図1は、本発明に係る原稿自動読取装置が適用された画像形成装置の一実施形態を示す斜視図である。なお、図1において、X−X方向を幅方向、Y−Y方向を前後方向といい、特に−X方向を第1側方、+X方向を第2側方、−Y方向を前方、+Y方向を後方という。図1には、画像形成装置10として複写機、ファクシミリ装置、およびプリンタとしての機能を有する、いわゆる複合機を示している。
かかる画像形成装置10は、箱形を呈する装置本体11の上部に、原稿Pからその画像を読み取る原稿自動読取装置20と、画像形成処理に対して各種の条件を入力する入力部12を備えているとともに、装置本体11内における原稿自動読取装置20より下方位置には、原稿自動読取装置20によって搬送された原稿Pの画像を読み取る原稿読取部13と、この原稿読取部13が読み取った原稿情報に基づき画像を形成する画像形成部と、この画像形成部によって形成され、用紙に転写された画像に定着処理を施す定着部と、転写用の用紙を貯留する用紙貯留部14とが内装されている。
前記原稿読取部13は、装置本体11内でコンタクトガラス131(図2)を介して原稿自動読取装置20と対向配置された光学系ユニット16を備えている。コンタクトガラス131としては、載置された原稿Pの原稿面を読み取るための、原稿自動読取装置20より若干小さい平面形状を有する載置原稿用コンタクトガラス131aと、自動給紙された原稿Pの原稿面を読み取る前後方向に長尺の細長い自動給紙用コンタクトガラス131bとが採用されている。
前記原稿自動読取装置20は、二段構造で構成され、上段に設けられた原稿Pを載置するための原稿トレイ32と、下段に設けられた画像読み取り済の原稿Pが排出される排出トレイ33とを有している。原稿自動読取装置20の第1側方側部には、原稿トレイ32と排出トレイ33との間に介設された後述の原稿送り部が形成され、この原稿送り部に設けられた原稿送り機構によって原稿トレイ32上に載置された原稿束P1から1枚ずつがピックアップされて自動給紙用コンタクトガラス131へ供給され、移動しながらこの自動給紙用コンタクトガラス131を介して光学系ユニット16によリ原稿面が読み取られるようになっている。
光学系ユニット16は、図略の光源や複数のミラー、レンズユニット、さらにはCCD(charge coupled device)等を有している。そして、光源からの光が原稿面で反射され、この反射光がこれらミラーおよびレンズユニットを介して原稿情報としてCCDに入力されるようになっている。CCDに入力されたアナログ量としての原稿情報は、デジタル信号に変換され、デジタルの原稿情報として所定の記憶装置に記憶されるようになっている。
前記画像形成部は、用紙貯留部14から給紙された用紙にトナー画像を形成させるものであり、本実施形態では、上流側から下流側へ向けて順次配設されたイエロー用ユニットと、マゼンタ用ユニットと、シアン用ユニットと、ブラック用ユニットとを有している。
各ユニットには、感光体ドラムおよび現像装置がそれぞれ備えられている。各感光体ドラムは回転しつつ対応した現像装置からトナーの供給を受けるようになっている。
各感光体ドラムには帯電部がそれぞれ対向配置されているとともに、露光部がそれぞれ設けられている。そして、各感光体ドラムは、前記帯電部によって周面が一様に帯電され、原稿自動読取装置20で入力された画像データに基づくレーザー光が前記各露光部から帯電後の感光体ドラムの周面に照射されることにより、各感光体ドラムの周面に静電潜像が形成されるようになっている。かかる静電潜像に現像装置からトナーが供給されることにより、感光体ドラムの周面にトナー像が形成されるようになっている。
また、各感光体ドラムには感光体ドラムの周面の残留トナーを除去してクリーニングするが対向配置されている。クリーニング装置によって清浄化処理された感光体ドラムの周面は、新たな帯電処理のために帯電部へ向かうことになる。
各感光体ドラムの下方位置には、搬送面が各感光体ドラムと対向するように配設された搬送ベルトが設けられている。この搬送ベルトは、ブラック用ユニットの若干下流側に設けられた駆動ローラと、イエロー用ユニットの若干上流側に設けられた従動ローラとに掛け回され、駆動ローラの駆動回転駆動によって周回するようになっている。そして、用紙貯留部14から供給された用紙は、この搬送ベルトの周回に誘導されて感光体ドラムの周面に当接しながら移動し、転写処理が施されるようになっている。
