JP2006041443A - プラズマプロセス装置および電子デバイスの製造方法 - Google Patents

プラズマプロセス装置および電子デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 プラズマによるダメージを低減し、かつガスの分解や解離を促進させることにより、高品質な電子デバイスを製造できるプラズマプロセス装置および該プラズマプロセス装置を用いた電子デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】 プラズマプロセス装置は、被処理基板4が内部に配置される処理室1と、処理室1の内部にガスを導入するガス導入口7と、処理室1の内部に設けられ被処理基板4にプラズマ処理を施すプラズマ発生部とを備える。プラズマ発生部は、被処理基板4に対し同じ側に、はしご状あるいは格子状のアノード電極3と、複数のガス導入口7を有するカソード電極2と、カソード電極2とアノード電極3との間に誘電体6とを有し、カソード電極2、誘電体6およびアノード電極3が、被処理基板4の処理面4aに垂直方向に配置される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、第1電極と第2電極の間でプラズマを発生させてプラズマ処理を行うプラズマ発生部を備えるプラズマプロセス装置および該プラズマプロセス装置を用いた電子デバイスの製造方法に関する。
プラズマを用いて半導体膜等を成膜するプラズマ励起化学気相成長(Chemical Vapor Deposition, CVD)法は、その簡便性や操作性に優れるので、集積回路、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、太陽電池などのさまざまな電子デバイスを製造するのに用いられている。
プラズマCVD法を用いる装置(以下、「プラズマCVD装置」という)の形態としては、図21に示すものが一般的である。図21は、従来の平行平板型のプラズマCVD装置の断面図である。以下、図21を参照しながらプラズマCVD装置について説明する。
図21に示すように、プラズマCVD装置は、真空容器である処理室101と、その中にお互いに電気的に絶縁され、対向する位置に平行に設置された2枚の導体板からなる電極102、103と、高周波電源108と、ガス供給部109と、ガス排出部110と、配線111と、整合器113とを有する。
処理室101を真空に引いた後、一方の電極102に設けられた多数のガス穴から材料ガスを導入してある圧力に保ち、電極102と電極103の間に周波数が例えば13.56MHzの高周波を印加して電極102と電極103間にプラズマを発生させ、材料ガスを分解、解離させる。そして他方の電極103上に載置されたシリコンやガラスなどからなる被処理基板104の上に、半導体膜や絶縁膜などを成膜する。
このようなプラズマCVD装置は、さまざまな産業で作成される電子デバイスに対して広く利用されている。例えば、アクティブ駆動型の液晶ディスプレイの製造工程では、TFT(Thin Film Transistor)と呼ばれるスイッチング素子が作成される。TFTでは、アモルファスシリコン膜などの半導体膜や窒化シリコン膜等のゲート酸化膜が重要な役割を果たしている。また、有機エレクトロルミネッセンス素子を作成するためには、有機薄膜を成膜した後、表面を保護する保護膜として、高品質な透明絶縁膜を成膜する技術が不可欠である。また、太陽電池を作成するためには太陽電池層を成膜した後、表面を保護する保護膜として、高品質な透明絶縁膜を成膜する技術が不可欠である。このように作製された電子デバイスは広く使用されている。
また、上記のようなプラズマCVD装置以外では、材料ガスをエッチングガスに変更してプラズマCVD装置と同様にプラズマを発生させて膜のエッチングを行うドライエッチング装置や、レジストの除去を行うアッシング装置もプラズマプロセス装置として知られている。たとえば、特開平11−144892号公報、特開平1−279761号公報、Applied Physics Letters, volume 65, pages 2229-2231(1994)などにプラズマプロセス装置の一例が記載されている。
特開平11−144892号公報 特開平1−279761号公報 Applied Physics Letters, volume 65, pages 2229-2231(1994)
しかし、上記のような平行平板型のプラズマCVD装置は、基板面がアノード電極とカソード電極間の電界中に配置されるので、成膜中に基板面にプラズマダメージを与える場合がある。そのため、成膜された膜の特性が良好でない場合があった。また、放電最適条件に影響するアノード電極とカソード電極間の距離と、成膜最適条件に影響する電極と基板間の距離とが異なる場合があるが、これらを独立に制御できないため放電最適条件と成膜最適条件の双方を満足できる条件が得られない場合もあった。
それに対し、特許文献1に開示されたプラズマプロセス装置では、ガラス基板に対向する放電電極が複数の電極から構成されており、それぞれの電極には互いに極性の異なる高周波電圧が印加され、基板面に水平な方向の電界によりプラズマが生じる。より詳しくは、材料ガスが電極と電極の間から放出され、放出された材料ガスが水平方向の電界によりプラズマとなり、ガラス基板の基板面と平行な方向に拡散する。それにより、ガラス基板上に所望の膜を成膜することができる。この方法によれば、ガラス基板にプラズマダメージを与えることなく、高品質の成膜が可能となる。しかしながら、材料ガスの解離効率が低いため、成膜速度を高めることができなかった。
材料ガスの解離を促進する技術については、例えば特許文献2に開示されている。特許文献2に開示されたプラズマプロセス装置では、カソード電極に凹状の空間が設けられており、ホローカソード効果によりプラズマ密度が高められる。これにより、材料ガスの解離が促進され通常の平行平板型の装置と比較して成膜速度を速くすることができる。
しかし、この装置では平行平板型の装置と同様、基板面がアノード電極とカソード電極間の電界中に配置されるため成膜中にプラズマダメージを与える場合があり、膜特性が低下するなど平行平板型の装置と同様の課題があった。
