JP2006040578A - プラズマディスプレイ用転写フィルム - Google Patents
プラズマディスプレイ用転写フィルム Download PDFInfo
- Publication number
- JP2006040578A JP2006040578A JP2004214585A JP2004214585A JP2006040578A JP 2006040578 A JP2006040578 A JP 2006040578A JP 2004214585 A JP2004214585 A JP 2004214585A JP 2004214585 A JP2004214585 A JP 2004214585A JP 2006040578 A JP2006040578 A JP 2006040578A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- film
- substrate
- dielectric
- transfer
- plasma display
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Gas-Filled Discharge Tubes (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
Abstract
【課題】積層膜を転写することのできる、プラズマディスプレイ用転写フィルムを、効率的に安価に生産すること。
【解決手段】
第1のフィルム基板の上に第1の膜を形成し、第2のフィルム基板の上に第2の膜を形成した後、第1の膜と第2の膜が向かい合うようにして張り合わせることにより第1の膜と第2の膜を積層せしめたプラズマディスプレイ用転写フィルムにおいて、第1のフィルム基板と第1の膜との密着力A(g/cm)、第2のフィルム基板と第2の膜との密着力B(g/cm)の関係が、B>Aであり、かつ少なくとも第1の膜が粘着性を有することを特徴とするプラズマディスプレイ用転写フィルム。
【選択図】図3
【解決手段】
第1のフィルム基板の上に第1の膜を形成し、第2のフィルム基板の上に第2の膜を形成した後、第1の膜と第2の膜が向かい合うようにして張り合わせることにより第1の膜と第2の膜を積層せしめたプラズマディスプレイ用転写フィルムにおいて、第1のフィルム基板と第1の膜との密着力A(g/cm)、第2のフィルム基板と第2の膜との密着力B(g/cm)の関係が、B>Aであり、かつ少なくとも第1の膜が粘着性を有することを特徴とするプラズマディスプレイ用転写フィルム。
【選択図】図3
Description
本発明は、複数の層からなる積層膜を有するプラズマディスプレイに関し、さらには、積層膜を形成するために好適に使用することができる転写フィルムに関するものである。
近年、平板状の蛍光表示体としてプラズマディスプレイが注目されている。図1は交流型のプラズマディスプレイパネルの断面形状を示す模式図の1例である。同図において、1および8は対向配置されたガラス基板(通常1は前面板、8は背面板と呼ぶ)、11は隔壁であり、ガラス基板1、ガラス基板8および隔壁11によりセルが区画形成される。2はガラス基板1に固定された透明電極、7は透明電極の抵抗を下げる目的で透明電極上に形成されたバス電極で、低反射にするため黒色を呈している黒色導電層膜3と主電極4からなる。5は、透明電極2およびバス電極7を被覆するようガラス基板1の表面に形成された誘電体である。6は例えば酸化マグネシウムよりなる保護膜である。9はガラス基板8に固定されたアドレス電極、10はアドレス電極9を被覆するようにガラス基板8の表面に形成された誘電体、12はセル内に保持された蛍光物質である。
透明電極およびバス電極の形成方法としては、まず、ガラス基板上に、CVD法、スパッタ法や真空蒸着法でITOやSnO2を主成分とした膜からなる、所定のパターンの透明電極を形成し、該透明電極の上にバス電極を形成して積層構造とする方法が一般的である。近年、バス電極は、従来の薄膜形成法よりも量産性が高く、大面積化が容易で低コストな厚膜ペーストを用いてスクリーン印刷法により形成する方法の他に、最近は塗布法、ドライフィルム法などで形成する検討がなされている。
誘電体膜はガラス焼結体より形成され、その膜厚は例えば20〜50μmとされる。誘電体膜の形成方法としては、低融点又は高融点ガラス粉末、結着樹脂および溶剤を含有するペースト状の組成物(以下、「ガラスペースト組成物」という)を調製し、ガラスペースト組成物をスクリーン印刷法によってガラス基板1の表面に塗布して乾燥することにより膜形成材料層を形成する方法が主流であった。しかし、膜厚のばらつきが大きい、メッシュ跡が残り表面平滑性に劣るため、例えば、ガラスペースト組成物を支持フィルム基板上に塗布し、塗膜を乾燥して膜形成材料層を形成し、支持フィルム基板上に形成された膜形成材料層を、電極が固定されたガラス基板の表面に転写し、転写された膜形成材料層を焼成することにより、前記ガラス基板の表面に誘電体膜を形成するドライフィルム法などが提案されている。(特許文献1参照)
しかしながら、厚膜のバス電極上に、軟化点が500℃以下の低融点ガラス粉末を主成分とする誘電体ペーストからなる誘電体膜を形成した場合、誘電体膜の焼成時に低融点ガラスが流動してバス電極と透明電極との間に浸食し、透明電極からバス電極が剥離してしまうという問題点がある。さらに、銀を主成分とした厚膜のバス電極上に誘電体膜を形成する場合、焼成時にバス電極が着色するという問題がある。一方、軟化点が550℃以上の低融点ガラス粉末を主成分とする誘電体ペーストを用いた場合には、焼成後の誘電体膜中に気泡が多く残存し、白濁して透過率が低下するという問題がある。
しかしながら、厚膜のバス電極上に、軟化点が500℃以下の低融点ガラス粉末を主成分とする誘電体ペーストからなる誘電体膜を形成した場合、誘電体膜の焼成時に低融点ガラスが流動してバス電極と透明電極との間に浸食し、透明電極からバス電極が剥離してしまうという問題点がある。さらに、銀を主成分とした厚膜のバス電極上に誘電体膜を形成する場合、焼成時にバス電極が着色するという問題がある。一方、軟化点が550℃以上の低融点ガラス粉末を主成分とする誘電体ペーストを用いた場合には、焼成後の誘電体膜中に気泡が多く残存し、白濁して透過率が低下するという問題がある。
これらの問題を解決する手段として、ガラス粉末を含有する第1の薄膜形成材料層からなる第1の誘電体膜と、軟化点の異なるガラス粉末を含有する第2の薄膜形成材料層からなる第2の誘電体膜との積層膜を支持フィルム基板上に塗布法で形成し、これを厚膜バス電極が形成されたガラス基板上に転写/焼成する製造方法が提案されている。(特許文献2参照)
この発明には、第1の誘電体膜を塗布乾燥後、第2の誘電体膜を塗布乾燥する方法が開示されているが、実際に実施してみると、第2の誘電体膜塗布乾燥時に第1の誘電体膜が変形又は再溶解するという問題のため、出来上がった製品の膜品位が著しく劣ったものになる。また、第1の誘電体膜と第2の誘電体膜の界面で、互いに溶解した混合層ができてしまうなどの問題も発生する。さらには、第1の誘電体膜上に第2の誘電体膜を塗布乾燥するため、第2の誘電体を塗布するまでの間に第1の誘電体膜に異物が付着したり、走行傷がついたりして収率が低下する問題があり、誘電体膜が支持フィルムに付着したりして作業性が悪く、生産性も半減するため加工コストが著しくアップしたり、収率も低下するなどの問題もあった。このような理由で、高品質で低コストの多層から成る誘電体膜を量産化するのが困難であった。
この発明には、第1の誘電体膜を塗布乾燥後、第2の誘電体膜を塗布乾燥する方法が開示されているが、実際に実施してみると、第2の誘電体膜塗布乾燥時に第1の誘電体膜が変形又は再溶解するという問題のため、出来上がった製品の膜品位が著しく劣ったものになる。また、第1の誘電体膜と第2の誘電体膜の界面で、互いに溶解した混合層ができてしまうなどの問題も発生する。さらには、第1の誘電体膜上に第2の誘電体膜を塗布乾燥するため、第2の誘電体を塗布するまでの間に第1の誘電体膜に異物が付着したり、走行傷がついたりして収率が低下する問題があり、誘電体膜が支持フィルムに付着したりして作業性が悪く、生産性も半減するため加工コストが著しくアップしたり、収率も低下するなどの問題もあった。このような理由で、高品質で低コストの多層から成る誘電体膜を量産化するのが困難であった。
