以下、添付の図面に基づいて、本発明による画像処理方法、画像処理装置、プログラムおよびインク・ジェット・プリンタの実施の形態の一例を詳細に説明するものとする。
ここで、図3には、本発明による画像処理方法の第1の実施の形態を実現するインク・ジェット・プリンタの一例を示す概略構成説明図が示されており、図4には、図3のZ矢視図に対応し図3の要部を模式的に示した説明図が示されている。
このインク・ジェット・プリンタにおいて用いられるメディアは、メディアの幅方向(なお、本明細書においては、当該メディアの幅方向を、「主走査方向」と適宜称することとする。)において所定の長さを有するとともに、主走査方向と直交する方向、即ち、メディアの長手方向に搬送されるようになされている。なお、主走査方向と直交する方向(即ち、メディアの搬送方向かつメディアの長手方向)を、以下、「副走査方向」と称する(図4参照)。
このインク・ジェット・プリンタ100は、主走査方向に延長して配設された固定系のベース部材112と、ベース部材112の左右両端でベース部材112に直交して配設された側方部材114L、114Rと、側方部材114R内に配設されてそれぞれ異なる色の液体状のインクを貯留した5つのインク・カートリッジ116と、5つのインク・カートリッジ116のそれぞれから延長されて各インク・カートリッジ116に貯留されたインクをそれぞれ対応する5つのインク・ヘッド・ユニット12,14,16,18,20(後述する。)へ搬送して供給するための5本のインク・チューブ118と、5本のインク・チューブ118を内部に挿通して支持する管状のインク・チューブ・ガイド120と、
左右2つの側方部材114L、114Rを連結する中央壁122と、中央壁122の壁面よりベース部材112に平行して突設されインク・チューブ・ガイド120を支持する板状のインク・チューブ・ガイド受け部材123と、中央壁122の壁面に平行して主走査方向に移動自在に配設されたワイヤー124と、ワイヤー124に固定的に配設されたインク・ヘッド・ホルダー130と、側方部材114Rに配設された操作子群132とを有して構成されている。
なお、こうしたインク・ジェット・プリンタ100の全体の動作は、マイクロ・コンピューター200(後述する。)によって制御されている。
ここで、インク・ヘッド・ホルダー130には、5本のインク・チューブ118によりそれぞれ搬送されて供給された異なる色のインクをインク・ジェット方式によりそれぞれメディア上に吐出する5つのインク・ヘッド・ユニット12,14,16,18,20を備えたインク・ヘッド10が搭載されている。
インク・ヘッド10を構成するインク・ヘッド・ユニット12,14,16,18,20はそれぞれ同様な構成を備えており、主走査方向に沿ってインク・ヘッド・ホルダー130内に順次配置されていて、具体的には、図3ならびに図4において、インク・ヘッド・ユニット12が主走査方向における最も左方側に配置され、インク・ヘッド・ユニット20が主走査方向における最も右方側に配置され、左方側から右方側に向かう順で、インク・ヘッド・ユニット12の右方側に隣接してインク・ヘッド・ユニット14が配置され、インク・ヘッド・ユニット14の右方側に隣接してインク・ヘッド・ユニット16が配置され、インク・ヘッド・ユニット16の右方側に隣接してインク・ヘッド18が配置され、インク・ヘッド・ユニット18の右方側に隣接してインク・ヘッド20が配置されている。
つまり、インク・ヘッド10を構成する5つのインク・ヘッド・ユニット12,14,16,18,20は、副走査方向において前後にずれることなしに、主走査方向と一致する方向に一列に並んで順次配置されている(図4参照)。
なお、詳細な図示は省略するが、インク・ヘッド10を構成する4つのインク・ヘッド・ユニット12,14,16,18,20の下面には、インクをメディアに対して吐出する際の吐出口としての複数個のインク・ジェット・ノズルがそれぞれ配設されており、インク・ヘッド・ユニット12,14,16,18,20のインク・ジェット・ノズルは、それぞれメディアに対向するようにして配設されている。
また、上記したように、5つのインク・カートリッジ116のそれぞれに収容されている液体状のインクは、それぞれ異なる色のインクであるが、具体的には、インク・カートリッジ116からインク・チューブ118によって搬送されて、インク・ヘッド・ユニット12には黒色(ブラック)のインクが供給され、インク・ヘッド・ユニット14には青色(シアン)のインクが供給され、インク・ヘッド・ユニット16には赤色(マゼンタ)のインクが供給され、インク・ヘッド・ユニット18には黄色(イエロー)のインクが供給され、インク・ヘッド・ユニット20には白色(ホワイト)のインクが供給されるようになされている。
なお、インク・ジェット方式によりインク・ヘッド・ユニット12,14,16,18,20のインク・ジェット・ノズルからメディアへ向けてインクが吐出されると、当該吐出されたインクの飛滴がメディア上に落下してドットが形成されて、メディア上に所定の印刷が行われるものである。
ここで、ワイヤー124に固定的に配設されたインク・ヘッド・ホルダー130は、ワイヤー124がモーターなどの駆動装置(図示せず)によって巻き取られて主走査方向に移動すると、このワイヤー124の移動に伴って中央壁122の壁面に沿って主走査方向に移動する。
このため、インク・ヘッド・ホルダー130に固定的に配設されたインク・ヘッド10も、インク・ヘッド・ホルダー130の移動に伴ってメディア上を主走査方向に移動する。即ち、側方部材114R側から側方部材114L側へと主走査方向における行き方向で移動するとともに、側方部材114L側から側方部材114R側へと主走査方向における帰り方向で移動する。
そして、操作子群132は、側方部材114Rに配設されており、画面上に所定のメニューなどを表示する表示装置や、表示装置の画面の所望の位置などを選択可能な入力装置などにより構成されており、インク・ジェット・プリンタ100を使用するユーザーの所望の指示を入力するものである。
なお、操作子群132の操作により行われた各種設定の内容は、マイクロ・コンピューター200によって処理されて、マイクロ・コンピューター200により実現されるRIPの処理に用いられる情報として後述するRAM206の所定のエリアに記憶される。
ここで、マイクロ・コンピューター200は、上記したワイヤー124を巻き取るモーターの駆動制御を含むインク・ジェット・プリンタ100の全体の動作を制御するものである。
マイクロ・コンピューター200は、図5に示すように、後述するリード・オンリ・メモリ(ROM)204に格納されたプログラムに従って処理を実行する中央処理装置(CPU)202と、CPU202が実行する本発明による画像処理のプログラムなどを格納したプログラム記憶部などが設定されたROM204と、CPU202の制御によってインク・ジェット・プリンタ100が動作する際に用いられる種々のデータを記憶するインク・ジェット・プリンタ100の動作が行われる際のワーキング・エリアとしての領域などが設定されたランダム・アクセス・メモリ(RAM)206とを有して構成されている。
