JP2006044961A - 速硬性混和材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 カルシウムアルミネートを速硬成分とした速硬性混和材を製造する上で、既知の有機系粉砕助剤を用いてカルシウムアルミネートを粉砕し、その粉砕効率を向上させようとすると得られた粉砕物の速硬性が低下し易くなるといった問題を鑑み、カルシウムアルミネートの優れた速硬作用を減じることなく、高い粉砕効率が得られるような粉砕助剤を用いた速硬性混和材の製造方法及び高い粉砕効率で容易に製造できる速硬性混和材を提供する。
【解決手段】 カルシウムアルミネートに銅スラグを加えて粉砕する。
【選択図】 なし
【解決手段】 カルシウムアルミネートに銅スラグを加えて粉砕する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、セメントペースト、モルタル、コンクリートなどに混和して速硬性を発現させるための混和材及びその製造方法に関する。
セメント硬化時に速硬性を与えるため、カルシウムアルミネートを有効成分とする速硬性混和材が使用されている。カルシウムアルミネートは一般に溶融急冷物又はクリンカ焼成物として得られるため、塊状や急冷操作法によっては小片状の形状を呈するが、カルシウムアルミネートによる速硬作用を十分発揮させるには、適度の反応活性を有することが不可欠であり、このため混和させるセメントと概ね同等又はそれ以上の粉末度に粉砕する必要がある。一般に窯業原料の粉砕では、工業的には粉砕効率を高めるため、粉砕助剤が使用される。粉砕助剤としては、プロピレングリコールやジエチレングリコールなどの低級アルキレングリコールのオリゴマー(例えば、特許文献1参照。)、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン類(例えば、特許文献2参照。)、ステアリン酸などの脂肪酸又はフェノールなどの芳香族化合物(例えば、特許文献3参照。)、ヒドロキシアルキルヒドラジンやターシャルブチル酢酸(例えば、特許文献4参照。)等が知られている。被粉砕物がセメントなどの比較的高い水和反応活性を有する物では、低級アルキレングリコール類やアルカノールアミン類が好適に使用されているが、粘性を調整し、かつ全体に均一に分散させるための量を確保するために、5〜20%程度の濃度の水溶液の状態で使用されることが多い。カルシウムアルミネートの粉砕に際しても粉砕助剤を使用することで粉砕効率が向上する可能性がある。しかるに、このような濃度のグリコール類やアルカノールアミン類の水溶液を用いると、水分がカルシウムアルミネートと反応し、その速硬作用が著しく低下することがある。又、全く含水させずに単独で使用すると、その標準添加量が0.01〜0.03重量%程度と可成り少なくなりムラ無く被砕物に混合・作用することができ難くなることと水溶液と比べて高粘性になることから混合性が低下し、粉砕助剤として有効に作用しないことがある。標準添加量を超えると凝結遅延を起こす虞がある。また、水の代わりに低級アルコールや他の粉砕助剤のうち低粘性の有機溶液を併用することで粘性低下や所望の混合量確保を図ることもできるが、コストが高騰する割に粉砕効率はさほど向上せず、また多くの有機系溶液で見られる凝結遅延作用の結果、速硬作用に支障を生じることもある。
特開平7−33487号公報
特開2002−160959号公報
特開平5−147984号公報
特開平11−60298号公報
本発明は、カルシウムアルミネートを速硬成分とした速硬性混和材を製造する上で、有機系粉砕助剤を用いてカルシウムアルミネートを粉砕し、その粉砕効率を向上させようとすると得られた粉砕物の速硬性が低下し易くなるといった実情を鑑み、カルシウムアルミネートの優れた速硬作用を減じることなく、高い粉砕効率が得られるような粉砕助剤を用いた速硬性混和材の製造方法及び高い粉砕効率で容易に製造できる速硬性混和材を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題解決のため検討を重ねた結果、速硬物質として強い速硬作用を有するカルシウムアルミネートを用いる場合の速硬性混和材の製造において、カルシウムアルミネートを粉砕する粉砕助剤として銅スラグに着目した。