JP4369913B2 - 壁貫通配管の壁貫通構造及び壁貫通配管の壁通し具 - Google Patents

壁貫通配管の壁貫通構造及び壁貫通配管の壁通し具 Download PDF

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Description

本発明は、例えば一戸建住宅等の屋外に設置される給湯器等の屋外機器から延びる送液用の配管等を、屋外と屋内とを仕切る外壁等を貫通して配設するための壁貫通配管の壁貫通構造及び壁貫通配管の壁通し具に関する。
従来、住宅の屋外に設置される給湯器に接続される配管を屋内へ引き込む技術が知られている(例えば特許文献1参照。)。
この従来技術は、壁に通孔(設置穴)を設け、この通孔に屋外側から固定具を取付け、鞘管と、この鞘管の中に通される配管とからなる給湯管の一端を室内側の分配器(ヘッダー)に取付け、配管のみを固定具に通して屋外側の給湯器に取付けるものである。
この際、壁に固定具を取付け、分配器(ヘッダー)から固定具までは配管と鞘管とからなる給湯管を配設し、固定具の位置で鞘管を切断し、この切断された端部を固定具に当接させ、固定具の屋外側に斜め上向きに突出する止水部材に配管を通すことによって、この配管のみを壁に貫通させ、この配管の中間部を固定具に固定しており、屋外側に引き出された配管は給湯器に取付けられている。
特開平9−105482号公報(図3)
前記従来技術は壁に対して配管を斜めに貫通させるので、この配管を壁の内外面に沿わす場合に配管への負荷が少なく、且つ、屋外側から配管を挿脱して更新できる点で優れている。
しかし、壁に対して屋外側に突出する斜状の止水部材とこれとは別の鞘管とは結合されていないので、これら止水部材と鞘管とに配管を通すときに鞘管又は止水部材の端部に配管の先端が当たって通しづらいと共に、屋外側から配管を通すときに鞘管が配管によって押し動かされ易いので、配管を通す作業性がよくないという問題がある。
又、前記従来技術において配管を屋外側に引き出す際に、その引き出し力が屋外側の固定具に作用するから、この力が壁への固定具の固定箇所に集中して、固定具が外れたり、あるいは固定具と壁との間の防水性が損なわれるおそれがある。
本発明が解決しようとする課題は、厚みの異なる壁への設置性を向上でき、しかも、壁に鞘管を無理に曲げることなく貫通させて壁に沿わせて配設できて、この鞘管内に通される配管も無理に曲げることなく配設できると共に、配管の出し入れに拘わらず壁への鞘管の設置状況を確実に保持できる壁貫通配管の壁貫通構造及び壁貫通配管の壁通し具を得ることにある。
請求項1の発明に係る壁貫通配管の壁通し具は、斜めに貫通する設置穴が開けられた壁の厚みより短く前記設置穴の径より小さい円筒からなり前記設置穴に挿入されるとともに弾性変形が可能な第1ガイド筒部、この筒部の一端部外周に外側に張り出して設けられ前記壁の一面に固定される第1フランジ部、及び前記第1ガイド筒部の外周面にこの筒部の軸方向に間隔的に設けられるとともに前記第1ガイド筒部の周方向に連続する断面三角形状の突条からなる複数の引掛り部を有する第1鞘管ガイドと、前記第1ガイド筒部より大径で前記壁の厚みより短い円筒からなり前記設置穴に挿入されて前記第1ガイド筒部に嵌合するとともに弾性変形が可能な第2ガイド筒部、この筒部の一端部外周に外側に張り出して設けられ前記壁の他面に固定される第2フランジ部、及び前記第2ガイド筒部の先端部内周面にこの筒部の周方向に連続して設けられるとともに断面三角形状の突条からなり前記複数の引掛り部に係脱可能な他の引掛り部を有する第2鞘管ガイドと、を具備し、前記複数の引掛り部が夫々異なる前記壁の厚みに対応して設けられていて、この引掛り部と前記第2鞘管ガイドが有した他の引掛り部との前記設置穴内での引掛りにより、長さを延ばすか縮めることで前記壁の厚みに適合する長さを得て前記第1、第2の鞘管ガイドが連結されることを特徴とする。
この請求項1に記載の壁貫通配管の壁通し具においては、前記第2ガイド筒部の外径が前記設置穴の径に略等しく、前記設置穴と略同径のスペーサ段部を、前記第1ガイド筒部の前記第1フランジ部側の根元部外周に設けることが好ましい。