前記定着部は、画像形成部で転写された用紙上のトナー像に対し定着処理を施すものであり、上下で対向配置されたヒートローラと加圧ローラとを備えている。搬送ベルトの周回によって画像形成部から導出された転写処理済の用紙は、これらヒートローラおよび加圧ローラ間で加熱されつつ押圧挟持されることによる熱処理でトナー画像が定着され、用紙上に安定したカラー画像が形成される。定着処理の完了したカラー画像付の用紙は、排紙搬送路を通って装置本体11の第1側方側壁から突設された排紙トレイ15へ向けて排出される。
前記用紙貯留部14は、装置本体11に挿脱自在に装着された複数段の用紙トレイ151を有している。各用紙トレイ151には、それぞれ用紙束が貯留されるようになっている。そして、選択された用紙トレイ151の用紙束からピックアップローラの駆動で用紙が1枚ずつ繰り出され、給紙搬送路を通って画像形成部へ導入されるようになっている。
前記入力部12は、パネルボード121を有している。パネルボード121の上面には、略中央位置に液晶からなる表示パネル122が設けられているとともに、この表示パネル122の第2側方側にテンキー123が配列されている。また、このテンキー123の第2側方側にはスタートボタン124が設けられているとともに、前記テンキー123の第1側方側にはモード切換えキー125が設けられている。また、パネルボード121の第2側方側部の上方位置には、電源スイッチ126が設けられている。
前記表示パネル122は、各種の入力情報や出力情報を液晶表示したり、表示された処理条件の内で選択したものについてタッチイン操作で入力したりするものである。また、前記テンキー123は、コピー枚数などの主に数量情報を設定するためのものである。
前記モード切換えキー125は、画像形成装置10のモードを切り換えるためのものであり、本実施形態においては、画像形成装置10を複写機として使用するときに押下されるコピーキー125aと、プリンタとして使用するときに押下されるプリンタキー125bと、スキャナとして使用するときに押下されるスキャナキー125cとからなっている。前記スタートボタン124は、画像形成装置10に対する各種の処理条件が設定された状態で押下されるものであり、この押下によって設定された処理条件に沿う画像形成処理が実行されることになる。なお、パネルボード121には、これら表示パネル122、テンキー123、スタートボタン124、モード切換えキー125および電源スイッチ126の他にも、必要に応じて各種のキーやボタンが設けられる。
以下、図2〜図5を基に、必要に応じて図1を参照しながら本発明に係る原稿自動読取装置20について説明する。図2および図3は、原稿自動読取装置20の一実施形態を示す正面視の断面図であり、図2は、上部フレーム51および中間フレーム41が閉止された状態、図3は、上部フレーム51および中間フレーム41の双方が開放された状態をそれぞれ示している。また、図4は、図2および図3に示す原稿自動読取装置20の背面視の断面図であり上部フレーム51が半開きになった状態を示している。さらに、図5は、フレームロック構造を説明するための正面視の断面図である。なお、図2〜図5におけるXによる方向表示は、図1の場合と同様(−Xが第1側方を示し、+Xが第2側方を示す)である。
図2および図3に示すように、原稿自動読取装置20は、装置本体11(図1)の上面に図略の蝶板を介して開閉自在に装着される本体フレーム部30と、この本体フレーム部30の第1側方位置に積み重ね状態で形成された中間フレーム部40および上部フレーム部50とを備えた基本構成を有している。
前記本体フレーム部30は、装置本体11の第1側方側に形成された第1側方に向かって先下がりの本体フレーム31と、この本体フレーム31の第2側方端の上縁部から第2側方へ向けて延設された、原稿束P1を載置するための原稿トレイ32と、同下縁部から原稿トレイ32と対向して延設された、画像読み取り済みの原稿Pが排出される排出トレイ33とを備えている。原稿トレイ32に載置された原稿束P1から1枚ずつが中間フレーム部40と上部フレーム部50との間に取り込まれ、本体フレーム31と中間フレーム部40との間を通過しつつ原稿画像が前記自動給紙用コンタクトガラス131bを介して光学系ユニット16(図1)により読み取られるようになっている。