つまり、CPU202は、後述する本発明による画像処理を含みマイクロ・コンピューター200により実現されるRIPの処理における各種処理、即ち、印刷をする手順を全てまかなうための処理を実現するプログラムを実行する処理を行うものである。
以上の構成において、図5乃至図8を参照しながら、インク・ジェット・プリンタ100を用いて、本発明による第1の実施の形態により、メディア上に印刷を行う場合を説明する。
図5には、インク・ジェット・プリンタ100における印刷の工程を模式的に示す説明図が示されており、図6には、インク・ジェット・プリンタ100のマイクロ・コンピューター200により実現されるRIPの処理を示すフローチャートが示されている。
まず、作業者は、パーソナル・コンピューターなどのコンピュータ−において、DTP系のソフトウェア(例えば、Adobe Illustrator(商標)など。)を使用し、例えば図5に示すようにディスプレイに表示されるデジタル画像を作成する。こうして作業者によって作成されたデジタル画像を示すプロセスカラー印刷データは、ベクトルデータである。
また、作業者は、インク・ジェット・プリンタ100の操作子132を用いて、印刷に必要な各種設定を行なう。図7には、印刷に必要な設定項目の一例(設定項目1〜13)が示されており、プロセスカラー印刷データの示す画像などに応じた種々の項目について、作業者が任意に設定を行なうものである。なお、この実施の形態においては、ドットサイズとして「Fixドット」が設定され、当該設定の内容を示す印刷基本設定データが生成されるものとする。
さらに、作業者は、インク・ジェット・プリンタ100の操作子132を用いて、プロセスカラー印刷データの示す画像の印刷に必要な各種設定を行なう。なお、この実施の形態においては、「先に白色インクで印刷用の下地の印刷を行なう」が設定され、当該設定の内容を示すカラー印刷用設定データが生成されるものとする。
そして、RIPにおいては、まず、ステップS602において、作業者によって作成されたプロセスカラー印刷データを読み込む処理を行う(図5に示す矢印(E)参照)。
それから、作業者が行なった設定の内容を示す印刷基本設定データを読み込む処理を行う(ステップS604)。なお、この実施の形態においては、読み込まれた印刷基本設定データの示す内容に従い、設定された任意のサイズの1種類のドットで印刷(1ビット/ドットのFixドット)を行なうための設定処理がRIPにおいてなされる。
さらに、作業者が行なったプロセスカラーの印刷に必要な設定の内容を示すカラー印刷用設定データを読み込む処理を行う(ステップS606)。なお、この実施の形態においては、読み込まれたカラー印刷用設定データの示す内容に従い、先に白色インクで印刷用の下地の印刷を行なうための設定処理がRIPにおいてなされる。また、当該設定処理をトリガーとして、白インク印刷用のネイティブデータを作成し、白インク印刷用のネイティブデータに基づく印刷の後、メディアを原点に戻して、プロセスカラー印刷データに基づく印刷を行なうための設定処理がRIPにおいて自動的になされる。
続いて、ステップS608においては、ステップS602の処理で取得したプロセスカラー印刷データをラスタライズ(展開)する。これにより、ベクトルデータであったプロセスカラー印刷データが、ラスタデータ化されたプロセスカラー印刷データとなる。
そして、ステップS610においては、ラスタデータ化されたプロセスカラー印刷データを、インク・ジェット・プリンタ100が解釈できるプロセスカラー印刷用のネイティブデータに変換する処理が行なわれる。即ち、このステップS610の処理によって生成されるプロセスカラー印刷用のネイティブデータは、当該プロセスカラー印刷用のネイティブデータの出力先であるインク・ジェット・プリンタ100に対応したデータ形式を有するものである。
ステップS610の処理に続いて、ステップS612においては、ステップS610の処理によって生成されたプロセスカラー印刷用のネイティブデータを元に、印刷用の下地となる白色インクによる印刷領域を示す白インク印刷用のネイティブデータを作成する処理が行なわれる。ここでRIPにより作成される白インク印刷用のネイティブデータは、当該白インク印刷用のネイティブデータの出力先であるインク・ジェット・プリンタ100に対応したデータ形式を有するものであり、インク・ジェット・プリンタ100が解釈できるものである。
ここで、図8を参照しながら、ステップS612における白インク印刷用のネイティブデータの作成処理についてより詳細に説明することとする。
図8には、ステップS610の処理によって生成されたプロセスカラー印刷用のネイティブデータのデータ構成を模式的に示す説明図が示されている。
このプロセスカラー印刷用のネイティブデータ30は、インク・ジェット・プリンタ100が解釈可能で取り扱いできるデータ形式を有し、複数のraw30−1,30−2,30−3,・・・30−n(「n」は正の整数であり、rawの総数と一致するものである。)から構成されている。そして、1rawは、黒色インクのプレーン30B、青色インクのプレーン30C、赤色インクのプレーン30Mならびに黄色インクのプレーン30Yの4つのプレーンから構成されている。
そして、同列の4つのプレーンそれぞれの1ビットにより1つのピクセル32が構成され、当該ピクセル32のプロセスカラー印刷用のネイティブデータ30が2進法で「0」の場合(ビットが立っていない場合)には、当該ピクセル32には印刷が行なわれない。一方、ピクセル32のプロセスカラー印刷用のネイティブデータ30が2進法で「1」の場合(ビットが立っている場合)には、黒色インク、青色インク、赤色インクならびに黄色インクのうちの対応する色により、設定された任意のサイズの1種類のドットで当該ピクセル32に印刷(1ビット/ドットのFixドット)が行なわれるものである。
こうしたデータ構成を有するプロセスカラー印刷用のネイティブデータ30を元に、1つのピクセル32内の黒色インクのプレーン30B、青色インクのプレーン30C、赤色インクのプレーン30Mならびに黄色インクのプレーン30Yいずれかでビットが立っている場合(即ち、2進法で「1」の場合)には、対応する白色インクのプレーン40Wのビットを立てる(即ち、2進法で「1」とする。)ようにして、白インク印刷用のネイティブデータ40を作成する(図8参照)。
こうして作成された白インク印刷用のネイティブデータ40は、図8に示すように、プロセスカラー印刷用のネイティブデータ30を構成する複数のraw30−1,30−2,30−3,・・・30−nと一致する総数のraw40−1,40−2,40−3,・・・40−n(「n」は正の整数であり、rawの総数と一致するものである。)から構成されている。
そして、白インク印刷用のネイティブデータ40の1rawは、黒色インクのプレーン40B、青色インクのプレーン40C、赤色インクのプレーン40M、黄色インクのプレーン40Yならびに白色インクのプレーン40Wの5つのプレーンからなる。ここで、白インク印刷用のネイティブデータ40の白色インクのプレーン40W以外の黒色インクのプレーン40B、青色インクのプレーン40C、赤色インクのプレーン40Mならびに黄色インクのプレーン40Yの4つのプレーンのビットは全て、2進法で「0」になっている。
