JP2006038511A - 土壌分析方法及び土壌分析装置 - Google Patents

土壌分析方法及び土壌分析装置 Download PDF

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Abstract

【課題】土壌の光スペクトルから土壌の特性及び成分、土性、タイプ等を高い精度で予測又は推定することができる土壌分析方法及び土壌分析装置を提供する。
【解決手段】土壌分析方法1及び土壌分析装置100で土壌の特性及び成分、土性、タイプ等を予測又は推定する場合、キャリブレーション式作成処理2において、全圃場の全土壌スペクトルをクラスタ分類し、各クラスタの平均スペクトルを算出し、従来法による分析値を参照値として各クラスタに属する土壌スペクトルデータを多変量解析し、各クラスタごとにスペクトルの特徴と成分を関連付けるキャリブレーション式を作成するか、各クラスタの特徴スペクトルと、各クラスタの土壌タイプや土性を関連付けて記憶する。成分予測処理3において、土壌の新規スペクトルと各クラスタの平均スペクトルとの類似度を比較して、検出スペクトルが属するクラスタのキャリブレーション式を使って、土壌成分を特定するか、土壌タイプを特定するか、土性(砂質土、赤土)を判別する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、例えば土壌の光スペクトルから土壌の特性及び成分、土性、タイプ等を予測又は推定する土壌分析方法及び土壌分析装置に関する。
従来の土壌診断は化学分析によるため、結果がでるまで時間と労力を要する。更に、精密農業においては、圃場のバラツキを把握するためには、多くの土壌サンプルの分析が必要であり、実際上、土壌成分分布のマップ化が不可能である。そこで、土壌の光スペクトルを分析し、光スペクトルを多変量解析して迅速に土壌成分を求めるような試みがなされている。しかし、土壌スペクトルを多変量解析して、土壌成分を推定するに際し、圃場内の土壌スペクトル群の形状的特徴が一様でない場合も、無視して、一括して多変量解析していた。その場合は、土壌特性を推定するのに十分な推定精度を確保することが困難であった。また、土壌スペクトル形状と土質情報との関連付けも考慮されていなかった。
上述の土壌特性を求める具体的な方法としては、例えば土壌面をカメラで撮影し、その撮影で得られたカラー画像データに基づいて土壌タイプを決定し、所定波長の反射光強度に基づいて含水比を決定して、土壌タイプと含水比から土壌計測するのに適したモデルと必要な計測データを得るための計測条件を決定する特許文献1の土壌測定装置があるが、土壌面をカメラで撮影して得られたカラー画像データに基づいて土壌タイプを決定する場合は、波長が400nmから800nmのわずかな領域で、しかも、RGBの3原色による解析であるため、様々な土壌特性を推定するのに十分な推定精度を確保することが困難であった。
国際公開番号WO01/04627
この発明は上記問題に鑑み、土壌の検出スペクトルと特徴スペクトルを比較して該検出スペクトルがどの波形群に属するかを特定するか、該検出スペクトルが属する波形群のキャリブレーション式を使って解析することにより、土壌の光スペクトルから土壌の特性及び成分、土性、タイプ等を高い精度で予測又は推定することができる土壌分析方法及び土壌分析装置の提供を目的とする。
請求項1に記載した発明の土壌分析方法は、土壌に光を照射し、その土壌が反射する反射光から得られた土壌スペクトルから該土壌の特性を分析する土壌分析方法において、複数の土壌から得られた土壌スペクトルの波形の集合体から該波形の近似した複数の波形群を生成し、該各波形群における特徴スペクトルを求め、上記特性が新規の土壌から得られた土壌スペクトルと特徴スペクトルを比較することにより土壌の特性を分析することを特徴とする。
