JP2006035578A - 印刷装置のインク噴射の調整方法、及び印刷方法 - Google Patents

印刷装置のインク噴射の調整方法、及び印刷方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 印刷される画像の質を高める。
【解決手段】 所定量のインク(小ドット用のインクImS)、及び他の所定量のインク(大ドット用のインクImL)を噴射部(ノズルNz)から噴射させ、所定量のインクによるドット(小ドット)、及び他の所定量のインクによる他のドット(大ドット)を媒体に形成するドット形成ステップ(S001)と、他のドットを基準とするドットの所定方向への形成位置のずれ量を取得するずれ量取得ステップ(S003)と、ドットの所定方向への形成位置のずれ量が基準量以上の場合に、所定量のインクと他の所定量のインクの噴射タイミングの関係が異なるように、駆動素子(ピエゾ素子411)に供給される駆動パルス(小ドット駆動パルスDP)を決定する駆動パルス決定ステップ(S005)とを行う。
【選択図】 図12

Description

本発明は、量が異なる複数種類のインクを噴射部から噴射させる印刷装置のインク噴射の調整方法、及び印刷方法に関する。
媒体(用紙、布、OHP用シート等)に文字画像やイメージ画像等の画像を印刷する印刷装置の一種として、インクジェットプリンタ(以下、単にプリンタともいう。)が知られている。このプリンタは、例えば、所定方向に移動されるノズルからインクを噴射させることで、媒体にドットを形成するものである。このプリンタには、印刷の高速化と高画質化を両立するため、量が異なる複数種類のインクをノズルから噴射させるように構成されているものがある。また、最近では、輪郭部分(エッジ部分)のドットを内側部分のドットよりも少ないインク量で形成し、輪郭部分をきれいに印刷することも行われている(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2002−292848号公報
このようなプリンタにおいて、印刷される画像の質をより高めるためには、量の異なるインクで形成されるドットの位置を揃えることが求められる。例えば、大ドットと小ドットとを形成する場合、いずれのドットも画素の中心に形成することが求められる。これは、画像のムラ(ぼやけやがたつき)が抑制されるからである。この点に関し、従来のプリンタでは、インク量の違いによるドット形成位置の違いは考慮されていなかった。従って、従来のプリンタでは、この点に改善の余地があった。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、印刷される画像の質を高めることにある。
主たる発明は、
駆動パルスの駆動素子への供給に基づき、所定方向に移動される噴射部から、量が異なる複数種類のインクを媒体へ噴射可能な印刷装置のインク噴射の調整方法であって、
所定量のインク、及び他の所定量のインクを、所定関係となるタイミングで前記噴射部から噴射させ、前記所定量のインクによるドット、及び前記他の所定量のインクによる他のドットを前記媒体に形成するドット形成ステップと、
前記他のドットを基準とする、前記ドットの前記所定方向への形成位置のずれ量を取得するずれ量取得ステップと、
前記ドットの前記所定方向への形成位置のずれ量が基準量以上の場合に、前記所定関係となるタイミングとは異なる、他の所定関係となるタイミングで、前記所定量のインク、及び前記他の所定量のインクが噴射されるように、前記駆動素子に供給される駆動パルスを決定する駆動パルス決定ステップと、を有するインク噴射の調整方法である。
本発明の他の特徴については、本明細書の記載、及び添付図面の記載により明らかにする。
===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
駆動パルスの駆動素子への供給に基づき、所定方向に移動される噴射部から、量が異なる複数種類のインクを媒体へ噴射可能な印刷装置のインク噴射の調整方法であって、所定量のインク、及び他の所定量のインクを、所定関係となるタイミングで前記噴射部から噴射させ、前記所定量のインクによるドット、及び前記他の所定量のインクによる他のドットを前記媒体に形成するドット形成ステップと、前記他のドットを基準とする、前記ドットの前記所定方向への形成位置のずれ量を取得するずれ量取得ステップと、前記ドットの前記所定方向への形成位置のずれ量が基準量以上の場合に、前記所定関係となるタイミングとは異なる、他の所定関係となるタイミングで、前記所定量のインク、及び前記他の所定量のインクが噴射されるように、前記駆動素子に供給される駆動パルスを決定する駆動パルス決定ステップと、を有するインク噴射の調整方法が実現できること。
このようなインク噴射の調整方法によれば、他のドットを基準とし、ドットの所定方向への形成位置のずれ量が取得される。そして、このずれ量が基準量以上の場合に、他の所定関係となるタイミングで、所定量のインク、及び他の所定量のインクが噴射されるように、駆動素子に供給される駆動パルスが決定される。このため、ドットと他のドットについて、所定方向の形成位置のずれを抑制することができ、印刷画像の質を高めることができる。
かかるインク噴射の調整方法であって、前記駆動パルスは、所定の繰り返し周期内に複数発生されるものであり、前記駆動パルス決定ステップでは、前記繰り返し周期内に発生される複数の駆動パルスの中から、前記駆動素子に供給される駆動パルスを決定すること。
このようなインク噴射の調整方法によれば、供給される駆動パルスによって、所定量のインク、及び他の所定量のインクに対する噴射タイミングの関係が定められるので、制御の簡素化が図れる。
かかるインク噴射の調整方法であって、前記所定量のインク、及び前記他の所定量のインクは、前記繰り返し周期内に供給される駆動パルスの数に応じて、その量が定められるものであること。
このようなインク噴射の調整方法によれば、駆動パルスの数に応じて噴射されるインクの量が定められるので、制御の一層の簡素化が図れる。
かかるインク噴射の調整方法であって、前記駆動パルスは、それぞれが同じ量のインクを噴射させるためのものであること。
このようなインク噴射の調整方法によれば、いずれの駆動パルスも同じ量を噴射させるためのものであるため、選択の自由度が高まる。このため、所定量のインク、及び他の所定量のインクを噴射させるタイミングに関し、きめ細かな調整が可能となる。
かかるインク噴射の調整方法であって、前記所定量のインクは、前記他の所定量のインクよりも量が少ないものであること。
このようなインク噴射の調整方法によれば、相対的に飛行速度が不安定になりがちな所定量のインクの噴射タイミングが、飛行速度が安定し易い他の所定量のインクで形成されたドットを基準に定められるので、調整を精度良く行うことができる。
かかるインク噴射の調整方法であって、前記他の所定関係は、前記所定関係よりも、前記所定量のインクが早く噴射されるものであること。
このようなインク噴射の調整方法によれば、空気の粘性抵抗によって飛行速度が低下し易い所定量のインクについて、有効な調整ができる。
かかるインク噴射の調整方法であって、前記ドット形成ステップでは、前記ドット、及び前記他のドットが前記所定方向に隣接されるように形成し、前記ずれ量取得ステップでは、隣接する前記ドットと前記他のドットの間隔に基づき、前記ドットの前記所定方向への形成位置のずれ量を取得すること。
このようなインク噴射の調整方法によれば、所定方向に隣接される前記ドットと他のドットの間隔に基づき、ドットの所定方向への形成位置のずれ量が取得されるので、形成位置のずれ量を精度良く取得することができる。
かかるインク噴射の調整方法であって、前記ドット形成ステップでは、前記所定方向に沿って所定間隔で形成された一対の前記他のドットの間に前記ドットを形成すること。
このようなインク噴射の調整方法によれば、一対の他のドットと1つのドットの間隔に基づき、ドットの形成位置のずれ量が取得されるので、形成位置のずれ量を精度良く取得することができる。
かかるインク噴射の調整方法であって、前記ドット形成ステップでは、前記ドット、及び前記他のドットを、前記所定方向とは交差する他の所定方向に沿って複数形成し、前記ずれ量取得ステップでは、隣接する前記ドットと前記他のドットの間隔を、前記他の所定方向における複数の位置で計測すること。
このようなインク噴射の調整方法によれば、形成位置のずれ量を精度良く取得することができる。
また、駆動パルスの駆動素子への供給に基づき、所定方向に移動される噴射部から、量が異なる複数種類のインクを媒体へ噴射可能な印刷装置のインク噴射の調整方法であって、所定量のインク、及び他の所定量のインクを、所定関係となるタイミングで前記噴射部から噴射させ、前記所定量のインクによるドット、及び前記他の所定量のインクによる他のドットを前記媒体に形成するドット形成ステップと、前記他のドットを基準とする、前記ドットの前記所定方向への形成位置のずれ量を取得するずれ量取得ステップと、前記ドットの前記所定方向への形成位置のずれ量が基準量以上の場合に、前記所定関係となるタイミングとは異なる、他の所定関係となるタイミングで、前記所定量のインク、及び前記他の所定量のインクが噴射されるように、前記駆動素子に供給される駆動パルスを決定する駆動パルス決定ステップと、を有し、前記駆動パルスは、所定の繰り返し周期内に複数発生されるものであって、それぞれが同じ量のインクを噴射させるものであり、前記所定量のインク、及び前記他の所定量のインクは、前記繰り返し周期内に供給される駆動パルスの数に応じて、その量が定められるものであり、前記所定量のインクは、前記他の所定量のインクよりも量が少ないものであり、前記他の所定関係は、前記所定関係よりも、前記所定量のインクが早く噴射されるものであり、前記ドット形成ステップでは、前記ドット、及び前記他のドットが前記所定方向に隣接されるように、前記所定方向に沿って所定間隔で形成された一対の前記他のドットの間に前記ドットを形成し、且つ、前記ドット、及び前記他のドットを、前記所定方向とは交差する他の所定方向に沿って複数形成し、前記ずれ量取得ステップでは、前記他の所定方向における複数の位置で計測された隣接する前記ドットと前記他のドットの間隔に基づき、前記ドットの前記所定方向への着弾位置のずれ量を取得し、前記駆動パルス決定ステップでは、前記繰り返し周期内に発生される複数の駆動パルスの中から、前記駆動素子に供給される駆動パルスを決定する、インク噴射の調整方法を実現することもできる。
このようなインク噴射の調整方法によれば、既述のほぼ全ての効果を奏するので、本発明の目的が最も有効に達成される。