上記のプラズマダメージは、300℃以上程度の温度での加熱による熱エネルギーを被処理基板に与えることにより修復することができる。しかし、被処理基板の成膜温度を200℃程度、あるいはそれ以下にしたい場合には良好な膜質を維持することが困難であった。
たとえば、有機エレクトロルミネッセンス素子においては、大気中の水蒸気や酸素の侵入を防止するために、透明な絶縁性保護膜を素子の外層に設ける必要があるが、素子内の有機膜の特性が100℃以上のプロセス温度において大幅に劣化するので、それより低温の条件で保護膜を成膜する必要がある。しかし、このような条件で成膜された薄膜では、これまでデバイス用として十分な保護膜特性が得られていなかった。
また、例えば、Applied Physics Letters, volume 65, pages 2229-2231には、保護膜として窒化シリコン膜を100℃にて成膜した場合、大気中の水蒸気が膜中に侵入し、シリコンと酸素の結合を生じてしまうことが報告されている。このように低温では品質の悪い保護膜しか実現できていないので、大気との隔離のためにキャップ用のガラス基板を窒素雰囲気で封着しているのが現状である。
上記の他に、窒化シリコン膜を保護膜として使用するデバイスとしては、多結晶シリコン太陽電池や化合物半導体デバイスがあり、これらのデバイスについても上記に挙げた場合と同様の品質上の課題がある。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その主な目的は、プラズマによるダメージを低減し、かつガスの分解や解離を促進させることにより、高品質な電子デバイスを製造できるプラズマプロセス装置および該プラズマプロセス装置を用いた電子デバイスの製造方法を提供することにある。
本発明のプラズマプロセス装置は、被処理基板が内部に配置される処理室と、処理室の内部にガスを導入するガス導入口と、処理室の内部に設けられ被処理基板にプラズマ処理を施すプラズマ発生部とを備える。そして、1つの局面では、プラズマ発生部が、被処理基板に対し同じ側に、はしご状あるいは格子状の第1電極と、複数のガス導入口を有する第2電極と、第1と第2電極間に誘電体とを有し、第1電極、誘電体および第2電極が、被処理基板の処理面に垂直方向に配置される。
本発明のプラズマプロセス装置は、他の局面では、上記のような処理室、ガス導入口およびプラズマ発生部を備え、プラズマ発生部は、被処理基板に対し同じ側に、複数の棒状導電部材と該棒状導電部材の両端部をそれぞれ接続するとともに保持する1組の導電性の保持部材とを含む第1電極と、複数のガス導入口を有する第2電極と、第1と第2電極間に誘電体とを有する。そして、第1電極、誘電体および第2電極は、被処理基板の処理面に垂直方向に配置され、保持部材を介して第1電極を処理室の内部に固定する。
本発明のプラズマプロセス装置は、さらに他の局面では、上記のような処理室、ガス導入口およびプラズマ発生部を備え、プラズマ発生部は、被処理基板に対し同じ側に、貫通孔を有する導電部材と該導電部材の両端部を保持する1組の導電性の保持部材とを含む第1電極と、複数のガス導入口を有する第2電極と、貫通孔に沿って延在するように第1と第2電極間に設けられた誘電体とを有する。そして、第1電極、誘電体および第2電極は、被処理基板の処理面に垂直方向に配置され、保持部材を介して第1電極を処理室の内部に固定する。
本発明のプラズマプロセス装置は、さらに他の局面では、上記のような処理室、ガス導入口およびプラズマ発生部を備え、プラズマ発生部は、被処理基板に対し同じ側に、第1方向に延びる第1部分と該第1方向と交差する第2方向に延びる第2部分とを有する導電部材と該導電部材の両端部を保持する1組の導電性の保持部材とを含む第1電極と、複数のガス導入口を有する第2電極と、第1と第2電極間に誘電体とを有する。そして、第1電極、誘電体および第2電極は被処理基板の処理面に垂直方向に配置され、保持部材を介して第1電極を処理室の内部に固定する。
上記保持部材は、第1電極の端部を受入れる凹部を有する一体の部材で構成してもよいが、複数の部材で構成してもよい。たとえば、第1電極の端部を受入れる凹部を有するベース部材と、該凹部に第1電極の端部を受入れた状態で第1電極をベース部材に固定する固定部材とを含むものであってもよい。
上記誘電体は、好ましくは、第2電極により支持される。第2電極が、ガス導入口が設けられる板状導電部材と、該板状導電部材に固定され誘電体の側壁上に延びる側壁導電部材とを有する場合には、側壁導電部材により誘電体を支持するようにしてもよい。誘電体は、被処理基板の処理面に垂直方向に第2電極と係合する係合部を有していてもよい。この場合、たとえば第2電極に、誘電体の係合部を受入れる凹部を設ければよい。
本発明の電子デバイスの製造方法は、上述のプラズマプロセス装置を用いて、被処理基板の温度を100℃以上200℃以下の温度に保持した状態で絶縁膜を形成することを特徴とする。
本発明のプラズマプロセス装置によれば、被処理基板の温度が低温であっても、処理面のプラズマダメージを抑制しつつ、プラズマによるガスの分解や解離を促進することができるため高品質な電子デバイスを製造することができる。
本発明の電子デバイスの製造方法によれば、本発明のプラズマプロセス装置を用いるので、被処理基板の温度が200℃以下程度と低温であっても、高品質な絶縁膜を備えた電子デバイスを製造することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。しかし、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1から図8を参照しながら、本発明の実施の形態1のプラズマCVD装置(プラズマプロセス装置)の構造を説明する。ここでは装置の処理室に置かれる被処理基板の処理面をx-y面とし、被処理基板の処理面の法線方向をz軸方向とする。図1は本実施の形態1のプラズマCVD装置を模式的に示すx−z面断面図、図2は本実施の形態1のプラズマCVD装置を模式的に示すy-z面断面図、図3は本実施の形態1のプラズマCVD装置の電極と基板ホルダ部分の斜視図、図4は図3に示すアノード電極部を詳細に示した斜視図、図5は図1に示す電極部分を拡大した拡大図である。
まず、本実施の形態1のプラズマCVD装置の構成について、図1および図2を用いて説明する。
