JP2006036315A - 合成樹脂製パレット - Google Patents

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Abstract

【課題】トラックの荷台の奥側に位置するパレットを引き出す際に、市販のパレットプーラーを使用して引き出すことのできる合成樹脂製パレットを提供する。
【解決手段】 上面板状体2と一体成形された桁4のうち、中間に位置する中間桁4cの両側面に、フォーク挿入口9の近傍で、上下方向に亘って凸部19が形成されており、これがパレットプーラー用の係止部となる。この凸部19を形成する中間桁4cの側面部20の肉厚は、パレットプーラーをチャッキングさせて引っ張る際に受ける力を考慮して、他の桁4a、4bの側面部の肉厚よりも厚くすることが好ましく、さらに凸部19を有する中間桁4cの内部には他の仕切り壁のピッチよりも細かいピッチで仕切り壁18を形成することも好ましい。
【選択図】 図5

Description

本発明は、種々の物品を運搬及び保管する際などに使用される合成樹脂製パレットであり、フォークリフトやパレットトラック等を使用することができる合成樹脂製パレットに関する。
従来、物品を運搬又は保管する際に使用されるパレットとして、木製の二方差しパレットや四方差しパレット(JIS Z 0604 1989)、あるいは、これらのパレットを合成樹脂によって製造した二方差しの合成樹脂製パレットや四方差しの合成樹脂製パレット(JIS Z 0606 1993)が提供されている(例えば、非特許文献1参照)。
これらのパレットは、木製や合成樹脂製にかかわらず、互い平行に配置された上面板状体及び下面板状体と、上面板状体及び下面板状体を連結する複数の桁とから構成される両面使用のものや片面使用のもの、あるいは上面板状体に複数の桁を有する単面形の二方差しパレットや四方差しパレット等、種々のパレットがある。
ところで、上述のような種々のパレット上に物品を載せてトラック積みされた荷物を荷受けする際に、トラックの荷台からフォークリフトで荷下ろしするのが一般的である。
例えば、上面板状体の寸法が1100mm×900mmの大きさであって、且つ、900mm側にのみフォーク挿入口を有する二方差しパレットをトラック輸送する場合、通常は、輸送効率、積み卸し作業性等の観点から側面開閉式バン型車を利用することが多く、この場合の荷台幅寸法は一般的に約2340mmであるため、二方差しパレットをトラックの荷台に対して対向する側面より二列並べて積載することが可能である。
しかしながら、小口配送などで中型車以下のトラック(2〜3トン車)を使用した場合は、トラックの荷台幅寸法が小さく、且つ、トラックの後部にのみ扉のある後方開閉式が一般的であることから、このようなトラックに積載されたパレットを荷下ろしするには、トラック後部の扉を開放してフォークリフトで荷下ろしすることになる。
上記中型車以下のトラックに複数のパレット積みされた荷物を積み込む場合には、まず、最初の1パレット分をトラック荷台の端部寄りに載置して、次にパレットを差し込んだ状態で最初に積載されたパレットの側面を利用してトラックの荷台の奥に押し込むことが行われる。
ところが、トラック荷台の奥側(運転席寄り)に押し込まれたパレットをフォークリフトで荷下ろしするためには、一旦、奥側にあるパレットをトラック荷台の後方(トラック後部の扉付近)まで引き出す作業が必要となる。
この作業には、市販されているパレットプーラー(図10参照)といわれる先端部に爪状部分を有する特殊な掴み金具が使用されている。また、別の形状のパレットプーラーでは、滑りを防止するために掴み金具にスパイク状の突起が取り付けられたものもある(例えば、特許文献1、非特許文献2参照)。
そして、木製パレットの場合には、この爪状部分やスパイク状部分をフォーク挿入口近傍の中間部の桁の側面に食い込ませるようにして挟持し、パレットプーラーに取り付けられたロープやチェーン等をフォークリフトに繋ぐ等して、トラックの荷台端部まで引っ張り出す作業が行われている(図11参照)。