また、駆動パルスの駆動素子への供給に基づき、所定方向に移動される噴射部から、量が異なる複数種類のインクを媒体へ噴射させて画像を印刷する印刷方法であって、所定量のインク、及び他の所定量のインクを、所定関係となるタイミングで前記噴射部から噴射させ、前記所定量のインクによるドット、及び前記他の所定量のインクによる他のドットを前記媒体に形成するドット形成ステップと、前記他のドットを基準とする、前記ドットの前記所定方向への形成位置のずれ量を取得するずれ量取得ステップと、前記ドットの前記所定方向への形成位置のずれ量が基準量以上の場合に、前記所定関係となるタイミングとは異なる、他の所定関係となるタイミングで、前記所定量のインク、及び前記他の所定量のインクが噴射されるように、前記駆動素子に供給される駆動パルスを決定する駆動パルス決定ステップと、前記所定量のインク、及び前記他の所定量のインクを、前記他の所定関係となるタイミングで噴射させるように定めた場合には、文字画像の内側画素を前記他の所定量のインクによる他のドットで形成し、文字画像の輪郭画素を、前記他の所定関係となるタイミングで、前記他の所定量よりも少ない前記所定量のインクによるドットで形成する印刷ステップと、を有する印刷方法を実現することもできる。
===印刷システムの構成===
<全体構成について>
図1は、印刷システム100の外観構成を示した説明図である。以下、印刷システム100の実施形態について説明する。ここで、印刷システム100とは、印刷装置と印刷制御装置を少なくとも含むシステムのことである。本実施形態の印刷システム100は、印刷装置としてのプリンタ1と、印刷制御装置としてのコンピュータ110とを含んでいる。具体的には、この印刷システム100は、プリンタ1と、コンピュータ110と、表示装置120と、入力装置130と、記録再生装置140とを有している。
プリンタ1は、用紙、布、フィルム等の媒体に画像を印刷する。なお、この媒体に関し、以下の説明では、代表的な媒体である用紙S(図4を参照。)を例に挙げて説明する。コンピュータ110は、プリンタ1と通信可能に接続されている。そして、プリンタ1に画像を印刷させるため、コンピュータ110は、その画像に応じた印刷データをプリンタ1に出力する。表示装置120は、ディスプレイを有している。この表示装置120は、例えば、アプリケーションプログラム152やプリンタドライバ153(図3を参照。)等のユーザーインタフェースを表示する。入力装置130は、例えば、キーボード131やマウス132である。記録再生装置140は、例えば、フレキシブルディスクドライブ装置141やCD−ROMドライブ装置142である。コンピュータ110にはプリンタドライバ153がインストールされている。プリンタドライバ153は、アプリケーションプログラム152から出力された画像データを印刷データに変換する機能を実現させるためのものである。そして、このプリンタドライバ153は、各種の機能を実現するためのコードから構成されている。なお、このプリンタドライバ153は、フレキシブルディスクFDやCD−ROMなどの記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)に記録された状態で提供される。また、プリンタドライバ153は、インターネットを介してコンピュータ110にダウンロードすることも可能である。
===コンピュータ===
<コンピュータ110の構成について>
図2は、コンピュータ110、及びプリンタ1の構成を説明するブロック図である。以下、この図に基づいて、コンピュータ110の構成について説明する。なお、既に説明された構成要素については、同じ符号を付しているので、説明を省略する。
このコンピュータ110は、前述した記録再生装置140と、ホスト側コントローラ112とを有している。記録再生装置140は、ホスト側コントローラ112と通信可能に接続されており、コンピュータ110の筐体に取り付けられている。ホスト側コントローラ112は、コンピュータ110の制御を行うものであり、前述した表示装置120や入力装置130も通信可能に接続されている。このホスト側コントローラ112は、インタフェース部114と、CPU116と、メモリ118とを有する。インタフェース部114は、プリンタ1との間に介在し、データの送受信を行う。CPU116は、コンピュータ110の全体的な制御を行うための演算処理装置である。メモリ118は、コンピュータプログラム150を格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM、ROM等の記憶素子によって構成される。このメモリ118に格納されるコンピュータプログラム150としては、例えば、アプリケーションプログラム152やプリンタドライバ153がある。そして、CPU116は、メモリ118に格納されているコンピュータプログラム150に従って各種の制御を行う。
<コンピュータプログラムについて>
図3は、コンピュータ110のメモリに格納されたコンピュータプログラム150の概略的な説明図である。なお、以下の説明は、コンピュータプログラム150の動作として記載されているが、実際には、コンピュータプログラム150によって実現されるホスト側コントローラ112の動作である。
ホスト側コントローラ112では、ビデオドライバ151、アプリケーションプログラム152、及び、プリンタドライバ153などが動作している。
ビデオドライバ151は、アプリケーションプログラム152やプリンタドライバ153からの表示命令に従って、例えばユーザーインタフェース等を表示装置120に表示させる機能を有する。
アプリケーションプログラム152は、例えば、画像編集などを行う機能を有し、画像データを作成する。ユーザーは、アプリケーションプログラム152のユーザーインタフェースを介して、アプリケーションプログラム152により編集した画像を印刷する指示を与えることができる。アプリケーションプログラム152は、印刷の指示を受けると、プリンタドライバ153に画像データを出力する。そして、プリンタドライバ153は、アプリケーションプログラム152から画像データを受け取り、この画像データを印刷データに変換してプリンタ1に出力する。
画像データは、印刷される画像の画素に関するデータとして画素データを有している。この画素データは、後述する各処理の段階に応じて、その階調値等が変換される。そして、画素データは、最終的な印刷データの段階において、用紙上に形成されるドットに関するデータ(ドットの色や大きさ等のデータ)に変換される。
なお、画素とは、インクを着弾させドットを形成する位置を規定するために、用紙上に仮想的に定められた方眼状の升目である。そして、キャリッジ移動方向(ノズルの移動方向,所定方向)に並ぶ複数の画素によって単位領域が形成される。この単位領域は、キャリッジ移動方向とは交差する搬送方向に隣接している。従って、画像は、単位領域毎に印刷される複数の単位画像(後述するラスタラインに相当する。)によって構成されているといえる。
印刷データは、プリンタ1が解釈できる形式のデータであって、画素データと、各種のコマンドデータとを有する。コマンドデータとは、プリンタ1に特定の動作の実行を指示するためのデータであり、例えば、給紙を指示するデータ、搬送量を示すデータ、排紙を指示するデータがある。プリンタドライバ153は、アプリケーションプログラム152から出力された画像データを印刷データに変換するため、解像度変換処理、色変換処理、ハーフトーン処理、ラスタライズ処理などを行う。以下、プリンタドライバ153が行う処理について説明する。
<プリンタドライバ153が行う処理について>
解像度変換処理は、アプリケーションプログラム152から出力された画像データ(文字画像やイメージ画像のデータ)を、用紙Sに画像を印刷する際の解像度(以下、印刷解像度ともいう。)に変換する処理である。例えば、印刷解像度が720×720dpiに指定されている場合、アプリケーションプログラム152から受け取った画像データは、720×720dpiの解像度の画像データに変換される。この変換方法としては、画素データの補間や間引きなどがある。なお、この画像データ中の各画素データは、RGB色空間により表される多段階(例えば256段階)の階調値を有するデータである。以下、このRGBの階調値を有する画素データのことをRGB画素データといい、また、このRGB画素データから構成される画像データをRGB画像データという。
色変換処理は、RGB画像データの各RGB画素データを、CMYK色空間により表される多段階(例えば256段階)の階調値を有するデータに変換する処理である。このCMYKは、インクで表現される色を表す。すなわち、Cはシアンを意味する。また、Mはマゼンタを、Yはイエローを、Kはブラックをそれぞれ意味する。以下、このCMYKの階調値を有する画素データのことをCMYK画素データといい、これらCMYK画素データから構成される画像データのことをCMYK画像データという。この色変換処理は、RGBの階調値とCMYKの階調値とを対応付けたテーブル(色変換ルックアップテーブルLUT)をプリンタドライバ153が参照することによって行われる。
ハーフトーン処理は、多段階の階調値を有するCMYK画素データを、プリンタ1が表現可能な、少段階の階調値を有するCMYK画素データに変換する処理である。例えば、ハーフトーン処理により、256段階の階調値を示すCMYK画素データが、4段階の階調値を示す2ビットのCMYK画素データに変換される。この2ビットのCMYK画素データは、各色について、例えば、「インクの非噴射(ドットの形成なし)」(2進数の値として「00」)、「小ドットの形成」(同じく「01」)、「中ドットの形成」(同じく「10」)、「大ドットの形成」(同じく「11」)を示すデータとされる。このようなハーフトーン処理には、例えばディザ法が利用され、プリンタ1がドットを分散して形成できるようなCMYK画素データが作成される。また、このハーフトーン処理に用いる方法は、ディザ法に限られるものではない。例えば、γ補正法や誤差拡散法等を利用しても良い。
ラスタライズ処理は、ハーフトーン処理がなされたCMYK画像データを、プリンタ1に転送すべきデータ順に変更する処理である。ラスタライズ処理されたデータは、前述した印刷データとしてプリンタ1に出力される。
===プリンタ===
<プリンタ1の構成について>
図4は、本実施形態のプリンタ1の全体構成を説明する図である。図5は、本実施形態のプリンタ1の全体構成の横断面図である。図6は、ヘッド41の下面におけるノズルNzの配列を示す図である。図7は、原駆動信号発生部641、駆動信号整形部42、及びヘッド41の関係を説明するブロック図である。
