JP2006029293A - 車両用消音器における排気管の固定構造及び方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 溶接を必要とせずに容易な作業でもって排気管をバーリング部に固定することができ、さらに、排気管を薄肉化して軽量化・コスト低減化を実現できる車両用消音器における排気管の固定構造及び方法の提供。
【解決手段】 排気管貫通孔15に連続してバーリング加工されたバーリング部16と、排気管(テールパイプ4)の端部に外嵌され、径方向に拡縮可能なリングスプリングRと、排気管(テールパイプ4)の中途部に設けられた係止部4bを備え、リングスプリングRを縮径させた状態で排気管(テールパイプ4)の端部をバーリング部16に貫通させた後、該リングスプリングRを拡径させてバーリング部16の開口一端部に係止すると共に、係止部4bをバーリング部16の開口他端部に係止することにより排気管(テールパイプ4)をバーリング部16に固定した。
【選択図】 図2

Description

本発明は車両用消音器における排気管の固定構造及び方法に関する。
従来、車両用消音器の隔壁を貫通した状態で排気管の端部を固定させる排気管の固定構造としては、例えば、図6に示すように、エンドプレート(隔壁)101にバーリング部102を備えた排気管貫通孔103が形成され、この排気管貫通孔103にアウトレットパイプ104(排気管)及びテールパイプ105を挿通した状態で、バーリング部102と両パイプ104,105との間をその全周に亙って溶接106するのが一般的である(特許文献1参照)。
なお、前記溶接106にはMIG溶接またはレーザ溶接が採用される。
特開2002−89230号公報 特開平10−89059号公報
しかしながら、従来の車両用消音器における排気管の固定構造及び方法にあっては、バーリング部と両パイプとの溶接個所をMIG溶接またはレーザ溶接で行うと、溶接部の要求強度を満足させるために両パイプの板厚を所定の厚みに確保しておく必要があるため両パイプを薄肉化できず、排気管の軽量化やコスト低減化が困難になるという問題点があった。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、溶接を必要とせずに容易な作業でもって排気管をバーリング部に固定することができ、さらに、排気管を薄肉化して軽量化・コスト低減化を実現できる車両用消音器における排気管の固定構造及び方法を提供することである。
本発明の請求項1記載の発明では、排気管が車両用消音器の隔壁の排気管貫通孔を貫通した状態で固定される車両用消音器における排気管の固定構造において、前記排気管貫通孔に連続してバーリング加工されたバーリング部と、前記排気管の端部に外嵌され、径方向に拡縮可能なリングスプリングと、前記排気管の中途部に設けられた係止部を備え、前記リングスプリングを縮径させた状態で排気管の端部をバーリング部に貫通させた後、該リングスプリングを拡径させてバーリング部の開口一端部に係止すると共に、前記係止部をバーリング部の開口他端部に係止することにより排気管をバーリング部に固定したことを特徴とする。
請求項2記載の発明では、請求項1記載の車両用消音器における排気管の固定構造において、前記バーリング部の開口一端部に拡径したテーパ部を形成すると共に、該テーパ部にリングスプリングを摺動させて縮径させることを特徴とする。
請求項3記載の発明では、請求項1または2記載の車両用消音器における排気管の固定構造において、前記隔壁をエンドプレートとし、前記排気管をテールパイプとしたことを特徴とする。
請求項4記載の発明では、排気管が車両用消音器の隔壁の排気管貫通孔を貫通した状態で固定される車両用消音器における排気管の固定方法において、前記排気管貫通孔に連続してバーリング加工されたバーリング部と、前記排気管の端部に外嵌され、径方向に拡縮可能なリングスプリングと、前記排気管の中途部に設けられた係止部を備え、前記リングスプリングを縮径させた状態で排気管の端部をバーリング部に貫通させた後、該リングスプリングを拡径させてバーリング部の開口一端部に係止すると共に、前記係止部をバーリング部の開口他端部に係止することにより排気管をバーリング部に固定したことを特徴とする。