図1および図2に示すように、本実施の形態1のプラズマCVD装置は、被処理基板4が内部に収容される処理室1と、被処理基板4が載置される基板ホルダ5と、該処理室1内に材料ガスを導入するガス導入口7と、処理室1内に設けられたプラズマ発生部と、高周波電源8と、ガス供給部9と、ガス排出部10と、整合器13とを有する。
処理室1は導電性の壁部27で囲まれており、該処理室1内に、上記のプラズマ発生部と、被処理基板4を保持する基板ホルダ5とが設けられる。プラズマ発生部は、実際にプラズマが発生する部分およびその近傍を含む部分であり、第1電極であるアノード電極(陽極)3と、複数のガス導入口7を有する第2電極であるカソード電極(陰極)2と、これらの間に誘電体6と、ガス滞留部12とを備える。
アノード電極3、カソード電極2および誘電体6は、被処理基板4の処理面4aと対向するように被処理基板4に対し同じ側に配置され、処理面4aに対し垂直方向に配置されている。
カソード電極2は、アルミニウムなどの導電性材料からなり、図1および図3に示すように、例えば250mm×250mm×7mmの板状導電部材2aと、誘電体6の側壁上に延在し概略直角3角形の断面形状を有する複数の側壁導電部材2bとを有する。板状導電部材2aには、その厚さ方向(z軸方向)に貫通する複数のガス導入口7が設けられている。一例として、ガス導入口7の穴径は0.5mm、ガス導入口7のx軸方向のピッチは25mm、y軸方向のピッチは3mmである。ガス導入口7は、y軸方向にライン状に配置され、ライン間隔は25mmであり、x軸方向に9ライン分形成されている。
本実施の形態1では、側壁導電部材2bとして3角柱状の部材を例示しているが、側壁導電部材2bをこれ以外の形状の導電部材で構成してもよい。ただし、側壁導電部材2bにおいてガス導入口7側に位置する表面には、傾斜面を設けることが好ましい。それにより、該傾斜面に沿ってガスを流すことができ、誘電体6と板状導電部材2aとの接触部近傍でガスが滞留するのを回避することができる。典型的には、側壁導電部材2bは、x−y面に対して傾斜角60度の傾斜面を有するが、この傾斜角は45度から80度程度が望ましい。
なお、図5に示すように、本実施の形態1では側壁導電部材2bの先端部は典型的には尖っているが、図8に示すように側壁導電部材2bの先端部に曲面部2b1を設け、側壁導電部材2bに丸みを持たせるようにしてもよい。
板状導電部材2aと側壁導電部材2b間の接触面には、各部材が相互に面接触可能となるような加工が施されている。それにより、板状導電部材2aと側壁導電部材2bとを、電気的に接続することができ、これらを一体の電極として機能させることができる。
板状導電部材2aと側壁導電部材2bにおいて、少なくともプラズマに曝される面(典型的には被処理基板4の処理面4aに対向した面)には、プラズマやガスで各部材の表面がエッチングされたり、腐食等しないようにアルマイト処理を施すことが好ましい。
カソード電極2を含む電極部の拡大図を図5に示す。この図5では、図1に示しているガス導入口7は省略している。図5に示すように、板状導電部材2aに貫通孔を設け、該貫通孔にボルト14を装着する。このボルト14により側壁導電部材2bを板状導電部材2aに固定する。なお、図示していないが、カソード電極2と電気的につながっている処理室1の外面側には温水配管が接続されており、カソード電極2を所定の温度(例えば80℃)に保温し、電極側に成膜がされにくいようにしている。
上記のカソード電極2の板状導電部材2aと側壁導電部材2bに囲まれる領域に、図1および図5に示すように、概略棒状の誘電体6が配置される。より詳しくは、誘電体6の上面が板状導電部材2aの表面と接し、誘電体6の側面が側壁導電部材2bで挟持されるように、側壁導電部材2b間の凹部22内に誘電体6を設置する。
誘電体6は、例えば、NFなどのクリーニング用ガスによるプラズマによりエッチングされないアルミナなどの材料からなり、200mm×10mm×5mm程度の大きさを有する。該誘電体6は、概略4角形の断面形状を有し、複数(本実施の形態では9本)設けられる。この誘電体6は、図3に示すように、カソード電極2においてy軸方向にライン状に設けられたガス導入口7に平行に配置される。
アノード電極3は、アルミニウムなどの導電性材料からなり、図1〜図3に示すように誘電体6の下側に配置される。図1〜図3の例では、アノード電極3の主たる電極部によって誘電体6を支持している。誘電体6上に位置するアノード電極3の主たる電極部は、典型的には、被処理基板4側から見た誘電体6の形状と同様の形状を有する。
図4にアノード電極3の一構成例を詳細に示す。図4の例では、アノード電極3は、略はしご状の形状を有する。より詳しくは、アノード電極3は、例えば270mm×4mm×5mmの断面が概略4角形である複数の棒状導電部材(主たる電極部)3aと、該棒状導電部材3aの端部を接続するとともに保持する保持部材(接続部材:連結部材)とを有する。
棒状導電部材3aは、図3に示すように、誘電体6とほぼ同じ間隔をあけてy軸方向に平行に配置される。図4に示すように、複数の棒状導電部材3aの長手方向の両端が、1組の保持部材によりそれぞれ接続されるとともに保持される。このとき、棒状導電部材3aと各保持部材との接触面において、これらを電気的に確実に接続する必要があるため、該接触面にはアルマイト処理は施さず、また接触面には互いに面接触可能となるような加工が施される。
保持部材は、一体の部材で構成されてもよいが、図4に示すように複数の部材を組み合わせて構成してもよい。保持部材を複数の部材で構成する場合、棒状導電部材3aの長手方向の端部を挟持するように導電性材料からなる複数の板状部材を配設することが考えられる。図4の例では、保持部材は、導電性材料からなる1組の板状のベース部材3b、3cと、導電性材料からなる1組の板状の固定部材3d、3eとで構成されている。
