JP2006039178A - 感光性組成物および感光性平版印刷版材料ならびに現像処理方法 - Google Patents

感光性組成物および感光性平版印刷版材料ならびに現像処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、十分な感度を有し、かつ現像安定性、耐刷性に優れたネガ型感光性組成物を提供することである。更にセーフライト性に優れたネガ型感光性平版印刷材料を提供する。
【解決手段】側鎖に重合性二重結合を有しかつカルボキシル基含有モノマーを共重合成分として有するポリマー、光重合開始剤、380nmから1300nmの波長域において前記光重合開始剤を増感する増感剤、分子内に2個以上のヒンダードフェノール構造を有するヒンダードフェノール系化合物、及びヒンダードアミン系化合物を含有することを特徴とする感光性組成物。
【選択図】 なし。

Description

本発明は感光性組成物に関し、更にこれを利用した感光性平版印刷版材料に関する。詳しくは、耐刷性、保存性及びセーフライト性に優れた感光性組成物およびこれを用いたネガ型感光性平版印刷材料ならびにその現像処理方法に関する。
近年、感光性平版印刷版の露光光源として従来からの紫外光(UV)に加え、可視から赤外領域のレーザー光の開発が行われてきた。中でも近赤外線から赤外線領域に発光領域を持つ固体レーザーや半導体レーザーでは、高出力、小型化が進み、コンピューター等のデジタルデータから直接製版するCTP(コンピューター・トゥー・プレート)システムが有望であり、赤外レーザー光に感光性を持つ走査型平版印刷版の開発が盛んに行われている。こうしたレーザー走査露光用光源として特に830nm付近に発光する半導体レーザーが、安定的に高出力で動作するため好んで用いられる。従来は、こうした高出力半導体レーザーを使用し、レーザー照射部において光熱変換色素の作用により高熱を発生させ、熱による画像形成方式を利用した感熱タイプの平版印刷版が使用されてきた。このような感熱タイプのネガ型平版印刷版の例としては、例えば、特開平7−20629号、同平7−271029号公報等に記載される系が挙げられる。
このような感熱タイプのネガ型平版印刷版においては、露光後、現像処理前に照射部の化学反応を完結させるために感熱層をプレヒートと称する加熱処理を行う必要がある。プレヒートは、消費電力が多大であり、また版全体に亘って均一な加熱が困難であり、安定した印刷品質を得られにくい。プレヒートによる加熱が不十分な箇所では耐刷性が不良となり、加熱が過剰となった箇所では地汚れが発生してしまう。しかしながら、感熱タイプの利点としては、露光量に比例して画像が形成されるのではなく、露光により、ある閾値以上の高温により画像形成が行われる。このため低露光量では画像形成が行われず、かぶりが生じにくく、また非常に高コントラストな線画が得られるという特徴がある。
本発明者らは既に特開2001−290271号公報(特許文献1)などに明らかにしたように、側鎖にビニル基が置換したフェニル基を有する重合体、光ラジカル発生剤、増感色素を含有する感光性組成物を提示してきた。こうした光重合組成物を利用することにより、近赤外レーザー露光による画像形成が感熱ではなく、感光により得られる。このことにより露光後、現像処理前のプレヒート工程が不要となる。しかし露光量に比例して画像が形成されるため、低露光量であっても画像が形成される場合があり、かぶりやすいという欠点がある。
近赤外光に感応する色素を用いた画像形成材料は、近赤外光をエネルギー源としているために、白色灯下、あるいは黄色灯下で取り扱つかえる可能性を有する。しかし低露光量でかぶりを生じやすい感光タイプは、例えば特開2003−233192号公報記載のフィルター染料等を用いても、その影響を完全に除去することは困難であり、この低照度の光によりラジカルが発生し、特に現像中における非画像部の溶出性が悪化する。
一方、感光性組成物の保存安定性のために酸化防止剤としてラジカル捕獲剤を利用する方法が従来特許及び技術として開示されており、ヒンダードフェノール系化合物を用いることが、特開平10−104835号、同平10−010742号、同平9−244243号、同平9−188685号公報等に記載されている。また同様の目的でヒンダードアミン系化合物を用いることが、特開平8−297364号、同平9−244233号、同平9−244234号、同平11−52575号、同2000−214580号公報等に記載されている。
また感光タイプの保存安定性のために酸化防止剤として、ヒンダードフェノール系化合物を用いることが特開2002−287340号公報(参考文献2)に、ヒンダードアミン系化合物を用いることが特開2002−244288号公報(参考文献3)に記載されている。これらの公報には経時保存を行った事により非画像部の溶出性が変化し、その結果、印刷時に地汚れが発生することが記載されている。
前記セーフライト性、保存安定性の問題は、何れも画像部以外の非画像部の現像中における溶出性変化が伴う。光重合反応に必要なラジカル量は定かではないが、画像部分についてはレーザーによる走査露光により極めて短時間に大量のラジカルが発生する。これに対し、白灯及び黄色灯等のセーフライト照射により発生するラジカル量は、走査露光時よりも少量のラジカルが長時間にわたり発生する。保存安定時には光以外の要因、例えば保存時の温度、湿度等の暗反応が極めて長時間継続する。耐刷性が良好でかつ、保存安定性、セーフライト性が優れた感光性平版印刷版を得る為には、走査露光により極めて大量に発生するラジカル以外の影響が全く無い事が好ましいが、これらを同時に解決することは困難であった。
また従来、印刷時の地汚れの発生を防止する目的で、非画像部の保水性を良好にするために現像液中にケイ酸塩を導入し、pHが12以上での現像処理が必要であった。しかし高pH現像液の問題として、大気中の二酸化炭素の吸収によりpHが低下し、これを補うために大量の補充液が必要となる。またこの現像液は危険性、有害性が高い。この為現像液のpHを12以下とすることが好ましいが、現像液の低pH化は、セーフライト性、保存安定性による非画像部の現像中における溶出性変化の影響を、より顕著に受ける。
特開2001−290271号公報(第1〜4項) 特開2002−287340号公報(第1〜4項) 特開2002−244288号公報(第1〜4項)
従って、本発明の目的は、十分な感度を有し、かつ現像安定性、耐刷性に優れた感光性組成物を提供することである。更にセーフライト性に優れたネガ型感光性平版印刷材料およびその現像処理方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の発明によって基本的に達成された。
(1)側鎖に重合性二重結合を有しかつカルボキシル基含有モノマーを共重合成分として有するポリマー、光重合開始剤、380nmから1300nmの波長域において前記光重合開始剤を増感する増感剤、分子内に2個以上のヒンダードフェノール構造を有するヒンダードフェノール系化合物、及びヒンダードアミン系化合物を含有することを特徴とする感光性組成物。
(2)更にエチレン性不飽和化合物を含有する上記(1)に記載の感光性組成物。
(3)前記光重合開始剤が有機ホウ酸塩である上記(1)に記載の感光性組成物。