請求項3の発明に係る壁貫通配管の壁貫通構造は、請求項1又は2に記載の壁通し具を使用し、その第1鞘管ガイドの第1ガイド筒部を外壁の一面側からこの外壁を斜めに貫通する設置穴に挿入するとともに前記第1鞘管ガイドの第1フランジ部を前記外壁の一面に接触させて、前記第1鞘管ガイドが前記外壁に固定されており、前記第2鞘管ガイドの第2ガイド筒部を前記外壁の他面側から前記設置穴に挿入するとともに前記第2鞘管ガイドの第2フランジ部を前記外壁の他面に接触させて、前記第2鞘管ガイドが前記外壁に固定され、かつ、前記設置穴内で互いに嵌合された前記第1、第2のガイド筒部がそれらの引掛り部の引掛りで連結されており、前記第1、第2のガイド筒部にそれらの傾き方向に鞘管が通されてこの鞘管が前記外壁に対して途切れることなく斜めに貫通されているとともに、前記外壁を貫通する配管が曲がることなく前記鞘管に通されていることを特徴とする。
この請求項3の発明の壁貫通配管の壁貫通構造においては、前記外壁の屋外側に面に固定されたフランジ部とその周囲の壁面との間に止水処理が施されていることが好ましい。
請求項1〜4の発明に係る壁貫通配管の壁通し具又は壁貫通配管の壁貫通構造によれば、第1、第2の鞘管ガイドに設けられて壁の設置穴内で互いに嵌合しかつ連結された斜めの第1、第2のガイド筒部に鞘管を通して、この鞘管を壁に対して斜めに貫通させることができ、それにより内部に配管が通される鞘管を無理に曲げることなく壁に沿わせて配設できるので、例えば狭い壁裏空間の内部に鞘管等を配設するのに有利であるとともに、この鞘管内に通される配管も無理に曲げることなく配設できる。さらに、壁通し具は壁を挟む第1フランジ部と第2フランジ部とを有していて、これらで鞘管の挿通時や配管の出し入れ時等に加わる操作力を壁で支持させるため、壁から不用意に外れる恐れや、壁と前記第1、第2両フランジ部との間が緩むおそれを低くできる。
しかも、第2ガイド筒部に設けられた他の引掛り部が、壁の厚みに適合して第1ガイド筒部に設けられた複数の引掛り部に引掛って、第1、第2ガイド筒部が連結されることにより壁貫通配管の長さを延ばすか縮めることで、壁を挟む第1、第2フランジ部間の距離を変化させて壁への取付けができるので、第1、第2筒部の長さが異なる何種類もの壁貫通配管の壁通し具を用意する必要がなく、壁の厚みのばらつき等を吸収して用いることができる。
以下、図1〜図4を参照して本発明の参考例に係る壁貫通配管の壁通し具を説明する。
図1は参考例の壁貫通配管の壁通し具1を一戸建の建屋の外壁2の設置穴3に取付けて、配管4及び鞘管5を貫通させた状態を示す断面図である。
図2(a)及び(b)に示すように、この壁通し具1は第1壁通し部材6と第2壁通し部材7と連結手段とからなる。
合成樹脂製の第1壁通し部材6は、住宅の壁としての外壁2の厚み方向両面に夫々開放されていると共に上下方向に長い小判形をなして設けられた設置穴3に、屋外側から嵌め込む第1筒部8と、この第1筒部8と一体に形成されて外側に張り出し、設置穴3の屋外側縁部と引掛かり合う第1フランジ部10と、第1筒部8の例えば屋外側端部に一体に形成されて第1筒部8の内側を閉じる閉塞部12と、この閉塞部12の下部に一体に形成されて屋内側から屋外側にかけて斜めに貫通する円筒形をなした鞘管ガイド13とから構成される。なお、前記設置穴3は、外壁2に対して直交する方向に沿って、前記外壁2を貫通している。
鞘管ガイド13はその屋内側端部が屋外側端部よりも上側に位置するように斜めに設けられ、したがって閉塞部12の一端部から斜め下向きに突設されている。さらに、鞘管ガイド13は後述する鞘管5を挿通できるように鞘管5よりやや大径となっている。使用状態において鞘管ガイド13の屋内側端部は図3に示されるように設置穴3内に位置される。
周方向に連続すると共に例えば閉塞部12と面一に連続した第1フランジ部10の外壁2側には、第1壁通し部材6を設置穴3に設置したときに、第1フランジ部10と外壁2との隙間を埋めて挟み込まれ雨水等の設置穴3への浸入を防止するための止水パッキン14aが設けられている。なお、前記隙間をコーキング処理する場合には止水パッキン14aは省略できる。
閉塞部12には、この第1壁通し部材6と後述の第2壁通し部材7とを連結するための連結手段としてのねじ15をねじ込むためのねじ通孔16が第1筒部8の内側に貫通して設けられている。
