JP2014050843A - 微粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】微粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】原料物質を含む原料流体と、上記原料物質を処理するための物質を含む処理流体との、少なくとも2種類の被処理流動体を、対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転を行う少なくとも2つの処理用面間にできる薄膜流体中で混合し、処理された原料物質の微粒子を得る。その際、原料流体と処理流体とが合流する、合流部における前記回転の周速度を制御することにより、処理された原料物質の微粒子同士が合一する割合を制御する。
【選択図】図8

Description

本発明は、微粒子の製造方法に関する。
近年、微粒子は、光学材料、磁性材料、導電材料、電子材料、機能性セラミックス、蛍光材料、触媒材料、化学材料など、産業分野において多方面で幅広く使用されている。例えば、金属や金属酸化物、複合材料などの微粒子は、光学的、電磁気的、機械的特性を飛躍的に向上させるものとして期待されている。また、微粒子化による量子サイズ効果による超高機能性や新規な特性の発現など、新たな特性にも大きな期待が寄せられている。しかしながら、上記の各種の特性が、粒子径と密接な関係に有るため、単に微粒子を合成するだけでなく、微粒子の粒子径を精密に制御することが求められている。本来、微粒子はその一次粒子径によって特性が変化するが、一次粒子が複数個凝集している場合、特に一次粒子同士が合一している場合には、合一していない場合と比べてその特性が異なる。
微粒子の製造方法には、主にビーズミルなどを用いて粒子を粉砕する所謂ブレイクダウン法や、CVDまたはPVDのような気相法でのビルドアップ法、マイクロリアクターなどの装置を用いた液相法でのビルドアップ法などがある。しかし、ブレイクダウン法では多大なエネルギーを必要とするにも関わらず、ナノサイズの微粒子を作製する事が困難であり、さらに粉砕処理によって微粒子に強い力が作用するため、微粒子として期待された特性が、実際には発現しないなどの問題があった。また、気相法やマイクロリアクターなどを用いた方法も、エネルギーコストが高くなるなどの問題点があり、安定的且つ大量に微粒子を製造することは困難であった。また、液相法においては、特にバッチ式の場合には、作製される微粒子の粒子径を揃えることが難しく、粗大粒子が発生する問題及び粗大粒子を分級するために生じる微粒子の特性劣化の問題などがある。このため、現状の微粒子の製造方法では、産業上において微粒子の粒子径を制御することは非常に困難であった。
上述の粗大粒子の発生は、微粒子同士の合一によるものであり、最終的に得られる微粒子の粒度分布が広くなる。そのため、微粒子を製造する際に、微粒子の表面に修飾基を導入したり分散剤を用いるなどして微粒子の分散性を確保し、微粒子同士の凝集や合一を防止している。
一方、微粒子同士の凝集や合一を制御することによって、得られる微粒子の粒子径を制御することができる。例えば、特許文献1には、電子写真用トナーの製造方法において、アクリル酸系ポリマー塩を分散剤として径内に添加することにより、結着樹脂を含む一次粒子の凝集状態を制御することができ、合一粒子の粒子径及び粒度分布を容易に制御することができることが記載されている。
また、本願出願人によって、特許文献2,3に示す微粒子の製造方法が提供されたが、微粒子同士の凝集や合一を制御することについて、具体的に開示されていなかった。
特開2006−184306号公報 国際公開WO2009/008393号パンフレット 国際公開WO2009/008390号パンフレット
本発明はこのことに鑑み、微粒子同士の合一、特に、微粒子同士が合一する割合を制御することを特徴とする微粒子の製造方法を提供することを課題とする。
本願出願人は、原料物質を含む原料流体と上記原料物質を処理するための物質を含む処理流体との、少なくとも2種類の被処理流動体を、対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転を行う少なくとも2つの処理用面間にできる薄膜流体中で混合し、処理された原料物質の微粒子を得る際に、少なくとも2種類の被処理流動体が合流する部分(合流部)での上記回転の周速度を制御することによって、上記微粒子同士が合一する割合を制御することができることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、少なくとも2種類の被処理流動体を用いるものであり、そのうちで少なくとも1種類の被処理流動体は、原料物質を少なくとも1種類含む原料流体であり、上記以外の被処理流動体で少なくとも1種類の被処理流動体は、上記原料物質を処理するための物質を少なくとも1種類含む処理流体であり、上記の被処理流動体を、対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転を行う少なくとも2つの処理用面間にできる薄膜流体中で混合し、処理された原料物質の微粒子を得る微粒子の製造方法において、上記原料流体と上記処理流体とが合流する、合流部における前記回転の周速度を制御することによって、上記微粒子同士が合一する割合を制御することを特徴とする微粒子の製造方法を提供する。
本願において、微粒子同士の合一とは、例えば、微粒子の形状を球体とした場合に、複数の球体が結び付いてそれぞれの球体の形状の一部をとどめており、見かけ上、複数の微粒子同士が合体していると判断されるものをいい、その合一が、微粒子の成長過程で生じたものか、成長後に生じたものかは問わない。
また、上記の微粒子の粒子径の測定は、合一した微粒子も一つの微粒子として、その径の測定を行なった。
また、本発明は、上記の処理が、析出、乳化、分散、反応、凝集から選択された少なくとも何れか1種であるものとして実施することができる。
また、本発明は、上記原料流体と上記処理流体とのうちの何れか一方の被処理流動体が上記薄膜流体を形成しながら上記両処理用面間を通過し、上記何れか一方の被処理流動体が流される流路とは独立した別途の導入路を備えており、上記少なくとも2つの処理用面の少なくとも何れか一方に上記別途の導入路に通じる開口部を少なくとも一つ備え、上記原料流体と上記処理流体とのうちの何れか他方の被処理流動体を、上記開口部から上記少なくとも2つの処理用面の間に導入して、上記原料流体と上記処理流体とを、上記薄膜流体中で混合するものとして実施することができる。
また、本発明は、上記原料流体と上記処理流体とが合流する、合流部における前記回転の周速度を0.8〜41.9m/sの範囲に制御するものとして実施することが適当である。
また、本発明は、上記原料流体と上記処理流体とが合流する、合流部における前記回転の周速度を制御することによって、上記微粒子同士が合一する割合を50%以下、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下とするものとして実施することが適当である。
本発明の実施の態様の一例を示せば、被処理流動体に圧力を付与する流体圧付与機構と、上記少なくとも2つの処理用面のうち第1処理用面を備えた第1処理用部と、上記少なくとも2つの処理用面のうち第2処理用面を備えた第2処理用部とを備え、これらの処理用部を相対的に回転させる回転駆動機構とを備え、上記の各処理用面は、上記の圧力が付与された被処理流動体が流される、密封された流路の一部を構成するものであり、上記第1処理用部と第2処理用部のうち、少なくとも第2処理用部は受圧面を備えるものであり、且つ、この受圧面の少なくとも一部が上記第2処理用面により構成され、この受圧面は、上記の流体圧付与機構が被処理流動体に付与する圧力を受けて第1処理用面から第2処理用面を離反させる方向に移動させる力を発生させ、対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する第1処理用面と第2処理用面との間に上記の圧力が付与された被処理流動体が通されることにより、上記被処理流動体が上記薄膜流体を形成し、この薄膜流体中において、処理された原料物質の微粒子を得る微粒子の製造方法として実施することができる。
本発明は、従来の製造方法では困難であった、微粒子同士が合一する割合の制御を可能とし、微粒子を簡単且つ連続的に製造する事を可能とした。また、対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転を行う少なくとも2つの処理用面の、上記処理用面間における少なくとも2種類の被処理流動体の合流部における前記回転の周速度を変化させるという簡単な処理条件の変更によって、得られる微粒子同士が合一する割合を制御することが可能となるため、これまで以上に低コスト、低エネルギーで、目的に応じた微粒子を作り分ける事が可能となり、安価且つ安定的に微粒子を提供する事ができる。そして、上述の分散剤を用いずとも、また、上述の分散剤を用いた場合においても、上記処理用面間における少なくとも2種類の被処理流動体の合流部における前記回転の周速度の制御により、微粒子同士が合一する割合を制御することができる。
本発明の実施の形態に係る流体処理装置の略断面図である。 (A)は図1に示す流体処理装置の第1処理用面の略平面図であり、(B)は同装置の処理用面の要部拡大図である。 (A)は同装置の第2導入部の断面図であり、(B)は同第2導入部を説明するための処理用面の要部拡大図である。 実施例2において作製されたニッケル微粒子のSEM写真である。 実施例5において作製されたニッケル微粒子のSEM写真である。 実施例13において作製された銀微粒子のSEM写真である。 実施例16において作製されたアクリルポリマー微粒子のSEM写真である。 実施例20において作製されたアクリルポリマー微粒子のSEM写真である。 実施例23において作製されたアモルファスシリカ微粒子のTEM写真である。 実施例24において作製されたアモルファスシリカ微粒子のTEM写真を示す。
以下に、本発明の実施の形態の一例について、具体的に説明する。
(原料流体)