こうしてステップS612の処理により生成された白インク印刷用のネイティブデータ(図8に示す白インク印刷用のネイティブデータ40参照)は、インク・ジェット・プリンタ100に出力される(ステップS614ならびに図5に示す矢印(F)参照)。
すると、インク・ジェット・プリンタ100においては、ワイヤー124の巻き取りによりワイヤー124が移動し、このワイヤー124の移動に伴って、インク・ヘッド・ホルダー130に搭載されたインク・ヘッド10が、給紙装置(図示せず)によってベース部材112上に供給されたメディア上を主走査方向に沿って往復移動する。この際、主走査方向において往復移動するインク・ヘッド10は、インク・チューブ118によって搬送された白色のインクをインク・ヘッド・ユニット20からメディアへ向けて吐出し、吐出された白色のインクの飛滴はメディア上の所定の位置に落下する。
その結果、インク・ジェット・プリンタ100においては、白インク印刷用のネイティブデータに基づく印刷、即ち、白インク印刷用のネイティブデータの示す白色インクの印刷領域に白色インクが射出されて、白色インクのベタ印刷により印刷用の下地がメディアに印刷される(図5参照)。
白インク印刷用のネイティブデータに基づいた印刷が終了したならば、ステップS606の処理で取得したカラー印刷用設定データに基づいて自動的に設定された手順に従って、メディアを副走査方向に沿って移動して原点位置に戻す処理を行なう(ステップS616ならびに図5参照)。
続いて、ステップS610の処理によって生成されたプロセスカラー印刷用のネイティブデータ(図8に示すプロセスカラー印刷用のネイティブデータ30参照)が、インク・ジェット・プリンタ100に出力される(ステップS618ならびに図5に示す矢印(G)参照)。
すると、インク・ジェット・プリンタ100においては、ワイヤー124の移動に伴ってメディア上を主走査方向に沿って往復移動するインク・ヘッド10は、インク・チューブ118によって搬送された黒色、青色、赤色、黄色のインクをそれぞれのインク・ヘッド・ユニット12,14,16,18からからメディアへ向けて吐出し、吐出された各色のインクの飛滴はメディア上の所定の位置に落下する。
その結果、インク・ジェット・プリンタ100においては、プロセスカラー印刷用のネイティブデータに基づく印刷、即ち、プロセスカラー印刷データの示す画像に応じて各種色彩のインクが白色インクによる印刷用下地の上に射出されて、プロセスカラー印刷データの示す画像がメディアに印刷される(図5参照)。
上記したようにして、本発明による第1の実施の形態においては、RIPの内部でプロセスカラー印刷用のネイティブデータを元に、印刷用の下地となる白色インクによる印刷領域を示す白インク印刷用のネイティブデータを作成するようにしたため(図6のステップS612ならびに図8参照)、プロセスカラー印刷データの示す画像のカラー印刷の下地用の印刷に必要なデータが自動的に生成されるようになる。
このため、作業者が、印刷のためのデータとして、上記「背景技術」の項(図1参照)に記載したようなプロセスカラー印刷データを元に白インク印刷データを作成する作業は必要なくなり、印刷に際してプロセスカラー印刷データと白インク印刷データとの2つのデータを予め作成する作業者の負担が軽減される。
また、本発明においては、ステップS606の処理において読み込まれたカラー印刷用設定データの示す内容に従い、下地印刷の後にメディアを原点に戻す処理などの先に白色インクで印刷用の下地の印刷を行なうための設定処理がRIPにおいて自動的になされる。
このため、作業者がプロセスカラー印刷データに基づいた印刷ならびに下地用の印刷のそれぞれに必要な各種設定を別々に行なう必要がなくなり、印刷作業が簡単になる。また、本発明によれば、プロセスカラー印刷データに基づいた印刷とその下地印刷ための各データ毎にRIPの設定を調整するスキルは特に必要なく、作業者の習熟度などによらず、印刷結果の品質を維持することができ、高い操作性を実現する。
また、本発明によれば、プロセスカラー印刷データの示す画像のカラー印刷の下地用の印刷に必要なデータが自動的に生成されており、RIPの機能が拡張でき、高機能のデータ処理が実現されている。
次に、図9を参照しながら、本発明による画像処理方法の第2の実施の形態について説明する。
なお、第2の実施の形態を含む以下の第3、第4ならびに第5の実施の形態において、第1の実施の形態と同一あるいは相当する構成に関しては、第1の実施の形態において用いた符号を用いて示すことにより、その詳細な構成および作用の説明は省略する。
この第2の実施の形態と上記した第1の実施の形態とは、上記した第1の実施の形態における白インク印刷用のネイティブデータの作成処理(図6のステップS612)が、設定された任意のサイズの1種類のドットで印刷(1ビット/ドットのFixドット)が行なわれる場合に対応したものであったのに対して(図8参照)、第2の実施の形態における白インク印刷用のネイティブデータの作成処理が、異なるサイズの3種類のドットで印刷(2ビット/ドットのバリアブルドット)が行なわれる場合に対応している点において、両者は互いに異なっている。
従って、図6に示すRIPの処理を示すフローチャートのうち、後述するステップS604の処理ならびにステップS612の処理以外の各ステップの処理の詳細は、上記した第1の実施の形態と対応するものであるので、その説明を援用して詳細な説明は省略する。
即ち、第2の実施の形態においては、作業者により、インク・ジェット・プリンタ100の操作子132を用いて、印刷に必要な各種設定(図7参照)を行なう際に、ドットサイズとして「バリアブルドット」が設定され、当該設定の内容を示す印刷基本設定データが生成されるものである。
そして、図6に示すステップS604の処理において、作業者が行なった設定の内容を示す印刷基本設定データを読み込む処理を行い、読み込まれた印刷基本設定データの示す内容に従い、異なるサイズの3種類のドットで印刷(2ビット/ドットのバリアブルドット)を行なうための設定処理がRIPにおいてなされる。
また、ステップS610の処理に続いて、ステップS612においては、ステップS610の処理によって生成されたプロセスカラー印刷用のネイティブデータを元に、出力先であるインク・ジェット・プリンタ100に対応したデータ形式を有し、インク・ジェット・プリンタ100が解釈できる白インク印刷用のネイティブデータを作成する処理が行なわれる。
まず、図9には、ステップS610の処理によって生成されたプロセスカラー印刷用のネイティブデータのデータ構成を模式的に示す説明図が示されており、このプロセスカラー印刷用のネイティブデータ50は、複数のraw50−1,50−2,50−3,・・・50−n(「n」は正の整数であり、rawの総数と一致するものである。)から構成されている。そして、1rawは、黒色インクのプレーン50B、青色インクのプレーン50C、赤色インクのプレーン50Mならびに黄色インクのプレーン50Yの4つのプレーンから構成されている。
