JP2006045060A - セメント組成物およびその製造方法 - Google Patents

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達夫 五十畑
Tatsushi Akiyama
達志 秋山
Shinobu Uchihata
忍 内畠
Shoji Shibuta
祥司 渋田
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Abstract

【課題】有機成分共存下においてセメントを使用するに際し、セメント中のフッ素成分によるその水和反応の遅延を抑制することにより、フッ素含有廃棄物をポルトランドセメント原料として有効利用することを可能とする新たな技術を提供することを主な目的とする。
【解決手段】フッ素を含有するセメント組成物であって、f-CaO含有量Y(重量%)とフッ素含有量X(重量%)とが下記の関係式を満足するセメント組成物;
(1)0.08≦X≦0.4、
(2)0.08≦X≦0.1の領域では、0≦Y≦1.0、
(3)0.1<X≦0.2の領域では、0≦Y≦1.4-4X、
(4)0.2<X≦0.4の領域では、0≦Y≦0.9-1.5X。
【選択図】なし

Description

本発明は、セメント組成物およびその製造方法に関する。
セメント産業において、ハロゲンは、クリンカー焼成時の鉱物生成反応を促進し、燃料コストを低減するためのフラックス(融剤)として使用されてきた。例えば、フッ素に関しては、セメント原料にCaF2(蛍石)を0.5重量%程度添加することにより、焼成熱量を約3%削減できることが知られている。しかしながら、蛍石は、焼成熱量削減という効果を達成するにもかかわらず、キルン、プレヒータなどのコーチング増加という製造上の問題点あるいはコスト増大という経済上の問題点を生じるため、最近ではあまり使用されなくなりつつある。
従来、セメント中のフッ素含有量についての研究報告は、あまりなされていないが、通常の製品セメント中に含まれるフッ素含有量は、310〜440ppm程度であると報告されており、原料への蛍石の添加によりその含有量が増加した場合でも、セメント品質に対する影響は少なく、むしろ水和を促進するとされている(非特許文献1)。
近年回収資源のリサイクル或いは廃棄物の有効利用という観点から、各種の廃棄物をセメント原料として利用する動きが急速に進行しつつあり、フッ素成分を含む廃棄物も、当然その対象となっている。しかしながら、廃棄物発生源の相違に起因して種々の形態を有し、かつ量的にも変動の多いフッ素成分を含む廃棄物をセメント原料として使用する場合には、上記の製造上の問題に加えて、フッ素含有量などに応じて、セメントの品質そのものにも影響を及ぼすものと推測されるが、その具体的な作用・機能などが十分に解明されていないので、フッ素成分含有廃棄物は、未だ十分に有効利用されるには至っていない。
本発明者は、フッ素含有廃棄物のセメント原料としての有効利用をはかるべく研究を進める過程で、(イ)廃棄物中のフッ素成分は、蛍石と同様に、セメントクリンカー焼成中にフラックスとしての効果を発揮すること、(ロ)しかしながら、得られるフッ素含有セメントを有機性水和遅延成分の共存下で使用する場合 (例えば、高強度・高流動コンクリートにおける流動性確保のために、有機混和剤を大量に使用する場合;細片状ないし繊維状有機質材料を含む建材を製造する場合;有機成分を含む土壌を固化させる場合など) には、エーライトの水和反応性が著しく低下するという障害が存在することを見出した。
内川、セメント・コンクリート、556、49(1993)
従って、本発明は、フッ素成分による水和反応性の阻害を抑制することにより、フッ素含有廃棄物をセメント原料として有効利用することを可能とする新たな技術を提供することを主な目的とする。
本発明者は、上記の様な技術の状況および社会的趨勢に留意しつつ、鋭意研究を進めた結果、セメント中の遊離のCaO(以下“f-CaO”という場合がある)含有量とフッ素含有量とを相互に関連させて制御する場合には、有機性水和遅延成分の共存下におけるセメント−水系でのエーライトの水和反応性低下という問題点を実質的に解消し得ることを見出した。
また、セメント原料にCaF2を配合する場合或いはフッ素含有廃棄物をセメント原料の一部として使用する場合に、フッ素成分を融剤とするという従来の考え方とは逆に、クリンカーの焼成温度を高めるとともに、f-CaO量を低減することにより、有機性水和遅延成分存在下での水和反応性の低下を軽減しうることを見出した。