図2に示すように、プリンタ1は、用紙搬送機構20、キャリッジ移動機構30、ヘッドユニット40、センサ群50、及びプリンタ側コントローラ60を有する。外部装置であるコンピュータ110から印刷信号を受信したプリンタ1は、プリンタ側コントローラ60によって制御対象部、すなわち用紙搬送機構20、キャリッジ移動機構30、ヘッドユニット40を制御する。つまり、プリンタ側コントローラ60は、コンピュータ110から受信した印刷データに基づき、用紙Sに画像を印刷させる。また、センサ群50の各センサは、プリンタ1内の状況を監視している。そして、各センサは、検出結果をプリンタ側コントローラ60に出力する。各センサからの検出結果を受けたプリンタ側コントローラ60は、その検出結果に基づいて制御対象部を制御する。
図5及び図6に示すように、用紙搬送機構20は、媒体の搬送部に相当し、用紙Sを印刷可能な位置に送り込んだり、この用紙Sを搬送方向に所定の搬送量で搬送させたりする。この搬送方向は、次に説明するキャリッジ移動方向と交差する方向であり、「他の所定方向」に相当する。そして、用紙搬送機構20は、給紙ローラ21と、搬送モータ22と、搬送ローラ23と、プラテン24と、排紙ローラ25とを有する。給紙ローラ21は、紙挿入口に挿入された用紙Sをプリンタ1内に自動的に送るためのローラであり、この例ではD形の断面形状をしている。搬送モータ22は、用紙Sを搬送方向に搬送させるためのモータであり、その動作は、プリンタ側コントローラ60によって制御される。搬送ローラ23は、給紙ローラ21によって送られてきた用紙Sを、印刷可能な領域まで搬送するためのローラである。この搬送ローラ23の動作も搬送モータ22によって制御される。プラテン24は、印刷中の用紙Sを、この用紙Sの裏面側から支持する部材である。排紙ローラ25は、印刷が終了した用紙Sを搬送するためのローラである。
キャリッジ移動機構30は、ヘッドユニット40が取り付けられたキャリッジCRをキャリッジ移動方向に移動させるための機構である。このキャリッジ移動方向には、一側から他側への移動方向と、他側から一側への移動方向が含まれている。そして、ヘッドユニット40が有するヘッド41には、インクを噴射させるためのノズルNzが設けられている。このため、キャリッジCRの移動に伴い、ノズルNzもキャリッジ移動方向に移動する。すなわち、キャリッジ移動方向は、ノズルNzの移動方向であり、「所定方向」に相当する。このキャリッジ移動機構30は、キャリッジモータ31と、ガイド軸32と、タイミングベルト33と、駆動プーリー34と、従動プーリー35とを有する。キャリッジモータ31は、キャリッジCRを移動させるための駆動源に相当する。このキャリッジモータ31は、前述したプリンタ側コントローラ60によって、その動作が制御される。そして、キャリッジモータ31の回転軸には、駆動プーリー34が取り付けられている。この駆動プーリー34は、キャリッジ移動方向の一端側に配置されている。駆動プーリー34とは反対側のキャリッジ移動方向の他端側には、従動プーリー35が配置されている。タイミングベルト33は、キャリッジCRに接続されているとともに、駆動プーリー34と従動プーリー35とに架け渡されている。ガイド軸32は、キャリッジCRを移動可能な状態で支持する。このガイド軸32は、キャリッジ移動方向に沿って取り付けられている。従って、キャリッジモータ31が動作すると、キャリッジCRは、このガイド軸32に沿ってキャリッジ移動方向に移動する。
ヘッドユニット40は、用紙Sにインクを噴射させるためのものであり、前述したように、キャリッジCRに取り付けられる。このヘッドユニット40は、ヘッド41と、駆動信号整形部42とを有している。
ヘッド41は、駆動素子としてのピエゾ素子411と、噴射部としてのノズルNzとを有する。ピエゾ素子411はノズルNzに対応して設けられている。そして、ピエゾ素子411に駆動パルス(後述する小ドット駆動パルスDP,図8A,図16Aを参照。)を供給すると、ノズルNzからインクが噴射される。ノズルNzは、噴射させるインクの種類毎にグループ分けされており、各グループのノズルNzによってノズル列が構成されている。例示したヘッド41は、ブラックインクノズル列Nkと、シアンインクノズル列Ncと、マゼンタインクノズル列Nmと、イエローインクノズル列Nyを有している。各ノズル列は、n個(例えば、n=180)のノズルNzを有している。これらのノズル列において、ノズルNzは、搬送方向に沿って一定の間隔(ノズルピッチ:k・D)で設けられている。ここで、Dは、搬送方向における最小のドットピッチ、つまり、用紙Sに形成されるドットの最高解像度での間隔である。また、kは、最小のドットピッチDとノズルピッチとの関係を表す係数であり、1以上の整数に定められる。例えば、ノズルピッチが180dpi(1/180インチ)であって、搬送方向のドットピッチが720dpi(1/720インチ)である場合、k=4である。図示の例において、各ノズル列のノズルNzは、下流側のノズルNzほど小さい番号が付されている。例えば、ノズルNz(♯1)は、ノズルNz(♯180)よりも搬送方向の下流側に位置している。
駆動信号整形部42は、原駆動信号発生部641からの原駆動信号ODRVを、印刷データに含まれる画素データに基づいて整形し、ノズル毎の駆動信号DRV(i)を生成するものである。ここで、原駆動信号発生部641は、複数の駆動パルスを含む原駆動信号ODRVを発生する。本実施形態において、この原駆動信号発生部641は、制御ユニット64に設けられている。原駆動信号ODRVは、所定の繰り返し周期T毎に発生される。この繰り返し周期Tは、例えば画素のキャリッジ移動方向の大きさと、キャリッジCRの移動速度とに基づいて定められる。
そして、駆動信号整形部42は、パルス選択テーブル421を有している。この駆動信号整形部42は、パルス選択テーブル421を参照し、画素データに応じて原駆動信号ODRVを整形する。具体的には、駆動信号整形部42は、繰り返し周期T内に発生される複数の小ドット駆動パルスDP(DP1〜DP3)の中から必要な小ドット駆動パルスDPを選択し、選択した小ドット駆動パルスDPをピエゾ素子411に供給する。その結果、ノズルNzからは、量が異なる複数種類のインクを選択的に噴射させることができる。例えば、画素データ「11」に基づき、大ドットを形成し得る量のインク(以下、大ドット用のインクともいう。)を噴射させることができる。また、画素データ「10」に基づき、中ドットを形成し得る量のインク(以下、中ドット用のインクともいう。)を噴射させることができる。さらに、画素データ「01」に基づき、小ドットを形成し得る量のインク(以下、小ドット用のインクともいう。)を噴射させることができる。なお、原駆動信号ODRV、及び小ドット駆動パルスDPの供給制御に関しては、後で説明する。
センサ群50は、プリンタ1の状況を監視するためのものである。このセンサ群50には、リニア式エンコーダ51、ロータリー式エンコーダ52、紙検出センサ53、及び紙幅センサ54等が含まれている。リニア式エンコーダ51は、キャリッジCR(ヘッド41,ノズルNz)のキャリッジ移動方向の位置を検出するためのセンサである。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラ23の回転量を検出するためのセンサである。紙検出センサ53は、印刷される用紙Sの先端位置を検出するためのセンサである。紙幅センサ54は、印刷される用紙Sの幅を検出するためのセンサである。
プリンタ側コントローラ60は、プリンタ1の制御を行うものである。このプリンタ側コントローラ60は、インタフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、制御ユニット64とを有する。インタフェース部61は、外部装置であるコンピュータ110とプリンタ1との間に介在し、データの送受信を行う。CPU62は、プリンタ1の全体的な制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62用のコンピュータプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM、ROM等の記憶素子によって構成される。そして、CPU62は、メモリ63に格納されているコンピュータプログラムに従い、制御ユニット64を介して各制御対象部を制御する。
<印刷動作について>
前述した構成を有するプリンタ1では、プリンタ側コントローラ60が、メモリ63内に格納されたコンピュータプログラムに従って、制御対象部(用紙搬送機構20、キャリッジ移動機構30、ヘッドユニット40)を制御する。従って、このコンピュータプログラムは、この制御を実行するためのコードを有する。そして、制御対象部を制御することで、用紙Sに対する印刷動作が行われる。この印刷動作は、印刷ステップに相当し、印刷命令の受信動作、給紙動作、ドット形成動作、搬送動作、排紙判断、排紙処理、及び印刷終了判断を有している。以下、各動作について、簡単に説明する。
印刷命令の受信動作は、コンピュータ110からの印刷命令を受信する動作である。この動作において、プリンタ側コントローラ60はインタフェース部61を介して印刷命令を受信する。給紙動作は、印刷対象となる用紙Sを移動させ、印刷開始位置(所謂頭出し位置)に位置決めする動作である。この動作において、プリンタ側コントローラ60は、搬送モータ22を駆動するなどして、給紙ローラ21や搬送ローラ23を回転させる。
ドット形成動作は、用紙Sにドットを形成するための動作である。この動作において、プリンタ側コントローラ60は、キャリッジモータ31を駆動したり、駆動信号整形部42に原駆動信号ODRVや印刷データ(画素データ)を出力したりする。これにより、ノズルNzの移動中にヘッド41からインクが噴射され、用紙Sにドットが形成される。すなわち、キャリッジ移動方向に沿った複数の画素からなる単位領域に、単位画像としてのラスタラインが印刷される。そして、このときにパルス選択テーブル421が参照され、このパルス選択テーブル421に応じて小ドット駆動パルスDPや微振動パルスVPがピエゾ素子411に供給される。
搬送動作は、用紙Sを搬送方向へ移動させる動作である。この動作において、プリンタ側コントローラ60は、搬送モータ22を駆動して搬送ローラ23を回転させる。この搬送動作により、先程のドット形成動作によって形成されたドットとは異なる位置に、ラスタラインを印刷することができる。
