JP2006026610A - 微粒子分散液の送液方法、及び微粒子分散液の送液装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】体積平均粒径が1.5μm〜1000μmの微粒子が媒体液体に分散されており、該微粒子の比重が該媒体液体の比重の0.10〜0.99倍である微粒子分散液を、導入部及び排出部を有するマイクロ流路の導入部から排出部に層流で送液させる微粒子分散液の送液方法であって、前記マイクロ流路を前記排出部が前記導入部より浮力方向で上になるように設置し、かつ、該導入部から該排出部に至るまでの流路の浮力方向に対する角度を0〜45°とする、又は、該導入部から該排出部に至るまでの流路の壁面の浮力方向に対する角度を0〜45°とし、更に、前記微粒子分散液を前記導入部に導入し、該導入された微粒子分散液を前記排出部に送液する。
【選択図】 なし
Description
一方、比重が媒体液体よりも小さいミクロンオーダーの微粒子の分散液を、センチメーターオーダー以上の径の配管中に流すことは日常的に行われている。
しかし、比重が媒体液体よりも小さいミクロンオーダーの微粒子の分散液を、マイクロメーターオーダーの径の配管中に効率よく流す方法は、未だ提案されていない。
従来、マイクロメーターオーダーの径の配管中では、浮力の影響を相対的に受けなくなると考えられていた(例えば、非特許文献1参照)。しかし、浮力により分散されたミクロンオーダーの微粒子の浮上が問題となることがわかった。通常、流路は浮力方向に対する状態を考慮していないため問題となる。
また、単分散な金属ナノ粒子を連続的に形成する方法、およびこれを核として結晶成長させる方法、さらにナノ粒子コロイド分散液の脱塩、分解物除去を連続的に行う方法が提供されている。しかし、金属ナノ粒子は10nm以下となっており、より大きな微粒子には言及していない(例えば、特許文献2参照)。
すなわち本発明は、
<1> 体積平均粒径が1.5μm〜1000μmの微粒子が媒体液体に分散されており、該微粒子の比重が該媒体液体の比重の0.10〜0.99倍である微粒子分散液を、導入部及び排出部を有するマイクロ流路の導入部から排出部に層流で送液させる微粒子分散液の送液方法であって、前記マイクロ流路を前記排出部が前記導入部より浮力方向で上になるように設置し、かつ、該導入部から該排出部に至るまでの流路の浮力方向に対する角度を0〜45°とし、更に、前記微粒子分散液を前記導入部に導入し、該導入された微粒子分散液を前記排出部に送液することを特徴とする微粒子分散液の送液方法である。
第1の本発明の微粒子分散液の送液方法(以下、「第1の本発明の送液方法」という場合がある。)は、体積平均粒径が1.5μm〜1000μmの微粒子が媒体液体に分散されており、該微粒子の比重が該媒体液体の比重の0.10〜0.99倍である微粒子分散液を、導入部及び排出部を有するマイクロ流路の導入部から排出部に層流で送液させる微粒子分散液の送液方法であって、前記マイクロ流路を前記排出部が前記導入部より浮力方向で上になるように設置し、かつ、該導入部から該排出部に至るまでの流路の浮力方向に対する角度を0〜45°とし、更に、前記微粒子分散液を前記導入部に導入し、該導入された微粒子分散液を前記排出部に送液することを特徴とする。
ここで、浮力方向とは、比重が媒体液体よりも小さい微粒子を媒体液体中に分散させた場合に、該微粒子が浮上する方向をいう。
しかし、微粒子の粒径が5μm以下の場合は、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置(LA−700、堀場製作所製)を用いて測定した。
また、前記微粒子の比重は、気相置換法(ピクノメータ法)により、湯浅アイオニクス社製ウルトラピクノメータ1000を用いて測定した。