請求項1記載の発明にあっては、排気管貫通孔に連続してバーリング加工されたバーリング部と、前記排気管の端部に外嵌され、径方向に拡縮可能なリングスプリングと、前記排気管の中途部に設けられた係止部を備え、前記リングスプリングを縮径させた状態で排気管の端部をバーリング部に貫通させた後、該リングスプリングを拡径させてバーリング部の開口一端部に係止すると共に、前記係止部をバーリング部の開口他端部に係止することにより排気管をバーリング部に固定したため、簡便な作業で溶接を必要とせずに排気管をバーリング部に固定することができ、排気管を薄肉化して軽量化・コスト低減化を実現できる。
請求項2記載の発明にあっては、バーリング部の開口他端部に拡径したテーパ部を形成すると共に、該テーパ部にリングスプリングを摺動させて縮径させることとしたため、排気管の端部をバーリング部に挿入する際にリングスプリングをテーパ部に摺動させて縮径でき、治具等を必要とせずに排気管の端部をバーリング部に貫通させることができる。
請求項3記載の発明にあっては、隔壁をエンドプレートとし、前記排気管をテールパイプとしたため、テールパイプとエンドプレートとを溶接を用いることなく固定することができ、これによりテールパイプを薄肉化できる他、意匠性の向上を図れる。
また、テールパイプとエンドプレートを固定する工程が車両用消音器内部の構造に制限されず柔軟に対応できる。
請求項4記載の発明にあっては、排気管貫通孔に連続してバーリング加工されたバーリング部と、前記排気管の端部に外嵌され、径方向に拡縮可能なリングスプリングと、前記排気管の中途部に設けられた係止部を備え、前記リングスプリングを縮径させた状態で排気管の端部をバーリング部に貫通させた後、該リングスプリングを拡径させてバーリング部の開口一端部に係止すると共に、前記係止部をバーリング部の開口他端部に係止することにより排気管をバーリング部に固定したため、排気管の端部をバーリング部に貫通させるという簡便な作業でもって排気管をバーリング部に固定でき、この種の車両用消音器の組立に掛かる工数・時間を大幅に削減して効率的な生産を実現できる。
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施例の車両用消音器における排気管の固定構造が採用された車両用消音器を示す縦断面図、図2は本実施例の車両用消音器における要部断面図、図3はリングスプリングの斜視図、図4は本実施例の車両用消音器における排気管の固定方法を説明する図である。
先ず、本実施例の車両用消音器における排気管の固定構造が採用された車両用消音器Aの構成について説明する。
図1、2に示すように、本実施例の車両用消音器における排気管の固定構造が採用された車両用消音器Aは、アウタシェル1と、中間組立品2と、フロントパイプ3と、テールパイプ(請求項1の排気管に相当)4を主要な構成としている。
前記アウタシェル1は板状のインナープレート6,7及びエンドプレート10,11(請求項1の隔壁に相当)の外周に巻回されてその巻回方向端部を車両用消音器Aの長手方向に溶接固定される他、その両側周縁部をエンドプレート10,11に溶接X3,X4で全周に亙って溶接固定されている。
前記中間組立品2は、前記インナープレート6,7と、インレットパイプ8と、アウトレットパイプ9で構成され、これらとエンドプレート10,11によりアウタシェル1で囲繞された車両用消音器Aの内部が3つの室12,13,14に仕切られている。
前記フロントパイプ3はインレットパイプ8の内側に圧入された状態で溶接X2で全周に亙って溶接固定されている。
前記インナープレート6,7には隣接する室同士の排気ガスの流通を可能にする排気ガス流通孔O1,O2が設けられている。
前記インレットパイプ8は、インナープレート6,7を貫通した状態でその上流側端部がエンドプレート10のバーリング部10aに溶接X1で全周に亙って溶接固定され、一方、下流側端部は室14に連通されている。
前記アウトレットパイプ9はインナープレート6,7を貫通した状態でその上流側端部が室12に連通され、一方、下流側端部はエンドプレート11を貫通した状態でテールパイプ4の内側に固定されている。