本発明における原料流体は、原料である原料物質を少なくとも1種類含むものであり、原料物質を後述する溶媒に混合または溶解(以下、混合または溶解を単に、溶解と記載する。)することが望ましい。
本発明における原料物質は特に限定されないが、有機物や無機物、有機無機の複合物などが挙げられ、例えば、金属元素や非金属元素の単体、またそれらの化合物などが挙げられる。化合物としては、塩、酸化物、水酸化物、水酸化酸化物、窒化物、炭化物、錯体、有機化合物や、それらの水和物や有機溶媒和物などが挙げられる。これらは単一の原料物質であっても良く、2種類以上が混合された混合物であっても良い。
なお、出発原料として用いられる原料物質と、後述する処理流体との混合によって得られる処理された原料物質とは、処理の前後において、両者が同じ物質であってもよいし、別の物質であってもよい。例えば、金属を例にとると、出発原料として用いられる原料物質が金属化合物であって、処理された原料物質が上記金属化合物を構成する金属単体であってもよい。また、出発原料として用いられる原料物質が複数種の金属化合物の混合物であって、処理された原料物質が、出発原料として用いられる原料物質である複数種の金属化合物と、処理流体に含まれる原料物質を処理するための物質とが反応した反応生成物であってもよい。さらに、出発原料として用いられる原料物質が金属単体であって、処理された原料物質も同じく金属単体であってもよい。
(処理流体)
本発明における処理流体は、原料物質を処理するための物質を少なくとも1種類含むものである。そして、上記の処理とは、特に限定されないが、析出、乳化、分散、反応、凝集等が挙げられる。処理流体としては、後述するような溶媒を単独で用いても良く、上記の原料物質を処理するための物質として、下記の物質を上記溶媒中に含むものであっても良い。上記の物質としては特に限定されないが、例えば、塩酸や硫酸、硝酸や王水、トリクロロ酢酸やトリフルオロ酢酸、リン酸やクエン酸、アスコルビン酸などの無機または有機の酸のような酸性物質や、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの水酸化アルカリや、トリエチルアミンやジメチルアミノエタノールなどのアミン類などの塩基性物質、上記の酸性物質や塩基性物質の塩などが挙げられる。また、原料物質を還元することができる還元剤、例えば、金属及び/または金属化合物、好ましくは金属イオンを還元することができる還元剤も挙げられる。上記還元剤は特に限定されないが、ヒドラジンまたはヒドラジン一水和物、ホルムアルデヒド、スルホキシル酸ナトリウム、水素化ホウ素金属塩、水素化アルミニウム金属塩、水素化トリエチルホウ素金属塩、グルコース、クエン酸、アスコルビン酸、タンニン酸、ジメチルホルムアミド、ピロガロール、テトラブチルアンモニウムボロヒドリド、次亜リン酸ナトリウム(NaHPO・HO)、ロンガリットC(NaHSO・CHO・2HO)、金属の化合物またはそれらのイオン、好ましくは遷移金属の化合物またはそれらのイオン(鉄、チタンなど)などが挙げられる。上記に挙げた還元剤には、それらの水和物や有機溶媒和物、または無水物などを含まれる。これらの原料物質を処理するための物質は、それぞれ単独で使用しても良く、2種類以上が混合された混合物として使用しても良い。なお、処理流体として上記溶媒を単独で用いる場合には、上記溶媒が、原料物質を処理するための物質となる。
(溶媒)
本発明における原料流体や処理流体に用いる溶媒としては特に限定されないが、イオン交換水やRO水、純水や超純水などの水や、メタノールやエタノールのようなアルコール系有機溶媒や、エチレングリコールやプロピレングリコール、トリメチレングリコールやテトラエチレングリコール、またはポリエチレングリコールやグリセリンなどのポリオール(多価アルコール)系有機溶媒、アセトンやメチルエチルケトンのようなケトン系有機溶媒、酢酸エチルや酢酸ブチルのようなエステル系有機溶媒、ジメチルエーテルやジブチルエーテルなどのエーテル系有機溶媒、ベンゼンやトルエン、キシレンなどの芳香族系有機溶媒、ヘキサンや、ペンタンなどの脂肪族炭化水素系有機溶媒などが挙げられる。また上記アルコール系有機溶媒やポリオール系有機溶媒を溶媒として用いた場合には、溶媒そのものが還元剤としても働く利点がある。上記溶媒はそれぞれ単独で使用しても良く、複数以上を混合して使用しても良い。特に、処理流体に関しては、上述の通り、上記溶媒を単独で処理流体として用いることも可能である。言い換えると、上記溶媒は単独であっても原料物質を処理するための物質となりうる。
本発明における原料流体及び/又は処理流体には、分散液やスラリーなどのように、固体や結晶の状態のものを含んでいても実施できる。
以下、本発明の具体的な形態を、金属微粒子の製造方法を例に説明する。しかし本発明は、金属微粒子の製造方法に限定されるものではない。
(金属流体及び金属)
本発明における金属流体は、原料物質として少なくとも1種類の金属及び/または金属化合物を上記の溶媒に溶解したものであり、上記の原料流体となる。
本発明における金属は、特に限定されない。好ましくは化学周期表上における全ての金属である。金属元素としては、例えば、Ti、Fe、W、Pt、Au、Cu、Ag、Pb、Ni、Mn、Co、Ru、V、Zn、Zr、Sn、Ta、Nb、Hf、Cr、Mo、Re、In、Ir、Os、Y、Tc、Pd、Rh、Sc、Ga、Al、Bi、Na、Mg、Ca、Ba、La、Ce、Nd、Ho、Euなどの金属元素が挙げられる。また、本発明においては、それらの金属元素に加えて、B、Si、Ge、As、Sb、C、N、O、S、Te、Se、F、Cl、Br、I、Atの非金属元素を金属元素として挙げることができる。これらの金属について、単一の元素であっても良く、複数の金属元素からなる合金や金属元素に非金属元素を含む物質であっても良い。当然、卑金属と貴金属の合金としても実施できる。
(金属化合物)
また、上記の金属(上記に列挙した非金属元素をも含む)の単体に加えて、それら金属の化合物である金属化合物を上記の溶媒に溶解したものを金属流体として用いることができる。本発明における金属化合物としては特に限定されないが、例えば、金属の塩、酸化物、水酸化物、水酸化酸化物、窒化物、炭化物、錯体、有機塩、有機錯体、有機化合物、またはそれら金属化合物の水和物や有機溶媒和物などが挙げられる。金属塩としては、特に限定されないが、金属の硝酸塩や亜硝酸塩、硫酸塩や亜硫酸塩、蟻酸塩や酢酸塩、リン酸塩や亜リン酸塩、次亜リン酸塩や塩化物、オキシ塩やアセチルアセトナート塩、またはそれら金属塩の水和物や有機溶媒和物などや、有機化合物としては金属のアルコキシドなどが挙げられる。これらの金属化合物は単独で使用しても良く、2種類以上が混合された混合物として使用しても良い。
(還元剤流体及び還元剤)
本発明に用いる還元剤流体は、上記に挙げた還元剤を少なくとも1種類含むものであり、上記の処理流体となる。これらの還元剤は、それぞれ単独で使用しても良く、2種類以上が混合された混合物として使用しても良い。また、上記の還元剤を上記の溶媒と混合または溶解したものを還元剤流体として用いることが望ましい。
また、金属流体及び/又は還元剤流体には、分散液やスラリーなどのように、固体や結晶の状態のものを含んでいても実施できる。
(流体処理装置)
本発明においては、原料流体と処理流体との混合を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面の間にできる、薄膜流体中で均一に攪拌・混合する方法を用いて行うことが好ましく、例えば、本願出願人による、特許文献2,3に示される装置と同様の原理の装置を用いて混合する事によって、処理された原料物質の微粒子を得ることが好ましい。
以下、図面を用いて上記流体処理装置の実施の形態について説明する。
図1〜図3に示す流体処理装置は、接近・離反可能な少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する処理用部における処理用面の間で被処理物を処理するものであって、被処理流動体のうちの第1の被処理流動体である第1流体を処理用面間に導入し、前記第1流体を導入した流路とは独立し、処理用面間に通じる開口部を備えた別の流路から被処理流動体のうちの第2の被処理流動体である第2流体を処理用面間に導入して処理用面間で上記第1流体と第2流体を混合・攪拌して処理を行う装置である。なお、図1においてUは上方を、Sは下方をそれぞれ示しているが、本発明において上下前後左右は相対的な位置関係を示すに止まり、絶対的な位置を特定するものではない。図2(A)、図3(B)においてRは回転方向を示している。図3(B)においてCは遠心力方向(半径方向)を示している。
この装置は、被処理流動体として少なくとも2種類の流体を用いるものであり、そのうちで少なくとも1種類の流体については被処理物を少なくとも1種類含むものであり、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面を備え、これらの処理用面の間で上記の各流体を合流させて薄膜流体とするものであり、当該薄膜流体中において上記の被処理物を処理する装置である。この装置は、上述のとおり、複数の被処理流動体を処理することができるが、単一の被処理流動体を処理することもできる。
この流体処理装置は、対向する第1及び第2の、2つの処理用部10,20を備え、少なくとも一方の処理用部が回転する。両処理用部10,20の対向する面が、夫々処理用面となる。第1処理用部10は第1処理用面1を備え、第2処理用部20は第2処理用面2を備える。
両処理用面1,2は、被処理流動体の流路に接続され、被処理流動体の流路の一部を構成する。この両処理用面1,2間の間隔は、適宜変更して実施することができるが、通常は、1mm以下、例えば0.1μmから50μm程度の微小間隔に調整される。これによって、この両処理用面1,2間を通過する被処理流動体は、両処理用面1,2によって強制された強制薄膜流体となる。
この装置を用いて複数の被処理流動体を処理する場合、この装置は、第1の被処理流動体の流路に接続され、当該第1被処理流動体の流路の一部を形成すると共に、第1被処理流動体とは別の、第2被処理流動体の流路の一部を形成する。そして、この装置は、両流路を合流させて、処理用面1,2間において、両被処理流動体を混合し、反応させるなどの流体の処理を行なう。なお、ここで「処理」とは、被処理物が反応する形態に限らず、反応を伴わずに混合・分散のみがなされる形態も含む。