同様に、特許文献3には、塗工法によりガラス基板上に無機粉体含有樹脂層、レジスト層をこの順に積層したり、支持フィルム基板上にレジスト層、無機粉体含有樹脂層をこの順に積層したり、あるいは無機粉体含有物を多層積層することが開示されているが、いずれも同様の原因で、積層膜が変形もしくは再溶解し、著しく品位の低いものしかできず、また、レジスト層と無機粉体有樹脂層の界面で、互いに溶解した混合層ができてしまうため、精度の良好なレジストパターンができず、また、レジスト層の残膜が発生するという問題もある。
特開平9−102273号公報
特開2000−95545号公報
特開2003−100205号公報
本発明は、以上のような問題を解決せしめるためになされたものである。本発明の第1の目的は、プラズマディスプレイパネルに要求される高品質の積層膜を効率的に形成すること、第2の目的は、生産性に優れ、収率よく、低コストでプラズマディスプレイ用積層膜を形成する製造する方法を提供すること、第3の目的は、膜厚均一性に優れ、表面平滑性にも優れたプラズマディスプレイ用積層膜を形成することにある。
上記課題を解決するため、本発明のプラズマディスプレイ用転写フィルムは次の構成を有するものである。すなわち、本発明のプラズマディスプレイ用転写フィルムは、第1のフィルム基板の上に第1の膜を形成し、第2のフィルム基板の上に第2の膜を形成した後、第1の膜と第2の膜を向かい合うようにして張り合わせることにより第1の膜と第2の膜を積層せしめ、第1のフィルム基板と第1の膜との密着力A(g/cm)、第2のフィルム基板と第2の膜との密着力B(g/cm)の関係が、B>Aであり、かつ少なくとも第1の膜が粘着性を有することを特徴とするプラズマディスプレイ用転写フィルムである。
本発明によれば、互いに軟化点の異なる2層誘電体膜の製造、上層がパターン化された2層誘電体膜の製造、黒色導電層と主電極からなるバス電極等の製造、誘電体膜と隔壁層からなる背面板の製造などに好適に用いることができるプラズマディスプレイ用転写フィルムを得ることができる。
本発明による転写フィルムによれば、膜の転写工程を含む簡単な方法によって、各製膜工程においてプラズマディスプレイパネルの製造効率を向上させることができる。また、本発明による転写フィルムによれば、膜厚の均一性および平滑性を維持しながら、膜厚の大きな誘電体膜等を形成することができ、大型のパネルに要求される誘電体膜であっても効率的に形成することができる。この結果、本発明による転写フィルムにより製造されるPDPにおいて、輝度ムラなどの表示欠陥が発生することはない。さらに、本発明による転写フィルムによれば、銀からなるバス電極を用いても、剥離せず、着色もない誘電体膜を形成することができる。
以下、本発明について詳細に説明するが、軟化点の異なる2層の誘電体積層膜からなるプラズマディスプレイ用誘電体を形成せしめるための転写フィルムを例にしながら説明する。すなわち、第1のフィルム基板の上に第1の誘電体膜を形成し、第2のフィルム基板の上に第2の誘電体膜を形成した後、第1のフィルム基板と第2フィルム基板を、2つの誘電体膜が互いに向かい合うようにして張り合わせることにより、第1の誘電体膜と第2の誘電体膜を積層せしめたプラズマディスプレイ用転写フィルムを作製し、この誘電体積層膜を電極付きガラス基板に転写する場合について説明する。このとき、転写完了後の誘電体膜の構成は、電極付きガラス基板/第1の誘電体膜/第2の誘電体膜の順になる。
転写フィルムは、支持フィルム基板(以下、フィルム基板とする)と、この支持フィルム基板上に多層積層された誘電体膜によって構成される。
<フィルム基板>転写フィルム用のフィルム基板としては、耐熱性および耐溶剤性を有するとともに可撓性を有する樹脂フィルムであることが好ましい。フィルム基板を形成する樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリフロロエチレンなどの含フッ素樹脂、ナイロン、セルロースなどを挙げることができる。フィルム基板の厚さとしては、例えば10〜100μmが好ましい。また、誘電体膜が塗布されるフィルム基板の表面には離型処理が施されていることが好ましい。これにより、ガラス基板への転写工程において、フィルム基板の剥離操作を容易に行うことができ、さらには離型剤の種類を替えることにより、フィルム基板と誘電体膜との密着力を変えることができる。
転写フィルムを構成する誘電体膜は、ガラス粉末、結着樹脂および溶剤を成分として含有するガラスペースト組成物を、上記フィルム基板上に塗布し、塗膜を乾燥して溶剤を除去することにより形成することができる。
<ガラス粉末>上記ガラスペースト組成物においては、その必須成分であるガラス粉末の軟化点を、各々の膜においてそれぞれ異なるようにするのが好ましい。電極付きガラス基板に接する第1の膜を形成するガラス粉末の軟化点は、第2の膜を形成するガラス粉末の軟化点よりも、50℃以上高いことが好ましい。具体的には、第1の膜に含有されるガラス粉末の軟化点は、通常、400℃以上600℃未満、好ましくは、500℃以上580℃未満である。また、第2の膜形を形成するガラス粉末の軟化点は、通常、350℃以上550℃未満、好ましくは、400℃以上500℃未満である。ここで「軟化点」とは、一般的には、示差熱分析計により測定することができる。
好適なガラス粉末の組成の具体例としては、(a)PbO−B2O3−SiO2−CaO系、(b)ZnO−B2O3−SiO2系、(c)PbO−B2O3−SiO2−Al2O3系、(d)PbO−ZnO−B2O3−SiO2系、(e)PbO−B2O3−SiO2系、(f)Bi2O3−B2O3−SiO2系、(g)Bi2O3−B2O3−SiO2−Al2O3系などを例示することができる。また、本発明に用いられるガラス粉末の粒径は、好ましくは0.1〜5μmである。なお、ガラス粉末の軟化点を調整するには、一般に、ガラス製造の原料秤量時に各酸化物成分の組成比を変量してガラス化する方法が用いられる。本発明に用いられるガラスペースト組成物におけるガラス粉末の含有割合としては、50重量%以上であることが好ましい。
<結着樹脂>上記ガラスペースト組成物の必須成分である結着樹脂は、特に限定されず、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂、アクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、エチルセルロール樹脂などが好適に使用できるが、特にアクリル樹脂であることが好ましい。結着樹脂としてアクリル樹脂が含有されていることにより、形成される誘電体膜には、ガラス基板に対する優れた(加熱)接着性が発揮される。従って、本発明の組成物をフィルム基板上に塗布して転写フィルムを製造する場合において、得られる転写フィルムは、誘電体膜の転写性(ガラス基板への転写性)に優れたものとなる。かかるアクリル樹脂としては、適度な粘着性を有してガラス粉末を結着させることができ、膜の焼成処理温度(通常、400℃〜600℃)によって完全に酸化除去される(共)重合体の中から選択される。具体的には、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物の単独重合体、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物の2種以上の共重合体、および下記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物と他の共重合性単量体との共重合体が含まれる。
(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は1価の有機機を示す。)
上記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、フェノキシアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
上記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、フェノキシアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