排紙判断は、印刷対象となっている用紙Sに対する排出の要否を判断する動作である。この判断は、例えば、印刷データの有無に基づき、プリンタ側コントローラ60によって行われる。
排紙処理は、用紙Sを排出させる処理であり、先程の排紙判断で「排紙する」と判断されたことを条件に行われる。この場合、プリンタ側コントローラ60は、排紙ローラ25を回転させることで、印刷済みの用紙Sを外部に排出させる。
印刷終了判断は、印刷を続行するか否かの判断である。この判断も、プリンタ側コントローラ60によって行われる。
===本実施形態の要部===
<標準のパルス選択テーブル421Aによる印刷について>
図8Aは、標準のパルス選択テーブル421Aによる原駆動信号ODRV、及びピエゾ素子411に供給される駆動パルス(ノズル毎の駆動信号DRV(i))を説明する図である。図8Bは、標準のパルス選択テーブル421Aを説明する概念図である。なお、標準のパルス選択テーブル421Aは、パルス選択テーブル421の一種である。
そして、小ドット用のインク、中ドット用のインク、及び大ドット用のインクの噴射タイミングに関し、この標準のパルス選択テーブル421Aで定められる関係が、「所定関係となるタイミング」に相当する。
例示した原駆動信号ODRVは、1画素期間(ノズルNzが1画素の幅に対応する距離を移動するために必要な時間)を繰り返し周期Tとしている。ここで、繰り返し周期Tは、1画素の幅、及びノズルNz(キャリッジCR)の移動速度等に基づいて定められる。そして、原駆動信号発生部641は、複数の繰り返し周期Tからなる原駆動信号ODRVを発生する。なお、例示した原駆動信号ODRVでは、1画素の幅(キャリッジ移動方向の長さ)を基準にして繰り返し周期Tが定められているが、複数画素(例えば2画素)を基準にしても良い。この原駆動信号ODRVは、繰り返し周期T内に複数の駆動パルスを含んでいる。
この駆動パルスは、小ドット用のインクを噴射させる小ドット駆動パルスDPである。より詳しくは、この小ドット駆動パルスDPは、1滴が4.5pl程度の極めて少ない量のインクを噴射させるものであり、印刷解像度が720dpiの画像を印刷する際に適する。また、原駆動信号ODRVには、インク滴を噴射させない程度にメニスカス(ノズルNzで露出しているインクの自由表面)を振動させる微振動パルスVPも含まれている。
この原駆動信号ODRVでは、繰り返し周期Tが4つの期間に分割されており、各期間で小ドット駆動パルスDP、或いは微振動パルスVPが発生される。具体的に説明すると次の通りである。すなわち、繰り返し周期内で最も早い第1の期間T1では、第1の小ドット駆動パルスDP1が発生される。また、第1の期間T1に続く第2の期間T2では、微振動パルスVPが発生される。同様に、第3の期間T3では、第2の小ドット駆動パルスDP2が、第4の期間T4では、第3の小ドット駆動パルスDP3が、それぞれ発生される。ここで、第1の小ドット駆動パルスDP1、第2の小ドット駆動パルスDP2、及び第3の小ドット駆動パルスDP3は、それぞれ同じ量のインクを噴射させるものである。この例では、これらの小ドット駆動パルスDPは、それぞれ同じ形状のパルスとなっている。また、これらの小ドット駆動パルスDP1〜DP3は、この繰り返し周期T内において等間隔で発生される。具体的には、第1の小ドット駆動パルスDP1の発生から第2の小ドット駆動パルスDP2の発生までの時間間隔と、第2の小ドット駆動パルスDP2の発生から第3の小ドット駆動パルスDP3の発生までの時間間隔は、互いに等しくなるように定められている。
この原駆動信号ODRVに含まれる小ドット駆動パルスDP、及び微振動パルスVPのピエゾ素子411への供給の制御は、標準のパルス選択テーブル421Aに基づいて行われる。この標準のパルス選択テーブル421Aは、画素データ(階調値)と、選択される小ドット駆動パルスDP、及び微振動パルスVPとの関係を定めるものとされる。このため、標準のパルス選択テーブル421Aには、画素データとパルス選択信号の関係が記録されている。そして、パルス選択信号は、前述した4つの期間T1〜T4を単位としてオンオフされる信号である。小ドット駆動パルスDP、及び微振動パルスVPは、パルス選択信号のオンオフ状態に応じて、ピエゾ素子411(駆動素子)へ供給されたり、供給されなかったりする。具体的には、パルス選択信号がオンレベル(「1」,Hレベル)であると、その期間内に発生される小ドット駆動パルスDP、若しくは微振動パルスVPがピエゾ素子411に供給される。一方、パルス選択信号がオフレベル(「0」,Lレベル)であると、その期間内に発生される小ドット駆動パルスDP、若しくは微振動パルスVPは、ピエゾ素子411に供給されない。
従って、標準のパルス選択テーブル421Aでは、インクの非噴射(画素データ「00」)に対応してパルス選択信号「0100」が定められる。これにより、第2の期間T2にて、微振動パルスVPがピエゾ素子411に供給される。その結果、インクは噴射されずにメニスカスが微振動し、ノズル付近におけるインクの粘度上昇が防止される。また、小ドットの形成(画素データ「01」)に対応してパルス選択信号「0010」が定められる。これにより、第3の期間T3にて、第2の小ドット駆動パルスDP2がピエゾ素子411に供給される。その結果、繰り返し周期T(1画素期間)において、小ドット用のインクが噴射され、用紙Sには小ドットが形成される。
同様に、中ドットの形成(画素データ「10」)に対応してパルス選択信号「1010」が定められる。これにより、第1の期間T1で第1の小ドット駆動パルスDP1が、第3の期間T3で第2の小ドット駆動パルスDP2が、それぞれピエゾ素子411に供給される。その結果、中ドット用のインクが噴射され、用紙Sには中ドットが形成される。なお、この中ドットの形成において、ピエゾ素子411には、小ドット駆動パルスDPが2回供給される。このとき、小ドット用のインクが2回噴射されるが、これらのインクは、用紙Sへ着弾するまでに合体され、1つのインクになっていると考えられる。これは、小ドット用のインクの量が、4.5plという極めて少量であることが原因と考えられる。
すなわち、このような極めて少量のインクは、飛行中において空気の粘性抵抗の影響を強く受け、減速され易くなっている。また、図8Aの原駆動信号ODRVでは、第1の小ドット駆動パルスDP1と第2の小ドット駆動パルスDP2の時間間隔は20μs前後である。このため、第2の小ドット駆動パルスDP2によって噴射されたインクは、第1の小ドット駆動パルスDP1によって噴射されたインクの後を追うように飛行し、第1の小ドット駆動パルスDP1によって噴射されたインクよりも減速され難くなる。その結果、第2の小ドット駆動パルスDP2によって噴射されたインクは、その飛行中に、第1の小ドット駆動パルスDP1によって噴射されたインクに追いついて合体すると考えられる。
また、大ドットの形成(画素データ「11」)に対応してパルス選択信号「1011」が定められる。これにより、第1の期間T1で第1の小ドット駆動パルスDP1が、第3の期間T3で第2の小ドット駆動パルスDP2が、第4の期間T4で第3の小ドット駆動パルスDP3が、それぞれピエゾ素子411に供給される。その結果、用紙Sには大ドットが形成される。この大ドットの形成においても、中ドットの形成の場合と同様な理由で、インクは、用紙Sへ着弾するまでに1つになっていると考えられる。
このように、ピエゾ素子411に供給される小ドット駆動パルスDP1〜DP3の選択により、インクが噴射されるタイミングが定められる。このため、パルス選択テーブル421は、量の異なる複数種類のインクに関し、噴射タイミングの関係を定めているものといえる。そして、標準のパルス選択テーブル421Aは、標準の噴射タイミングを定めているといえる。このため、各インクの噴射タイミングに関し、標準のパルス選択テーブル421Aで定められる関係は、前述したように「所定関係となるタイミング」といえる。
ところで、この標準のパルス選択テーブル421Aのみで制御をした場合には、インクの量に応じ、インクの着弾位置(ドットの形成位置)が過度にずれてしまう虞があった。ここで、図9Aは、ドットの形成位置のずれを模式化して示す図であり、キャリッジCRが図の左側から右側に向けて移動する場合の図である。図9Bは、同じくドットの形成位置のずれを模式化して示す図であり、キャリッジCRが図の右側から左側に向けて移動する場合の図である。図10Aは、小ドット用のインクImSと、大ドット用のインクImLの飛行速度の違いを説明する図である。図10Bは、大ドット用のインクImLの噴射時に生じ得る合体を、模式的に説明する図である。
図9Aに示す例は、1つの升目が画素を示している。そして、キャリッジ移動方向(所定方向)に隣り合う複数の画素によって単位領域が構成される。従って、ラスタラインは、この単位領域に印刷される。図9Aの例では、小ドットSDによるラスタラインと大ドットLDによるラスタラインとが、搬送方向(他の所定方向)に沿って交互に印刷されている。そして、大ドットLDは画素の中心に形成されているのに対し、小ドットSDは画素の中心から右側に、つまりキャリッジ移動方向に大きくずれて形成されている。同様に、図9Bの例でも、小ドットSDは、画素の中心からキャリッジ移動方向(この場合は左側)に、大きくずれて形成されている。
このようなドットの形成位置のずれは、インクの飛行速度の違いによって生じると考えられる。以下、この点について説明する。図10Aに示すように、ノズルNzからは、キャリッジ移動方向への移動中にインクが噴射される。このため、飛行するインクImS,ImLは、キャリッジ移動方向の速度成分Vcrと、下方向の速度成分VmS,VmLとを有すると考えられる。従って、これらのインクImS,ImLは、ノズルNzの移動に伴って斜め下方に飛行する。ここで、キャリッジ移動方向の速度成分Vcrは、ノズルNzの移動速度が一定であることから、インクの量に関わらず一定と考えられる。そうすると、ドットの形成位置のずれは、これらのインクImS,ImLにおける飛行速度VmS,VmLの違いが原因であると考えられる。
ここで、図10Bに基づき、インクImS,ImLに飛行速度の違いが生じた理由について検討する。前述したように、大ドット用のインクImLは、複数の小ドット用のインクImSが合体したものと考えられる。そして、後から追いかけて飛行するインクは、先に飛行するインクによって空気の粘性抵抗を受け難い。このため、先に飛行するインクよりも、速い速度で飛行していると考えられる。そうすると、後から飛行するインクが先に飛行するインクに合体することで、合体後のインクは、先に飛行するインクよりも速度が上昇すると考えられる。
