JP2006046440A - リニアソレノイド弁の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【目的】 油圧の変動による制御性の低下を防止しつつ、作動不良を防止することができるリニアソレノイド弁の制御装置を提供する。
【解決手段】 制御実行判定手段において所定のスティック防止制御実行条件が成立したと判定された場合、リニアソレノイド弁の出力油圧を、異物除去のため予め定められた方向とは反対方向である油圧上昇側に変化させ、次いで、異物除去のために予め定められた方向である油圧低下側に変化させることにより、スティック防止制御実行条件が成立したと判定されたときよりも高い側で出力油圧を変化させる。このようにすると、出力油圧が望ましくない値にまで低下することが防止されて、出力油圧の変動による制御性の低下が防止される。
【選択図】 図5

Description

本発明は、リニアソレノイド弁の制御装置に関し、特に、車両に搭載されるトルクコンバータや自動変速機等の油圧を制御するためのリニアソレノイド弁を制御する制御装置に関する。
車両に搭載されるトルクコンバータや自動変速機等の油圧を制御するために、リニアソレノイド弁が設けられる。このリニアソレノイド弁は、所定の油圧が供給される入力ポート、調圧された油圧を出力する出力ポート、ドレンポート等を備えており、出力油圧を調圧している状態では、入力ポート或いはドレンポートのクリアランスが、例えば数十μm程度と極めて小さい状態とされることがあるため、油中に混じっている鉄粉等の異物が小さな開口部に引っ掛かり、油圧制御の作動不良を起こす恐れがある。
かかる作動不良を防止するために、リニアソレノイド弁による調圧が必要でないときに、リニアソレノイド弁の弁子を大きく移動させて開口部を開き、油とともに異物を排出する技術が知られている。また、リニアソレノイド弁が調圧状態とされているときにも、ソレノイドの励磁電流に周期的な変化を付与して異物を除去する技術が知られている(たとえば、特許文献1)。この特許文献1には、ロックアップクラッチの係合力を制御するためのリニアソレノイド弁に対して、ソレノイドの励磁電流に、制御前の一定値(標準値)を中心とする正弦曲線状の周期的変化を与える制御技術が開示されている。このように、周期的な変化が、制御前の一定値を中心とする正弦曲線状の変化である場合には、平均的には、制御開始後も制御開始前と同じ油圧が出力されることになる。
特開平7−54992号公報
上記特許文献1のように、ソレノイドの励磁電流に制御前の一定値を中心とする正弦曲線状の周期的な変化を付与する制御を行う場合、リニアソレノイド弁から出力される出力油圧も制御前の一定値を中心として正弦曲線状に変動し、この出力油圧の変動によって制御性が低下するという問題がある。すなわち、出力油圧が一定値を中心として正弦曲線状に変化させられる場合には、出力油圧が、制御性が低下するような値にまで周期的に増加または低下してしまうという問題がある。たとえば、特許文献1のように、リニアソレノイド弁がロックアップクラッチの係合力を制御するものである場合には、ロックアップクラッチの係合力が周期的に制御前の一定値よりも低下し、それにより、車両の駆動トルクが低下したり機関の不要な吹き上がりが生じる恐れがある。
そこで、特許文献1では、リニアソレノイド弁の作動不良が生じやすい一定の制御状態が所定時間継続した場合にのみ、異物除去のための制御を行うこととしている。しかし、一定の制御状態が所定時間継続した場合にのみ制御を行うことは、出力油圧の変動による制御性の低下を軽減することができるに過ぎず、かかる制御性の低下を解決するものではない。
また、特許文献1には、ソレノイドの励磁電流の変化に対応して機関出力を制御することも可能である点が記載されているが、具体的な制御は何ら記載されておらず、仮に機関出力を制御するとしても、制御が複雑となってしまうという問題がある。
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、油圧の変動による制御性の低下を防止しつつ、作動不良を防止することができるリニアソレノイド弁の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明は、(a)ソレノイドの励磁電流を変化させることにより入力された油圧を調圧して出力するリニアソレノイド弁を制御するリニアソレノイド弁の制御装置であって、(b)所定のスティック防止制御実行条件が成立したか否かを判定する制御実行判定手段と、(c)その制御実行判定手段によりスティック防止制御実行条件が成立したと判定された場合に、前記リニアソレノイド弁の出力油圧を、異物除去のために予め定められた方向とは反対方向に変化させ、次いで、異物除去のために予め定められた方向に変化させることにより、その制御実行判定手段によりスティック防止制御実行条件が成立したと判定されたときよりも高い側または低い側の一方で出力油圧を変化させるステッィク防止制御手段とを、含むことを特徴とする。