更に、前記媒体液体の比重は、エーアンドディー社の比重測定キットAD−1653を用い測定した。
前記微粒子の体積平均粒径は、上述のように1.5μm〜1000μmであることを必須とし、1.5μm〜500μmであることが好ましく、1.5μm〜200μmであることがより好ましく、1.5μm〜50μmであることが更に好ましい。前記微粒子の体積平均粒径が1000μmを越えると、後述するように本発明に用いられるマイクロ流路の粒径は数μm〜数千μmであるため、マイクロ流路で送液される微粒子分散液中の微粒子が流路を詰まらせる可能性がある。一方、前記微粒子の体積平均粒径が1.5μm未満であると、微粒子が堆積してしまうという問題はほとんど発生しないが、内壁面とのインタラクションの影響が大きくなり、付着などを生じてしまう。
また、前記微粒子ワックスは、加温時に相溶し、かつ室温では離型剤を溶解させない適当な溶剤に、離型剤を添加し加熱溶解させた後、室温まで徐々に冷却し、離型剤の微細粒子を析出させる方法(溶解析出法)や、ヘリウムなどの不活性ガス中で離型剤を加熱蒸発させ気相中で粒子を作製した後、この粒子を冷却したフイルム等に付着回収した後に、溶剤に分散させる方法(気相蒸発法)により得られる微粒子ワックス(離型剤)を用いることができる。
上述の微粒子ワックスの作製では、更にメデイア等を用いた機械的粉砕法と組み合せるとさらに微細化させることが可能である。
本発明の送液方法において、好ましい微粒子と媒体液体との組み合わせとしては、ポリオレフィン微粒子又は中空微粒子と、イオン交換水との組み合わせが挙げられ、この中でもパラフィンワックス微粒子、カルナバワックス微粒子又はエクスパンセルの熱膨張微粒子と、イオン交換水との組み合わせが好ましい。
以下、マイクロ流路としてマイクロリアクターを用いた場合について、本発明の送液方法、及び後述する本発明のマイクロ流路での微粒子分散液の送液装置を説明する。
本発明に用いられるマイクロリアクターは、マイクロスケールの流路(チャンネル)を有する反応装置であり、該流路は複数であることが好ましい。マイクロリアクターの流路は、マイクロスケールであるので、寸法および流速がいずれも小さく、レイノルズ数は数百以下である。したがって、本発明に用いられるマイクロリアクターに液体を送液した場合、該液体は層流で送液される。
尚、レイノルズ数(Re)は、Re=uL/ν (u:流速、L:代表長さ、ν:動粘性係数)で表されるもので、この値がおおよそ2300以下のとき、層流支配となる。
前記流路の浮力方向に対する角度は、0〜30°であることが好ましく、0〜15°であることがより好ましく、0〜10°であることが更に好ましく、0〜5°であることが特に好ましい。前記流路の浮力方向に対する角度が45°を超えると、浮上による流路内壁上面への微粒子の付着、堆積が生じ、流路閉塞の原因となる。
前記流路の壁面の浮力方向に対する角度は、0〜30°であることが好ましく、0〜15°であることがより好ましく、0〜10°であることが更に好ましく、0〜5°であることが特に好ましい。前記流路の壁面の浮力方向に対する角度が45°を超えると、浮上による流路内壁上面への微粒子の付着、堆積が生じ、流路閉塞の原因となる。
また、第2の本発明の送液方法において、前記流路は、壁面の浮力方向に対する角度が0〜45°であれば、流路径が導入部側より排出部側が大きく(流路が広がる)なっていてもよいが、流路径が導入部側より排出部側が大きくなると、流路径が変わる境界領域で急激に流速が遅くなり、流れが停滞傾向となる点で、微粒子の堆積や閉塞などが起こる場合があり、流路径が導入部側より排出部側が小さくなっていることが好ましい。
