以下、図面を参照しながらこの発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)について説明する。
まず、第1の実施の形態について図1ないし図3を用いて説明する。
図1に示すように、この実施の形態に係る吸引装置1は、吸引器10と、この吸引器10に着脱可能な吸引ポンプ11とを備えている。吸引器10は、例えば脳神経外科などの手術時に開口部から体腔内に挿入される細長い挿入部12と、この挿入部12の基端部に設けられ、術者が保持する保持部14とを備えている。保持部14には、吸引ポンプ11が接続されたポンプ接続チューブ11aが着脱可能である。
挿入部12は、硬質に形成された先端硬質部22と、この先端硬質部22の基端部に配設され、湾曲可能な湾曲部24と、この湾曲部24の基端部に配設された円筒部26とを備えている。円筒部26は、例えばSUS材などの硬質材により形成されている。また、円筒部26は、例えば銀材などにより、術者の手の力により容易に湾曲可能に形成されていても良い。
なお、挿入部12の外径、挿入部12の長さや湾曲部24の最大湾曲量等は、用途に合わせて適宜に設定される。例えば脳神経外科手術に使用する場合、挿入部12を挿入するための開頭量(開口量)を極力小さくした状態で吸引処置を行なうため、挿入部12の外径は4mm以下に形成されている。
図2(A)に示すように、挿入部12には、吸引チューブ30が挿通されている。この吸引チューブ30の先端部は、先端硬質部22の略中心軸上に形成された開口22a(図1参照)に連通された状態で固着されている。先端硬質部22の内周面と吸引チューブ30の外周面との間は、例えば接着により吸引チューブ30の外側と円筒部26の内側との間に液体が浸入することを防止すべく構成されている。
湾曲部24は、先端硬質部22の基端部の外周面を被覆するとともに、円筒部26の先端部の外周面を被覆するゴム材製の円筒形カバー(図示せず)を外周面に備えている。この円筒形カバーの内部には、複数の湾曲駒34が並設されている。各湾曲駒34はリング状に形成されている。隣接する湾曲駒34同士は、互いにリベット38によって回動可能に枢支されている。このとき、各湾曲駒34のリングの中心軸は共通であり、湾曲駒34は同一軸上に沿って並設されている。なお、吸引チューブ30は各湾曲駒34に挿通されている。
これら湾曲駒34の外側には、例えば金属材等の素線を編み込んだ編状管(図示せず)が被嵌されている。この編状管の外側には、上述したゴム材製の円筒形カバー(図示せず)が積層されて外装されている。
一方、これら湾曲駒34の内周面には、各湾曲駒34の中心軸に対して互いに対向する位置に1対の牽引ワイヤ42a,42bが支持されている。これら牽引ワイヤ42a,42bは、リベット38が配設された位置に対して90度異なる位置に配置されている。最も先端に位置する湾曲駒34は、先端硬質部22に固着され、または先端硬質部22の基端部に一体的に形成されている。最も先端に位置する湾曲駒34には、1対の牽引ワイヤ42a,42bの先端部が取着されている。具体的には、牽引ワイヤ42a,42bの先端部は、例えば半田等により強固に固定されている。
これら牽引ワイヤ42a,42bの基端部は、挿入部12の湾曲駒34の内部および円筒部26の内部を通して保持部14の内部に導かれている。これら牽引ワイヤ42a,42bの基端部は、それぞれ接続部材44a,44bによってそれに対応した湾曲操作ワイヤ46の一端部および他端部に対して個別的に接続されている。
湾曲操作ワイヤ46は、プーリ48に巻き付けられている。プーリ48と同一の軸には、保持部14の後述する保持部本体54に回動可能に支持された回転ノブ(湾曲操作部)50が装着されている。このため、回転ノブ50を回転させると、プーリ48も一緒に回動する。したがって、湾曲操作ワイヤ46は、プーリ48の回動に伴って進退する。