例えば、1番目に噴射された小ドット用のインクImSと、2番目に噴射された小ドット用のインクImSとが合体した場合、合体後のインク(中ドット用のインクImM)は、1番目に噴射された小ドット用のインクImSよりも速度が速くなっていると考えられる。また、合体後のインクは、合体前のインク(1番目に噴射された小ドット用のインクImS)に比べて量が増えているので、その分だけ減速され難くなっている。さらに、合体後のインクに、3番目に噴射された小ドット用のインクImSが合体した後のインク(大ドット用のインクImL)も、同様な理由で飛行速度が上昇し、且つ、減速され難くなっていると考えられる。これに対し、小ドット用のインクImSは、2番目に噴射された小ドット用のインクImSのみからなる。このため、この小ドット用のインクImSでは、空気の粘性抵抗により、大ドット用のインクImLよりも大きく減速されることになる。以上より、インクの量に応じて飛行速度に差が生じると考えられる。
ここで、符号PGで示す間隔(すなわち、ヘッド41の下面から用紙表面までの間隔)が1.55mm、キャリッジCRの移動速度が0.5m/s、大ドット用のインクImLの飛行速度が10m/s、小ドット用のインクImSの飛行速度が7m/sであったとする。さらに、各インクのキャリッジ移動方向の飛行速度Vcrが、キャリッジCRの移動速度と等しい0.5m/sであったとする。この場合、ノズルNzから噴射されてから用紙Sへ着弾するまでに、小ドット用のインクImSは、図10Aに符号X1で示す距離だけ移動する。具体的には、キャリッジ移動方向に約111μm移動する。一方、大ドット用のインクImLは、符号X2で示す距離だけ移動する。具体的には、キャリッジ移動方向に約78μm移動する。このため、小ドット用のインクImSと大ドット用のインクImLを同じタイミングで噴射させたとすると、これらのインクImS,ImLの着弾位置は、キャリッジ移動方向に約33μmずれることになる。
このようなインクの着弾位置のずれは、そのままドットの形成位置のずれとなり、印刷された画像の品質を低下させてしまう。例えば、輪郭部分における過度な滲みを防止すべく、文字画像の輪郭部分を小ドットSDで形成する場合には、小ドット用のインクImSの着弾位置ずれにより、輪郭部分が過度に滲んだり、凹凸が生じたりする可能性がある。また、イメージ画像を印刷する場合にも、インクの着弾位置のずれにより、画像のムラが生じてしまう可能性がある。
<本実施形態の概要について>
このような事情を考慮して本実施形態では、インクの噴射制御を、小ドット駆動パルスDPのピエゾ素子411への供給を制御することで行う。さらに、噴射制御を行うか否かを判断するにあたり、まず、所定量のインク、及び他の所定量のインクを、所定関係となるタイミングで実際に噴射させ、媒体(例えば用紙S)の上にドットを形成する。そして、他の所定量のインクで形成された他のドットを基準とし、所定量のインクによって形成されたドットのキャリッジ移動方向への形成位置のずれ量を取得する。そして、取得したずれ量が所定量以上であった場合には、前記所定関係とは異なる、他の所定関係となるタイミングで、所定量のインク、及び他の所定量のインクが噴射されるように、ピエゾ素子411に供給される小ドット駆動パルスDPを決定する。このように構成することで、ドットの形成位置のずれを抑制することができ、印刷画像の高画質化が図れる。以下、この点を中心に、本実施形態を詳細に説明する。
<インク噴射の調整方法について>
図11は、インク噴射の調整方法に使用される機器を説明する図である。図12は、インク噴射の調整方法を説明するフローチャートである。
まず、使用される機器について説明する。なお、図11において、既に説明された構成要素については、同じ符号を付しているので、説明を省略する。この図において、コンピュータ110Aは、検査ラインに設置されたものである。このコンピュータ110Aのメモリ118には、工程用補正プログラムが格納されている。この工程用補正プログラムは、アプリケーションプログラム152の一種であって、インクの噴射調整に必要な動作を実現させるためのものであり、各種の処理を実現させるためのコードを有する。また、例示した機器には、スキャナ装置160が含まれている。このスキャナ装置160は、濃度読み取り装置に相当し、原稿に印刷された画像(例えば、用紙Sに印刷されたテストパターンCP)の濃度を、所定の解像度で読み込むものである。
この調整方法では、まず、テストパターンCPの印刷を行う(S001)。このステップS001は、ドット形成ステップに相当する。
このステップS001において、コンピュータ110Aでは、工程用補正プログラムによってテストパターンCPの画像データが作成され、プリンタドライバ153に出力される。プリンタドライバ153は、解像度変換処理やハーフトーン処理等を行い、テストパターンCPの画像データを印刷データに変換する。そして、変換された印刷データは、プリンタ1に出力される。そして、印刷データを受信したプリンタ1は、ドット形成動作や搬送動作等を行い、用紙SにテストパターンCPを印刷する。ここで、図13Aは、印刷されたテストパターンCPの例を説明する図である。また、図13Bは、テストパターンCPの一部分を拡大して示す図である。
本実施形態のテストパターンCPは、大ドット用のインクImLによる太罫線CPWと、小ドット用のインクImSによる細罫線CPNとをキャリッジ移動方向へ交互に印刷したものであり、インクの量に応じて線幅が定まる複数種類の罫線を有するものともいえる。ここで、大ドット用のインクImLは「他の所定量のインク」に相当し、小ドット用のインクImSは「所定量のインク」に相当する。このため、テストパターンCPは、他のドットとしての大ドットLDを、所定方向としてのキャリッジ移動方向に沿って所定間隔で形成し、これらの大ドットLD同士の間に小ドットSDを形成したものともいえる。さらに、このテストパターンCPでは、太罫線CPWと細罫線CPNとを所定画素(この例では1画素)だけ離隔させて印刷している。このように、太罫線CPWと細罫線CPNとを離隔させて印刷することで、太罫線CPWと細罫線CPNとを明確に区別することができ、後で説明する位置ずれ量の取得を精度良く行うことができる。
テストパターンCPが印刷されたならば、このテストパターンCPをスキャナ装置160で読み取る(S002)。このステップS002は、テストパターン読み取りステップに相当する。
このステップS002において作業者は、まず、テストパターンCPが印刷された用紙Sを原稿台(図示せず)に載置する。用紙Sを載置したならば、作業者は、コンピュータ110Aのユーザーインタフェースを介して読み取り条件を指定し、その後、読み取り開始を指示する。この読み取り開始の指示を受信すると、スキャナ装置160は、テストパターンCPの濃度を読み取り、濃度データを取得する。取得された濃度データは、コンピュータ110Aに転送される。例えば、ホスト側コントローラ112のメモリ118に一時的に格納される。この濃度データは、そのままの解像度でも使用できるが、解像度変換等により印刷解像度毎の濃度にすることが好ましい。印刷解像度毎の濃度にすると、ドットと濃度の関係が明確になるからである。
テストパターンCPを読み取ったならば、小ドットSDのキャリッジ移動方向の位置ずれ量を取得する(S003)。このステップS003は、ずれ量取得ステップに相当する。
ここで、図14Aは、小ドットSDによる細罫線CPNが、目標位置よりもキャリッジ移動方向にずれて印刷された状態を説明する図である。図14Bは、図14AのテストパターンCPの濃度データを説明する図である。図15Aは、小ドットSDによる細罫線CPNが、ほぼ目標位置に印刷された状態を説明する図である。図15Bは、図15AのテストパターンCPの濃度データを説明する図である。なお、図14Aにおいて、キャリッジ移動方向の中央に描かれた点線の丸は、小ドットSDについて、目標となる着弾位置を示している。また、図14B,図15Bの横軸は、キャリッジ移動方向の位置であり、図14A,図15AのテストパターンCPに対応している。一方、14B,図15Bの縦軸は、濃度であり、値が大きいほど白(用紙Sの地色)に近く、値が小さいほど濃度(グレースケールでの濃度)が濃いことを示している。
キャリッジ移動方向の位置ずれ量とは、ドットの目標形成位置からのずれ量を意味する。本実施形態では、大ドットLDの形成位置を基準として、この位置ずれ量を取得している。言い換えれば、量の多い方のインクを基準にし、量の少ない方のインクについて形成位置のずれ量を取得している。この点に関し、小ドットSDの形成位置を基準として、大ドットLDの位置ずれ量を取得することも可能である。そして、本実施形態のように、量の多い方のインクを基準にし、量の少ない方のインクについて着弾の位置ずれ量を取得すると、調整を精度良く行うことができる。これは、インクの量が多くなる程、飛行速度が安定し易くなるからである。すなわち、インクの量が多くなる程、空気の粘性抵抗の影響を受け難くなり、速度の減少度合いも小さくなる。そして、飛行速度が安定し易いということは、着弾位置のずれも少なく、基準に適しているといえる。従って、大ドット用のインクImLを基準とし、空気の粘性抵抗によって飛行速度が低下し易い小ドット用のインクImSの噴射を調整することで、有効な調整ができる。
また、本実施形態では、小ドットSDと大ドットLDを隣接して形成し、小ドットSDと大ドットLDの間隔に基づいて、小ドットSDの位置ずれ量を取得している。具体的には、隣接する大ドットLD同士の間に小ドットSDを形成し、これらの大ドットLDと小ドットSDの間隔に基づいて小ドットSDの位置ずれ量を取得している。この場合において、コンピュータ110Aは、隣り合う大ドットLD同士の形成位置に基づいて小ドットSDの目標形成位置を取得し、取得した目標形成位置に対する小ドットSDの位置ずれ量を取得している。
以下、この処理を具体例で説明する。まず、コンピュータ110Aは、同じラスタラインに形成された一対の太罫線CPW(大ドットLD)と、これらの太罫線CPWの間に形成された細罫線CPN(小ドットSD)の濃度データを取得し、キャリッジ移動方向に関する太罫線CPWの印刷位置と、細罫線CPNの印刷位置とを認識する。図14Bの測定結果では、左側の太罫線CPWはキャリッジ移動方向の座標rl1から座標rl2に亘って形成されていると認識される。同様に、右側の太罫線CPWは座標rl5から座標rl6に亘って形成されていると認識される。また、細罫線CPNは座標rl3から座標rl4に亘って形成されていると認識される。一方、図15Bの測定結果では、左側の太罫線CPW、及び右側の太罫線CPWについては、図14Bの場合と同様に認識される。これに対し、細罫線CPNは、座標rl3´から座標rl4´に亘って形成されていると認識される。
