JP2006035496A - フォトクロミック積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来のフォトクロミック積層体では成し得なかった耐光性の向上と共に、発色濃度の向上、更には耐水性も付与できるため、製造時の制約が少なく、あらゆる分野に使用できる応用性に優れたフォトクロミック積層体を提供する。
【解決手段】 支持体上に、スピロオキサジン誘導体又はスピロピラン誘導体から選ばれるフォトクロミック化合物を、重量平均分子量が200乃至6000のスチレン系オリゴマーに溶解してなるフォトクロミック材料を含む光変色層を積層してなるフォトクロミック積層体。
【選択図】 なし

Description

本発明はフォトクロミック積層体に関する。更に詳細には、含有されるフォトクロミック化合物の耐光堅牢性及び発色濃度を向上させたフォトクロミック積層体に関する。
従来より、耐光堅牢性を向上させたフォトクロミック材料としては、フォトクロミック化合物にN−ニトロソフェニル系化合物を添加したもの(例えば、特許文献1参照)、有機亜リン酸エステル化合物及びヒンダードフェノールを添加したもの(例えば、特許文献2参照)、特定3級アミン化合物を添加したもの(例えば、特許文献3参照)が開示されている。
特開平5−25472号公報 特開平7−216350号公報 特許第2724031号公報
前記した従来のフォトクロミック化合物について実用性を確認したところ、耐光堅牢性を向上させる効果を有する反面、色濃度が低下するといった不具合を生じ易く、実用性を損なうものであり、支持体上に前記フォトクロミック化合物を含む光変色層を設けた積層体も同様の不具合を有するものであった。
本発明者は耐光性改良検討を行った結果、支持体上に、特定のスチレン系オリゴマーにフォトクロミック化合物を溶解させたフォトクロミック材料を含む光変色層を設けることによって、耐光性が向上し、且つ、発色濃度を向上させることを見出した。
即ち、本発明は、支持体上に、スピロオキサジン誘導体又はスピロピラン誘導体から選ばれるフォトクロミック化合物を、重量平均分子量が200乃至6000のスチレン系オリゴマーに溶解してなるフォトクロミック材料を含む光変色層を積層してなるフォトクロミック積層体を要件とする。
更には、前記フォトクロミック化合物と、スチレン系オリゴマーの重量比が1:1〜1:10000であること、前記スチレン系オリゴマーの重量平均分子量が200乃至4000であること、前記フォトクロミック材料中に、水酸基、エステル基、カルボキシル基から選ばれる少なくとも一以上の官能基を有し、沸点が150℃以上であり、且つ、融点又は軟化点が150℃以下の有機化合物をスチレン系オリゴマー100重量部に対し、50重量部以下の割合で添加してなること、ヒンダードアミン系光安定剤を含んでなること、前記ヒンダードアミン系光安定剤が下記一般式(1)で示される化合物であること、
Figure 2006035496
(式中、R1 は炭素数1乃至30のアルキル基を示し、R2 、R3 、R4 、R5 はそれぞれ炭素数1乃至5のアルキル基を示し、nは1以上の整数を示し、R6 はn価の有機残基を示す。)
前記フォトクロミック化合物とスチレン系オリゴマーを微小カプセルに内包してなる、或いは、樹脂粒子中に分散してなること等を要件とする。
本発明は、従来のフォトクロミック材料では成し得なかった耐光性の向上と共に、発色濃度の向上、更には耐水性も付与できるため、製造時の制約が少なく、あらゆる分野に使用できる応用性に優れたフォトクロミック積層体を提供できる。
前記スピロオキサジン誘導体又はスピロピラン誘導体から選ばれるフォトクロミック化合物は、スチレン系オリゴマーに溶解して用いられる。
前記スチレン系オリゴマーは重量平均分子量が200乃至6000、好ましくは200乃至4000のものが用いられる。
スチレン系オリゴマーの重量平均分子量が200未満の場合、含有モノマーが多くなり、安定性に欠けるため耐光性向上効果を発現し難くなる。
また、重量平均分子量が6000を越えると、光照射により色残りが発生し、且つ、発色濃度が低くなり、変色感度は鈍くなる。
なお、重量平均分子量は、GPC法(ゲル浸透クロマトグラフ法)により測定する。
前記スチレン系オリゴマーとしては、低分子量ポリスチレン、スチレン−α−メチルスチレン系共重合体、α−メチルスチレン重合体、α−メチルスチレンとビニルトルエンの共重合体、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、d−リモネン重合体等が挙げられる。低分子量ポリスチレンとしては、三洋化成工業(株)製、商品名:ハイマーSB−75(重量平均分子量2000)、ハイマーST−95(重量平均分子量4000)等が用いられる。
スチレン−α−メチルスチレン系共重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコラスチックA5(重量平均分子量317)、ピコラスチックA75(重量平均分子量917)等が用いられる。
α−メチルスチレン重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:クリスタレックス3085(重量平均分子量664)、クリスタレックス3100(重量平均分子量1020)、クリスタレックス1120(重量平均分子量2420)等が用いられる。
α−メチルスチレンとビニルトルエンの共重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコテックスLC(重量平均分子量950)、ピコテックス100(重量平均分子量1740)等が用いられる。
α−ピネン重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコライトA115(重量平均分子量833)が用いられる。
β−ピネン重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコライトS115(重量平均分子量1710)が用いられる。
d−リモネン重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコライトC115(重量平均分子量902)が用いられる。
前記ポリスチレン系オリゴマーは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用して用いることもできる。
前記フォトクロミック化合物のうち、スピロオキサジン誘導体を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