(4)更にトリハロアルキル置換化合物を含有する上記(1)、(2)または(3)に記載の感光性組成物。
(5)前記トリハロアルキル置換化合物が、トリハロメチル基を有する含窒素複素環化合物またはトリハロメチルスルホニル化合物である上記(4)に記載の感光性組成物。
(6)前記増感剤が750nm以上に吸収を有する増感色素である上記(1)に記載の感光性組成物。
(7)上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の感光性組成物を利用したことを特徴とするネガ型感光性平版印刷材料。
(8)上記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の感光性組成物が、アルカリ金属ケイ酸塩を含有する処理液で処理を施したアルミニウム板上に塗設されたことを特徴とするネガ型感光性平版印刷材料。
(9)上記(7)または(8)に記載のネガ型感光性平版印刷材料をpHが10から12の範囲内である水性現像液で現像を行うことを特徴とするネガ型感光性平版印刷版材料の処理方法。
本発明によれば、ネガ型感光性平版印刷版が十分な感度を有し、現像安定性、耐刷性が向上する。また同時にセーフライト性が向上する。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は分子内に2個以上のヒンダードフェノール構造を有するヒンダードフェノール系化合物を用いる。ヒンダードフェノール構造とはフェノール性水酸基のオルト位に崇高の原子団が存在することで特徴づけられるフェノール系構造単位である。前記崇高の原子団としては、一般には分岐状アルキル基やシクロアルキル基が好都合である。
以下に分子内に2個以上のヒンダードフェノール構造を有するヒンダードフェノール系化合物について例示する。ただし本発明はこれらの例示に何ら限定されるものではない。本発明において2個以上のヒンダードフェノール構造を有するヒンダードフェノール系化合物としては、下記一般式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2006039178
式中、R1は分岐状アルキル基もしくはシクロアルキル基を表し、R2は、水素原子、アルキル基またはアルキリデン基を表す。Lは連結基を表し、mは2〜6の整数を表す。
一般式についてさらに説明する。R1は分岐状アルキル基もしくはシクロアルキル基を表し、分岐状アルキル基としては炭素数が3から8の分岐アルキル基、例えばtert-ブチル基、tert-ペンチル基等を挙げることができ、またシクロアルキル基としてはシクロヘキシル基等を挙げることができる。R2は水素原子、アルキル基、アルキリデン基を表すが、アルキル基またはアルキリデン基の場合は、炭素数1〜40のものが好ましく、特に1から18のものが好ましい。R2の中でも特に水素原子が好ましい。
Lで表される連結基としては、例えば−S−、−O−、−CO−、−SO−、−SO2−、−NR3、脂肪族残基、芳香族残基、複素環残基、またはそれらの組み合わせから選ばれる連結基であり、R3は水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
一般式で表されるヒンダードフェノール構造のベンゼン環は、更に他の置換可能な原子または基、例えばハロゲン原子(例、塩素原子)、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、置換アミノ基、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基およびアシルオキシ基等を有しても良い。またヒンダードフェノール構造のベンゼン環に置換する置換基は、互いに連結して環を形成してもよく、この場合にはクロマン環を形成しても良い。ベンゼン環の置換基R1(オルト位、2位)に対して、6位にも炭素数1〜8のアルキル基またはシクロアルキル基を有するのが好ましい。
前記有機残基の例としては、結晶性、有機溶剤に対する溶解性、プリードアウト性(表面の拡散性)および非プリードアウト性(非拡散性)等の特性を化合物に付与するために種々の化学構造のものが挙げられる。これらの構造によってヒンダードフェノール原子団の効力が失われることはないので、本発明において有機残基として任意のものを用いることができる。
以下に分子内に2個以上のヒンダードフェノール構造を有するヒンダードフェノール系化合物の具体的な例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2006039178
Figure 2006039178
感光性組成物中に含まれる分子内に2個以上のヒンダードフェノール構造を有するヒンダードフェノール系化合物の量については好ましい範囲が存在し、感光性組成物トータル100質量部において該ヒンダードフェノール化合物は0.01質量部から50質量部の範囲で含まれていることが好ましい。さらには感光性組成物トータル100質量部に対して0.1質量部から10質量部の範囲で含まれていることがさらに好ましい。
本発明に於けるヒンダードアミン系化合物としては、詳細には分子内に以下に示す構造単位を少なくとも1つ有する化合物がその代表例として挙げられる。
Figure 2006039178
式中R1、R2、R3およびR4は水素原子またはアルキル基、アリール基を表し、Zは含窒素脂環を構成するに必要な原子団を表す。Yは水素原子、アルキル基または有機残基を表す。R1及びR2の内、或いはR3及びR4の内、その一つはZに組み込まれて二重結合を与えていても良い。R1〜R4の好ましい例は炭素数1〜6のアルキル基である。好ましい含窒素脂環構造としては、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロリジン、イミダゾリジン、オキサゾリジン、チアゾリジン、セレナゾリジン、ピロリン、イミダゾリン、イソインドリン、テトラヒドロイソキノリン、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピリジン、ジヒドロイソキノリン、オキサゾリン、チアゾリン、セレナゾリン、ピロール等が挙げられる。特に好ましい例はピペリジン、ピペラジンおよびピロリジンである。上記一般式で示される構造単位を有するヒンダードアミン系化合物として特に好ましい例を以下に示す。
Figure 2006039178
Figure 2006039178
感光性組成物中に含まれるヒンダードアミン系化合物の量については好ましい範囲が存在し、感光性組成物トータル100質量部において該ヒンダードアミン化合物は0.01質量部から50質量部の範囲で含まれていることが好ましい。さらには感光性組成物トータル100質量部に対して0.1質量部から10質量部の範囲で含まれていることがさらに好ましい。