この場合において、本実施形態では、太罫線CPW、及び細罫線CPNの認識を、搬送方向の複数の箇所で行う。これにより、測定誤差が緩和されて各罫線の認識を精度良く行うことができ、ひいては、細罫線CPNのずれ量(小ドットSDの形成位置のずれ量)を精度良く取得できる。
両側の太罫線CPW及び細罫線CPNの位置を認識したならば、コンピュータ110Aは、細罫線CPNの目標形成位置を求める。本実施形態において、コンピュータ110Aは、両側の太罫線CPWの中間の位置cl´を細罫線CPNの目標形成位置として求めている。この場合、コンピュータ110Aは、例えば、左側の太罫線CPWの中心と右側の太罫線CPWの中心とを求め、これらの間隔から細罫線CPNの目標形成位置cl´を求める。細罫線CPNの目標形成位置cl´を求めたならば、コンピュータ110Aは、細罫線CPNの目標形成位置cl´と印刷された細罫線CPNの位置とから位置ずれ量を取得する。図15Bの例では、印刷された細罫線CPNの中心clと細罫線CPNの目標形成位置cl´との差△clがずれ量として取得される。そして、取得されたずれ量は、コンピュータ110Aのメモリ63に格納される。これに対し、図15Bの例では、印刷された細罫線CPNの中心clと、細罫線CPNの目標形成位置cl´とがほぼ一致し、ずれ量は非常に小さい。この場合にも、取得したずれ量は、コンピュータ110Aのメモリ63に格納される。
このように、本実施形態では、隣接して形成された大ドットLDと小ドットSDの間隔に基づいて、小ドットSDの着弾位置のずれ量を取得しているので、小ドットSDの着弾位置のずれ量を精度良く取得することができる。これは、小ドットSDと大ドットLDが同じラスタラインに形成されていることによる。すなわち、小ドットSDと大ドットLDが同じラスタラインに形成されていることから、間隔を測定するにあたり、対となるドット同士を容易に対応付けできる。その結果、測定誤差を少なくすることができる。
小ドットSDの位置ずれ量を取得したならば、インク噴射の調整が必要か否かを判断する(S004)。ここでの判断は、小ドットSDの位置ずれ量が基準量を越えているか否かでなされる。例えば、コンピュータ110Aは、取得した小ドットSDの位置ずれ量と、予め定められている基準量とを比較し、取得した小ドットSDの位置ずれ量が基準量以上の場合、インク噴射の調整が必要と判断する。反対に、取得した小ドットSDの位置ずれ量が基準量未満の場合、インク噴射の調整は不要と判断する。例えば、図14Bの例では、ずれ量△clが基準量以上とされ、インク噴射の調整が必要と判断される。この場合、ステップS005の処理が行われる。これに対し、図15Bの例では、ずれ量が非常に小さいので、インク噴射の調整は不要と判断される。この場合、ステップS006の処理が行われる。
インク噴射の調整が必要と判断された場合、その特性に適したテーブル情報が設定される(ステップS005)。また、インク噴射の調整は不要と判断された場合、標準のパルス選択テーブル421A(図8Bを参照。)が設定される(ステップS006)。すなわち、インク噴射の調整が必要と判断された場合には、標準のパルス選択テーブル421Aで定められる「所定関係となるタイミング」とは異なる、「他の所定関係となるタイミング」で、インクが噴射される。
従って、ステップS005及びステップS006は、駆動パルス決定ステップに相当する。すなわち、ステップS005は、ずれ量が基準量以上の場合における駆動パルス決定ステップであり、ステップS006は、ずれ量が基準量未満の場合における駆動パルス決定ステップである。
なお、標準のパルス選択テーブル421Aを用いる場合におけるインクの噴射制御は、既に説明したので省略する。このため、以下の説明は、インク噴射の調整が必要と判断された場合について行う。
ここで、図16Aは、図14A及び図14Bの例に適した原駆動信号ODRV、及び小ドット駆動パルスDPのピエゾ素子411への供給を説明する図である。図16Bは、図14A及び図14Bの例に適したパルス選択テーブル421(以下、変更後のパルス選択テーブル421Bともいう。)を説明する概念図である。なお、図16Aにおける原駆動信号ODRVは、図8Aで説明した原駆動信号ODRVと同じである。
図14A及び図14Bの例では、細罫線CPNを構成する小ドットSDは、目標形成位置よりもキャリッジ移動方向にずれて形成されている。このため、小ドットSDの飛行速度は、大ドットLDの飛行速度よりも遅いと考えられる。そこで、小ドットSDの噴射タイミングが、大ドットLDの噴射タイミングよりも早くなるように、変更後のパルス選択テーブル421Bが設定される。具体的には、小ドットSDを、第1の小ドット駆動パルスDP1で形成する。従って、小ドットSDの形成に対応して、パルス選択信号「1000」が定められる。すなわち、変更後のパルス選択テーブル421Bを用いることで、小ドット用のインクImSに関し、その噴射タイミングが、標準のパルス選択テーブル421Aで定められる噴射タイミングよりも早くなる。言い換えれば、変更後のパルス選択テーブル421Bは、標準のパルス選択テーブル421Aに対応する「所定関係となるタイミング」とは異なる、「他の所定関係となるタイミング」となるように、小ドット用のインクImSの噴射タイミングを定めているといえる。
なお、小ドットSDの形成以外の階調に関し、パルス選択データは、前述した標準のパルス選択テーブル421Aと同じである。簡単に説明すると、インクの非噴射(画素データ「00」)に対応してパルス選択信号「0100」が定められる。中ドットの形成(画素データ「01」)に対応してパルス選択信号「1010」が定められ、大ドットLDの形成(画素データ「11」)に対応してパルス選択信号「1011」が定められる。
次に、各インクの噴射タイミングを具体例に基づいて説明する。ここで、図17Aは、小ドット用のインクImSの噴射タイミングを模式的に説明する図である。図17Bは、大ドット用のインクImLの噴射タイミングを模式的に説明する図である。
小ドット用のインクImSは、第1の期間T1で発生される第1の小ドット駆動パルスDP1によって噴射される。このため、第1の期間T1でインクは噴射されている。また、大ドット用のインクImLは、第1の期間T1で発生される第1の小ドット駆動パルスDP1、第3の期間T3で発生される第2の小ドット駆動パルスDP2、及び第4の期間T4で発生される第3の小ドット駆動パルスDP3によって噴射される。このため、インクの噴射は期間T4で終了する。
これに対し、前述した標準のパルス選択テーブル421Aでは、小ドット用のインクImSは、第3の期間T3で発生される第2の小ドット駆動パルスDP2によって噴射される。従って、変更後のパルス選択テーブル421Bは、標準のパルス選択テーブル421Aに比べて、小ドット用のインクImSを早いタイミングで噴射させるものといえる。その結果、変更後のパルス選択テーブル421Bでは、小ドット用のインクImSの着弾位置が、標準のパルス選択テーブル421Aを用いた場合よりも、キャリッジ移動方向の手前側になる。
ここで、図17Cは、図16Bのパルス選択テーブル421で形成した小ドットSDと大ドットLDを示す図である。そして、この図17Cは、図9Aに対応する図である。この図17Cと図9Aとを比較すると、変更後のパルス選択テーブル421Bを用いることにより、小ドットSDの形成位置を、大ドットLDの形成位置(目標形成位置)に近付けることができる。すなわち、インクの量が異なる複数種類のドットに関し、キャリッジ移動方向の形成位置のずれを抑制することができる。これにより、印刷画像の質を高めることができる。
また、本実施形態では、インクの噴射タイミングの調整を、ピエゾ素子411へ供給される小ドット駆動パルスDPの選択によって行っている。これにより、インク噴射を多様化できる。例えば、噴射されるインクの量を定めるにあたり、本実施形態のように、小ドット駆動パルスDPのピエゾ素子411への供給数を変える構成を採ることができる。これは、インクの噴射タイミングの調整に際し、原駆動信号ODRVそのものの形状は変更されないためである。さらに、本実施形態では、インクを噴射させるためのパルスが小ドット駆動パルスDP(第1の小ドット駆動パルスDP1〜第3の小ドット駆動パルスDP3)であり、同じ形状である。このような構成を採ることにより、いずれの小ドット駆動パルスDPも噴射タイミングの調整に使用することができる。言い換えれば、いずれの小ドット駆動パルスDPであっても、小ドットの形成に使用することができる。その結果、インクを噴射させるタイミングに関し、きめ細かな制御が可能となる。
<縦罫線による評価結果について>
次に、縦罫線VRによる評価結果について説明する。ここで、図18Aは、評価用の縦罫線VRを説明する図である。図18Bは、評価項目の1つであるぼやけを説明する図である。図18Cは、評価項目の1つであるがたつきを説明する図である。
この評価では、まず、評価用の縦罫線VRをプリンタ1に印刷させる。ここで、評価用の縦罫線VRとは、例えば図18Aに示すように、キャリッジ移動方向の両端に形成される画素(左右エッジの画素)が小ドットSDで形成され、左エッジの画素と右エッジの画素に挟まれた画素が大ドットLDで形成された罫線であり、搬送方向に沿って印刷されている。なお、印刷される評価用の縦罫線VRは2種類である。一方の縦罫線VRは、変更後のパルス選択テーブル421B(図16Bを参照。)が設定されたプリンタ1によって印刷された縦罫線VR(便宜上、評価対象の縦罫線VRともいう。)である。他方の縦罫線VRは、小ドット用のインクImSについて、噴射タイミングの調整が必要と判断されたにも拘わらず、標準のパルス選択テーブル421A(図8Bを参照。)が設定されたプリンタ1によって印刷された縦罫線VR(便宜上、比較用の縦罫線VRともいう。)である。そして、これらの評価対象の縦罫線VR、及び比較用の縦罫線VRについて、ぼやけとがたつきを測定している。