この発明に係る分析方法では、光源から投光される光を複数の土壌に照射し、その各土壌が反射する反射光から得られた土壌スペクトルの波形の集合体から、波形の近似した複数の波形群(実施例のクラスタ)を生成して、各波形群の平均である特徴スペクトルを求め、新規の土壌から得られた土壌スペクトルと各波形群の特徴スペクトルを比較して、土壌の特性を分析するものである。また、上述の生成は、例えば最長距離法やニューラルネットワーク法等で構成することができる。
請求項2に記載した発明の土壌分析方法は、土壌に光を照射し、その土壌が反射する反射光から得られた土壌スペクトルから該土壌の特性を分析する土壌分析方法において、複数の土壌から得られた土壌スペクトルの波形の集合体から該波形の近似した複数の波形群を生成し、該各波形群における特徴スペクトルを求めるとともに、各波形群ごとに、該各波形群の要素の土壌成分に対応したキャリブレーション式を作成し、上記特性が新規の土壌から得られた検出スペクトルと特徴スペクトルを比較することにより検出スペクトルがどの波形群に属するかを特定し、検出スペクトルが属する波形群のキャリブレーション式に従って解析し、土壌成分を特定することを特徴とする。
この発明に係る土壌分析方法では、未知又は新規の土壌において、例えば水分や有機物、農薬、窒素、リン酸、カリウム、石灰、鉄、ホウ素、ケイ素、マンガン、マグネシウム、塩分等の土壌成分を判別することができる。
請求項3に記載した発明の土壌分析方法は、土壌に光を照射し、その土壌が反射する反射光から得られた土壌スペクトルから該土壌の特性を分析する土壌分析方法において、複数の土壌から得られた土壌スペクトルの波形の集合体から該波形の近似した複数の波形群を生成し、該各波形群における特徴スペクトルを求めるとともに、各波形群の土壌タイプを関連付けて記憶し、上記特性が新規の土壌から得られた検出スペクトルと特徴スペクトルを比較することにより検出スペクトルがどの波形群に属するかを特定し、土壌タイプを判別することを特徴とする。
この発明に係る土壌分析方法では、未知又は新規の土壌において、例えば重埴土系(重埴土)や埴土系(砂質埴土、軽埴土、シルト質埴土)、壌土系(砂質埴壌土、埴壌土、シルト質埴壌土)、砂土系(壌質砂土、砂土、砂壌土、壌土、シルト質壌土)等の土壌タイプを判別することができる。
請求項4に記載した発明の土壌分析方法は、土壌に光を照射し、その土壌が反射する反射光から得られた土壌スペクトルから該土壌の特性を分析する土壌分析方法において、複数の土壌から得られた土壌スペクトルの波形の集合体から該波形の近似した複数の波形群を生成し、該各波形群における特徴スペクトルを求めるとともに、各波形群の土性を関連付けて記憶し、上記特性が新規の土壌から得られた検出スペクトルと特徴スペクトルを比較することにより検出スペクトルがどの波形群に属するかを特定し、土性を判別することを特徴とする。
この発明に係る土壌分析方法では、未知又は新規の土壌において、例えば砂質土、赤土、壌質土、粘質土、強粘質土等の土性を判別することができる。
請求項5に記載した発明の土壌分析方法は、上記特徴スペクトルは、上記各波形群の平均スペクトルであることを特徴とする。
この発明に係る土壌分析方法では、新規に得られた土壌の新規スペクトルとの類似度を調べるためのデータとして適用し、上述の特性及び成分、土性、タイプ等を予測又は推定することができる。
請求項6に記載した発明の土壌分析装置は、土壌に光を照射する光源と、該光源から照射された光の反射光を検出する検出センサを有する土壌測定装置と、該検出センサにより検出された反射光を分析する分析装置とを備えた土壌分析装置において、上記分析装置は、複数の土壌から得られた土壌スペクトルの波形の集合体から該波形の近似した複数の波形群における特徴スペクトルを記憶する記憶部と、上記検出センサからの検出信号を波形処理して検出スペクトルを生成する検出データ処理部と、上記検出スペクトルと特徴スペクトルを比較して該検出スペクトルに最も類似した特徴スペクトルを特定する演算部とを有することを特徴とする。