一般に、整粒処理されていない銅スラグは概ね鋭角の角を有する形状になり易く、比重がおよそ3.5以上を示し、また研磨剤などにも実用化されていることから比較的高い硬度を有す。このことから、銅スラグをカルシウムアルミネートの粉砕助剤に用いると衝撃破砕作用が期待でき、また粉砕媒体に被砕物が付着するのを防止できることから非常に高い粉砕効率で粉砕することができる。しかも銅スラグ中は、酸化鉄、珪酸、酸化アルミニウム、酸化カルシウムといった化学成分を主成分とする高ガラス化率の物質であるため、カルシウムアルミネートの速硬作用を減じることなく、カルシウムアルミネートと共にセメント等の水硬性物質に混和された場合でも、硬化性状や硬化後の機械的性状に支障を及ぼすことも殆ど無いことなどから、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(2)で表す速硬性混和材の製造方法並びに(3)で表す速硬性混和材である。(1)カルシウムアルミネートに銅スラグを加えて粉砕することを特徴とする速硬性混和材の製造方法。(2)銅スラグを0.1〜20重量%加えて粉砕することを特徴とする前記(1)の速硬性混和材の製造方法。(3)前記(1)又は(2)の方法で製造されることを特徴とする速硬性混和材。
本発明によれば、モルタル、コンクリート、セメントペースト等の性状に殆ど支障を及ぼさずに、モルタル、コンクリート、セメントペースト等に高い速硬性を安定して付与することができる速硬性混和材を、非常に高い粉砕効率で容易に製造することができる。
本発明の速硬性混和材の製造方法では、速硬性混和材の速硬性を付与させるための成分にカルシウムアルミネートを用いるものである。本発明で使用するカルシウムアルミネートは、CaOとAl2O3を主要化学成分とする化合物、固溶体、ガラス質若しくはこれらの何れかが混合した物の総称であって、水和活性を有するものなら限定されず。例えば、12CaO・7Al2O3、CaO・Al2O3、CaO・3Al2O3、11CaO・7Al2O3・CaF2、4CaO・3Al2O3・SO3などを挙げることができ、アルミナセメントでも良い。
カルシウムアルミネートは通常、塊状のクリンカー焼成物、又は加熱溶融物として得られる。本発明ではこれを粉砕する。尚、冷却時に水で急冷されたカルシウムアルミネートでは、比較的小さい水砕片となるものの、得られる水砕片の大きさでは効果的な速硬性を付与するための反応活性が不足するため、粉砕処理が不可欠である。粉砕媒体は特に限定されないが、例えばセメントなどの粉砕で汎用されているボールミルを挙げることができる。該媒体の材質はカルシウムアルミネートと同等又はそれ以上の硬度を有するものが望ましく、一般に入用可能な市販品では、例えば鋼、アルミナ、タングテンカーバイド等を挙げることができる。
本発明ではカルシウムアルミネート粉砕の際に、粉砕助剤として銅スラグを必須使用する。使用する銅スラグは銅精錬時に発生するものであれば何れのものでも良く、銅カラミと称されているものでも良い。また、銅精錬時には銅の原料鉱石と共に珪石等の副原料が加えられることも多いが、本発明で使用する銅スラグは原料鉱石の種類や副原料の添加有無は問わない。従って銅スラグの構成成分は限定されない。粉砕助剤に適した銅スラグの形態は、粉粒状のものが好ましい。その粒度は特に制限されないが、好ましくは粉砕効率低下を避ける上で、10mm以下のものとする。より好ましくは約90重量%以上の粒子が75μm〜5mmの範囲にあるものとする。本発明では、銅スラグを水や有機溶媒に混合させずに単独で粉砕助剤として使用することができるが、本発明の効果を喪失しない限り他の粉砕助剤や低級アルコールなどとの併用を阻むものではない。粉砕時に使用する銅スラグの量は、粉砕するカルシウムアルミネートに対し、0.1〜20重量%が好ましい。より好ましくは、1〜15重量%とする。0.1重量%未満では粉砕効率の向上が見られず、20重量%を超えると速硬性混和材中の銅スラグ混入量過多となって速硬作用が低下することがあるので好ましくない。
カルシウムアルミネートを粉砕する際の銅スラグの添加方法は特に制限されず、使用する全量を粉砕前に粉砕機中内に投入しても、粉砕中に複数回に分けて投入しても良い。好ましくは、後者の方法によりカルシウムアルミネートの粉砕がある程度進んだ段階で都度追加投入する。