ここで、ぼやけとがたつきについて説明する。これらのぼやけとがたつきについては、ISO/IEC13660に定められている。簡単に説明すると次の通りである。ぼやけとは、輪郭の曖昧さの度合いを意味する。具体的には、図18Bに示すように、内側の境界から外側の境界までの距離HL,距離HRの平均値であり、例えばμmで示される。ここで、内側の境界は、濃度90%の位置とされる。濃度90%とは、その画像における最大濃度を100%、最低濃度を0%としたときの比率で表されている。一方、外側の境界は、濃度10%の位置とされる。また、がたつきは、理想的なエッジの位置からの形状的なずれを意味し、例えばμmで示される。図18B,図18Cに示す例では、濃度60%の位置TL(左側エッジ)及び、位置TR(右側エッジ)を通るように基準仮想線が定められており、がたつきは、これらの基準仮想線からの標準偏差とされる。
そして、本実施形態では、これらのぼやけとがたつきを、Quality Engineering Associate社製の画像評価システムIAS−1000によって評価した。なお、評価に際し、キャリッジCRの移動方向は、図18Aに示すように、左側から右側に定められている。評価結果を表1に示す。
Figure 2006035578
まず、ぼやけについて説明する。評価対象の縦罫線VRでは、左側エッジのぼやけが100.7μmであり、右側エッジのぼやけが103.0μmであった。これに対し、比較用の縦罫線VRでは、左側エッジのぼやけが98.1μmであり、右側エッジのぼやけが104.1μmであった。ここで、右側エッジのぼやけに関し、評価対象の縦罫線VRと比較用の縦罫線VRの間で大きな違いは見られなかった。すなわち、評価対象の縦罫線VRにおける右側エッジのぼやけが103.0μmであるのに対し、比較用の縦罫線VRにおける右側エッジのぼやけが104.1μmであった。このように、右側エッジのぼやけに差が出なかったのは、直前に噴射された大ドット用のインクImLの影響が考えられる。すなわち、右側エッジのドットを形成する場合、大ドット用のインクImLに続いて、小ドット用のインクImSが飛行することになる。これにより、小ドット用のインクImSが単独で飛行する場合よりも、空気の粘性抵抗の影響が少なくなったと考えられる。
一方、左側エッジのぼやけに関し、比較用の縦罫線VRのぼやけが98.1μmとなっており一見良好である。しかし、これは、左側エッジの小ドットSDが大ドットLDに重なって着弾したことが起因していると考えられる。その理由は、左側エッジと右側エッジのぼやけの差である。このぼやけの差に関し、評価対象の縦罫線VRでは2.4μmとなっているのに対し、比較用の縦罫線VRでは6.0μmとなっており、2.5倍の差が生じている。前述したように、右側エッジは直前に噴射された大ドットのインクの影響により、インクの着弾位置(小ドットSDの形成位置)は、ずれが少ないと考えられる。従って、左側エッジに小ドットが位置精度良く形成された場合、ぼやけの値も左側エッジと右側エッジで同じ値になると考えられる。この点、比較例における左側エッジのぼやけが、右側エッジのぼやけと大きく違っていることから、小ドットSDの着弾位置が大きくずれていると考えられる。
以上より、評価対象の縦罫線VRでは、小ドット用のインクImSが縦罫線VRの両エッジの画素に着弾していると考えられ、比較用の縦罫線VRよりもドットの形成位置を精度良く制御できていると考えられる。
次に、がたつきについて説明する。このがたつきに関し、評価対象の縦罫線VRでは、左側のがたつきが8.4μmであり、右側のがたつきが9.9μmであった。これに対し、比較用の縦罫線VRでは、左側のがたつきが9.8μmであり、右側のがたつきが9.4μmであった。このがたつきに関しても、右側エッジより左側エッジの方が改善されている。この理由も、前述したぼやけと同様な理由と考えられる。すなわち、比較用の縦罫線VRにおいて、左側エッジに、小ドット用のインクImSと大ドット用のインクImLが重ねて着弾されたと考えると、画素に対するインク量が過剰になっている可能性が高い。そして、このインクの過剰分が、がたつきとなって現れた可能性がある。
そのように考えると、評価対象の縦罫線VRでは、比較用の縦罫線VRよりもインクの着弾位置を精度良く制御できていると考えられる。
<文字画像による具体例について>
次に、文字画像における輪郭画素を小ドットSDで形成し、輪郭画素の滲みを抑えた具体例について説明する。ここで、図19Aは、「N」の文字画像に関し、輪郭画素及び内側画素を模式的に説明する図である。また、図19Bは、「N」の文字画像を印刷する際に選択されるドットを説明する図である。なお、図19Bにおいて、[小]はその画素に小ドットSDを形成することを表し、[大]はその画素に大ドットLDを形成することを表している。
図19Aの例では、輪郭画素は、文字画像と用紙Sの地色部分との境界に位置している。すなわち、輪郭画素は、ドットが形成される複数の画素の内、外周部分の画素が相当する。また、複数の輪郭画素によって囲まれた部分の画素が内側画素に相当する。そして、図19Bに示すように、輪郭画素には小ドットSDが設定され、内側画素には大ドットLDが設定される。
ここで、図20Aは、輪郭画素を小ドットSDで形成した「N」の文字画像ChAを示す図であって、小ドットSDを第1の小ドット駆動パルスDP1で形成した例を示している。すなわち、変更後のパルス選択テーブル421Bが設定されたプリンタ1によって印刷された文字画像を示している。また、図20Bは、同じく「N」の文字画像ChBを示す図であって、小ドットSDを第2の小ドット駆動パルスDP2で形成した例を示している。すなわち、小ドット用のインクImSについて、噴射タイミングの調整が必要と判断されたにも拘わらず調整をせず、標準のパルス選択テーブル421Aが設定されたプリンタ1で印刷された文字画像を示している。便宜上、以下の説明では、図20Aの文字画像を評価対象の文字画像ChAといい、図20Bの文字画像を比較用の文字画像ChBという。
評価対象の文字画像ChAと比較用の文字画像ChBとを比較すると、まず、ドットが形成されていない白抜け部分の数が違うことが判る。すなわち、白抜け部分は、評価対象の文字画像ChAよりも、比較用の文字画像ChBの方が多くなっている。また、エッジ部分のがたつきに関しては、比較用の文字画像ChBよりも評価対象の文字画像ChAの方が全体的に少なくなっている。このように、小ドット用のインクImSの噴射タイミングを調整することで、文字画像の画質の向上が図れたといえる。
===その他の実施形態===
以上は、一実施形態としてのプリンタ1について説明したが、この実施形態に限定して解釈されるべきではない。すなわち、例示した実施形態は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るし、その等価物も含まれる。例えば、以下の実施形態であっても良い。
<インクの噴射量の調整について>
前述の実施形態では、小ドット駆動パルスDPがピエゾ素子411(駆動素子)に供給される数により、噴射されるインクの量を調整するものであった。この点に関し、異なる量のインクを噴射させる駆動パルスを選択的にピエゾ素子411(駆動素子)に給することで、噴射させるインクの量を調整するようにしても良い。例えば、前述した繰り返し周期T内に、小ドット用のインクImSを噴射させる複数の小ドット駆動パルスと、中ドット用のインクImMを噴射させる少なくとも1つの中ドット駆動パルスとを発生させ、これらの駆動パルスを適宜ピエゾ素子411に供給して所望量のインクを噴射させるようにしても良い。このように構成すると、インク量の調整幅を拡げることができる。
また、前述した実施形態のように、同じ量のインクを噴射させる駆動パルスを、繰り返し周期T内に複数発生させ、この駆動パルスのピエゾ素子411への供給回数により、噴射されるインクの量を定めるようにした場合には、供給される駆動パルスの回数と噴射されるインクの量とが相関関係を有するため、制御の簡素化が図れる。
また、前述した実施形態では、1つの繰り返し周期T内に、インクを噴射させるための駆動パルスが3回発生されるものであった。しかし、発生回数は、この数に限定されるものではない。例えば、1つの繰り返し周期T内に4回以上発生させても良い。
さらに、前述した実施形態は、小ドット用のインクImSの飛行速度が大ドット用のインクImLの飛行速度よりも遅い場合について説明したが、小ドット用のインクImSの飛行速度が大ドット用のインクImLの飛行速度よりも速い場合にも同様に実施できる。
<原駆動信号ODRVについて>
原駆動信号ODRVの繰り返し周期Tに関し、前述の実施形態では、1つの画素に対応する周期として定められていたが、これに限定されるものではない。例えば、2つ以上の画素に対応する周期として定めても良い。
<印刷画像について>
印刷される画像は文字画像に限らず、イメージ画像であっても良い。勿論、文字画像とイメージ画像とが混在した画像であっても良い。
<印刷システム100について>
印刷システム100に関し、前述の実施形態では、印刷装置としてのプリンタ1と、印刷制御装置としてのコンピュータ110とが別々に構成されているものについて説明したが、この構成に限定されない。印刷システム100は、印刷装置と印刷制御装置とが一体になっているものであっても良い。
<駆動素子について>
前述の実施形態では、ピエゾ素子411を用いてインクを噴射させていた。しかし、インクを噴射させる方式は、これに限られるものではない。例えば、熱によりノズルNz内に泡を発生させる方式など、他の方式を用いても良い。
<インクについて>
前述の実施形態は、プリンタ1の実施形態であったので、染料インク又は顔料インクをノズルNzから噴射させていた。しかし、ノズルNzから噴射させるインクは、このようなインクに限られるものではない。
<他の応用例について>
また、前述の実施形態では、プリンタ1が説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の記録装置に、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。