合成樹脂製の第2壁通し部材7は、外壁2に設けられた設置穴3に、屋内側から嵌め込む第2筒部17と、この第2筒部17と一体に形成されて外側に張り出し、設置穴3の屋内側縁部と引掛かり合う第2フランジ部19とからなる。周方向に連続する第2フランジ部19の外壁2側には、第2壁通し部材7を設置穴3に設置したときに、第2フランジ部19と外壁2との隙間を埋めて挟み込まれる止水パッキン14bが設けられている。この止水パッキン14bは省略してもよい。又、第2筒部17の屋外側端部の内側には、連結手段としてのねじ15を受け止めるためのねじ孔を有した螺合部21が第1壁通し部材6のねじ通孔16と対向する位置に設けられている。
壁通し具1が設置穴3に嵌め込まれるなどして取り付けられた際に、住宅の鉛直方向に沿う第1筒部8及び第2筒部17の幅Dは、鞘管5の外径dの約2から3倍以上の寸法に形成されている。このように、第1筒部8及び第2筒部17の幅Dは、鞘管5の外径dより十分大きく形成されている。
前記壁通し具1の具体的な寸法例を挙げると、呼び径が直径13mmの配管4を呼び径が直径28mmの鞘管5に通して、厚さ75mmの外壁2を貫通させる場合、外壁2を通る配管4及び鞘管5の外壁2に対する挿入角度が45°となるように鞘管ガイド13を閉塞部12に対して設ける。又、このとき、設置穴3の口径の最も長い方向は長さ150mm以上が望ましい。又、図3に示すように、鞘管ガイド13は鞘管5が貫通する際に接触する方向にのみ開口部があれば良く、正面から見て開口部は楕円形状でも構わない。この場合、配設に必要な壁裏空間24は幅70mm以上とする。
次に、外壁2への壁貫通配管の壁通し具1の取付け作業を説明する。
外壁2には予め前記第1、第2筒部8、17の大きさに合わせた設置穴3が、屋外側と屋内側とを連通して外壁2に対して直交する方向に沿って貫通して開けられている。まず、第1壁通し部材6を取付ける。第1壁通し部材6の第1筒部8を設置穴3の屋外側から屋内側へ向かって、第1フランジ部10が設置穴3の屋外側縁部に引掛かって止まるまで嵌め込む。このとき、第1フランジ部10と外壁2の屋外側との隙間は、第1フランジ部10の壁側に設けられた止水パッキン14aによって隙間無く塞がれる。
次に、第2壁通し部材7を取付ける。第1壁通し部材6とは反対に、第2壁通し部材7の第2筒部17を設置穴3の屋内側から屋外側へ向かって、第2フランジ部19が設置穴3の屋内側縁部に引掛かって止まるまで嵌め込む。それにより、設置穴3内で第1筒部8の屋内側端部と第2筒部17の屋外側端部とが接近する。このとき、前述の第1壁通し部材6の場合と同様に、第2フランジ部19と外壁2の屋内側との隙間は、第2フランジ部19の壁側に設けられた止水パッキン14bによって隙間無く塞がれる。
この後、第1壁通し部材6の閉塞部12のねじ通孔16を通して、屋外側からねじ15を第2壁通し部材7の螺合部21にねじ込むことで、第1壁通し部材6と第2壁通し部材7とを連結すると共に、止水パッキン14a、14bが外壁2の内外両壁面に夫々圧接される。以上で外壁2の設置穴3への壁貫通配管の壁通し具1の取付けが終了する。
この参考例の壁貫通配管の壁通し具1は第1壁通し部材6と第2壁通し部材7とをねじ15により連結しているだけなので、将来この壁貫通配管の壁通し具1を取り外す必要が生じたときには、ねじ15を緩めて外すだけで、外壁2の設置穴3からこの壁貫通配管の壁通し具1を取り外すことができる。
次に、例えば給湯又は給水のための送液用の配管4及び鞘管5を、前述のようにして外壁2の設置穴3に取付けた壁貫通配管の壁通し具1に通す配設作業を説明する。配管4は架橋ポリエチレン管であって可撓性を有し、この配管4が通される鞘管5は配管4よりも硬質な合成樹脂製ではあるが、可撓性に優れた波付け管が採用されている。
鞘管5は、例えば屋外から屋内へと通される。すなわち、鞘管5の一端を第1壁通し部材6の鞘管ガイド13に屋外側から斜め上向きに通していく。図3及び図4(a)、(b)に示されるように、鞘管ガイド13はこの屋内側端部が屋外側端部よりも上側に在るように閉塞部12を斜めに貫通して設けられているため、鞘管ガイド13を通して屋外から屋内へと通された鞘管5は、壁通し具1をその第2壁通し部材16に引掛かることなく斜め上向きに通り抜けて外壁2の屋内側壁面に沿って上方へと押し込まれるから、図1に示されるように、外壁2と部屋の内装板23とによって作られる幅の狭い壁裏空間24や、部屋の天井25の上の屋根裏空間26にも無理に折り曲げられて座屈変形を起こすことなく配設できる。配設し終わった鞘管5は、外壁2等に適当な間隔に取付けられるU字形をなしたサドル27等を用いてずれ落ちないように固定される。