この発明によれば、制御実行判定手段によりスティック防止制御実行条件が成立したと判定された場合、リニアソレノイド弁の出力油圧が、異物除去のために予め定められた方向に変化させられるので、リニアソレノイド弁の作動不良が防止される。また、その異物除去のための出力油圧の変化前に、その油圧変化の方向とは反対方向に出力油圧が変化させられることにより、スティック防止制御実行条件が成立したと判定されたときの油圧よりも高い側または低い側の一方で出力油圧が変化させられるので、出力油圧が望ましくない値にまで低下または増加することが防止されて、油圧の変動による制御性の低下も防止される。
リニアソレノイド弁は、出力ポートを入力ポートおよびドレーンポートの双方に同時に連通させることのない、所謂オーバーラップタイプ、および、それとは逆に、出力ポートを入力ポートおよびドレーンポートの双方に同時に連通させることがあるアンダーラップタイプのいずれでもよく、また、フィードバック室を有する形式であっても、フィードバック室を有さない形式であってもよい。
本発明では、前記制御実行判定手段は、ステッィク防止制御手段において基準となる出力油圧を決めるためのものであり、ステッィク防止制御実行条件には特に制限はない。たとえば、ステッィク防止制御実行条件としては、ソレノイドに対する指示値が一定値で一定時間継続したこと、指示値が一定値で一定時間継続すると予測されたこと、などが条件とされる。ここで、指示値が一定値で一定時間継続すると予測される場合とは、たとえば、後述する実施例のように、リニアソレノイド弁がCVTのベルト挟圧力の制御に用いられる場合においては、シフトレバーポジションがDレンジである状態で車両が停止した場合などがある。
異物除去のために予め定められた方向が油圧上昇側であるか油圧低下側であるかは、リニアソレノイド弁を備えた装置を用いて実際に実験を行うことにより決定することができる。
本発明は、(1)異物除去のためには油圧を低下させる必要があるが、出力油圧を低下させると制御上問題が生じる場合、および、(2)異物除去のためには油圧を上昇させる必要があるが、出力油圧を上昇させると制御上問題が生じる場合に好適に用いられる。出力油圧を上昇側および低下側のいずれに変化させると制御上問題が生じるかは、リニアソレノイド弁によって制御される装置およびリニアソレノイド弁の制御方法等に関連するが、リニアソレノイド弁を備えた装置を用いて実際に実験を行うことにより決定することができる。出力油圧を低下させると制御上問題が生じる場合とは、たとえば、前記特許文献1のようにリニアソレノイド弁によりロックアップクラッチの係合力を制御する場合や、後述する実施例のように、リニアソレノイド弁がCVTのベルト挟圧力の制御に用いられる場合が挙げられ、後述する実施例の場合には、リニアソレノイド弁の出力油圧がステッィク防止制御実行条件が成立したと判定された時点の油圧よりも低下してしまうと、ベルトに滑りが生じてしまう。また、リニアソレノイド弁をCVTのベルト挟圧力の制御に用いる場合であっても、一定状態におけるベルト挟圧力を高めに設定すると、出力油圧の低下によってベルトに滑りが生じるという問題が軽減乃至解消する代わりに、出力油圧の上昇による問題が生じ、出力油圧の上昇によってベルト挟圧力が突然上昇してしまいショックが生じる恐れがある。
また、異物除去のための出力油圧の上昇または低下量は、リニアソレノイド弁に備えられているスプール弁子の移動量が最大となるようにすることが好ましい。このようにすれば、異物をより確実に排出できるからである。ただし、この出力油圧の上昇または低下によりショックが生じるなどの別の問題が生じる場合には、出力油圧を上昇または低下させる程度は、実験に基づいて定められる。なお、異物除去のための出力油圧の変化に先立つ反対方向の油圧変化の量および時間は、異物除去のための出力油圧の変化に基づいて定まり、ステッィク防止制御を実行しても、リニアソレノイド弁の出力油圧が、スティック防止制御実行条件が成立したと判定されたときの油圧を跨ぐような変化をしないように設定される。