具体的に説明すると、上記の第1処理用部10を保持する第1ホルダ11と、第2処理用部20を保持する第2ホルダ21と、接面圧付与機構と、回転駆動機構と、第1導入部d1と、第2導入部d2と、流体圧付与機構pとを備える。
図2(A)へ示す通り、この実施の形態において、第1処理用部10は、環状体であり、より詳しくはリング状のディスクである。また、第2処理用部20もリング状のディスクである。第1、第2処理用部10、20の材質は、金属の他、カーボン、セラミック、焼結金属、耐磨耗鋼、サファイア、その他金属に硬化処理を施したものや、硬質材をライニングやコーティング、メッキなどを施工したものを採用することができる。この実施の形態において、両処理用部10,20は、互いに対向する第1、第2の処理用面1、2の少なくとも一部が鏡面研磨されている。
この鏡面研磨の面粗度は、特に限定されないが、好ましくはRa0.01〜1.0μm、より好ましくはRa0.03〜0.3μmとする。
少なくとも一方のホルダは、電動機などの回転駆動機構(図示せず)にて、他方のホルダに対して相対的に回転することができる。図1の50は、回転駆動機構の回転軸を示しており、この例では、この回転軸50に取り付けられた第1ホルダ11が回転し、この第1ホルダ11に支持された第1処理用部10が第2処理用部20に対して回転する。もちろん、第2処理用部20を回転させるようにしてもよく、双方を回転させるようにしてもよい。また、この例では、第1、第2ホルダ11、21を固定しておき、この第1、第2ホルダ11、21に対して第1、第2処理用部10、20が回転するようにしてもよい。
第1処理用部10と第2処理用部20とは、少なくとも何れか一方が、少なくとも何れか他方に、接近・離反可能となっており、両処理用面1,2は、接近・離反できる。
この実施の形態では、第1処理用部10に対して、第2処理用部20が接近・離反するもので、第2ホルダ21に設けられた収容部41に、第2処理用部20が出没可能に収容されている。但し、これとは、逆に、第1処理用部10が、第2処理用部20に対して接近・離反するものであってもよく、両処理用部10,20が互いに接近・離反するものであってもよい。
この収容部41は、第2処理用部20の、主として処理用面2側と反対側の部位を収容する凹部であり、平面視において、円を呈する、即ち環状に形成された、溝である。この収容部41は、第2処理用部20を回転させ得る十分なクリアランスを持って、第2処理用部20を収容する。なお、第2処理用部20は軸方向に平行移動のみが可能なように配置してもよいが、上記クリアランスを大きくすることにより、第2処理用部20は、収容部41に対して、処理用部20の中心線を、上記収容部41の軸方向と平行の関係を崩すように傾斜して変位できるようにしてもよく、さらに、第2処理用部20の中心線と収容部41の中心線とが半径方向にずれるように変位できるようにしてもよい。
このように、3次元的に変位可能に保持するフローティング機構によって、第2処理用部20を保持することが望ましい。
上記の被処理流動体は、各種のポンプや位置エネルギーなどによって構成される流体圧付与機構pによって圧力が付与された状態で、第1導入部d1と、第2導入部d2から両処理用面1、2間に導入される。この実施の形態において、第1導入部d1は、環状の第2ホルダ21の中央に設けられた通路であり、その一端が、環状の両処理用部10、20の内側から、両処理用面1、2間に導入される。第2導入部d2は、第1の被処理流動体と反応させる第2の被処理流動体を処理用面1,2へ供給する。この実施の形態において、第2導入部d2は、第2処理用部20の内部に設けられた通路であり、その一端が、第2処理用面2にて開口する。流体圧付与機構pにより加圧された第1の被処理流動体は、第1導入部d1から、両処理用部10,20の内側の空間に導入され、第1処理用面1と第2処理用面2との間を通り、両処理用部10,20の外側に通り抜けようとする。これらの処理用面1,2間において、第2導入部d2から流体圧付与機構pにより加圧された第2の被処理流動体が供給され、第1の被処理流動体と合流し、混合、攪拌、乳化、分散、反応、晶出、晶析、析出などの種々の流体処理がなされ、両処理用面1,2から、両処理用部10,20の外側に排出される。なお、減圧ポンプにより両処理用部10,20の外側の環境を負圧にすることもできる。
上記の接面圧付与機構は、第1処理用面1と第2処理用面2とを接近させる方向に作用させる力を、処理用部に付与する。この実施の形態では、接面圧付与機構は、第2ホルダ21に設けられ、第2処理用部20を第1処理用部10に向けて付勢する。
前記の接面圧付与機構は、第1処理用部10の第1処理用面1と第2処理用部20の第2処理用面2とが接近する方向に押す力(以下、接面圧力という)を発生させるための機構である。この接面圧力と、流体圧力などの両処理用面1、2間を離反させる力との均衡によって、nm単位ないしμm単位の微小な膜厚を有する薄膜流体を発生させる。言い換えれば、上記力の均衡によって、両処理用面1、2間の間隔を所定の微小間隔に保つ。
図1に示す実施の形態において、接面圧付与機構は、上記の収容部41と第2処理用部20との間に配位される。具体的には、第2処理用部20を第1処理用部10に近づく方向に付勢するスプリング43と、空気や油などの付勢用流体を導入する付勢用流体導入部44とにて構成され、スプリング43と上記付勢用流体の流体圧力とによって、上記の接面圧力を付与する。このスプリング43と上記付勢用流体の流体圧力とは、いずれか一方が付与されるものであればよく、磁力や重力などの他の力であってもよい。この接面圧付与機構の付勢に抗して、流体圧付与機構pにより加圧された被処理流動体の圧力や粘性などによって生じる離反力によって、第2処理用部20は、第1処理用部10から遠ざかり、両処理用面間に微小な間隔を開ける。このように、この接面圧力と離反力とのバランスによって、第1処理用面1と第2処理用面2とは、μm単位の精度で設定され、両処理用面1,2間の微小間隔の設定がなされる。上記離反力としては、被処理流動体の流体圧や粘性と、処理用部の回転による遠心力と、付勢用流体導入部44に負圧を掛けた場合の当該負圧、スプリング43を引っ張りスプリングとした場合のバネの力などを挙げることができる。この接面圧付与機構は、第2処理用部20ではなく、第1処理用部10に設けてもよく、双方に設けてもよい。
上記の離反力について、具体的に説明すると、第2処理用部20は、上記の第2処理用面2と共に、第2処理用面2の内側(即ち、第1処理用面1と第2処理用面2との間への被処理流動体の進入口側)に位置して当該第2処理用面2に隣接する離反用調整面23を備える。この例では、離反用調整面23は、傾斜面として実施されているが、水平面であってもよい。被処理流動体の圧力が、離反用調整面23に作用して、第2処理用部20を第1処理用部10から離反させる方向への力を発生させる。従って、離反力を発生させるための受圧面は、第2処理用面2と離反用調整面23とになる。
さらに、この図1の例では、第2処理用部20に近接用調整面24が形成されている。この近接用調整面24は、離反用調整面23と軸方向において反対側の面(図1においては上方の面)であり、被処理流動体の圧力が作用して、第2処理用部20を第1処理用部10に接近させる方向への力を発生させる。
なお、第2処理用面2及び離反用調整面23に作用する被処理流動体の圧力、即ち流体圧は、メカニカルシールにおけるオープニングフォースを構成する力として理解される。処理用面1,2の接近・離反の方向、即ち第2処理用部20の出没方向(図1においては軸方向)と直交する仮想平面上に投影した近接用調整面24の投影面積A1と、当該仮想平面上に投影した第2処理用部20の第2処理用面2及び離反用調整面23との投影面積の合計面積A2との、面積比A1/A2は、バランス比Kと呼ばれ、上記オープニングフォースの調整に重要である。このオープニングフォースについては、上記バランスライン、即ち近接用調整面24の面積A1を変更することで、被処理流動体の圧力、即ち流体圧により調整できる。
摺動面の実面圧P、即ち、接面圧力のうち流体圧によるものは次式で計算される。
P=P1×(K−k)+Ps
ここでP1は、被処理流動体の圧力即ち流体圧を示し、Kは上記のバランス比を示し、kはオープニングフォース係数を示し、Psはスプリング及び背圧力を示す。
このバランスラインの調整により摺動面の実面圧Pを調整することで処理用面1,2間を所望の微小隙間量にし被処理流動体による流動体膜を形成させ、生成物などの処理された被処理物を微細とし、また、均一な反応処理を行うのである。
なお、図示は省略するが、近接用調整面24を離反用調整面23よりも広い面積を持ったものとして実施することも可能である。
被処理流動体は、上記の微小な隙間を保持する両処理用面1,2によって強制された薄膜流体となり、環状の両処理用面1、2の外側に移動しようとする。ところが、第1処理用部10は回転しているので、混合された被処理流動体は、環状の両処理用面1,2の内側から外側へ直線的に移動するのではなく、環状の半径方向への移動ベクトルと周方向への移動ベクトルとの合成ベクトルが被処理流動体に作用して、内側から外側へ略渦巻き状に移動する。
尚、回転軸50は、鉛直に配置されたものに限定するものではなく、水平方向に配位されたものであってもよく、傾斜して配位されたものであってよい。被処理流動体は両処理用面1,2間の微細な間隔にて処理がなされるものであり、実質的に重力の影響を排除できるからである。また、この接面圧付与機構は、前述の第2処理用部20を変位可能に保持するフローティング機構と併用することによって、微振動や回転アライメントの緩衝機構としても機能する。
流体の運動において、慣性力と粘性力の比を表す無次元数をレイノルズ数と呼び、以下の式で表される。
レイノルズ数Re=慣性力/粘性力=ρVL/μ=VL/ν
ここで、ν=μ/ρは動粘度、Vは代表速度、Lは代表長さ、ρは密度、μは粘度を示す。
そして、流体の流れは、臨界レイノルズ数を境界とし、臨界レイノルズ数以下では層流、臨界レイノルズ数以上では乱流となる。