インドリノスピロベンゾオキサジン系化合物としては、
1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6′−クロロ−5−フルオロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジメチル−1−エチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5,7−ジフルオロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−シアノ−3,3−ジメチル−1−(メトキシカルボニル)メチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−メチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−メチル−5′−ニトロジスピロ〔シクロペンタン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3,5′−テトラメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6′−フルオロ−1′−メチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1−ベンジル−6′−クロロ−3,3−ジメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6′−メトキシ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−クロロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−ブロモ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−ヨード−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−トリフルオロメチル−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジエチル−1−メチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3,6′−テトラメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6−クロロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5′−フルオロ−1′−メチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−シアノ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−エトキシカルボニル−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
4′,6′−ジフルオロ−1′−メチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジメチル−1−(メトキシカルボニル)メチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジメチル−1−フェニルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−メトキシ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3,5−テトラメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
7′−クロロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3,7′−テトラメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
7′−メトキシ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6′−クロロ−5−フルオロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−クロロ−1,3−ジメチル−3−エチル−5′−メトキシスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジエチル−1−メチル−5−ニトロスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′,6′−ジメチルスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
9″−ブロモ−1′−メトキシカルボニルメチル−5′−トリフルオロメチルジスピロ〔シクロペンタン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′〔1′H〕,3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1−ベンジル−3,3−ジ−nブチル−7′−エチル−5−メトキシスピロ〔2H−インドール−1,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−n−ブチル−6′−ヨードジスピロ〔シクロヘプタン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジメチル−9′−ヨード−1−ナフチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
4′−シアノ−1′−(2−(メトキシカルボニル)エチル)ジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
7−メトキシカルボニル−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