図1に示すように、保持部14は、術者に保持される保持部本体54と、湾曲部24を湾曲させる湾曲操作部としてプーリ48(図2(A)参照)および回転ノブ50とを備えている。図2(B)に示すように、保持部本体54には、吸引チューブ30が挿通された状態で内挿されている。上述したプーリ48は、保持部本体54の内部に回転軸48aが支持された状態で配設されている。回転軸48aの外周面と、保持部本体54との間には、吸引チューブ30の外周面と保持部本体54の内部との間の水密を図るOリング58が配設されている。プーリ48の回転軸48aは、保持部本体54の外部で回転ノブ50に接続されている。
図1に示すように、保持部本体54の基端部には、吸引チューブ30の基端部に連通されたチューブ取付口金56が配設されている。このチューブ取付口金56には、一端部に吸引ポンプ11が接続されたポンプ接続チューブ11aの他端部を接続可能である。
保持部本体54には、吸引チューブ30に連通し、術者の手の指等により開口量を調整し、吸引チューブ30内の吸引力を調整する吸引力調整用ポート(吸引力調整部)60が形成されている。このポート60は、吸引チューブ30の内部と保持部本体54の外部とを連通する。このため、このポート60を開口した状態では、吸引ポンプ11の動作により保持部本体54に形成されたポート60から外気を吸引する。ポート60を閉塞すると、吸引ポンプ11の動作により吸引チューブ30の先端部から組織等を吸引する。ポート60の開口量を術者の例えば親指で調整すると、ポンプ接続チューブ11aを通した吸引ポンプ11による吸引力を調整可能である。
次に、この実施の形態に係る吸引器10の作用について説明する。
例えば生体組織を開口してその体腔内を処置した後、処置した組織を血液や体液等とともに吸引除去する。すなわち体腔内から吸引対象物を吸引除去する。この場合、図3(A)に示すように、生体組織の開口部66から湾曲部24を真直ぐに伸ばした挿入部12を生体組織の開口によって形成された体腔内に挿入する。このとき、例えば右手で保持した保持部本体54のポート60を開口した状態で吸引器10の挿入部12を挿入する。
上述した吸引対象物64が例えば開口部66に対して体腔内の側部にある場合、湾曲部24を真直ぐに伸ばした状態では吸引対象物64を吸引することが出来ないので、湾曲部24を湾曲させて先端硬質部22を吸引対象物64に対して正対させる。
具体的には、湾曲部24を挿入部12の軸方向に対して上側に湾曲させるように保持部14の回転ノブ50を図3(B)中の符号U側に回転させる。すると、湾曲操作ワイヤ46、接続部材44aによって牽引ワイヤ42aが術者の手元側に引っ張られる。湾曲操作ワイヤ46、接続部材44bによって牽引ワイヤ42bが挿入部12の先端部側に押される。
そうすると、図2(A)に示す各湾曲駒34は、リベット38を支点として順次回動する。このため、湾曲部24が湾曲する。先端硬質部22は、湾曲部24が湾曲されることにより、吸引対象物64に対して正対される。
この状態で、保持部本体54のポート60を術者の右手の親指で閉塞し、吸引ポンプ11による吸引力を大きくして生体組織や体液等の吸引対象物64を吸引する。
吸引対象物64を吸引した後、回転ノブ50を符号D方向に回転させる。湾曲操作ワイヤ46、接続部材44aによって牽引ワイヤ42aが挿入部12の先端部側に押される。湾曲操作ワイヤ46、接続部材44bによって牽引ワイヤ42bが術者の手元側に引っ張られる。湾曲部24の長手軸を挿入部12の円筒部26の長手軸と同軸上にし、すなわち、挿入部12を真直ぐにして、挿入部12を体腔内から引き抜く。
以上説明したように、この実施の形態によれば、以下のことが言える。