次に、本発明を図面に基づいてより具体的に説明する。図1は、本発明の制御装置が適用された車両用駆動装置10の骨子図である。この車両用駆動装置10は横置き型で、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に好適に採用されるものであり、走行用の動力源として用いられる内燃機関としてエンジン12を備えている。エンジン12の出力は、トルクコンバータ14から前後進切換装置16、ベルト式無段変速機(CVT)18、減速歯車20を介して差動歯車装置22に伝達され、左右の駆動輪24L、24Rへ分配される。
トルクコンバータ14は、エンジン12のクランク軸に連結されたポンプ翼車14p、およびタービン軸34を介して前後進切換装置16に連結されたタービン翼車14tを備えており、流体を介して動力伝達を行う流体継手である。また、それ等のポンプ翼車14pおよびタービン翼車14tの間にはロックアップクラッチ26が設けられ、それ等を一体的に連結して一体回転させることができるようになっている。上記ポンプ翼車14pには、無段変速機18を変速制御したりベルト挟圧力を発生させたり、或いは各部に潤滑油を供給したりするための油圧を発生する機械式のオイルポンプ28が設けられている。
前後進切換装置16は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置にて構成されており、トルクコンバータ14のタービン軸34はサンギヤ16sに連結され、無段変速機18の入力軸36はキャリア16cに連結されている。そして、前進走行時には、キャリア16cとリングギヤ16rとの間に配設された前進クラッチ38が係合させられることにより、上記遊星歯車装置が一体回転させられてタービン軸34が入力軸36に直結され、前進方向の駆動力が駆動輪24R、24Lに伝達される。後進走行時には、リングギヤ16rとハウジングとの間に配設された後進ブレーキ40が係合させられるとともに上記前進クラッチ38が解放されることにより、入力軸36はタービン軸34に対して逆回転させられ、後進方向の駆動力が駆動輪24R、24Lに伝達される。また、前進クラッチ38および後進ブレーキ40が共に解放されると、エンジン12と無段変速機18との間の動力伝達が遮断される。
無段変速機18は、上記入力軸36に設けられたV溝幅が可変の入力側可変プーリ42と、出力軸44に設けられたV溝幅が可変の出力側可変プーリ46と、それ等の可変プーリ42、46の有効径をそれぞれ変化させる入力側油圧シリンダ43および出力側油圧シリンダ47と、それ等の可変プーリ42、46に巻き掛けられて動力を伝達する動力伝達部材である伝動ベルト48とを備えており、可変プーリ42、46と伝動ベルト48との間の摩擦力を介して動力伝達が行われる。そして、入力側油圧シリンダ43の油圧が制御されることにより、両可変プーリ42、46のV溝幅が変化して伝動ベルト48の掛かり径(有効径)が変更され、変速比γ(=入力軸回転速度Nin/出力軸回転速度Nout)が連続的に変化させられる。また、出力側油圧シリンダ47の油圧は、伝動ベルト48の滑りが生じないベルト挟圧力が得られるように調圧制御される。
図2は、前記無段変速機18の制御系統を説明するブロック線図である。CVTコントローラとして機能する電子制御装置50は、所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、無段変速機18の変速比制御や挟圧力制御を行うもので、シフトレバーのレバーポジションを検出するレバーポジションセンサ52、アクセル操作量センサ54、エンジン回転速度センサ56、車速センサとしても機能する出力軸回転速度センサ58、入力軸回転速度センサ60、タービン回転速度センサ62などから、それぞれシフトレバー64のレバーポジションPsh、アクセルペダルの操作量θACC 、エンジン回転速度Ne 、出力軸回転速度Nout (車速Vに対応)、入力軸回転速度Nin、タービン回転速度Nt などを表す信号が供給されるとともに、それらの入力信号に基づいて、油圧制御回路30を制御する。
上記シフトレバー64は、例えば運転席の横に配設されて運転者により切換操作されるもので、例えば駐車用のPポジション、後進走行用のRポジション、動力伝達を遮断するNポジション、前記無段変速機18の全変速領域を使って自動変速しながら前進走行するDポジション、変速比γが小さい高速側変速領域が制限された変速領域だけで自動変速する前進走行用のLポジションを備えている。
図3は、上記油圧制御回路30のうち、伝動ベルト48のベルト挟圧力の調圧作動に関連する回路を示している。
図3において、前記油圧ポンプ28により圧送された作動油はリリーフ弁型のライン圧調圧弁72によりライン圧Pに調圧され、減圧弁型のクラッチ元圧制御弁74によってそのライン圧Pからそれよりも低いクラッチ元圧Pが調圧される。クラッチ元圧制御弁74は、後進ブレーキ圧PB1を前進クラッチPC1よりも所定値高くするために、その後進ブレーキ圧PB1が供給されることに基づいてクラッチ元圧Pを所定値高く調圧する。このクラッチ元圧Pは、ソレノイド圧モジュレータ弁76および前記リニヤソレノイド弁78へ供給される。