上記流体処理装置の両処理用面1,2間は微小間隔に調整されるため、両処理用面1,2間に保有される流体の量は極めて少ない。そのため、代表長さLが非常に小さくなり、両処理用面1,2間を通過する薄膜流体の遠心力は小さく、薄膜流体中は粘性力の影響が大きくなる。従って、上記のレイノルズ数は小さくなり、薄膜流体は層流となる。
遠心力は、回転運動における慣性力の一種であり、中心から外側に向かう力である。遠心力は、以下の式で表される。
遠心力F=ma=mv2/R
ここで、aは加速度、mは質量、vは速度、Rは半径を示す。
上述の通り、両処理用面1,2間に保有される流体の量は少ないため、流体の質量に対する速度の割合が非常に大きくなり、その質量は無視できるようになる。従って、両処理用面1,2間にできる薄膜流体中においては重力の影響を無視できる。そのため、本来微粒子として得ることが難しい比重差のある2種以上の金属元素を含む合金や複合金属化合物などの微粒子においても、両処理用面1,2間にできる薄膜流体中で得ることができる。
第1、第2処理用部10、20は、その少なくともいずれか一方を、冷却或いは加熱して、その温度を調整するようにしてもよく、図1では、第1、第2処理用部10、20に温調機構(温度調整機構)J1,J2を設けた例を図示している。また、導入される被処理流動体を冷却或いは加熱して、その温度を調整するようにしてもよい。これらの温度は、処理された被処理物の析出のために用いることもでき、また、第1、第2処理用面1、2間における被処理流動体にベナール対流若しくはマランゴニ対流を発生させるために設定してもよい。
図2に示すように、第1処理用部10の第1処理用面1には、第1処理用部10の中心側から外側に向けて、即ち径方向について伸びる溝状の凹部13を形成して実施してもよい。この凹部13の平面形状は、図2(B)へ示すように、第1処理用面1上をカーブして或いは渦巻き状に伸びるものや、図示はしないが、真っ直ぐ外方向に伸びるもの、L字状などに屈曲あるいは湾曲するもの、連続したもの、断続するもの、枝分かれするものであってもよい。また、この凹部13は、第2処理用面2に形成するものとしても実施可能であり、第1及び第2の処理用面1,2の双方に形成するものとしても実施可能である。この様な凹部13を形成することによりマイクロポンプ効果を得ることができ、被処理流動体を第1及び第2の処理用面1,2間に吸引することができる効果がある。
この凹部13の基端は第1処理用部10の内周に達することが望ましい。この凹部13の先端は、第1処理用部面1の外周面側に向けて伸びるもので、その深さ(横断面積)は、基端から先端に向かうにつれて、漸次減少するものとしている。
この凹部13の先端と第1処理用面1の外周面との間には、凹部13のない平坦面16が設けられている。
前述の第2導入部d2の開口部d20を第2処理用面2に設ける場合は、対向する上記第1処理用面1の平坦面16と対向する位置に設けることが好ましい。
この開口部d20は、第1処理用面1の凹部13からよりも下流側(この例では外側)に設けることが望ましい。特に、マイクロポンプ効果によって導入される際の流れ方向が処理用面間で形成されるスパイラル状で層流の流れ方向に変換される点よりも外径側の平坦面16に対向する位置に設置することが望ましい。具体的には、図2(B)において、第1処理用面1に設けられた凹部13の最も外側の位置から、径方向への距離nを、約0.5mm以上とするのが好ましい。特に、流体中から微粒子を析出させる場合には、層流条件下にて複数の被処理流動体の混合と、微粒子の析出が行なわれることが望ましい。開口部d20の形状は、図2(B)や図3(B)に示すように円形状であってもよく、図示しないが、リング状ディスクである処理用面2の中央の開口を取り巻く同心円状の円環形状であってもよい。また、開口部を円環形状とした場合、その円環形状の開口部は連続していてもよいし、不連続であってもよい。
円環形状の開口部d20を処理用面2の中央の開口を取り巻く同心円状に設けると、第2流体を処理用面1,2間に導入する際に円周方向において同一条件で実施することができるため、微粒子を量産したい場合には、開口部の形状を同心円状の円環形状とすることが好ましい。
この第2導入部d2は方向性を持たせることができる。例えば、図3(A)に示すように、上記の第2処理用面2の開口部d20からの導入方向が、第2処理用面2に対して所定の仰角(θ1)で傾斜している。この仰角(θ1)は、0度を超えて90度未満に設定されており、さらに反応速度が速い反応の場合には1度以上45度以下で設置されるのが好ましい。
また、図3(B)に示すように、上記の第2処理用面2の開口部d20からの導入方向が、上記の第2処理用面2に沿う平面において、方向性を有するものである。この第2流体の導入方向は、処理用面の半径方向の成分にあっては中心から遠ざかる外方向であって、且つ、回転する処理用面間における流体の回転方向に対しての成分にあっては順方向である。言い換えると、開口部d20を通る半径方向であって外方向の線分を基準線gとして、この基準線gから回転方向Rへの所定の角度(θ2)を有するものである。この角度(θ2)についても、0度を超えて90度未満に設定されることが好ましい。
この角度(θ2)は、流体の種類、反応速度、粘度、処理用面の回転速度などの種々の条件に応じて、変更して実施することができる。また、第2導入部d2に方向性を全く持たせないこともできる。
本発明において、少なくとも2種類の被処理流動体が合流する、合流部における回転の周速度とは、図3(A)に示すように、第1流体と第2流体とが合流する開口部d20において、第1、第2処理用面1,2の回転の中心から最も近い位置f(以下、最近点f)における処理用面1,2の周速度を意味し、具体的には、以下の式より算出される。
周速度[m/s]=2×β[m]×回転数[rps]×π
ここで、βは第1、第2の処理用面1,2の回転の中心から最近点fまでの距離、回転数は処理用面の回転数、πは円周率を示す。
つまり、少なくとも2種類の被処理流動体が合流する合流部とは、開口部d20において、上記第1、第2処理用面1,2の回転の中心に最も近い位置を意味する。
また、第1、第2処理用面の回転の中心からの距離が異なる合流部が複数ある場合には、原料流体と処理流体とが合流する、合流部の最も中心に近い点を最近点fとする。
(周速度の制御)
本発明においては、合流部における回転の周速度を制御することによって、微粒子同士が合一する割合を制御することができる。
上述の通り、本実施形態においては、上記流体処理装置の第1処理用部10は第2処理用部20に対して回転しており、第1処理用面1が第2処理用面2に対して回転するため、第1処理用面1の、合流部における周速度を制御することになるが、第1処理用面1と第2処理用面2とがともに回転している場合には、合流部におけるそれらの相対的な周速度を制御することによって、微粒子同士が合一する割合を制御することができる。
また、合流部における回転の周速度を制御することによって、微粒子の粒子径を制御することができる。一般的に、微粒子同士が合一すると粒度分布が広い粗大粒子が発生すると言われるが、本発明においては、微粒子同士が合一する割合を制御することによっても、得られる微粒子の粒子径を制御することができる。
本発明においては、合流部における回転の周速度が、0.8〜41.9m/sであることが好ましく、1.2〜21.0m/sであることがより好ましい。合流部における周速度が1m/s以下では、少なくとも2種類の被処理流動体を均一に混合し、微粒子を得るための均一な処理を促進することができないため、微粒子を安定して得ることが出来ない。また、合流部における回転の周速度が42m/s以上では、処理用面の温度上昇により被処理流動体が気化し、それによって処理用面1,2間の圧力上昇が見られるため、少なくとも2種類の被処理流動体を安定的に送液できなくなる現象が起こる場合がある。上記の理由より、特定の範囲外では微粒子の製造連続して行うすることが難しくなる。
微粒子同士の合一や微粒子同士が合一する割合を評価する方法としては、透過型電子顕微鏡(TEM)や走査型電子顕微鏡(SEM)による電子顕微鏡観察や、BET法に代表されるような比表面積測定、比表面積測定と電子顕微鏡観察との比較、比表面積測定と粒度分布測定との比較等が挙げられる。本発明においては、電子顕微鏡観察により微粒子同士が合一する割合を評価した。
具体的には、作製された微粒子の同倍率のTEM写真又はSEM写真を16領域に分割し、分割された16の領域のうちの全ての領域において作製された微粒子同士の合一が確認されなかった場合を「0%」、全ての領域において作製された微粒子同士の合一が確認された場合を「100%」、16の領域のうち3つの領域において微粒子同士の合一が確認された場合を「19%」として評価した。また、1つの領域には複数の微粒子が存在するが、そのうちの少なくとも2つの微粒子同士が合一した場合に、微粒子同士の合一が確認されたものと評価した。
本発明においては、上記微粒子同士が合一する割合は50%以下であることが好ましく、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下である。
上記の被処理流動体の種類とその流路の数は、図1の例では、2つとしたが、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。図1の例では、第2導入部d2から処理用面1,2間に第2流体を導入したが、この導入部は、第1処理用部10に設けてもよく、双方に設けてもよい。また、一種類の被処理流動体に対して、複数の導入部を用意してもよい。また、各処理用部に設けられる導入用の開口部は、その形状や大きさや数は特に制限はなく適宜変更して実施し得る。また、上記第1及び第2の処理用面間1、2の直前或いはさらに上流側に導入用の開口部を設けてもよい。
なお、処理用面1,2間にて上記処理を行う事が出来れば良いので、上記とは逆に、第1導入部d1より第2流体を導入し、第2導入部d2より第1流体を導入するものであっても良い。つまり、各流体における第1、第2という表現は、複数存在する流体の第n番目であるという、識別のための意味合いを持つに過ぎないものであり、第3以上の流体も存在し得る。