挿入部12の先端部を湾曲させる湾曲部24を挿入部12の先端部に備えた。このため、挿入部12を真直ぐな状態にして体腔内挿入したときに吸引対象物64が体腔内の側方にあり、挿入部12が真直ぐな状態では吸引対象物64を吸引することが困難な場合であっても、湾曲部24を湾曲させることによって、先端硬質部22を吸引対象物64に出来る限り正対させて吸引対象物64を吸引することができる。保持部本体54を術者が片手で保持した状態で、湾曲部24の湾曲操作(回転ノブ50の回転操作)および吸引力の調整操作(ポート60の開口量の調整操作)をその保持部本体54を保持した片手で行なうことができるので、他方の手で他の処置具等を保持している場合であっても、湾曲操作および吸引力の調整操作を容易に行なうことができる。
なお、上述したように、湾曲部24には湾曲駒34が並設されていることを説明したが、湾曲駒34の代わりに例えばスリットを入れたパイプで形成することもできる。この場合、湾曲部24の外径を細くすることができるので、開口部66が狭い場合であっても挿入部12を体腔内に挿入して例えば体腔内の側方にある吸引対象物64の吸引操作を行なうことができる。
次に、第2の実施の形態について図4ないし図7を用いて説明する。この実施の形態は、第1の実施の形態の変形例であって、第1の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
図4に示すように、保持部14は、術者によって把持されるグリップ(保持部本体)72と、このグリップ72に一体的に形成されているとともに挿入部12の基端部に連結される連結部74とを備えている。連結部74の先端部には、挿入部12の基端部が固定されている。
保持部14は、略ピストル型に形成されている。形状的には、ピストルのグリップ/ハンドルがグリップ72に該当し、ピストルの銃身が連結部74に該当する。また、ピストルの銃腔/ボアが吸引チューブ30に該当する。ピストルの撃鉄/ハンマーが通常配置される位置には、回転ノブ(湾曲レバー)50、および吸引チューブ30に連通したポート60の両者が互いに近接した状態に並設されている。これら回転ノブ50およびポート60は、片手(例えば右手)の親指を移動させて操作可能である。
この回転ノブ50には、湾曲部24が所望の湾曲状態のときにその湾曲状態を固定する回転ノブストッパー76が装着されている。この回転ノブストッパー76は、グリップを把持した手の親指(例えば右手の親指)で操作可能である。この回転ノブストッパー76は、例えばグリップ72の内部に配設されたプーリ48の回転を許容する状態と、プーリ48の回転を停止させる状態とに切り替え可能に形成されている。この回転ノブストッパー76は、グリップ72に向かって押圧するとプーリ48の回転を停止させる状態に切り替えられ、さらにその押圧状態を維持可能である。押圧を解除すると、プーリ48の回転を許容する状態に切り替えられる。
連結部74の長手軸とグリップ72の長手軸とによって形成される面内に対して一側に回転ノブ50が配置され、他側にポート60が配置されている。さらに、先端硬質部22を術者に対して離隔し、グリップ72を術者に対して近接した位置に配置し、挿入部12の先端硬質部22が下側を向くように位置させた場合、術者から見て右側に回転ノブ50が配置され、ポート60が左側に配置されている。この場合、回転ノブ50、回転ノブストッパー76およびポート60を術者が片手の親指で操作することを考慮すると、右手でグリップ72を把持することが好ましい。逆にいうと、グリップ72を右手で把持するように、例えば右側に回転ノブ50を配置し、ポート60を左側に配置する。そうすると、回転ノブ50、回転ノブストッパー76およびポート60は互いに近接した位置に配置されているので、回転ノブ50の回動操作、回転ノブストッパー76の切り替え、およびポート60の開口量の調整を全て右手の親指だけで行なえる。