次に、壁通し具1を斜めに貫通して鞘管ガイド13に中間部が支持された鞘管5に対して、屋外より配管4を斜め上向きに挿入することによって、この配管4を鞘管5に沿わせて配設する。鞘管5は無理に折り曲げられることなく既に必要とされる所定の位置まで配設されているので、配管4は、無理に折り曲げられて座屈変形を起こすことなく鞘管5の内部を通って所定の位置まで案内される。鞘管5の配設及び固定作業の終了後に、図3に示すように、鞘管ガイド13の屋外側の開口部において、コーキング材28による止水処理を施して鞘管5と開口部との隙間を塞ぐ。この止水処理によって、鞘管ガイド13を通して屋外から屋内へ雨水等が浸入するおそれを極めて低くできる。なお、コーキング処理に代えて鞘管ガイド13と鞘管5との間にOリングを挟んでもよく、又、これら両止水処理を兼用してもよい。
又、屋外側の鞘管5の他端は外壁2の屋外側に設置されたシステムアジャスタ支え29によって支持されたシステムアジャスタ30に接続される。配管4が通るシステムアジャスタ30は伸縮自在の蛇腹部31を有しており、鞘管5の屋外に露出している部分の長さに適合した高さに伸び縮みできる。又、システムアジャスタ30の下端を受けるピン付オスアダプタ33には継手32を介して配管4が接続されている。このアダプタ33は屋外に設置された給湯器34に連結されていて、給湯器34の温水等が導かれる。
以上、説明した壁貫通配管の壁通し具1を用いた配管4及び鞘管5の配設作業によれば、外壁2に対して斜めに設けられた鞘管ガイド13に鞘管5を通すことで、外壁2の壁面に沿うように鞘管5を屋内へと配設する。第1筒部8及び第2筒部17の鉛直方向に沿った幅Dが、鞘管5の外径dより十分大きく形成されているので、鞘管5が無理に折り曲げられて座屈変形を起さない十分に広い空間Sを、第1筒部8及び第2筒部17内に確保できる。また、外壁2に対して斜めに設けられた鞘管ガイド13に鞘管5を通すことで、外壁2の壁面に沿うように鞘管5を屋内へと配設できる。
したがって、外壁2の屋内側の狭い壁裏空間内においても鞘管5を無理に折り曲げて座屈変形を起こさせることがない。このため、鞘管5の内部に通して屋外から屋内へと配設する配管4も無理に折り曲げて座屈変形を起こさせることなく、容易に配設できる。さらに、屋外側より配管4を斜め下方に引っ張ることにより、挿入時と同様に鞘管5をガイドとして少ない抵抗で容易に配管4を引き出せるので、こうした配管4の出し入れ操作によって、将来において配管4が老朽化した場合の配管4の更新作業も簡単に行うことができる。
又、壁貫通配管の壁通し具1の位置において鞘管5は途切れることなく屋外から屋内へと連続して配設されている。このため、屋内で配管4から水が漏れ出しても鞘管5の内部を伝わって屋外へと排出されるので、屋内への浸水のおそれが低い。しかも、鞘管5及び配管4が外壁2を貫通しており、配管4に対する継手部分は外壁2の屋外側にあるので、漏水し易い継手部分からの漏水があっても屋内への浸水のおそれがない。
又、鞘管ガイド13はこの屋内側が屋外側よりも上側に位置するように閉塞部12を斜めに貫通して設けられているので、雨水等が斜め下向きの鞘管ガイド13を通って屋外から屋内へと浸入するおそれが殆どない。加えて、この鞘管ガイド13の屋外側の開口部にコーキング材28等による止水処理を施して鞘管5と開口部との隙間を塞いだので、より一層のこと浸水のおそれがない。
又、第1、第2フランジ部10、19及びそれらに夫々設けられた止水パッキン14a、14bによって、外壁2の両側から設置穴3を隙間なく挟み込むサンドイッチ構造をとっているので、簡単に止水処理ができると共に、設置穴3と壁通し具1との間の埋め戻し作業等の閉栓処理も不要にでき、施工性がよい。
又、設置穴3への壁通し具1の取付け作業と、屋内における配管4及び鞘管5の配設作業の順序はどちらが先でも構わない。又、プレハブ住宅の場合には壁通し具1を外壁2に予め取付けておくことができるから、その場合には建築現場での壁通し具1の取付けが不要であり、容易に配設作業を行うことができる。