これらのうち、上記一般式(1)中、R2で示される基が、アルキル基またはオキシアルキレン基を含有する基であることが好ましく、特に好ましい(メタ)アクリレート化合物として、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレートおよび2−エトキシエチル(メタ)アクリレートを挙げることができる。(メタ)アクリレート化合物との共重合に供される他の共重合性単量体としては、上記(メタ)アクリレート化合物と共重合可能な化合物であれば特に制限はなく、例えば(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、ビニルフタル酸などの不飽和カルボン酸類;ビニルベンジルメチルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレンなどのビニル基含有ラジカル重合性化合物を挙げることができる。アクリル樹脂において、上記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物由来の共重合成分は、好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは100重量%である。本発明の組成物を構成する結着樹脂の分子量としては、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が2,000〜400,000であることが好ましく、さらに好ましくは10,000〜300,000で、さらに好ましくは50,000〜250,000である。
結着樹脂の含有割合としては、ガラス粉末100重量部に対して、5〜40重量部であることが好ましく、さらに好ましくは10〜30重量部である。結着樹脂の割合が過小である場合には、塗膜強度が不十分で、ガラス粉末を確実に結着保持することができず、一方、この割合が過大である場合には、焼成工程に長い時間を要したり、焼成後形成された誘電体膜中に不純物が混入するなどの弊害が発生する。
<溶剤>上記ガラスペースト組成物の必須成分である溶剤としては、ガラス粉末との親和性、結着樹脂の溶解性が良好で、ガラスペースト組成物に適度な粘性を付与することができると共に、乾燥されることにより容易に蒸発除去できるものであることが好ましい。かかる溶剤の具体例としては、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルブチルケトン、ジプロピルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;n−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、シクロヘキサノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル系アルコール類;酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸アミルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;乳酸エチル、乳酸−n−ブチルなどの乳酸エステル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのエーテル系エステル類などを例示することができ、これらのうち、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸−n−ブチル、酢酸エチル乳酸エチル、エチル−3−エトキシプロピオネートなどが好ましい。
ガラスペースト組成物における溶剤の含有割合としては、組成物の粘度を好適な範囲に維持する観点から適宜調整することができる。例えば、ガラス粉末と樹脂をあわせた100重量部に対して、5〜50重量部であることが好ましく、さらに好ましくは10〜40重量部である。
本発明に用いられるガラスペースト組成物には、上記の必須成分のほかに、分散剤、粘着性付与剤、可塑剤、表面張力調整剤、安定剤、消泡剤、分散剤などの各種添加剤が任意成分として含有されていてもよい。ガラスペースト組成物は、上記ガラス粉末、結着樹脂および溶剤並びに任意成分を、ロール混練機、ミキサー、ホモミキサー、サンドミルなどの混練・分散機を用いて混練することにより調製することができる。
本発明の第1のフィルム基板上に形成する第1の膜は粘着性を有することが必要である。なぜならば、第1の膜と第2の膜を張り合わせた後、第1のフィルム基板を剥離し、プラズマディスプレイ用ガラス基板に第1の膜側から転写させる。このため、少なくとも第1の膜は、ガラス基板と接着する必要があるため、十分な粘着性を有するのが好ましい。このため、第1の膜中に含まれる樹脂はガラス転移温度が低いものが好ましく、好ましくは60℃以下、より好ましくは20℃以下、さらに好ましくは0℃以下である。また、第1の膜中に可塑剤、粘着性付与剤などを添加するのも好ましい。
第1の膜の粘着性としては、JIS Z 237に準じて測定されたボールタック性が、傾斜角30度、助走路20mmの条件にて、ボールNo.1(1/32吋)〜10(5/16吋)の粘着性を有することが好ましく、より好ましくはボールNo.2(1/16吋)〜5(5/32吋)である。
好ましいガラスペースト組成物の一例を示せば、軟化点500〜580℃のガラス粉末(酸化鉛50〜80重量%、酸化ホウ素1〜20重量%、酸化ケイ素10〜50重量%および酸化カルシウム0〜20重量%)100重量部と、アクリル樹脂(ポリブチルメタクリレートと2−エチルヘキシルメタクリレートの共重合体など)10〜30重量部と、可塑剤(フタル酸ジブチルなど)10〜30重量部と、溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルなど)10〜50重量部とを含有する組成物を挙げることができる。また、第2の膜を形成するガラスペースト組成物としては、軟化点400〜500℃のガラス粉末(酸化鉛50〜90重量%、酸化ホウ素0〜10重量%、酸化ケイ素5〜50重量%および酸化亜鉛0〜20重量%)100重量部と、アクリル樹脂(ポリブチルメタクリレートなど)10〜30重量部と、溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルなど)10〜50重量部とを含有する組成物を挙げることができる。
第1の膜及び第2の膜を形成するガラスペースト組成物の粘度は、100〜100000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは、1000〜10000mPa・sである。塗液粘度をこれらの範囲に調整するため、溶媒量を適宜調整する。
ガラスペースト組成物をフィルム基板上に塗布する方法としては、膜厚均一性に優れた厚膜塗膜(例えば20μm以上)を効率よく形成することができるものであることが好ましく、具体的には、スリットダイコーター、カーテンフローコーター、ブレードコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーターなどの塗布法が好ましい。この中でも、経時的な溶媒の蒸発による濃度変化や、ゴミの付着が少ないことからスリットダイコーター、カーテンフローコーターが、特に好ましい。
第1のフィルム基板に第1の膜を形成するためにガラスペースト組成物を塗布した後、オーブンで乾燥する。この後、通常、第1の膜の上に第1の保護フィルムをラミネートしながら巻き取る。このような保護フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリビニルアルコール系フィルムなどや、これらのフィルムの表面に離型処理が施されているものを挙げることができる。これらの保護フィルムと第1の膜との密着力は、第1のフィルム基板と第1の膜との密着力より小さいことが好ましい。
同様にして、第2のフィルム基板上に、第2の膜を形成するために、ガラスペースト組成物を塗布し、オーブンで乾燥する。この後、第2の膜の上に第2の保護フィルムをラミネートしながら巻き取る。第2の保護フィルムも第1の保護フィルムと同様な材料を用いることができる。また、第2の保護フィルムと第2の膜との密着力は、第2のフィルム基板と第2の膜との密着力より小さいことが好ましい。
このようにして、第1のフィルム基板の上に第1の膜を形成し、第2のフィルム基板の上に第2の膜を形成した後、第1のフィルム基板と第2のフィルム基板を、第1の膜面と第2の膜面が向かい合うようにして張り合わせることにより第1の膜と第2の膜を積層せしめ、プラズマディスプレイ用転写フィルムを作製する。保護フィルムを巻き付けていた場合は、張り合わせる前に剥離させておく。本発明の転写フィルムは、少なくとも第1の膜が粘着性を有しており、第1の膜と第2の膜を容易に張り合わせ、積層せしめることができるのである。