図5に示すように、吸引チューブ30は、挿入部12および連結部74に挿通された第1の吸引チューブ30aと、この第1の吸引チューブ30aの基端部で連通され、グリップ72に挿通された第2の吸引チューブ30bとを備えている。第2の吸引チューブ30bには、上述したポンプ接続チューブ11aが着脱可能である。ポート60は、第1の吸引チューブ30aの基端に形成されている。このため、第1の吸引チューブ30aと第2の吸引チューブ30bとは互いに連通され、かつ、ポート60も第1の吸引チューブ30aと第2の吸引チューブ30bとに連通されている。このため、ポート60の開口量が大きくなるにつれてポート60から第2の吸引チューブ30b内に流れ込む外気が吸引される吸引量が多くなる。ポート60の開口量が小さくなるにつれて第1の吸引チューブ30aの先端部、すなわち挿入部12の先端部から流れ込む外気が吸引される吸引量が多くなる。したがって、ポート60を閉塞した場合、第1の吸引チューブ30aの先端部から第1の吸引チューブ30a内に流れ込む外気が吸引され、第2の吸引チューブ30bおよびポンプ接続チューブ11aを通して図示しない袋等に溜められる。
連結部74は、グリップ72に対して一体的に連結された連結部本体74aと、この連結部本体74aの先端部に一体的に配設された屈曲部80とを備えている。この屈曲部80は、第1の吸引チューブ30aが挿通された外層チューブ82を備えている。この外層チューブ82は、例えばSUS材など、硬質材により形成されている。屈曲部80の外層チューブ82は、連結部本体74aに対して外径が縮小された状態で屈曲されている。
屈曲部80の外層チューブ82の長手軸は、連結部本体74aの長手軸とグリップ72の長手軸とによって形成される面内に配置されている。外層チューブ82の屈曲方向は、連結部本体74aの長手軸に対してグリップ72が屈曲された方向と同じ側である。すなわち、グリップ72と連結部本体74aと屈曲部80とにより形成される保持部14は、略逆U字状に形成されている。
連結部本体74aの長手軸とグリップ72の長手軸とによって形成される面内と同じ面内に挿入部12の円筒部26の長手軸が配置されている。すなわち、挿入部12の円筒部26、屈曲部80、連結部本体74aおよびグリップ72のそれぞれの長手軸は、同一面内に規定されている。このため、湾曲部24を湾曲させる場合、円筒部26に対する湾曲部24の湾曲方向が容易に認識される。
図6(A)および図6(B)に示すように、挿入部12の基端部は、屈曲部80の先端部に対して回動可能に形成されている。
図6(A)に示すように、屈曲部80の外層チューブ82の先端部には、径方向内方に突出した内方突出部84が形成されている。図6(B)に示すように、この内方突出部84の先端部には、半円状に切り欠かれた切欠部86が形成されている。
一方、図6(A)に示すように、挿入部12の円筒部26の基端部には、径方向外方に突出した外方突出部88が形成されている。この外方突出部88の基端部には、径方向外方に突出したフランジ部90が形成されている。このフランジ部90は、上述した内方突出部84の基端部に係合可能である。この場合、内方突出部84の内周面と、外方突出部88の外周面とは、互いに摺動可能に接触されている。
挿入部12の円筒部26の外方突出部88の先端部の外周面には、雄ネジ部88aが形成されている。屈曲部80の内方突出部84の外側には、内方突出部84の外周面を覆う回転ダイヤル(回動操作部)92が配設されている。回転ダイヤル92は円筒状に形成された円筒部94と、この円筒部94の先端部で径方向内方に突出され、上述した雄ネジ部88aに螺着可能に内周面に形成された雌ネジ部94aとを備えている。
屈曲部80の外層チューブ82の内方突出部84の外周面には、回転ダイヤル92の円筒部94の内周面に接触するOリング96が配設されている。このため、回転ダイヤル92は、屈曲部80の外層チューブ82の内方突出部84に対して水密状態を維持したまま回転可能である。
図6(A)および図6(B)に示すように、回転ダイヤル92の先端部には、回転ダイヤル92の軸方向に沿ってストッパーピン98が固定されている。このストッパーピン98は、上述した内方突出部84の切欠部86を移動可能である。すなわち、回転ダイヤル92は、切欠部86の範囲内のみ回動可能である。
