JP2006039904A - シェル型ころ軸受の品質管理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 製造過程での情報が、出荷後あるいは客先納入後においても容易に確認することのできるシェル型ころ軸受の品質管理方法を提供する。
【解決手段】 シェル型ころ軸受1につき、RFIDタグ等のICタグ5を用い、シェル型ころ軸受1に関する所定情報を記録して管理する。シェル型ころ軸受1にICタグ5を取付ける過程と、その取付けられたICタグ5に、シェル型ころ軸受1についての情報を記録する過程と、出荷後の任意時にICタグ5を読み取って利用する過程とを含む。ICタグ5は、外輪2の片方の鍔部に取付ける。
【選択図】 図9

Description

この発明は、ICタグを用いトレーサビリティを可能としたシェル型ころ軸受の品質管理方法に関する。
近年、トレーサビリティの要求、つまり考慮の対象となっているものの履歴、適用または所在の追跡ができることの要求が高くなってきている。シェル型ころ軸受等の機械要素商品の品質管理では、材料購入から製造完了までの各製造工程(材料購入、プレス工程、熱処理工程、表面仕上げ工程等)の品質,ロット等の製造履歴が、各シェル型ころ軸受とロット単位で、場合によっては1対1で分かるようにすることが望まれる。例えば、自動車や産業機械用軸受等のような一般品の場合は、ロット管理となり、ロット単位で抜き取り検査等が行われるため、ロット単位で製造履歴が求められる。航空機用軸受等のような特殊品では、個別に検査がなされており、1対1に対応して製造履歴がわかるようにすることが求められる。製造履歴がわかることで、不良品が発生した場合の、交換、不良品混入範囲の特定、将来の改善等の対処が容易となり、寿命診断や、機械故障につながる事前の交換も容易となる。また類似品の混入判別等も容易となる。
このような製造履歴を明確にする品質管理方法として、従来は、工程毎に発生した情報を、伝票に記入したり、データベースの端末への入力を行う等して対処している。
一方、物流管理や在庫管理で、ICタグが用いられつつあり、自動車等の物品の製造においてもICタグを用いた製造から廃棄までの管理が提案されている(例えば特許文献1)。ICタグは、非接触で情報の記録および読取りが可能であり、また記憶容量が大きいことから、高度の管理が期待されている。
また、歯車やその他の各種の機械部品において、ICタグを取付け、IDコードやこれに関連付けた各種の情報を記憶させて製品情報の管理を行うことが提案されている(例えば特許文献2)。
特開2002−49900号公報 特開2002−169858号公報
従来のICタグを用いた品質管理方法の提案例では、機械要素商品に取付けられたICタグに、機械要素商品に関する各種の情報を直接に記録し、またはICタグには識別情報を記録しておいて、データベースと照合することで、機械要素商品の材質やロット管理情報、各種履歴データ等がわかるようにされている。
しかし、シェル型ころ軸受において、ICタグを軸受に取付けて管理する例は、未だ提案されていない。シェル型ころ軸受は、鋼板の成形品からなる外輪や保持器と、ころとで構成されており、ICタグの取付場所を何処にするかも問題となる。
また、記録情報についても、機械要素商品に関する上記の情報だけでは、機械要素商品に生じた支障の原因が解明できない場合がある。例えば、各工程の加工条件の違い等によっても、品質に差が生じることがあり、このような加工条件の違いによる差は、検査結果からでは認識することができないことがある。シェル型ころ軸受は、外輪、保持器、ころ等の複数の要素品で構成されており、組立後のシェル型ころ軸受自体の検査結果等が分かっても、個々の要素品の品質の違いによる不具合までは特定できない。特に、シェル型ころ軸受等の転動体を有する機械要素商品では、わずかな材質や精度の違いが機械要素商品として大きな性能の差となるため、従来のICタグを用いた品質管理方法の提案例では対応が難しい。
また、工程管理においても、従来の工程毎に伝票記入や端末入力を行う管理方法では、記入や入力に手間がかかるため、多数の情報をきめ細かく記録することが難しい。特に、シェル型ころ軸受のように複数の要素品を組み立ててなる機械要素商品であって、各要素品が材料購入からプレス工程、熱処理工程、および表面処理工程を経て、工程毎にロット生産されるものでは、各要素品の製造工程における管理が煩雑であり、情報の手書きによる記録や入力操作に手間がかかる。そのため、シェル型ころ軸受の詳細な履歴情報の要求に十分に応じることが難しく、また管理にコストがかかる。
そのため、ICタグの適用を考えたが、シェル型ころ軸受では、自動車等の物品のような管理を適用することができない。上記特許文献1の提案例では、管理対象となる物品である自動車にICタグを取付け、各工程の情報を記録している。ICタグはフレーム等に取付ける。しかし、シェル型ころ軸受では、自動車におけるフレーム等のように完成した基準となる要素品がなく、製造過程では各要素品がプレス加工や熱処理等を経て製造されるため、シェル型ころ軸受自体にICタグを取付けることができない。また、シェル型ころ軸受では、外輪、ころ等の要素品のそれぞれが、材料購入、プレス工程、熱処理工程、表面処理工程等を経て管理されるため、ICタグを品質管理に適用しようとした場合に、具体的にどのように用いるかが問題であり、効率的なICタグの適用が難しい。
また、シェル型ころ軸受では、ころの組み込み後に鍔部を縁曲げするため、一般的に片方の鍔部が焼きなまし処理が施されている。シェル型軸受は、通常、ハウジングに対して圧入して使用されるが、圧入時に焼きなまし側の鍔部を押すと変形の恐れがあり、圧入時には非焼きなまし側の鍔部を押すことが必要となる。そのため、表裏判別が必要となる。この表裏判別は、鍔部に設けられる刻印等の目視で行えるが、自動組立の場合、刻印の確認は困難である。そのため、従来は、両側の鍔部の内径を変え、テーパ軸を挿入することなどで表裏判別を行っているが、テーパ軸の挿脱作業が必要なため、表裏判別に複雑な機構が必要なうえ、作業効率の悪いものとなっている。
この発明の目的は、製造過程での情報が、出荷後あるいは客先納入後においても容易に確認することのできるシェル型ころ軸受の品質管理方法を提供することである。
この発明の他の目的は、品質管理に加えて、軸受使用機器への組み込み時の表裏判別が行えるシェル型ころ軸受の品質管理方法を提供することである。
この発明のシェル型ころ軸受の品質管理方法は、シェル型の外輪および複数のころを有するシェル型ころ軸受につき、非接触で情報の記録および読取りが可能なICタグを用い、シェル型ころ軸受に関する所定情報を記録して管理するシェル型ころ軸受の品質管理方法であって、シェル型ころ軸受にICタグを取付ける過程と、このシェル型ころ軸受に取付けられたICタグに、このシェル型ころ軸受についての情報を記録する過程と、出荷後の任意時に、上記ICタグの記録情報を読み取って所定情報の確認を行う利用過程とを含む方法である。
この方法によると、シェル型ころ軸受にICタグを取付け、この軸受についての情報を記録しておくため、出荷後の任意時に、ICタグを読み取ることで、シェル型ころ軸受についての情報を確認することができる。ICタグを用いるため、非接触で記録情報の読み取りが可能である。また、ICタグは小型のもの開発されており、そのような小型のICタグを用いることで、鋼板のプレス加工品からなるシェル型の外輪と複数のころ、あるいはこれに保持器を加えたシェル型ころ軸受においても、ICタグの取付けが可能で、この発明の管理方法が実現できる。
この発明方法において、前記外輪は焼入れ処理され、かついずれか片方の鍔部が焼きなまし処理が施されたものであり、前記ICタグはいずれか片方の鍔部に取付けたものであっても良い。