上記流体処理装置においては、析出・沈殿・乳化または結晶化のような処理が、図1に示すように、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1、2の間で強制的に均一混合しながら起こる。処理された被処理物の粒子径や単分散度は処理用部10、20の回転数や流速、処理用面1,2間の距離や、被処理流動体の原料濃度、または被処理流動体の溶媒種等を適宜調整することにより、制御することができる。
以下、上記の装置を用いて行う微粒子の製造方法の具体的な態様について説明する。
上記の流体処理装置において、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転を行う処理用面1,2の間に形成される薄膜流体中で、原料物質を少なくとも1種類含む原料流体と、原料物質を処理するための物質を少なくとも1種類含む処理流体とを混合させ、処理された原料物質の微粒子を得る。その際、原料流体と処理流体とが合流する、合流部における前記回転の周速度を制御することによって、上記微粒子同士が合一する割合を制御することを特徴とする。
上記の微粒子の製造方法は、本願の図1に示す装置の、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間の薄膜流体中で強制的に均一混合しながら起こる。
まず、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として原料流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体から構成された薄膜流体である第1流体膜を作る。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として処理流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記のように、被処理流動体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を固定された処理用面1,2間にて、第1流体と第2流体とが混合され、処理された原料物質の微粒子を得るが出来る。
なお、処理用面1,2間にて上記処理を行う事が出来れば良いので、上記とは逆に、第1導入部d1より第2流体を導入し、第2導入部d2より第1流体を導入するものであっても良い。つまり、各流体における第1、第2という表現は、複数存在する流体の第n番目であるという、識別のための意味合いを持つに過ぎないものであり、第3以上の流体も存在し得る。
また、本発明においては、上記の処理された原料物質の微粒子に熱処理などの後処理を施してもよい。
前述のように、第1導入部d1、第2導入部d2以外に第3導入部d3を処理装置に設けることもできるが、この場合にあっては、例えば各導入部から、第1流体、第2流体、第3流体をそれぞれ別々に処理装置に導入することが可能である。そうすると、各流体の濃度や圧力を個々に管理することができ、微粒子を得るための処理をより精密に制御することができる。なお、各導入部へ導入する被処理流動体(第1流体〜第3流体)の組み合わせは、任意に設定できる。第4以上の導入部を設けた場合も同様であって、このように処理装置へ導入する流体を細分化できる。
さらに、第1、第2流体等の被処理流動体の温度を制御したり、第1流体と第2流体等との温度差(即ち、供給する各被処理流動体の温度差)を制御することもできる。供給する各被処理流動体の温度や温度差を制御するために、各被処理流動体の温度(処理装置、より詳しくは、処理用面1,2間に導入される直前の温度)を測定し、処理用面1,2間に導入される各被処理流動体の加熱又は冷却を行う機構を付加して実施することも可能である。
(pH領域)
本発明における原料流体及び/または処理流体のpHは特に限定されない。用いる原料物質や原料物質を処理するための物質の種類や濃度、目的や対象となる微粒子種などによって、適宜変更する事が可能である。
(分散剤等)
また、本発明においては、目的や必要に応じて各種分散剤や界面活性剤を用いる事ができる。特に限定されないが、界面活性剤及び分散剤としては一般的に用いられる様々な市販品や、製品または新規に合成したものなどを使用できる。一例として、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤や、各種ポリマーなどの分散剤などを挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記の界面活性剤及び分散剤は、原料流体もしくは処理流体、またはその両方に含まれていてもよい。また、上記の界面活性剤及び分散剤は、原料流体とも処理流体とも異なる第3の流体に含まれていてもよい。
本発明においては、上記の界面活性剤及び分散剤を用いてもよく、また、用いなくてもよい。本発明においては、原料流体と処理流体とが合流する、合流部における前記回転の周速度を制御と、上記の界面活性剤及び分散剤の使用とを併用してもよい。
(温度)
本発明において、原料流体と処理流体とを混合する際の温度は特に限定されない。用いる原料物質や原料物質を処理するための物質の種類や濃度、対象となる微粒子種、原料流体や処理流体のpHなどによって適切な温度で実施することが可能である。
本発明に係る微粒子の製造方法は、以下の微粒子の製造に使用できる。なお、本発明は下記の例にのみ限定して用いられるものではなく、従来のバッチ法式や連続式、またはマイクロリアクターやマイクロミキサーによってなされていた微粒子の製造に用いることができる。
少なくとも1種類の顔料を硫酸、硝酸、塩酸などの強酸に溶解し調整された顔料酸性溶液を、水を含む溶液と混合して顔料粒子を得る反応(アシッドペースティング法)。
または、少なくとも1種類の顔料を有機溶媒に溶解し調整された顔料溶液を、前記顔料に対しては貧溶媒であり、かつ前記溶液の調整に使用された有機溶媒には相溶性である貧溶媒中に投入して顔料粒子を沈殿させる反応(再沈法)。
または、酸性またはアルカリ性であるpH調整溶液或いは前記pH調整溶液と有機溶媒との混合溶液のいずれかに、少なくとも1種類の顔料を溶解した顔料溶液と、前記顔料溶液に含まれる顔料に溶解性を示さない、若しくは、前記顔料溶液に含まれる溶媒よりも前記顔料に対する溶解性が小さい、前記顔料溶液のpHを変化させる顔料析出用溶液とを混合して顔料粒子を得る反応。
カーボンまたはカーボンブラックの表面に液相還元法によって金属微粒子を担持させる反応(前記金属としては、白金、パラジウム、金、銀、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、クロム、モリブデン、チタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属が例示できる)。
フラーレンを溶解している第1溶媒を含む溶液と、前記第1溶媒よりもフラーレンの溶解度が小さな第2溶媒を混合することでフラーレン分子からなる結晶及びフラーレンナノウィスカー・ナノファイバーナノチューブを製造する反応。
上記に記載したような、金属、金属化合物または金属イオンを還元する反応。
セラミックス原料を加水分解する反応(前記セラミックス原料としては、Al、Ba、Mg、Ca、La、Fe、Si、Ti、Zr、Pb、Sn、Zn、Cd、As、Ga、Sr、Bi、Ta、Se、Te、Hf、Ni、Mn、Co、S、Ge、Li、B、Ceの中から選ばれた少なくとも1種が例示できる)。
チタン化合物の加水分解により二酸化チタン超微粒子を析出させる反応(前記チタン化合物としては、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトライソブトキシチタン、テトラ−t−ブトキシチタンなどのテトラアルコキシチタン或はその誘導体、四塩化チタン、硫酸チタニル、クエン酸チタン、及び四硝酸チタンから選ばれる少なくとも1種が例示できる)。
半導体原料である、異種の元素を有するイオンを含む流体を合流させ、共沈・析出により化合物半導体微粒子を生成する反応(化合物半導体としては、II-VI族化合物半導体、III-V族化合物半導体、IV族化合物半導体、I-III-VI族化合物半導体が例示できる)。
半導体元素を還元して半導体微粒子を生成する反応(半導体元素としては、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、炭素(C)、および錫(Sn)からなる群から選ばれた元素が例示できる)。
磁性体原料を還元して磁性体微粒子を生成する反応(磁性体原料としては、ニッケル、コバルト、イリジウム、鉄、白金、金、銀、マンガン、クロム、パラジウム、イットリウム、ランタニド(ネオジウム、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム)のうち少なくとも1種が例示できる)。
生体摂取物微粒子原料を少なくとも1種類、第1溶媒に溶解させた流体と、前記第1溶媒よりも生体摂取物微粒子原料の溶解度の低い第2溶媒となりうる溶媒とを混合し、生体摂取物微粒子を析出させる反応。
または、酸性物質もしくは陽イオン性物質を少なくとも1種類含む流体と、塩基性物質もしくは陰イオン性物質を少なくとも1種類含む流体とを混合し、中和反応により生体摂取物微粒子を析出させる反応。例えば、本発明において、造影剤として生体内に摂取される硫酸バリウム微粒子を析出させる場合、水溶性バリウム塩溶液を原料流体とし、硫酸を含む水溶性硫酸化合物溶液を処理流体として両者を混合し、中和反応により硫酸バリウム微粒子を析出させる。
脂溶性の薬理活性物質を含有する油相成分を含む被処理流動体と、少なくとも水系分散溶媒よりなる被処理流動体とを混合すること、あるいは、水溶性の薬理活性物質を含有する水相成分を含む被処理流動体と、少なくとも油系分散溶媒よりなる被処理流動体とを混合することによりマイクロエマルション粒子を得る処理。
または、分散相もしくは連続相の少なくともどちらか一方に一種類以上のリン脂質を含み、分散相は薬理活性物質を含み、連続相は少なくとも水系分散溶媒よりなり、分散相の被処理流動体と連続相の被処理流動体とを混合することによりリポソームを得る処理。
樹脂に対して溶解性及び相溶性である溶媒に樹脂を溶解した流体と水性溶媒とを混合し、析出あるいは乳化により樹脂微粒子を得る処理や、樹脂やオイルなどの油相成分と水相成分とを混合することによりエマルションを得る処理。