このように構成された車両用消音器Aでは、上流側からフロントパイプ3を介し流入する排気ガス(図1中破線矢印で図示)が、先ず、室14に流入して排気ガス流通孔O2を介して室13に流入し、さらに、排気ガス流通孔O1を介して室12に流入する間に拡縮作用を受けて消音された後、アウトレットパイプ9、テールパイプ4を介して外部へ排出されるようになっている。
以下、エンドプレート11とテールパイプ4との固定構造について詳述する。
図2に示すように、前記エンドプレート11には排気管貫通孔15が形成されると共に、該排気管貫通孔15に連続し、且つ、テールパイプ4の外径と略同一の内径を有して車両用消音器Aの外側へバーリング加工されたバーリング部16が形成されている。
また、バーリング部16の開口一端部には、テールパイプ4の段部4aに外嵌されたリングスプリングRが係止されている。
図3に示すように、前記リングスプリングRは、自然長状態において、C型形状を成し、幅Wの範囲で径方向に拡縮可能に形成される他、その内径は前記段部4aの外径よりも僅かに大きく形成され、後述する縮径時において、その外径がテールパイプ4の外径と同一の径になるように形成されている。
一方、バーリング部16の開口他端部には径方向に斜めに拡径されたテーパ部Tが形成され、該テーパ部Tの内側にテールパイプ4の係止部4bが係止されている。
前記係止部4bはテールパイプ4の中途部に全周に亘って拡径されて形成されると共に、その外径はバーリング部16の内径よりも幾分大きく形成されている。
なお、アウトレットパイプ9は、テールパイプ4の段部4aに図外のメッシュリングを介して軸方向に摺動可能に固定されており、アウトレットパイプ9の熱膨張による長手方向の伸縮を許容できるようになっている。
また、前記エンドプレート11、テールパイプ4、アウトレットパイプ9は、従来に比べて薄肉に形成されている。
次に、車両用消音器における排気管の固定構造が採用された車両用消音器Aの組立について説明する。
本実施例の車両用消音器Aを組み立てる際には、先ず、前記中間組立品2を組み立てた後、インレットパイプ8の端部をエンドプレート10の排気管貫通孔10aに貫通させた状態で溶接X1で固定する。
次に、エンドプレート11をアウトレットパイプ9に対して所定位置に配置した状態で、予めリングスプリングRが外嵌されたテールパイプ4をバーリング部16に挿入する。
この際、図4(a)、(c)に示すように、テールパイプ4のリングスプリングRの外周一部がテーパ部Tの内側に摺動する際に、リングスプリングR全体が幅W(図3参照)の分だけ縮径し(図4(b)、(d)参照)、これにより、治具等を使用せずにリングスプリングRを縮径させた状態でテールパイプ4をバーリング部16に貫通させることができる。
次に、図4(e)、(f)に示すように、テールパイプ4の端部がバーリング部16の排気管貫通孔15を貫通すると、リングスプリングRが自然長状態に拡径してバーリング部16の開口一端部に係止すると共に、係止部4bがバーリング部16のテーパ部Tに係止することにより、テールパイプ4をバーリング部16に固定できる。
この際、リングスプリングRと係止部4bでテールパイプ4の軸方向の移動を抑止できるため、安定した状態でテールパイプ4を固定できる。
また、バーリング部16の内側とテールパイプ4の外側同士が当接するのに加え、係止部4bとテーパ部Tが隙間無く密着するため、排気ガスの良好なシール性を得られるという効果がある。
従って、エンドプレート11のバーリング部16にテールパイプ4の端部を挿入するという簡便な作業でもって、溶接を必要とせずにテールパイプ4をバーリング部16に固定することができ、エンドプレート11、テールパイプ4、アウトレットパイプ9を薄肉化して軽量化・コスト低減化を実現できる。
最後に、アウタシェル1を、インナープレート6,7とエンドプレート10,11の外周に巻回した状態で、その巻回方向端部を車両用消音器Aの長手方向に形成される溶接(図示せず)で固定すると共に、両側周縁部を溶接X3,X4で固定して車両用消音器Aの組立を終了する。
なお、エンドプレート11とテールパイプ4の固定を前述した方法で予め行った後、これら両者を中間組立品2に対して組付けても構わない。
以上説明したように、本実施例の車両用消音器における排気管の固定構造にあっては、溶接を必要とせずに容易な作業でもってテールパイプ4をバーリング部16に固定でき、これにより、エンドプレート11、テールパイプ4、アウトレットパイプ9を薄肉化して軽量化・コスト低減化を実現できる。