この発明に係る土壌分析装置では、土壌測定装置の光源から投光される光を土壌に照射し、その土壌が反射する反射光を検出センサで検出する。検出センサから出力される検出信号を、分析装置の検出データ処理部で波形処理して検出スペクトルを生成し、複数の土壌から得られた土壌スペクトルの波形の集合体から該波形の近似した複数の波形群の平均である特徴スペクトルを求めて記憶部に記憶する。検出データ処理部で生成された検出スペクトルと、記憶部に記憶された特徴スペクトルを演算部で比較して、検出センサで検出した検出スペクトルに最も類似した特徴スペクトルを特定し、土壌の特性を分析するものである。
請求項7に記載した発明の土壌分析装置は、上記記憶部に、上記各波形群ごとに該各波形群の要素の土壌成分に対応したキャリブレーション式が記憶されていることを特徴とする。
この発明に係る土壌分析装置では、新規の土壌から得られた検出スペクトルと、記憶部に記憶された特徴スペクトルを比較して、検出スペクトルがどの波形群に属するかを特定し、検出スペクトルが属する波形群のキャリブレーション式に従って解析し、土壌成分を特定する。
請求項8に記載した発明の土壌分析装置は、上記記憶部に、上記各波形群の特徴スペクトルに関連付けられた土壌タイプが記憶されていることを特徴とする。
この発明に係る土壌分析装置では、新規の土壌から得られた検出スペクトルと、記憶部に記憶された特徴スペクトルを比較して、検出スペクトルがどの波形群に属するかを特定し、土壌タイプを判別する。
請求項9に記載した発明の土壌分析装置は、上記記憶部に、上記各波形群の特徴スペクトルに関連付けられた土性が記憶されていることを特徴とする。
この発明に係る土壌分析装置では、新規の土壌から得られた検出スペクトルと、記憶部に記憶された特徴スペクトルを比較して、検出スペクトルがどの波形群に属するかを特定し、土性を判別する。
この発明によれば、土壌の特性及び成分、土性、タイプ等の予測精度を改善できる他に、明らかに複数の土質から構成される圃場においても、土壌の光スペクトルから土壌の特性及び成分、土性、タイプ等を高い精度で予測又は推定することができる。また、全く新規の土壌でも既存の最適なキャリブレーション式を選択することにより、土壌成分を予測又は推定することができる。また、土壌スペクトル形状と土壌タイプや土性とを関連付けることより、土壌の光スペクトルから新規の圃場の土壌タイプや土性を推定することができる。以上、土壌成分分布マップ化が容易となり、圃場に最適な施肥や必要最小限の農薬を散布する等の営農管理が可能で、環境保全と経済効率の両立が可能となる。
この発明の土壌分析方法及び土壌分析装置は、土壌の光スペクトルから土壌の特性及び成分、土性、タイプ等を高い精度で予測又は推定することができるという目的を、土壌の検出スペクトルと特徴スペクトルを比較して該検出スペクトルがどの波形群に属するかを特定するか、該検出スペクトルが属する波形群のキャリブレーション式を使って解析することで達成することができる。
この発明の一実施の形態を以下図面に基づいて詳述する。
図面は、土壌の光スペクトルから土壌の特性及び成分、土性、タイプを予測又は推定することができる土壌分析方法及び土壌分析装置を示し、図1において、土壌分析方法1は、キャリブレーション式作成処理2と、成分予測処理3とで構成される。
上述のキャリブレーション式作成処理2は、全土壌スペクトルをクラスタ分類するステップ2aと、各クラスタの平均スペクトルを算出するステップ2bと、従来法による分析値を出力するステップ2cと、その分析値を参照値として多変量解析するステップ2dと、各クラスタごとにスペクトルの特徴と成分を関連付けるキャリブレーション式を作成するステップ2eとで構成される。
前述の成分予測処理3は、新規に測定した土壌の新規スペクトルと、ステップ2bで算出した各クラスタの平均スペクトルとの類似度を調べ、新規スペクトルの所属するクラスタを探索するステップ3aと、新規スペクトルの土壌成分を、ステップ2eで作成した所属するクラスタのキャリブレーション式を使って算出するステップ3bとで構成される。
上述の土壌分析方法1により土壌の特性及び成分を予測又は推定する方法を説明する。