または、加温して溶融させた樹脂と溶媒(水性及び油性については限定されない)とを混合し、乳化・分散により樹脂微粒子を得る処理。または樹脂微粒子分散液と塩などの化合物を溶解した化合物溶液とを混合して樹脂微粒子を凝集させる処理。
フリーデルクラフツ反応、ニトロ化反応、付加反応、脱離反応、転移反応、重合反応、縮合反応、カップリング反応、アシル化、カルボニル化、アルデヒド合成、ペプチド合成、アルドール反応、インドール反応、求電子置換反応、求核置換反応、Wittig反応、Michael付加反応、エナミン合成、エステル合成、酵素反応、ジアゾカップリング反応、酸化反応、還元反応、多段階反応、選択的添加反応、鈴木・宮浦カップリング反応、Kumada-Corriu反応、メタセシス反応、異性化反応、ラジカル重合反応、アニオン重合反応、カチオン重合反応、金属触媒重合反応、逐次反応、高分子合成、アセチレンカップリング反応、エピスルフィド合成、エピスルフィド合成、Bamberger転位、Chapman転位、Claisen縮合、キノリン合成、Paal-Knorrフラン合成、Paal-Knorrピロール合成、Passerini反応、Paterno-Buchi反応、カルボニル-エン反応(Prins反応)、Jacobsen転位、Koenigs-Knorrグリコシド化反応、Leuckart-Wallach反応、Horner-Wadsworth-Emmons反応、Gassman反応、野依不斉水素化反応、Perkin反応、Petasis反応、Tishchenko反応、Tishchenko反応、Ullmannカップリング、Nazarov環化、Tiffeneau-Demjanov転位、鋳型合成、二酸化セレンを用いる酸化、Reimer-Tiemann反応、 Grob開裂反応、ハロホルム反応、Malapradeグリコール酸化開裂、Hofmann脱離、Lawesson試薬によるチオカルボニル化反応、Lossen転位、FAMSOを利用する環状ケトン合成、Favorskii転位、Feist-Benaryフラン合成、Gabrielアミン合成、Glaser反応、Grignard反応、Cope脱離、Cope転位、アルキン類のジイミド還元、Eschenmoserアミノメチル化反応、[2+2]光環化反応、Appel反応、aza-Wittig反応、Bartoliインドール合成、Carroll転位、Chichibabin反応、Clemmensen還元、Combesキノリン合成、辻-Trost反応、TEMPO酸化、四酸化オスミウムを用いるジヒドロキシル化、Fries転位、Neber転位、Barton-McCombie脱酸素化、Barton脱カルボキシル化、Seyferth-Gilbertアルキン合成、Pinnick(Kraus)酸化、伊藤-三枝酸化、Eschenmoser開裂反応、Eschenmoser-Claisen転位、Doering--LaFlammeアレン合成、Corey-Chaykovsky反応、アシロイン縮合、Wolff-Kishner還元、IBX酸化、Parikh-Doering酸化、Reissert反応、Jacobsen速度論的光学分割加水分解、ベンジル酸転位、檜山クロスカップリング、Luche還元、オキシ水銀化、Vilismeier-Haak反応、Wolff転位、KolbeSchmitt反応、Corey-Kim酸化、Cannizzaro反応、Henry反応、アルコールのアルカンへの変換、Arndt-Eistert合成、ヒドロホルミル化反応、Petersonオレフィン化、脱カルボニル化反応、Curtius転位、Wohl-Zieglarアリル位臭素化、Pfitzner-Moffatt酸化、McMurryカップリング、Barton反応、Balz-Schiemann反応、正宗−Bergman反応、Dieckmann縮合、ピナコールカップリング、Williamsonエーテル合成 、ヨードラクトン化反応、Harriesオゾン分解、活性二酸化マンガンによる酸化、アルキンの環化三量化反応、熊田−玉尾-Corriuクロスカップリング、スルホキシドおよびセレノキシドのsyn−β脱離 、Fischerインドール合成、Oppenauer酸化、Darzens縮合反応、Alderエン反応、Sarett-Collins酸化、野崎-檜山-岸カップリング反応、Weinrebケトン合成、DASTフッ素化、Corey-Winterオレフィン合成、細見-桜井反応、PCC(PDC)を用いるアルコールの酸化、Jones酸化(Jones Oxidation)、Keckアリル化反応、永田試薬を用いるシアニド付加、根岸カップリング、Ireland-Claisen転位、Baeyer-Villiger酸化、p-メトキシベンジル(PMB or MPM)、ジメトキシベンジル(DMB)保護、脱保護、Wacker酸化、Myers不斉アルキル化、山口マクロラクトン化、向山-Coreyマクロラクトン化 、Bodeペプチド合成、Lindlar還元、均一系水素化、オルトメタル化、Wagnar-Meerwein転位、Wurtz反応、1,3-ジチアンを利用するケトン合成、Michael付加、Storkエナミンによるケトン合成、Pauson-Khandシクロペンテン合成、Tebbe反応などの、有機化合物を出発原料とする各種反応剤との有機反応によって有機化合物またはそれらの微粒子を得る反応。
流体の温度差により飽和溶解度を変化させる事で、溶解物を析出させて微粒子を得る方法。例えば、プリン骨格を有する抗ウィルス作用薬であるアシクロビル(一般名:JAN、INN)[化学名:9−[(2−ヒドロキシエトキシ)メチル]グアニン]を析出させる場合、微粒子原料としてアシクロビルを含むアシクロビル水溶液と、上記微粒子原料を含む流体に対して温度差を持つ流体とを混合し、上記微粒子原料を含む流体の温度変化による飽和溶解度の変化を利用して微粒子の析出を行わせる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。しかし、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例において、「中央から」というのは、図1に示す流体処理装置の「第1導入部d1から」という意味であり、第1流体は、第1導入部d1から導入される、前述の第1の被処理流動体を指し、第2流体は、図1に示す処理装置の第2導入部d2から導入される、前述の第2の被処理流動体を指す。
(走査型電子顕微鏡観察)
走査型電子顕微鏡(SEM)観察には、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM):日本電子製のJSM−7500Fを使用した。観察条件としては、観察倍率を5千倍以上とし、粒子径については、10箇所の平均値を採用した。以下、SEM観察にて確認された微粒子の径を、粒子径とする。
(透過電子顕微鏡)
透過電子顕微鏡(TEM)観察には、エネルギー分散型X線分析装置、透過型電子顕微鏡、JEM−2100(JEOL製)を用いた。観察条件としては、観察倍率を1万倍以上とし、粒子径については、10箇所の平均値を採用した。以下、TEM観察にて確認された微粒子の径についても、粒子径とする。
図1に示される流体処理装置を用いて、硝酸ニッケル六水和物(NiNO・6HO)とトリエタノールアミン(TEA)とポリアクリル酸アンモニウム(PAA)をエチレングリコール(EG)に溶解した金属流体(原料流体)と、ヒドラジン一水和物(HMH)と水酸化カリウム(KOH)を含む還元剤流体(処理流体)とを、処理用面1,2間に形成される薄膜流体中で混合し、薄膜流体中でニッケル微粒子を析出させた。
実施例1〜5として、中央から第1流体として金属流体(0.11 mol/L NiNO・6HO/0.21 mol/L TEA/0.0002mol/L PAA/EG)を、供給圧力=0.50MPaG、送液温度100℃、導入速度1000ml/minで送液しながら、第2流体として、25℃の還元剤流体(15.8mol/L HMH/4.3mol/L KOH/HO)を、導入速度150ml/minで処理用面1,2間に導入し、第1流体と第2流体とを薄膜流体中で混合した。第1流体並びに第2流体の送液温度は、第1流体と第2流体のそれぞれの温度を処理装置導入直前(より詳しくは、処理用面1,2間に導入される直前)にて測定した温度である。ニッケル粒微子分散液が処理用面1,2間より吐出された。吐出されたニッケル微粒子分散液中のニッケル微粒子を濾別し、純水にて洗浄する作業を3回行い、真空乾燥機を用いて25℃、−0.1MPaの条件にて乾燥した。得られたニッケル微粒子の粒子径をSEM観察にて確認した。また、第1流体のpHは6.99であり、第2流体のpHは14以上(pH試験紙を用いて測定)であった。
表1に、実施例1〜5として、第1処理用面1の、第1流体と第2流体とが合流する合流部における周速度を変化させた結果を示す。第1処理用面1の合流部における周速度のみを変化させ、その他の処理条件は、同じ条件として実施した。また、図4に実施例2において得られたニッケル微粒子のSEM写真、図5に実施例5で得られたニッケル微粒子のSEM写真を示す。ここで、表1における「微粒子同士が合一した割合」とは、実施例1〜5において得られたニッケル微粒子の同倍率のSEM写真を16の領域に分割し、全ての領域においてニッケル微粒子同士の合一が確認されなかった場合を「0%」、全ての領域においてニッケル微粒子同士の合一が確認された場合を「100%」、16の領域のうち3つの領域においてニッケル微粒子同士の合一が確認された場合を「19%」として評価した。また、1つの領域には複数のニッケル微粒子が存在するが、そのうちの少なくとも2つのニッケル微粒子同士が合一した場合に、ニッケル微粒子同士の合一が確認されたものと評価した。
表1から、第1流体と第2流体とを薄膜流体中で混合する際、第1処理用面1の合流部における周速度を制御することにより、ニッケル微粒子同士が合一する割合を制御できることを確認した。また、表1から、第1流体と第2流体とを薄膜流体中で混合する際、第1処理用面1の合流部における周速度を制御することにより、ニッケル微粒子の粒子径を制御できることを確認した。
