JP4461900B2 - 微粒子分散液の送液方法、及び微粒子分散液の送液装置 - Google Patents
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Description
一方、比重が媒体液体よりも大きくミクロンオーダーの微粒子の分散液を、センチメーターオーダー以上の径の配管中に流すことは日常的に行われている。
しかし、比重が媒体液体よりも大きくミクロンオーダーの微粒子の分散液を、マイクロメーターオーダーの径の配管中に流す方法は、未だ提案されていない。
従来、マイクロメーターオーダーの径の配管中では、重力の影響を相対的に受けなくなると考えられていた(例えば、非特許文献1参照。)。しかし、重力により分散されたミクロンオーダーの微粒子の沈降が問題となることがわかった。通常、流路は重力方向に対する状態を考慮していないため問題となる。
また、単分散な金属ナノ粒子を連続的に形成する方法、およびこれを核として結晶成長させる方法、さらにナノ粒子コロイド分散液の脱塩、分解物除去を連続的に行う方法が提供されている。しかし、金属ナノ粒子は10nm以下となっており、より大きな微粒子には言及していない(例えば、特許文献2参照。)。
<1> 体積平均粒径が0.1μm〜1000μmの微粒子が媒体液体に分散されており、該微粒子の比重が該媒体液体の比重の1.01〜21.00倍である微粒子分散液を、導入部及び排出部を有するマイクロ流路の導入部から排出部に層流で送液させる微粒子分散液の送液方法であって、前記マイクロ流路を前記排出部が前記導入部より重力方向で下になるように設置し、かつ、該導入部から該排出部に至るまでの全ての流路の重力方向に対する角度を0〜45°とし、更に、前記微粒子分散液を前記導入部に導入し、該導入された微粒子分散液を前記排出部に送液することを特徴とする微粒子分散液の送液方法である。
第1の本発明の微粒子分散液の送液方法(以下、「第1の本発明の送液方法」という場合がある。)は、体積平均粒径が0.1μm〜1000μmの微粒子が媒体液体に分散されており、該微粒子の比重が該媒体液体の比重の1.01〜21.00倍である微粒子分散液を、導入部及び排出部を有するマイクロ流路の導入部から排出部に層流で送液させる微粒子分散液の送液方法であって、前記マイクロ流路を前記排出部が前記導入部より重力方向で下になるように設置し、かつ、該導入部から該排出部に至るまでの全ての流路の重力方向に対する角度を0〜45°とし、更に、前記微粒子分散液を前記導入部に導入し、該導入された微粒子分散液を前記排出部に送液することを特徴とする。
また、第2の本発明の微粒子分散液の送液方法(以下、「第2の本発明の送液方法」という場合がある。)は、体積平均粒径が0.1μm〜1000μmの微粒子が媒体液体に分散されており、該微粒子の比重が該媒体液体の比重の1.01〜21.00倍である微粒子分散液を、導入部及び排出部を有し、流路径が変化する箇所、及び/又は、流路の形状が変化する箇所を有するマイクロ流路の導入部から排出部に層流で送液させる微粒子分散液の送液方法であって、前記マイクロ流路を前記排出部が前記導入部より重力方向で下になるように設置し、かつ、該導入部から該排出部に至るまでの全ての流路の壁面の重力方向に対する角度を0〜45°とし、更に、前記微粒子分散液を前記導入部に導入し、該導入された微粒子分散液を前記排出部に送液することを特徴とする。
また、前記微粒子の比重は、気相置換法(ピクノメータ法)により、湯浅アイオニクス社製ウルトラピクノメータ1000を用いて測定した。
更に、前記媒体液体の比重は、エーアンドディー社の比重測定キットAD−1653を用い測定した。
前記微粒子の体積平均粒径は、上述のように0.1μm〜1000μmであることを必須とし、0.1μm〜500μmであることが好ましく、0.1μm〜200μmであることがより好ましく、0.1μm〜50μmであることが更に好ましい。前記微粒子の体積平均粒径が1000μmを越えると、後述するように本発明に用いられるマイクロ流路の粒径は数μm〜数千μmであるため、マイクロ流路で送液される微粒子分散液中の微粒子が流路を詰まらせる可能性がある。一方、前記微粒子の体積平均粒径が0.1μm未満であると、微粒子が堆積してしまうという問題はほとんど発生しないが、内壁面とのインタラクションの影響が大きくなり、付着などを生じてしまう。