第1の膜面と第2の膜面を張り合わせる方法は、ラミネーターを用いて圧着する方法が一般的である。ロール圧は1〜10kg/cm2、ローラの表面温度は10〜130℃が好ましく、より好ましくは20〜80℃、さらに好ましくは25〜60℃である。ラミネート速度は、0.1〜10m/分が好ましい。
張り合わせ方法としては、(1)前述のように、第1のフィルム基板上に第1の膜を形成し、第1の保護フィルムを巻き付けてロール状に巻き取り、同じく第2のフィルム基板上に第2の膜を形成後、第2の保護フィルムを巻き付けてロール状に巻き取った後、第1と第2の保護フィルムを剥離しながら、ラミネーターで第1のフィルム基板と第2のフィルム基板を、第1の膜面と第2の膜面が向かい合うようにして張り合わせる方法の他に、(2)第1のフィルム基板上に第1の膜を形成し、第1の保護フィルムを巻き付けてロール状に巻き取った後、第2のフィルム基板上に第2の膜を形成し、オーブンで乾燥後、第1の保護フィルムを剥離しながら連続してラミネーターで第1のフィルム基板と第2のフィルム基板を、第1の膜面と第2の膜面が向かい合うようにして張り合わせる方法、(3)第2のフィルム基板上に第2の膜を形成し、第2の保護フィルムを巻き付けてロール状に巻き取った後、第1のフィルム基板上に第1の膜を形成し、オーブンで乾燥後、第2の保護フィルムを剥離しながら連続してラミネーターで第1のフィルム基板と第2のフィルム基板を、第1の膜面と第2の膜面が向かい合うようにして張り合わせる方法があり、(1)の製造方法よりも、(2)、(3)の製造方法の方が生産効率も良く、保護フィルムも削減でき、コストも低くすることができ、特に好ましい。
このようにして張り合わせた後、第1のフィルム基板と第1の膜との密着力A(g/cm)、第2のフィルム基板と第2の膜との密着力B(g/cm)の関係が、B>Aであることが必要である。第1の膜と第2の膜はラミネートにより密着させるため、必要に応じてラミネート温度を調整する。また、密着力A、Bの関係は、B>Aであることが必要であるため、第1のフィルム基板と第2のフィルム基板は前述にように、離型フィルムを用い、その離型力を適宜調製する。密着力の大きい方から、重剥離、中剥離、軽剥離、超軽剥離の4段階で離型フィルムを分類すると、第1のフィルム基板と第2のフィルム基板の組み合わせは、それぞれ、(1)第1のフィルム基板が超軽剥離〜中剥離で、第2のフィルム基板が重剥離、(2)第1のフィルム基板が超軽剥離〜軽剥離で、第2のフィルム基板が中剥離、(3)第1のフィルム基板が超軽剥離で、第2のフィルム基板が軽剥離、などの組み合わせが好ましい。
密着力Aは、0.1〜15g/cmが好ましく、より好ましくは0.5〜10g/cm、さらに好ましくは1〜8g/cmである。密着力Bは、1〜100g/cmが好ましく、より好ましくは2〜50g/cm、さらに好ましくは3〜15g/cmである。密着力Aがこの範囲より小さければ、第1の保護フィルムを剥がすときなど、第1のフィルム基板と第1の膜の間が剥がれやすくなり、取り扱いが難しくなり、この範囲より大きいと、転写時に第1のフィルム基板を剥離しにくくなる。密着力Bがこの範囲より小さければ、転写時に第1のフィルム基板を剥がすときに第2のフィルム基板と第2の膜の間が剥がれやすくなるなど、取り扱いが難しくなり、この範囲より大きいと、転写後に第2のフィルム基板を剥離しにくくなる。
密着力を測定する方法について説明する。第1のフィルム基板と第1の膜との密着力Aや第2のフィルムと第2の膜との密着力Bは、サンプルを例えば1cm幅に短冊状に切断し、第1のフィルムと第1の膜又は第2のフィルムと第2の膜をそれぞれ把持し、テンシロンで引っ張りながら、剥離力(=密着力)を測定する。
以上のようにして作製した転写フィルムを用い、転写フィルム上の膜材料を、電極が固定されたガラス基板の表面に転写せしめる。転写工程の一例を示せば以下のとおりである。転写フィルムの第1のフィルム基板は、保護フィルムとして働くため、転写前に剥離する。次に、ガラス基板の表面(電極固定面)に、第1の膜表面が当接されるように転写フィルムを重ね合わせ、この転写フィルムを加熱ローラなどにより熱圧着した後、積層膜から第2のフィルム基板(支持フィルム)を剥離除去する。これにより、ガラス基板の表面に積層膜が転写されて密着した状態となる。本発明の転写フィルムは、少なくとも第1の膜が粘着性を有しており、第1の膜とガラス基板は容易に張り合わせることができるのである。ここで、転写条件としては、例えば、加熱ローラの表面温度は10〜130℃が好ましく、より好ましくは20〜80℃、さらに好ましくは25〜60℃で、加熱ローラによるロール圧が1〜10kg/cm2、加熱ローラの移動速度が0.1〜10.0m/分である。また、ガラス基板は予熱されていてもよく、予熱温度としては例えば50〜100℃とすることができる。
なお、第1の膜と第2の膜との密着力(Cとする)は、第1のフィルム基板と第1の膜との密着力Aや第2のフィルムと第2の膜との密着力Bにくらべ、十分に大きいことが好ましい。この密着力Cが密着力AやBに比べ小さいと、転写フィルム作製後ガラス基板への転写工程において、例えば、第1のフィルム基板を剥離する工程や、ガラス基板へ第1の膜と第2の膜の積層膜を転写後、第2のフィルム基板を剥離除去する工程において、第1の膜と第2の膜の界面で部分的な剥離が発生したりして好ましくない。
この後、ガラス基板の表面に転写された積層膜は、焼成される。具体的には、積層膜が形成されたガラス基板を、高温雰囲気下に配置することにより、積層膜に含有されている有機物質(例えば結着樹脂、残存溶剤、各種の添加剤)が分解などによって除去され、無機物質であるガラス粉末が溶融して焼結する。これにより、ガラス基板上には、ガラス焼結体よりなる誘電体膜が形成される。ここに、焼成温度としては、積層膜中の構成物質によっても異なるが、例えば400〜600℃とされる。
このようにして積層した膜は、従来の2度の塗工方法で積層した膜に比べ、界面が明瞭であり、軟化点の高い層と、軟化点の低い層が均一に積層でき、銀電極の黄変等無く、透明性の高い、欠点の少ない誘電体膜を形成できる。
本発明のプラズマディスプレイ用転写フィルムとしては、第1の膜、第2の膜のいずれか感光性を有すること、あるいは両方共に感光性を有しても良い。感光性を付与することにより、露光、現像工程を経て、パターニングすることができる。感光性を付与するためには、結着樹脂に、光により硬化又は溶解する樹脂を使用することで実現する。以下、具体的な例で説明する。
第1の膜及び第2の膜が共に誘電体膜であり、かつ第2の膜が感光性である場合は、電極が固定されたガラス基板の表面に転写された積層膜は、感光性誘電体膜が上層(表側)になる。この後、露光、現像を行うことにより、パターニングすることができる。この後焼成を行い、上層がパターン化された誘電体膜を形成することができる。これは主として、プラズマディスプレイ前面板に利用することができる。
第1の膜が誘電体膜で、第2の膜が隔壁膜である場合は、電極が固定されたガラス基板の表面に転写された積層膜は、隔壁膜が上層(表側)になる。次に、隔壁膜をサンドブラスト法等で加工することにより、パターニングすることができる。また、隔壁膜が感光性である場合は、直接露光、現像を行うことにより、パターニングすることができる。このようにして、プラズマディスプレイ背面板に利用することができる。隔壁膜は、公知の隔壁用材料を用いて作製できる。例えば、酸化リチウム、酸化珪素、酸化硼素、酸化バリウム、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機粉末、アクリル等の樹脂、有機溶剤などを含むペーストを塗布することにより作製できる。
第1の膜が黒色導電層膜で、第2の膜が主電極膜である場合は、透明電極が固定されたガラス基板の表面に転写された積層膜は、電極膜が上層(表側)になる。この上にさらにレジスト膜を積層し、露光、現像後、黒色導電層膜と電極膜をエッチングすることにより、パターニングすることができる。この後焼成を行い、パターン化されたバス電極を形成することができる。これは主として、プラズマディスプレイ前面板に利用することができる。また、黒色導電層膜及び主電極膜が共に感光性である場合は、直接露光、現像を行うことにより、パターニングすることができる。黒色導電層膜は公知の黒色導電層用材料を用いて作製することができる。例えば、RuO2やCr、Cu−Crなどの金属粉末、アクリル等樹脂、ガラスフリット、有機溶剤などを含むペーストを塗布することにより作製できる。主電極膜も、公知の電極用材料を用いて作製することができる。例えば、銀等の金属粉末、アクリル等樹脂、ガラスフリット、有機溶剤などを含むペーストを塗布することにより作製できる。