そして、同列の4つのプレーンそれぞれの2ビットにより1つのピクセル52が構成され、当該ピクセル52のプロセスカラー印刷用のネイティブデータ50が2進法で「00」の場合には、当該ピクセル52には印刷が行なわれない。
一方、ピクセル52のプロセスカラー印刷用のネイティブデータ50が2進法で「01」の場合にはsmallサイズのドット(マイクロドット)が、2進法で「10」の場合にはmiddleサイズのドット(ミドルドット)が、2進法で「11」の場合にはlargeサイズのドット(ラージドット)が、黒色インク、青色インク、赤色インクならびに黄色インクのうちの対応する色により当該ピクセル52に印刷(2ビット/ドットのバリアブルドット)が行なわれるものである。
こうしたデータ構成を有するプロセスカラー印刷用のネイティブデータ50を元に、以下に示す(i)(ii)(iii)の3つの手法のいずれかにより、白インク印刷用のネイティブデータ55を作成する(図9参照)。なお、(i)(ii)(iii)のいずれの手法を選択するかは、作業者の設定に応じた印刷基本設定データにより指定されるようにしてもよいし、あるいは、印刷する画像の種類などに応じてRIPにより自動的に指定されるようにしてもよい。
(i)プロセスカラー印刷用のネイティブデータ50の1つのピクセル52を形成する2ビット分の各列毎に、同列の黒色インクのプレーン50B、青色インクのプレーン50C、赤色インクのプレーン50Mならびに黄色インクのプレーン50Yいずれかでビットが立っている場合には、同列の対応する白色インクのプレーン55Wのビットを立てるようにして、白インク印刷用のネイティブデータ55を作成する。
(ii)プロセスカラー印刷用のネイティブデータ50の1つのピクセル52を形成する2ビット分の列を問わずに、黒色インクのプレーン50B、青色インクのプレーン50C、赤色インクのプレーン50Mならびに黄色インクのプレーン50Yいずれかでビットが立っている場合には、対応する白色インクのプレーン55Wのビットに、RIPで指定したサイズのドットのビットを立てる(即ち、2進法で「01」,「10」,「11」のいずれかとする。)ようにして、白インク印刷用のネイティブデータ55を作成する。
(iii)プロセスカラー印刷用のネイティブデータ50の1つのピクセル52の黒色インクのプレーン50B、青色インクのプレーン50C、赤色インクのプレーン50Mならびに黄色インクのプレーン50Yのうち、最も大きいサイズのドットを、対応する白色インクのプレーン55Wのビットに立てるようにして、白インク印刷用のネイティブデータ55を作成する。
上記した3つの手法(i)(ii)(iii)のいずれかにより作成された白インク印刷用のネイティブデータ55は、図9に示すように、プロセスカラー印刷用のネイティブデータ50を構成する複数のraw50−1,50−2,50−3,・・・50−nと一致する総数のraw55−1,55−2,55−3,・・・55−n(「n」は正の整数であり、rawの総数と一致するものである。)から構成されている。
そして、白インク印刷用のネイティブデータ55の1rawは、黒色インクのプレーン55B、青色インクのプレーン55C、赤色インクのプレーン55M、黄色インクのプレーン55Yならびに白色インクのプレーン55Wの5つのプレーンからなる。ここで、白インク印刷用のネイティブデータ55の白色インクのプレーン55W以外の黒色インクのプレーン55B、青色インクのプレーン55C、赤色インクのプレーン55Mならびに黄色インクのプレーン55Yの4つのプレーンのビットは全て、2進法で「0」になっている。
こうしてステップS612の処理により生成された白インク印刷用のネイティブデータ(図9に示す白インク印刷用のネイティブデータ55参照)が、ステップS614においてインク・ジェット・プリンタ100に出力され、ステップS616、ステップS618の処理が順次行なわれて、プロセスカラー印刷データの示す画像がメディアの白色インクによる印刷用下地の上に印刷される(図5参照)。
上記したようにして、第2の実施の形態においても、上記した第1の実施の形態と同様に、プロセスカラー印刷データの示す画像のカラー印刷の下地用の印刷に必要なデータが自動的に生成されるので、作業者の負担が軽減されるとともに、RIPの機能が拡張でき、高機能のデータ処理が実現されている。また、作業者がプロセスカラー印刷データに基づいた印刷ならびに下地用の印刷のそれぞれに必要な各種設定を別々に行なう必要がなくなり、印刷作業が簡単になり、作業者の習熟度などによらず、印刷結果の品質を維持することができ、高い操作性を実現する。
さらに、第2の実施の形態においては、異なるサイズの3種類のドットで行なわれる印刷(2ビット/ドットのバリアブルドット)であっても、RIPの内部でプロセスカラー印刷用のネイティブデータを元に白インク印刷用のネイティブデータを作成することができ、各種印刷に対応することができる。
次に、図10を参照しながら、本発明による画像処理方法の第3の実施の形態について説明する。
この第3の実施の形態と上記した第1の実施の形態とは、上記した第1の実施の形態における白インク印刷用のネイティブデータの作成処理(図6のステップS612)が、プロセスカラー印刷用のネイティブデータ30を元に白インク印刷用のネイティブデータ40を作成するものであったのに対して(図8参照)、第3の実施の形態における白インク印刷用のネイティブデータの作成処理が、プロセスカラー印刷用のネイティブデータ30を元に作成された白インク印刷用のネイティブデータ40を加工処理する点において、両者は互いに異なっている。
従って、図6に示すRIPの処理を示すフローチャートのうち、後述するステップステップS612の処理以外の各ステップの処理の詳細は、上記した第1の実施の形態と対応するものであるので、その説明を援用して詳細な説明は省略する。
即ち、第3の実施の形態においては、ステップS610の処理に続いて、ステップS612においては、ステップS610の処理によって生成されたプロセスカラー印刷用のネイティブデータを元に、出力先であるインク・ジェット・プリンタ100に対応したデータ形式を有し、インク・ジェット・プリンタ100が解釈できる白インク印刷用のネイティブデータを作成する処理が行なわれる。
この際、まず、上記した第1の実施の同様に図8に示すようにして、プロセスカラー印刷用のネイティブデータ30を元に白インク印刷用のネイティブデータ40をRIPにより作成する(図10に示す矢印(H)参照)。
さらに、第3の実施の形態においてはステップS612の処理において、作成された白インク印刷用のネイティブデータ40に加工処理を行なって、白インク印刷用のネイティブデータ44を取得する(図10に示す矢印(I)参照)。
より詳細には、プロセスカラー印刷用のネイティブデータ30を元に作成された白インク印刷用のネイティブデータ40の白色インクのプレーン40Wにおいて、ビットが連続して2進法で「0」になっている箇所、即ち、連続してビットが立っていない箇所を検出する(図10参照)。