また、金属あるいは金属化合物の微粒子(一般的に比重が2〜10程度である。)と組み合わされる媒体液体としては、金属などを酸化、還元などで犯さない水、アルコール類、キシレンなどの有機溶媒、あるいは油類が好ましく挙げられる。
以下、マイクロ流路としてマイクロリアクターを用いた場合について、本発明の送液方法、及び後述する本発明のマイクロ流路での微粒子分散液の送液装置を説明する。
本発明に用いられるマイクロリアクターは、マイクロスケールの流路(チャンネル)を有する反応装置であり、該流路は複数であることが好ましい。マイクロリアクターの流路は、マイクロスケールであるので、寸法および流速がいずれも小さく、レイノルズ数は数百以下である。したがって、本発明に用いられるマイクロリアクターに液体を送液した場合、該液体は層流で送液される。
尚、レイノルズ数(Re)は、Re=uL/ν (u:流速、L:代表長さ、ν:動粘性係数)で表されるもので、この値がおおよそ2300以下のとき、層流支配となる。
前記流路の重力方向に対する角度は、0〜30°であることが好ましく、0〜15°であることがより好ましく、0〜10°であることが更に好ましく、0〜5°であることが特に好ましい。前記流路の重力方向に対する角度が45°を超えると、沈降による流路内壁底面への微粒子の付着、堆積が生じ、流路閉塞の原因となる。
前記流路の壁面の重力方向に対する角度は、0〜30°であることが好ましく、0〜15°であることがより好ましく、0〜10°であることが更に好ましく、0〜5°であることが特に好ましい。前記流路の壁面の重力方向に対する角度が45°を超えると、沈降による流路内壁底面への微粒子の付着、堆積が生じ、流路閉塞の原因となる。
また、第2の本発明の微粒子分散液の送液装置(以下、「第2の本発明の送液装置」という場合がある。)は、体積平均粒径が0.1μm〜1000μmの微粒子が媒体液体に分散されており、該微粒子の比重が該媒体液体の比重の1.01〜21.00倍である微粒子分散液を、導入部及び排出部を有し、流路径が変化する箇所、及び/又は、流路の形状が変化する箇所を有するマイクロ流路の導入部から排出部に層流で送液させる微粒子分散液の送液装置であって、前記マイクロ流路は、前記排出部が前記導入部より重力方向で下に位置し、かつ前記導入部から前記排出部に至るまでの全ての流路の壁面の重力方向に対する角度が0〜45°であることを特徴とする。
また、本発明の送液装置における流路の重力方向に対する角度、及び流路の壁面の重力方向に対する角度は、それぞれ本発明の送液方法における流路の重力方向に対する角度、及び流路の壁面の重力方向に対する角度と同義であり、好ましい値も同様である。
また、本発明の送液装置は微粒子の洗浄に好ましく用いられる。一般的に微粒子の洗浄はバッチ式のろ過と再分散を組み合わせた手法がとられているため、工程間の物の移動や濾布への微粒子残存のため効率がよくない。これを沈降の課題を解消した本発明の送液方法を用いることにより格段に効率をアップすることができる。かつ本発明の送液装置は長時間使用が可能である。
まず、下記の実施例、比較例における各種特性の測定法について説明する。
前記微粒子の体積平均粒径は、下記粒径(5μm以下)の場合を除き、コールターカウンターTA−II型(コールター社製)を用いて測定した値である。この場合、微粒子の粒径レベルにより、最適なアパーチャーを用いて測定した。しかし、微粒子の粒径がおよそ5μm以下の場合は、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置(LA−700、堀場製作所製)を用いて測定した。さらに、粒径がナノメ−ターオーダーの場合は、BET式の比表面積測定装置(Flow SorbII2300、島津製作所社製)を用いて測定した。
また、前記微粒子の比重は、気相置換法(ピクノメータ法)により、湯浅アイオニクス社製ウルトラピクノメータ1000を用いて測定した。
更に、前記媒体液体の比重は、エーアンドディー社の比重測定キットAD−1653を用い測定した。