印刷システムの外観構成を示した説明図である。 コンピュータ、及びプリンタの構成を説明するブロック図である。 コンピュータのメモリに格納されたコンピュータプログラムの概略的な説明図である。 プリンタの全体構成を説明する図である。 プリンタの全体構成の横断面図である。 ノズルの配列を示す図である。 原駆動信号発生部、駆動信号整形部、及びヘッドの関係を説明するブロック図である。 図8Aは、標準のパルス選択テーブルにおける原駆動信号、及びピエゾ素子に供給される駆動パルスを説明する図である。図8Bは、標準のパルス選択テーブルを説明する概念図である。 図9Aは、キャリッジが左側から右側に向けて移動する場合におけるドットの形成位置のずれを模式化して示す図である。図9Bは、キャリッジが右側から左側に向けて移動する場合におけるドットの形成位置のずれを模式化して示す図である。 図10Aは、小ドット用のインクと、大ドット用のインクの飛行速度の違いを説明する図である。図10Bは、大ドット用のインクの噴射時に生じ得る合体を、模式的に説明する図である。 インク噴射の調整方法に使用される機器を説明する図である。 インク噴射の調整方法を説明するフローチャートである。 図13Aは、印刷されたテストパターンの例を説明する図である。図13Bは、テストパターンの一部分を拡大して示す図である。 図14Aは、小ドットによる細罫線が目標位置よりもずれて印刷された状態を説明する図である。図14Bは、図14Aのテストパターンの濃度データを説明する図である。 図15Aは、小ドットによる細罫線がほぼ目標位置に印刷された状態を説明する図である。図15Bは、図15Aのテストパターンの濃度データを説明する図である。 図16Aは、図14A及び図14Bの例に適した原駆動信号、及び小ドット駆動パルスのピエゾ素子への供給を説明する図である。図16Bは、図14A及び図14Bの例に適したパルス選択テーブルを説明する概念図である。 図17Aは、小ドット用のインクの噴射タイミングを模式的に説明する図である。図17Bは、大ドット用のインクの噴射タイミングを模式的に説明する図である。図17Cは、図16Bのパルス選択テーブルで形成した小ドットと大ドットを示す図である。 図18Aは、評価用の縦罫線を説明する図である。図18Bは、評価項目の1つであるぼやけを説明する図である。図18Cは、評価項目の1つであるがたつきを説明する図である。 図19Aは、「N」の文字画像に関し、輪郭画素及び内側画素を模式的に説明する図である。図19Bは、「N」の文字画像を印刷する際に選択されるドットを説明する図である。 図20Aは、評価対象の文字画像の例を示す図である。図20Bは、比較用の文字画像を示す図である。
符号の説明
1…プリンタ,20…用紙搬送機構,21…給紙ローラ,22…搬送モータ,
23…搬送ローラ,24…プラテン,25…排紙ローラ,30…キャリッジ移動機構,
31…キャリッジモータ,32…ガイド軸,33…タイミングベルト,
34…駆動プーリー,35…従動プーリー,40…ヘッドユニット,41…ヘッド,
411…ピエゾ素子,42…駆動信号整形部,421…パルス選択テーブル,
421A…標準のパルス選択テーブル,421B…変更後のパルス選択テーブル,
50…センサ群,51…リニア式エンコーダ,52…ロータリー式エンコーダ,
53…紙検出センサ,54…紙幅センサ,60…プリンタ側コントローラ,
61…インタフェース部,62…CPU,63…メモリ,64…制御ユニット,
641…原駆動信号発生部,100…印刷システム,110…コンピュータ,
110A…コンピュータ,112…ホスト側コントローラ,114…インタフェース部,
116…CPU,118…メモリ,120…表示装置,130…入力装置,
131…キーボード,132…マウス,140…記録再生装置,
141…フレキシブルディスクドライブ装置,142…CD−ROMドライブ装置,
150…コンピュータプログラム,151…ビデオドライバ,
152…アプリケーションプログラム,153…プリンタドライバ,
160…スキャナ装置,S…用紙,Nz…ノズル,CR…キャリッジ,
ODRV…原駆動信号,DRV(i)…ノズル毎の駆動信号,T…繰り返し周期,
DP…小ドット駆動パルス,VP…微振動パルス,ImL…大ドット用のインク,
ImM…中ドット用のインク,ImS…小ドット用のインク,
ChA…評価対象の文字画像,ChB…比較用の文字画像

Claims (11)

  1. 駆動パルスの駆動素子への供給に基づき、所定方向に移動される噴射部から、量が異なる複数種類のインクを媒体へ噴射可能な印刷装置のインク噴射の調整方法であって、
    所定量のインク、及び他の所定量のインクを、所定関係となるタイミングで前記噴射部から噴射させ、前記所定量のインクによるドット、及び前記他の所定量のインクによる他のドットを前記媒体に形成するドット形成ステップと、
    前記他のドットを基準とする、前記ドットの前記所定方向への形成位置のずれ量を取得するずれ量取得ステップと、
    前記ドットの前記所定方向への形成位置のずれ量が基準量以上の場合に、前記所定関係となるタイミングとは異なる、他の所定関係となるタイミングで、前記所定量のインク、及び前記他の所定量のインクが噴射されるように、前記駆動素子に供給される駆動パルスを決定する駆動パルス決定ステップと、を有するインク噴射の調整方法。
  2. 請求項1に記載のインク噴射の調整方法であって、
    前記駆動パルスは、
    所定の繰り返し周期内に複数発生されるものであり、
    前記駆動パルス決定ステップでは、
    前記繰り返し周期内に発生される複数の駆動パルスの中から、前記駆動素子に供給される駆動パルスを決定する、インク噴射の調整方法。
  3. 請求項2に記載のインク噴射の調整方法であって、
    前記所定量のインク、及び前記他の所定量のインクは、
    前記繰り返し周期内に供給される駆動パルスの数に応じて、その量が定められるものである、インク噴射の調整方法。
  4. 請求項3に記載のインク噴射の調整方法であって、
    前記駆動パルスは、
    それぞれが同じ量のインクを噴射させるためのものである、インク噴射の調整方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載のインク噴射の調整方法であって、
    前記所定量のインクは、前記他の所定量のインクよりも量が少ないものである、インク噴射の調整方法。
  6. 請求項5に記載のインク噴射の調整方法であって、
    前記他の所定関係は、
    前記所定関係よりも、前記所定量のインクが早く噴射されるものである、インク噴射の調整方法。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかに記載のインク噴射の調整方法であって、
    前記ドット形成ステップでは、
    前記ドット、及び前記他のドットが前記所定方向に隣接されるように形成し、
    前記ずれ量取得ステップでは、
    隣接する前記ドットと前記他のドットの間隔に基づき、前記ドットの前記所定方向への形成位置のずれ量を取得する、インク噴射の調整方法。
  8. 請求項7に記載のインク噴射の調整方法であって、
    前記ドット形成ステップでは、
    前記所定方向に沿って所定間隔で形成された一対の前記他のドットの間に前記ドットを形成する、インク噴射の調整方法。
  9. 請求項7又は請求項8に記載のインク噴射の調整方法であって、
    前記ドット形成ステップでは、
    前記ドット、及び前記他のドットを、前記所定方向とは交差する他の所定方向に沿って複数形成し、
    前記ずれ量取得ステップでは、
    隣接する前記ドットと前記他のドットの間隔を、前記他の所定方向における複数の位置で計測する、インク噴射の調整方法。
  10. 駆動パルスの駆動素子への供給に基づき、所定方向に移動される噴射部から、量が異なる複数種類のインクを媒体へ噴射可能な印刷装置のインク噴射の調整方法であって、
    所定量のインク、及び他の所定量のインクを、所定関係となるタイミングで前記噴射部から噴射させ、前記所定量のインクによるドット、及び前記他の所定量のインクによる他のドットを前記媒体に形成するドット形成ステップと、
    前記他のドットを基準とする、前記ドットの前記所定方向への形成位置のずれ量を取得するずれ量取得ステップと、
    前記ドットの前記所定方向への形成位置のずれ量が基準量以上の場合に、前記所定関係となるタイミングとは異なる、他の所定関係となるタイミングで、前記所定量のインク、及び前記他の所定量のインクが噴射されるように、前記駆動素子に供給される駆動パルスを決定する駆動パルス決定ステップと、を有し、
    前記駆動パルスは、
    所定の繰り返し周期内に複数発生されるものであって、それぞれが同じ量のインクを噴射させるものであり、
    前記所定量のインク、及び前記他の所定量のインクは、
    前記繰り返し周期内に供給される駆動パルスの数に応じて、その量が定められるものであり、
    前記所定量のインクは、
    前記他の所定量のインクよりも量が少ないものであり、
    前記他の所定関係は、
    前記所定関係よりも、前記所定量のインクが早く噴射されるものであり、
    前記ドット形成ステップでは、
    前記ドット、及び前記他のドットが前記所定方向に隣接されるように、前記所定方向に沿って所定間隔で形成された一対の前記他のドットの間に前記ドットを形成し、且つ、前記ドット、及び前記他のドットを、前記所定方向とは交差する他の所定方向に沿って複数形成し、
    前記ずれ量取得ステップでは、
    前記他の所定方向における複数の位置で計測された隣接する前記ドットと前記他のドットの間隔に基づき、前記ドットの前記所定方向への着弾位置のずれ量を取得し、
    前記駆動パルス決定ステップでは、
    前記繰り返し周期内に発生される複数の駆動パルスの中から、前記駆動素子に供給される駆動パルスを決定する、インク噴射の調整方法。
  11. 駆動パルスの駆動素子への供給に基づき、所定方向に移動される噴射部から、量が異なる複数種類のインクを媒体へ噴射させて画像を印刷する印刷方法であって、
    所定量のインク、及び他の所定量のインクを、所定関係となるタイミングで前記噴射部から噴射させ、前記所定量のインクによるドット、及び前記他の所定量のインクによる他のドットを前記媒体に形成するドット形成ステップと、
    前記他のドットを基準とする、前記ドットの前記所定方向への形成位置のずれ量を取得するずれ量取得ステップと、
    前記ドットの前記所定方向への形成位置のずれ量が基準量以上の場合に、前記所定関係となるタイミングとは異なる、他の所定関係となるタイミングで、前記所定量のインク、及び前記他の所定量のインクが噴射されるように、前記駆動素子に供給される駆動パルスを決定する駆動パルス決定ステップと、
    前記所定量のインク、及び前記他の所定量のインクを、前記他の所定関係となるタイミングで噴射させるように定めた場合には、文字画像の内側画素を前記他の所定量のインクによる他のドットで形成し、文字画像の輪郭画素を、前記他の所定関係となるタイミングで、前記他の所定量よりも少ない前記所定量のインクによるドットで形成する印刷ステップと、
    を有する印刷方法。

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