そして、検出された連続してビットが立っていない箇所において、連続してビット0となっている総数が、所定の数値以上であるか否かの判断処理を行なう。そして、所定の数値以上のビットが連続して「0」となっていると判断されたときには、当該検出された連続してビットが立っていない箇所のビットを全て立てる、即ち、2進法で「1」として、白インク印刷用のネイティブデータ44を作成する。この際、所定の数値以上のビットが連続して「0」とはなっていないと判断されたときには、当該箇所のビットを立てることはしない。
こうしてステップS612の処理により生成された白インク印刷用のネイティブデータ(図10に示す白インク印刷用のネイティブデータ44参照)が、ステップS614においてインク・ジェット・プリンタ100に出力され、ステップS616、ステップS618の処理が順次行なわれて、プロセスカラー印刷データの示す画像がメディアの白色インクによる印刷用下地の上に印刷される(図5参照)。
上記したようにして、第3の実施の形態においても、上記した第1の実施の形態と同様に、プロセスカラー印刷データの示す画像のカラー印刷の下地用の印刷に必要なデータが自動的に生成されるので、作業者の負担が軽減されるとともに、RIPの機能が拡張でき、高機能のデータ処理が実現されている。また、作業者がプロセスカラー印刷データに基づいた印刷ならびに下地用の印刷のそれぞれに必要な各種設定を別々に行なう必要がなくなり、印刷作業が簡単になり、作業者の習熟度などによらず、印刷結果の品質を維持することができ、高い操作性を実現する。
さらに、第3の実施の形態においては、プロセスカラー印刷用のネイティブデータを元に作成された白インク印刷用のネイティブデータが加工処理される(図10に示す矢印(I)参照)。このため、例えば、プロセスカラー印刷データの一部にグラデーションがあるときでも、白インク印刷用のネイティブデータに強制的にビットを立てることにより、当該グラデーションの領域にも白色インクによる下地の印刷をベタに行なうことができ、より一層幅広い印刷に対応することができる。
次に、図11を参照しながら、本発明による画像処理方法の第4の実施の形態について説明する。
この第4の実施の形態と上記した第1の実施の形態とは、上記した第1の実施の形態における白インク印刷用のネイティブデータの作成処理(図6のステップS612)が、プロセスカラー印刷用のネイティブデータ30を元に白インク印刷用のネイティブデータ40を作成するものであったのに対して(図8参照)、第4の実施の形態における白インク印刷用のネイティブデータの作成処理が、プロセスカラー印刷データを元に白インク印刷用のネイティブデータを作成する点において、両者は互いに異なっている。
従って、図6に示すRIPの処理を示すフローチャートに代わって、第4の実施の形態においては、図11に示すインク・ジェット・プリンタ100のマイクロ・コンピューター200により実現されるRIPの処理を示すフローチャートが実行される。
ただし、図11に示すフローチャートのステップS1102,ステップS1104,ステップS1106,ステップS1108,ステップS1110,ステップS1114,ステップS1116,ステップS1118それぞれの処理の詳細は、上記した第1の実施の形態の図6のステップS602,ステップS604,ステップS606,ステップS608,ステップS610,ステップS614,ステップS616,ステップS618のそれぞれと対応するものであるので、その説明を援用して詳細な説明は省略する。
即ち、第4の実施の形態においては、ステップS1120において、ステップS1102の処理で取得したプロセスカラー印刷データに基づいて、名前を持った色の輪郭線で描画されたオブジェクトの抽出処理を行なう。
そして、ステップS1120で抽出されたオブジェクトを、印刷用の下地となる白色インクによる印刷領域を示すベクトルデータの白インク印刷データとして、ラスタライズ(展開)する(ステップS1122)。これにより、ベクトルデータであった白インク印刷データが、ラスタデータ化された白インク印刷データとなる。
続いて、ステップS1124においては、ラスタデータ化された白インク印刷データを、出力先であるインク・ジェット・プリンタ100に対応したデータ形式でインク・ジェット・プリンタ100が解釈できる白インク印刷用のネイティブデータに変換する処理が行なわれる。
こうしてステップS1120→ステップS1122→ステップS1124の処理によって、プロセスカラー印刷データを元に作成された白インク印刷用のネイティブデータが、インク・ジェット・プリンタ100に出力される(ステップS1114)。
上記したようにして、第4の実施の形態においても、上記した第1の実施の形態と同様に、プロセスカラー印刷データの示す画像のカラー印刷の下地用の印刷に必要なデータが自動的に生成されるので、作業者の負担が軽減されるとともに、RIPの機能が拡張でき、高機能のデータ処理が実現されている。また、作業者がプロセスカラー印刷データに基づいた印刷ならびに下地用の印刷のそれぞれに必要な各種設定を別々に行なう必要がなくなり、印刷作業が簡単になり、作業者の習熟度などによらず、印刷結果の品質を維持することができ、高い操作性を実現する。
さらに、第4の実施の形態においては、プロセスカラー印刷データを元に白インク印刷用のネイティブデータを作成することができ(ステップS1120,ステップS1122,ステップS1124)、プロセスカラー印刷データの示す画像の種類などに応じた各種印刷に対応することができる。
次に、図12乃至図14を参照しながら、本発明による画像処理方法の第5の実施の形態について説明する。
この第5の実施の形態と上記した第1の実施の形態とは、上記した第1の実施の形態におけるインク・ジェット・プリンタ100のインク・ヘッド10を構成する5つのインク・ヘッド・ユニット12,14,16,18,20が、副走査方向において前後にずれることなしに、主走査方向と一致する方向に一列に並んで順次配置されているのに対して(図4参照)、第5の実施の形態におけるインク・ジェット・プリンタ100のインク・ヘッド11を構成する5つのインク・ヘッド・ユニット12,14,16,18,20が、副走査方向において前後にずれて、主走査方向と一致する方向に一列に並んでおらず、当該インク・ヘッド11の構成に対応するデータの作成や印刷が行なわれる点において、両者は互いに異なっている。
即ち、図12(a)に示すように、第5の実施の形態におけるインク・ジェット・プリンタ100のインク・ヘッド11のインク・ヘッド・ユニット12,14,16,18,20は、インク・ヘッド・ユニット12が主走査方向における最も左方側に配置され、左方側から右方側に向かう順で、インク・ヘッド・ユニット12の右方側に隣接してインク・ヘッド・ユニット14が配置され、インク・ヘッド・ユニット14の右方側に隣接してインク・ヘッド・ユニット16が配置され、インク・ヘッド・ユニット16の右方側に隣接してインク・ヘッド18が配置されている。これらインク・ヘッド・ユニット12,14,16,18は、副走査方向において前後にずれることなしに、主走査方向と一致する方向に一列に並んで順次配置されている。