4−ブロモ−3,3−ジエチル−9′−エトキシ−1−(2−フェニル)エチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−メチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6−フルオロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−エチル−9−フルオロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−ベンジル−6″−ヨードジスピロ〔シクロペンタン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−エトキシ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−メチル−5′−トリクロロメチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3−ジエチル−3−メチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−メトキシカルボニルメチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H)−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕等、インドリノスピロベンゾオキサジンのインドール環及びベンゼン環のハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等の各置換体を例示することができる。
インドリノスピロナフトオキサジン系化合物としては、
1,3,3−トリメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−クロロ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−ブロモ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3,5−テトラメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−n−プロピル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−iso−ブチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−メトキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−n−プロポキシ−スピロナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−シアノ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−n−エチル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−n−プロピル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−iso−ブチル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−n−オクチル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−n−オクタデシル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−8′−スルホン酸ナトリウム−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−9′−メトキシスピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−トリフルオロ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−ベンジル−3,3−ジメチル−スピロナフトオキサジン、
1−(4′−メチルフェニル)−3,3−ジメチル−スピロナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−6′−(2,3−ジヒドロ−1−インドリノ)−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−6′−(1−ピペリジニル)−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−6−トリフルオロメチル−6′−(1−ピペリジニル)−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−ベンジル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(4−メトキシベンジル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(4−クロロベンジル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−エチル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、1−イソプロピル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(2−フェノキシエチル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3−ジメチル−3−エチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−9′−ヒドロキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3−ジメチル−3−エチル−8′−ヒドロキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、1,3,3,5−テトラメチル−9′−メトキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3,5,6−ペンタメチル−9′−メトキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−4−トリフルオロメチル−5′−メトキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5′−メトキシ−6′−トリフルオロメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−4−トリフルオロメチル−9′−メトキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,5,6−テトラメチル−3−エチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3,5,6−ペンタメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−メチル−3,3−ジフェニル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(4−メトキシベンジル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(3,5−ジメチルベンジル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(2−フルオロベンジル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン等、インドリノスピロナフトオキサジンのインドール環及びベンゼン環のハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等の各置換体を例示することができる。
インドリノスピロフェナントロオキサジン系化合物の例としては、1,3,3−トリメチル−スピロインドリンフェナントロオキサジン、1,3,3−トリメチル−5−クロロ−スピロインドリンフェナントロオキサジン等、インドリノスピロフェナントロオキサジンのインドール環及びベンゼン環のハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等の各置換体を例示することができる。
インドリノスピロキノリノオキサジン系化合物としては、1,3,3−トリメチル−スピロインドリンキノリノオキサジン等、インドリノスピロキノリノオキサジンのインドール環及びベンゼン環のハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等の各置換体を例示することができる。
前記フォトクロミック化合物のうち、スピロピラン誘導体を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1,3,3−トリメチルインドリノベンゾピリロスピラン、1,3,3−トリメチルインドリノ−6′−ブロモベンゾピリロスピラン、1,3,3−トリメチルインドリノ−8′−メトキシベンゾピリロスピラン、1,3,3−トリメチルインドリノ−β−ナフトピリロスピラン、1,3,3−トリメチルインドリノ−6′−ニトロベンゾピリロスピラン等を例示することができる。
前記フォトクロミック化合物とスチレン系オリゴマーの重量比は、1:1〜1:10000であることが好ましく、より好ましくは1:5〜1:500である。
前記重量比を満たすことによって、耐光性向上効果に優れ、且つ、フォトクロミック化合物は十分な発色濃度を示すことができる。
前記フォトクロミック化合物とスチレン系オリゴマーからなるフォトクロミック材料中には、水酸基、エステル基、カルボキシル基から選ばれる少なくとも一以上の官能基を有し、沸点が150℃以上であり、且つ、融点又は軟化点が150℃以下の有機化合物をスチレン系オリゴマー100重量部に対し、50重量部以下の割合で添加することにより、耐光堅牢性及び発色濃度を阻害するとなく発消色時の変色時間を調節することができる。
前記有機化合物としては、炭素数8以上の脂肪族一価アルコール、炭素数8以上の脂肪族二価アルコール、炭素数7以上の芳香族アルコール、炭素数7以上の脂肪族エステル、炭素数7以上の芳香族エステル、炭素数6以上の脂肪族カルボン酸、炭素数6以上の芳香族カルボン酸が挙げれる。
前記化合物として具体的には、n−オクチルアルコール、n−デシルアルコール、n−ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、n−ドデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクタデカン−2−オール、シクロドデカノール、ヘキサン1,6−ジオール、コレステロール、p−クロロベンジルアルコール、p−メチルベンジルアルコール、エチレングリコール#4000、ポリエチレングリコール#6000、オレイルアルコール、ポリオール(水酸基を有するオリゴマー)、水酸基を有するロジン系樹脂オリゴマー〔荒川化学工業(株)、商品名:パインクリスタルD−6011、同KR−1840〕等のアルコール類。
カプロン酸n−オクチル、カプロン酸ミリスチル、カプリル酸n−ヘプチル、カプリル酸n−ブチル、ラウリン酸n−ブチル、ラウリン酸ラウリル、ミリスチン酸n−ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸n−アミル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸ステアリル、ステアリン酸n−ヘキシル、ステアリン酸n−オクチル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸セチル、ベヘン酸n−ブチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸3−メチルブチル、ベヘン酸2−メチルペンチル、ステアリン酸ネオペンチル、ステアリン酸イソブチル、ピバリン酸ステアリル、ベヘン酸ベンジル、パルミチン酸4−メチルベンジル、安息香酸セチル、安息香酸ステアリル、フェノキシ酢酸ステアリル、サリチル酸ミリスチル、2−ナフトエ酸ステアリル、p−メトキシ安息香酸ステアリル、ステアリン酸シクロヘキシル、プロピオン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、オクタメチレンジカルボン酸ジミリスチル、オクタメチレンジカルボン酸ジブチル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジステアリル、セバシン酸ジミリスチル、テレフタル酸ジエチル、レブリン酸ステアリル、ステアリン酸テトラヒドロフルフリル、12−ヒドロキシステアリン酸n−ブチル、ブタン−1,2,3,4−テトラドデシルエステル、リンゴ酸ジラウリル、酒石酸ジ−n−オクチル、安息香酸フェニル、安息香酸ベンジル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、エステル基を有するアクリル樹脂オリゴマー〔荒川化学工業(株)、商品名:パインクリスタルKE−100〕等のエステル類。