第1の膜が非感光性の誘電体膜、隔壁膜、黒色導電層膜、主電極膜のいずれか1つであり、第2の膜が感光性のレジスト膜である場合は、プラズマディスプレイ用ガラス基板の表面に転写された積層膜は、感光性レジストが上層(表側)になる。感光性レジストを露光、現像後、下層の誘電体膜、隔壁膜、黒色導電層膜、主電極膜のいずれか1つの膜をエッチングすることにより、パターニングすることができる。この後焼成を行い、パターン化された誘電体膜、隔壁膜、黒色導電層膜、主電極膜を形成することができる。感光性レジスト膜は公知のレジスト用材料を用いて作製することができる。例えば、エチレン不飽和性のカルボキシル基を含むバインダー樹脂、多官能モノマー、光ラジカル発生剤などからなるポジ型レジスト又は、クレゾールノボラック樹脂にナフトキノンジアジド化合物を添加したネガ型レジストと、有機溶剤などを含む塗料を塗布することにより作製できる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、以下において「部」は「重量部」を示す。
(実施例1)
<ガラスペースト組成物Aの作製>
ガラス粉末として、酸化鉛40重量%、酸化ホウ素30重量%、酸化ケイ素10重量%、酸化バリウム20重量%の組成を有するPbO−B2O3−SiO2−BaO系ガラス(軟化点580℃)100部と、n−ブチルメタクリレート/エチルヘキシルメタクリレート(80/20モル%)の重合体(Mw:80,000)(結着樹脂)30部と、フタル酸ジブチル10部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(溶剤)30部とを混練することにより、粘度3,000mP・sのガラスペースト組成物Aを調製した。
<ガラスペースト組成物Bの作製>
また、ガラス粉末として、酸化鉛65重量%、酸化ホウ素5重量%、酸化ケイ素20重量%、酸化亜鉛10重量%の組成を有するPbO−B2O3−SiO2−ZnO系ガラス(軟化点470℃)100部と、ブチルメタクリレート(100重量%)の重合体(Mw:80,000)(結着樹脂)30部と、フタル酸ジブチル5部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(溶剤)30部とを混練することにより、粘度3,500mP・sのガラスペースト組成物Bを調製した。
<転写フィルムの作製>
まず、ガラスペースト組成物Aを、ブレードコーターを用いて予め離型処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムよりなる軽剥離離型の第1のフィルム基板(幅250mm、厚さ50μm)上に塗布して塗膜を形成した。形成された塗膜を110℃で5分間乾燥することにより溶剤を除去し、これにより、膜厚30μmの第1の誘電体膜を第1のフィルム基板上に積層した。第1の誘電体膜の上に、保護フィルムとして超軽剥離離型フィルム(幅250mm、厚さ38μm)を、ロール圧4kg/cm2で室温にてラミネートしながら巻き取った。第1のフィルム基板と第1の誘電体膜との密着力Aは、4g/cmであった。また、第1の膜の粘着性について、JIS Z 237に準じて、傾斜角30度、助走路20mmの条件にて測定した結果、ボールタック性は、ボールNo.2(1/16吋)であった。
(実施例1)
<ガラスペースト組成物Aの作製>
ガラス粉末として、酸化鉛40重量%、酸化ホウ素30重量%、酸化ケイ素10重量%、酸化バリウム20重量%の組成を有するPbO−B2O3−SiO2−BaO系ガラス(軟化点580℃)100部と、n−ブチルメタクリレート/エチルヘキシルメタクリレート(80/20モル%)の重合体(Mw:80,000)(結着樹脂)30部と、フタル酸ジブチル10部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(溶剤)30部とを混練することにより、粘度3,000mP・sのガラスペースト組成物Aを調製した。
<ガラスペースト組成物Bの作製>
また、ガラス粉末として、酸化鉛65重量%、酸化ホウ素5重量%、酸化ケイ素20重量%、酸化亜鉛10重量%の組成を有するPbO−B2O3−SiO2−ZnO系ガラス(軟化点470℃)100部と、ブチルメタクリレート(100重量%)の重合体(Mw:80,000)(結着樹脂)30部と、フタル酸ジブチル5部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(溶剤)30部とを混練することにより、粘度3,500mP・sのガラスペースト組成物Bを調製した。
<転写フィルムの作製>
まず、ガラスペースト組成物Aを、ブレードコーターを用いて予め離型処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムよりなる軽剥離離型の第1のフィルム基板(幅250mm、厚さ50μm)上に塗布して塗膜を形成した。形成された塗膜を110℃で5分間乾燥することにより溶剤を除去し、これにより、膜厚30μmの第1の誘電体膜を第1のフィルム基板上に積層した。第1の誘電体膜の上に、保護フィルムとして超軽剥離離型フィルム(幅250mm、厚さ38μm)を、ロール圧4kg/cm2で室温にてラミネートしながら巻き取った。第1のフィルム基板と第1の誘電体膜との密着力Aは、4g/cmであった。また、第1の膜の粘着性について、JIS Z 237に準じて、傾斜角30度、助走路20mmの条件にて測定した結果、ボールタック性は、ボールNo.2(1/16吋)であった。
次いで、ガラスペースト組成物Bを、ブレードコーターを用いて予め離型処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムよりなる中剥離離型の第2のフィルム基板(幅250mm、厚さ50μm)上に塗布して塗膜を形成した。形成された塗膜を110℃で5分間乾燥することにより溶剤を除去し、これにより、膜厚30μmの第2の誘電体膜を第2のフィルム基板上に形成した。第2のフィルム基板と第2の誘電体膜との密着力Bは、10g/cmであった。
この後、連続して第1のフィルム基板上に第1の誘電体膜を形成したものを、保護フィルムを巻き取りながら、第1の誘電体膜と第2の誘電体膜が重なるようにして、ロール圧4kg/cm2で室温にてラミネートし、2層の誘電体が積層された転写フィルムを作製した。
<誘電体積層膜の転写工程>
6インチパネル用のガラス基板上にあらかじめITO透明導電膜を形成し、さらにその上に銀ペーストをスクリーン印刷で塗布後焼成し、厚さ10μm、幅100μmのバス電極を形成した。次に転写フィルムより第1のフィルム基板をはがし、バス電極を形成した基板上に第1の誘電体膜の表面が当接されるよう転写フィルムを重ね合わせ、この転写フィルムをラミネーターで熱圧着した。ここで、圧着条件としては、加熱ローラの表面温度を60℃、ロール圧を4kg/cm2、加熱ローラの移動速度を1m/分とした。熱圧着処理の終了後、転写フィルムから第2のフィルム基板を剥離除去した。これにより、ガラス基板の表面に第1の誘電体膜および第2の誘電体膜が転写されて密着した状態となった。この積層膜について膜厚を測定したところ、60μm±1μmの範囲にあった。
<誘電体積層膜の焼成工程>
転写された誘電体積層膜を室温から10℃/分の昇温速度で590℃まで昇温し、590℃の温度雰囲気下30分間にわたって焼成処理することにより、ガラス基板の表面に、ガラス焼結体よりなる誘電体膜を形成した。この誘電体膜の膜厚を測定したところ30μm±0.5μmの範囲にあり、膜厚の均一性に優れているものであった。
<誘電体積層膜の性能評価>