すなわち、本発明は、下記のセメント組成物とその製造方法を提供する:
1.フッ素を含有するセメントであって、遊離CaO含有量Y(重量%)とフッ素含有量X(重量%)とが下記の関係式を満足するセメント;
(1)LSRが0.92〜0.99である場合;
*0.08≦X≦0.4、
*0.08≦X≦0.1の領域では、0≦Y≦1.0、
*0.1<X≦0.2の領域では、0≦Y≦1.4-4X、
*0.2<X≦0.4の領域では、0≦Y≦0.9-1.5X。
(2)LSRが0.85〜0.92である場合;
*0.08≦X≦0.4、
*0.08≦X≦0.1の領域では、0≦Y≦α1{α1=4(LSR)-2.68}、
*0.1<X≦0.2の領域では、0≦Y≦α2-4X{α2=4(LSR)-2.28}、
*0.2<X≦0.4の領域では、0≦Y≦α3-1.5X{α3=4(LSR)-2.78}。
2.普通ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメントおよび耐硫酸塩ポルトランドセメントからなる群から選ばれた1種である上記項1のセメント。
3.フッ素を含有するセメントクリンカーであって、遊離CaO含有量Y(重量%)とフッ素含有量X(重量%)とが下記の関係式を満足するセメントクリンカー;
(1)LSRが0.92〜0.99である場合;
*0.08≦X≦0.4、
*0.08≦X≦0.1の領域では、0≦Y≦1.0、
*0.1<X≦0.2の領域では、0≦Y≦1.4-4X、
*0.2<X≦0.4の領域では、0≦Y≦0.9-1.5X。
(2)LSRが0.85〜0.92である場合;
*0.08≦X≦0.4、
*0.08≦X≦0.1の領域では、0≦Y≦α1{α1=4(LSR)-2.68}、
*0.1<X≦0.2の領域では、0≦Y≦α2-4X{α2=4(LSR)-2.28}、
*0.2<X≦0.4の領域では、0≦Y≦α3-1.5X{α3=4(LSR)-2.78}。
4.上記項1または3に記載のセメントまたはセメントクリンカーを用いて得られた混合セメント。
5.高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメントまたはシリカヒュームセメントである上記項4に記載の混合セメント。
6.上記項1または3に記載のセメントまたはセメントクリンカーに高炉スラグおよび石膏からなる群から選ばれた少なくとも1種を配合してなる固化材。
7.フッ素を含有するセメント組成物の製造方法であって、セメント原料の焼成時温度T(℃)とフッ素含有量X(重量%)とが下記の関係式を満足するセメント組成物の製造方法;
(1)LSRが0.92〜0.99である場合;
*0.08≦X≦0.4、
*0.08≦X≦0.1の領域では、m1≦T≦1550{m1=800(LSR)+664}、
*0.1<X≦0.2の領域では、m2+400X≦T≦1550{m2=800(LSR)+624}、
*0.2<X≦0.4の領域では、m3+200X≦T≦1550{m3=800(LSR)+664}。
(2)LSRが0.85〜0.92である場合;
*0.08≦X≦0.4、
*0.08≦X≦0.1の領域では、1400≦T≦1550、
*0.1<X≦0.2の領域では、1360+400X≦T≦1550、
*0.2<X≦0.4の領域では、1400+200X≦T≦1550。
8.原料の少なくとも一部としてフッ素含有産業廃棄物を使用する上記項7に記載のセメント組成物の製造方法。
本発明によるセメントおよびセメントクリンカーにおいては、有機性水和遅延成分の共存下で適切な水和発熱ピーク時間と水和発熱ピーク高さを達成するためには、原料のLSRに対応して、そのf-CaO含有量Y(重量%)とフッ素含有量X(重量%)とが下記の関係式を満足していることを必須とする。
(1) LSR=0.92〜0.99の場合;
*0.08≦X≦0.4、
*0.08≦X≦0.1の領域では、0≦Y≦1.0、
*0.1<X≦0.2の領域では、0≦Y≦1.4-4X、
*0.2<X≦0.4の領域では、0≦Y≦0.9-1.5X。
LSR=0.92の場合において、フッ素成分の共存下におけるXとYとの関係の1例を二次元のグラフとして表すと、図1(水和発熱ピーク時間基準)および図2(水和発熱ピーク高さ基準)に示す通りとなる。