実施例1を図1を用いて説明する、図1は実施例1に用いるマイクロリアクターを説明するための概念図である。図1において、マイクロリアクター10はガラス製であり、流路L1、L2及びL3が設けてある。流路L1、L2及びL3には、それぞれ導入口1、2及び排出口3が設けてあり、断面が長方形であり奥行きは100μmである。また、流路L1及びL2は、それぞれ、幅が250μm、長さが20mmである。一方、L3は、幅が500μm、長さが50mmである。また、流路L1及びL2の重力方向に対する角度は45°であり、流路L3の重力方向に対する角度は0℃である。
尚、分散液Aは、体積平均粒径:10μmのポリスチレン微粒子を5体積%含む水分散液(商品名:粒子径標準粒子4210A、MORITEX社製)である。ポリスチレン微粒子の比重は水の比重の1.05倍である。
分散液Bは、体積平均粒径:3μmのポリメチルメタクリレート微粒子を8体積%含むエタノール分散液である。ポリメチルメタクリレート微粒子の比重はエタノールの比重の1.50倍である。
実施例1において、流路L1、L2及びL3の奥行きがそれぞれ200μm、流路L1、L2の幅が400μm、流路L3の幅が800μmとなっていること以外、実施例1で用いたマイクロリアクターと同じ構成のマイクロリアクターを用い、分散液Aを水に、分散液Bを下記分散液Cに変更したこと以外、実施例1と同様にして、導入口1に水を、導入口2に下記分散液Cをそれぞれ導入し、5時間にわたって送液したが、ポリスチレン微粒子の壁面への付着、閉塞などなく、水及び分散液Cは安定に送液された。
尚、分散液Cは、体積平均粒径:50μmのポリスチレン微粒子を5体積%含む水分散液(商品名:粒子径標準粒子4250A、MORITEX社製)で、ポリスチレン微粒子
の比重は水の比重の1.05倍であった。
実施例1において、分散液Aを下記分散液Dとしたこと以外、実施例1と同様にして、導入口1に下記分散液Dを、導入口2に分散液Bを導入し、5時間にわたって送液したが、ポリスチレン微粒子壁面への付着、閉塞などなく、安定に流れた。
尚、分散液Dは、体積平均粒径:0.1μmのポリスチレン微粒子を10体積%含む水分散液(商品名:粒子径標準粒子5010A、MORITEX社製)で、ポリスチレン微粒子の比重は水の比重の1.05倍であった。
流路L1及びL2の重力方向に対する角度が60°となっていること以外、実施例1で用いたマイクロリアクターと同じ構成のマイクロリアクターを用い、実施例1と同様にして、導入口1に分散液Aを、導入口2に分散液Bを導入した。その結果、約20分で流路L1の重力方向底面内壁に微粒子の堆積が目立つようになり、約60分後には流路L1は、送液が十分に行えなくなった。流路L2も同様に、約30分で堆積が目立つようになり、約90分後には流路L2は流れにくくなった。
流路L1及びL2の重力方向に対する角度が50°となっていること以外、実施例1で用いたマイクロリアクターと同じ構成のマイクロリアクターを用い、実施例1と同様にして、導入口1に分散液Aを、導入口2に分散液Bを導入した。その結果、約40分で流路L1の重力方向底面内壁に微粒子の堆積が目立つようになり、約90分で流路L1は、送液が十分に行えなくなった。流路L2も同様に、約60分で堆積が目立つようになり、約120分で流路L2は閉塞傾向となった。
実施例4を図2を用いて説明する、図2は実施例4に用いるマイクロリアクターを説明するための概念図である。図2において、マイクロリアクター12はアクリル樹脂製であり、流路L4、L6、及び繋ぎ流路L5が設けてある。流路L4、L6、及び繋ぎ流路L5それぞれ断面が長方形であり、長さがそれぞれ30mm、0.26mm、30mmであり、奥行きがそれぞれ50μmである。流路L4及びL6には、それぞれ導入口4及び排出口6が設けてある。また、流路L4及びL6は、幅がそれぞれ500μm及び200μmである。流路L4及びL6の壁面の重力方向に対する角度は0°である。L5はL4とL6との繋ぎ流路となっており、壁面の重力方向に対する角度は30°である。
不図示の導入装置により、導入口4に下記分散液Eを導入した。
尚、分散液Eは体積平均粒径:0.4μmのTiO2微粒子を10体積%含むエタノール分散液(商品名:クロノスKA−15、チタン工業製)であり、TiO2微粒子の比重はエタノールの比重の4.92倍である。