又、壁通し具1は正面から見た形状が上下方向に沿って長い小判形となっていて小型であるため、外壁2に設けられた設置穴3も正面から見た形状を同様の小判形とできるので、大きな円形の穴を外壁2に設ける必要がなく、設置穴3を設けることによる外壁2の強度の低下を抑制できる。
次に、図5〜図7を参照して本発明の一実施の形態に係る壁貫通配管の壁通し具81を説明する。なお、以下説明する壁通し具81及び壁の設置穴83以外は、図5〜図7に示されない部分を含めて前記参考例と同じであるから、鞘管及び配管等の同一部分についての説明は、参考例と同じ符号を付してその説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
この一実施形態に係る壁通し具81が設置される住宅の壁、本実施形態の場合にはプレハブ工法により作られる住宅の外装パネル(外壁)82の所定位置には斜めに貫通する断面円形の設置穴83が開けられている。この穴83は屋内側から屋外側に行くにしたがって次第に下がるように傾斜しており、その壁貫通角度θは45°である。壁通し具81は、第1、第2の鞘管ガイド84、85と、第1引掛り部(他の引掛り部)86と、複数の第2引掛り部(複数の引掛り部)87〜89とを具備している。
金属又は硬質合成樹脂製の第1鞘管ガイド84は、外装パネル82の厚みよりも短い円筒からなるガイド筒部(第1ガイド筒部)84aの一端部外周に、周方向に連続して円形をなす(図6参照)フランジ部(第1フランジ部)84bを一体に設けて形成されている。ガイド筒部84aの外径は設置穴83の径よりも小さい。フランジ部84bはガイド筒部84aの軸線に対して交差する方向に沿って外側に張り出して設けられており、その複数箇所には図示しないねじ通し穴が開けられている。
同様に、金属又は硬質合成樹脂製の第2鞘管ガイド85も、外装パネル82の厚みよりも短い円筒からなるガイド筒部(第2ガイド筒部)85aの一端部外周に、周方向に連続して円形をなす(図7参照)フランジ部(第2フランジ部)85bを一体に設けて形成されている。ガイド筒部85aは、前記ガイド筒部84aよりも大径であるとともに、その外径は設置穴83の径に略等しく、又、ガイド筒部85aの先端部内周面にはテーパ面が設けられている。前記両ガイド筒部84a、85aは設置穴83内において互いに嵌合されるようになっている。フランジ部85bはガイド筒部85aの軸線に対して交差する方向に沿って外側に張り出して設けられており、その複数箇所には図示しないねじ通し穴が開けられている。
第1引掛り部86は、第1鞘管ガイド84に対する第2鞘管ガイド85の嵌合部、つまり、ガイド筒部85aの端部内周面に、その周方向に連続して一体に設けられており、断面三角形状の突条により形成されている。この第1引掛り部86に係脱可能な複数の第2引掛り部87〜89は、第2鞘管ガイド85に対する第1鞘管ガイド84の嵌合部、つまり、ガイド筒部84aの外周面に、その周方向に連続して一体に設けられており、断面三角形状の突条により形成されている。各第2引掛り部87〜89はガイド筒部84aの軸方向に互いに離間して間隔的に設けられている。
これら第2引掛り部87〜89は、外装パネル82の厚みに対応して設けられており、それが第1引掛り部86に引掛った時に、それに応じた両鞘管ガイド84、85の嵌合深さを得て異なる厚みの外装パネル82の夫々適合して壁通し具81が組立てられるようになっている。
つまり、プレハブ住宅の外装パネル82には厚みが異なる数種類のものが用意されていて、その中からいずれかが選択して使用されるものであり、最大厚さ(例えば100mm)の外装パネル82への適用においては、図5のように第1引掛り部86と第2引掛り部89とを引掛けることにより壁通し具81の長さを延ばして適合させ、最小厚さ(例えば75mm)の外装パネル82への適用においては、第1引掛り部86と第2引掛り部87とを引掛けることにより壁通し具81の長さを縮めて適合させ、又、これらの中間厚さの外装パネル82への適用においては、第1引掛り部86と第2引掛り部88とを引掛けることにより壁通し具81の長さを適合させることができる。すなわち、本実施形態に係る壁通し具81は厚みの異なる種々の外装パネル82への設置に容易に適合できる。