しかしながら、5つのインク・ヘッド・ユニットのうち主走査方向における最も右方側に配置され白色のインクが供給されるインク・ヘッド・ユニット20は、インク・ヘッド・ユニット18の右方側に隣接せずに、主走査方向と一致する方向に一列に並んで配置している一群のインク・ヘッド・ユニット12,14,16,18に対して、副走査方向における後方側にずれて配置されている。
こうした構成を有するインク・ヘッド11(図12(a)参照)を用いて、図6に示すRIPの処理を示すフローチャートに代わり、第5の実施の形態においては、図13に示すインク・ジェット・プリンタ100のマイクロ・コンピューター200により実現されるRIPの処理を示すフローチャートが実行される。
ただし、図13に示すフローチャートのステップS1302,ステップS1304,ステップS1306,ステップS1308,ステップS1310それぞれの処理の詳細は、上記した第1の実施の形態の図6のステップS602,ステップS604,ステップS606,ステップS608,ステップS610のそれぞれと対応するものであるので、その説明を援用して詳細な説明は省略する。
即ち、第5の実施の形態においては、ステップS1312において、ステップS1310の処理によって生成されたプロセスカラー印刷用のネイティブデータを元に、出力先であるインク・ジェット・プリンタ100に対応したデータ形式を有し、インク・ジェット・プリンタ100が解釈できる印刷用の混在ネイティブデータを作成する処理が行なわれる。
ここで作成される印刷用の混在ネイティブデータは、上記した第1の実施の形態の図8に示すプロセスカラー印刷用のネイティブデータ30ならびに白インク印刷用のネイティブデータ40の両者を含むようなデータであって、白色インクによる印刷用下地の印刷とプロセスカラー印刷データの示す画像の印刷とのいずれの印刷も実現するものである。
具体的には、ステップS1312において、図8と同一のデータ構成を有するプロセスカラー印刷用のネイティブデータ30(図8ならびに図14参照)を元に、1つのピクセル32内の黒色インクのプレーン30B、青色インクのプレーン30C、赤色インクのプレーン30Mならびに黄色インクのプレーン30Yいずれかでビットが立っている場合(即ち、2進法で「1」の場合)には、対応するビットを立てる(即ち、2進法で「1」とする。)ようにして白色インクのプレーン60Wを作成する。
そして、作成された白色インクのプレーン60Wをプロセスカラー印刷用のネイティブデータ30に合成して、印刷用の混在ネイティブデータ60を作成する。従って、作成された印刷用の混在ネイティブデータ60は、図14に示すように、プロセスカラー印刷用のネイティブデータ30を構成する複数のraw30−1,30−2,30−3,・・・30−nと一致する総数のraw60−1,60−2,60−3,・・・60−n(「n」は正の整数であり、rawの総数と一致するものである。)から構成されている。
そして、印刷用の混在ネイティブデータ60の1rawは、黒色インクのプレーン60B、青色インクのプレーン60C、赤色インクのプレーン60M、黄色インクのプレーン60Yならびに白色インクのプレーン60Wの5つのプレーンからなる。ここで、印刷用の混在ネイティブデータ60の白色インクのプレーン60W以外の黒色インクのプレーン60B、青色インクのプレーン60C、赤色インクのプレーン60Mならびに黄色インクのプレーン60Yの4つのプレーンは全て、プロセスカラー印刷用のネイティブデータ30に対応するビットとなっている。
こうしてステップステップS1312の処理により生成された印刷用の混在ネイティブデータ(図14に示す印刷用の混在ネイティブデータ60参照)は、インク・ジェット・プリンタ100に出力される(ステップS1314)。
すると、インク・ジェット・プリンタ100においては、ワイヤー124の巻き取りによりワイヤー124が移動し、このワイヤー124の移動に伴って、インク・ヘッド・ホルダー130に搭載されたインク・ヘッド11(図12(a)参照)が、給紙装置(図示せず)によってベース部材112上に供給されたメディア上を主走査方向に沿って往復移動する。この際、主走査方向において往復移動するインク・ヘッド10は、インク・チューブ118によって搬送された黒色、青色、赤色、黄色、白色のインクをそれぞれのインク・ヘッド・ユニット12,14,16,18,20からからメディアへ向けて吐出し、吐出された各色のインクの飛滴はメディア上の所定の位置に落下する。
ここで、インク・ジェット・プリンタ100のインク・ヘッド11においては、白色のインクを吐出するインク・ヘッド・ユニット20が、主走査方向と一致する方向に一列に並んで配置している一群のインク・ヘッド・ユニット12,14,16,18の副走査方向における後方側にずれて配置されている。
その結果、副走査方向における後方側から前方側に向かって搬送されるメディアに対して、印刷用の混在ネイティブデータの示す白色インクの印刷領域にインク・ヘッド・ユニット20から白色インクが射出されて、白色インクのベタ印刷により印刷用の下地が印刷され、当該下地が印刷されたメディア上に、印刷用の混在ネイティブデータに基づいて各種色彩のインクが射出されて、プロセスカラー印刷データの示す画像が印刷される(図12(b)参照)。
即ち、メディアを副走査方向に沿って移動して原点位置に戻すことなしに、副走査方向における後方側から前方側に向かってメディアが搬送される過程で、下地用の印刷とカラー印刷とが同時に行なわれる。
上記したようにして、第5の実施の形態においても、上記した第1の実施の形態と同様に、プロセスカラー印刷データの示す画像のカラー印刷の下地用の印刷に必要なデータが自動的に生成されるので、作業者の負担が軽減されるとともに、RIPの機能が拡張でき、高機能のデータ処理が実現されている。また、作業者がプロセスカラー印刷データに基づいた印刷ならびに下地用の印刷のそれぞれに必要な各種設定を別々に行なう必要がなくなり、印刷作業が簡単になり、作業者の習熟度などによらず、印刷結果の品質を維持することができ、高い操作性を実現する。
さらに、第5の実施の形態においては、上記した第1の実施の形態のプロセスカラー印刷用のネイティブデータ30ならびに白インク印刷用のネイティブデータ40の両者を含むようなデータである印刷用の混在ネイティブデータ60を生成するとともに、インク・ヘッド・ユニット20だけが副走査方向と一致する方向においてずれて配置されたインク・ヘッド11(図12参照)を有するようにしたので、白色インクによる下地用の印刷とカラー印刷とを同時に行なって、メディアを原点位置に戻さずに印刷を進行させ、印刷時間を短縮することができる。
なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(12)に説明するように変形してもよい。