前記中間フレーム部40は、本体フレーム31の上面に対向配置された中間フレーム41と、この中間フレーム41の第1側方側に設けられた搬送ローラ42とを備えて構成されている。搬送ローラ42は、中間フレーム41に設けられた原稿搬送方向と直交する原稿幅方向に延びるローラ軸421回りに回転可能に軸支されている。中間フレーム41には、搬送ローラ42の他にその上部の第2側方端側に下部捌きローラ43が設けられているとともに、この下部捌きローラ43と搬送ローラ42との間に下部レジストローラ44が設けられている。前記搬送ローラ42、下部捌きローラ43および下部レジストローラ44等で本発明に係る原稿取込部が構成されている。
そして、自動給紙用コンタクトガラス131bと搬送ローラ42の周面との間には、原稿Pの表面側の画像を読み取る第1読取部21が形成されているとともに、中間フレーム41の下部における搬送ローラ42の第2側方側と前記本体フレーム31の上面との間には、原稿Pの裏面側の画像を読み取る第2読取部22が形成されている。第2読取部22は、中間フレーム41に取り付けられた、発光素子および受光素子等を備えた画像読取部材45と、本体フレーム31においてこの画像読取部材45と対向配置された押圧ローラ34とを備えて構成され、原稿Pがこれら画像読取部材45と押圧ローラ34との間を通過するに際し、原稿Pの裏面側が画像読取部材45によって読み取られるようになっている。
また、中間フレーム41の第2側方端側の下部には上部排出ローラ46が設けられている一方、本体フレーム31の第2側方端側の上部には上部排出ローラ46と対向した下部排出ローラ35が設けられ、画像の読取処理が終わった原稿Pは、これら一対の排出ローラ35,46の駆動で排出トレイ33上に排出されるようになっている。
かかる中間フレーム41は、ローラ軸421回りに正逆回動可能に軸支され、これによって、本体フレーム31に当接した図2に示す横臥姿勢と、本体フレーム31上で起立した起立姿勢との間で姿勢変更可能になっている。
前記上部フレーム部50は、蓋の役割を果たす正面視でL字状を呈した上部フレーム51と、この上部フレーム51の曲折部分に設けられた原稿案内板52と、上部フレーム51の先端側に設けられたピックアップローラ53と、このピックアップローラ53の下流側に設けられた図2における左右一対の上部捌きローラ54と、これら一対の上部捌きローラ54間に張設された捌きベルト55と、上部フレーム51の基端部に一体に形成された円弧状ギヤ(上部フレーム側ギヤ)56とを備えて構成されている。
前記上部フレーム51は、その基端部が本体フレーム31の第1側方側に設けられた後述する一対の軸支板317(図6)に架設されたローラ軸421に回動自在に軸支され、図2に示す閉止姿勢と、図3に示す開放姿勢との間で姿勢変更可能になっている。なお、上部フレーム51の開閉動作は、後に詳述するように、中間フレーム41の開閉動作と連動するように構成され、これによって上部フレーム51が閉止姿勢に姿勢設定された状態で中間フレーム41は横臥姿勢に姿勢設定される一方、上部フレーム51が開放姿勢に姿勢設定された状態で中間フレーム41は起立姿勢に姿勢設定されるようになっている。
前記原稿案内板52は、原稿自動読取装置20内に取り込まれた原稿Pを、その上部で案内するものであり、上部フレーム51が閉止姿勢に姿勢設定された状態で、この原稿案内板52と中間フレーム41の上面との間に原稿Pを通過させる隙間が形成されるように設置位置が設定されている。そして、この原稿案内板52と中間フレーム41の上面との間、搬送ローラ42の第1側方側の外周面および中間フレーム41の下面と本体フレーム31の上面との間に原稿Pを搬送するU字状を呈したU字搬送路23が形成されている。
前記ピックアップローラ53は、原稿トレイ32上に載置された原稿束P1の最上位のものを繰り出して下部捌きローラ43と捌きベルト55との間に送り込むものであり、これらの間に送り込まれた原稿Pは、下部捌きローラ43の軸心回りの回転と捌きベルト55の上部捌きローラ54間の周回とに誘導されつつU字搬送路23へ向けて送り出されるようになっている。そしてU字搬送路23へ送り出された原稿Pは、搬送ローラ42の駆動で搬送ローラ42の周面へ供給され、この搬送ローラ42のローラ軸421回りの反時計方向に向かう回転によって当該搬送ローラ42の周面に巻き付いた状態で折り返され、第1読取部21および第2読取部22を通って上部排出ローラ46から排出トレイ33へ排出されることになる。