先ず、図1に示すキャリブレーション式作成処理2のステップ2aにおいて、後述する土壌測定装置101でデータ収集された複数の圃場における全波形の集合体である全土壌スペクトル(図2参照)を、そのスペクトル形状に従ってクラスタ分類(図3参照)する。
図2は横軸に光の波長、縦軸に吸光度を示し、土壌測定装置101から照射された光がどれだけ土壌に吸収されたかを示すものである。図3は全土壌スペクトル形状をクラスタ分類したもので、類似度略0.78で全土壌スペクトル形状を8つのクラスタ(波形群)に分類できることを示している。
次に、ステップ2bにおいて、上述のステップ2aで分類された各クラスタ(又は波形群)の平均スペクトルを算出(図5参照)する。
次に、ステップ2c,2dにおいて、従来法による分析値を参照値として、上述のステップ2aで分類された各クラスタに属する土壌スペクトルデータを多変量解析する。
次に、ステップ2eにおいて、上述のステップ2dで解析したデータに基づいて、各クラスタごとにスペクトルの特徴と成分を関連付けるキャリブレーション式を作成する。
土壌測定装置101で新規に測定した土壌スペクトルから成分を予測又は推定する場合、成分予測処理3のステップ3aにおいて、新規に得られた土壌の新規スペクトルと、ステップ2bで算出した各クラスタの平均スペクトルとの類似度を調べ、新規スペクトルの所属するクラスタを探索する。
次に、ステップ3bにおいて、ステップ3aで探索された新規スペクトルが所属するクラスタに基づいて、ステップ2eで作成された新規スペクトルのクラスタが所属するキャリブレーション式を使って、新規スペクトルの成分を算出する。
また、個別圃場ごとにキャリブレーションを作成する場合は、ステップ2aのクラスタ分類において、全スペクトルの代わりに目的圃場の土壌スペクトルに適用すればよい。なお、上述の土壌スペクトルのクラスタ分類の方法は、上記の実施例では、最長距離法による。
また、クラスタ分類は、ニューラルネットワーク法でもよいが、この場合は、あらかじめ、各土壌スペクトルに対する最適な土壌分類結果により、ニューラルネットワークの入出力の関係を学習させる必要がある。
上述の土壌分析装置100は、図9に示すように、地表面200下の土壌に向けて光を照射する光源102及び土壌が反射する反射光を検出する検出センサ103を有する土壌測定装置101と、その検出センサ103により検出された反射光を分析する分析装置104とを備えている。
上述の土壌測定装置101は、例えばトラクターや自動車等の走行車に搭載され、圃場内の地表面200に沿って走行移動しながら、光源102…から投光される光を地表面200下の土壌に照射し、その土壌が反射する反射光を検出センサ103で検出して、その検出した検出データを検出データ処理部105に出力する。また、土壌測定装置101を、作業者の手で走行移動させることもできる。
前述の分析装置104は、検出センサ103から出力される検出信号を波形処理して検出スペクトルを生成する検出データ処理部105と、複数の土壌から得られた土壌スペクトルの波形の集合体である全土壌スペクトルから該波形の近似した複数のクラスタの平均である特徴スペクトルを記憶する記憶部106と、検出データ処理部105で生成された検出スペクトルと記憶部106に記憶された特徴スペクトルを比較して、検出センサ103で検出した検出スペクトルに最も類似した特徴スペクトルを特定する演算部107とを有している。
また、記憶部106は、検出センサ103で検出した検出データと、各クラスタの要素の土壌成分に対応したキャリブレーション式と、各クラスタの特徴スペクトルに関連付けられた土壌タイプ及び土性と、位置検出装置108で検出した位置情報とを記憶している。
また、演算部107は、記憶部106に記憶されたデータと、位置検出装置108で検出された位置情報とに基づいて、圃場内における土壌成分や土壌タイプ、土性を測定位置ごとに判別する。