外輪の片方の鍔部が焼きなまし処理されたものであると、表裏判別が必要となる。この方法では、片方の鍔部にICタグを取付けるため、このICタグと交信することで、外輪の表裏判別が容易に行える。このように、品質管理の目的で取付けられたICタグを、表裏判別に利用することもできる
片方の鍔部にICタグを取付ける場合に、そのICタグは、前記鍔部の外面に設けた取付用凹部内に取付け、前記取付用凹部は、前記鍔部への文字または記号の刻印時に、同時に刻印により設けるようにしても良い。
取付用凹部内にICタグを取付けると、ICタグが突出せず、機器への取付や取扱の邪魔とならない。取付用凹部の加工の手間が増えるが、刻印時に同時に取付用凹部を刻印で設けることで、工程の増加を抑えて取付用凹部の形成が行える。
この発明において、前記外輪は、鋼板を有底円筒状に絞り加工し、底抜きにより一端の鍔を形成し、他端を切り落として片鍔付きの外輪半製品を得る一連のプレス工程と、この外輪半製品を焼入れし、他端を焼きなます熱処理工程と、前記外輪半製品内にころ及び、保持器付タイプは保持器を入れた後に他端に鍔部を形成する縁曲げ工程とを経て製造されるものであっても良い。
シェル型ころ軸受の外輪は、上記の過程で製造されるものが一般的であり、このような外輪を持つシェル型ころ軸受に、この発明のICタグを用いる品質管理方法を適用することができる。その場合、上記のように片方の鍔部にICタグを取付けることで、焼きなまし処理に伴って必要となる表裏判別が容易に行える。
上記のように表裏判別を行うにつき、上記鍔部に取付けられたICタグに対して交信を行って交信状況により表裏を判別を行うようにしても良い。交信状況としては、例えば電波の遮断状況等である。
この発明方法において、前記シェル型ころ軸受に取付けられたICタグに、出荷時または客先納入時までに記録する情報として、外輪およびころ、または外輪、ころ、および保持器の各製造工程における検査結果を記録する過程を含むようにしても良い。検査結果は測定結果や確認結果等である。
これにより、外輪、ころ、保持器等の各要素品についての製造工程における測定または確認結果を、後に読み取ることができる。
また、この発明方法において、前記シェル型ころ軸受に取付けられたICタグに、出荷時または客先納入時までに記録する情報として、外輪およびころ、または外輪、ころ、および保持器の各製造工程における加工条件情報を記録する過程を含むようにしても良い。 加工条件情報は、一般的には後に知ることが困難であるが、加工条件情報をICタグに記録して読み取り可能としておくことで、シェル型ころ軸受の使用過程で支障が生じた場合の原因追求が詳細に行え、改良に役立てることができる。
この発明のシェル型ころ軸受の品質管理方法において、シェル型ころ軸受につき、シェル型ころ軸受の識別情報に関連付けてそのシェル型ころ軸受に関する材料受入から各製造工程および検査工程に至る所定の製造情報を記憶し、記憶内容を上記識別情報により抽出可能なデータベースと、前記シェル型ころ軸受に取付けられたICタグとを用いて管理する方法としても良い。
その場合に、シェル型ころ軸受に製造時または製造完了時にICタグを取付ける過程と、上記シェル型ころ軸受に取付けられたICタグに、上記データベースに従い、出荷時、または客先納入時までに、そのシェル型ころ軸受についての識別情報を記録し、かつそのシェル型ころ軸受について前記データベースに記憶された製造情報の一部または全体を記録する過程と、出荷後の任意時に、上記ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、または読み取り情報を上記データベースと照合して製造情報を確認する利用過程とを含む方法としても良い。
この方法の場合、データベースを併用するため、限りあるICタグの記憶容量に頼らずに、多量の情報をデータベースから引き出すことができる。また、ICタグに記録した識別情報からデータベースを検索できるため、容易にデータベースの検索が行える。ICタグの残りの記憶容量は、出荷後や客先納入後の各種の履歴管理に利用することもできる。
この発明のシェル型ころ軸受の品質管理方法において、シェル型ころ軸受の識別情報に関連付けてそのシェル型ころ軸受に関する材料受入から各製造工程および検査工程に至る所定の製造情報を記憶し、記憶内容を上記識別情報により抽出可能なデータベースと、前記シェル型ころ軸受に取付けられたICタグとを用いて管理する方法としても良い。その場合に、シェル型ころ軸受にその製造時または製造完了時にICタグを取付ける過程と、上記シェル型ころ軸受に取付けられたICタグに、上記データベースに従い出荷時、または客先納入時までに、そのシェル型ころ軸受についての識別情報を書き込み、かつそのシェル型ころ軸受についての製造年月日、製造場所、封入グリース銘柄、品質保証期間、取扱いに関する注意事項のうち、少なくとも一つの情報を記録する過程と、上記出荷後の任意時に、上記ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、または読み取り情報を上記データベースと照合して得られた情報から、シェル型ころ軸受に関する情報の確認を行う利用過程とを含む方法としても良い。
この方法の場合、上記出荷後の任意時における利用過程で、ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、または読み取り情報をキーとして上記データベースと照合して各種の情報の確認を行うことができる。また、ICタグに記録された製造年月日、製造場所、封入グリース銘柄、品質保証期間、取扱いに関する注意事項のいずれかが確認できる。これらの事項は、各種の場面において即座に知りたいことが多く、データベースと照合することなく、ICタグから直接に読み取れることが、設備面や手間の面で便利である。グリースには、高温用や低温用等、用途に応じた各種のものがあり、外見からでは分かり難いため、ICタグから読み取れると便利である。また、グリースは、経時的に品質が劣化するため、製造年月日と共に封入グリース銘柄が分かると、客先納入時等に、そのまま使用できるか、グリース交換が必要であるか等の確認が容易に行え、誤って古いグリースの封入部品を客先へ納める懸念が解消できる。
この発明のシェル型ころ軸受の品質管理方法において、シェル型ころ軸受を構成する外輪およびころ等の要素品について、材料受入から完成,検査に至る所定の製造情報を、要素品のロット番号別に準備された製造過程用のICタグに各工程毎に記録する過程と、この記録した情報を読み取ってその読み取り情報の一部または全体を上記シェル型ころ軸受に取付けられたICタグに記録する過程とを含む方法としても良い。
この品質管理方法によると、各要素品の工程毎に発生する情報は、工程毎にその工程のロット別に準備したICタグにロット番号と共に記録するため、詳細な履歴情報を管理することができる。したがって、不良品が発生した場合の、交換、不良品混入範囲の特定、将来の改善等の対処が容易となり、寿命診断や、機械故障につながる事前の交換も容易となる。上記工程毎の情報は、その工程のロット毎に準備したICタグに記録するため、手書き伝票に記録する場合に比べて詳細な情報の記録が行え、また例えば端末からコンピュータに入力する場合と異なり、情報を入力するべき箇所がICタグであるために視覚的に認識できて、入力作業が明確となり、誤りが生じにくい。また、要素品の材料購入から研削工程の各工程にわたる種々雑多な全ての情報をコンピュータに記録するものと異なり、これらの記録情報をICタグで持っておくため、コンピュータの負担が軽く、管理が容易になる。このため、容易に、より詳細な情報の管理することができる。
この発明のシェル型ころ軸受の品質管理方法において、上記シェル型ころ軸受を構成する外輪およびころ等の要素品について、材料受入から完成,検査に至る所定の製造情報を、製造時管理用のデータベースに要素品のロット番号または要素品個別の識別番号に関連付けて記録する過程と、この記録した情報を、上記シェル型ころ軸受に取付けられたICタグに記録する過程とを含む方法としても良い。