本発明に用いる光重合開始剤としては、光重合開始剤としては公知の化合物用いることができる。例えば、有機ホウ素塩、トリハロアルキル置換された化合物(例えばトリハロアルキル置換された含窒素複素環化合物としてs−トリアジン化合物およびオキサジアゾール誘導体、トリハロアルキルスルホニル化合物)、ヘキサアリールビスイミダゾール、チタノセン化合物、ケトオキシム化合物、チオ化合物、有機過酸化物、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩等のオニウム塩等が挙げられる。これらの光重合開始剤の中でも、特に有機ホウ素塩、トリハロアルキル置換化合物が好ましく用いられる。更に好ましくは、有機ホウ素塩とトリハロアルキル置換化合物を組み合わせて用いることである。有機ホウ素塩として、特に下記一般式で示される有機ホウ素アニオンを有する化合物を用いることが好ましい。
Figure 2006039178
式中R5、R6、R7およびR8は各々同じであっても異なっていても良く、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、複素環基を表す。これらの内で、R1、R2、R3およびR4の内の一つがアルキル基であり、他の置換基がアリール基である場合が特に好ましい。
上記の有機ホウ素アニオンは、これと塩を形成するカチオンが同時に存在する。この場合のカチオンとしては、アルカリ金属イオンおよびオニウムイオンが挙げられる。オニウム塩としては、アンモニウム、スルホニウム、∃一ドニウムおよびホスホニウム化合物が挙げられる。アルカリ金属イオンおよびオニウム化合物と有機ホウ素アニオンとの塩を用いる場合には、別に増感色素を添加することで色素が吸収する光の波長範囲での感光性を付与することが行われる。
本発明に係わる好ましい態様の一つとして、有機ホウ素塩を380nm〜1300nmの波長域に増感する増感色素とともに含む感光性組成物であり、この場合の有機ホウ素塩は可視光から赤外光の波長領域に感光性を示さず、増感色素の添加によって初めてこうした波長領域の光に感光性を示すものである。
この場合の有機ホウ素塩としては、先に示した有機ホウ素アニオンを含む塩であり、塩を形成するカチオンとしてはアルカリ金属イオンおよびオニウム化合物が好ましく使用される。特に好ましい例は、有機ホウ素アニオンとのオニウム塩として、テトラアルキルアンモニウム塩等のアンモニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等のスルホニウム塩、トリアリールアルキルホスホニウム塩等のホスホニウム塩が挙げられる。特に好ましい有機ホウ素塩の例を以下に示す。
Figure 2006039178
Figure 2006039178
感光性組成物中に於ける有機ホウ素塩の割合については好ましい範囲が存在し、感光性組成物トータル100質量部において該有機ホウ素塩は0.1質量部から50質量部の範囲で含まれていることが好ましい。
本発明の感光性組成物は、光重合開始剤として上記有機ホウ素塩とともにトリハロアルキル置換化合物を組み合わせて用いるのが好ましい。これらを併用することによって更なる高感度化が実現できる。ここで言うトリハロアルキル置換化合物とは、具体的にはトリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアルキル基を分子内に少なくとも一個以上有する化合物であり、好ましい例としては、該トリハロアルキル基が含窒素複素環基に結合した化合物としてs−トリアジン誘導体およびオキサジアゾール誘導体が挙げられ、或いは、該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環或いは含窒素複素環に結合したトリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。
トリハロアルキル置換した含窒素複素環化合物やトリハロアルキルスルホニル化合物の特に好ましい例を以下に示す。
Figure 2006039178
Figure 2006039178
上記したトリハロアルキル置換化合物を併用する場合、有機ホウ素塩に対する割合としては、有機ホウ素塩1質量部に対してトリハロアルキル置換化合物は0.1質量部から50質量部の範囲で含まれていることが好ましい。
本発明に係わる増感剤については、380nm〜1300nmの波長域において光重合開始剤の分解を増感するものであり、種々のカチオン性色素、アニオン性色素および電荷を有しない中性の色素としてメロシアニン、クマリン、キサンテン、チオキサンテン、アゾ色素等が使用できる。これらの内で特に好ましい例は、カチオン色素としてのシアニン、カルボシアニン、へミシアニン、メチン、ポリメチン、トリアリールメタン、インドリン、アジン、チアジン、キサンテン、オキサジン、アクリジン、ローダミン、およびアザメチン色素から選ばれる色素である。これらのカチオン性色素との組み合わせに於いては特に高感度でかつ保存性に優れるために好ましく使用される。さらには近年380〜410nmの範囲に発振波長を有するバイオレット半導体レーザーを搭載した出力機(プレートセッター)が開発されている。この出力機に対応する高感度である感光系としては増感剤としてピリリウム系化合物やチオピリリウム系化合物を含む系が好ましい。本発明に関わる好ましい増感色素の例を以下に示す。
Figure 2006039178
Figure 2006039178
Figure 2006039178
Figure 2006039178
Figure 2006039178
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本発明は、750nm以上の近赤外から赤外光の波長領域の光に感光性を持たせるのが好ましく、こうした波長領域に吸収を有する増感色素の例を以下に示す。
Figure 2006039178
Figure 2006039178
上記のような増感色素と光重合開始剤との量的な比率に於いて好ましい範囲が存在する。増感色素1質量部に対して光重合開始剤は0.01質量部から100質量部の範囲で用いることが好ましく、更に好ましくは光重合開始剤は0.1質量部から50質量部の範囲で使用することが好ましい。
本発明は高分子結着剤として、側鎖に重合性二重結合を有しかつカルボキシル基含有モノマーを共重合成分として有するポリマーを用いる。該ポリマーはアルカリ可溶性ポリマーであることが好ましい。この場合において共重合体組成中に含まれるカルボキシル基含有モノマーの割合として、トータル組成100質量%中に於いて5質量%以上99質量%以下であることが好ましく、これ以下の割合では共重合体がアルカリ水溶液に溶解しない場合がある。より好ましくは、共重合体組成中に含まれるカルボキシル基含有モノマーの割合は、トータル組成100質量%中に於いて10質量%以上80質量%以下であり、特に20質量%以上70質量%以下が好ましい。また共重合体組成中に含まれる重合性二重結合を有するモノマーの割合は、トータル組成100質量%中に於いて1質量%以上95質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以上80質量%以下であり、特に20質量%以上75質量%以下が好ましい。
上記のカルボキシル基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸2−カルボキシエチルエステル、メタクリル酸2−カルボキシエチルエステル、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、4−カルボキシスチレン等のような例が挙げられる。