図1において、“○”は、セメント-減水剤-水系における水和発熱ピーク時間が30時間以下であるセメントを示す。
また、図2においては、“○”は、セメント-減水剤-水系における水和発熱ピーク高さが5J/g・hr以上であるセメントを示す。
図1および図2ならびに以下のいずれの図面(グラフ)においても、実線で囲まれた領域内の符号“○”に対応する数値が、本発明による組成物について得られた結果を示す。
また、LSR=0.97の場合において、フッ素成分の共存下におけるXとYとの関係の1例を二次元のグラフとして表すと、図5(水和発熱ピーク時間基準)および図6(水和発熱ピーク高さ基準)に示す通りとなる。
図5において、“○”は、セメント-減水剤-水系における水和発熱ピーク時間が27時間以下であるセメントを示す。
また、図6においては、“○”は、セメント-減水剤-水系における水和発熱ピーク高さが6J/g・hr以上であるセメントを示す。
(2)LSRが0.85〜0.92である場合;
*0.08≦X≦0.4、
*0.08≦X≦0.1の領域では、0≦Y≦α1{α1=4(LSR)-2.68}、
*0.1<X≦0.2の領域では、0≦Y≦α2-4X{α2=4(LSR)-2.28}、
*0.2<X≦0.4の領域では、0≦Y≦α3-1.5X{α3=4(LSR)-2.78}。
LSR=0.87の場合において、フッ素成分の共存下におけるXとYとの関係の1例を二次元のグラフとして表すと、図9(水和発熱ピーク時間基準)および図10(水和発熱ピーク高さ基準)に示す通りとなる。
図9において、“○”は、セメント-減水剤-水系における水和発熱ピーク時間が30時間以下であるセメントを示す。
また、図10においては、“○”は、セメント-減水剤-水系における水和発熱ピーク高さが4J/g・hr以上であるセメントを示す。
本発明によるセメントを使用する場合には、セメントの使用形態に応じて、フッ素含有セメント−水系中に共存ないし混入する各種の水和遅延有機成分(ポリカルボン酸系などの高性能有機減水剤などの有機混和材;木毛、木片、パルプなどの細片状乃至繊維状有機物;有機成分含有土壌など)が引き起こすエーライトの水和反応性低下という問題点が、実質的に解消ないし大幅に軽減される。
本発明によれば、フッ素成分の共存下において、水和遅延成分によるエーライト(C3S)の水和反応性の阻害を改善しうるので、エーライトを含有する限り、対象となるセメントは、限定されない。より具体的には、普通ポルトランドセメントだけではなく、超早強ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメントなどが包含される。
セメント組成物の製造
また、本発明によるフッ素含有セメント組成物の製造に際しては、セメント原料の焼成時温度T(℃)とフッ素含有量X(重量%)とが下記の関係式を満足することを必須とする。
(1)LSRが0.92〜0.99である場合;
*0.08≦X≦0.4、
*0.08≦X≦0.1の領域では、m1≦T≦1550{m1=800(LSR)+664}、
*0.1<X≦0.2の領域では、m2+400X≦T≦1550{m2=800(LSR)+624}、
*0.2<X≦0.4の領域では、m3+200X≦T≦1550{m3=800(LSR)+664}。
LSR=0.92の場合のXとTとの関係の1例を二次元のグラフとして表すと、図3(水和発熱ピーク時間基準)および図4(水和発熱ピーク高さ基準)に示す通りとなる。
図3において、“○”は、セメント-減水剤-水系における水和発熱ピーク時間が30時間以下であるセメントを示す。
また、図4においては、“○”は、セメント-減水剤-水系における水和発熱ピーク高さが5J/g・hr以上であるセメントを示す。
また、LSR=0.97の場合のXとTとの関係の1例を二次元のグラフとして表すと、図7(水和発熱ピーク時間基準)および図8(水和発熱ピーク高さ基準)に示す通りとなる。
図7において、“○”は、セメント-減水剤-水系における水和発熱ピーク時間が27時間以下であるセメントを示す。
また、図8においては、“○”は、セメント-減水剤-水系における水和発熱ピーク高さが6J/g・hr以上であるセメントを示す。
(2)LSRが0.85〜0.92である場合;
*0.08≦X≦0.4、
*0.08≦X≦0.1の領域では、1400≦T≦1550、
*0.1<X≦0.2の領域では、1360+400X≦T≦1550、
