、以上説明したいずれかの実施形態に記載の壁貫通配管の壁通し具は、住宅の壁を斜めに貫通する設置穴の一端の穴縁に引掛って前記壁に固定されるフランジ部を有して前記設置穴に挿通されるとともに、内部に鞘管が貫通される筒状の鞘管ガイドと、この鞘管ガイドの前記壁から斜めに突出した部分の外周に摺動可能に嵌合して設けられるとともに前記壁に固定されて前記フランジ部との間に前記壁を挟む壁押さえと、を具備している。
この壁貫通配管の壁通し具を壁に設置するには、まず、壁を斜めに貫通した設置穴に対して壁の一面側又は他面側から、壁押さえが嵌合される側の端部を先頭にして鞘管ガイドをそのフランジ部が壁に当接するまで挿通することにより、このガイドを壁に対して斜めに貫通させて、前記フランジ部を壁にねじ止め等により固定する。次に、壁より斜めに突出した鞘管ガイドの前記端部の外周に壁押さえを嵌合させる。最後に、壁押さえを壁にねじ止め等により固定して、この壁押さえとフランジ部との間に壁を挟んだ状態で壁通し具を壁に対して斜めに設置する。
したがって、この後には、壁を斜めに貫通した鞘管ガイドに対して前記一面側又は他面側から鞘管を通して、この鞘管を壁に対して斜めに貫通させた後、この鞘管内に配管を挿入することにより、鞘管内を通して所定の場所に配管を導いて配設できる。この壁貫通配管の壁通し具においては、壁に設けた斜めの設置穴を貫通する筒状の鞘管ガイドを備えているから、このガイドに鞘管を通すことにより、鞘管を、無理に曲げることなく壁に斜めに貫通させて壁に沿って配設できる。したがって、例えば、外壁裏の狭い壁裏空間の内部にも無理なく鞘管を配設できると共に、この鞘管の内部に通して案内させる配管も無理に曲げることなく屋内等へと配設できる。
すなわち、この壁貫通配管の壁通し具によれば、壁に固定される鞘管ガイドを壁に斜めに設けた設置穴に貫通させ、その設置穴から突出した端部を壁に固定される壁押さえを介して固定して、前記斜めの鞘管ガイドに鞘管を通してこの鞘管を壁に対して斜めに貫通させることができるから、鞘管の内部に配管が通される鞘管を無理に曲げることなく壁に沿わせて配設できるので、例えば狭い壁裏空間の内部に鞘管等を配設するのに有利であるとともに、この鞘管内に通される配管も無理に曲げることなく配設できる。
又、以上説明したいずれかの実施形態に記載の壁貫通配管の壁通し具は、住宅の壁を斜めに貫通する設置穴の一端の穴縁に引掛るフランジ部を有して前記設置穴に挿入されるとともに内部に鞘管が貫通される筒状の第1鞘管ガイドと、前記設置穴の他端の穴縁に引掛るフランジ部を有して前記設置穴に挿入されるとともに、前記第1鞘管ガイドに軸方向に沿って移動可能に嵌合され、かつ、内部に前記鞘管が貫通される筒状の第2鞘管ガイドと、を具備している。
この壁通し具を壁に設置するには、まず、壁を斜めに貫通した設置穴に対して壁の一面側から第1鞘管ガイドを、そのフランジ部が壁の一面に当接するまで挿通することにより、このガイドを壁に対して斜めに挿入させて、前記フランジ部を壁の一面側において設置穴の一端の穴縁に引掛ける。次に、壁の他面側から第2鞘管ガイドをそのフランジ部が壁の他面に当接するまで挿通して、第2鞘管ガイドを壁に対して斜めに挿入するとともに、その挿入先端部側を前記第1鞘管ガイドの挿入先端部に嵌合させる。この嵌合により軸方向に連続された両鞘管ガイドは、必要に応じて一方の鞘管ガイドの第1引掛り部と他方の鞘管ガイドに設けられた第2引掛り部との引掛かりにより連結することもできる。最後に、前記のように両鞘管ガイドが嵌合された状態で、前記他方の鞘管ガイドのフランジ部を壁の他面側に置いて設置穴の他端に引掛けて、前記両フランジ部で壁を挟んだ姿勢で壁通し具を壁に対して斜めに設置する。