第1、第2引掛り部を断面三角形状の突条としたので、それらの斜面によって第1、第2引掛り部の係脱が円滑であるだけではなく、両ガイド筒部84a、85aの嵌合における抵抗を引掛り部の係合位置だけに制限できる点で優れている。なお、これらの係脱に際しては両ガイド筒部84a、85aが多少の弾性変形を伴う。
次に、前記構成の壁貫通配管の壁通し具81を用いた配管4及び鞘管5の配設作業を説明する。まず、外装パネル82に壁通し具81を設置する手順を説明する。
フランジ部84bがない方のガイド筒部84aの端部を先頭にして第1鞘管ガイド84を、外装パネル82の屋内側から設置穴83に挿入させる。この挿入はフランジ部84bが外装パネル82の内壁面において設置穴83の穴縁に引っ掛るまで行われ、それにより、ガイド筒部84aは屋内側から屋外側に行くにしたがって外装パネル82を斜め下向きとなる姿勢で設置穴83内に収容される。この状態で、フランジ部84bの図示しないねじ通し穴に通されて外装パネル82にねじ込まれるねじ90を夫々締付けて、第1鞘管ガイド84を外装パネル82に固定する。この設置状態において、ガイド筒部84aの外周面と設置穴83の内周面とは接触しておらず、これらの間には図5に示されるように空隙gが設けられる。
なお、本実施形態の構成に加えて、ガイド筒部84aのフランジ部84b側の根元部外周に設置穴83と略同径のスペーサ段部を周方向に連続或いは非連続に設けて実施する場合には、この段部によって設置穴83の径方向に対するガイド筒部84aの位置決めができる。そのため、ガイド筒部84aを設置穴83に対する同軸度を簡単に出して外装パネル82の第1鞘管ガイド84を固定できる点で優れるとともに、次に述べる第2鞘管ガイド85との嵌合においても両ガイド筒部84a、85aの先端同士が互いに当るような相互干渉を防止できるので、壁通し具81の設置作業性を容易にできる点でも優れる。
次に、外装パネル82の屋外側から第2鞘管ガイド85を、フランジ部85bがない方のガイド筒部85aの端部を先頭にして設置穴83にその内周面に沿わせながら挿入させる。この挿入はフランジ部85bが外装パネル82の外壁面において設置穴83の穴縁に引っ掛るまで行われ、それにより、ガイド筒部85aは外装パネル82を屋外側から屋内側に行くにしたがって斜め上向きとなる姿勢で設置穴83内に収容される。
このとき、ガイド筒部85aが、前記ガイド筒部84aの外周面と設置穴83の内周面と間の空隙gに挿入されて、ガイド筒部84aの外側に嵌合される。同時に、この筒部85aに設けられた第1引掛り部86が外装パネル82の厚みに適合した位置の第2引掛り部例えば第2引掛り部89を節度感を伴いながら乗り越えて、これに引掛かる(図5参照)。これらの引掛り部86、89の係合により第2鞘管ガイド85は第1鞘管ガイド84に連結されるから、以上の挿入作業を終えて第2鞘管ガイド85から手を離しても、このガイド85が斜め下方に脱落することがない。
そして、このように両鞘管ガイド84、85が連結された状態で、第2鞘管ガイド85のフランジ部85bの図示しないねじ通し穴に通されて外装パネル82にねじ込まれるねじ91を夫々締付けて、第2鞘管ガイド85を外装パネル82に固定する。この場合、既述のように第2鞘管ガイド85が脱落しないように第1鞘管ガイド84に支持されているので、ねじ91の締め付け作業において第2鞘管ガイド85の脱落を片手で阻止しつつ作業を行なう面倒がないので、容易にねじ止めすることができる。
最後に、図5及び図6に示されるようにフランジ部85bとその周囲の外装パネル82の外壁面とにわたってコーキング材92を設けて止水処理をする。それにより設置穴83と第2鞘管ガイド85との間への屋外からの浸水を防止できる。なお、この止水処理に代えて、フランジ部85bと外装パネル82の外面との間に止水パッキンを接着することもできる。
以上の手順により、フランジ部84b、85a間に外装パネル82を挟んだ状態で外装パネル82を斜めに貫通して壁通し具81が設置される。
この後には、互いに連結された外装パネル82を斜めに貫通した第1、第2鞘管ガイド84、85を備えた壁通し具81の互いに連続するガイド筒部84a、85aに外装パネル82の例えば内壁面側から鞘管5を通して、この鞘管5を外装パネル82に対して斜めに貫通させた後、この鞘管5内に外装パネル82の外面側から配管4を挿入することにより、鞘管5内を通して所定の場所に配管4を導いて配設する。