このようにして、誘電体膜を有するガラス基板よりなるパネル材料を5台分作製した。形成された誘電体膜について、断面および表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、全てのパネル材料に形成された誘電体膜においてピンホールやクラックなどの膜欠陥は認められなかった。また、低融点ガラスが軟化流動してバス電極と透明導電膜との間に浸食することも、透明導電膜からバス電極が剥離することもなかった。また目視による外観の観察においても、バス電極の着色は認められなかった。さらに、このようにして、誘電体膜を有するガラス基板よりなるパネル材料を5台分作製し、形成された誘電体膜の光透過率(測定波長550nm)を測定したところ、光透過率の平均値は83%であり、良好な透明性を有するものであることが認められた。
(実施例2)
<感光性ガラスペースト組成物Cの作製>
ガラス粉末として、酸化鉛40重量%、酸化ホウ素30重量%、酸化ケイ素10重量%、酸化バリウム20重量%の組成を有するPbO−B2O3−SiO2−BaO系ガラス(軟化点580℃)100部と、n−ブチルメタクリレート/2−ヒドロキシルエチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(Mw:80,000、酸価=140mgKOH/g)からなる結着樹脂15部と、ペンタエリスリトールトリアクリレート(東亜合成社製、M−305)12部、光重合開始剤(チバガイギ社製、イルガキュア369)1部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(溶剤)30部とを混練することにより、粘度3,000mP・sの感光性ガラスペースト組成物Cを調製した。
<転写フィルムの作製>
実施例1と同様にして、ガラスペースト組成物Aからなる膜厚30μmの第1の非感光性誘電体膜を軽剥離離型の第1のフィルム基板上に形成し、保護フィルムとして超軽剥離離型フィルム(幅250mm、厚さ38μm)を、ラミネートしながら巻き取った。第1のフィルム基板と第1の非感光性誘電膜との密着力Aは、4g/cmであった。また、第1の膜の粘着性は、実施例1と同じくボールタック性がボールNo.2(1/16吋)であった。
<誘電体積層膜の転写工程>
6インチパネル用のガラス基板上にあらかじめITO透明導電膜を形成し、さらにその上に銀ペーストをスクリーン印刷で塗布後焼成し、厚さ10μm、幅100μmのバス電極を形成した。次に転写フィルムより第1のフィルム基板をはがし、バス電極を形成した基板上に第1の誘電体膜の表面が当接されるよう転写フィルムを重ね合わせ、この転写フィルムをラミネーターで熱圧着した。ここで、圧着条件としては、加熱ローラの表面温度を60℃、ロール圧を4kg/cm2、加熱ローラの移動速度を1m/分とした。熱圧着処理の終了後、転写フィルムから第2のフィルム基板を剥離除去した。これにより、ガラス基板の表面に第1の誘電体膜および第2の誘電体膜が転写されて密着した状態となった。この積層膜について膜厚を測定したところ、60μm±1μmの範囲にあった。
<誘電体積層膜の焼成工程>
転写された誘電体積層膜を室温から10℃/分の昇温速度で590℃まで昇温し、590℃の温度雰囲気下30分間にわたって焼成処理することにより、ガラス基板の表面に、ガラス焼結体よりなる誘電体膜を形成した。この誘電体膜の膜厚を測定したところ30μm±0.5μmの範囲にあり、膜厚の均一性に優れているものであった。
<誘電体積層膜の性能評価>
このようにして、誘電体膜を有するガラス基板よりなるパネル材料を5台分作製した。形成された誘電体膜について、断面および表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、全てのパネル材料に形成された誘電体膜においてピンホールやクラックなどの膜欠陥は認められなかった。また、低融点ガラスが軟化流動してバス電極と透明導電膜との間に浸食することも、透明導電膜からバス電極が剥離することもなかった。また目視による外観の観察においても、バス電極の着色は認められなかった。さらに、このようにして、誘電体膜を有するガラス基板よりなるパネル材料を5台分作製し、形成された誘電体膜の光透過率(測定波長550nm)を測定したところ、光透過率の平均値は83%であり、良好な透明性を有するものであることが認められた。
(実施例2)
<感光性ガラスペースト組成物Cの作製>
ガラス粉末として、酸化鉛40重量%、酸化ホウ素30重量%、酸化ケイ素10重量%、酸化バリウム20重量%の組成を有するPbO−B2O3−SiO2−BaO系ガラス(軟化点580℃)100部と、n−ブチルメタクリレート/2−ヒドロキシルエチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(Mw:80,000、酸価=140mgKOH/g)からなる結着樹脂15部と、ペンタエリスリトールトリアクリレート(東亜合成社製、M−305)12部、光重合開始剤(チバガイギ社製、イルガキュア369)1部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(溶剤)30部とを混練することにより、粘度3,000mP・sの感光性ガラスペースト組成物Cを調製した。
<転写フィルムの作製>
実施例1と同様にして、ガラスペースト組成物Aからなる膜厚30μmの第1の非感光性誘電体膜を軽剥離離型の第1のフィルム基板上に形成し、保護フィルムとして超軽剥離離型フィルム(幅250mm、厚さ38μm)を、ラミネートしながら巻き取った。第1のフィルム基板と第1の非感光性誘電膜との密着力Aは、4g/cmであった。また、第1の膜の粘着性は、実施例1と同じくボールタック性がボールNo.2(1/16吋)であった。
次いで、感光性ガラスペースト組成物Cを、ブレードコーターを用いて予め離型処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムよりなる中剥離離型の第2のフィルム基板(幅250mm、厚さ50μm)上に塗布して塗膜を形成した。形成された塗膜を110℃で5分間乾燥することにより溶剤を除去し、これにより、膜厚30μmの第2の感光性誘電体膜を第2のフィルム基板上に形成した。第2のフィルム基板と第2の誘電膜との密着力Bは、12g/cmであった。
この後、連続して第1のフィルム基板上に第1の非感光性誘電体膜を形成したものを、保護フィルムを巻き取りながら、第1の非感光性誘電体膜と第2の感光性誘電体膜が重なるようにして、ロール圧4kg/cm2で室温にてラミネートし、2層の誘電体が積層された転写フィルムを作製した。
<誘電体積層膜の転写工程>
実施例1と同様にして、6インチパネル用のガラス基板上に転写した。熱圧着処理の終了後、転写フィルムから第2のフィルム基板を剥離除去した。これにより、ガラス基板の表面に第1の非感光性誘電体膜および第2の感光性誘電体膜の積層膜が転写されて密着した状態となった。この積層膜について膜厚を測定したところ60μm±1μmの範囲にあった。この後、マスクを用いて第2の感光性誘電体膜を200mJ/cm2で露光し、アルカリ現像液で現像し、線幅30μmのストライプパターンを形成した。残膜などもなく、綺麗なパターンであった。
<誘電体積層膜の焼成工程>
実施例1と同様にして焼成処理することにより、ガラス基板の表面に、ガラス焼結体よりなる誘電体膜を形成した。この誘電体膜の膜厚を測定したところ2層部で30μm±0.5μmの範囲にあり(第1の非感光性誘電体部は15μm±0.3μm)、膜厚の均一性に優れているものであった。
<誘電体積層膜の性能評価>
実施例1と同様にして、パネルを作製した。形成された誘電体膜について、断面および表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、全てのパネル材料に形成された誘電体膜においてピンホールやクラックなどの膜欠陥は認められなかった。また、感光性誘電体膜は明瞭なパターンが形成され、残膜などもなかった。また目視による外観の観察においても、バス電極の着色は認められなかった。さらに、このようにして、誘電体膜を有するガラス基板よりなるパネル材料を作製し、形成された誘電体膜の光透過率(測定波長550nm)を測定したところ、第1の非感光性誘電体膜部分の光透過率の平均値は86%であり、良好な透明性を有するものであることが認められた。
(比較例1)
<ガラスペースト組成物Dの作製>
ガラス粉末として、酸化鉛40重量%、酸化ホウ素30重量%、酸化ケイ素10重量%、酸化バリウム20重量%の組成を有するPbO−B2O3−SiO2−BaO系ガラス(軟化点580℃)100部と、n−ブチルメタクリレート重合体(Mw:80,000)(結着樹脂)30部と、プロピレングリコールモノメチルエーテル(溶剤)30部とを混練することにより、粘度3,000mP・sのガラスペースト組成物Dを調製した。