ポリマー側鎖に重合性二重結合を導入する場合のモノマーとしては、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ビニルアクリレート、ビニルメタクリレート、1−プロペニル−アクリレート、1−プロペニル−メタクリレート、β−フェニル−ビニル−メタクリレート、β−フェニル−ビニル−アクリレート、ビニルメタクリルアミド、ビニルアクリルアミド、α−クロロ−ビニル−メタクリレート、α−クロロ−ビニル−アクリレート、β−メトキシ−ビニル−メタクリレート、β−メトキシ−ビニル−アクリレート、ビニル−チオ−アクリレート、ビニル−チオ−メタクリレート等が挙げられる。
本発明に用いられるポリマーとして特に好ましくは、ビニル基が置換したフェニル基を側鎖に有し、かつカルボキシ基含有モノマーを共重合成分として有するポリマーである。ビニル基が置換したフェニル基は直接もしくは連結基を介して主鎖と結合したものであり、連結基としては特に限定されず、任意の基、原子またはそれらの複合した基が挙げられる。また、前記フェニル基は置換可能な基もしくは原子で置換されていても良く、また、前記ビニル基はハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等で置換されていても良い。上記した側鎖にビニル基が置換したフェニル基を有する重合体とは、更に詳細には、下記一般式で表される基を側鎖に有するものである。
Figure 2006039178
式中、Z1は連結基を表し、R11、R12、及びR13は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等であり、更にこれらの基は、アルキル基、アミノ基、アリール基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等で置換されていても良い。R4は置換可能な基または原子を表す。n1は0または1を表し、m1は0〜4の整数を表し、k1は1〜4の整数を表す。
上記一般式について更に詳細に説明する。Z1の連結基としては、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−N(R15)−、−C(O)−O−、−C(R16)=N−、−C(O)−、スルホニル基、複素環基、及び下記構造式で表される基等の単独もしくは2以上が複合した基が挙げられる。ここでR15及びR16は、水素原子、アルキル基、アリール基等を表す。更に、上記した連結基には、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
Figure 2006039178
上記複素環基としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の含窒素複素環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、更にこれらの複素環には置換基が結合していても良い。
上記のビニル基が置換したフェニル基を側鎖に有する側を以下に示すが、これらの例に限定されるものではない。
Figure 2006039178
Figure 2006039178
Figure 2006039178
Figure 2006039178
上記一般式で表される基の中には好ましいものが存在する。即ち、R11及びR12が水素原子でR13が水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(メチル基、エチル基等)であるものが好ましい。更に、Z1の連結基としては複素環を含むものが好ましく、k1は1または2であるものが好ましい。
上記一般式で示される基を有し、かつカルボキシ基含有モノマーを共重合成分として有するポリマーの例を下記に示す。式中、数字は共重合体トータル組成100質量%中に於ける各繰り返し単位の質量%を表す。
Figure 2006039178
Figure 2006039178
Figure 2006039178
Figure 2006039178
Figure 2006039178
本発明のポリマーは、更に他のモノマーを共重合体成分として含んでもよい。他のモノマーとしては、スチレン、4−メチルスチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−アセトキシスチレン、4−カルポキシスチレン、4−アミノスチレン、クロロメチルスチレン、4−メトキシスチレン等のスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ドデシル等のメタクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アリールエステル或いはアルキルアリールエステル類、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メトキシジエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸ポリプロピレングリコールモノエステル等のアルキレンオキシ基を有するメタクリル酸エステル類、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸2−ジエチルアミノエチル等のアミノ基含有メタクリル酸エステル類、或いはアクリル酸エステルとしてこれら対応するメタクリル酸エステルと同様の例、或いは、リン酸基を有するモノマーとしてビニルホスホン酸等、或いは、アリルアミン、ジアリルアミン等のアミノ基含有モノマー類、或いは、ビニルスルホン酸およびその塩、アリルスルホン酸およびその塩、メタリルスルホン酸およびその塩、スチレンスルホン酸およびその塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩等のスルホン酸基を有するモノマー類、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール等の含窒素複素環を有するモノマー類、或いは4級アンモニウム塩基を有するモノマーとして4−ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのメチルクロライドによる4級化物、N−ビニルイミダゾールのメチルクロライドによる4級化物、4−ビニルベンジルピリジニウムクロライド等、或いはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、またアクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシエチルアクリルアミド、4−ヒドロキシフェニルアクリルアミド等のアクリルアミドもしくはメタクリルアミド誘導体、さらにはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、フェニルマレイミド、ヒドロキシフェニルマレイミド、酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、プロビオン酸ビニル、酪酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類、またメチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、その他、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール、ビニルトリメトキシシラン、グリシジルメタクリレート等各種モノマーが挙げられる。