また、本実施形態においては、閉止姿勢に姿勢設定された上部フレーム51は、図5に示すようなロック部材60によって閉止姿勢がロックされるようになっている。このロック部材60は、上部フレーム51の第2側方側の前縁面(図5の紙面の表側の面)に支軸611回りに回動自在に軸支されたフック片61と、このフック片61の下端に形成されたフック部612が外嵌状態で係合する、本体フレーム31と一体の所定の立設板311から外方に向かって突設された係合突起62と、前記フック片61を操作するための操作レバー63とを備えて構成されている。
そして、本体フレーム31が閉止姿勢に姿勢設定されることにより、フック片61のフック部612が係合突起62の係合し、これによって本体フレーム31の閉止姿勢がロックされる一方、操作レバー63の所定の操作でフック片61を係合突起62から外すことにより、本体フレーム31のロック状態が解消され、これによって本体フレーム31を開放姿勢に姿勢変更させ得るようになっている。
そして、本発明においては、本体フレーム31、中間フレーム41および上部フレーム51に互いに連携して動作する姿勢変更機構80が搬送ローラ42を駆動させる駆動機構70との関連で設けられ、この姿勢変更機構80の作用で上部フレーム51の姿勢変更操作に連動して中間フレーム41も姿勢変更するようになっている。以下、この姿勢変更機構80について、図6および図7を基に詳細に説明する。
図6および図7は、駆動機構70および姿勢変更機構80の一実施形態を示す一部切り掻き斜視図であり、図6は、上部フレーム51が閉止姿勢に姿勢設定されるとともに、中間フレーム41が横臥姿勢に姿勢設定された状態、図7は、上部フレーム51が開放姿勢に姿勢設定されるとともに、中間フレーム41が起立姿勢に姿勢設定された状態をそれぞれ示している。なお、図6および図7では、姿勢変更機構80の構成に欠くことができない部品を除いては、簡素化するかあるいは省略して描いている。また、図6および図7におけるXおよびYによる方向表示は、図1の場合と同様である。
まず、駆動機構70について説明する。駆動機構70は、駆動モータ71と、この駆動モータ71の駆動軸711に同心で一体的に外嵌された駆動ギヤ72と、この駆動ギヤ72に噛合するように支持軸721に同心で一体的に外嵌された第1アイドルギヤ73と、この第1アイドルギヤ73に一体で隣接された前記支持軸721と同心の第2アイドルギヤ74と、この第2アイドルギヤ74と噛合するように前記ローラ軸421に同心で一体的に外嵌された入力ギヤ(中間フレーム側ギヤ)75とを備えて構成されている。
前記駆動モータ71は、前記本体フレーム31の後縁部から後方(+Y方向)に向かって突設された幅方向に長尺の水平板312上であって、当該水平板312の後縁部から立設された後壁板313におけるローラ軸421より若干第1側方側に寄った位置に固定されている。また、前記水平板312上における前記搬送ローラ42と対向した位置には、ローラ軸421を支持するための軸支板314が立設されている。この軸支板314には、ローラ軸421を貫通させるための上下に延びた長孔315が穿設され、これによって搬送ローラ42は、ローラ軸421を介して昇降可能になっており、周面が自動給紙用コンタクトガラス131bと略密着した下方位置と、周面が自動給紙用コンタクトガラス131bから離間した上方位置との間で位置変更し得るようになっている。
また、前記駆動軸711は、その前端側(−Y側)が軸支板314に貫通されているとともに、前記支持軸721は、前後の段歩が軸支板314および後壁板313にそれぞれ貫通され、これによって駆動軸711および支持軸721は所定の位置に安定して配設された状態になっている。
前記軸支板314の底板314aには、コイルスプリング(付勢手段)316に支持された軸支板317が設けられている。この軸支板317は、前記ローラ軸421を軸受けするものであり、軸支板314と入力ギヤ75との間に介設され、コイルスプリング316の付勢力で上方に向けて付勢されている一方、上部フレーム51の前後の縁部には、軸支板317を下方に向けて押圧する押圧部511が設けられ、上部フレーム51が、図6に示すように、閉止姿勢に姿勢設定された状態で、当該押圧部511が軸支板317をコイルスプリング316の付勢力に抗して下方に押圧し、これによってローラ軸421は、長孔315の下方に位置するとともに、入力ギヤ75が第2アイドルギヤ74に噛合するようになっている。