ベース部材3bの表面には、図4に示すように、棒状導電部材3aの端部を受入れる凹部25を形成する。この凹部25は、ベース部材3bの幅方向両側面に達しており、棒状導電部材3aの厚みと同等以上の深さを有する。そして、棒状導電部材3aの長手方向の両端部がベース部材3b,3cの外側の側面から突出しないように凹部25内に棒状導電部材3aの長手方向の両端部を受入れる。この状態で、図4に示すように、ボルト14などの締結部材を用いて、固定部材3d、3eをベース部材3b、3cにそれぞれ固定する。それにより、固定部材3d、3eとベース部材3b、3cとで棒状導電部材3aの長手方向の両端部を挟持することができ、固定部材3d、3eとベース部材3b、3cとで構成される1組の保持部材により、複数の棒状導電部材3aを電気的に接続するとともに保持することができる。
アノード電極3の断面形状は、4角形に限定されるものではなく、誘電体の形状等により変化させても良い。たとえば、図6に示すようにアノード電極3の表面に面取り部3fを設けてもよく、図7に示すようにアノード電極3の表面に曲面部3gを設けてもよい。このようにアノード電極3の表面に面取り部3fや曲面部3gを設けることにより、アノード電極3のコーナ部での意図しない電界集中を抑制することができるとともに、隣り合うアノード電極3間の間隔をアノード電極3の先端側(被処理基板4側)で広くすることができ、被処理基板4に向かうプラズマやガスの流路抵抗を低減することもできる。
なお、棒状導電部材3aと保持部材において、少なくともプラズマに曝される部分には、棒状導電部材3aや保持部材がプラズマやガスでエッチングされたり、腐食等しないようにアルマイト処理を施すことが好ましい。
また、図2に示すように、ベース部材3b、3cは、棒状導電部材3aが接続される側と反対側(外側)で、処理室1の導電性の壁部27電気的に接続される。該壁部27は、典型的には金属製(例えば、ステンレス)であり、接地電位に保持される。したがって、アノード電極3は接地電位となる。また、ベース部材3b、3cを含む保持部材は、図2に示すように、壁部27によって支持・固定されている。よって、保持部材を介して、アノード電極3を容易かつ安定して処理室1の内部に固定することができる。
また、図1および図2に示すように、アノード電極3とカソード電極2間で不要な放電が起こらないように、アノード電極3とカソード電極2間にアルミナ等の誘電体15が設けられている。そして、この電極構成の場合、アノード電極3は、誘電体6のみならず誘電体15をも支持する機能を有している。
図1および図2に示すように、被処理基板4は基板ホルダ5上に載置される。基板ホルダ5の被処理基板4側の面と反対側の面には、被処理基板4を加熱(例えば、被処理基板が200℃程度になるように加熱)するためのヒーター(図示せず)が設けられている。
処理室1の外部には、上記の高周波電源8、整合器13、ガス供給部9およびガス排出部10が設けられる。高周波電源8は、配線11、整合器13を介してカソード電極2に電気的に接続され、GND側の電極をアノード電極3と電気的に接続しカソード電極2とアノード電極3の間に所定の電力を供給する。整合器13はカソード電極2と電気的に接続されている。ガス供給部9は、材料ガスを処理室1内に供給する。ガス排出部10は、処理室1内のガスを排出する。
上記のような構成のプラズマCVD装置内に被処理基板4を設置した後、ガス供給部9からガス滞留部12に材料ガスを供給し、ガス滞留部12において材料ガスを一旦滞留させる。その後、ガス導入口7を介して処理室1内に材料ガスを導入し、高周波電源8によりカソード電極2とアノード電極3の間に電力を投入する。それにより、カソード電極2とアノード電極3の間に電界を発生させる。
このとき、カソード電極2の概略直角3角形の断面を持つ側壁導電部材2bの鋭角部側と、アノード電極3において誘電体6と接する部分の距離(アノード・カソード電極間距離)は約5mm程度と短いため、両電極間に高電界を発生させることができる。したがって、低パワーでも放電させることができる。このようにカソード電極2とアノード電極3の間で放電させることにより、処理室1内でプラズマを生成することができる。なお、アノード電極・カソード電極間距離は1mmから30mm程度でも良く、放電時に使用するガスの圧力やガス種によって適宜選択される。
本実施の形態1の電極構成では、平行平板型のCVD装置と異なり、カソード電極2とアノード電極3間の距離は固定されているため、電極・基板間距離を変化させてもプラズマの状態はほとんど変化しない。したがって、カソード電極2とアノード電極3間の圧力等の放電条件と電極・基板間距離をほぼ独立に変化させることができる。
また、本実施の形態1の構成では基板ホルダ5はアノード電極3と同電位の接地電位としているが、例えば基板ホルダ5に上記と異なる基板バイアス用の高周波電源や直流電源を接続してプラズマを制御し、成膜条件を制御することも可能である。
次に、図1を参照しながら、本実施の形態1のプラズマCVD装置を用いて被処理基板4上に薄膜を形成する方法を説明する。
まず、処理室1内の基板ホルダ5とカソード電極2をそれぞれ所定の温度に保持しておく。たとえば、基板ホルダ5を200℃、カソード電極2を80℃にしておく。そして、基板ホルダ5上に被処理基板4を載置する。本実施の形態1では、被処理基板4として厚さが0.7mm、125mm×125mmのガラス基板を用い、このガラス基板をアノード電極3の基板側の表面から25mmの位置に配置する。
次に、処理室1内を排気して真空とする。被処理基板4は所定の時間後には基板ホルダ5とほぼ同じ温度に保持される。そして、ガス導入口7から処理室1内に材料ガスを所定量導入する。本実施の形態1では、材料ガスとしてSiH、N,NH,Hを用いる。その後、材料ガスを排気して処理室1内を所定の圧力、例えば200Paに設定する。
次に、アノード電極3とカソード電極2との間に、例えば周波数が13.56MHzの高周波電源8から所定の電力(例えば300W程度の電力)を印加する。それにより、プラズマを発生させ、被処理基板4の処理面4a上に成膜を行う。設定した膜厚になるまで電力を印加し続けた後、両電極間への電力の印加を停止する。その後、基板ホルダ5から被処理基板4を取り外し、処理室1の外部へ取り出す。それにより、表面上に薄膜が形成された基板が得られる。該基板を用いて、周知の手法で各種電子デバイスを製造する。
図20に、上記の薄膜形成手法を適用可能な有機エレクトロルミネッセンス素子の構造例を模式的に示す。