本発明に係わるポリマーの分子量については好ましい範囲が存在し、質量平均分子量として1000から100万の範囲にあることが好ましく、さらに5000から50万の範囲にあることがさらに好ましい。
本発明の感光性組成物は、更にエチレン性不飽和化合物を含有するのが好ましい。これを組み合わせることによって更に高感度が実現でき、また印刷性能に優れた平版印刷版を得ることができる。
本発明に係わるエチレン性不飽和化合物としては、分子内に2個以上の重合性二重結合を有する重合性化合物が挙げられる。好ましいエチレン性不飽和化合物の例としては、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルイソシアヌレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールグリセロールトリアクリレート、グリセロールエポキシトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多官能アクリル系モノマーが挙げられる。
或いは、上記の重合性化合物に代えてラジカル重合性を有するオリゴマーも好ましく使用され、アクリロイル基、メタクリロイル基を導入した各種オリゴマーとしてポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等も同様に使用されるが、これらもエチレン性不飽和化合物として同様に好ましく用いることが出来る。
エチレン性不飽和化合物として、更に好ましい態様は、分子内にビニル基が置換したフェニル基を2個以上を有する重合性化合物が挙げられる。該化合物を使用した場合に於いて、発生するラジカルにより生成するスチリルラジカル同士の再結合により効果的に架橋を行うため、高感度のネガ型感光材料を作成する上で極めて好ましい。
分子内にビニル基が置換したフェニル基を2個以上有する重合性化合物は、代表的には下記一般式で表される。
Figure 2006039178
式中、Z2は連結基を表し、R21、R22及びR23は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等であり、更にこれらの基は、アルキル基、アミノ基、アリール基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等で置換されていても良い。R24は置換可能な基または原子を表す。m2は0〜4の整数を表し、k2は2以上の整数を表す。
更に詳細に説明する。Z2の連結基としては、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−N(R25)−、−C(O)−O−、−C(R26)=N−、−C(O)−、スルホニル基、複素環基等の単独もしくは2以上が複合した基が挙げられる。ここでR25及びR26は、水素原子、アルキル基、アリール基等を表す。更に、上記した連結基には、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
上記複素環基としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の含窒素複素環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、これらには置換基が結合していても良い。
上記一般式で表される化合物の中でも好ましい化合物が存在する。即ち、R21及びR22は水素原子でR23は水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(メチル基、エチル基等)で、k2は2〜10の化合物が好ましい。以下に上記一般式で表される化合物の具体例を示すが、これらの例に限定されるものではない。
Figure 2006039178
Figure 2006039178
Figure 2006039178
上記のようなエチレン性不飽和化合物が感光性組成物中に占める割合に関しては好ましい範囲が存在し、全感光性組成物100質量部中においてエチレン性不飽和化合物は1質量部から60質量部の範囲で含まれることが好ましく、さらに5質量部から50質量部の範囲で含まれることが特に好ましい。
本発明の感光性組成物は、空気中の酸素の影響を受けることなく光照射により直ちに硬化し、現像液に不溶性となることから、感光層上にオーバー層を設ける必要が無く、また露光後に何ら加熱処理を行うこと無く、良好に現像および印刷を行うことが出来るという利点も併せ持つ。
感光性組成物を構成する他の要素として重合禁止剤の添加も好ましく行うことが出来る。例えば、キノン系、フェノール系等の化合物が好ましく使用され、ハイドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、カテコール、t−ブチルカテコール、2−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール等のキノン系及びフェノール系化合物、特開平6−161097号、同平10−260529号公報等に記載のN−ニトロソフェニルヒドロキシアミン塩(例えば、セリウム、アルミニウム、アンモニウム等の塩)等が挙げられる。これらの重合禁止剤と先に述べたエチレン性不飽和化合物との好ましい割合は、エチレン性不飽和化合物1質量部に対して0.001から0.1質量部の範囲で使用することが好ましい。
感光性組成物を構成する他の要素として着色剤の添加も好ましく行うことが出来る。着色剤としては露光および現像処理後に於いて画像部の視認性を高める目的で使用されるものであり、カーボンブラック、フタロシアニン系色素、トリアリールメタン系色素、アントラキノン系色素、アゾ系色素等の各種の色素および顔料を使用することが出来、バインダー1質量部に対して0.005質量部から0.5質量部の範囲で好ましく添加することが出来る。
感光性組成物を構成する要素については上述の要素以外にも種々の目的で他の要素を追加して含有することも出来る。例えば感光性組成物のブロッキングを防止する目的もしくは現像後の画像のシャープネス性を向上させる等の目的で無機物微粒子あるいは有機物微粒子を添加することも好ましく行われる。
上述した本発明の感光性組成物は、ネガ型感光性平版印刷版の感光層として好ましく適用することができる。この場合の感光層の厚みは、支持体上に0.5ミクロンから10ミクロンの範囲の乾燥厚みで形成することが好ましく、さらに1ミクロンから5ミクロンの範囲であることが耐刷性を大幅に向上させるために極めて好ましい。感光層は、公知の種々の塗布方式を用いて、支持体上に塗布、乾燥される。支持体としては、紙、合成紙、合成樹脂(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン)をラミネートした紙、プラスチックフイルム(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ナイロン、セルローストリアセテート)、金属板(例、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛、鉄、銅)、これらの金属がラミネートあるいは蒸着された紙やプラスチックフイルムを用いることができる。ネガ型感光性組成物を平版印刷版の製造に用いる場合、好ましい支持体は、アルミニウム板、ポリエチレンテレフタレートフイルム、ポリカーボネートフイルム、紙および合成紙である。また、ポリエチレンテレフタレートフイルム上にアルミニウムシートがラミネートされた複合シートも好ましいが、アルミニウム板が特に好ましい。