<転写フィルムの作製>
まず、感光性ガラスペースト組成物Cを、ブレードコーターを用いて予め離型処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムよりなる中剥離離型フィルム基板(幅250mm、厚さ50μm)上に塗布して塗膜を形成した。形成された塗膜を110℃で5分間乾燥することにより溶剤を除去し、これにより、膜厚30μmの感光性誘電体膜をフィルム基板上に積層した。この膜の粘着性について、JIS Z 237に準じて、傾斜角30度、助走路20mmの条件にて測定した結果、ボールタック性はなく、粘着性は無かった。
<誘電体積層膜の転写工程>
実施例1と同様にして、6インチパネル用のガラス基板上に転写した。熱圧着処理の終了後、転写フィルムから第2のフィルム基板を剥離除去した。これにより、ガラス基板の表面に第1の非感光性誘電体膜および第2の感光性誘電体膜の積層膜が転写されて密着した状態となった。この積層膜について膜厚を測定したところ60μm±1μmの範囲にあった。この後、マスクを用いて第2の感光性誘電体膜を200mJ/cm2で露光し、アルカリ現像液で現像し、線幅30μmのストライプパターンを形成した。残膜などもなく、綺麗なパターンであった。
<誘電体積層膜の焼成工程>
実施例1と同様にして焼成処理することにより、ガラス基板の表面に、ガラス焼結体よりなる誘電体膜を形成した。この誘電体膜の膜厚を測定したところ2層部で30μm±0.5μmの範囲にあり(第1の非感光性誘電体部は15μm±0.3μm)、膜厚の均一性に優れているものであった。
<誘電体積層膜の性能評価>
実施例1と同様にして、パネルを作製した。形成された誘電体膜について、断面および表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、全てのパネル材料に形成された誘電体膜においてピンホールやクラックなどの膜欠陥は認められなかった。また、感光性誘電体膜は明瞭なパターンが形成され、残膜などもなかった。また目視による外観の観察においても、バス電極の着色は認められなかった。さらに、このようにして、誘電体膜を有するガラス基板よりなるパネル材料を作製し、形成された誘電体膜の光透過率(測定波長550nm)を測定したところ、第1の非感光性誘電体膜部分の光透過率の平均値は86%であり、良好な透明性を有するものであることが認められた。
(比較例1)
<ガラスペースト組成物Dの作製>
ガラス粉末として、酸化鉛40重量%、酸化ホウ素30重量%、酸化ケイ素10重量%、酸化バリウム20重量%の組成を有するPbO−B2O3−SiO2−BaO系ガラス(軟化点580℃)100部と、n−ブチルメタクリレート重合体(Mw:80,000)(結着樹脂)30部と、プロピレングリコールモノメチルエーテル(溶剤)30部とを混練することにより、粘度3,000mP・sのガラスペースト組成物Dを調製した。
<転写フィルムの作製>
まず、感光性ガラスペースト組成物Cを、ブレードコーターを用いて予め離型処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムよりなる中剥離離型フィルム基板(幅250mm、厚さ50μm)上に塗布して塗膜を形成した。形成された塗膜を110℃で5分間乾燥することにより溶剤を除去し、これにより、膜厚30μmの感光性誘電体膜をフィルム基板上に積層した。この膜の粘着性について、JIS Z 237に準じて、傾斜角30度、助走路20mmの条件にて測定した結果、ボールタック性はなく、粘着性は無かった。
次いで、ガラスペースト組成物Dを、この上に塗布して塗膜を形成した。形成された塗膜を110℃で5分間乾燥することにより溶剤を除去し、これにより、膜厚30μmの非感光性誘電体膜を感光性誘電体膜上に形成した。ガラスペースト組成物D塗布時に、感光性誘電体が一部溶けだし、塗膜表面が粗れ、さらには膜の一部が剥離し、積層膜の品位は良くなかった。さらに、保護フィルムとして超軽剥離離型フィルム(幅250mm、厚さ38μm)を、ロール圧4kg/cm2で室温にてラミネートしながら巻き取った。
<誘電体積層膜の転写工程>
実施例1と同様にして、12インチパネル用のガラス基板上に転写した。非感光性誘電体膜は粘着性が無いため、転写工程において、非感光性誘電体膜とガラス基板の位置合わせ時に滑りが発生し、位置ずれが発生した。熱圧着処理の終了後、転写フィルムから中剥離離型フィルム基板を剥離除去した。これにより、ガラス基板の表面に非感光性誘電体膜と感光性誘電体膜の積層膜が転写されて密着した状態となった。この積層膜について膜厚を測定したところ60μm±3μmの範囲にあった。この後、マスクを用いて第2の感光性誘電体膜を200mJ/cm2で露光し、アルカリ現像液で現像し、線幅30μmのストライプパターンを形成した。全面に残膜が発生し、綺麗なパターンが形成できなかった。非感光性誘電体膜と感光性誘電体膜の界面で両者が混合し、現像できないゾーンができたためと考えられる。
<誘電体積層膜の焼成工程>
実施例1と同様にして焼成処理することにより、ガラス基板の表面に、ガラス焼結体よりなる誘電体膜を形成した。この誘電体膜の膜厚を測定したところ2層部で30μm±1.5μmの範囲にあり、膜厚の均一性に劣っていた。また、残膜のため、明確に非感光性誘電体部と見られる部分はなかった。
<誘電体積層膜の性能評価>
実施例1と同様にして、パネルを作製した。形成された誘電体膜について、断面および表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、全てのパネル材料に形成された誘電体膜においてピンホールやクラックなどの膜欠陥は認められなかったものの、感光性誘電体膜は明瞭なパターンが形成されず、全面に残膜が発生していた。さらに、このようにして、誘電体膜を有するガラス基板よりなるパネル材料を作製し、形成された誘電体膜の光透過率(測定波長550nm)を測定したところ、第1の非感光性誘電体膜部分の光透過率の平均値は表面が粗れているため、75%であり、透明性が不良であった。
<誘電体積層膜の転写工程>
実施例1と同様にして、12インチパネル用のガラス基板上に転写した。非感光性誘電体膜は粘着性が無いため、転写工程において、非感光性誘電体膜とガラス基板の位置合わせ時に滑りが発生し、位置ずれが発生した。熱圧着処理の終了後、転写フィルムから中剥離離型フィルム基板を剥離除去した。これにより、ガラス基板の表面に非感光性誘電体膜と感光性誘電体膜の積層膜が転写されて密着した状態となった。この積層膜について膜厚を測定したところ60μm±3μmの範囲にあった。この後、マスクを用いて第2の感光性誘電体膜を200mJ/cm2で露光し、アルカリ現像液で現像し、線幅30μmのストライプパターンを形成した。全面に残膜が発生し、綺麗なパターンが形成できなかった。非感光性誘電体膜と感光性誘電体膜の界面で両者が混合し、現像できないゾーンができたためと考えられる。
<誘電体積層膜の焼成工程>
実施例1と同様にして焼成処理することにより、ガラス基板の表面に、ガラス焼結体よりなる誘電体膜を形成した。この誘電体膜の膜厚を測定したところ2層部で30μm±1.5μmの範囲にあり、膜厚の均一性に劣っていた。また、残膜のため、明確に非感光性誘電体部と見られる部分はなかった。
<誘電体積層膜の性能評価>
実施例1と同様にして、パネルを作製した。形成された誘電体膜について、断面および表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、全てのパネル材料に形成された誘電体膜においてピンホールやクラックなどの膜欠陥は認められなかったものの、感光性誘電体膜は明瞭なパターンが形成されず、全面に残膜が発生していた。さらに、このようにして、誘電体膜を有するガラス基板よりなるパネル材料を作製し、形成された誘電体膜の光透過率(測定波長550nm)を測定したところ、第1の非感光性誘電体膜部分の光透過率の平均値は表面が粗れているため、75%であり、透明性が不良であった。
本発明のプラズマディスプレイ用転写フィルムは、第1にプラズマディスプレイパネルに要求される高品質の積層膜を効率的に形成すること、第2に生産性に優れ、収率よく、低コストでプラズマディスプレイ用積層膜を形成する製造する方法を提供すること、第3に膜厚均一性に優れ、表面平滑性にも優れたプラズマディスプレイ用積層膜を形成すること、に好適なプラズマディスプレイ用転写フィルムであり、有用である。
