JP2006028074A - 血小板凝集抑制組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 松樹皮抽出物と人参とを含有する、血小板凝集抑制組成物。
【選択図】 なし
Description
血小板は、各種の刺激物質により活性化されると種々の生理活性物質を放出するとともに凝集し、血栓を形成するが、特にアラキドン酸から産生されるトロンボキサンA2(TXA2)には、強力な血小板凝集・血管収縮作用が認められている。
したがって、血小板の凝集を抑制したり、血小板からTXA2などの生理活性物質の放出を抑制したり、それら生理活性物質の作用を抑制したりする物質が、血栓症および動脈硬化性疾患、ならびに血栓性疾患、例えば、動脈血栓、静脈血栓、一過性脳虚血性発作、心筋梗塞、脳梗塞、増殖性糸球体腎炎、急性虚血性腎不全、腎移植における拒絶反応、末梢動脈閉塞症、閉塞性四肢動脈硬化症、血栓性静脈炎などの予防または治療の目的によく使用されている。
Ronald R Watson、Pycnogenol and cardiovascular health、"Evidence-Based Integrative Medicine"、Open Mild Journals Ltd、2003年、第1巻、第1号、p.27−32
本発明は、安全性にも血小板凝集抑制効果にも優れている血小板凝集抑制組成物を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、松樹皮抽出物と人参とを含有する血小板凝集抑制組成物およびその用途に関する。
上記の薬用人参は、オタネニンジン(学名:Panax ginseng C.A. Meyer)の根のことで、朝鮮人参、高麗人参、白参または御種人参などとも称されている。
上記の竹節人参は、トチバニンジン(学名:Panax japonicus C. A. Meyer)の根茎のことで、竹参または土参などとも称されている。
上記の西洋人参は、アメリカニンジン(学名:Panax quinquefolium L.)の根のことで、アメリカ人参、洋参または広東人参などとも称されている。
上記の田七人参は、サンシチニンジン(学名:Panax notoginseng BurkillまたはPanax notoginseng F.H. Chen)の根のことで、田七、三七人参、田三七または人参三七などとも称されている。
上記の松樹皮抽出物の量は乾燥重量を表す。
また、上記の人参の量は、原生薬換算量を意味する。ここで、原生薬換算量とは、人参の細片、粉末、これらの懸濁液または抽出物をある一定量得るのに必要であった人参の乾燥物、例えば乾燥した細片または粉末の重量をいう。例えば、エキス末2重量部を人参の乾燥粉末10重量部から得た場合、該人参エキス末2重量部は原生薬換算量で10重量部と表される。
桂皮は、シンナモムム・カッシア(学名:Cinnamomum cassia Blume)またはその同属植物(Lauraceae)の樹または枝の皮であり、その主要成分はシンナムアルデヒド(cinnamic aldehyde)である。本発明では、桂皮の抽出物、特にエキス末が好適に使用される。
この抽出に使用される抽出溶媒として、水、有機溶媒またはそれらの混合物などが挙げられる。
上記の有機溶媒として、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、ブタン、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、含水エタノール、含水プロピレングリコール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよび1,1,2−トリクロロエテンなどが挙げられる。これらの抽出溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上の溶媒を混合して用いてもよい。好適には、水、含水エタノールおよび含水プロピレングリコールを用いる。また、上記の抽出操作において抽出溶媒を加温するのが、抽出効率の点から好ましい。
(1)原料
フランス海岸松樹皮抽出物は、ホーファー・リサーチ社製の商品名ピクノジェノール(商標)を使用した。人参エキス末、桂皮エキス末およびEPAは市販品を使用した。
試験食1:1カプセルあたり人参エキス末を80mg含む軟カプセル剤を調製し、試験食1とした。
試験食2:1錠あたりフランス海岸松樹皮抽出物を8mg含む錠剤を調製し、試験食2とした。
試験食3:1カプセルあたりフランス海岸松樹皮抽出物8mg、人参エキス末75mg、桂皮エキス末35mgおよびEPA40mgを含む軟カプセル剤を調製し、また別に1錠あたり人参エキス末を15mg含む錠剤も調製した。この軟カプセル剤3カプセルと錠剤1錠とを組み合わせた1組を試験食3とした。