ニッケル微粒子同士が合一する割合については、表1に示すように、第1処理用面1の合流部における周速度を遅くすることでニッケル微粒子同士が合一する割合が高くなるよう制御し、第1処理用面1の合流部における周速度を速くすることでニッケル微粒子同士が合一する割合が低くなるよう制御できることを確認した。特に、実施例3〜5においては、ニッケル微粒子同士が合一する割合が低いことが確認された。
また、ニッケル微粒子の粒子径については、表1に示すように、第1処理用面1の合流部における周速度を遅くすることでニッケル微粒子の粒子径を大きくなるよう制御し、第1処理用面1の合流部における周速度を速くすることでニッケル微粒子の粒子径を小さくなるよう制御できることを確認した。図4に示すように、第1処理用面1の合流部における周速度が比較的遅い領域(実施例1及び2)においては、ニッケル微粒子の分離が悪く合一している様子が確認され、図5に示すように、第1処理用面1の合流部における周速度が実施例2よりも速い領域(実施例3〜5)においては、ニッケル微粒子の分離が良い状態が確認されたが、それぞれの実施例において、得られたニッケル微粒子の粒子径を制御できていることを確認した。
以上のことから、第1処理用面1の合流部における周速度を制御することによって、ニッケル微粒子同士が合一する割合を制御することができ、かつ、ニッケル微粒子の粒子径を制御することができることが確認された。
次に、図1に示される流体処理装置を用いて、塩化銅(CuCl)をエチレングリコール(EG)に溶解した金属流体(原料流体)と、ヒドラジン一水和物(HMH)と0.5mol/L水酸化カリウム(KOH)エタノール溶液(0.5mol/L KOH in EtOH)を含む還元剤流体(処理流体)とを、処理用面1,2間に形成される薄膜流体中で混合し、薄膜流体中で銅微粒子を析出させた。
実施例6〜10として、中央から第1流体として還元剤流体(1wt% HMH/5wt% 0.5mol/L KOH in EtOH/EG (pH=12.18))を、供給圧=0.50MPaG、送液温度120℃、導入速度1000ml/minで送液しながら、第2流体として、21℃の金属流体(3wt% CuCl/EG (pH=3.12))を、導入速度20 ml/minで処理用面1,2間に導入し、第1流体と第2流体とを薄膜流体中で混合した。第1流体並びに第2流体の送液温度は、第1流体と第2流体のそれぞれの温度を処理装置導入直前(より詳しくは、処理用面1,2間に導入される直前)にて測定した温度である。銅微粒子分散液が処理用面1,2間より吐出された。吐出された銅微粒子分散液中の銅微粒子を濾別し、メタノールにて洗浄する作業を5回行い、真空乾燥機を用いて25℃、−0.1MPaの条件にて乾燥した。得られた銅微粒子の粒子径をSEM観察にて確認した。
表2に、実施例6〜10として、第1処理用面1の、第1流体と第2流体とが合流する合流部における周速度を変化させた結果を示す。第1処理用面1の合流部における周速度のみを変化させ、その他の処理条件は、同じ条件として実施した。ここで、表2における「微粒子同士が合一した割合」とは、実施例6〜10において得られた銅微粒子の同倍率のSEM写真を16の領域に分割し、全ての領域において銅微粒子同士の合一が確認されなかった場合を「0%」、全ての領域において銅微粒子同士の合一が確認された場合を「100%」、16の領域のうち3つの領域において銅微粒子同士の合一が確認された場合を「19%」として評価した。また、1つの領域には複数の銅微粒子が存在するが、そのうちの少なくとも2つの微粒子同士が合一した場合に、銅微粒子同士の合一が確認されたものと評価した。
表2から、第1流体と第2流体とを薄膜流体中で混合する際、第1処理用面1の合流部における周速度を制御することにより、銅微粒子同士が合一する割合を制御できることを確認した。また、表2から、第1流体と第2流体とを薄膜流体中で混合する際、第1処理用面1の合流部における周速度を制御することにより、銅微粒子の粒子径を制御できることを確認した。
銅微粒子同士が合一する割合については、表2に示すように、第1処理用面1の合流部における周速度を遅くすることで銅微粒子同士が合一する割合が高くなるよう制御し、第1処理用面1の合流部における周速度を速くすることで銅微粒子同士が合一する割合が低くなるよう制御できることを確認した。特に、実施例7〜10においては、銅微粒子同士が合一する割合が低いことが確認された。
また、銅微粒子の粒子径については、表2に示すように、第1処理用面1の合流部における周速度を遅くすることで銅微粒子の粒子径を大きくなるよう制御し、第1処理用面1の合流部における周速度を速くすることで銅微粒子の粒子径を小さくなるよう制御できることを確認した。また、第1処理用面1の合流部における周速度が比較的遅い領域(実施例6)においては、銅微粒子の分離が悪く合一している様子が確認され、第1処理用面1の合流部における周速度が実施例6よりも速い領域(実施例7〜10)においては、表2に示すように、銅微粒子の分離が良い状態が確認されたが、それぞれの実施例において、得られた銅微粒子の粒子径を制御できていることを確認した。
以上のことから、第1処理用面1の合流部における周速度を制御することによって、銅微粒子同士が合一する割合を制御することができ、かつ、銅微粒子の粒子径を制御することができることが確認された。
次に、図1に示される流体処理装置を用いて、硝酸銀を純水に溶解した金属流体(原料流体)と、アスコルビン酸を含む還元剤流体(処理流体)とを、処理用面1,2間に形成される薄膜流体中で混合し、薄膜流体中で銀微粒子を析出させた。
実施例11〜15として、中央から第1流体として還元剤流体(2wt% アスコルビン酸水溶液 (pH=2.50))を、供給圧=0.090MPaG、送液温度20.8℃、導入速度400ml/minで送液しながら、第2流体として、22.5℃の金属流体(5.67wt%硝酸銀水溶液 (pH=5.30))を、導入速度10 ml/minで処理用面1,2間に導入し、第1流体と第2流体とを薄膜流体中で混合した。第1流体並びに第2流体の送液温度は、第1流体と第2流体のそれぞれの温度を処理装置導入直前(より詳しくは、処理用面1,2間に導入される直前)にて測定した温度である。銀微子分散液が処理用面1,2間より吐出された。吐出された銀微粒子分散液中の銀微粒子を濾別し、純水にて洗浄する作業を3回行い、真空乾燥機を用いて25℃、−0.1MPaの条件にて乾燥した。得られた銀微粒子の粒子径をSEM観察にて確認した。
表3に、実施例11〜15として、第1処理用面1の、第1流体と第2流体とが合流する合流部における周速度を変化させた結果を示す。第1処理用面1の合流部における周速度のみを変化させ、その他の処理条件は、同じ条件として実施した。また、図6に実施例13において得られた銀微粒子のSEM写真を示す。ここで、表3における「微粒子同士が合一した割合」とは、実施例11〜15において得られた銀微粒子の同倍率のSEM写真を16の領域に分割し、全ての領域において銀微粒子同士の合一が確認されなかった場合を「0%」、全ての領域において銀微粒子同士の合一が確認された場合を「100%」、16の領域のうち3つの領域において銀微粒子同士の合一が確認された場合を「19%」として評価した。また、1つの領域には複数の銀微粒子が存在するが、そのうちの少なくとも2つの微粒子同士が合一した場合に、銀微粒子同士の合一が確認されたものと評価した。
表3から、第1流体と第2流体とを薄膜流体中で混合する際、第1処理用面1の合流部における周速度を制御することにより、銀微粒子同士が合一する割合を制御できることを確認した。また、表3から、第1流体と第2流体とを薄膜流体中で混合する際、第1処理用面1の合流部における周速度を制御することにより、銀微粒子の粒子径を制御できることを確認した。
銀微粒子同士が合一する割合については、表3に示すように、第1処理用面1の合流部における周速度を遅くすることで銀微粒子同士が合一する割合が低くなるよう制御し、第1処理用面1の合流部における周速度を速くすることで銀微粒子同士が合一する割合が高くなるよう制御できることを確認した。特に、実施例11〜13においては、銀微粒子同士が合一する割合が低いことが確認された。
また、銀微粒子の粒子径については、第1処理用面1の合流部における周速度を変化させることによって、得られる銀微粒子の粒子径が変化することが確認された。また、第1処理用面1の合流部における周速度が速い領域(実施例15)においては、銀微粒子の分離が悪く合一している様子が確認され、また、表3に示すように、第1処理用面1の合流部における周速度が遅い領域(実施例11)においては、銀微粒子の分離が良い状態が確認されたが、それぞれの実施例において、得られた銀微粒子の粒子径を制御できていることを確認した。
以上のことから、第1処理用面1の合流部における周速度を制御することによって、銀微粒子同士が合一する割合を制御することができ、かつ、銀微粒子の粒子径を制御することができることが確認された。
(アクリルモノマーのエマルションの微粒子の作製)
次に、図1に示される流体処理装置を用いて、重合開始剤を含むアクリルモノマー(原料流体)と、高分子分散剤としてポリビニルアルコール(PVA)を含む処理流体とを、処理用面1,2間に形成される薄膜流体中で混合し、薄膜流体中で両者を乳化させてアクリルモノマーのエマルションの微粒子を得た。以下、アクリルモノマーのエマルションの微粒子をアクリルモノマー微粒子とする。
実施例16〜20として、中央から第1流体として処理流体(2.5wt% PVA水溶液)を、供給圧=0.100MPaG、送液温度30.1℃、導入速度50ml/minで送液しながら、第2流体として、40.4℃の原料流体(重合開始剤を含むアクリルモノマー)を、導入速度1 ml/minで処理用面1,2間に導入し、第1流体と第2流体とを薄膜流体中で混合した。第1流体並びに第2流体の送液温度は、第1流体と第2流体のそれぞれの温度を処理装置導入直前(より詳しくは、処理用面1,2間に導入される直前)にて測定した温度である。アクリルモノマー微粒子分散液が処理用面1,2間より吐出された。吐出されたアクリルモノマー微粒子分散液中のアクリルモノマー微粒子を熱処理し、熱処理後のアクリルポリマー微粒子の粒子径をSEM観察にて確認した。