また、第2の本発明の微粒子分散液の送液装置(以下、「第2の本発明の送液装置」という場合がある。)は、体積平均粒径が1.5μm〜1000μmの微粒子が媒体液体に分散されており、該微粒子の比重が該媒体液体の比重の0.10〜0.99倍である微粒子分散液を、導入部及び排出部を有し、流路径が変化する箇所、及び/又は、流路の形状が変化する箇所を有するマイクロ流路の導入部から排出部に層流で送液させる微粒子分散液の送液装置であって、前記マイクロ流路は、前記排出部が前記導入部より浮力方向で上に位置し、かつ前記導入部から前記排出部に至るまでの流路の壁面の浮力方向に対する角度が0〜45°であることを特徴とする。
また、本発明の送液装置における流路の浮力方向に対する角度、及び流路の壁面の浮力方向に対する角度は、それぞれ本発明の送液方法における流路の浮力方向に対する角度、及び流路の壁面の浮力方向に対する角度と同義であり、好ましい値も同様である。
また、本発明の送液装置は微粒子の洗浄に好ましく用いられる。一般的に微粒子の洗浄はバッチ式のろ過と再分散を組み合わせた手法がとられているため、工程間の物の移動や濾布への微粒子残存のため効率がよくない。これを浮上の課題を解消した本発明の送液装置を用いることにより格段に効率をアップすることができる。また、本発明の送液装置は長時間使用が可能である。
まず、下記の実施例、比較例における各種特性の測定法について説明する。
微粒子の体積平均粒径は、下記粒径(5μm以下)の場合を除き、コールターカウンターTA−II型(コールター社製)を用いて測定した値である。この場合、微粒子の粒径レベルにより、最適なアパーチャーを用いて測定した。しかし、微粒子の粒径がおよそ5μm以下の場合は、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置(LA−700、堀場製作所製)を用いて測定した。
また、前記微粒子の比重は、気相置換法(ピクノメータ法)により、湯浅アイオニクス社製ウルトラピクノメータ1000を用いて測定した。
更に、前記媒体液体の比重は、エーアンドディー社の比重測定キットAD−1653を用い測定した。
実施例1を図1を用いて説明する、図1は実施例1に用いるマイクロリアクターを説明するための概念図である。図1において、マイクロリアクター10はガラス製であり、流路L1、L2及びL3が設けてある。流路L1、L2及びL3には、それぞれ導入口1、2及び排出口3が設けてあり、それぞれ断面が長方形であり奥行きは150μmである。また、流路L1及びL2は、それぞれ、幅が200μm、長さが30mmである。一方、L3は、幅が400μm、長さが70mmである。また、流路L1及びL2の浮力方向に対する角度は45°であり、流路L3の浮力方向に対する角度は0°である。
分散液Aは、体積平均粒径が約5μmのポリオレフィン微粒子(日本精鑞社製)10体積%の水分散液(融点85℃のパラフィンワックスをゴーリンミキサーで微粒子化したもの)である。ポリオレフィン微粒子の比重は水の比重の0.90倍である。
流路L1及びL2の浮力方向に対する角度が50°となっていること以外、実施例1で用いたマイクロリアクターと同じ構成のマイクロリアクターを用い、実施例1と同様にして、導入口1に分散液Aを、導入口2にイオン交換水を導入し、加圧した。その結果、約60分で流路L1の浮力方向上面内壁にポリオレフィン微粒子の堆積が僅かにわかるようになり、約120分後には流路L1に、堆積が観察された。
実施例2を図2を用いて説明する、図2は実施例2に用いるマイクロリアクターを説明するための概念図である。図2において、マイクロリアクター12はアクリル樹脂製であり、流路L4、L6、及び繋ぎ流路L5が設けてある。流路L4、L6、及び繋ぎ流路L5は、それぞれ断面が長方形であり、奥行きがそれぞれ100μmである。更に、流路L4は、幅が500μm、長さが30mmであり、流路L6は、幅が200μm、長さが30mmであり、繋ぎ流路L5は、流路L4と流路L6との繋ぎ流路となっており、壁面の浮力方向に対する角度は30°である。流路L4及び流路L6には、それぞれ導入口4及び排出口6が設けてある。