(1)上記した実施の形態においては、インク・ヘッド10,11は5つのインク・ヘッド・ユニット12,14,16,18,20を有するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、印刷に必要な色彩などに応じて、各種の色のインクを吐出するインク・ヘッド・ユニットの総数を適宜に増減するようにしてもよい。また、インク・ヘッド・ユニット12,14,16,18,20から吐出されるインクの色も、上記した黒色、青色、赤色、黄色、白色に限られるものではななく、印刷に必要な任意の色彩のインクを吐出するようにしてもよい。
例えば、透明感を与えるための透明のインク(クリアー・インク)を吐出するインク・ヘッド・ユニットを備えるようにして、色彩印刷した後にクリアー・インクによる印刷を行うと、クリアー・インクにより印刷した部分に透明感を与えることができ、例えば、シルクスクリーン印刷したような効果を得ることができる。
また、液状のラミネートインクを吐出するインク・ヘッド・ユニットを備えるようにしてもよい。プロセスカラー印刷の後にラミネートインクを吐出することにより、ラミネートフィルムによる一般的なラミネート処理を印刷後に行う必要がなくなり、印刷が退色することや傷つくのを防止することができる。
(2)上記した実施の形態においては、インク・ジェット・プリンタ100に配設された操作子群132によって各種入力設定を行うようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、インク・ジェット・プリンタに接続されたパーソナル・コンピューターなどの制御装置によって各種入力設定が可能なように構成してもよい。
(3)上記した実施の形態において、インク・カートリッジ116に収容されている液体状のインク、即ち、インク・ヘッド・ユニット12,14,16,18,20に供給されるインクとしては、例えば、ソルベントインクやUVインクのように照射される光によって固化あるいは増粘する性質を有する各種インクを用いるようにしてもよい。
ただし、使用するインクの種類に応じて、乾燥時間の確保や、紫外線ランプなどの光照射手段をインク・ヘッド・ホルダー130に搭載するなど、各種変更を行なうようにするとよい。
具体的には、上記した第1,2,3,4の実施の形態においては、白色インクによる下地用の印刷が終了したならば、メディアを原点位置に戻し、それから当該下地の上に画像をカラーで印刷している(図5参照)。従って、ソルベントインクを使用した場合には任意の乾燥時間を確保する必要があるので、下地印刷の後で所定時間が経過した後に、プロセスカラー印刷データに基づいて下地の上に画像をカラーで印刷するように設定制御する。また、UVインクを使用した場合には紫外線が照射されたならばUVインクは硬化をするので、メディアを原点位置に戻した後に乾燥時間を確保することなく、プロセスカラー印刷データに基づいて下地の上に画像をカラーで印刷するように設定制御する。
また、上記した第5の実施の形態(図12乃至図14参照)は、メディアの搬送に伴って白色インクによる下地用の印刷とカラー印刷とが同時に行なわれるので、乾燥時間の確保が必須ではないUVインクを用いた印刷に好適なものである。
(4)上記した第3の実施の形態においては、図10に示すようにして、プロセスカラー印刷データの一部にグラデーションがあるときでも良好な印刷結果を得ることのできる白インク印刷用のネイティブデータを作成するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、プロセスカラー印刷用のネイティブデータ30を元に作成された白インク印刷用のネイティブデータ40に強制的にビットを立てる他の手法を採用したり、グラデーションとは異なる領域に対応可能なように白インク印刷用のネイティブデータ40を加工処理するように各種変更を行なってもよい。
(5)上記した第4の実施の形態においては、ステップS1120(図11参照)の処理において、プロセスカラー印刷データに基づいて、名前を持った色の輪郭線で描画されたオブジェクトの抽出処理を行なうようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、例えば、Adobe Illustrator(商標)のスウォッチカラーを指す指定された色の輪郭線、指定した色を持った色の塗り、名前を持った色の塗りなどで描画されたオブジェクトの抽出処理を行なうようにしてもよい。要はデジタル画像の種類など応じた手法で、その後のステップS1122の処理において白インク印刷データとしてラスタライズ可能なオブジェクトをプロセスカラー印刷データから抽出すればよい。
(6)上記した第5の実施の形態においては、ステップS1312の処理により、印刷用の混在ネイティブデータがプロセスカラー印刷用のネイティブデータを元に生成されるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、ユーザーにより作成された印刷用の下地となる白色インクによる印刷領域を示す白インク印刷データがあるときには、当該白インク印刷データを用いて印刷用の混在ネイティブデータを作成するようにしてもよい。
具体的には、ユーザーにより作成された白インク印刷データをラスタライズし、ラスタデータ化された白インク印刷データを、白インク印刷用のネイティブデータに変換する。そして、白インク印刷用のネイティブデータとプロセスカラー印刷用のネイティブデータとを1つに合成して、白インク印刷・プロセスカラー印刷のプレーンが混在しているネイティブデータを作成することにより、印刷用の混在ネイティブデータが生成されるようにしてもよい。こうした生成の工程は、あたかも図8に示すプロセスカラー印刷用のネイティブデータ30と白インク印刷用のネイティブデータ40とを合成するようなものである。
また、第5の実施の形態においては、白色のインクが供給されるインク・ヘッド・ユニット20がインク・ヘッド・ユニット12,14,16,18に対して副走査方向における後方側にずれて配置されているインク・ヘッド11を用いるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、メディアの搬送方向や各種コート剤の塗布、あるいは、印刷するメディアに直接インクを塗布すると当該インクが剥がれやすいような場合にメディアの表面処理に用いるプライマーの塗布などに応じて、図15に示すようにインク・ヘッドの構成は種々に変更可能なものである。
(7)上記した第1,2,3,4,5の実施の形態においては、プロセスカラー印刷データの示す画像のカラー印刷の下地用の印刷に必要なデータが、それぞれ異なる手法により自動的に生成されるようにしたが、これら第1,2,3,4,5の実施の形態をそれぞれ異なるインク・ジェット・プリンタに採用するのに限られるものではないことは勿論である。
つまり、単一のインク・ジェット・プリンタにおいて上記した第1,2,3,4,5の実施の形態のうちの複数が採用され、作業者の設定に応じて任意に選択可能なようにしたり、あるいは、印刷する画像の種類などに応じてRIPにより自動的に選択されるように構成してもよい。