表4に、実施例16〜20として、第1処理用面1の、第1流体と第2流体とが合流する合流部における周速度を変化させた結果を示す。第1処理用面1の合流部における周速度のみを変化させ、その他の処理条件は、同じ条件として実施した。また、図7に実施例16において得られたアクリルポリマー微粒子のSEM写真、図8に実施例20において得られたアクリルポリマー微粒子のSEM写真を示す。ここで、表4における「微粒子同士が合一した割合」とは、実施例16〜20において得られたアクリルポリマー微粒子の同倍率のSEM写真を16の領域に分割し、全ての領域においてアクリルポリマー微粒子同士の合一が確認されなかった場合を「0%」、全ての領域においてアクリルポリマー微粒子同士の合一が確認された場合を「100%」、16の領域のうち3つの領域においてアクリルポリマー微粒子同士の合一が確認された場合を「19%」として評価した。また、1つの領域には複数のアクリルポリマー微粒子が存在するが、そのうちの少なくとも2つの微粒子同士が合一した場合に、アクリルポリマー微粒子同士の合一が確認されたものと評価した。
表4から、第1流体と第2流体とを薄膜流体中で混合する際、第1処理用面1の合流部における周速度を制御することにより、アクリルポリマー微粒子同士が合一する割合を制御できることを確認した。また、表4から、第1流体と第2流体とを薄膜流体中で混合する際、第1処理用面1の合流部における周速度を制御することにより、アクリルポリマー微粒子の粒子径を制御できることを確認した。
アクリルポリマー微粒子同士が合一する割合については、表4に示すように、第1処理用面1の合流部における周速度を遅くすることでアクリルポリマー微粒子同士が合一する割合が高くなるよう制御し、第1処理用面1の合流部における周速度を速くすることでアクリルポリマー微粒子同士が合一する割合が低くなるよう制御できることを確認した。特に、実施例18〜20においては、アクリルポリマー微粒子同士が合一する割合が低いことが確認された。
また、アクリルポリマー微粒子の粒子径については、表4に示すように、第1処理用面1の合流部における周速度を遅くすることでアクリルポリマー微粒子の粒子径を大きくなるよう制御し、第1処理用面1の合流部における周速度を速くすることでアクリルポリマー微粒子の粒子径を小さくなるよう制御できることを確認した。また、第1処理用面1の合流部における周速度が比較的遅い領域(実施例16、17)においては、アクリルポリマー微粒子の分離が悪く合一している様子が確認され、第1処理用面1の合流部における周速度が実施例17よりも速い領域(実施例18〜20)においては、表4に示すように、アクリルポリマー微粒子の分離が良い状態が確認されたが、それぞれの実施例において、得られたアクリルポリマー微粒子の粒子径を制御できていることを確認した。
さらに、表4から、分散剤を用いた実施例においても、第1処理用面1の合流部における周速度を制御することによって、アクリルポリマー微粒子同士が合一する割合を制御できることを確認した。
以上のことから、処理用面1,2間より吐出させたアクリルモノマー微粒子分散液中のアクリルモノマー微粒子を熱処理して重合させたアクリルポリマー微粒子にあっても、第1処理用面1の合流部における周速度を制御することによって、アクリルポリマー微粒子同士が合一する割合を制御することができ、かつ、アクリルポリマー微粒子の粒子径を制御することができることが確認された。
(アモルファスシリカ微粒子の作製)
次に、図1に示される流体処理装置を用いて、ケイ酸ナトリウム(NaSiO)を含む流体(原料流体)と、分散剤としてBYK−110(ビックケミー製)を含む処理流体とを、処理用面1,2間に形成される薄膜流体中で混合し、薄膜流体中でアモルファスのシリカ(以下、アモルファスシリカとする。)の微粒子を析出させた。
実施例21〜25として、中央から第1流体として原料流体(5wt%NaSiO水溶液)を、供給圧=0.200MPaG、送液温度22.8℃、導入速度200ml/minで送液しながら、第2流体として、20.0℃の処理流体(0.5wt%BYK−110メタノール溶液(0.5wt%BYK−110 in MeOH))を、導入速度20ml/minで処理用面1,2間に導入し、第1流体と第2流体とを薄膜流体中で混合した。第1流体並びに第2流体の送液温度は、第1流体と第2流体のそれぞれの温度を処理装置導入直前(より詳しくは、処理用面1,2間に導入される直前)にて測定した温度である。アモルファスシリカ微粒子分散液が処理用面1,2間より吐出された。吐出されたアモルファスシリカ微粒子分散液中のアモルファスシリカ微粒子の粒子径をTEM観察にて確認した。
表5に、実施例21〜25として、第1処理用面1の、第1流体と第2流体とが合流する合流部における周速度を変化させた結果を示す。第1処理用面1の合流部における周速度のみを変化させ、その他の処理条件は、同じ条件として実施した。また、図9に実施例23において得られたアモルファスシリカ微粒子のTEM写真、図10に実施例24において得られたアモルファスシリカ微粒子のTEM写真を示す。ここで、表4における「微粒子同士が合一した割合」とは、実施例21〜25において得られたアモルファスシリカ微粒子のTEM写真を16の領域に分割し、全ての領域においてアモルファスシリカ微粒子同士の合一が確認されなかった場合を「0%」、全ての領域においてアモルファスシリカ微粒子同士の合一が確認された場合を「100%」、16の領域のうち3つの領域においてアモルファスシリカ微粒子同士の合一が確認された場合を「19%」として評価した。また、1つの領域には複数のアモルファス微粒子が存在するが、そのうちの少なくとも2つの微粒子同士が合一した場合に、アモルファスシリカ微粒子同士の合一が確認されたものと評価した。
表5から、第1流体と第2流体とを薄膜流体中で混合する際、第1処理用面1の合流部における周速度を制御することにより、アモルファスシリカ微粒子同士が合一する割合を制御できることを確認した。また、表5から、第1流体と第2流体とを薄膜流体中で混合する際、第1処理用面1の合流部における周速度を制御することにより、アモルファスシリカ微粒子の粒子径を制御できることを確認した。
アモルファスシリカ微粒子同士が合一する割合については、表5に示すように、第1処理用面1の合流部における周速度を遅くすることでアモルファスシリカ微粒子同士が合一する割合が高くなるよう制御し、第1処理用面1の合流部における周速度を速くすることでアモルファスシリカ微粒子同士が合一する割合が低くなるよう制御できることを確認した。特に、実施例23〜25においては、アモルファスシリカ微粒子同士が合一する割合が低いことが確認された。
また、アモルファスシリカ微粒子の粒子径については、表5に示すように、第1処理用面1の合流部における周速度を遅くすることでアモルファスシリカ微粒子の粒子径を大きくなるよう制御し、第1処理用面1の合流部における周速度を速くすることでアモルファスシリカ微粒子の粒子径を小さくなるよう制御できることを確認した。また、第1処理用面1の合流部における周速度が比較的遅い領域(実施例21、22)においては、アモルファスシリカ微粒子の分離が悪く合一している様子が確認され、第1処理用面1の合流部における周速度が実施例22よりも速い領域(実施例23〜25)においては、表5に示すように、アモルファスシリカ微粒子の分離が良い状態が確認されたが、それぞれの実施例において、得られたアモルファスシリカ微粒子の粒子径を制御できていることを確認した。
さらに、表5から、分散剤を用いた実施例においても、第1処理用面1の合流部における周速度を制御することによって、アモルファスシリカ微粒子同士が合一する割合を制御できることを確認した。
以上のことから、第1処理用面1の合流部における周速度を制御することによって、アモルファスシリカ微粒子同士が合一する割合を制御することができ、かつ、アモルファスシリカ微粒子の粒子径を制御することができることが確認された。
1 第1処理用面
2 第2処理用面
10 第1処理用部
11 第1ホルダ
20 第2処理用部
21 第2ホルダ
d1 第1導入部
d2 第2導入部
d20 開口部

Claims (4)

  1. 少なくとも2種類の被処理流動体を用いるものであり、
    そのうちで少なくとも1種類の被処理流動体は、原料物質を少なくとも1種類含む原料流体であり、
    上記以外の被処理流動体で少なくとも1種類の被処理流動体は、上記原料物質を処理するための物質を少なくとも1種類含む処理流体であり、
    上記の被処理流動体を、対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転を行う少なくとも2つの処理用面間にできる薄膜流体中で混合し、処理された原料物質の微粒子を得る微粒子の製造方法において、
    上記原料流体と上記処理流体とが合流する、合流部における前記回転の周速度を制御することによって、上記微粒子同士が合一する割合を制御することを特徴とする微粒子の製造方法。
  2. 上記原料流体と上記処理流体とのうちの何れか一方の被処理流動体が上記薄膜流体を形成しながら上記両処理用面間を通過し、
    上記何れか一方の被処理流動体が流される流路とは独立した別途の導入路を備えており、
    上記少なくとも2つの処理用面の少なくとも何れか一方に上記別途の導入路に通じる開口部を少なくとも一つ備え、
    上記原料流体と上記処理流体とのうちの何れか他方の被処理流動体を、上記開口部から上記少なくとも2つの処理用面の間に導入して、上記原料流体と上記処理流体とを、上記薄膜流体中で混合することを特徴とする請求項1に記載の微粒子の製造方法。
  3. 上記原料流体と上記処理流体とが合流する、合流部における前記回転の周速度を0.8〜41.9m/sの範囲に制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の微粒子の製造方法。
  4. 上記原料流体と上記処理流体とが合流する、合流部における前記回転の周速度を制御することによって、上記微粒子同士が合一する割合を50%以下とすることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の微粒子の製造方法。
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