カプロン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、エルカ酸、2−エチル−ヘキサデカン酸、p−tert−ブチル安息香酸、ベンジル酸、p−アミノ安息香酸、1,16−ヘキサデカメチレンジカルボン酸、セバシン酸、カルボキシル基を有するロジン系樹脂オリゴマー〔荒川化学工業(株)、商品名:パインクリスタルKE−604、同KR−85〕等のカルボン酸類を例示できる。
本発明のフォトクロミック材料には、ヒンダードアミン系光安定剤を添加して耐光性を更に向上させることもできる。
ヒンダードアミン系化合物としては下記一般式(1)で示される化合物が好適であるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
Figure 2006035496
(式中、R1 は炭素数1乃至30のアルキル基を示し、R2 、R3 、R4 、R5 はそれぞれ炭素数1乃至5のアルキル基を示し、nは1以上の整数を示し、R6 はn価の有機残基を示す。)
一般式(1)で示される化合物としては、
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、
2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、
テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカンとの混合エステル化物、
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び1−トリデカノールとの混合エステル化物、
1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−メタクリレート、
N,N′,N′′,N′′′−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、
N−メチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペレジニル)ピロリジン−2,5−ジオン等を例示することができる。
前記フォトクロミック材料は、微小カプセルに内包させて可逆光変色性微小カプセル顔料を形成したり、熱可塑性又は熱硬化性樹脂中に分散して可逆光変色性樹脂粒子を形成することもできる。
なお、前記微小カプセルは、平均粒子径0.5〜100μm、好ましくは1〜50μm、より好ましくは、1〜30μmの範囲が実用性を満たす。
前記微小カプセルの平均粒子径が100μmを越えると、インキ、塗料、或いは熱可塑性樹脂中へのブレンドに際して、分散安定性や加工適性に欠ける。
一方、平均粒子径が0.5μm未満では、高濃度の発色性を示し難くなる。
前記マイクロカプセル化は、従来より公知のイソシアネート系の界面重合法、メラミン−ホルマリン系等のin Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更に微小カプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
本発明においては、前記フォトクロミック材料をビヒクル中に分散して、塗料や印刷インキ等の液状組成物を調製し、従来より公知の方法、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷、転写等の印刷手段、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装、等の手段により、紙、合成紙、糸、布帛、植毛或いは起毛布、不織布、合成皮革、レザー、プラスチック、ガラス、陶磁器、木材、石材、金属等の支持体上に光変色層を形成してフォトクロミック積層体を得ることができる。
なお、前記光変色層は、液状組成物中の溶剤が揮発してそれ以外の化合物により形成される層であり、前記フォトクロミック材料は樹脂に分散状態に固着されてなる。
前記積層体の形態としては、光変色層が支持体表面に層状に固着された形態、支持体内部にフォトクロミック材料が含浸固着され、表面に一部を露出させた形態を含み、プラスチック等の非浸透性基材からなる各種造形物、繊維及び紙製加工体等を例示でき、具体例としては、被服、履物、貴金属、照明器具、玩具、造花、文房具、日用品、台所用品、化粧用具、運動用具、書籍等の印刷物、乗物、機械、屋内装飾品、医療品等が挙げられる。
また、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂中に前記フォトクロミック材料をブレンドした成形用樹脂組成物により成形した成形物を支持体上に貼着して積層体を形成してもよい。
更に、前記積層体の光変色層上には、光安定剤を含む層を積層することによって耐光性を向上させたり、或いは、トップコート層を設けて耐久性を向上させることもできる。
フォトクロミック材料の調製
1,3,3−トリメチル−6─トリフルオロメチル−インドリノ−6′−(1−ピペリジニル)−スピロナフトオキサジン1重量部を、スチレン−α−メチルスチレン系共重合体〔理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコラスティクA5、重量平均分子量317〕10重量部中に均一に加温溶解させてフォトクロミック材料を得た。
以下の表に実施例1乃至13のフォトクロミック材料の組成を示す。
なお、表中の括弧内の数字は重量部を示す。
Figure 2006035496
以下の表に比較例1乃至12のフォトクロミック材料の組成を示す。
なお、表中の括弧内の数字は重量部を示す。
Figure 2006035496
試験試料の作製
前記のようにして得られた実施例1乃至12、比較例1乃至13のフォトクロミック材料をメチルエチルケトン100部に溶解して液状組成物を得た。
前記液状組成物を用いて、支持体として白色合成紙にバーコーターにてウェット膜が厚み90μmになるように塗工した後、乾燥させて光変色層を設けて試験試料(フォトクロミック積層体)を得た。
初期発色濃度試験
前記各試験試料を光源〔東芝ライテック(株)製、電球形蛍光ランプ、商品名:ネオボール5ブラックライトEFD15BLB〕から10cm離して1分間光照射した後、色差計〔東京電色(株)製、TC−3600)にて、明度値(Y値から換算)を測定した。
なお、明度値は数字が大きい程、色濃度が低く、小さい程、色濃度が高い。
初期消色速度試験