(8)上記した第1,2,3,4,5の実施の形態においては、白色インクによる下地用の印刷領域とプロセスカラー印刷データの示す画像のカラー印刷が行なわれる領域とが一致するようにしたが(図5参照)、これに限られるものではないことは勿論であり、下地用の印刷領域とその上に印刷される画像の印刷領域とが一致しないようにしてもよい(図16(a)(b)参照)。
具体的には、下地用の印刷領域とその上に印刷される画像の印刷領域とを、意図的にずらしたい場合や、印刷した結果として両者が一致しないので調整して一致させたい場合などに使用できるように、両者の重なり具合を調整するためのオフセット項目を設けるようにする(図16(a)参照)。また、下地用の印刷領域によってその上に印刷される画像の印刷領域にどれくらいの淵をつけるかを設定したい場合などに使用できるように、下地印刷の領域を任意のサイズに倍率調整(デフォルトは100%)するようにする(図16(b)参照)。
なお、上記したような変更は、RIPに読み込まれる印刷基本設定データやカラー印刷用設定データなどによって指定されるようにしてもよいし、白インク印刷用のネイティブデータや印刷用の混在ネイティブデータをさらに加工する処理をRIPが行なうようにして実現するようにしてもよい。
(9)上記した実施の形態においては、インク・ヘッド10,11のインク・ヘッド・ユニット20から吐出される白色のインクによって、ベタ印刷で印刷用の下地がメディア上に印刷されるようにしたが(図5参照)、これに限られるものではないことは勿論であり、白色のインクに代わって、コート剤により下地となる印刷がされるようにしてもよい。このコート剤は、UVインクなどにより印刷を行なう際にアンダーコートとして用いられるものである。
そして、上記した実施の形態のインク・ヘッド・ユニット20に代わってコート剤を塗布可能なヘッド・ユニットを配置する。また、上記した実施の形態において自動的に生成されるプロセスカラー印刷データの示す画像のカラー印刷の下地用の印刷に必要なデータ、即ち、白インク印刷用のネイティブデータや印刷用の混在ネイティブデータを、コート剤の塗布のために用いるように構成することで、コート剤によりアンダーコートを行なったメディア上に画像を印刷することができるようになる。
ここで、従来は、コート剤によりアンダーコートを行なってインク・ジェット・プリンタにより印刷を行なうときには、予めエアブラシなどを用いてメディアの全面にアンダーコートとなるコート剤を塗布しておき、それからプリンタで印刷を行なっていた(図17(a)参照)。
これに対して、本発明によれば、上記した実施の形態の白色インクに代わってコート剤が塗布されるのであるから、当該コート剤は白インク印刷用のネイティブデータや印刷用の混在ネイティブデータに基づいて塗布され、コート剤が塗布される領域は、その後のプロセスカラー印刷データの示す画像のカラー印刷が行なわれる領域と一致する(図17(b)参照)。従って、本発明によれば、アンダーコートとなるコート剤をメディアの全面に塗布する必要がないので、コート剤の使用量を削減して、コストを抑えることができ経済的である。また、インク・ジェット・プリンタ内においてアンダーコートと印刷とを行なうことができ、印刷作業が簡単である。
(10)上記した実施の形態においては、インク・ヘッド10,11のインク・ヘッド・ユニット20から吐出される白色のインクによってベタ印刷で印刷用の下地がメディア上に印刷された後に、当該下地の上にカラー印刷で画像が印刷されるようにしたが(図5参照)、これに限られるものではないことは勿論であり、先にカラー印刷でメディア上に画像が印刷された後に、白色インクのベタ印刷で裏打ち印刷がなされるようにしてもよい。
このようにプロセスカラーを印刷した後に白色インクで裏打ちする印刷は、メディアが透明であって、当該透明のメディアをインクが落下した印刷面の裏側から視認するような印刷物に用いて好適なものである。
具体的には、例えば、上記した第1の実施の形態において、ステップS606(図6参照)において、読み込まれたカラー印刷用設定データの示す内容に従い、プロセスカラー印刷後に白色インクで裏打ち印刷を行なうための設定処理がRIPにおいてなされる。また、当該設定処理をトリガーとして、左右反転(鏡面)してプロセスカラー印刷データに基づく印刷を行った後、メディアを原点に戻して、左右反転(鏡面)して生成された白インク印刷用のネイティブデータに基づく印刷を行なうための設定処理がRIPにおいて自動的になされる。そして、ステップS614の処理とステップS618の処理とが入れ替わるように、先にプロセスカラー印刷用のネイティブデータが出力され、その後白インク印刷用のネイティブデータが出力されて、プロセスカラーを印刷した後に白色インクで裏打ち印刷を実現することができる。
また、上記した第5の実施の形態であれば、ステップS1306の処理の詳細が、上記した第1の実施の形態の場合と同様に変更されるだけで、ステップS1314において印刷用の混在ネイティブデータが出力されれば、プロセスカラーの印刷と白色インクによる裏打ち印刷とを同時に実現することができる。
さらに、インク・ヘッド・ユニット20から吐出される白色のインクに代わって、コート剤を塗布するように構成すれば、プロセスカラーにより印刷された画像上に、コート剤によってトップコートを施すことができる。コート剤を用いた印刷も上記したようにして実現可能なものであるが、RIPにおける設定は、左右反転することなしに、生成された白インク印刷用のネイティブデータに基づくコート剤の塗布を行なうようにするとよい。
(11)上記した実施の形態においては、本発明による画像処理方法をインク・ジェット・プリンタ100において実現するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、本発明をその他の印刷装置を含む各種装置に採用するように構成してもよいし、本発明による画像処理装置として印刷装置とは別に構成するようにしたり、本発明による画像処理装置で使用するプログラムとして実施したり、あるいは、当該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体として実施するようにしてもよい。
つまり、本発明は、ユーザーが準備したEPSデータを元にプリンタに出力するのに使用されるソフトウェア、ハードウェア、即ち、ユーザーが準備したEPSデータを元にプリンタに出力するためのネイティブデータに変換し、当該ネイティブデータをプリンタに転送する直前までに使用される装置などの全てが含まれるものであり、具体的には、一般的なPCのOS上で動作しているソフトウェアRIP、またはソフトウェアRIPの機能と同等な画像処理が可能なソフトウェアや、ソフトウェアRIPと連動して動作するソフトウェアまたはハードウェアや、ハードウェアRIPまたはハードウェアRIPの機能と同等な画像処理が可能はハードウェアとして実施可能なものである。
(12)上記した実施の形態ならびに上記(1)乃至(11)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。