製造時管理用のデータベース要素品のロット番号と製造情報とを記録しておいても、詳細な履歴情報を管理することができる。
この発明のシェル型ころ軸受の品質管理方法において、上記シェル型ころ軸受を構成する外輪およびころ及び、保持器付タイプは保持器等の要素品について、材料受入時から完成,検査完了までの一連の各工程につき、その工程のロット毎にICタグを準備し、この各工程のロット毎に準備されるICタグは、一つ上流側の工程の対応するロットと同じICタグ、または一つ上流側の工程の対応するロットのICタグの記録情報を引き継いだICタグとし、上記各工程のロット毎に準備されたICタグに、その工程のロット番号およびその工程における情報を記録する方法としても良い。
この方法の場合、下流側の工程でロット分かれしても、新たなICタグには、上流の工程での記録情報が引き継がれることになる。そのため、全ての要素品についての製造完了時のロットのICタグは、全ての工程の情報を持つものとなる。
上記各工程のロット毎に準備されるICタグは、同じロットの材料ないし製造過程の要素品を複数入れた容器類にそれぞれ取付けるシェル型ころ軸受の品質管理方法。ICタグの容器類への取付は、直接に行っても良く、また容器に取付けられて視覚的に認識させるためのタグに取付けても良い。ICタグの容器類への取付は着脱自在な取付であっても良い。
ICタグを容器類に取付けておくことで、ロット毎に準備されるICタグを、常に要素品と共に移動させることができ、ICタグの取扱が容易である。また、要素品の搬送経路でICタグへの情報の記録を行うことができる。
この発明の一実施形態に係るシェル型ころ軸受の品質管理方法を図面と共に説明する。まず、管理対象となるシェル型ころ軸受1と、その使用形態および表裏判別方法の例を、図1ないし図3と共に説明する。このシェル型ころ軸受1は、シェル型の外輪2と、この外輪2の円筒状部2aの内面を転走する複数のころ3とを備えたものであり、その品質管理用として、片方の鍔部2bにICタグ5が取付けられている。複数のころ3は、円筒状の保持器4の各ポケット4aに保持されている。保持器4は、必ずしも設けなくても良く、総ころ形式のシェル型ころ軸受としても良い。ICタグ5は、非接触で情報の読み取りまたは読み書きが可能なものであり、後述のRFIDタグが用いられる。
外輪2は、円筒状部2aの両端に内向きの鍔部2b,2cを有するものであり、鋼板のプレス成形品からなる。外輪2は、転走面の表面硬化等のために焼き入れ処理されたものであり、片方の鍔部2bは焼き入れ処理状態であるが、もう片方の鍔部2cは、焼きなまし処理されている。
ICタグ5は球形または角形等のチップ状のものであり、焼入れ状態側の鍔部2bに設けられた取付用凹部7内に埋め込み状態に設けられている。取付用凹部7は、樹脂または接着剤等の埋め込み材8により、ICタグ5を覆って、またはICタグ5の表面を露出した状態で残り部分を埋め込んでいる。取付用凹部7の内面は、電波の反射を妨げる材質の層で覆っても良く、また埋め込み材8として、電波の反射を妨げる材質のものを用いても良い。
焼入れ側となる片方の鍔部2bの外面には、図1(B)に示すように、刻印9が施されている。刻印9は製造元やロット番号等の情報を文字またはマークで施したものである。取付用凹部7は、刻印9の付近に設けられている。取付用凹部7は、機械加工で形成したものであっても、後述のように刻印等の塑性加工により施したものであっても良い。
この構成のICタグ付シェル型ころ軸受1は、図2に示すように、ハウジング10の孔内に圧入して嵌合させる。この場合に、刻印9側、つまり焼入れ側の鍔部2bを押して圧入する。これにより、焼きなまし側の鍔部2cが圧入作業で変形することが防止される。刻印9側の認識のために、シェル型ころ軸受1の表裏判別を行う必要があり、手作業による場合は刻印9を見て判別する。自動判別においても、ICタグ5が取付けられているため、そのICタグ5との交信より表裏判別が簡単に行える。
また、ICタグ5は、後述のように、このシェル型ころ軸受1のロット番号,製造番号,製造場所,製造年月日,あるいは仕様情報や検査結果情報等の各種の情報の記録に利用することができる。物流過程や、使用後の保守情報の記録に用いるようにすることもできる。
この実施形態のICタグ付シェル型ころ軸受1は、このように、表裏判別が容易に行える機能を有し、かつ情報の記録機能を併せ持つものとなる。ICタグ5は、取付用凹部7内に埋め込まれているため、使用時や取扱時に他の物と干渉する問題がない。
図3は、表裏判別方法の具体例を示す。この方法は、金属板11上に複数のICタグ付シェル型ころ軸受1を整列して載せ、上方よりタグリーダ12で各ICタグ付シェル型ころ軸受1のICタグ5と交信を行う。このとき、図の右側のICタグ付シェル型ころ軸受1のように、刻印側が上向きのICタグ付シェル型ころ軸受1は、ICタグ5との電波のやり取りを遮断するものがなく、良好に通信することができる。これとは逆に、刻印側が下のICタグ付シェル型ころ軸受1(図の左のもの)は、ICタグ5が外輪2や金属板11で覆われるため、電波が遮断され、通信が行えないか、また通信状況が非常に悪くなる。そのため、この交信状況の違いにより、表裏判別が行える。
タグリーダ12は、例えば軸受使用機器の組立工程を管理する管理用コンピュータ13等に設けられた表裏判別処理手段14に接続される。表裏判別処理手段14は、タグリーダ12の通信状況から表裏判別を行う。この場合に、ICタグ5にICタグ付シェル型ころ軸受1の識別番号が既に書き込まれていたり、あるいは管理用コンピュータ13等で、金属板11上の各ICタグ付シェル型ころ軸受1の配置の情報が分かっていれば、複数個のICタグ付シェル型ころ軸受1を同時に表裏判別することができ、またどれが裏向きであるかが判別可能となる。
なお、ICタグ付シェル型ころ軸受1を1個ずつ順に金属板11上で表裏判別するようにしても良い。その場合に、金属板11は、例えばスラットコンベヤのスラット等であって良い。
図4は、このICタグ付シェル型ころ軸受1の製造方法の例を示し、図5はその一部の詳細を拡大して示す。外輪2は、材料受入(S1)の後、トランスファープレス等によるプレス工程(S2)において、ブランク抜き(a)、絞り(b,c)、刻印(d)、底抜き(e),ツバ切り(f)の各処理が行われる。ブランク抜き(a)は、コイル材等から円形の素材W0を得る工程である。絞り(b,c)は、円形の素材W0を深絞りして有底円筒状の素材W1を得る工程である。この絞り(b,c)は、複数回に分けて順次深くなるように行っているが、一度に行っても良い。刻印の工程(d)では図1(B)の刻印9を施す。底抜き(e)は、有底円筒状の素材W1の底面を、周囲を残して内ち抜く工程である。残された周囲部分が片方の鍔部2bとなる。ツバ切り工程(f)では、素材W1の開口側の端部をプレス切断して外周側に張り出した鍔状部分を除去し、これにより長さを整える。
プレス工程(S2)の完了した半製品W2は、熱処理工程(S3)で焼き入れを行い、開口縁付近につき、部分焼きなましをする。
熱処理の完了した半製品W2は、表面処理工程(S4)として、タンブラ加工等で表面処理を行い、組立工程(S5)に供給される。組立工程(S5)では、外輪2内に保持器4およびころ3を組込む。この組込み後に、もう片方の鍔部2cを縁曲げする(S6)。
保持器4については、材料受入(S1)の後、プレス工程(S2)として、帯鋼から所定の横断面形状に成形し、ポケット抜きを行い、1個分に切断し、円筒状に曲げる各工程の加工を行う。円筒状に曲げられた素材は、両端を溶接してリング状とし、熱処理を行い(S3)、保持器4が完成する。なお、保持器の加工は削り加工、プレス加工、樹脂成形でもよい。完成した保持器4は、上記組立工程(S5)に供給される。
ころ3については、コイル状の鋼線からなる材料の受入(S1)後、プレス工程(S2)として所定長さに切断し、端面成形を行い、バリ取り行う。プレス工程(S2)の終了したころ3は、熱処理(S3)、および表面処理(S4)を施す。表面処理工程(S4)としては、研削およびタンブラー等による磨きを行う。この後、選別を行い、組立工程(S5)に供給する。