また、位置検出装置108は、土壌測定装置101による測定動作と略対応して圃場の場所や圃場内における土壌成分の測定位置を検出し、土壌成分分布のマップを作成するのに必要な位置情報を演算部107に出力する。
また、ディスプレイ109は、土壌測定装置101による測定動作と略対応して、圃場内における土壌タイプや土性、位置情報等を作業者の目で読取り可能に表示する。
つまり、土壌測定装置101の光源102…から投光される光を土壌に照射し、その土壌が反射する反射光を検出センサ103で検出する。分析装置104には、複数の土壌から得られた土壌スペクトルの波形の集合体から該波形の近似した複数のクラスタの平均である特徴スペクトルが記憶部106に記憶されている。検出データ処理部105で生成された検出スペクトルと、記憶部106に記憶された特徴スペクトルを演算部107で比較して、検出センサ103で検出した検出スペクトルに最も類似した特徴スペクトルを特定し、記憶部106に記憶された検出スペクトルが属するクラスタのキャリブレーション式を使って、土壌成分を特定するか、検出スペクトルと特徴スペクトルを比較して、土壌タイプや土性を判別する。なお、記憶部106に複数の圃場の全土壌スペクトルをデータベースとしてもち、その都度特徴スペクトルを演算しても良い。
次に、実施例の土壌分析方法1と従来の土壌分類法を比較する方法として、土壌測定装置101で測定した可視領域から近赤外領域(略400nmから略2500nm)のスペクトルから雑音を多く含む波長域を除いた略650nmから略2250nm(解像度2nm)のスペクトルパターンを供試データとして適用し、後述する波形の集合体である全土壌スペクトル波形を作成した。
図2は、全圃場における全土壌スペクトル(例えば近赤外スペクトル)の測定結果を示し、測定値の略650nmから略1300nmあたりまでの傾き又は曲線が有機物(SOM)の含量と相関があると思われる。生成したデータベースではおよそ3種類のスペクトル波形が確認された。
そのスペクトルパターンは、全体としては可視領域から近赤外領域にかけて減衰し、水分吸収帯である略1500nm付近と、略2000nm付近で凸のピークをもつ特徴的な形を示した。
また、水分吸収帯である略1950nm付近での吸収強度にも圃場ごとに特徴があることが確認された。さらに、NO3の吸収帯である略2250nmにおいても凸型ピークの有無というスペクトル波形の違いが確認された。つまり、これらの測定結果を動機にしてスペクトルパターンごとに土壌分類を試みた。
なお、全スペクトルに対して、微細なノイズ除去のためにSavitzky-Golay(11次)フィルタを適用して平滑化している。また、クラスタ分析におけるリンク方法は、complete法、base-shiftを適用した。
調査領域では可視領域から近赤外領域にかけての吸収強度の減衰傾向が3種類に大別されるなど、スペクトルパターンの特徴的な相違が確認された。
図3は、上述の結果に鑑み、測定結果から得られた全圃場の全データ(データベース)をクラスタ分析した分類結果を示すデンドログラムであるスペクトルパターンのクラスタ分析を実施した結果、例えばクラスタ分類による分類数を「8」に設定した場合、渥美(Atsumi)が2種類、豊橋(Toyohashi)が2種類、北海道(Hokkaido)が2種類、熊本(Kumamoto)が3種類のクラスタ数に分類することができる。また、豊橋と北海道の一部が同一クラスタに分類されるような現象が生じた。これは、異なる土壌でありながらスペクトルパターンに類似性があることを示唆している。
また、対象区のうち一筆で2種類の土性(砂質土、赤土)を有している圃場(渥美市タバコ畑)においてパターンに基づく分類で記述できたことを確認した。
この結果は、土壌測定装置101を用いた場合、実時間レベルで圃場の土性の違いが記述できる可能性があることを示唆している。さらに、スペクトルで分類されたクラスタごとにPLS解析を用いて、水分、有機物含量について推定した結果、1圃場単位の推定に比べて予測精度が向上することも確認した。