本発明のネガ型感光性平版印刷版に用いられるアルミニウム板について、詳細に説明する。本発明に用いられるアルミニウム板の厚みは、0. 1〜0. 6mm程度である。この厚みは印刷機の大きさ、印刷版の大きさおよびユーザーの希望により適宜変更することができる。
アルミニウム板は、通常、より好ましい形状に砂目立て処理される。砂目立て処理方法は、特開昭56−28893号公報に開示されているような機械的砂目立て(機械的粗面化処理)、化学的エッチング、電解グレイン等がある。更に、塩酸電解液中または硝酸電解液中で電気化学的に砂目立てする電気化学的砂目立て法(電気化学的粗面化処理、電解粗面化処理)や、アルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立てするボールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を砂目立てするブラシグレイン法等の機械的砂目立て法(機械的粗面化処理)を用いることができる。これらの砂目立て法は、単独でまたは組み合わせて用いることができる。例えば、ナイロンブラシと研磨剤とによる機械的粗面化処理と、塩酸電解液または硝酸電解液による電解粗面化処理との組み合わせや、複数の電解粗面化処理の組み合わせが挙げられる。
ブラシグレイン法の場合、研磨剤として使用される粒子の平均粒径、最大粒径、使用するブラシの毛径、密度、押し込み圧力等の条件を適宜選択することによって、アルミニウム板表面の長い波長成分の凹部の平均深さを制御することができる。ブラシグレイン法により得られる凹部は、平均波長が3〜15μmであるのが好ましく、平均深さが0.3〜1μmであるのが好ましい。
電気化学的粗面化方法としては、塩酸電解液中または硝酸電解液中で化学的に砂目立てする電気化学的方法が好ましい。好ましい電流密度は、陽極時電気量50〜400C/dm2である。更に具体的には、例えば、0.1〜50質量%の塩酸または硝酸を含む電解液中で、温度20〜100℃、時間1秒〜30分、電流密度100〜400C/dm2の条件で直流または交流を用いて行われる。電解粗面化処理によれば、表面に微細な凹凸を付与することが容易であるため、感光層とアルミニウム板との密着性を向上させるうえでも好適である。
機械的粗面化処理の後の電気化学的粗面化処理により、平均直径約0.3〜1.5μm、平均深さ0.05〜0.4μmのクレーター状またはハニカム状のピットをアルミニウム板の表面に80〜100%の面積率で生成させることができる。なお、機械的粗面化方法を行わずに、電気化学的粗面化方法のみを行う場合には、ピットの平均深さを0.3μm未満とするのが好ましい。設けられたピットは、印刷版の非画像部の汚れにくさおよび耐刷性を向上する作用を有する。電解粗面化処理では、十分なピットを表面に設けるために必要なだけの電気量、即ち、電流と電流を流した時間との積が、重要な条件となる。より少ない電気量で十分なピットを形成できることは、省エネの観点からも望ましい。粗面化処理後の表面粗さは、JIS B0601−1994に準拠してカットオフ値0.8mm、評価長さ3.0mmで測定した算術平均粗さ(Ra)が、0.2〜0.8μmであるのが好ましい。
このように砂目立て処理されたアルミニウム板は、化学エッチング処理をされるのが好ましい。化学エッチング処理としては、酸によるエッチングやアルカリによるエッチングが知られているが、エッチング効率の点で特に優れている方法として、アルカリ溶液を用いる化学エッチング処理が挙げられる。
好適に用いられるアルカリ剤は、特に限定されないが、例えば、カセイソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウムが挙げられる。アルカリエッチング処理の条件は、Alの溶解量が0.05〜1.0g/m2となるような条件で行うのが好ましい。また、他の条件も、特に限定されないが、アルカリの濃度は1〜50質量%であるのが好ましく、5〜30質量%であるのがより好ましく、また、アルカリの温度は20〜100℃であるのが好ましく、30〜50℃であるのがより好ましい。アルカリエッチング処理は、1種の方法に限らず、複数の工程を組み合わせることができる。なお、本発明においては、機械的粗面化処理の後、電気化学的粗面化処理の前にアルカリエッチング処理を行うこともできる。この場合、Alの溶解量は、0.05〜30g/m2とするのが好ましい。
アルカリエッチング処理を行った後、表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗いが行われる。用いられる酸としては、例えば、硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸が挙げられる。特に、電解粗面化処理後のスマット除去処理方法としては、好ましくは特開昭53−12739号公報に記載されているような50〜90℃の温度の15〜65質量%の硫酸と接触させる方法が挙げられる。
また、化学エッチング処理を酸性溶液で行う場合において、酸性溶液に用いられる酸は、特に限定されないが、例えば、硫酸、硝酸、塩酸が挙げられる。酸性溶液の濃度は、1〜50質量%であるのが好ましい。また、酸性溶液の温度は、20〜80℃であるのが好ましい。
以上のように処理されたアルミニウム板には、更に、陽極酸化処理が施される。陽極酸化処理はこの分野で従来行われている方法で行うことができる。具体的には、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等の単独のまたは2種以上を組み合わせた水溶液または非水溶液の中で、アルミニウム板に直流または交流を流すとアルミニウム板の表面に陽極酸化皮膜を形成することができる。
陽極酸化処理の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には電解液濃度1〜80質量%、液温−5〜70℃、電流密度0.5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10〜200秒であるのが適当である。これらの陽極酸化処理の中でも、英国特許第1,412,768号明細書に記載されている、硫酸電解液中で高電流密度で陽極酸化処理する方法が特に好ましい。
本発明においては、陽極酸化皮膜の量は1〜10g/m2であるのが好ましく、1.5〜7g/m2であるのがより好ましく、2〜5g/m2であるのが特に好ましい。粗面化処理の後、電気化学的粗面化処理の前にアルカリエッチング処理を行うこともできる。この場合、Alの溶解量は、0.05〜30g/m2とするのが好ましい。