粉砕は、カルシウムアルミネートのブレーン比表面積がおよそ3000cm2/g以上になるまで行えば良い。好ましくは4000cm2/g以上とする。カルシウムアルミネートブレーン比表面積がの粒径がおよそ3000cm2/gを超えるものが存在すると、反応活性が低位の水準に留って、十分な速硬性が得られ難くなる。
また、本発明は前記の方法で得られる速硬性混和材である。前記の方法では粉砕後の粉砕物中に粉砕助剤に使用された銅スラグが混入するが、この銅スラグのみの除去は実質不可能である。従って、本発明の速硬性混和材は、カルシウムアルミネートとその粉砕助剤に使用された銅スラグを含むものである。該銅スラグは既述の如く、一般的に酸化鉄、珪酸、酸化アルミニウム、酸化カルシウムといった化学成分を主成分とする高ガラス化率の物質であるため、セメント等の水硬性物質に混和された場合でも硬化性状や硬化後の機械的性状に支障を及ぼすことが少ない。本発明の速硬性混和材は、本発明の効果を喪失しない限り、カルシウムアルミネートと銅スラグ以外の成分が混入されたものでも良い。このような成分として例えば、アルカリ金属炭酸塩、水酸化カルシウム、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ土類金属硫酸塩、硫酸アルミニウム、アルミン酸アルカリなどが挙げられる。本発明の速硬性混和材の使用に際しては、従来のカルシウムアルミネート系混和材と概ね同様に扱うことができ、セメントペースト、モルタル、コンクリート等に適量を混和することで優れた速硬性を付与することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に詳しく説明する。
[実施例1] アルミナセメントクリンカ1Kgを次の方法により粉砕を行った。粉砕助剤として表1に表す主要化学成分と特性の銅スラグ80gを使用し、被粉砕物と粉砕助剤の全量を鋼製ボール(φ10mm、φ15mm、φ18mm及びφ25mmをそれぞれ2.5Kgずつ)計10Kgと共に内容積6リットルの鋼製ボールミルに一括投入し、回転数60rpmで40分間乾式粉砕を20±1℃の屋内にて行った。粉砕後の粉砕物のブレーン比表面積を測定した結果、4500cm2/gとなった。次に、この粉砕物400gと早強ポルトランドセメント600g及び水400gを配合し、ハンドミキサーで約1分間混練し、セメントペーストを作製した。作製直後のセメントペーストをJIS R 5201に規定された凝結用セメントペースト容器に充填し、20±1℃の屋内で30分間放置した。放置後の充填物の硬化状態を指触で調べた。即ち、その表面を指で約10秒押し続けたが、窪み、変形、亀裂の何れも生じることが無く、十分硬化していることが確認された。
[実施例1] アルミナセメントクリンカ1Kgを次の方法により粉砕を行った。粉砕助剤として表1に表す主要化学成分と特性の銅スラグ80gを使用し、被粉砕物と粉砕助剤の全量を鋼製ボール(φ10mm、φ15mm、φ18mm及びφ25mmをそれぞれ2.5Kgずつ)計10Kgと共に内容積6リットルの鋼製ボールミルに一括投入し、回転数60rpmで40分間乾式粉砕を20±1℃の屋内にて行った。粉砕後の粉砕物のブレーン比表面積を測定した結果、4500cm2/gとなった。次に、この粉砕物400gと早強ポルトランドセメント600g及び水400gを配合し、ハンドミキサーで約1分間混練し、セメントペーストを作製した。作製直後のセメントペーストをJIS R 5201に規定された凝結用セメントペースト容器に充填し、20±1℃の屋内で30分間放置した。放置後の充填物の硬化状態を指触で調べた。即ち、その表面を指で約10秒押し続けたが、窪み、変形、亀裂の何れも生じることが無く、十分硬化していることが確認された。
[実施例2] 結晶質12CaO・7Al2O3クリンカ1Kgを、実施例1と同様の粉砕方法で粉砕を行った。粉砕後の粉砕物のブレーン比表面積を測定した結果、4460cm2/gとなった。次に、この粉砕物400gと早強ポルトランドセメント600g及び水400gを配合し、ハンドミキサーで約1分間混練し、セメントペーストを作製した。該セメントペーストの硬化状態の調査を実施例1と同じ方法で行った結果、十分硬化していることが確認された。