この実施形態では、外輪2のプレス工程(S2)における上記刻印工程(d)で、図5に示すように、文字等の刻印9の形成と同時に、取付用凹部7をプレス加工する。取付用凹部7のプレス加工は、刻印によって行う。この場合に、文字等の刻印9の形成と、取付用凹部7の形成とは、それぞれの刻印を行う工具15,16を同じ工具ホルダ17に取付けるなどして、同時に行う。
取付用凹部7の形成の後、ICタグ5の取付けは、熱処理工程(B)の後の適宜の過程で行う。例えば、組立工程(S5)の前または後に行っても良く、また縁曲げ(S6)の完了したシェル型ころ軸受1としての完成後に行っても良い。
この製造方法によると、取付用凹部7をプレス加工で行うため、切削加工による場合に比べて簡単に効率良く行え、切削屑の発生の問題も生じない。特に、刻印の工程(d)で文字等の刻印9と同時に取付用凹部7を刻印で施すようにした場合は、工程を増加させることなく、簡単に取付用凹部7の形成が行える。
図7,図8と共に、上記ICタグ5につき、具体的に説明する。ICタグ5に対する情報の読み書きは、タグリーダ42によって行われる。ICタグ5が読み書きの両方が可能なタイプのものである場合は、タグリーダ42は、タグリーダ/ライタとされる。タグリーダ42は、ICタグ5に対向させるアンテナ43を有している。タグリーダ42は、管理用のコンピュータ等の情報処理機器44により操作される。図3のタグリーダ12には図7のタグリーダ42等が用いられる。
ICタグ5は、非接触で情報の記録および読取りが可能なもの、または読取りのみが可能なものであり、ICチップ(集積回路のチップ)45とアンテナ46とで構成される。これらICチップ45とアンテナ46は、例えば樹脂(図示せず)で一体に包囲される。ICタグは種々の形式,形状,大きさのものがあり、短冊状や板状の物の他、例えば1mm未満の大きさの角状や球状の物などがある。また、対象物に直接に印刷等で形成されるICタグもある。記憶容量も種々異なるものがあるが、用途や取付対象の種類等に応じて適宜選択すればよい。
ICタグ5としては、例えばRFID(無線周波数認識:Radio Frequency Identification)技術を応用したRFIDタグが利用できる。RFID形式のICタグは、伝送方式として静電結合、電磁結合、電磁誘導、マイクロ波、光などを用いる形式のものがあり、このうちいずれの形式のものを用いても良い。例えば電磁誘導形式のもの、またはマイクロ波のものが用いられる。
図8は、ICタグ5の具体的回路例を示す。このICタグ5のICチップ45は、中央処理装置(CPU)47、メモリ48、送受信回路49、および電源回路50を有しており、電源回路30はアンテナ46から電源を得るものとされている。メモリ48は、情報の記憶に電源が不要なものが用いられる。
なお、上記の例では、焼入れ側の鍔部2bにICタグ5を取付けるようにしたが、焼きもどし側の鍔部2cにICタグを取付けるようにしても良い。
次にこのシェル型ころ軸受1の品質管理方法を図9ないし図15と共に説明する。図1は、シェル型ころ軸受1の製造から廃棄までの流れの各段階と、その各段階でのICタグ5を利用した品質管理過程を示す。この品質管理方法は、シェル型ころ軸受1にICタグ5を取付け、このICタグ5にシェル型ころ軸受1における各要素品である外輪2,ころ3、保持器4等の材料受入から、プレス工程、熱処理工程、表面処理工程、および検査、並びに組立工程および組立後の検査に至る所定の製造情報を記録し、ICタグ5から読み取った記録情報から、シェル型ころ軸受1の品質管理に関するトレーサビリティを可能にする方法である。保持器4については、前述のように表面処理は一般に不要である。管理対象となるシェル型ころ軸受1は、図1と共に前述したものである。
このシェル型ころ軸受の品質管理方法は、次のICタグ取付過程R1、製造情報の記録過程R2、および記録情報の読取り利用過程R3を含む。
(ICタグ取付過程R1)
この過程では、シェル型ころ軸受1の製造時または製造完了時にICタグ5をシェル型ころ軸受1に取付ける。ICタグ5は、例えば前述のように外輪2に取付ける。この場合に、外輪2にICタグ5を取付けてからシェル型ころ軸受1を組み立てても良く、またシェル型ころ軸受1の組立が完了してからシェル型ころ軸受1の外輪2にICタグ5を取付けても良い。
(製造情報の記録過程R2)
この過程では、このシェル型ころ軸受1に取付けられたICタグ5に、出荷時または客先納入時までに、そのシェル型ころ軸受1についての材料受入から、プレス工程、熱処理工程、表面処理工程、および検査に至る所定の製造情報を記録する。この記録する製造情報には、プレス工程、熱処理工程、表面処理工程のうちの少なくとも一つの工程における品質保証項目等となる各種測定結果,検査結果または加工条件情報を含ませる。上記シェル型ころ軸受1についての材料受入、プレス工程、熱処理工程、および表面処理工程は、シェル型ころ軸受1の各要素品(2〜4)についての材料受入、プレス工程、熱処理工程、および表面処理工程のことである。各種測定結果,検査結果には各要素品(2〜4)毎の検査結果と、完成品としての検査結果とが含まれる。
加工条件情報は、例えばプレス工程ではプレス圧やサイクルタイム等であり、熱処理工程では熱処理温度、熱処理時間、熱処理方法等であり、表面処理工程では砥石回転速度や切り込み速度、送り速度等である。上記製造情報として、加工条件の他に、そのシェル型ころ軸受についての製造年月日、製造場所、封入グリース銘柄、要素品間隙間、品質保証期間、取扱いに関する注意事項のうち、少なくとも一つの情報を記録することが好ましい。また各種検査結果も記録することが好ましい。
また、これらの製造情報の他に、シェル型ころ軸受1の識別情報を記録することが好ましい。シェル型ころ軸受1の識別情報は、個々のシェル型ころ軸受1に個別の識別情報、例えば製造番号であっても、またシェル型ころ軸受1のロット別の識別情報、例えばロット番号であっても良い。製造情報の記録は、一度に行っても、また何回かに分けて行っても良い。例えば、シェル型ころ軸受1の組立が完了して完成品検査をしたときに、検査結果や検査条件にかかる情報を記録し、後に残りの製造情報を記録しても良く、また上記検査の情報を含めて全ての製造情報を一度に記録しても良い。
(情報読取り利用過程R3)
この過程は、出荷後の任意時に、上記ICタグ5の記録情報を読み取ってその読み取り情報から、上記加工条件情報等の確認を行う過程である。
シェル型ころ軸受1の完成から廃棄までの一般的な流れとしては、図1のように、シェル型ころ軸受1の組立完成から、完成品検査、出荷、倉庫での保管、営業所での保管、客先納入(顧客による購入、機械設備へのシェル型ころ軸受1の組み込み)、顧客での使用、廃棄、という流れとなる。特注品の場合は、出荷後に直接に客先に納入されることもある。
ICタグ5に記録された情報の読取りおよび利用は、出荷後の任意の段階で、必要に応じて行われ、その読取り情報から必要な情報の確認が行われる。例えば客先での使用の段階で、シェル型ころ軸受1に不具合が発生したときは、シェル型ころ軸受1に取付けられたICタグ5から、そのシェル型ころ軸受1についての材質や性能等の各種の情報が読み取られ、原因の解明が行われる。このときに、記録情報に各要素品(2〜4)の材質や検査結果だけでなく、加工条件情報が含まれていると、原因解明が容易にかつ精度良く行われる。
情報読取り利用過程R3における付加的な利用として、前記のようにシェル型ころ軸受1のICタグ5を用いた表裏判別や、シェル型ころ軸受1に取付けられたICタグ5におけるメモリの空き容量部分が、出荷管理や、在庫管理、流通管理、メンテナンス管理等に適宜用いられる。