しかしながら、合成樹脂製パレットでは、木製パレットの場合のように爪状部分やスパイク状部分が食い込むことがなく、また、上述の種々の合成樹脂製パレットの桁の側面はいずれも平面状であるため、パレットプーラーで前述の作業を行おうとしても爪状部分やスパイク状部分と中間桁側面との間で滑りが発生してしまうことから引き出すことができないばかりでなく、中間桁の側面を傷つけてしまうことから合成樹脂製パレットの強度を低下させてしまうという問題もあった。
社団法人 日本パレット協会 「2004 ユニットロード年鑑 パレットデータ・ブック」、平成16年1月31日、p157−193 特開2000−143143号公報(第1図) "クランプ一覧"、[平成16年7月27日検索]、インターネット<URL:http://www.hhhmfg.co.jp/pages/syouhin/kura/kura.html>
本発明は、トラックの荷台の奥側に位置するパレットを引き出す際に、市販のパレットプーラーを使用して引き出すことのできる合成樹脂製パレットを提供することを目的とするものである。
本発明による合成樹脂製パレットは、中間桁の側面にパレットプーラーの爪状部分やスパイク状部分が引っ掛かるような係止部を設けることにより、上記課題を解決するものである。
すなわち、本発明は、少なくとも上面板状体と中間桁を有する合成樹脂製パレットにおいて、フォーク挿入口近傍の中間桁の側面に、パレットプーラー用の係止部を有することを特徴とする合成樹脂製パレットを提供するものである。
本発明の合成樹脂製パレットによれば、従来は木製パレットのみにしか適応できなかった市販のパレットプーラーであっても使用することができ、荷物の小口配送に使用される2〜3トンクラスのトラックから荷下ろしする際に奥側のパレットを荷台の後方まで簡便に引き出すことができる。
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。図1は本発明の合成樹脂製パレットの一実施形態である二方差し合成樹脂製パレット1の上面から見た斜視図であり、図2は下面から見た斜視図である。
また、図3は図1に示すA−A間の断面図であり、図4は図1に示すB−B間の断面図である。図5は、図3に示すC−C間の断面図であり、図6は図3に示すD−D間の断面図である。
なお、図7は図1に示す二方差し合成樹脂製パレット1側面図であり、図8は正面図である。
図9は他の実施形態である合成樹脂製パレットのフォーク挿入口近傍の中間桁の部分拡大図である、
図1〜3等に示す二方差し合成樹脂製パレット1は、全体として矩形の箱形に形成されており、互いに平行に配置された合成樹脂製パレットの表面部を形成する上面板状体2及び合成樹脂製パレットの裏面部を形成する下面板状体3と、上面板状体2及び下面板状体3を連結する複数の桁4(両側面部の桁4a、4bと中間桁4c)とを有している。
この桁4の内部には、例えば、桁の高さと同じ高さの仕切り壁18が50〜80mmピッチで設けられており、これにより、フォークリフトのフォーク及びパレットトラックが桁側面に衝突した時でも桁壁が破損することを防止できるような構造となっている。
合成樹脂製パレットは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂からなり、上面板状体2と桁4の上部が一体に成形されてなる上面型部材5と、下面板状体3と桁4の下部が一体に成形されてなる下面型部材6とを熱溶着させて形成される。
この上面型部材5の内側面及び下面型部材6の内側面には、強度を確保するための補強リブ7が縦横に配列して設けられおり、大小複数の矩形室部8がそれぞれ形成されている。
また、図4〜6に示すように、側面部の桁4aと中間桁4c、側面部の桁4bと中間桁4cとの間には、フォークリフトのフォーク又はパレットトラックを挿入するためのフォーク挿入口9が形成されている。
なお、図1に示すように、上面板状体2の外側面(積載面)は荷物が安定した状態で載せられるように平滑に形成されており、この積載面には、積載された荷物の滑り防止のためにフォークリフトのフォーク及びパレットトラックの挿入方向に直交してオレフィン系エラストマーからなる帯状の滑り止め材10が熱溶着され、ほぼ等間隔で複数形成されている。さらに、上面板状体2には複数の角穴11が設けられており、空になった合成樹脂製パレットを持ち運ぶ時や、積み重ねて保管する際の把手が形成されている。