なお、本願発明の土壌分析方法1における解析対象土壌サンプルは、黒ボク土壌(熊本県)、粘性系土壌(北海道小麦)、砂質系土壌(愛知県豊橋市、渥美市)の4箇所から約400点を採取したものを使用した。水分と有機物含量を土壌分析し、同時に、可視領域から近赤外領域(略400nmから略2500nm)の吸光度スペクトルを収集した。
図4は、圃場の一例である渥美圃場の各クラスタに所属する土性の分布を示し、対象区のうち1つの圃場内で2種類の土性(砂質土、赤土)を有している場所(図中左から右にかけて傾斜有り、傾斜角度不明)で取得したスペクトルのクラスタ解析した結果、渥美圃場は2分類され、図に示す「1」が砂質土、「2」が赤土の領域と一致しているという結果が得られた。また、渥美における分類結果をスペクトルパターンに基づくクラスタ分析で土性(砂質土、赤土)の相違を記述することができた。
図5は、上述の図3においてクラスタ分類した渥美圃場における砂質土(Sandy clay Ave)と赤土(Rad soil Ave)のクラスタごとの平均スペクトルを示し、ステップ3aの成分予測時において、新規に得られた土壌の新規スペクトルとの類似度を調べるためのデータとして適用する。
図6は、1圃場1検量線とクラスタごとの検量線による有機物(SOM)の予測誤差比較を示し、有機物(SOM)の予測精度が高まっていることがわかる。
図7は、1圃場1検量線と、クラスタごとの検量線による水分(MC)の予測誤差比較を示し、上述の有機物(SOM)と同様に、水分(MC)の予測精度が高まっていることがわかる。
図8は、全圃場における予測精度の比較を示す。上述の分類結果を評価するために、各クラスタに対してPLS解析を適用し、水分(MC)と有機物(SOM)の予測誤差を求めた。
評価対象として1圃場1検量線の場合での予測誤差を比較し、その予測精度を評価した結果、各圃場における水分(MC)と有機物(SOM)の予測値が「0」に近いほど、実際の測定値と予測値の誤差が小さく、予測精度が高まっていることは明らかである。また、同一圃場においても土性(砂質土、赤土)の分類が可能であることがわかった。
以上のように、複数の土壌から得られた全土壌スペクトルをクラスタ分類してなる平均の特徴スペクトルと、新規の土壌から得られた検出スペクトルとを比較して、検出スペクトルが属するクラスタのキャリブレーション式を使って土壌成分を特定するので、土壌成分の予測精度を改善できる他に、明らかに複数の土質から構成される圃場においても、土壌の光スペクトルから土壌の特性及び成分分布を高い精度で予測又は推定することができる。また、全く新規の土壌でも既存の最適なキャリブレーション式を選択することにより、土壌成分を予測又は推定することができる。以上、土壌成分分布マップ化が容易となり、圃場に最適な施肥や必要最小限の農薬を散布する等の営農管理が可能で、環境保全と経済効率の両立が可能となる。
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の波形群は、実施例のクラスタに対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
上述の土性分析は、煩雑で経験と時間を要するが、土壌スペクトル形状と土性や土壌タイプとを関連付けることより、土壌の光スペクトルから新規の圃場の土性や土壌タイプを高い精度で予測又は推定できる。また、多変量解析は、PLS解析やニューロ理論でもよい。
キャリブレーション作成と成分予測手順を示す構成図。 全圃場の全スペクトルを示す波形図。 スペクトルデータをクラスタ分類したデンドログラムを示す説明図。 渥美圃場の各クラスタに所属する土性を示す分布図。 渥美圃場の各クラスタの土性の平均スペクトルを示す分析図。 有機物(SOM)の予測誤差を示す比較図。 水分(MC)の予測誤差を示す比較図。 全圃場における予測精度又は予測誤差の比較を示す比較図。 土壌分析装置による分析方法を示す構成図。
符号の説明
1…土壌分析方法
2…キャリブレーション式作成処理
3…成分予測処理