実施例4において、分散液Eを下記分散液Fとし、流路L1、L2及びL3の奥行きが500μmであり、幅がそれぞれ、L4が1000μm、L6が400μm、長さがL4が30mm、L5が0.52mm、L6が30mmとなっていること以外、実施例4で用いたマイクロリアクターと同じ構成のマイクロリアクターを用い、流量を10ml/hrとしたこと以外、実施例4と同様にして、導入口4に下記分散液Fを導入し、3時間にわたって送液したが、ステンレス微粒子の壁面への付着、閉塞などなく、安定に流れた。
尚、分散液Fは、下記ステンレス球の篩分品(粒径が約50μmのステンレス微粒子)のの5体積%水分散液(商品名:粒子径標準粒子435、MORITEX社製)であり、ステンレス球の比重は水の比重の約8倍である。
繋ぎ流路L5の重力方向に対する角度が90°となっていること以外、実施例4で用いたマイクロリアクターと同じ構成のマイクロリアクターを用い、実施例4と同様にして、導入口4に下記分散液Eを導入した。その結果繋ぎ流路L5の壁面に約10分でTiO2微粒子の堆積が目立つようになり、約30分で流路L5は閉塞した。
繋ぎ流路L5の重力方向に対する角度が50°となっていること以外、実施例4で用いたマイクロリアクターと同じ構成のマイクロリアクターを用い、実施例4と同様にして、導入口4に下記分散液Eを導入した。その結果繋ぎ流路L5の壁面に約30分でTiO2微粒子の堆積が目立つようになり、約1時間で閉塞傾向となった。
3、6 排出口
10、12 マイクロリアクター
L1、L2、L3、L4、L6 流路
L5 繋ぎ流路
Claims (4)
- 体積平均粒径が0.1μm〜1000μmの微粒子が媒体液体に分散されており、該微粒子の比重が該媒体液体の比重の1.01〜21.00倍である微粒子分散液を、導入部及び排出部を有するマイクロ流路の導入部から排出部に層流で送液させる微粒子分散液の送液方法であって、
前記マイクロ流路を前記排出部が前記導入部より重力方向で下になるように設置し、
かつ、該導入部から該排出部に至るまでの全ての流路の重力方向に対する角度を0〜45°とし、
更に、前記微粒子分散液を前記導入部に導入し、該導入された微粒子分散液を前記排出部に送液することを特徴とする微粒子分散液の送液方法。 - 体積平均粒径が0.1μm〜1000μmの微粒子が媒体液体に分散されており、該微粒子の比重が該媒体液体の比重の1.01〜21.00倍である微粒子分散液を、導入部及び排出部を有し、流路径が変化する箇所、及び/又は、流路の形状が変化する箇所を有するマイクロ流路の導入部から排出部に層流で送液させる微粒子分散液の送液方法であって、
前記マイクロ流路を前記排出部が前記導入部より重力方向で下になるように設置し、
かつ、該導入部から該排出部に至るまでの全ての流路の壁面の重力方向に対する角度を0〜45°とし、
更に、前記微粒子分散液を前記導入部に導入し、該導入された微粒子分散液を前記排出部に送液することを特徴とする微粒子分散液の送液方法。 - 体積平均粒径が0.1μm〜1000μmの微粒子が媒体液体に分散されており、該微粒子の比重が該媒体液体の比重の1.01〜21.00倍である微粒子分散液を、導入部及び排出部を有するマイクロ流路の導入部から排出部に層流で送液させる微粒子分散液の送液装置であって、
前記マイクロ流路は、前記排出部が前記導入部より重力方向で下に位置し、
かつ該導入部から該排出部に至るまでの全ての流路の重力方向に対する角度が0〜45°であることを特徴とする微粒子分散液の送液装置。 - 体積平均粒径が0.1μm〜1000μmの微粒子が媒体液体に分散されており、該微粒子の比重が該媒体液体の比重の1.01〜21.00倍である微粒子分散液を、導入部及び排出部を有し、流路径が変化する箇所、及び/又は、流路の形状が変化する箇所を有するマイクロ流路の導入部から排出部に層流で送液させる微粒子分散液の送液装置であって、
前記マイクロ流路は、前記排出部が前記導入部より重力方向で下に位置し、
かつ前記導入部から前記排出部に至るまでの全ての流路の壁面の重力方向に対する角度が0〜45°であることを特徴とする微粒子分散液の送液装置。
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