*0.2<X≦0.4の領域では、1400+200X≦T≦1550。
LSR=0.87の場合のXとTとの関係の1例を二次元のグラフとして表すと、図11(水和発熱ピーク時間基準)および図12(水和発熱ピーク高さ基準)に示す通りとなる。
図11において、“○”は、セメント-減水剤-水系における水和発熱ピーク時間が30時間以下であるセメントを示す。
また、図12においては、“○”は、セメント-減水剤-水系における水和発熱ピーク高さが4J/g・hr以上であるセメントを示す。
従来、セメント中のf-CaOあるいはクリンカーの焼成度とセメントの初期水和特性との関係について、焼成度の低い(あるいはf-CaO含有量の多い)クリンカーを使用する場合には、セメントの初期水和反応が早くなるのに対し、焼成度の高い(あるいはf-CaO含有量の少ない)クリンカーを使用する場合には、セメントの初期水和反応が遅くなるとされている(Uchikawa, H.(1984). Am.Ceram.Soc.bull. 63,1143)。すなわち、この報告は、セメントクリンカーの焼成度を高めることにより、セメントの初期水和反応性が低下することを示している。しかるに、本発明者の研究によれば、上記の関係式に示す様にf-CaO含有量と関連付けつつ、セメントクリンカーの焼成度を高める場合には、水和遅延成分の共存下という特定の条件下では、セメントの初期水和性状が改善されるという全く予想外の結果が得られることが明らかとなった。
本発明によるセメントは、有機系水和反応遅延成分が共存する条件下で特に優れた効果を発揮する。この様な有機系水和反応遅延成分としては、ポリカルボン酸系などの高性能有機減水剤などの有機混和材;建材用配合物としての木毛、木片、パルプなどの細片状乃至繊維状有機物;土壌中の主として草木に由来する有機成分などが例示される。
本発明によるセメントあるいはセメントクリンカーは、所定の添加成分を加え、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント、シリカヒュームセメントなどの混合セメントとして使用する場合ならびに高炉スラグ微粉末および石膏の少なくとも1種を配合して、固化材として使用する場合においても、有機系水和遅延成分が共存する条件下でやはり顕著な効果を発揮する。
有機質土壌用固化材として配合物を使用する場合には、例えば、本発明によるセメント/セメントクリンカー重量20〜50重量%、高炉スラグ微粉末10〜60重量%、石膏を10〜40重量%となる様に配合することが好ましい。この様な配合物を使用することにより、固化体の強度がより一層向上する。
本発明によるフッ素含有セメントは、有機混和剤あるいはその他の有機質の水和遅延成分を含む条件下においても、水和反応性の低下を抑制することができる。
また、本発明によれば、フッ素含有産業廃棄物をセメント原料として有効に利用することができる。
以下に実施例および比較例を示し、本発明の特徴とするところをより一層明らかにする。
実施例1〜33および比較例1〜10
表1に示す組成となる様にLSRの異なる3水準のクリンカー原料混合物を調製した。なお、各LSR水準において、フッ素含有量の異なる各原料混合物は、Ca量が同量となる様に、原料混合前にCaO(クリンカー焼成前は、CaCO3)をCaF2で置換することにより、調製した。
なお、上記原料混合物のLea-Parkerによる石灰飽和度(LSR)は、
LSR=CaO/(2.8SiO2+1.18Al2O3+0.65Fe2O3)
により算出した値である。
Figure 2006045060
次いで、得られたLSR=0.92である原料混合物を所定の温度で1時間焼成した後、炉外に取り出して、空気中で急冷し、クリンカーを得た。得られたクリンカーに全SO3量で2重量%となる様に二水石膏を添加し、粉末度3300±100cm2/gに粉砕して、セメントとした。
得られたセメントの水和発熱速度を常法に従ってコンダクションカロリーメータにより測定し、セメントの水和活性を評価した。測定方法は、以下の通りである。
(1)セメント−水系における測定
温度20℃、水/セメント比=50(重量%)の条件下に、水和発熱速度を測定した。
(2)セメント−有機成分−水系における測定
温度20℃、水/セメント比=40(重量%)、有機成分(混和剤)/セメント比=1.2重量%の条件下に、水和発熱速度を測定した。なお、混和剤としては、ポリカルボン酸系の高性能AE減水剤を使用した。