上記ソレノイドモジュレータ弁76は、減圧弁型の調圧弁であり、クラッチ元圧Pよりも低い一定のソレノイドモジュレータ圧Pを出力する。このソレノイドモジュレータ圧Pは、挟圧力制御弁80へ供給される。
リニヤソレノイド弁78は、電子制御装置50からの指令値に対応する大きさの油圧信号である出力油圧PSOLを発生し、挟圧力制御弁80へ供給する。このリニアソレノイド弁78は、入力圧としてクラッチ元圧Pが供給される入力ポート78a、出力油圧PSOLを出力する出力ポート78b、スプール弁子78cをソレノイドSL側へ付勢するスプリング78d、スプール弁子78cをスプリング78c側へ付勢するソレノイドSL等を備えており、ソレノイドSLに供給される励磁電流の大きさが電子制御装置50からの信号によってデューティ制御されることにより、励磁電流のデューティ比SLUに対応して調圧された出力油圧PSOLが出力される。すなわち、かかるリニヤソレノイド弁78は、スプール弁子78cに作用する油圧やばね力、ソレノイドSLによる付勢力が釣り合うように、励磁電流に応じて出力油圧PSOLを制御するもので、この実施例では、励磁電流のデューティ比SLUが大きいほど出力油圧PSOLが高くなる。
挟圧力制御弁80は、ライン圧Pが供給される入力ポート80iと出力側油圧シリンダ47に連通する出力ポート80oとの間を開閉するスプール弁子80aと、そのスプール弁子80aを開弁方向に付勢するスプリング80bと、そのスプリング80bを収容し且つ開弁方向の推力を発生させるために上記リニヤソレノイド弁78から出力される出力油圧PSOLを受け入れる制御油室80cと、閉弁方向の推力を発生させるために挟圧力制御弁80から出力されるベルト挟圧力制御圧Pを受け入れるフィードバック油室80dと、閉弁方向の推力を発生させるために前記ソレノイドモジュレータ圧Pを受け入れる油室80eとを備え、次式から出力油圧PSOLに基づいてベルト挟圧力制御圧Pを出力する。次式において、Fはスプリング80bの付勢力、s1は制御油室80cにおけるスプール弁子80aの有効受圧面積、s2はフィードバック油室80dにおけるスプール弁子80aの有効受圧面積、s3は油室80eにおけるスプール弁子80aの有効受圧面積である。
=(F+PSOL・s1+P・s3)/s2
図4は、上記電子制御装置50の制御作動の要部を説明するフローチャートである。なお、本フローチャートは、数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行するようになっている。
図4において、まず、ステップ(以下、ステップを省略する)S1では、リニアソレノイド弁78の状態、すなわち、そのリニアソレノイド弁78のスプール弁子78cがその位置に継続的に位置している時間を、励磁電流のデューティ比SLUが一定値を保持している継続時間T1に基づいて判定する。
続くS2は、制御実行判定手段に相当し、上記継続時間T1が予め設定された基準時間Tstを超えたか否か、および、上記継続時間T1が基準時間Tstを超えることが予測される状態となったか否かを判断する。すなわち、本実施例では、継続時間T1が予め設定された基準時間Tstを超えたか否か、および、上記継続時間T1が基準時間Tstを超えることが予測される状態となったか否かが、ステッィク防止制御実行条件となっている。なお、継続時間T1が基準時間Tstを超えることが予測される状態とは、たとえば、シフトレバー64がDポジションの位置において、車両が停止した状態であり、レバーポジションセンサ52からの信号および出力軸回転速度センサ58からの信号に基づいて判断する。
上記S2の判断が否定された場合には、本ルーチンを一旦終了する。一方、S2の判断が肯定された場合には、S3およびS4からなるステッィク防止制御手段を実行する。このステッィク防止制御手段は、S3の予備制御と、S4の異物除去制御とからなる。
本実施例の場合には、出力油圧PSOLを低下させないと異物除去が困難であることが実験から判明しているので、まず、S3では、それとは反対方向に出力油圧PSOLを変化させるために、デューティ比SLUを高くする。このS3において、デューティ比SLUをどの程度高くするか、および、高くしたデューティ比SLUをどのぐらいの時間保持するかは、次のS4における異物除去制御によって定まり、異物除去制御を実行しても、S3実行前の出力油圧PSOLを下まわらないように設定される。