この場合、第1鞘管ガイド84のガイド筒部84aが第2鞘管ガイド85のガイド筒部85aの内側に嵌合されているから、屋内側から鞘管5を壁通し具81を貫通する鞘管5が、ガイド筒部85aの先端に引掛る恐れがなく、したがって、鞘管5の挿通作業性がよい。この設置状態において、屋外側の鞘管ガイド85と鞘管5との間の止水を行なう場合には、これらにわたって図示しないコーキング材を充填することで行なえばよい。
なお、以上の点以外の接続作業等は前記参考例と同じである。又、プレハブ住宅の外装パネル82に対してはその生産段階で予め壁通し具81を装着して置くことができるので、このようにして建築現場に供給する場合には、建築現場では壁通し具81を外装パネル82に設置する作業を要することがなくなり、したがって、建築現場での鞘管5及び配管4の配設作業を速やかに開始することができる。
以上説明した壁貫通配管の壁通し具81を用いた配管4及び鞘管5の配設作業によれば、外装パネル82を斜めに貫通して設けられた壁通し具81に鞘管5を通すことで、外装パネル82の内壁面に沿うように鞘管5を屋内へと配設でき、外装パネル82の屋内側の狭い壁裏空間内においても鞘管5を無理に折り曲げて座屈変形を起こさせることがない。このため、鞘管5の内部に通して屋外から屋内へと配設する配管4も無理に折り曲げて座屈変形を起こさせることなく、容易に配設できる。さらに、屋外側より配管4を斜め下方に引っ張ることにより、挿入時と同様に鞘管5をガイドとして少ない抵抗で容易に配管4を引き出せるので、こうした配管4の出し入れ操作によって、将来において配管4が老朽化した場合の配管4の更新作業も簡単に行うことができる。
しかも、前記壁通し具81の採用により、鞘管5を外装パネル82の位置において途切れることなく屋外から屋内へと連続して配設できるため、屋内で配管4から水が漏れ出しても鞘管5の内部を伝わって屋外へと排出され、屋内への浸水のおそれが低いとともに、外装パネル82を貫通した配管4に対する継手部分は外装パネル82の屋外側にあるので、漏水し易い前記継手部分からの漏水があっても屋内へ浸水するおそれがない。
又、屋外側の第2鞘管ガイド85は屋外側に向けて斜めに下がるように傾斜して外装パネル82をねじ止めされているので、雨水等が斜めの壁通し具81内のガイド筒部84a、85aを通って屋外から屋内へと浸入するおそれが殆どない。
更に、この壁通し具81は、第1、第2の鞘管ガイド84、85のフランジ部84b、85bで、外装パネル82を厚み方向から挟み込むサンドイッチ構造をとっているので、設置穴83と壁通し具81のガイド筒部84a、85aとの間の埋め戻し作業等の閉栓処理も不要にでき、施工性がよい。その上、前記サンドイッチ構造により、鞘管ガイド84、85に新規に配管4を通すときは勿論のこと、老朽化した配管4を新品の配管と交換するときにおいても、配管4や鞘管5を壁通し具81に通す際等に加わる操作力を、配管4等を押し込んだり、引き出したりする操作方向の上流側において外装パネル82に引掛かっているフランジ部84b又は85bに波及させて外装パネル82で分散して支持できる。よって、壁通し具81が外装パネル82から不用意に外れたり、外装パネル82とこれを挟んだフランジ部84b又は85bとの接合が緩むことがなく、したがって、防水性が損なわれるおそれを低くできる。
又、前記構成の壁通し具81の採用により、大きな円形の穴を外装パネル82に設ける必要がなく、斜めの設置穴83を設けることに伴う外装パネル82の強度の低下を抑制できる。しかも、この一実施形態に係る壁通し具81は、その構成部品が二つで済むので、構造が簡単であり、安価に提供できるとともに、その外装パネル82への固定も通常のねじ止め作業により容易に行なうことができる。なお、この一実施形態において、フランジ部84b、85bを外装パネル82に固定する手段は、ねじ止めに代えて、接着剤や両面接着テープ等の接着手段を用いてもよいものである。
なお、本発明は前記一実施の形態には制約されない。例えば、一実施形態において壁貫通配管の壁通し具を住宅の外壁へ取付けるにあたって、ねじによって前記外壁に直接穴を開けられるのを嫌う場合には、防水効果の高い接着剤等を用いて前記外壁に設けられた設置穴に直接取付けても構わない。
又、配管及び鞘管の配設も、前述のように住宅の外壁を貫通させて屋外から屋内へと引き込むばかりではなく、その逆に屋内から屋外へと引き出しても差し支えない。