セメント中のフッ素含有率X(重量%)、f-CaO含有率Y(重量%)およびクリンカー焼成温度T(℃)と水和活性との関係をそれぞれ表2および表3に示す。なお、表2および表3に示す結果は、図1、図2、図3および図4に示す結果に対応する。
Figure 2006045060
Figure 2006045060
表2および3ならびに図1、図2、図3および図4に示す結果から、一般にクリンカー中のフッ素含有量Xの増加に伴って水和発熱のピーク時間に若干の遅れは認められるものの、f-CaO含有量Yおよびクリンカー焼成温度Tが所定の範囲内にある場合(すなわち、YおよびTが、本願請求項2、4および5に相当する領域内にある場合)には、ピーク高さはほぼ同等であり、フッ素によるセメントの水和発熱への顕著な影響は認められない。
また、同一フッ素量でのクリンカー焼成温度Tの上昇(すなわち、f-CaO含有量Yの減少)に伴って、僅かながらピーク時間の早まりおよびピーク高さの増加が認められる。
これに対し、比較例1〜10に示す結果から明らかな様に、フッ素含有量X がf-CaO含有量Yおよびクリンカー焼成温度Tとの関連において、本願請求項2、4および5に規定する条件を充足しない場合には、特に有機成分(減水剤)の存在下において、ピーク時間の著しい遅れが認められる。
なお、上記各実施例において、有機成分として、混和剤に代えて天然有機繊維を使用した場合にも、顕著な水和遅延抑制効果が得られることが確認された。
実施例34〜48および比較例11〜17
表1に示すLSR=0.97である原料混合物を使用する以外は、実施例1〜33と同様にして、クリンカーを調製し、二水石膏を添加し、粉砕して、セメントを得た後、同様にしてセメントの水和活性を評価した。結果を表4に示す。ただし、セメント−水系における測定結果は示していない。表4に示す結果は、図5、図6、図7および図8に示す結果に対応する。
Figure 2006045060
実施例49〜63および比較例18〜24
表1に示すLSR=0.87である原料混合物を使用する以外は、実施例1〜33と同様にして、クリンカーを調製し、二水石膏を添加し、粉砕して、セメントを得た後、同様にしてセメントの水和活性を評価した。結果を表5に示す。ただし、セメント−水系における測定結果は示していない。表5に示す結果は、図9、図10、図11および図12に示す結果に対応する。
Figure 2006045060
実施例64〜76および比較例25〜29
表1に示すLSR=0.92である原料混合物を使用し、実施例1〜33と同様にして、クリンカーを調製し、二水石膏を添加し、粉砕して、セメントを製造した。
次いで、得られたセメント30重量部、粉末度4500cm2/gに粉砕した高炉スラグ微粉末50重量部および粉末度4500cm2/gに粉砕した無水石膏20重量部を均一に混合して、土壌固化材を調製した。
得られた固化材を有機質土壌(ig.loss=15.2重量%)1m3当たり350kgの割合で混合し、W/C=60%の条件で直径5cm×高さ10cmの円柱供試体を作成し、20℃で封緘養生を行い、材齢28日の試験片を用いてその一軸圧縮強さを測定し、固化材の特性評価を行った。
また、有機質土壌に代えて非有機質土壌(シルト、ig.loss=6.2重量%)を使用するとともに、土壌1m3当たり200kgの割合で固化材を混合する以外は上記と同様にして円柱供試体を作製し、固化材の特性評価を行った。
試験結果を表6に示す。
Figure 2006045060
非有機質土壌を対象とする場合には、本発明実施例による固化材と比較例による固化材との間に、固化材としての特性上の大きな差違は認められない。しかしながら、有機質土壌を対象とする場合には、本発明実施例による固化材は、比較例による固化材に比して、著しく優れた特性を発揮することが明らかである。
なお、上記各実施例において、非有機質土壌(シルト)に対し、天然有機繊維約10重量%を添加し、固化した場合にも、優れた強度を有する固化体が形成されることが確認された。