そして、図6に示す上部フレーム51が閉止姿勢に姿勢設定された状態で駆動モータ71が駆動されることにより軸心回りに回転する駆動軸711の駆動回転は、駆動ギヤ72、第1アイドルギヤ73、第2アイドルギヤ74および入力ギヤ75を介して減速状態でローラ軸421に伝達され、このローラ軸421の軸心回りの回転によって当該ローラ軸421と一体の搬送ローラ42が回転することになる。これに対し、上部フレーム51が開放姿勢に姿勢設定された状態では、図7に示すように、押圧部511が軸支板317の押圧を解除した状態になっているため、ローラ軸421は、コイルスプリング316の付勢力により軸支板317を介して上昇し、これによって入力ギヤ75の第2アイドルギヤ74に対する噛合が解除されるようになっている。
前記姿勢変更機構80は、上部フレーム51の基端側の前後縁部に設けられた前記円弧状ギヤ56と、ローラ軸421に一体に取り付けられた前記入力ギヤ75と、前記円弧状ギヤ56に噛合するとともに、前記入力ギヤ75に対して離接する第3アイドルギヤ(アイドルギヤ)81と、前記ローラ軸421に同心で一体に取り付けられた、中間フレーム41の後板411と摺接するクラッチギヤ82と、上部でこのクラッチギヤ82と対向して後板411に固定されたクラッチピース83とを備えて構成されている。
前記円弧状ギヤ56は、前記駆動軸711より第1側方側に寄った位置で後壁板313および軸支板314間に架設されたフレーム軸561回りに回動自在に軸支されている。また、この円弧状ギヤ56と噛合する前記第3アイドルギヤ81は、フレーム軸561より上方位置で後壁板313および軸支板314間に架設されたアイドル軸811回りに回転自在に軸支されている。したがって、上部フレーム51をフレーム軸561回りに正逆回動させて開閉することにより、円弧状ギヤ56と噛合している第3アイドルギヤ81がアイドル軸811回りに正逆回転することになる。
かかる第3アイドルギヤ81を軸支するアイドル軸811は、上部フレーム51が、図6に示すように、閉止姿勢に姿勢設定された状態(すなわち、入力ギヤ75が下方位置に位置設定された状態)で入力ギヤ75との噛合が解除される一方、上部フレーム51が開放され始めると(すなわち、軸支板317に対する押圧部511の押圧が解消されて入力ギヤ75がコイルスプリング316の付勢力により上方位置に移行すると)、入力ギヤ75と噛合するように設置位置が設定されている。
したがって、上部フレーム51が閉止された状態では、入力ギヤ75の回転が第3アイドルギヤ81に伝達されることがないのに対し、上部フレーム51が開放され始めると、第3アイドルギヤ81の回転が入力ギヤ75へ伝達されることになる。
一方、前記中間フレーム41の後板411には、前記軸支板314の長孔315に対向した長孔412が穿設され、ローラ軸421がこの長孔412に貫通されている。そして、この長孔412は、中間フレーム41が横臥姿勢(図6)に姿勢設定されることにより中間フレーム41の後板411が本体フレーム31と干渉した状態で、ローラ軸421が当該長孔412の下方に位置するように穿設位置が設定されている。
そして、前記クラッチピース83は、かかる長孔412の上方位置であって、クラッチギヤ82から若干離間した位置における後板411に、クラッチギヤ82と噛合し得る係止歯を下方に向けて固定されている。
したがって、上部フレーム51が閉止されることにより中間フレーム41が横臥姿勢に姿勢設定された状態(図6)では、クラッチギヤ82がクラッチピース83と噛合していないことにより、ローラ軸421が中間フレーム41と縁切り状態で回転可能になっているのに対し、上部フレーム51が開放され始めると、ローター421がコイルスプリング316の付勢力によって上昇されることによってクラッチギヤ82がクラッチピース83と噛合し、これによってローラ軸421がクラッチギヤ82およびクラッチピース83を介して中間フレーム41と一体化することになる。