前記初期発色濃度試験と同様に光照射した各試験試料を、直ちに暗所(25℃)で放置し、光照射前の色濃度になる迄の時間を測定した。
なお、測定は1分毎に室内(25℃、照度300lux)で確認した。
耐光性試験
各試験試料を卓上型耐光性試験機(ヘレウス社製、SUNTEST CPS)を用いて照度140000luxにて1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、光照射した後、前記色差計にて、明度値を測定した。
以下の表に各試験試料の初期発色濃度試験、初期消色速度試験、及び、耐光性試験結果を示す。
Figure 2006035496
なお、表中の耐光性試験の評価に関する記号は以下のとおりである。
◎:初期と比較して100〜80%の色濃度を保持している。
○:初期と比較して80〜60%の色濃度を保持している。
△:初期と比較して60〜40%の色濃度を保持している。
▲:初期と比較して40〜20%の色濃度を保持している。
×:初期と比較して20〜0%の色濃度を保持している。
応用例1
フォトクロミック液状組成物の調製
実施例6で得られたフォトクロミック材料30重量部を、アクリル酸エステル樹脂エマルジョン45.0部、消泡剤1.0部、希釈水23.0部からなるビヒクル中に均一分散し、180メッシュスクリーンで濾過してフォトクロミック液状組成物(スプレー塗料)を得た。
フォトクロミック積層体の作製
前記スプレー塗料をスプレーガン(口径0.6mm)に充填して白色布帛(支持体)の全面に塗装を施した後、乾燥させて光変色層を形成してフォトクロミック積層体(フォトクロミック布帛)を得た。
前記布帛を縫製して、人形用の水着を作製した。
前記水着は太陽光に晒す前は白色であったが、太陽光に晒したところ、ピンク色に発色した。その後、室内で暫く放置したところ、ピンク色は消えて元の白色となった。
この色変化は繰り返し行うことができた。
応用例2
フォトクロミック液状組成物の調製
実施例4で得られたフォトクロミック材料15重量部を、50%アクリル樹脂/キシレン溶液20.0部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂10.0部、メチルイソブブチルケトン、30.0部、シクロヘキサノン30.0部からなるビヒクル中に攪拌混合してフォトクロミック液状組成物(スプレー塗料)を得た。
フォトクロミック積層体の作製
前記スプレー塗料をスプレーガン(口径0.6mm)に充填してABS樹脂を射出成形した車型の白色ミニチュアのボディー(支持体)全体に塗装を施した後、乾燥させて光変色層を形成してフォトクロミック積層体(フォトクロミックミニチュアカー)を得た。
前記ミニチュアカーは、太陽光に晒す前は白色であったが、太陽光に晒したところ、ピンク色に変色した。その後、室内で暫く放置したところ、ピンク色は消えて元の白色となった。
この色変化は繰り返し行うことができた。
応用例3
フォトクロミック液状組成物の調製
実施例4で得られたフォトクロミック材料35重量部、及び、青色顔料1重量部を、軟質エポキシ樹脂45.0部、低粘度エポキシ樹脂20.0部、ヒンダードアミン系光安定剤6.0部、揺変性付与剤2.0部、消泡剤0.3部からなるビヒクル中に均一に分散混合した後、常温硬化型の脂肪族ポリアミン40.0部を添加し、均一に攪拌混合してフォトクロミック液状組成物(軟質エポキシインキ)を得た。
フォトクロミック積層体の作製
前記インキを白色ミニチュアハウス成形物の屋根(支持体)に刷毛を用いて塗装し、70℃で1時間加温硬化させて光変色層を形成し、フォトクロミック積層体(フォトクロミックミニチュアハウス)を得た。
前記ミニチュアハウスは、太陽光に晒す前は青色であったが、太陽光に晒したところ、紫色に変色した。その後、室内で暫く放置したところ、紫色は消えて元の青色となった。
この色変化は繰り返し行うことができた。
応用例4
フォトクロミックマイクロカプセル顔料の調製
実施例2で得られたフォトクロミック材料を均一に溶融し内包液とする。
これとは別に、エチレン−無水マレイン酸共重合体(米国モンサント化学社製、商品名:EMA−31、分子量75000〜90000)の10%水溶液100重量部に、尿素10重量部、レゾルシン1重量部、水55重量部を添加し、水酸化ナトリウムの20%水溶液を添加してpHを3.5に調整した後、前記内包液50重量部を攪拌しながら投入し、油滴の平均粒子径が約3μmになるまで乳化した。
前記溶液に37%ホルムアルデヒド水溶液25重量部を加え、温度を65℃にして2時間放置してカプセル化反応を行なった。
前記溶液を遠心分離して約150重量部の含水マイクロカプセルスラリーを分取した。
前記マイクロカプセルを脱水し、乾燥させ、フォトクロミックマイクロカプセル顔料を得た。
フォトクロミック液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料40.0部を、硬質液状エポキシ樹脂60.0部、ヒンダードアミン系光安定剤2.0部、揺変性付与剤2.0部、消泡剤0.5部からなるビヒクル中に均一に分散混合した後、常温硬化型の脂肪族ポリアミン35.0部を添加し、均一に分散混合してフォトクロミック液状組成物(エポキシインキ)を得た。
フォトクロミック積層体の作製
前記インキを透明な模造宝石(支持体)の表面に刷毛を用いて塗装し、70℃で1時間加温硬化させて光変色層を形成し、フォトクロミック積層体(フォトクロミック宝石)を得た。
前記宝石は、太陽光に晒す前は無色であったが、太陽光に曝露したところ、青色に変色した。その後、室内で暫く放置したところ、青色は消えて元の無色となった。
この色変化は繰り返し行うことができた。
応用例5
フォトクロミックマイクロカプセル顔料の調製
実施例6で得られたフォトクロミック材料を均一に溶融し内包液とする。
これとは別に、エチレン−無水マレイン酸共重合体(米国モンサント化学社製、商品名:EMA−31、分子量75000〜90000)の10%水溶液100重量部に、尿素10重量部、レゾルシン1重量部、水55重量部を添加し、水酸化ナトリウムの20%水溶液を添加してpHを3.5に調整した後、前記内包液50重量部を攪拌しながら投入し、油滴の平均粒子径が約3μmになるまで乳化した。
前記溶液に37%ホルムアルデヒド水溶液25重量部を加え、温度を65℃にして2時間放置してカプセル化反応を行なった。
前記溶液を遠心分離して約150重量部の含水マイクロカプセルスラリーを分取した。前記マイクロカプセルを脱水し、乾燥させ、フォトクロミックマイクロカプセル顔料を得た。