図20に示すように、有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板30上に順次形成された陽極31、有機正孔輸送層32、有機発光層33、陰極34、透明電極35および透明絶縁膜(保護膜)36を有する。この有機エレクトロルミネッセンス素子において最外層に形成される透明絶縁膜36を、前述の手法で形成可能である。
なお、陽極31はアルミニウムで構成することができ、有機正孔輸送層32はジアミン誘導体で構成することができ、有機発光層33は8−キノリノールアルミニウム錯体で構成することができ、陰極34はカルシウムで構成することができ、透明電極35は酸化インジウム錫で構成することができ、いずれも蒸着法などの手法で形成可能である。
上記のように本実施の形態1によるプラズマCVD装置では、被処理基板4を保持する基板ホルダ5と対向する位置であって同じ側にアノード電極3とカソード電極2が設けられており、これらの電極間に高電界がかかることでプラズマが発生し、被処理基板4に成膜が行われる。したがって、被処理基板4の処理面4aではプラズマ密度は十分低く、平行平板型のプラズマCVD装置に比べ、薄膜がプラズマによりダメージを受けることが防止される。このため基板温度が200℃程度の低温の場合でも、絶縁性の良い窒化シリコン膜(絶縁膜)を成膜することができた。また、基板温度が100℃以上200℃未満程度の低温の場合でも、絶縁耐圧が4MV/cm以上の絶縁性の良好な絶縁膜を成膜することができる。また、特許文献1のようにアノード電極とカソード電極の配置が、被処理基板4の処理面4aに水平な方向でなく、処理面4aに対し垂直な方向にアノード電極とカソード電極が配置されているため、解離効率が高く、成膜速度を高めることができた。
上述の例では、アノード電極3が主たる電極部(プラズマ発生に実質的に寄与する部分)として同一方向に延びる複数の棒状導電部材3aを有し、アノード電極3が全体としてはしご状の形状を有する場合について説明したが、単数または複数の貫通孔を設けた導電部材や、複数の方向に延在する部分を有する導電部材を、アノード電極3の主たる電極部として採用することもできる。
このように貫通孔を有する導電部材や、複数の方向に延在する部分を有する導電部材をアノード電極3の主たる電極部として使用することにより、一方向に延びる複数の棒状導電部材3aを使用した場合よりも放電箇所を増加することができる。それにより、さらに成膜速度を高めることが可能となる。その上、アノード電極3自体の剛性を向上することもできる。
図18と図19に、アノード電極3の主たる電極部の他の形状例を示す。図18に示すように、アノード電極3の主たる電極部を格子状とすることが考えられる。この場合、該アノード電極3によって支持される誘電体6の形状も同様の格子状としておく。それにより、図3等に示す場合と同様の効果を期待できる。
図18と図19に示す例では、アノード電極3は、主たる電極部として、複数の貫通孔26を有する格子状部材3hを有する。該格子状部材3hは、互いに直交する方向に延在する部分を有する。このとき、誘電体6は、格子状部材3hと同様の格子状の形状を有し、貫通孔26に沿って延在する。側壁導電部材2bは、貫通孔26を囲むように環状の形状を有する。また、図19に示すように、格子状部材3hの両端に図4の場合と同様の保持部材を配設し、該保持部材を介してアノード電極3を処理室1の内部に固定する。これ以外の構成については、図3および図4に示す場合と同様である。
上記のようにアノード電極3の主たる電極部として格子状部材3hを使用することにより、アノード電極3の主たる電極部全体に亘って貫通孔26の周囲で放電させることができるので、プラズマを効率的かつ均一に発生させることができる。
なお、本実施の形態1では、被処理基板4としてガラス基板を用いたが、扱える被処理基板4の種類としては、ガラス基板に限定されるものではない。また、本実施の形態の装置によれば、プラスチック基板等に窒化シリコン膜やアモルファスシリコン膜を成膜し、TFTデバイスの作製を行うことも可能となる。
さらに、本実施の形態1では、使用する高周波電源8の周波数として13.56MHzを用いたが、高周波電源8の周波数はこれに限定されるものではない。例えば、27.12MHz、54.24MHz等の高周波電源も使用可能であり、また逆に300kHzや2MHzなどの低周波領域の電源も使用可能である。
また、本実施の形態1ではプラズマCVD装置について適用した例を示しているが、これに限るものではなく、プラズマエッチング装置やアッシング装置などにも本実施の形態1の思想を適用可能である。下記の各実施の形態についても同様である。
(実施の形態2)
次に、図9と図10を用いて本発明の実施の形態2について説明する。図9は、図5に対応する図であり、本実施の形態2のプラズマCVD装置における電極部分の拡大図である。図10は、図9のX−X線断面図である。
本実施の形態2のプラズマCVD装置と、実施の形態1のプラズマCVD装置とでは、カソード電極2の形状とボルト14による締結手法が異なっている。それ以外の構成は、実施の形態1と基本的に同様である。
本実施の形態2では、板状導電部材2aの表面に凹部(溝部)17を形成し、該凹部17内に側壁導電部材2cを組み込んでいる。側壁導電部材2cは、ボルト14を介して板状導電部材2aに固定される。該側壁導電部材2cは、アルミニウムなどの導電性材料からなり、2つのパーツで構成される。側壁導電部材2cの各パーツは、図9に示す、概略5角形の断面を有する部分と、概略L形の断面を有する部分とを備える。
凹部17は、200mm×11mmの大きさを有し、凹部17の深さは3mm程度である。そして、複数の凹部17がy軸方向のライン状のガス導入口7間に平行にx軸方向に10ライン設けられている。該凹部17の底面には、ボルト14を通すための貫通孔が複数設けられている。
他方、側壁導電部材2c側にも、ボルト14を受入れるねじ穴を設ける。そして、板状導電部材2aにおいて凹部17が設けられた側の表面とは反対側の表面から、ボルト14を板状導電部材2aと側壁導電部材2cとに螺着し、それにより、ボルト14を介して板状導電部材2aに側壁導電部材2cを固定することができる。