そして、上部フレーム51の開放動作が継続されることにより、円弧状ギヤ56のフレーム軸561回りの回動が、第3アイドルギヤ81、入力ギヤ75、ローラ軸421ならびにクラッチギヤ82およびクラッチピース83を介して中間フレーム41に伝達されるため、中間フレーム41がローラ軸421回りに図6における時計方向に一体回転し、これによって上部フレーム51が開放姿勢に姿勢設定された状態で、中間フレーム41は、図7に示すように、起立姿勢に姿勢設定されることになる。
これとは逆に、開放姿勢に姿勢設定されている上部フレーム51(図7)を閉止すると、円弧状ギヤ56がフレーム軸561回りに反時計方向に回動し、この回動は、第3アイドルギヤ81、入力ギヤ75、ローラ軸421ならびにクラッチギヤ82およびクラッチピース83を介して中間フレーム41に伝達され、これによって中間フレーム41は、ローラ軸421回りに反時計方向に回動し、元の横臥姿勢に姿勢変更されることになる。
以上詳述したように、本発明に係る原稿自動読取装置20は、原稿束P1が載置される原稿トレイ32と、この原稿トレイ32上の原稿束P1から原稿Pを1枚ずつ取り込む搬送ローラ42、下部捌きローラ43および下部レジストローラ44等を備えてなる原稿取込部と、この原稿取込部が取り込んだ原稿Pを反転させて搬送する搬送ローラ42と、この搬送ローラ42によって搬送されつつある原稿Pの画像を読み取る原稿画像読取部(第1および第2読取部21,22)と、画像の読み取られた原稿Pが排出される排出トレイ33とが本体フレーム31に装備されてなるものである。
したがって、原稿取込部の駆動により原稿トレイ32上に載置されている原稿束P1から1枚ずつが原稿自動読取装置20内に取り込まれた原稿Pは、搬送ローラ42の駆動回転に誘導されて搬送され、反転されつつ第1読取部21および第2読取部22で表裏面の画像が読み取られたのち排出トレイ33へ排出される。
そして、原稿自動読取装置20内で原稿詰りによるジャムが発生した場合や、通常のメンテナンス作業を行うに際しては、上部フレーム51が開放されるとともに中間フレーム41も開放されるが、中間フレーム41は、搬送ローラ42の回転中心位置に設けられたローラ軸421回りに回動可能に軸支されているとともに、上部フレーム51は、搬送ローラ42の外方位置で本体フレーム31に設けられたフレーム軸561回りに回動可能に軸支されている(すなわち、各フレーム41,42は異なった軸(ローラ軸421およびフレーム軸561)に軸支されている)ため、上部および中間フレーム51,41の双方が開放された状態で、両フレーム41,51間には軸支される軸が異なっている分メンテナンス用の広い空間を確保することが可能になり、これによって従来の同軸である場合に比較し、ジャム解消作業やメンテナンス作業の作業性を向上させることができる。
また、上部フレーム51の開閉動作に連動して中間フレーム41を起立姿勢と横臥姿勢との間で姿勢変更させる姿勢変更機構80が設けられているため、上部フレーム51を開放するだけで中間フレーム41は姿勢変更機構80の作用により上部フレーム51の開放動作と連動して横臥姿勢から起立姿勢に姿勢変更するため、中間フレーム41に対して開放操作を行わなくてもよい分作業性を向上させることができる。
また、姿勢変更機構80は、フレーム軸561と同心で上部フレーム51に一体に設けられた円弧状ギヤ56と、ローラ軸421と同心で中間フレーム41に一体に設けられた入力ギヤ75と、この入力ギヤ75および円弧状ギヤ56との双方に噛合する第3アイドルギヤ81とを備えて構成されているため、上部フレーム51を開放することによる円弧状ギヤ56のフレーム軸561回りの回動は、第3アイドルギヤ81を介して入力ギヤ75に伝達され、入力ギヤ75は、ローラ軸421回りに円弧状ギヤ56と同一方向に回動するため、この入力ギヤ75と一体の中間フレーム41も同一方向に回動し、これによって両フレームを同時に開放状態にすることができる。
このように、姿勢変更機構80としてギヤ機構を採用することにより、従来のような両者を係止して連結する係止部材を採用した場合に比較し、中間フレーム41は、上部フレーム51の開閉動作に連続的に追随して姿勢変更するため、中間フレーム41の姿勢変更をよりスムーズに行うことができる。また、ギヤ比を適切に設定することによって中間フレーム41の開放角度を状況に応じて所望のものにすることが可能であり、設計上の自由度を向上させることができる。