続くS4では、S3とは逆に、デューティ比SLUを、S2において判断が肯定された時点の値よりも低い値まで低下させる。このS4におけるデューティ比SLUの指示値およびその指示値を保持する保持時間は、たとえば、予め定められた一定値とされるが、この一定値は、スプール弁子78cが異物除去可能な位置まで移動できるように定められている。そして、デューティ比SLU上記指示値にて上記保持時間だけ保持した後は、デューティ比SLUをS2において判断が肯定された時点の値に復帰させる。
図5(a)は、図4において説明したステッィク防止制御を実行したときのデューティ比SLU、および出力油圧PSOLの変化を示す図であり、(b)は、比較のために、前記予備制御を実行せず、異物除去制御のみを実行した場合のデューティ比SLU、および出力油圧PSOLの変化を例示する図である。なお、図5(a)、(b)は、制御実行判定時のデューティ比SLUが20%である場合を例としている。
図5(a)に示されるように、前記ステッィク防止制御、すなわち、異物除去制御の前に予備制御が実行される場合には、その予備制御により出力油圧PSOLが予め上昇させられるので、異物除去制御により出力油圧PSOLが低下させられても、出力油圧PSOLは、ステッィク防止制御実行前の値よりも低くなることが防止されている。なお、予備制御の実行時間および異物除去制御の実行時間は、いずれも、たとえば30〜40msecとされる。これに対して、図5(b)のように、予備制御が実行されず、異物除去制御のみが実行される場合には、異物除去制御により出力油圧PSOLが制御実行前の値よりも低くなってしまうので、出力油圧PSOLの低下によってベルト挟圧力が低下し、伝動ベルト48に滑りが生じてしまう恐れがある。
また、図5(a)の例では、予備制御におけるデューティ比SLUは最大値(100%)とされ、異物除去制御におけるデューティ比SLUは最小値(0%)とされているので、スプール弁子78cの移動量が大きくなる。従って、より確実に異物が除去される。
以上、説明したように、本実施例によれば、S2(制御実行判定手段)において、スティック防止制御実行条件が成立したと判定された場合、リニアソレノイド弁78の出力油圧PSOLが、異物除去のために低下させられるので、リニアソレノイド弁78の作動不良が防止される。また、その異物除去のための出力油圧PSOLの低下前に、出力油圧PSOLが上昇させられることにより、スティック防止制御実行条件が成立したと判定されたときの出力油圧PSOLよりも高い側で出力油圧PSOLが変化させられるので、出力油圧PSOLが望ましくない値にまで低下することが防止されて、出力油圧PSOLの変動による制御性の低下も防止される。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
たとえば、前述の実施例では、スティック防止制御は一回のみ実行していたが、前記S3乃至S4を所定回数繰り返すことにより、スティック防止制御を複数回実行するようになっていてもよい。
本発明の制御装置が適用された車両用駆動装置の骨子図である。 図1の無段変速機の制御系統を説明するブロック線図である。 図2の油圧制御回路のうち、伝動ベルトのベルト挟圧力の調圧作動に関連する回路を示す図である。 図2の電子制御装置の制御作動の要部を説明するフローチャートである。 (a)は、ステッィク防止制御を実行したときのデューティ比SLUおよび出力油圧PSOLの変化を示す図、(b)は、予備制御を実行せず、異物除去制御のみを実行した場合のデューティ比SLUおよび出力油圧PSOLの変化を例示する図である。
符号の説明
78:リニアソレノイド弁
SL:ソレノイド
S2:制御実行判定手段
S3、S4:ステッィク防止制御手段

Claims (1)

  1. ソレノイドの励磁電流を変化させることにより入力された油圧を調圧して出力するリニアソレノイド弁を制御するリニアソレノイド弁の制御装置であって、
    所定のスティック防止制御実行条件が成立したか否かを判定する制御実行判定手段と、
    該制御実行判定手段によりスティック防止制御実行条件が成立したと判定された場合に、前記リニアソレノイド弁の出力油圧を、異物除去のために予め定められた方向とは反対方向に変化させ、次いで、異物除去のために予め定められた方向に変化させることにより、該制御実行判定手段によりスティック防止制御実行条件が成立したと判定されたときよりも高い側または低い側の一方で出力油圧を変化させるステッィク防止制御手段と
    を、含むことを特徴とするリニアソレノイド弁の制御装置。
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