[実施例3] CaOとAl2O3を12:7のモル比に混合した紛末を電気炉で約1600℃加熱後水冷して得た非晶質水砕片(ガラス化率100%、最大粒径約9.6mm)1Kgを、実施例1と同様の粉砕方法で粉砕を行った。粉砕後の粉砕物のブレーン比表面積を測定した結果、4430cm2/gとなった。次に、この粉砕物400gと早強ポルトランドセメント600g及び水400gを配合し、ハンドミキサーで約1分間混練し、セメントペーストを作製した。該セメントペーストの硬化状態の調査を実施例1と同じ方法で行った結果、十分硬化していることが確認された。
[比較例1] アルミナセメントクリンカ1Kgを、粉砕助剤としてジエチレングリコール(純度99.9%以上、市販試薬)1gを用いた以外は実施例1と同様の粉砕方法で粉砕を行った。粉砕後の粉砕物のブレーン比表面積を測定した結果、3450cm2/gとなった。次に、この粉砕物400gと早強ポルトランドセメント600g及び水400gを配合し、ハンドミキサーで約1分間混練し、セメントペーストを作製した。該セメントペーストの硬化状態の調査を実施例1と同じ方法で行った結果、十分硬化していることが確認された。
[比較例2] アルミナセメントクリンカ1Kgを、粉砕助剤として比較例1と同じジエチレングリコールを濃度25%の水溶液として4g用いた以外は実施例1と同様の粉砕方法で粉砕を行った。粉砕後の粉砕物のブレーン比表面積を測定した結果、3710cm2/gとなった。次に、この粉砕物400gと早強ポルトランドセメント600g及び水400gを配合し、ハンドミキサーで約1分間混練し、セメントペーストを作製した。該セメントペーストの硬化状態の調査を実施例1と同じ方法で行った結果、充填物の表面に明確な窪みが生じ、未だ硬化していないことが確認された。
[比較例3] アルミナセメントクリンカ1Kgを、粉砕助剤として製鋼スラグ(品名;セラメント、デイシイ株式会社社製、嵩比重約1.1、中心粒径12μm)を用いた以外は実施例1と同様の粉砕方法で粉砕を行った。粉砕後の粉砕物のブレーン比表面積を測定した結果、2700cm2/gであった。
[比較例4] アルミナセメントクリンカ1Kgを、粉砕助剤としてトリエタノールアミン(純度99.9%以上、市販試薬)1gを用いた以外は実施例1と同様の粉砕方法で粉砕を行った。粉砕後の粉砕物のブレーン比表面積を測定した結果、3140cm2/gであった。
Claims (3)
- カルシウムアルミネートに銅スラグを加えて粉砕することを特徴とする速硬性混和材の製造方法。
- 銅スラグを0.1〜20重量%加えて粉砕することを特徴とする請求項1記載の速硬性混和材の製造方法。
- 請求項1又は2の方法で製造されることを特徴とする速硬性混和材。
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JP2004224352A JP2006044961A (ja) | 2004-07-30 | 2004-07-30 | 速硬性混和材及びその製造方法 |
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JP2004224352A JP2006044961A (ja) | 2004-07-30 | 2004-07-30 | 速硬性混和材及びその製造方法 |
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JP2004224352A Pending JP2006044961A (ja) | 2004-07-30 | 2004-07-30 | 速硬性混和材及びその製造方法 |
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JP2012140279A (ja) * | 2010-12-28 | 2012-07-26 | Taiheiyo Materials Corp | カルシウムアルミネート |
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2004
- 2004-07-30 JP JP2004224352A patent/JP2006044961A/ja active Pending
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