このシェル型ころ軸受の品質管理方法によると、出荷後の任意時の情報読取り利用過程R3で、プレス工程、熱処理工程、表面処理工程等のいずれかの加工条件情報を確認することができるため、厳しい品質,精度が求められるシェル型ころ軸受1においても、不具合が生じた場合の原因解明等を容易に行うことができる。また、この方法の場合、別のデータベースを用いることなく、ICタグ5のみで情報を管理することができるため、加工条件情報を確認する施設において、データベースへの通信設備やアクセス権限等の有無にかかわらずに加工条件情報の読み取りが行える。
上記提案形態は、ICタグ5にできるだけの製造情報を記録しておいて、その記録情報により品質管理を行う方法であるが、データベース20と併用しても良い。
すなわち、データベース20として、シェル型ころ軸受1の識別情報に関連付けてそのシェル型ころ軸受1に関する材料受入から、プレス工程、熱処理工程、表面処理工程および検査に至る所定の製造情報を記憶し、記憶内容を上記識別情報により抽出可能なものを準備しておく。このデータベース20と、シェル型ころ軸受1に取付けられたICタグ5とを用いて品質管理を行う。この場合、上記各過程R1〜R3では次の処理を行う。
(ICタグ取付過程R1)
この過程R1は、上記提案形態と同じである。
(製造情報の記録過程R2)
この過程では、シェル型ころ軸受1に取付けられたICタグ5に、上記データベース20に従い、出荷時、または客先納入時までに、そのシェル型ころ軸受1についての製造番号またはロット番号等の識別情報を記録し、かつそのシェル型ころ軸受1についての製造情報を記録する。この記録する製造情報には、各要素品(外輪2,ころ3,保持器付きの場合は保持器4)のプレス工程、熱処理工程、表面処理工程のうちの少なくとも一つの工程における加工条件情報を含ませる。データベース20を併用するため、ICタグ5へ記録する製造情報は、ICタグ5から直接に読取ることが便利な情報だけに限っても良い。例えば、シェル型ころ軸受1についての製造年月日、製造場所、封入グリース銘柄、要素品間隙間、品質保証期間、取扱いに関する注意事項などは、ICタグ5に記録しておくことが好ましい。
(情報読取り利用過程R3)
この過程では、上記出荷後の任意時に、ICタグ5の記録情報を読み取って、その読み取り情報から、または読み取られた識別情報を上記データベース20と照合してその照合により得られた情報から、受入材料の確認、製造工程の確認、その加工条件情報の確認、および検査成績の確認等のいずれかを行う。ICタグ5やデータベース20に記録されているその他の各種の利用を行っても良い。
この管理方法においても、出荷後の任意時の情報読取り利用過程R1で、プレス工程、熱処理工程、表面処理工程等のいずれかの加工条件情報を確認することができる。そのため、厳しい品質,精度が求められるシェル型ころ軸受1においても、不具合が生じた場合の原因解明等を容易に行うことができる。また、シェル型ころ軸受1に取付けられたICタグ5には、識別情報を記録し、データベース20に上記識別情報と対応して各種の情報を記録するため、限りあるICタグ5の記憶容量に頼らずに、多量の情報をデータベース20から引き出すことができる。またICタグ5の残りの記憶容量を、出荷後や客先納入後の各種の履歴管理等に利用することができる。
この管理方法およびデータベース20の詳細は、後に、図10以降の各図と共に説明する。
上記各管理形態において、製造情報の記録過程R2で記録するための各種の製造情報の収集は、製造時管理用のデータベース24に記録しておいて、シェル型ころ軸受1のICタグ5に記録するようにしても良く、またシェル型ころ軸受1に取付けられるICタグ5とは別の製造過程用のICタグ51を利用して行っても良い。
製造時管理用のデータベース24に記録しておく方法では、シェル型ころ軸受1の要素品(外輪2,ころ3,保持器4)の材料受入から、プレス工程、熱処理工程、表面処理工程、および検査に至る所定の製造情報を、製造時管理用のデータベース24に要素品のロット番号または要素品個別の識別番号に関連付けて記録する過程と、この記録した情報を、上記シェル型ころ軸受1に取付けられたICタグ5に記録する過程とを含む。なお、製造時管理用のデータベース24は、例えばコンピュータネットワークにおける1台または複数台のコンピュータ(図示せず)に設けられる。
製造過程用のICタグ51を利用する方法は、後に、図10以降の各図と共に詳述するが、概略を示すと次のとおりである。この方法では、シェル型ころ軸受1の要素品(2〜4)の材料受入からプレス工程、熱処理工程、および表面処理工程に至る所定の製造情報を、要素品(2〜4)のロット番号別に準備された製造過程用のICタグ51に各工程毎に記録する過程と、この記録した情報を読み取ってその読み取り情報の一部または全体を上記シェル型ころ軸受1に取付けられたICタグ5に記録する過程とを含む。製造過程用のICタグ51に記録する製造情報として、プレス工程、熱処理工程、および表面処理工程のうちの少なくとも一つの工程における加工条件情報を含むようにする。
つぎに、このシェル型ころ軸受の品質管理方法のより具体的な例につき、図10を主に説明する。製造過程用のICタグ4を利用する方法は、特注品等のように個別に検査されるシェル型ころ軸受1の場合と、一般品等のようにロット別に検査されるシェル型ころ軸受の場合とがある。この実施形態は、ロット別に検査されるシェル型ころ軸受1の場合を対象とする。図10はロット別検査品(一般品)の場合を示し、図11は個別検査品(特注品)の場合を示す。個別検査品(特注品)とロット別検査品(一般品)とでは、表面処理工程後の検査、および組立後の検査が個別検査かロット別検査かで異なる他は、同じである。
図10において、この品質管理方法の管理対象とするシェル型ころ軸受1は、各要素品となる外輪2,ころ3,および保持器4を組み立てたものであって、それら複数種類の要素品(2〜4)が、材料受入S1から、プレス工程S2、熱処理工程S3、および表面処理工程S4を経て製造されるものである。保持器4については、表面処理工程S4を経ないものが一般的である。
シェル型ころ軸受1は、上記材料受入S1から、プレス工程S2、熱処理工程S3、および表面処理工程S4を経て製造される要素品(2〜4)とは別の要素品70を含むものであっても良い。別要素品70としては、シール(図示せず)等を設ける場合がある。
上記材料受入S1から、プレス工程S2、熱処理工程S3、および表面処理工程S4の各工程は、材料受入から要素品の完成までを、大別した各区分のことであり、上記各工程が複数の工程からなる場合や、さらに工程名称に該当しない工程を含むものであっても良い。各工程S1〜S4の名称は、その区分した工程を代表する処理の名称である。
この管理方法は、上記各要素品(2〜4)について、次の各過程(1) 〜(4) を含み、各要素品(2〜4)を組み立てたシェル型ころ軸受1について、後述の過程を採る。なお、各工程のロットは、製造工程の下流側で分かれることがあるが、併合はしない。
(1) .材料受入(S1)時の管理過程。
各要素品2の材料受入時に、材料ロット25別に準備されたICタグ51に、対応する材料ロット25についての材料ロット番号、および購入材料に関する情報を記録する。
(2) .プレス工程(S2)の管理過程。
材料ロット25別のICタグ51、またはこの材料ロット25別のICタグ51の記録情報を引き継いだICタグ51をプレスロット26別に準備し、これらICタグ51に、対応するプレスロット26についてのプレスロット番号、およびプレス工程で得られる情報を記録する。
(3) .熱処理工程(S3)の管理過程。
プレスロット26別のICタグ51、またはこのプレスロット26別のICタグ51の記録情報を引き継いだICタグ51を熱処理ロット27別に準備し、これらのICタグ51に、対応する熱処理ロット27についての熱処理ロット番号、および熱処理工程で得られる情報を記録する。
(4) .表面処理工程(S4)およびその後の検査工程時の管理過程。