不図示の導入装置により、導入口4に下記分散液Bを導入し、加圧した。
分散液Bは、体積平均粒径が約35μmの中空樹脂微粒子(商品名:エクスパンセルUD、日本フィライト(株)製)を10体積%含む水分散液であり、中空樹脂微粒子の比重は水の比重の0.11倍である。
繋ぎ流路L5の浮力方向に対する角度が90°となっていること以外、実施例2で用いたマイクロリアクターと同じ構成のマイクロリアクターを用い、実施例2と同様にして、導入口4に前記分散液Bを導入し、加圧した。その結果、約30分で繋ぎ流路L5の浮力方向上面内壁に中空樹脂微粒子の堆積が観察された。
繋ぎ流路L5の浮力方向に対する角度が50°となっていること以外、実施例2で用いたマイクロリアクターと同じ構成のマイクロリアクターを用い、実施例2と同様にして、導入口4に前記分散液Eを導入し、加圧した。その結果、約2時間以降に、中空樹脂微粒子の壁面への付着が観察され、約3時間では、堆積傾向が観察され、長時間の送液には問題があることが確認された。
3、6 排出口
10、12 マイクロリアクター
L1、L2、L3、L4、L6 流路
L5 繋ぎ流路
Claims (4)
- 体積平均粒径が1.5μm〜1000μmの微粒子が媒体液体に分散されており、該微粒子の比重が該媒体液体の比重の0.10〜0.99倍である微粒子分散液を、導入部及び排出部を有するマイクロ流路の導入部から排出部に層流で送液させる微粒子分散液の送液方法であって、
前記マイクロ流路を前記排出部が前記導入部より浮力方向で上になるように設置し、
かつ、該導入部から該排出部に至るまでの流路の浮力方向に対する角度を0〜45°とし、
更に、前記微粒子分散液を前記導入部に導入し、該導入された微粒子分散液を前記排出部に送液することを特徴とする微粒子分散液の送液方法。 - 体積平均粒径が1.5μm〜1000μmの微粒子が媒体液体に分散されており、該微粒子の比重が該媒体液体の比重の0.10〜0.99倍である微粒子分散液を、導入部及び排出部を有し、流路径が変化する箇所、及び/又は、流路の形状が変化する箇所を有するマイクロ流路の導入部から排出部に層流で送液させる微粒子分散液の送液方法であって、
前記マイクロ流路を前記排出部が前記導入部より浮力方向で上になるように設置し、
かつ、該導入部から該排出部に至るまでの流路の壁面の浮力方向に対する角度を0〜45°とし、
更に、前記微粒子分散液を前記導入部に導入し、該導入された微粒子分散液を前記排出部に送液することを特徴とする微粒子分散液の送液方法。 - 体積平均粒径が1.5μm〜1000μmの微粒子が媒体液体に分散されており、該微粒子の比重が該媒体液体の比重の0.10〜0.99倍である微粒子分散液を、導入部及び排出部を有するマイクロ流路の導入部から排出部に層流で送液させる微粒子分散液の送液装置であって、
前記マイクロ流路は、前記排出部が前記導入部より浮力方向で上に位置し、
かつ該導入部から該排出部に至るまでの流路の浮力方向に対する角度が0〜45°であることを特徴とする微粒子分散液の送液装置。 - 体積平均粒径が1.5μm〜1000μmの微粒子が媒体液体に分散されており、該微粒子の比重が該媒体液体の比重の0.10〜0.99倍である微粒子分散液を、導入部及び排出部を有し、流路径が変化する箇所、及び/又は、流路の形状が変化する箇所を有するマイクロ流路の導入部から排出部に層流で送液させる微粒子分散液の送液装置であって、
前記マイクロ流路は、前記排出部が前記導入部より浮力方向で上に位置し、
かつ前記導入部から前記排出部に至るまでの流路の壁面の浮力方向に対する角度が0〜45°であることを特徴とする微粒子分散液の送液装置。
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