図10に示すように、側壁導電部材2cの各パーツは、y軸方向に交互に現れる、概略5角形断面形状の部分と、概略L形断面形状の部分とを有しており、一方のパーツの概略5角形断面形状の部分と、他方のパーツの概略L形断面形状の部分とがX方向に隣接するように各パーツが配置されている。つまり、側壁導電部材2cは、概略5角形断面形状の部分と、概略L形断面形状の部分とが、千鳥状に配置された形状を有している。そして、概略L形の断面を有する部分にねじ穴16が設けられている。
なお、側壁導電部材2cが電極として機能するために、側壁導電部材2cと板状導電部材2a間の接触面は、ボルト14で締結することで側壁導電部材2cと板状導電部材2aとが面接触して電気的に接続されるように加工されている。
上記の構成にすることにより、実施の形態1に比べて板状導電部材2aと側壁導電部材2cの締結部の面積を広くとることができる。それにより、ボルト14の径を大きくすることができ、電極全体のボルト数を少なくすることができる。その結果、電極の組み立てを容易にすることができる。
(実施の形態3)
次に、図11を用いて本発明の実施の形態3について説明する。図11は、図5に対応する図であり、本実施の形態3のプラズマCVD装置における電極部分の拡大図である。
本実施の形態3のプラズマCVD装置では、実施の形態1のプラズマCVD装置と比較して、カソード電極2と誘電体6の形状が異なっている。それ以外の構成は、実施の形態1と基本的に同様である。
図11に示すように、本実施の形態3では、カソード電極2は、アルミニウムなどの導電性材料からなる概略直角3角形の側壁導電部材2dを有する。側壁導電部材2dは、内側に凹部19を有する。図11の例では、側壁導電部材2dの直角部に概略四角形の切欠き部を設けることで凹部19を形成している。
他方、誘電体6は、長手方向の一端に張出部(係合部)18を有しており、誘電体6のx−z断面形状は概略逆T字形となっている。この誘電体6の張出部18を側壁導電部材2dの凹部19内に受入れる。それにより、誘電体6の一部を板状導電部材2aと側壁導電部材2dとで挟持するとともに、被処理基板4の処理面4aに垂直な方向に、誘電体6の張出部18と側壁導電部材2dとを係合させることができる。つまり、板状導電部材2aと側壁導電部材2dとで誘電体6を保持するとともに、側壁導電部材2dによって誘電体6を支持することができる。つまり、カソード電極(第2電極)2によって誘電体6を支持および/または保持することができる。
板状導電部材2aには、実施の形態1と同様に複数のガス導入口7がライン状に形成されており、これらのライン状のガス導入口7に平行に側壁導電部材2dを締結するための貫通孔が複数個設けられる。この貫通孔に、板状導電部材2aにおいて被処理基板4と反対側に位置する面からボルト14を螺着する。このとき、各側壁導電部材2dにはボルト14を受入れるねじ穴が設けられているので、該ねじ穴と上記の貫通孔とにボルト14を螺着することにより、各側壁導電部材2dを板状導電部材2aに固定することができる。
前述した実施の形態1、2では電極面積が大きくなると誘電体6もそれとともに大きくなるが、誘電体6の荷重を棒状のアノード電極部で支えるか、あるいは誘電体6の端部のみをアノード電極3の保持部材で支える必要がある。そのため、特に棒状のアノード電極3を採用した場合に、アノード電極3が歪んだり、誘電体6が割れたりする場合が考えられる。
しかし、本実施の形態3のような構成にすることにより、アノード電極3には誘電体6の荷重がかからないため、アノード電極3が歪んだり、誘電体6が割れるのを抑制することができる。実際には、被処理基板4が2000mm×2000mmのような大面積基板である場合でも、本実施の形態の構成を採用することで、プラズマCVD装置の電極を構成することが可能となった。
(実施の形態4)
次に、図12を用いて本発明の実施の形態4について説明する。図12は、図5に対応する図であり、本実施の形態4のプラズマCVD装置における電極部分の拡大図である。
本実施の形態4のプラズマCVD装置では、実施の形態1のプラズマCVD装置と比較して、カソード電極2と誘電体6の形状が主に異なっている。それ以外の構成は、実施の形態1と基本的に同様である。
図12に示すように、本実施の形態4におけるカソード電極2は、アルミニウムなどの導電性材料からなり、図9に示す場合と基本的に同様の形状を有する。具体的には、カソード電極2は、複数の凹部17を有する板状導電部材2aと、x−z断面において概略5角形の断面を有する部分と、概略L形の断面を有する部分とを備えた側壁導電部材2cとを含む。
そして、本実施の形態4では、カソード電極2を構成する各パーツの内側の表面で規定される凹部22の底部に、板状導電部材2aにおいて側壁導電部材2cが設置される側の表面と平行な方向に延びる凹部19を設けている。つまり、凹部22の底部に、外方に延在する凹部19を更に設けている。該凹部19は、側壁導電部材2cの内側の直角部に概略四角形の切欠き部を設けることで形成可能である。
他方、誘電体6には、図11に示す場合と同様の張出部(係合部)18を設けており、該張出部18を凹部19内に挿入する。この状態で、被処理基板4の処理面4aと反対側からボルト14で板状導電部材2aと側壁導電部材2cとを締結する。それにより、断面が逆T字形に加工された誘電体6を、図12のように側壁導電部材2cの各パーツで挟持することができ、カソード電極2により誘電体6を支持することができる。
このように構成することにより、アノード電極3に誘電体6の荷重がかからないため、実施の形態3の場合と同様に、被処理基板4が2000mm×2000mmのような大面積基板である場合でも、プラズマCVD装置の電極を構成することが可能となった。
また、実施の形態3の場合と比較して板状導電部材2aと側壁導電部材2cとの締結部の面積を広くとることができ、ボルト14の径も大きくすることができる。そのため、電極全体のボルト数を少なくすることができ、電極の組み立てを容易にすることもできる。
(実施の形態5)
次に、図13〜図15を用いて本発明の実施の形態5について説明する。図13は、図5に対応する図であり、本実施の形態5のプラズマCVD装置における電極部分の拡大図である。図14は、図13のXIV−XIV線断面図である。
本実施の形態5のプラズマCVD装置の場合も、実施の形態1のプラズマCVD装置と比較して、カソード電極2と誘電体6の形状が異なっている。それ以外の構成は、実施の形態1と同様である。