1 ガラス基板(前面基板)
2 透明電極
3 黒色導電層
4 主電極
5 誘電体膜
6 保護層
7 バス電極
8 ガラス基板(背面基板)
9 アドレス電極
10 誘電体膜
11 隔壁
12 蛍光物質
13 第1のフィルム基板
14 第1の膜
15 第2の膜
16 第2のフィルム基板
2 透明電極
3 黒色導電層
4 主電極
5 誘電体膜
6 保護層
7 バス電極
8 ガラス基板(背面基板)
9 アドレス電極
10 誘電体膜
11 隔壁
12 蛍光物質
13 第1のフィルム基板
14 第1の膜
15 第2の膜
16 第2のフィルム基板
Claims (9)
- 第1のフィルム基板の上に第1の膜を形成し、第2のフィルム基板の上に第2の膜を形成した後、第1の膜と第2の膜が向かい合うようにして張り合わせることにより第1の膜と第2の膜を積層せしめたプラズマディスプレイ用転写フィルムにおいて、第1のフィルム基板と第1の膜との密着力A(g/cm)、第2のフィルム基板と第2の膜との密着力B(g/cm)の関係が、B>Aであり、かつ少なくとも第1の膜が粘着性を有することを特徴とするプラズマディスプレイ用転写フィルム。
- 第1の膜及び/又は第2の膜が感光性を有することを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイ用転写フィルム。
- 第1の膜及び第2の膜がガラスを含む誘電体膜であり、第1の膜に含まれるガラスの軟化点と第2の膜に含まれるガラスの軟化点が異なることを特徴とする請求項1又は2記載のプラズマディスプレイ用転写フィルム。
- 第1の膜及び第2の膜が誘電体膜であり、かつ第1の膜が非感光性で第2の膜が感光性であることを特徴とする請求項1又は2記載のプラズマディスプレイ用転写フィルム。
- 第1の膜が誘電体膜で、第2の膜が隔壁膜であることを特徴とする請求項1又は2記載のプラズマディスプレイ用転写フィルム。
- 隔壁膜が感光性であることを特徴とする請求項5記載のプラズマディスプレイ用転写フィルム。
- 第1の膜が黒色導電層膜で、第2の膜が主電極膜であることを特徴とする請求項1又は2記載のプラズマディスプレイ用転写フィルム。
- 黒色導電層膜及び主電極膜が共に感光性であることを特徴とする請求項7記載のプラズマディスプレイ用転写フィルム。
- 第1の膜が非感光性の誘電体膜、隔壁膜、黒色導電層膜、主電極膜のいずれかであり、第2の膜が感光性のレジスト膜であることを特徴とする請求項記1又は2記載のプラズマディスプレイ用転写フィルム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004214585A JP2006040578A (ja) | 2004-07-22 | 2004-07-22 | プラズマディスプレイ用転写フィルム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004214585A JP2006040578A (ja) | 2004-07-22 | 2004-07-22 | プラズマディスプレイ用転写フィルム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006040578A true JP2006040578A (ja) | 2006-02-09 |
Family
ID=35905360
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004214585A Pending JP2006040578A (ja) | 2004-07-22 | 2004-07-22 | プラズマディスプレイ用転写フィルム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006040578A (ja) |
-
2004
- 2004-07-22 JP JP2004214585A patent/JP2006040578A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100444915B1 (ko) | 무기 입자 함유 조성물, 이를 사용한 전사 필름 및 플라즈마 디스플레이 패널의 제조 방법 | |
EP1557855A2 (en) | Laminate sheet, method of producing back substrate for plasma display panel, back substrate for plasma display panel, and plasma display panel | |
EP1605491A1 (en) | Laminate sheet, method of producing back substrate for plasma display panel, back substrate for plasma display panel, and plasma display panel | |
JP2003096305A (ja) | 無機粒子含有組成物、転写フィルムおよびプラズマディスプレイパネルの製造方法 | |
JP2000169764A (ja) | ガラスペースト組成物、転写フィルムおよびプラズマディスプレイパネルの製造方法 | |
JP2006040578A (ja) | プラズマディスプレイ用転写フィルム | |
JP2007056117A (ja) | 無機粒子含有樹脂組成物、転写フィルムおよびプラズマディスプレイパネルの製造方法 | |
JP2006228506A (ja) | 無機粉体含有樹脂組成物、転写フィルムおよびプラズマディスプレイパネルの製造方法 | |
JP3852155B2 (ja) | 転写フィルム | |
JP2005011579A (ja) | プラズマディスプレイパネル用転写フィルム並びにプラズマディスプレイパネルおよびその製造方法 | |
JP4078686B2 (ja) | プラズマディスプレイパネル誘電体層形成用転写フィルム | |
JP3958846B2 (ja) | 転写シート | |
JP2006045324A (ja) | 無機粉体含有樹脂組成物、転写フィルムおよびプラズマディスプレイパネルの製造方法 | |
JP2008274221A (ja) | 無機粉体含有樹脂組成物、転写フィルムおよびフラットパネルディスプレイの製造方法 | |
JPH10324541A (ja) | ガラスペースト組成物 | |
JP2006076818A (ja) | ガラス粉末含有樹脂組成物、転写フィルムおよびこれを用いたプラズマディスプレイパネルの製造方法 | |
TW594821B (en) | Transfer film for forming dielectric layer, and manufacturing method for plasma display panel | |
JP2000095545A (ja) | 転写フィルムおよびプラズマディスプレイパネルの製造方法 | |
TWI273624B (en) | Inorganic particle-containing composition, transfer film comprising the same and plasma display panel production process | |
JP2007137939A (ja) | 無機粉体含有樹脂組成物、転写フィルム、パネル部材の形成方法およびプラズマディスプレイパネルの製造方法 | |
JPH1171132A (ja) | ガラスペースト組成物 | |
JP2007118226A (ja) | フィルム状エレメント、積層体の製造方法、積層体を用いたプラズマディスプレイパネル用前面基板及びこれを具備したプラズマディスプレイパネル | |
JP2005216767A (ja) | プラズマディスプレイパネル用無機粉体含有樹脂組成物、転写フィルムおよびプラズマディスプレイパネルの製造方法 | |
JPH11185603A (ja) | プラズマディスプレイパネルのバリアリブ用の粘着シート及びバリアリブの形成方法 | |
JP2001236888A (ja) | 誘電体層形成用転写フィルムおよびプラズマディスプレイパネルの製造方法 |