また、図1、図2、図5に示すように、上面板状体2のフォーク挿入口9から中の方に入った箇所には、フォークリフトのフォークやパレットトラック上でパレットが滑り難くなるように、オレフィン系エラストマーからなる円柱状の滑り止め材12が上面板状体2に圧入嵌着されて内側に1〜2mm程度突出するように複数個取り付けられている。
さらに、図2、図3に示すように、下面板状体3にはパレットトラックの車輪が落ち込むための開口部13が形成されており、フォーク挿入口9の入り口側及び開口部13に面する側の端部はいずれも傾斜面14を有し、フォークリフトのフォーク及びパレットトラック挿入時の衝突に対する衝撃を緩和させることができる構造となっている。これにより合成樹脂製パレットの破損を防止し、且つ、パレットトラックの車輪の乗り上げを滑らかにすることで抜き差しの作業性が向上する。
本発明の合成樹脂製パレットには、図4、図5に示すように、上面板状体2と一体成形された桁4のうち、中間に位置する中間桁4cの両側面に、フォーク挿入口9の近傍で、上下方向に亘って凸部19が形成されており、これがパレットプーラー用の係止部となる。
この凸部19を形成する中間桁4cの側面部20の肉厚は、パレットプーラーをチャッキングさせて引っ張る際に受ける力を考慮して、他の桁4a、4bの側面部の肉厚よりも厚くすることが好ましく、さらに凸部19を有する中間桁4cの内部には他の仕切り壁のピッチよりも細かいピッチで仕切り壁18を形成することも好ましい。
また、上面板状体2の裏面側にある中間桁4cの両側の補強リブ7の延長上に位置する箇所でパレットプーラーの爪状部分やスパイク状部分が係止されるように凸部19を設けることも好ましい。この場合、パレットプーラーをチャッキングして引っ張る際に受ける力が厚肉の側面部20と仕切り壁18と補強リブ7によって分散されるため、チャッキング力に対してさらに強度を確保することが可能となるからである。
この係止部の他の実施形態としては、例えば、図9(a)に示すように、パレットプーラー用の係止部を中間桁4cの両側面に対して凹部21としたり、(b)に示すように、複数の凹凸部22としたりすることも可能である。
また、中間桁4cを分離して間隙23を有するようにして、この間隙23をパレットプーラー用の係止部とすることも可能である。なお、この場合には、パレットプーラーの爪状部分やスパイク状部分が接する面は間隙23を構成する面(図9(c)において、下側の面)となるために、中間桁4cの内部に補強のための仕切り壁18を形成する際には、フォークの挿入方向と平行方向に複数の仕切り壁18をピッチを細かくして形成することが好ましい。
また、フォークやパレットトラックの爪がフォーク挿入口9から挿入される際に凸部が損傷を受け難くなるように、あるいはパレットプーラーの爪状部分やスパイク状部分が係止し易いように、(d)に示すような傾斜面を有するような凸部24を係止部とすることも好ましい。
両側端部の桁4aと4bの側面には、使用者の表示のための印刷及びラベルを貼り付けた場合に、側面が擦れて傷付くことを防止するための凹部17が広い範囲で形成されている。
次に、上述した二方差し合成樹脂製パレット1の製造方法について説明する。一般的に、合成樹脂製パレットは射出成形方法によってポリプロピレン、ポリエチレン、あるいはそれらのリサイクル原料を全量又は適量混合して、上面型部材5及び下面型部材6をそれぞれ別々に成形し、各々成形された上面型部材5及び下面型部材6を熱溶着することで形成することができる。
具体的には、パレットプーラーの係止部を形成するような上面型部材5及び下面型部材6の金型を用意し、該金型内に前記した溶融プラスチック材を適正量充填する。
なお、金型内に溶融プラスチック材を充填した直後に当該溶融プラスチック材中にガスを注入することにより、上面板状体2及び下面板状体3の各補強リブ7内部に中空部を形成して、パレットの軽量化を図ることもできる。
注入されたガスは冷却工程中、金型内で加圧保持されることになり、これによって、冷却過程で発生する収縮による成形歪みが小さく、表面が平滑な上面型部材5及び下面型部材6、及び、パレットプーラーの係止部が形成された中間桁4cが得られる。