本実施の形態5では、カソード電極2は、アルミニウムなどの導電性材料からなり、複数の板状導電部材を備えている。図13の例では、カソード電極2は、1組の板状導電部材2a,2fを備えている。板状導電部材2aのサイズは、例えば250mm×250mm×4mmであり、板状導電部材2fの外形は250mm×250mmであり、板状導電部材2fの厚みは板状導電部材2aの厚み以下でよい。板状導電部材2fは、貫通孔28と、片側面に突出し貫通孔28を取囲む筒状部20とを有し、貫通孔28内に誘電体6を受入れる。カソード電極2は、全体としては、図11に示す実施の形態3のカソード電極2とほぼ同様の断面構造を有する。
板状導電部材2aには、図14に示すように、その厚さ方向(被処理基板4の処理面4aに垂直な方向)に貫通する穴径0.5mmの複数のガス導入口7がピッチ3mmでy軸方向にライン状に配置される。該ガス導入口7は、ライン間隔25mmでx軸方向に9ライン形成される。このライン間に、ボルト14を装着するための貫通孔16を千鳥状に複数設ける。
図13に示すように、板状導電部材2aの被処理基板4側に複数の逆T字形の誘電体6を配置する。誘電体6は、実施の形態4の場合と同様に張出部18を有する。板状導電部材2aの表面には、該張出部18を受入れる凹部17を設ける。この凹部17内に張出部18を嵌め込んだ状態で板状導電部材2aと板状導電部材2fとを重ね合わせ、板状導電部材2aと板状導電部材2fとで誘電体6の張出部18を挟み込む。このとき、板状導電部材2a,2fには、板状導電部材2aを貫通して板状導電部材2fに達するねじ穴が設けられており、板状導電部材2aにおける被処理基板4側と反対側の面からM4のボルト14を上記のねじ穴に螺着する。それにより、ボルト14で板状導電部材2fと板状導電部材2aとを固定することができる。
また、板状導電部材2fには、穴径が1mmの複数のガス導入口7がy軸方向にピッチ3mmで板状導電部材2aのガス導入口7に対応して配置されている。このとき、板状導電部材2aと板状導電部材2fの一方に設けるガス導入口7のサイズを他方に設けるガス導入口7のサイズと異ならせているのは、2つの部材を組み合わせたときに一方の部材に設けたガス導入口7が他方の部材で塞がれないようにするためである。本実施の形態5では、公差を考慮して、板状導電部材2fのガス導入口7の穴径を1mmとし、板状導電部材2aのガス導入口7の穴径よりも大きくしている。
本実施の形態5の場合も、カソード電極2により誘電体6を支持することができるので、実施の形態3,4の場合と同様に被処理基板4が大面積基板である場合でも、プラズマCVD装置の電極を構成することが可能となる。
また、本実施の形態5では、実施の形態3、4に比べ、更に板状導電部材2aと板状導電部材2fとの締結部の面積を広くとることができるので、ボルト14の径を大きくすることができる。それにより、電極全体のボルト数を少なくすることができ、電極の組み立てを容易にすることができる。
図15に、本実施の形態5の変形例を示す。図15に示すように、板状導電部材2f側に誘電体6の張出部18を受入れる凹部21を設けてもよい。この場合も、誘電体6の張出部18と、板状導電部材2fとを係合させることができ、誘電体6を板状導電部材2fで支持することができる。
(実施の形態6)
次に、図16と図17とを用いて本発明の実施の形態6について説明する。図16は、図5に対応する図であり、本実施の形態6のプラズマCVD装置における電極部分の拡大図である。
本実施の形態6のプラズマCVD装置の場合、実施の形態1のプラズマCVD装置と比較して、カソード電極2と誘電体6の形状が異なっていることに加え、ボルトなどの締結部材を用いることなくカソード電極2で誘電体6を支持している。それ以外の構成は、実施の形態1と基本的に同様である。
本実施の形態6では、カソード電極2を一体の部材で構成している。図16の例では、カソード電極2は、主として1つの板状導電部材で構成される。この板状導電部材は、被処理基板4側を向く表面から突出する筒状部20を有する。筒状部20は、誘電体6を受入れる凹部22を規定する。そして、凹部22の底部に、横方行に延在する凹部23を更に設ける。つまり、筒状部20内にいわゆる蟻溝状の凹部を形成する。また、カソード電極2の板状部分には、その厚さ方向(被処理基板4の処理面4aに垂直な方向)に貫通する穴径0.5mmの複数のガス導入口7がピッチ3mmでy軸方向にライン状に配置される。該ガス導入口7は、ライン間隔25mmでx軸方向に9ライン形成される。
誘電体6は、一端に張出部18を有しており、該張出部18を上記の凹部23内に挿入する。それにより、誘電体6の張出部18をカソード電極2と係合させることができ、プラズマに曝される側に誘電体6を支持可能な部分を有するカソード電極2を、1つの部材で構成することができる。その結果、プラズマCVD装置において組立が容易な電極を構成することができる。
図16の例では、カソード電極2に凹部22を設け、該凹部22内に誘電体6を装着したが、図17に示すように、カソード電極2に貫通孔24を設け、貫通孔24内に誘電体6を装着してもよい。このとき、誘電体6の張出部18を、筒状部20を設けた側と反対側のカソード電極2の表面と係合させる。この場合も、カソード電極2によって誘電体6を支持することができ、被処理基板4が大面積基板である場合でも、プラズマCVD装置の電極を構成することが可能となる。
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、上述の各実施の形態の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
また、今回開示した実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変形が含まれる。
本発明は、第1と第2電極間でプラズマを発生させるプラズマ発生部を備えたプラズマプロセス装置および該プラズマプロセス装置を用いた電子デバイスの製造方法に有効に適用され得る。