表面処理工程(S4)の後の検査工程で、熱処理ロット27別のICタグ51、またはこの熱処理ロット27別のICタグ51の記録情報を引き継いだICタグ51を、表面処理ロット28別に準備し、これらのICタグ51に、対応する表面処理ロット28についての表面処理ロット番号および検査工程で得られる情報を記録する。表面処理工程(S4)における加工は、ロット別検査品も個別検査品も同じである。この管理過程(4) で記録する情報は表面処理ロット28別の検査結果の情報であるが、検査項目はロット別検査品も個別検査品も同じであり、それらの検査結果を記録する。検査項目をロット別検査品と個別検査品とで異ならせても良いが、それらの検査結果のICタグ51への記録は、検査項目にかかわらずに同様に行う。
シェル型ころ軸受1の組立、およびその後の管理過程。
各要素品2を組み立てた各シェル型ころ軸受1に、組立前から組立後に至る間にICタグ5を取付け、このシェル型ころ軸受1に取付けられたICタグ5に、製造ロット番号、および上記シェル型ころ軸受1に用いられた各要素品(2〜4)の上記検査工程後のICタグ51の記録情報のうち、少なくとも製造ロット番号を記録し、データベース20に上記製造ロット番号と対応して、上記シェル型ころ軸受1に用いられた各要素品(2〜4)の上記検査工程後のICタグ51の記録情報、およびシェル型ころ軸受1の完成後の検査情報を記録する。
上記各工程(S1)〜(S4)で用いられるICタグ51は、各工程を通じて同じものであっても良く、工程によって別のICタグ51を用い、前工程のICタグの記録情報の転記をしても良い。下流側の工程でロットが別れる場合は、新たなICタグ51を準備し、前の工程の記録情報の転記をしても良く、また予め、ロットが分かれるロット数分だけICタグ51を準備しておき、各工程を通じて同じICタグ51に情報を追加記録するようにしても良い。
各工程(S1)〜(S4)において、ICタグ51に記録される各ロット番号および各工程の情報は、図12のように工程毎に追加されることになる。
各工程において、ICタグ51は、例えば要素品(2〜4)を入れる運搬用の容器類31に取付けておく。容器類31は、例えば、かご、箱、またはパレット等である。この場合に、ICタグ51の容器類31への取付は、直接に行っても良く、また図15に示すように、容器類31に取付けられる視覚による識別用のタグ32に取付けても良い。ICタグ51の容器類31への取付は着脱自在な取付であっても良い。ICタグ51を容器類11に取付けておくことで、ロット毎に準備されるICタグ51を、常に要素品(2〜4)と共に移動させることができ、ICタグ51の取扱が容易である。また、要素品(2〜4)のコンベヤ等による搬送経路33でICタグ51への情報の記録を行うことができる。
上記各管理過程の詳細を説明する。
(1) .材料受入(S1)時の管理過程。
図4に示したように、外輪2および保持器4については、材料はコイル状の鋼板の形態で購入等により受入れられ、ころ3についてはコイル状の鋼線の状態で受入れられる。受入れた材料は、例えば材料ロット単位で各種の品質検査を行う。この管理過程でICタグ51に記録する受入材料の情報は、材料の出所情報と品質情報とに分けられる。出所情報としては、販売元の会社名や、その会社の工場所在地等である。品質情報は、組織硬さ、非金属介在物の情報など、材料,化学分析の成績表である。品質情報は、材料受入後に行った材料検査の結果をICタグに記録するが、販売元から得た情報を記録しても、両方を記録しても良い。この過程でのICタグ51への情報の記録方法は、例えば購入管理コンピュータ(図示せず)等から得た情報を記録用の端末を介して行う。
(2) .プレス工程(S2)の管理過程。
プレス工程(S2)は、要素品2〜4の種類によって種々の形態があり、例えば図4と共に前述した工程とされる。プレス工程(S2)でのICタグ51への情報の記録は、プレス工程(S2)の全体で1回としても良く、またプレス工程(S2)の中の各工程毎に行うようにしても良い。
例えば、外輪2の場合、プレス工程(S2)では、外観,外径寸法,幅寸法,板厚不同,内接円径等が検査され、記録される。ころ3の場合、プレス工程(S2)おける切断,端面成形,バリ取り等の各過程における、外観,長さ等が検査され、記録される。保持器4の場合、プレス工程(S2)のうち、成形過程では、外観,幅寸法,外径寸方,鍔外径寸法が検査され、ポケット抜き過程では、外観,ポケット寸法,内径寸法,幅寸法,外接円径寸法が検査され、これらの結果が記録される。
これらの過程でのICタグ51への情報の記録方法は、例えばこれらのプレス工程(S2)等の各工程毎に用いられる工程管理用または検査管理用等の製造時管理用のデータベース24により、端末35を介して行うようにする。オペレータによる手入力が必要な情報については、図13に示すようにキーボード等の入力手段36により、製造時管理用のデータベース24を介して、または直接に端末35から記録する。
前工程の材料ロット25よりも鍛造ロット26の方が多くなる場合は、新たなICタグ51を準備し、これにICタグ複製手段37を用いて材料ロット5のICタグ51の記録情報を転記し、この転記よって情報を受け継いだICタグ51に対してプレス工程の情報を記録する。以下の各工程においても、ロット数が増える場合は、上記と同様にして新たなICタグ51に転記する。
(3) .熱処理工程(S3)の管理過程。
熱処理を行ったときは後に検査を行う。検査結果情報としては、外輪2については表面硬度,有効浸炭深さであり、ころ3については、硬度,組織、保持器4については、表面硬度,化合物質層等である。これらの検査結果を記録する。この他に、熱処理条件等を記録しても良い。
(4) .表面処理工程(S4)およびその後の検査工程時の管理過程。
表面処理工程(S4)は、要素品2の種類によって異なる。ICタグ51に記録する情報は、表面処理工程(S4)内における個々の工程毎の加工条件の情報と、検査結果である。加工条件情報は、例えば砥石の種類や加工速度等である。 表面処理工程が完了した後、検査を行い、その結果をICタグ51に記録する。検査結果情報としては、外輪2については、目視による合否結果であり、ころ3については、表面処理過程(S4)における外径研削過程では、外観,外径寸法,外径真円度,外径円筒度、クラウニング形成過程では、外観,クラウニング量、磨き過程(タンブラー)では、外観,外径寸法である。保持器4については、表面処理は行わないので記録無しである。
シェル型ころ軸受1の組立、およびその後の管理過程。
上記のように製造された各要素品2は、組立工程(S5),縁曲げ工程(S6)で一つのシェル型ころ軸受1に組み立てられる。このシェル型ころ軸受1に、組立前から組立後に至る間にICタグ5を取付ける。すなわち、外輪2等の要素品(2〜4)の単独の状態でICタグ5を取付けても、組立の完了後に取付けても良い。なおICタグ5は、外輪2に取付ける代わりに、保持器4、またはシール(図示せず)が設けられる場合はシールに取付けても良い。
各シェル型ころ軸受1は、組立が完了すると、完成品検査として各種の検査を行う。この検査は、例えば上記ICタグ5の取付後に行うが、取付形態によっては取付前に行っても良い。組立時の検査事項として、シェル型ころ軸受1では、ころ組込み時のころ欠品検査、縁曲げ時の外観、内接円径、幅寸法、外径寸法、回転調子等があり、また完成品検査として、幅寸方検査、内径検査、部品欠品検査等があり、これらの検査結果がICタグ5等に記録される。
シェル型ころ軸受1を組み立てる過程で、そのシェル型ころ軸受1を構成する各要素品(2〜4)のICタグ51の記録情報は、図14のように、データベース20により製造ロット番号に対応して記録される。また、完成品検査の検査結果についても、製造ロット番号に対応して記録される。なお個別検査品の場合は、データベース20により製造番号に対応して記録され、完成品検査の検査結果についても、製造番号に対応して記録される。製造番号は個別のシェル型ころ軸受特有の番号であり、例えばシリアル番号とされる。シェル型ころ軸受1が上記のような工程を経過しない別要素品(例えば保持器)を含むものである場合、その別要素品3の情報もデータベース20に記録する。