100…土壌分析装置
101…土壌測定装置
102…光源
103…検出センサ
104…分析装置
105…検出データ処理部
106…記憶部
107…演算部

Claims (9)

  1. 土壌に光を照射し、その土壌が反射する反射光から得られた土壌スペクトルから該土壌の特性を分析する土壌分析方法において、
    複数の土壌から得られた土壌スペクトルの波形の集合体から該波形の近似した複数の波形群を生成し、該各波形群における特徴スペクトルを求め、
    上記特性が新規の土壌から得られた土壌スペクトルと特徴スペクトルを比較することにより土壌の特性を分析することを特徴とする土壌分析方法。
  2. 土壌に光を照射し、その土壌が反射する反射光から得られた土壌スペクトルから該土壌の特性を分析する土壌分析方法において、
    複数の土壌から得られた土壌スペクトルの波形の集合体から該波形の近似した複数の波形群を生成し、該各波形群における特徴スペクトルを求めるとともに、各波形群ごとに、該各波形群の要素の土壌成分に対応したキャリブレーション式を作成し、
    上記特性が新規の土壌から得られた検出スペクトルと特徴スペクトルを比較することにより検出スペクトルがどの波形群に属するかを特定し、検出スペクトルが属する波形群のキャリブレーション式に従って解析し、
    土壌成分を特定することを特徴とする土壌分析方法。
  3. 土壌に光を照射し、その土壌が反射する反射光から得られた土壌スペクトルから該土壌の特性を分析する土壌分析方法において、
    複数の土壌から得られた土壌スペクトルの波形の集合体から該波形の近似した複数の波形群を生成し、該各波形群における特徴スペクトルを求めるとともに、各波形群の土壌タイプを関連付けて記憶し、
    上記特性が新規の土壌から得られた検出スペクトルと特徴スペクトルを比較することにより検出スペクトルがどの波形群に属するかを特定し、
    土壌タイプを判別することを特徴とする土壌分析方法。
  4. 土壌に光を照射し、その土壌が反射する反射光から得られた土壌スペクトルから該土壌の特性を分析する土壌分析方法において、
    複数の土壌から得られた土壌スペクトルの波形の集合体から該波形の近似した複数の波形群を生成し、該各波形群における特徴スペクトルを求めるとともに、各波形群の土性を関連付けて記憶し、
    上記特性が新規の土壌から得られた検出スペクトルと特徴スペクトルを比較することにより検出スペクトルがどの波形群に属するかを特定し、
    土性を判別することを特徴とする土壌分析方法。
  5. 上記特徴スペクトルは、上記各波形群の平均スペクトルであることを特徴とする請求項1ないし4に記載の土壌分析方法。
  6. 土壌に光を照射する光源と、該光源から照射された光の反射光を検出する検出センサを有する土壌測定装置と、該検出センサにより検出された反射光を分析する分析装置とを備えた土壌分析装置において、
    上記分析装置は、複数の土壌から得られた土壌スペクトルの波形の集合体から該波形の近似した複数の波形群における特徴スペクトルを記憶する記憶部と、
    上記検出センサからの検出信号を波形処理して検出スペクトルを生成する検出データ処理部と、
    上記検出スペクトルと特徴スペクトルを比較して該検出スペクトルに最も類似した特徴スペクトルを特定する演算部とを有することを特徴とする土壌分析装置。
  7. 上記記憶部に、上記各波形群ごとに該各波形群の要素の土壌成分に対応したキャリブレーション式が記憶されていることを特徴とする請求項6記載の土壌分析装置。
  8. 上記記憶部に、上記各波形群の特徴スペクトルに関連付けられた土壌タイプが記憶されていることを特徴とする請求項6記載の土壌分析装置。
  9. 上記記憶部に、上記各波形群の特徴スペクトルに関連付けられた土性が記憶されていることを特徴とする請求項6記載の土壌分析装置。
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