フォトクロミック液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料40.0部を、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン58.0部、消泡剤3.0部、増粘剤(アルギン酸ナトリウム)1.0部、レベリング剤3.0部、防腐剤1.0部からなるビヒクル中に均一に混合してフォトクロミック液状組成物(スクリーンインキ)を得た。
フォトクロミック積層体の作製
白色合成紙(支持体)上に前記スクリーンインキを用いて桃の図柄の光変色層を形成してフォトクロミック積層体(フォトクロミック印刷物)を得た。
前記印刷物は、太陽光に晒す前は白色であったが、太陽光に曝露したところ、ピンク色の桃の図柄が現出した。その後、室内で暫く放置したところ、桃の図柄は消えて元の白色となった。
この色変化は繰り返し行うことができた。
応用例6
フォトクロミックマイクロカプセル顔料の調製
実施例3で得たフォトクロミック材料60重量部を、膜材として芳香族イソシアネートプレポリマー30重量部、酢酸エチル70重量部からなる混合溶液に混入した後、これを15%ゼラチン水溶液100重量部中に滴下して微小滴になるよう攪拌し、70℃で1時間反応を行なった。
次いで、液温を90℃に保って3時間攪拌を続け、マイクロカプセル分散液を調製した後、遠心分離法によりフォトクロミックマイクロカプセル顔料を得た。
フォトクロミック液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料30.0重量部を、アクリル酸エステル樹脂マルジョン80.0部、水分散型ヒンダードアミン系光安定剤1.5部からなるビヒクル中に均一分散してフォトクロミック液状組成物(水性コーティング溶液)を得た。
フォトクロミック積層体の作製
前記コーティング溶液中に、70mmの長さにカットした7デニールのポリアクリロニトリル原綿100.0重量部を浸漬させた後、遠心分離により余分なコーティング溶液を除去して90℃で10分間乾燥させてフォトクロミック積層体(フォトクロミックポリアクリロニトリル原綿)を得た。
前記原綿をカードにかけてスライバーにした後、ハイパイル編み機で製編しシャーリング加工してパイル長20mmのフォトクロミックハイパイル生地を得た。
前記フォトクロミックハイパイル生地を使用し、くまの縫いぐるみを縫製した。
前記くまの縫いぐるみはは、太陽光に晒す前は白色であったが、太陽光に曝露したところ、紫色に変色した。その後、室内で暫く放置したところ、紫色は消えて元の白色となった。
この色変化は繰り返し行うことができた。
応用例7
フォトクロミック液状組成物の調製
実施例2で得たフォトクロミック材料15.0部、及び、蛍光ピンク顔料3.0部を、50%アクリル樹脂/キシレン溶液40.0部、光安定剤1.0部、キシレン30.0部、メチルイソブチルケトン30.0部、イソシアネート系硬化剤10.0部からなるビヒクル中に均一に混合してフォトクロミック液状組成物(つけ爪用スプレーインキ)を得た。
フォトクロミック積層体の作製
前記インキを白色アセチルセルロース樹脂製のつけ爪(支持体)の表面にスプレーガン(口径0.6mm)を用いてスプレー塗装を施し、乾燥して光変色層を設け、更にその上層にトップコート層を設けてフォトクロミック積層体(フォトクロミックつけ爪)を得た。
前記つけ爪は、太陽光に晒す前はピンク色であったが、太陽光に曝露したところ、紫色に変色した。その後、室内で暫く放置したところ、紫色は消えて元のピンク色となった。
この色変化は繰り返し行うことができた。
応用例8
フォトクロミックマイクロカプセル顔料の調製
実施例9で得たフォトクロミック材料60重量部を、膜材として芳香族イソシアネートプレポリマー30重量部、酢酸エチル70重量部からなる混合溶液に混入した後、これを15%ゼラチン水溶液100重量部中に滴下して微小滴になるよう攪拌し、70℃で1時間反応を行なった。
次いで、液温を90℃に保って3時間攪拌を続け、マイクロカプセル分散液を調製した後、遠心分離法によりフォトクロミックマイクロカプセル顔料を得た。
フォトクロミック液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料50.0重量部を、アクリル酸エステル樹脂エマルジョン15.0重量部、アクリル酸エステル−スチレン共重合樹脂溶液(固形分50%)34.0重量部、消泡剤1.0重量部からなるビヒクル中に均質に混合してフォトクロミック液状組成物(グラビアインキ)を得た。
フォトクロミック積層体の作製
白色合成紙(支持体)上に前記グラビアインキを用いてグラビア版にてしま模様の光変色層を形成してフォトクロミック積層体(フォトクロミック印刷物)を得た。
前記印刷物は、太陽光に晒す前は白色であったが、太陽光に曝露したところ、ピンク色のしま模様が現出した。その後、室内で暫く放置したところ、ピンク色は消えて元に戻った。
この色変化は繰り返し行うことができた。
応用例9
フォトクロミックマイクロカプセル顔料の調製
実施例9で得たフォトクロミック材料60重量部を、膜材として芳香族イソシアネートプレポリマー30重量部、酢酸エチル70重量部からなる混合溶液に混入した後、これを15%ゼラチン水溶液100重量部中に滴下して微小滴になるよう攪拌し、70℃で1時間反応を行なった。
次いで、液温を90℃に保って3時間攪拌を続け、マイクロカプセル分散液を調製した後、遠心分離法によりフォトクロミックマイクロカプセル顔料を得た。
フォトクロミック液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料15.0重量部、青色顔料0.5重量部を、アルキッド樹脂系ワニス50.0重量部からなるビヒクル中に均質に混合してフォトクロミック液状組成物(オフセットインキ)を得た。
フォトクロミック積層体の作製
白色合成紙(支持体)上に前記オフセットインキを用いてオフセット版にて星の図柄の光変色層を形成してフォトクロミック積層体(フォトクロミック印刷物)を得た。
前記印刷物に設けられた星の図柄は、太陽光に晒す前は青色であったが、太陽光に曝露したところ、紫色に変色した。その後、室内で暫く放置したところ、紫色から元の青色の図柄になった。
この色変化は繰り返し行うことができた。
応用例10
フォトクロミックマイクロカプセル顔料の調製
実施例12で得たフォトクロミック材料60重量部を、膜材として芳香族イソシアネートプレポリマー30重量部、酢酸エチル70重量部からなる混合溶液に混入した後、これを15%ゼラチン水溶液100重量部中に滴下して微小滴になるよう攪拌し、70℃で1時間反応を行なった。