本発明の実施の形態1のプラズマCVD装置を模式的に示すx-z面断面図である。 実施の形態1のプラズマCVD装置を模式的に示すy-z面断面図である。 実施の形態1のプラズマCVD装置における電極と基板ホルダ部分の斜視図である。 実施の形態1のプラズマCVD装置におけるアノード電極部の斜視図である。 実施の形態1のプラズマCVD装置において電極部を拡大したx-z面断面図である。 実施の形態1の電極部の変形例を示すx-z面断面図である。 実施の形態1の電極部の他の変形例を示すx-z面断面図である。 実施の形態1の電極部のさらに他の変形例を示すx-z面断面図である。 本発明の実施の形態2のプラズマCVD装置における電極部を拡大したx-z面断面図である。 図9のX−X線断面図である。 本発明の実施の形態3のプラズマCVD装置における電極部を拡大したx-z面断面図である。 本発明の実施の形態4のプラズマCVD装置における電極部を拡大したx-z面断面図である。 本発明の実施の形態5のプラズマCVD装置における電極部を拡大したx-z面断面である。 図13におけるXIV−XIV線断面図である。 図13の電極部の変形例を示すx-z面断面図である。 本発明の実施の形態6のプラズマCVD装置における電極部を拡大したx-z面断面である。 図16の電極部の変形例を示すx-z面断面図である。 実施の形態1のプラズマCVD装置における電極部の変形例の斜視図である。 実施の形態1のプラズマCVD装置におけるアノード電極の変形例の斜視図である。 有機エレクトロルミネッセンス素子の構造例を模式的に示す断面図である。 平行平板型のプラズマCVD装置を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1 処理室、2 カソード電極、2a,2f 板状導電部材、2b、2c、2d、2e 側壁導電部材、3 アノード電極、3a 棒状導電部材、3b,3c ベース部材、3d、3e 固定部材、4 被処理基板、4a 処理面、5 基板ホルダ、6,15 誘電体、7 ガス導入口、8 高周波電源、9 ガス供給部、10 ガス排出部、11 配線、12 ガス滞留部、13 整合器、14 ボルト、16,24,26,28 貫通孔、17,19,21,22,23,25 凹部、20筒状部、27壁部、30 基板、31 陽極、32 有機正孔輸送層、33 有機発光層、34 陰極、35 透明電極、36 透明絶縁膜。

Claims (9)

  1. 被処理基板が内部に配置される処理室と、
    前記処理室の内部にガスを導入するガス導入口と、
    前記処理室の内部に設けられ、前記被処理基板にプラズマ処理を施すプラズマ発生部とを備え、
    前記プラズマ発生部は、前記被処理基板に対し同じ側に、はしご状あるいは格子状の第1電極と、複数の前記ガス導入口を有する第2電極と、前記第1と第2電極間に誘電体とを有し、
    前記第1電極、前記誘電体および前記第2電極が、前記被処理基板の処理面に垂直方向に配置されている、プラズマプロセス装置。
  2. 被処理基板が内部に配置される処理室と、
    前記処理室の内部にガスを導入するガス導入口と、
    前記処理室の内部に設けられ、前記被処理基板にプラズマ処理を施すプラズマ発生部とを備え、
    前記プラズマ発生部は、前記被処理基板に対し同じ側に、複数の棒状導電部材と該棒状導電部材の両端部をそれぞれ接続するとともに保持する1組の導電性の保持部材とを含む第1電極と、複数の前記ガス導入口を有する第2電極と、前記第1と第2電極間に誘電体とを有し、
    前記第1電極、前記誘電体および前記第2電極は、前記被処理基板の処理面に垂直方向に配置され、
    前記保持部材を介して前記第1電極を前記処理室の内部に固定した、プラズマプロセス装置。
  3. 被処理基板が内部に配置される処理室と、
    前記処理室の内部にガスを導入するガス導入口と、
    前記処理室の内部に設けられ、前記被処理基板にプラズマ処理を施すプラズマ発生部とを備え、
    前記プラズマ発生部は、前記被処理基板に対し同じ側に、貫通孔を有する導電部材と該導電部材の両端部を保持する1組の導電性の保持部材とを含む第1電極と、複数の前記ガス導入口を有する第2電極と、前記貫通孔に沿って延在するように前記第1と第2電極間に設けられた誘電体とを有し、
    前記第1電極、前記誘電体および前記第2電極は、前記被処理基板の処理面に垂直方向に配置され、
    前記保持部材を介して前記第1電極を前記処理室の内部に固定した、プラズマプロセス装置。
  4. 被処理基板が内部に配置される処理室と、
    前記処理室の内部にガスを導入するガス導入口と、
    前記処理室の内部に設けられ、前記被処理基板にプラズマ処理を施すプラズマ発生部とを備え、
    前記プラズマ発生部は、前記被処理基板に対し同じ側に、第1方向に延びる第1部分と前記第1方向と交差する第2方向に延びる第2部分とを有する導電部材と該導電部材の両端部を保持する1組の導電性の保持部材とを含む第1電極と、複数の前記ガス導入口を有する第2電極と、前記第1と第2電極間に誘電体とを有し、
    前記第1電極、前記誘電体および前記第2電極は、前記被処理基板の処理面に垂直方向に配置され、
    前記保持部材を介して前記第1電極を前記処理室の内部に固定した、プラズマプロセス装置。
  5. 前記保持部材は、前記第1電極の端部を受入れる凹部を有するベース部材と、前記凹部に前記第1電極の端部を受入れた状態で前記第1電極を前記ベース部材に固定する固定部材とを含む、請求項2から請求項4のいずれかに記載のプラズマプロセス装置。
  6. 前記誘電体を前記第2電極により支持した、請求項1から請求項5のいずれかに記載のプラズマプロセス装置。
  7. 前記第2電極は、前記ガス導入口が設けられる板状導電部材と、該板状導電部材に固定され前記誘電体の側壁上に延びる側壁導電部材とを有し、
    前記側壁導電部材により前記誘電体を支持した、請求項6に記載のプラズマプロセス装置。
  8. 前記誘電体は、前記被処理基板の処理面に垂直方向に前記第2電極と係合する係合部を有し、
    前記第2電極は、前記誘電体の前記係合部を受入れる凹部を有する、請求項6または請求項7に記載のプラズマプロセス装置。
  9. 請求項1から請求項8のいずれかに記載のプラズマプロセス装置を用いて、被処理基板の温度を100℃以上200℃以下の温度に保持した状態で絶縁膜を形成することを特徴とする、電子デバイスの製造方法。
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