本発明に用いられるアルミニウム板は、陽極酸化処理が施された後、アルカリ金属ケイ酸塩を含有する処理液で処理されるのが好ましい。該処理液中のアルカリ金属ケイ酸塩の濃度は、SiO2換算で0.5〜10質量%の範囲が好ましく、0.8〜8質量%の範囲がより好ましく、更に1〜6質量%の範囲が好ましい。アルカリ金属ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムが用いられるが、好ましくはケイ酸カリウムである。
アルカリ金属ケイ酸塩を含有する処理液には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物を加えて、該処理液のpHを12〜13.5に上げるのが好ましい。上記のアルカリ金属水酸化物の中でも特に水酸化カリウムが好ましい。該処理液のSiO2/M2O(Mはアルカリ金属を表す)のモル比は、0.5〜3.0の範囲が好ましく、0.8〜2.5の範囲が好ましく、更には1.0〜2.5の範囲が好ましい。
上記のアルカリ金属ケイ酸塩を含有する処理液でアルミニウム板を処理する方法としては、浸漬でもスプレー噴射でも良い。処理液の温度は、5〜80℃程度が適当であるが、好ましくは75℃未満であり、特に65℃以下が好ましい。浸漬する場合の浸漬時間は1〜60秒程度が適当であり、好ましくは3〜50秒の範囲である。
また、本発明では、陽極酸化後、前記アルカリ金属ケイ酸塩を含有する処理液での処理の前に、水蒸気または60℃以上の熱水で封孔処理するのが好ましい。水蒸気または熱水による封孔処理条件は、従来の定法に準じて行うことができる。この封孔処理と本発明のアルカリ金属ケイ酸塩を含有する処理液での処理を組み合わせることによって、更にアルミニウム板と感光層の接着性が向上する。
上記のようにして製造されたアルミニウム板上に感光層を塗設されて得られたネガ型感光性平版印刷版は、各種レーザーで査露光が行われ、露光された部分が架橋することでアルカリ性現像液に対する溶解性が低下することから、後述するアルカリ性現像液により未露光部を溶出することで露光画像のパターン形成が行われる。
本発明に係わるレーザー走査露光に使用する特に好ましいレーザー光源は、近赤外領域に発振波長を有するレーザーであり、各種半導体レーザー、YAGレーザーやガラスレーザー等の固体レーザーが最も好ましい。
本発明に好ましく用いられる現像液のpHは10〜12であり、より好ましくはpH11〜11.8である。現像液のpHは25℃におけるpHである。現像液のpHを10〜12の範囲に調整するためのアルカリ性化合物として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウムのような水酸化テトラアルキルアンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミンのようなアルカノールアミンが挙げられるが、これらの内、特にアルカノールアミン類が好ましい。アルカノールアミンの含有量は、現像液1リットル当たり5〜100gの範囲が好ましく、特に10〜60gの範囲が好ましい。本発明の現像液には、アルカリ金属ケイ酸塩は実質的に含有しないのが好ましい。
現像液には更にアニオン性の界面活性剤を含有するのが好ましく、これによって一段と溶出性が改良される。かかるアニオン性界面活性剤としては、高級脂肪酸硫酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等が挙げられるが、これらの中でもアルキルナフタレンスルホン酸塩が好ましい。アニオン性界面活性剤の含有量は、現像液1リットル当たり1〜50gの範囲が好ましく、特に3〜30gの範囲が好ましい。
現像液には、更にリン酸、リン酸塩等の緩衝剤、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレンテトラミン五酢酸等のキレート剤、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ベンジルアルコール等の各種アルコール類を添加することができる。こうしたアルカリ性現像液を用いて現像処理を行った後に、アラビアガム、デキストリン類等を使用して通常のガム引きが好ましく行われる。
以下実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、効果はもとより本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例中の部は質量部を示す。
実施例1
<アルミニウム板>
砂目立て及び陽極酸化処理が施された厚み0.24mmのアルミニウム板に、90℃の熱水で30秒間の封孔処理を施した後、ケイ酸カリウム溶液による処理を施した。処理条件を以下に示す。尚、下記のケイ酸カリウム水溶液は、多摩化学工業(株)製のものを使用したが、該水溶液に含まれるSiO2は20%で、KOHは10%である。
〈アルカリ金属ケイ酸塩を含有する処理液での処理条件〉
ケイ酸カリウム水溶液150部にKOH20部を加え、水で合計を1000部にした。この処理液のSiO2/K2Oのモル比は1.6である。pHは25℃において12.8である。処理液温度と浸漬時間は、30℃−20秒である。
<近赤外レーザー用ネガ型感光性平版印刷版の作製>
下記の処方による感光性組成液を作成し、ワイアバーを用いて、厚みが0.24mmの砂目立て処理および陽極酸化処理およびケイ酸処理を施した前記アルミ支持体上に乾燥膜厚が3.5ミクロンになるよう塗設し、感光性平版印刷材料を作製した。
<感光性組成液>
重合体(P−1;重量平均分子量約9万) 10質量部
エチレン性不飽和化合物(C−5) 2質量部
光重合開始剤1(BC−6) 2質量部
光重合開始剤2 表1記載の量
増感色素(S−39) 0.4質量部
10%フタロシアニン分散液 0.5質量部
化合物A 表1記載の量
化合物B 表1記載の量
ジオキサン 70質量部
シクロヘキサン 20質量部
上記感光性組成液の光重合開始剤と化合物AおよびBを表1のように変化して、それぞれの感光性平版印刷材料を作製した。
上記のようにして作製した感光性平版印刷材料について、830nm半導体レーザーを搭載した外面ドラム方式プレートセッター(大日本スクリーン製造株式会社製PT−R4000)を使用して、ドラム回転速度600〜1000rpmでレーザー照射エネルギーを種々変化させて露光試験を行った。露光後に自動現像機として大日本スクリーン製造株式会社製PS版用自動現像機PD−912を使用し、下記の現像液を使用して28℃の液温で20秒間現像を行なった。現像後に、解像度パターンが明瞭にアルミ板上に形成されるための最小露光エネルギーを感光性平版印刷材料の感度として求めたところ、比較例の感光性平版印刷材料1および2は600mJ/cm2以上であり、比較例の感光性平版印刷材料3および本発明感光性平版印刷材料4〜11はいずれも200〜300mJ/cm2の高い感度を示した。
<現像液>
N−エチルエタノールアミン 37g
リン酸(85%溶液) 10g
水酸化テトラメチルアンモニウム(25%溶液) 60g
アルキルナフタレンスルホン酸Na(35%溶液) 30g
ジエチレントリアミン5酢酸 1g
水で 1L
pHは11.3(25℃)
〈表1〉