本発明の実施例によるセメント中のf-CaO含有量Y(重量%)とフッ素含有量X(重量%)とが水和発熱ピーク時間に及ぼす影響を示すグラフである。 本発明の実施例によるセメント中のf-CaO含有量Y(重量%)とフッ素含有量X(重量%)とが水和発熱ピーク高さに及ぼす影響を示すグラフである。 本発明の実施例方法によるセメント製造原料の焼成時温度T(℃)と製品セメント中のフッ素含有量X(重量%)とが水和発熱ピーク時間に及ぼす影響を示すグラフである。 本発明の実施例方法によるセメント製造原料の焼成時温度T(℃)とセメント中のフッ素含有量X(重量%)とが水和発熱ピーク高さに及ぼす影響を示すグラフである。 本発明の他の実施例によるセメント中のf-CaO含有量Y(重量%)とフッ素含有量X(重量%)とが水和発熱ピーク時間に及ぼす影響を示すグラフである。 本発明の他の実施例によるセメント中のf-CaO含有量Y(重量%)とフッ素含有量X(重量%)とが水和発熱ピーク高さに及ぼす影響を示すグラフである。 本発明の他の実施例方法によるセメント製造原料の焼成時温度T(℃)と製品セメント中のフッ素含有量X(重量%)とが水和発熱ピーク時間に及ぼす影響を示すグラフである。 本発明の他の実施例方法によるセメント製造原料の焼成時温度T(℃)とセメント中のフッ素含有量X(重量%)とが水和発熱ピーク高さに及ぼす影響を示すグラフである。 本発明のさらに他の実施例によるセメント中のf-CaO含有量Y(重量%)とフッ素含有量X(重量%)とが水和発熱ピーク時間に及ぼす影響を示すグラフである。 本発明のさらに他の実施例によるセメント中のf-CaO含有量Y(重量%)とフッ素含有量X(重量%)とが水和発熱ピーク高さに及ぼす影響を示すグラフである。 本発明のさらに他の実施例方法によるセメント製造原料の焼成時温度T(℃)と製品セメント中のフッ素含有量X(重量%)とが水和発熱ピーク時間に及ぼす影響を示すグラフである。 本発明のさらに他の実施例方法によるセメント製造原料の焼成時温度T(℃)とセメント中のフッ素含有量X(重量%)とが水和発熱ピーク高さに及ぼす影響を示すグラフである。

Claims (6)

  1. フッ素を含有するセメントクリンカーであって、遊離CaO含有量Y(重量%)とフッ素含有量X(重量%)とが下記の関係式を満足するセメントクリンカー;
    (1)LSRが0.92〜0.99である場合;
    *0.08≦X≦0.4、
    *0.08≦X≦0.1の領域では、0≦Y≦1.0、
    *0.1<X≦0.2の領域では、0≦Y≦1.4−4X、
    *0.2<X≦0.4の領域では、0≦Y≦0.9−1.5X。
    (2)LSRが0.85〜0.92である場合;
    *0.08≦X≦0.4、
    *0.08≦X≦0.1の領域では、0≦Y≦α1{α1=4(LSR)−2.68}、
    *0.1<X≦0.2の領域では、0≦Y≦α2−4X{α2=4(LSR)−2.28}、
    *0.2<X≦0.4の領域では、0≦Y≦α3−1.5X{α3=4(LSR)−2.78}。
  2. フッ素を含有するセメントであって、遊離CaO含有量Y(重量%)とフッ素含有量X(重量%)とが下記の関係式を満足するセメント;
    (1)LSRが0.92〜0.99である場合;
    *0.08≦X≦0.4、
    *0.08≦X≦0.1の領域では、0≦Y≦1.0、
    *0.1<X≦0.2の領域では、0≦Y≦1.4−4X、
    *0.2<X≦0.4の領域では、0≦Y≦0.9−1.5X。
    (2)LSRが0.85〜0.92である場合;
    *0.08≦X≦0.4、
    *0.08≦X≦0.1の領域では、0≦Y≦α1{α1=4(LSR)−2.68}、
    *0.1<X≦0.2の領域では、0≦Y≦α2−4X{α2=4(LSR)−2.28}、
    *0.2<X≦0.4の領域では、0≦Y≦α3−1.5X{α3=4(LSR)−2.78}。
  3. 普通ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメントおよび耐硫酸塩ポルトランドセメントからなる群から選ばれた1種である請求項2のセメント。
  4. 請求項1または2に記載のセメントまたはセメントクリンカーを用いて得られた混合セメント。
  5. 高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメントまたはシリカヒュームセメントである請求項4に記載の混合セメント。
  6. 請求項1または2に記載のセメントまたはセメントクリンカーに高炉スラグおよび石膏からなる群から選ばれた少なくとも1種を配合してなる固化材。
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