そして、入力ギヤ75は、第3アイドルギヤ81と噛合する上部位置(図7)と、第3アイドルギヤ81との噛合が解除される下部位置(図6)との間で昇降可能に構成され、上部フレーム51が閉止姿勢に姿勢設定された状態で下部位置に位置設定される一方、上部フレーム51が開放姿勢に向かい始めることにより上部位置に位置変更されるように構成されているため、普段は、第3アイドルギヤ81と縁切り状態で入力ギヤ75が駆動モータ71の駆動回転を搬送ローラ42に伝達する役割を担う一方、上部フレーム51を開放するメンテナンス作業時には、第3アイドルギヤ81と噛合して上部フレーム51の開放動作と連動し、これによって中間フレーム41が起立姿勢に姿勢変更することになる。
このように入力ギヤ75は、上部フレーム51の開閉動作に中間フレーム41の開閉動作を連動させる連動用と、搬送ローラ42をローラ軸421回りに回転させる駆動モータ71の駆動力伝達用とで兼用されているため、それぞれ別のギヤを採用する場合に比較し、ギヤを1つ節約することができ、その分部品点数の削減に貢献することができる。
また、入力ギヤ75は、フレーム軸561を軸支する軸支板317を介してコイルスプリング316により上部位置に向けて付勢されているとともに、上部フレーム51が閉止されることによる当該上部フレーム51と軸支板317との干渉で下部位置に設定されるように構成されているため、普段、入力ギヤ75は、上部フレーム51が閉止されることによる当該上部フレーム51と軸支板317との干渉でコイルスプリング316の付勢力に抗して下部位置に設定されているため、第3アイドルギヤ81との噛合が解除されているのに対し、上部フレーム51が開放されることによって干渉が解除されると、入力ギヤ75がコイルスプリング316の付勢力によって第3アイドルギヤ81に噛合するため、中間フレーム41は、上部フレーム51の開放動作に連動して横臥姿勢から起立姿勢に姿勢変更することができる。
そして、フレーム軸561を軸支する軸支板317を介して入力ギヤ75を上部位置へ付勢する付勢手段としてコイルスプリング316を採用することにより、入力ギヤ75の第3アイドルギヤ81に対する噛合および噛合解除の構造を簡単なものにすることができる。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
(1)上記の実施形態においては、姿勢変更機構80として中間フレーム41をローラ軸421と一体回動させるための中間フレーム41と一体のクラッチピース83およびローラ軸421と一体のクラッチギヤ82を採用し、ローラ軸421の昇降によるクラッチギヤ82とクラッチピース83との接離によって中間フレーム41を上部フレーム51の開閉操作と同伴させたり、ローラ軸421を駆動モータ71の搬送ローラ42に対する駆動力伝達用として使用したりするようになされているが、こうする代わりに、外軸の軸心位置に内軸を同心で嵌入した、いわゆる二重軸を採用し、駆動モータ71の駆動力は内真に伝達する一方、外軸を中間フレーム41の姿勢変更用として中間フレーム41に一体的に接合した状態で、入力ギヤ75を中間フレーム41の姿勢変更専用のものとして使用し、この入力ギヤ75に上部フレーム51に開閉動作が伝達されるようにしてもよい。
かかる二重軸方式の姿勢変更機構を採用すれば、クラッチギヤ82およびクラッチピース83を設けなくてもよい分部品点数の削減に貢献し、部品コストの低減化に貢献することができる。
(2)上記の実施形態においては、原稿自動読取装置20に第2読取部22が設けられているが、本発明は、原稿自動読取装置20に第2読取部22を設けることに限定されるものではなく、特に第2読取部22を設けなくてもよい。
(3)上記の実施形態においては、本発明に係る原稿自動読取装置20が適用される画像形成装置10として複写機、ファクシミリ装置およびプリンタとしての機能を備えた、いわゆる複合機が採用されているが、本発明は、原稿自動読取装置20が採用される画像形成装置が複合機であることに限定されるものではなく、複写機、ファクシミリ装置およびプリンタのそれぞれの機能のみを利用する、いわゆる単能機に原稿自動読取装置20を適用してもよい。
(4)上記の実施形態においては、本発明に係る原稿自動読取装置20が適用される画像形成装置10として、いわゆるカラー印刷が可能なものが採用されているが、本発明は、画像形成装置10がから印刷用のものであることに限定されるものではなく、白黒のモノトーン印刷用のものであってもよい。