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感光性平版 光重合 化合物 化合物
印刷材料 開始剤2 A B
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1 T-4/1質量部 なし なし 比較例
2 T-4/1質量部 HP-5/2質量部 なし 比較例
3 T-4/1質量部 なし HA-8/2質量部 比較例
4 T-4/1質量部 HP-5/1質量部 HA-8/1質量部 本発明
5 T-4/1質量部 HP-4/1質量部 HA-8/1質量部 本発明
6 T-4/1質量部 HP-2/1質量部 HA-8/1質量部 本発明
7 T-4/1質量部 HP-5/1質量部 HA-5/1質量部 本発明
8 T-4/1質量部 HP-4/1質量部 HA-5/1質量部 本発明
9 T-4/1質量部 HP-2/1質量部 HA-5/1質量部 本発明
10 BS-1/1質量部 HP-5/1質量部 HA-8/1質量部 本発明
11 BS-1/1質量部 HP-4/1質量部 HA-8/1質量部 本発明
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更に、比較例として、表1の感光性平版印刷材料4の組成物のポリマーを、フェノール樹脂(昭和高分子社製のショウノールBRM−565;メタクレゾールとホルマリンの縮合体、平均重合度21〜29)、あるいはメタクリル酸メチル/メタクリル酸/アクリル酸メチル(80/7/13質量比)共重合体(平均質量分子量約6万)に代えた以外は感光性平版印刷材料4と全く同様にして感光性平版印刷材料12及び13を作製した。また感光性平版印刷材料4のHP-5を2,6−ジ−t−ブチルクレゾールに代えた以外は、感光性平版印刷材料4と全く同様にして感光性平版印刷材料14を作成した。
上記比較の感光性平版印刷材料12、13について、上記と同様にして感度を求めたところ、両者とも600mJ/cm2以上であった。また比較例の感光性平版印刷材料14
は200mJ/cm2以下の高い感度を有していた。
次に感光性平版印刷材料1〜14について、40℃5日間加温保管した後、現像時間を20〜40秒の5秒間隔で変化させて同様に処理して製版した。その結果、2〜14の感光性平版印刷材料はいずれも20〜40秒現像処理のいずれにおいても非画像部の溶出不良は全くなかったが、比較例1の印刷板は25秒間の現像で溶出不良が発生した。
上記実施例で作製した感光性平版印刷材料の内、感度が200〜300mJ/cm2の感光性平版印刷材料3〜11、および14について、イエロー蛍光灯下(200ルクスの照度)に10分おきに60分までさらした後、同様にレーザー露光、現像処理(30℃−30秒間)して製版した。このらの試料の非画像部を100倍ルーペで観察し、非画像部の表面に残膜が認められない最長時間をセーフライト時間とした。また感光性平版印刷材料1〜14について40℃で10日間加温保管した後、同様にレーザー露光、現像処理(28℃−20秒間)、下記処方のガム液と塗布して製版し、これらの平版印刷版について、通常のオフセット印刷機を使用して印刷試験を行い、非画像部の地汚れの有無を評価した。地汚れの有無については、印刷開始から1000枚まで印刷を行った際に、印刷物上の白地部分がインキにより地汚れを起こしているか否かにより判定を行った。その結果を表2にまとめた。
<ガム液>
リン酸1カリ 20g
アラビアガム 30g
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.5g
EDTA2Na 1g
水で 1L
〈表2〉
────────────────────────────────────
感光性 セーフライト
平版印刷材料 時間(分) 地汚れ 備考
────────────────────────────────────
1 −− 有り 比較例
2 −− なし 比較例
3 20 なし 比較例
4 60 なし 本発明
5 50 なし 本発明
6 50 なし 本発明
7 60 なし 本発明
8 50 なし 本発明
9 50 なし 本発明
10 60 なし 本発明
11 50 なし 本発明
12 −− −− 比較例
13 −− −− 比較例
14 30 なし 比較例
────────────────────────────────────
表中(−−)は感度が600mJ/cm2以上のため、未実施
通常のオフセット印刷機、インキ及び湿し水を用いて、感光性平版印刷材料1〜14について耐刷力を評価した。耐刷力は、ベタ画像、5%網点、及び細線画像の飛びが発生したときの最大の印刷枚数で評価した。その結果、本発明の感光材料(印刷版)4〜11は、いずれも20万枚の印刷が可能であり、比較例1は20万枚の印刷が可能であったが、比較例2、3および14の耐刷枚数は15万枚であった。比較例12および13の耐刷枚数は5万枚以下であった。
結果として本発明の平版印刷版は、高感度で耐刷性が良好でかつ、優れた保存安定性とセーフライト性を同時に有する。これに対し比較の平版印刷版1は、耐刷性が良好であるが、地汚れが発生し、セーフライト性、保存安定性が不十分であった。また比較例2、3および14については、保存経時後の地汚れの発生は良好であるが、セーフライト性、耐刷性が満足できるものではなかった。比較例12、13については感度、耐刷性が不十分である。
上記実施例より明らかなように、本発明の感光性平版印刷材料を用いることによって、十分な感度を有し、かつ現像安定性、耐刷性およびセーフライト性に優れた感光性平版印刷材料を得ることができる。

Claims (9)

  1. 側鎖に重合性二重結合を有しかつカルボキシル基含有モノマーを共重合成分として有するポリマー、光重合開始剤、380nmから1300nmの波長域において前記光重合開始剤を増感する増感剤、分子内に2個以上のヒンダードフェノール構造を有するヒンダードフェノール系化合物、及びヒンダードアミン系化合物を含有することを特徴とする感光性組成物。
  2. 更にエチレン性不飽和化合物を含有する請求項1に記載の感光性組成物。
  3. 前記光重合開始剤が有機ホウ酸塩である請求項1に記載の感光性組成物。
  4. 更にトリハロアルキル置換化合物を含有する請求項1、2または3に記載の感光性組成物。
  5. 前記トリハロアルキル置換化合物が、トリハロメチル基を有する含窒素複素環化合物またはトリハロメチルスルホニル化合物である請求項4に記載の感光性組成物。
  6. 前記増感剤が750nm以上に吸収を有する増感色素である請求項1に記載の感光性組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の感光性組成物を利用したことを特徴とするネガ型感光性平版印刷材料。
  8. 請求項1〜6のいずれか一つに記載の感光性組成物が、アルカリ金属ケイ酸塩を含有する処理液で処理を施したアルミニウム板上に塗設されたことを特徴とするネガ型感光性平版印刷材料。
  9. 請求項7または8に記載のネガ型感光性平版印刷材料をpHが10から12の範囲内である水性現像液で現像を行うことを特徴とするネガ型感光性平版印刷版材料の処理方法。
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