また、テールパイプ4に溶接ビード等が発生せず、テールパイプ4の意匠性が向上する。
また、前記テールパイプ4を固定する工程は、車両用消音器Aの組立順序に制限されないため、例えば、車両用消音器Aにおけるテールパイプ4以外の部分を共通部品として予め製造しておき、車種に応じて異なる形状のテールパイプ4を後工程で取付けるなどの対応が可能になる。
以上、本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、本実施例では排気管をテールパイプ4に適用した場合について説明したが、排気管はインレットパイプ8や車両用消音器を構成する様々な排気管に適用可能できる。
同様に、本実施例では隔壁をエンドプレート11に適用した場合について説明したが、隔壁はエンドプレート10やインナープレート6,7でも良い。
また、図5に示すように、バーリング部16を車両用消音器Aの内側へバーリング加工して形成しても良い。この場合、バーリング部16の排気管貫通孔を開口他端部としてテーパ部T1を設ける。
また、本実施例ではアウトレットパイプ9がテールパイプ4の内側に固定される場合について説明したが、車両用消音器の内部構造によってはアウトレットパイプ9が省略される場合も有り得る。
本発明の実施例の車両用消音器における排気管の固定構造を示す縦断面図である。 本実施例の車両用消音器における要部断面図である。 リングスプリングの斜視図である。 本実施例の車両用消音器における排気管の固定方法を説明する図である。 その他の実施例の車両用消音器における要部断面図である。 従来の車両用消音器における排気管の固定構造を説明する図である。
符号の説明
A、B 車両用消音器
O1、O2 排気ガス流通孔
R リングスプリング
T テーパ部
X1、X2、X3、X4 溶接
1 アウタシェル
2 中間組立品
3 フロントパイプ
4 テールパイプ
4a 段部
4b 係止部
6、7 インナープレート
8 インレットパイプ
9 アウトレットパイプ
10、11 エンドプレート
12、13、14 室
15 排気管貫通孔
16 バーリング部

Claims (4)

  1. 排気管が車両用消音器の隔壁の排気管貫通孔を貫通した状態で固定される車両用消音器における排気管の固定構造において、
    前記排気管貫通孔に連続してバーリング加工されたバーリング部と、
    前記排気管の端部に外嵌され、径方向に拡縮可能なリングスプリングと、
    前記排気管の中途部に設けられた係止部を備え、
    前記リングスプリングを縮径させた状態で排気管の端部をバーリング部に貫通させた後、該リングスプリングを拡径させてバーリング部の開口一端部に係止すると共に、前記係止部をバーリング部の開口他端部に係止することにより排気管をバーリング部に固定したことを特徴とする車両用消音器における排気管の固定構造。
  2. 請求項1記載の車両用消音器における排気管の固定構造において、
    前記バーリング部の開口他端部に拡径したテーパ部を形成すると共に、該テーパ部にリングスプリングを摺動させて縮径させることを特徴とする車両用消音器における排気管の固定構造。
  3. 請求項1または2記載の車両用消音器における排気管の固定構造において、
    前記隔壁をエンドプレートとし、
    前記排気管をテールパイプとしたことを特徴とする車両用消音器における排気管の固定構造。
  4. 排気管が車両用消音器の隔壁の排気管貫通孔を貫通した状態で固定される車両用消音器における排気管の固定方法において、
    前記排気管貫通孔に連続してバーリング加工されたバーリング部と、
    前記排気管の端部に外嵌され、径方向に拡縮可能なリングスプリングと、
    前記排気管の中途部に設けられた係止部を備え、
    前記リングスプリングを縮径させた状態で排気管の端部をバーリング部に貫通させた後、該リングスプリングを拡径させてバーリング部の開口一端部に係止すると共に、前記係止部をバーリング部の開口他端部に係止することにより排気管をバーリング部に固定したことを特徴とする車両用消音器における排気管の固定方法。
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