又、本発明の壁貫通配管の壁通し具を用いて住宅の外壁を貫通させて屋外と屋内とにわたって配設するものは、給湯器等から延ばされる送液管に限らず、例えば、電話線などの通信系ケーブル、電線などの電力系ケーブル等であってもよい。この場合、鞘管を作る材料もこの内部に通して配設する管や線に合わせて、防電磁波能力に優れたもの等、様々な材料を使い分けることが望ましい。
本発明の参考例に係る壁貫通配管の壁通し具を外壁に取付けて配設した状態を示す断面図。 (a)は本発明の参考例に係る壁通し具を分解して示す斜視図。 (b)は本発明の参考例に係る壁通し具を組み立てた状態を示す斜視図。 図1に示した状態の壁貫通配管のA部を拡大した断面図。 (a)は鞘管が通された参考例の壁通し具を示す正面図。 (b)は鞘管が通された参考例の壁通し具を示す裏面図。 本発明の一実施の形態に係る壁貫通配管用の壁通し具の使用状態を示す前記図3相当の断面図。 一実施の形態に係る壁通し具を図5中矢印X方向から見て示す図。 一実施の形態に係る壁通し具を図5中矢印W方向から見て示す図。
符号の説明
4…配管、
5…鞘管、
81…壁貫通配管の壁通し具、
82…外壁(壁)、
83…設置穴、
84…第1鞘管ガイド、
84a…第1ガイド筒部、
84b…第1フランジ部、
85…第2鞘管ガイド、
85a…第2ガイド筒部、
85b…第2フランジ部、
86…第1引掛り部(他の引掛り部)、
87〜89…第2引掛り部、
90,91…ねじ、
92…コーキング材(止水処理)

Claims (4)

  1. 斜めに貫通する設置穴が開けられた壁の厚みより短く前記設置穴の径より小さい円筒からなり前記設置穴に挿入されるとともに弾性変形が可能な第1ガイド筒部、この筒部の一端部外周に外側に張り出して設けられ前記壁の一面に固定される第1フランジ部、及び前記第1ガイド筒部の外周面にこの筒部の軸方向に間隔的に設けられるとともに前記第1ガイド筒部の周方向に連続する断面三角形状の突条からなる複数の引掛り部を有する第1鞘管ガイドと、
    前記第1ガイド筒部より大径で前記壁の厚みより短い円筒からなり前記設置穴に挿入されて前記第1ガイド筒部に嵌合するとともに弾性変形が可能な第2ガイド筒部、この筒部の一端部外周に外側に張り出して設けられ前記壁の他面に固定される第2フランジ部、及び前記第2ガイド筒部の先端部内周面にこの筒部の周方向に連続して設けられるとともに断面三角形状の突条からなり前記複数の引掛り部に係脱可能な他の引掛り部を有する第2鞘管ガイドと、
    を具備し、
    前記複数の引掛り部が夫々異なる前記壁の厚みに対応して設けられていて、この引掛り部と前記第2鞘管ガイドが有した他の引掛り部との前記設置穴内での引掛りにより、長さを延ばすか縮めることで前記壁の厚みに適合する長さを得て前記第1、第2の鞘管ガイドが連結されることを特徴とする壁貫通配管の壁通し具。
  2. 前記第2ガイド筒部の外径が前記設置穴の径に略等しく、前記設置穴と略同径のスペーサ段部を、前記第1ガイド筒部の前記第1フランジ部側の根元部外周に設けたことを特徴とする請求項1に記載の壁貫通配管の壁通し具。
  3. 請求項1又は2に記載の壁通し具を使用し、その第1鞘管ガイドの第1ガイド筒部を外壁の一面側からこの外壁を斜めに貫通する設置穴に挿入するとともに前記第1鞘管ガイドの第1フランジ部を前記外壁の一面に接触させて、前記第1鞘管ガイドが前記外壁に固定されており、前記第2鞘管ガイドの第2ガイド筒部を前記外壁の他面側から前記設置穴に挿入するとともに前記第2鞘管ガイドの第2フランジ部を前記外壁の他面に接触させて、前記第2鞘管ガイドが前記外壁に固定され、かつ、前記設置穴内で互いに嵌合された前記第1、第2のガイド筒部がそれらの引掛り部の引掛りで連結されており、前記第1、第2のガイド筒部にそれらの傾き方向に鞘管が通されてこの鞘管が前記外壁に対して途切れることなく斜めに貫通されているとともに、前記外壁を貫通する配管が曲がることなく前記鞘管に通されていることを特徴とする壁貫通配管の壁貫通構造。
  4. 前記外壁の屋外側に面に固定されたフランジ部とその周囲の壁面との間に止水処理が施されていることを特徴とする請求項3に記載の壁貫通配管の壁貫通構造。
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