シェル型ころ軸受1に上記のように取付けられたICタグ5には、少なくとも上記の製造ロット番号を記録する。このICタグ5には、製造ロット番号の他に、各要素品(2〜4)のICタグ51の記録情報や、完成品検査の結果等を記録しても良い。シェル型ころ軸受1に取付けられたICタグ5に、完成品検査の結果を記録する場合、検査工程でICタグ5に検査結果を記録し、このICタグ5からデータベース20に情報を転記しても良い。また、シェル型ころ軸受1だけでなく、シェル型ころ軸受1の梱包1A(図9)にもこのICタグ5を取付け、製造ロット番号等を記録しても良い。
データベース20は、図14のようにコンピュータネットワーク38上に設けられた管理コンピュータシステム19に設けられる。このデータベース20の記憶部20aに、各シェル型ころ軸受1についての上記の記録情報Fが記録される。コンピュータネットワーク38は、例えばインターネット等の広域ネットワークや、この広域ネットワークに工場内のローカルエリアネットワークが結合したものである。データベース20は、記憶部20aとこの記憶部20aに対する入出力や検索の管理を行うデータベース管理部20bとでなる。データベース20は、概念的に一つの品質管理用のデータベースとして認識できるものであれば良く、物理的には複数に分かれたデータベースの集まりであっても、また他の各種の目的のデータベースと情報を共有するものであっても良い。例えば、データベース20は、コンピュータネットワーク38上に分散した設けられた複数のコンピュータで構成されるものであっても、また上記製造時管理用のデータベース24や技術情報管理用等のデータベースと記録情報を共有するものであっても良い。
データベース20は、ネットワーク38を介して、シェル型ころ軸受製造工場内の各情報処理機器の他に、技術部門や、倉庫、営業所、顧客企業の事業所の情報処理機器60、および携帯端末等に接続されたものである。
この品質管理方法によると、各要素品2の材料受入からシェル型ころ軸受1の完成後の検査内容までの履歴情報が、管理コンピュータシステム20に記憶され、シェル型ころ軸受1に取付けられたICタグ5には製造ロット番号が記録されているため、製造ロット番号を管理コンピュータシステム20と照合することで、上記履歴情報をシェル型ころ軸受とロット毎の関係で管理することができる。例えば、出荷後の任意の段階で、そのシェル型ころ軸受1の使用者や、保守サービスを行うもの等が、シェル型ころ軸受1の履歴情報を知ることができる。シェル型ころ軸受1の各要素品2の製造工程毎に発生する情報は、工程毎にその工程のロット別に準備したICタグ51にロット番号と共に記録するため、詳細な履歴情報を管理することができる。したがって不良品が発生した場合の、交換、不良品混入範囲の特定、将来の改善等の対処が容易となり、寿命診断や、機械故障につながる事前の交換も容易となる。
上記工程毎の情報は、その工程のロット毎に準備したICタグ51に記録するため、手書き伝票に記録する場合に比べて詳細な情報の記録が行え、また例えば端末からコンピュータに入力する場合と異なり、情報を入力するべき箇所がICタグ51であるために視覚的に認識できて、入力作業が明確となり、誤りが生じにくい。また、要素品(2〜4)の材料受入から表面処理工程の各工程にわたる種々雑多な全ての情報をコンピュータに記録するものと異なり、生産工程ではこれらの記録情報をICタグ51で持っておくため、コンピュータの負担が軽く、管理が容易になる。このため、容易に、より詳細な情報の管理することができる。
また、シェル型ころ軸受1の製造番号は、シェル型ころ軸受1に取付けられたICタグ5に記録するので、このICタグ5の残った記憶領域を自由に使用でき、製造後の各種の用途、例えば出荷管理、流通管理、顧客管理、メンテナンス管理などに用いることができる。
すなわちシェル型ころ軸受1は、図9と共に前述したように、組立完成、検査、出荷の後、一般的に倉庫に配送され、営業所から顧客へ納品される。特注品の場合は、出荷の後、直接に顧客に納品されることもある。顧客では、シェル型ころ軸受1を機器に組み込んで使用し、耐久年数等で廃棄することになる。このような各過程で、シェル型ころ軸受1に取付けられたICタグ5の製造番号を読み取って履歴情報を知る他に、ICタグ5の残りの記憶領域を利用した各種の利用が図れる。
つぎに、シェル型ころ軸受1が特注品のように個別検査品である場合につき、図11と共に説明する。個別検査品の管理では、各要素品(2〜4)について、次の各過程(1) 〜(3) ,(4) ′を含み、各要素品2を組み立てたシェル型ころ軸受1について、後述の過程を採る。材料受入から熱処理工程までの管理過程(1) 〜(3) は、個別検査品についてもロット別検査品と同じであるため、これらの管理過程(1) 〜(3) の説明は省略する。
(1) .材料受入(S1)時の管理過程。
(2) .プレス工程(S2)の管理過程。
(3) .熱処理工程(S3)の管理過程。
(4) ′.表面処理工程(S4)およびその後の検査工程時の管理過程。
熱処理ロット7別のICタグ51、またはこの熱処理ロット7別のICタグ51の記録情報を引き継いだICタグ51を、表面処理ロット28別に準備し、これらのICタグ51に、対応する表面処理ロット28についての加工条件の記録を行う。また、表面処理ロット28別のICタグ51、またはこの表面処理ロット28別のICタグ51の記録情報を引き継いだICタグ51を、要素品(2〜4)毎または検査の単位となる同種類の要素品(2〜4)の組毎に準備し、これらICタグ51に、対応する研削ロット番号、および検査工程で得られる情報を記録する。
表面処理工程(S4)では、特注品等の場合は全数検査であり、全数検査の場合、ICタグ51は要素品2の個数だけ準備され、そのICタグ51に対応する要素品2の表面処理ロット番号と、個々の検査結果等の情報を記録する。表面処理ロット番号に加えて、個々の要素品(2〜4)を識別する番号を付加して記録しても良い。ころ3のように、一つのシェル型ころ軸受1に多数用いられるものは、一つのシェル型ころ軸受1に用いられるころ3の組に一つの要素品とみなして一つのICタグ51を準備し、その組毎の情報を記録しても良い。
上記各要素品(2〜4)を組み立てた各シェル型ころ軸受1には、組立前から組立後に至る間に、完成後使用のためのICタグ5を取付け、このシェル型ころ軸受1に取付けられたICタグ5に、個別のシェル型ころ軸受1に特有の製造番号、および上記シェル型ころ軸受1に用いられた各要素品(2〜4)の上記検査工程後のICタグ51の記録情報のうち、少なくとも製造番号を記録する。データベース20には上記製造番号と対応して、上記シェル型ころ軸受1に用いられた各要素品(2〜4)の上記検査工程後のICタグ51の記録情報、およびシェル型ころ軸受1の完成後の検査情報を記録する。
なお、個別検査品の管理は、特に説明した事項の他は、ロット別検査品について説明した内容と同じ管理である。
この管理方法の場合、シェル型ころ軸受1の製造ロット別の管理と異なり、1対1の管理となるが、その他の事項については、上記第1のシェル型ころ軸受の品質管理方法で説明したロット別検査品についての場合と同じ各作用,効果が得られる。管理コンピュータ20に対する照合は、シェル型ころ軸受1に取付けられたICタグ5から得られる製造番号で行う。