なお、上記のフランス海岸松樹皮抽出物の量は乾燥重量であり、人参または桂皮のエキス末の量は原生薬換算量である。
(1)被験者
20〜60歳の健康成人男性12名を被験者とした。但し、(ア)血小板凝集や血液凝固系に影響を及ぼすと思われる薬剤または健康食品を摂取している者および(イ)摂取前の検査で担当医師が不適当と判断した者は除いた。また、血小板凝集に影響を及ぼすアスピリン、鎮痛薬、感冒薬などは試験開始1週間前から使用を控えさせた。さらに、高カリウム含有食品(バナナなど)および納豆も試験開始1週間前から摂取を控えさせた。
12名の被験者を4名ずつ3群に割り付けて、各群に、上記試験食1〜3のいずれか1食を、それぞれ以下のようにして、4週間摂取させた。
試験食1:毎食後3カプセルずつ、1日9カプセルを摂取させた。
試験食2:毎食後3錠ずつ、1日9錠を摂取させた。
試験食3:毎食後1組(3カプセル+1錠)ずつ、1日3組(9カプセル+3錠)を摂取させた。
このようにして摂取された各試験食の組成は表1のとおりになる。
試験食の摂取開始前と開始4週間後に、被験者から採血および採尿して、血液凝固系検査、一般検査、血液検査および尿検査を行った。各検査における測定項目は以下に示すとおりであった。採血量は、摂取開始前26ml、摂取開始4週間後23mlであり、採尿量は摂取開始前および摂取開始4週間後ともに10mlであった。また、被験者には、簡単な食事および体調に関する項目を日誌に記録させた。
血液凝固系検査:血小板凝集(ADP、コラーゲン)、プロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)
一般検査:身長、体重、血圧、問診所見
血液検査:血糖、GOT、GPT、γ−GTP、中性脂肪、総コレステロール、BUN、クレアチニン、LDH、ALP、尿酸、総蛋白、赤血球数、白血球数、ヘマトクリット値、ヘモグロビン、血小板数
尿検査:蛋白定性、糖定性、pH、潜血
血小板凝集:
被験者から採血した血液を遠心分離にかけ、多血小板血漿(PRP)を得た。このPRPの所定量を血小板凝集計のキュベットに入れ、次いでコラーゲンを0.5μg/mlになるように加えるか、またはADPを4μmol/mlになるように加えた。そして、比濁透過法で透過率を測定し、そこから最大凝集率を求めた。
そして、試験食の摂取開始前と摂取開始4週後のそれぞれの最大凝集率から以下の式を用いて血小板凝集抑制率を計算した:
被験者から採血した血液からクエン酸血漿を分離し、これに組織トロンボカルシウム試薬を加え、37℃の恒温水槽で加温して、フィブリンが析出するまでの時間(凝固時間)を測定した。また、上記と同様にして正常血漿希釈系列の凝固時間も測定し検量線を作成した。この検量線を用いて凝固時間から上記の被験者のPT(%)を求めた。
そして、試験食の摂取開始前と摂取開始4週後のそれぞれのPTから以下の式を用いてPT増加率を計算した:
被験者から採血した血液からクエン酸血漿を分離し、これにAPTT試薬を加え、37℃の恒温水槽で加温して、フィブリンが析出するまでの時間を測定し、これをAPTTとした。
そして、試験食の摂取開始前と摂取開始4週後のそれぞれのAPTTから以下の式を用いてAPTT延長率を計算した:
被験者背景:
本試験において、試験食1を摂食した被験者は、中途で1人脱落したため3人(21〜25歳)であり、試験食2を摂食した被験者は4人(20〜30歳)であり、試験食を摂食した被験者は4人(20〜32歳)であった。
結果を表2に示した。
これらの結果から、松樹皮抽出物と人参とを併用することで、相乗効果により顕著な血小板凝集抑制活性が得られることがわかる。
異常を示す測定値は認められず、試験食1〜3が安全性であることが示された。
簡単な食事および体調に関する日誌:
特に異常を示す所見は認められなかった。
特に、本発明の血小板凝集抑制組成物は、血小板凝集を抑制することにより、血栓症および動脈硬化性疾患、ならびに血栓性疾患などの予防および/または治療用に、医薬または食品として使用することができる。
Claims (6)
- 松樹皮抽出物と人参とを含有する、血小板凝集抑制組成物。
- 松樹皮抽出物1重量部に対して、人参5〜100重量部を含有する、請求項1記載の組成物。
- さらに、エイコサペンタエン酸、桂皮およびトコトリエノールからなる群より選択される成分を1種以上含有する、請求項1または2記載の組成物。
- 医薬である、請求項1〜3のいずれか1項記載の組成物。
- 食品である、請求項1〜3のいずれか1項記載の組成物。
- 血栓症および動脈硬化性疾患ならびに血栓性疾患の予防および/または治療用の、請求項4または5記載の組成物。
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