したがって、この後には、壁を斜めに貫通し軸方向に連続して接続された第1、第2の鞘管ガイドに対して前記一面側又は他面側から鞘管を通して、この鞘管を壁に対して斜めに貫通させた後、この鞘管内に配管を挿入することにより、鞘管内を通して所定の場所に配管を導いて配設できる。この壁通し具においては、壁に設けた斜めの設置穴で互いに嵌合することによって連結する筒状の第1、第2の鞘管ガイドを備えているから、これら鞘管ガイドに鞘管を通すことにより、鞘管を、無理に曲げることなく壁に斜めに貫通させて壁に沿って配設できる。したがって、例えば、外壁裏の狭い壁裏空間の内部にも無理なく鞘管を配設できると共に、この鞘管の内部に通して案内させる配管も無理に曲げることなく屋内等へと配設できる。
すなわち、この壁貫通配管の壁通し具によれば、壁に斜めに設けた設置穴に挿入されて互いに嵌合される第1、第2の鞘管ガイドの互いに連続した斜めのガイド筒部に鞘管を通して、この鞘管を壁に対して斜めに貫通させることができ、それにより内部に配管が通される鞘管を無理に曲げることなく壁に沿わせて配設できるので、例えば狭い壁裏空間の内部に鞘管等を配設するのに有利であるとともに、この鞘管内に通される配管も無理に曲げることなく配設できる。
又、以上説明したいずれかの実施形態に記載の壁貫通配管の壁通し具は、住宅の壁を斜めに貫通する設置穴に挿入されるとともに、内部に鞘管が貫通される鞘管ガイドと、このガイドの一端部外周から一体に張り出して設けられ前記設置穴の一端の穴縁に引掛って前記壁に固定されるフランジ部とを有している。
この壁通し具を壁に設置するには、まず、壁を斜めに貫通した設置穴に対して壁の一面側又は他面側から、フランジ部が設けられていない方の鞘管ガイドの端部を先頭に、このガイドを前記フランジ部が壁に当接するまで壁に対して斜めに挿入してから、前記フランジ部を壁にねじ止め等により固定すればよい。それにより、壁通し具を壁に対して斜めに設置できる。
したがって、この後には、壁を斜めに挿入された筒状の鞘管ガイドに対して前記一面側又は他面側から鞘管を通して、この鞘管を壁に対して斜めに貫通させた後、この鞘管内に配管を挿入することにより、鞘管内を通して所定の場所に配管を導いて配設できる。この壁通し具においては、壁に設けた斜めの設置穴に挿入される筒状鞘管ガイドを備えているから、この斜めのガイドに鞘管を通すことにより、鞘管を、無理に曲げることなく壁に斜めに貫通させて壁に沿って配設できる。したがって、例えば、外壁裏の狭い壁裏空間の内部にも無理なく鞘管を配設できると共に、この鞘管の内部に通して案内させる配管も無理に曲げることなく屋内等へと配設できる。
すなわち、この壁貫通配管の壁通し具によれば、壁に斜めに設けた設置穴に挿入される鞘管ガイドを有して壁に固定され、その斜めの鞘管ガイドに鞘管を通して、この鞘管を壁に対して斜めに貫通させることができるから、鞘管の内部に配管が通される鞘管を無理に曲げることなく壁に沿わせて配設できるので、例えば狭い壁裏空間の内部に鞘管等を配設するのに有利であるとともに、この鞘管内に通される配管も無理に曲げることなく配設できる。
上記壁貫通構造及び壁通し具において、対象とする設置穴を外側(屋外側)が内側(屋内側)より下方に位置するようにしておけば、雨水が屋内に侵入することを防止できる利点がある。