冷却固化後に金型から脱型した上面型部材5及び下面型部材6は、それぞれの内面側が対向するように重ね合わせ、双方の桁部の接合面同士を熱溶着して一体化した後、溶着時に接合面からはみ出した溶着バリをカッターで削り取る。
さらに、上面板状体2にオレフィン系エラストマーからなる積載物との滑り止め部材12を円筒状に形成された孔に圧入嵌着した後、表面部に複数形成された溝内に帯状の滑り止め材10を熱で溶融させながら接着する。同様に、下面型部材6にも帯状の滑り止め材15を貼りつける。
なお、この例による二方差し合成樹脂製パレット1の裏面部には、パレットトラックが挿入される際にパレットトラックの先端に取り付けられた車輪が落ち込むための開口部13が4ヶ所に設けられている。
また、下面板状体3の側端部には、パレットトラックの挿入に際して抵抗を少なくするために傾斜面14(又は傾斜リブ14)が形成されており、パレットトラックの車輪がそれぞれの下面板状体3に乗り上げやすいような構造となっている。
以上の工程により二方差し合成樹脂製パレット1は製造されるが、四方差し合成樹脂製パレットも同様の工程で製造することができる。さらに、上述の貼り合わせによる合成樹脂製パレットであっても、また、一体成形による合成樹脂製パレットであっても製造することができる。
なお、四方差し合成樹脂製パレットの場合には、桁は隅部の4箇所、中間桁は4箇所、中央桁が1箇所で、それぞれ独立して設けられていることから、いずれかの中間桁にロープやワイヤー等を巻き付けて引っ張ることもできるが、本発明のようにパレットプーラー用の係止部を設けることにより、簡便に荷下ろしすることができる。
本発明に係わる合成樹脂製パレットの実施形態を表す合成樹脂製パレット表面の斜視図である。 本発明に係わる合成樹脂製パレットの実施形態を表す合成樹脂製パレット裏面の斜視図である。 本発明に係わる合成樹脂製パレットの実施形態を説明するための図1に示すA−A間の断面図である。 本発明に係わる合成樹脂製パレットの実施形態を説明するための図1に示すB−B間の断面図である。 本発明に係わる合成樹脂製パレットの実施形態を説明するための図3に示すC−C間の断面図である。 本発明に係わる合成樹脂製パレットの実施形態を説明するための図3に示すD−D間の断面図である。 本発明に係わる合成樹脂製パレットの実施形態を表す合成樹脂製パレットの側面図である。 本発明に係わる合成樹脂製パレットの実施形態を表す合成樹脂製パレットの正面図である。 本発明に係わる合成樹脂製パレットの他の実施形態を説明するための部分拡大図である。 市販のパレットプーラーの模式図である。 図10に示すパレットプーラーを使用して木製パレットを引っ張り出す際の模式図である。
符号の説明
1 合成樹脂製パレット
2 上面板状体
3 下面板状体
4a、4b 側面部の桁
4c 中間桁
5 上面型部材
6 下面型部材
7 補強リブ
9 フォーク挿入口
10、15 滑り止め材
18 仕切り壁
19 凸部(パレットプーラー用の係止部)
20 中間桁の側面部
21 凹部(パレットプーラー用の係止部)
22 凹凸部(パレットプーラー用の係止部)
23 間隙(パレットプーラー用の係止部)
24 傾斜面を有する凸部(パレットプーラー用の係止部)

Claims (6)

  1. 少なくとも上面板状体と中間桁を有する合成樹脂製パレットにおいて、フォーク挿入口近傍の中間桁の側面に、パレットプーラー用の係止部を有することを特徴とする合成樹脂製パレット。
  2. 該パレットプーラー用の係止部が凸部である請求項1に記載の合成樹脂製パレット。
  3. 該パレットプーラー用の係止部が凹部である請求項1に記載の合成樹脂製パレット。
  4. 該パレットプーラー用の係止部が間隙である請求項1に記載の合成樹脂製パレット。
  5. 該パレットプーラー用の係止部が傾斜面を有する凸部である請求項1に記載の合成樹脂製パレット。
  6. 該パレットプーラー用の係止部を有する位置近傍の該中間桁の内部には他の仕切り壁のピッチよりも細かいピッチの仕切り壁を形成した請求項1〜5のいずれかに記載の合成樹脂製パレット。

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