この発明の一実施形態にかかる品質管理方法の管理対象となるシェル型ころ軸受の断面図およびその部分正面図である。 同シェル型ころ軸受のハウジングへの取付状態を示す説明図である 同ICタグ付シェル型ころ軸受の表裏判別方法の説明図である。 同ICタグ付シェル型ころ軸受の製造工程の説明図である。 同製造工程の一部を拡大して示す工程説明図である。 その刻印工程の説明図である。 ICタグとタグリーダとの関係の説明図である。 ICタグの回路例のブロック図である。 この発明の一実施形態に係るシェル型ころ軸受の品質管理方法の説明図である。 同管理方法における要素品の管理方法を示す工程説明図である。 同管理方法における要素品の他の管理方法を示す工程説明図である。 各ICタグの記録内容の変化を示す説明図である。 要素品の製造工程中におけるICタグへの記録形態の概念説明図である。 データベースとICタグの関係を示す説明図である。 要素品の容器類とそのICタグへの書き込み形態の概念を示す説明図である。
符号の説明
1…シェル型ころ軸受
2…外輪
2b,2c…鍔部
3…ころ
4…保持器
5…ICタグ
7…取付用凹部
9…刻印
12…タグリーダ
25…材料ロット
26…プレスロット
27…熱処理ロット
28…表面処理研削ロット
20…データベース
21…容器類
24…製造時管理用のデータベース
35…端末
51…ICタグ

Claims (13)

  1. シェル型の外輪および複数のころを有するシェル型ころ軸受につき、非接触で情報の記録および読取りが可能なICタグを用い、シェル型ころ軸受に関する所定情報を記録して管理するシェル型ころ軸受の品質管理方法であって、シェル型ころ軸受にICタグを取付ける過程と、このシェル型ころ軸受に取付けられたICタグに、このシェル型ころ軸受についての情報を記録する過程と、出荷後の任意時に、上記ICタグの記録情報を読み取って所定情報の確認を行う利用過程とを含むシェル型ころ軸受の品質管理方法。
  2. 請求項1において、前記外輪は焼入れ処理され、かついずれか片方の鍔部が焼きなまし処理が施されたものであり、前記ICタグはいずれか片方の鍔部に取付けるシェル型ころ軸受の品質管理方法。
  3. 請求項2において、前記ICタグは、前記鍔部の外面に設けた取付用凹部内に取付け、前記取付用凹部は、前記鍔部への文字または記号の刻印時に、同時に刻印により設けるシェル型ころ軸受の品質管理方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記外輪は、鋼板を有底円筒状に絞り加工し、底抜きにより一端の鍔を形成し、他端を切り落として片鍔付きの外輪半製品を得る一連のプレス工程と、この外輪半製品を焼入れし、他端を焼きなます熱処理工程と、前記外輪半製品内にころ及び、保持器付タイプは保持器を入れた後に他端に鍔部を形成する縁曲げ工程とを経て製造されるものであるシェル型ころ軸受の品質管理方法。
  5. 請求項2ないし請求項4のいずれか1項において、前記鍔部に取付けられたICタグに対して交信を行って交信状況により表裏を判別する過程を含むシェル型ころ軸受の品質管理方法。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記シェル型ころ軸受に取付けられたICタグに、出荷時または客先納入時までに記録する情報として、外輪およびころ、または外輪、ころ、および保持器の各製造工程における検査結果を記録する過程を含むシェル型ころ軸受の品質管理方法。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記シェル型ころ軸受に取付けられたICタグに、出荷時または客先納入時までに記録する情報として、外輪およびころ、または外輪、ころ、および保持器の各製造工程における加工条件情報を記録する過程を含むシェル型ころ軸受の品質管理方法。
  8. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、シェル型ころ軸受につき、シェル型ころ軸受の識別情報に関連付けてそのシェル型ころ軸受に関する材料受入から各製造工程および検査工程に至る所定の製造情報を記憶し、記憶内容を上記識別情報により抽出可能なデータベースと、前記シェル型ころ軸受に取付けられたICタグとを用いて管理するシェル型ころ軸受の品質管理方法であって、
    シェル型ころ軸受に製造時または製造完了時にICタグを取付ける過程と、
    上記シェル型ころ軸受に取付けられたICタグに、上記データベースに従い、出荷時、または客先納入時までに、そのシェル型ころ軸受についての識別情報を記録し、かつそのシェル型ころ軸受について前記データベースに記憶された製造情報の一部または全体を記録する過程と、
    出荷後の任意時に、上記ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、または読み取り情報を上記データベースと照合して製造情報を確認する利用過程とを含む、
    シェル型ころ軸受の品質管理方法。
  9. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、シェル型ころ軸受につき、シェル型ころ軸受の識別情報に関連付けてそのシェル型ころ軸受に関する材料受入から各製造工程および検査工程に至る所定の製造情報を記憶し、記憶内容を上記識別情報により抽出可能なデータベースと、前記シェル型ころ軸受に取付けられたICタグとを用いて管理するシェル型ころ軸受の品質管理方法であって、
    シェル型ころ軸受にその製造時または製造完了時にICタグを取付ける過程と、
    上記シェル型ころ軸受に取付けられたICタグに、上記データベースに従い出荷時、または客先納入時までに、そのシェル型ころ軸受についての識別情報を書き込み、かつそのシェル型ころ軸受についての製造年月日、製造場所、封入グリース銘柄、品質保証期間、取扱いに関する注意事項のうち、少なくとも一つの情報を記録する過程と、
    上記出荷後の任意時に、上記ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、または読み取り情報を上記データベースと照合して得られた情報から、シェル型ころ軸受に関する情報の確認を行う利用過程とを含む、
    シェル型ころ軸受の品質管理方法。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれか1項において、上記シェル型ころ軸受を構成する外輪およびころ等の要素品について、材料受入から完成,検査に至る所定の製造情報を、要素品のロット番号別に準備された製造過程用のICタグに各工程毎に記録する過程と、この記録した情報を読み取ってその読み取り情報の一部または全体を上記シェル型ころ軸受に取付けられたICタグに記録する過程とを含むシェル型ころ軸受の品質管理方法。
  11. 請求項1ないし請求項9のいずれか1項において、上記シェル型ころ軸受を構成する外輪およびころ等の要素品について、材料受入から完成,検査に至る所定の製造情報を、製造時管理用のデータベースに要素品のロット番号または要素品個別の識別番号に関連付けて記録する過程と、この記録した情報を、上記シェル型ころ軸受に取付けられたICタグに記録する過程とを含むシェル型ころ軸受の品質管理方法。
  12. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、上記シェル型ころ軸受を構成する外輪およびころ等の要素品について、材料受入時から完成,検査完了までの一連の各工程につき、その工程のロット毎にICタグを準備し、この各工程のロット毎に準備されるICタグは、一つ上流側の工程の対応するロットと同じICタグ、または一つ上流側の工程の対応するロットのICタグの記録情報を引き継いだICタグとし、上記各工程のロット毎に準備されたICタグに、その工程のロット番号およびその工程における情報を記録するシェル型ころ軸受の品質管理方法。
  13. 請求項12において、上記各工程のロット毎に準備されるICタグは、同じロットの材料ないし製造過程の要素品を複数入れた容器類にそれぞれ取付けるシェル型ころ軸受の品質管理方法。
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