次いで、液温を90℃に保って3時間攪拌を続け、マイクロカプセル分散液を調製した後、遠心分離法によりフォトクロミックマイクロカプセルスラリーを分取した。
前記フォトクロミックマイクロカプセルスラリーを脱水し、乾燥させ、フォトクロミックマイクロカプセル顔料を得た。
フォトクロミック液状組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料15.0重量部を、アクリル系樹脂(50%)を含むキシレン溶液25.0重量部、シクロヘキサノン10.0重量部、イソシアネート系硬化剤5.0重量部、消泡剤1.0重量部からなるビヒクル中に均質に混合してフォトクロミック液状組成物(タンポ印刷インキ)を得た。
フォトクロミック積層体の作製
白色の筒状ABS製成形体(支持体)上に前記タンポ印刷インキを用いて「ABC」の文字を印刷し、50℃で加温・硬化を行って光変色層を形成してフォトクロミック積層体(フォトクロミック成形体)を得た。
前記成形体に設けられた「ABC」の文字は、太陽光に晒す前は視認されなかったが、太陽光に曝露したところ、ピンク色の文字が現出した。その後、室内で暫く放置したところ、ピンク色の文字は消えて元に戻った。
この色変化は繰り返し行うことができた。
応用例11
フォトクロミックマイクロカプセル顔料の調製
実施例8で得たフォトクロミック材料60重量部を、膜材として芳香族イソシアネートプレポリマー20重量部、酢酸エチル50重量部からなる混合溶液に混入した後、これを15%ゼラチン水溶液100重量部中に滴下して微小滴になるよう攪拌し、70℃で1時間反応を行なった。
次いで、液温を90℃に保って3時間攪拌を続け、マイクロカプセル分散液を調製した後、遠心分離法によりフォトクロミックマイクロカプセルスラリーを分取した。
前記フォトクロミックマイクロカプセルスラリーを脱水し、乾燥させ、フォトクロミックマイクロカプセル顔料を得た。
フォトクロミック積層体の作製
前記マイクロカプセル顔料15.0重量部、及び、青色顔料0.5重量部を、アクリル系樹脂(50%)を含むキシレン溶液25.0重量部、キシレン15.0重量部、イソシアネート系硬化剤5.0重量部、消泡剤1.0重量部からなるビヒクル中に均質に混合してフォトクロミック液状組成物(コーター用インキ)を得た。
フォトクロミック積層体の作製
白色の平板状鉄板(支持体)上の全面に、前記コーター用インキを用いて、ワイヤーコーターによりコーティングし、50℃で加温・硬化を行って光変色層を形成してフォトクロミック積層体(フォトクロミック成形体)を得た。
前記成形体は、太陽光に晒す前は青色であったが、太陽光に曝露したところ、紫色になった。その後、室内で暫く放置したところ、紫色は消えて元の青色に戻った。
この色変化は繰り返し行うことができた。
応用例12
フォトクロミック樹脂粒状体の調製
実施例10で得たフォトクロミック材料60重量部に酢酸エチル50重量部、トルエン10重量部、ポリスチレン樹脂5重量部を加えて溶解した溶液を、15%ゼラチン水溶液100重量部中に滴下して微小滴になるよう攪拌し、70℃で1時間撹拌を行なった。
次いで、液温を90℃に保って3時間攪拌を続け、樹脂粒状体分散液を調製した後、遠心分離法によりフォトクロミック樹脂粒状体を得た。
前記粒状体40.0部を、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン58.0部、消泡剤3.0部、増粘剤(アルギン酸ナトリウム)1.0部、レベリング剤3.0部、防腐剤1.0部からなるビヒクル中に均一に混合してフォトクロミック液状組成物(スクリーンインキ)を得た。
フォトクロミック積層体の作製
白色合成紙の裏面に粘着層と剥離紙をを設けたラベル(支持体)上に非変色性ピンク色スクリーンインキを用いて「I LOVE YOU」の文字を印刷して非変色層を設けた後、非変色層上に前記フォトクロミック液状組成物を用いて非変色層を覆う大きさの唇の図柄(光変色層)を形成した。
更に、その上面にヒンダードアミン系光安定剤1重量部、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン58.0重量部、消泡剤3.0重量部、増粘剤(アルギン酸ナトリウム)1.0重量部、レベリング剤3.0重量部、防腐剤1.0重量部を均一に混合したインキを用いてトップコート層を設けてフォトクロミック積層体(フォトクロミックラベル)を得た。
前記ラベルは、太陽光に晒す前は白地に「I LOVE YOU」の文字が視認されていたが、太陽光に曝露したところ、唇の絵柄が現出して文字は視認されなくなった。その後、室内で暫く放置したところ、唇の絵柄は消えて文字が視認されるようになった。
この色変化は繰り返し行うことができた。

Claims (7)

  1. 支持体上に、スピロオキサジン誘導体又はスピロピラン誘導体から選ばれるフォトクロミック化合物を、重量平均分子量が200乃至6000のスチレン系オリゴマーに溶解してなるフォトクロミック材料を含む光変色層を積層してなるフォトクロミック積層体。
  2. 前記フォトクロミック化合物と、スチレン系オリゴマーの重量比が1:1〜1:10000である請求項1記載のフォトクロミック積層体。
  3. 前記スチレン系オリゴマーの重量平均分子量が200乃至4000である請求項1又は2記載のフォトクロミック積層体。
  4. 前記フォトクロミック材料中に、水酸基、エステル基、カルボキシル基から選ばれる少なくとも一以上の官能基を有し、沸点が150℃以上であり、且つ、融点又は軟化点が150℃以下の有機化合物をスチレン系オリゴマー100重量部に対し、50重量部以下の割合で添加してなる請求項1乃至3のいずれかに記載のフォトクロミック積層体。
  5. ヒンダードアミン系光安定剤を含んでなる請求項1乃至4いずれかに記載のフォトクロミック積層体。
  6. 前記ヒンダードアミン系光安定剤が下記一般式(1)で示される化合物である請求項5記載のフォトクロミック積層体。
    Figure 2006035496
    (式中、R1 は炭素数1乃至30のアルキル基を示し、R2 、R3 、R4 、R5 はそれぞれ炭素数1乃至5のアルキル基を示し、nは1以上の整数を示し、R6 はn価の有機残基を示す。)
  7. 前記フォトクロミック化合物とスチレン系オリゴマーを微小カプセルに内包してなる、或いは、樹脂粒子中に分散してなる請求項1乃至6のいずれかに記載のフォトクロミック積層体。
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