1対の牽引ワイヤ42a,42b(図6(A)中では図示せず)は、第1の吸引チューブ30aの外周面と挿入部12の円筒部26の内周面との間に配設されている。このため、回転ダイヤル92の回転による挿入部12の回転に伴って捻じられる。そうすると、湾曲部24は、回転ダイヤル92の操作により、連結部74の長手軸と、グリップ72の長手軸とによって形成される面と、挿入部12の長手軸との両者に直交する面に対して表面側および裏面側に湾曲可能である。このため、挿入部12の長手軸周りの回動と湾曲部24の湾曲とを組み合わせることによって、先端硬質部22を挿入部12の長手軸に対して略360度方向に湾曲させることが可能である。
次に、この実施の形態に係る吸引器10の作用について説明する。
図7に示すように、例えば脳外科手術を行なう場合、吸引器10は例えば手術用顕微鏡100や内視鏡(図示せず)とともに使用される。顕微鏡100を用いて術部を観察する場合、通常は術部(開口部)66を真上から観察することが好ましい。さらに、術部の外科処置の終了後、吸引対象物64を吸引する場合であっても、吸引対象物64を確認するために手術用顕微鏡100を必要とする。
術者が顕微鏡100を使用して術部66を観察しながら、その術者は吸引器10の保持部14を例えば右手でピストルと同様にグリップ72を保持して開口部66から体腔内に挿入部12を挿入する。このとき、顕微鏡100の光軸と挿入部12とを並べた状態で開口部66から体腔内に挿入部12を挿入する。
保持部14が略ピストル型に形成され、連結部74の先端部に屈曲部80が形成されているので、顕微鏡100で術部66を観察しながら顕微鏡100に対して保持部14を離した状態で作業を行なうことができる。すなわち、吸引器10は、保持部14が顕微鏡100に対する干渉が防止された状態で挿入部12が開口部66から体腔内に挿入される。
挿入部12の長手軸を例えば鉛直方向に一致させた場合、グリップ72をピストルと同様に把持したときに、把持した手の手首を曲げる角度を極力小さくすることができる。このため、手の筋肉の緊張を和らげた状態でグリップ72が保持される。すなわち、無理な力を手に加えることなく、軽い力でグリップ72を保持して挿入部12を体腔内に挿入し、吸引処置を行なえる。
なお、開口部66から体腔内に挿入部12を挿入する場合、挿入部12を真直ぐに伸ばす。湾曲部24を湾曲させる回転ノブ50を中立の位置に配置し、回転ダイヤル92を中立の位置に配置する。すなわち、回転ダイヤル92のストッパーピン98を内方突出部84の切欠部86に対して最も離隔した位置に配置する(図6(B)参照)。
顕微鏡100を用いて開口部66から体腔内を観察した状態で、保持部14の回転ノブ50を右手の親指で回転操作し、湾曲部24を所望の湾曲状態に湾曲させる。この場合、回転ダイヤル92の回動を防止するように保持しておくと、湾曲部24は、連結部本体74aの長手軸とグリップ72の長手軸とによって形成される面内と同じ面内を湾曲する。湾曲部24が所望の湾曲状態にあるときに右手の親指で回転ノブストッパー76を操作して湾曲部24をその湾曲状態で固定する。
保持部14を適当な位置に保持した状態で回転ダイヤル92を回転させる。この場合、先端硬質部22が吸引対象物64に正対するように回転ダイヤル92を回転させる。右手の親指で保持部14のポート60を閉塞して吸引力を高めて吸引対象物64を吸引する。
吸引対象物64が複数ある場合、ある吸引対象物64の吸引終了後、右手の親指を動かしてポート60を開口する。すなわち、挿入部12の先端部からの吸引を止める。回転ノブストッパー76を右手の親指で解除して再び回転ノブ50を回転させて湾曲部24を所望の湾曲量に湾曲させる。湾曲部24が所望の湾曲状態にあるときに右手の親指で回転ノブストッパー76を操作して湾曲部24をその湾曲状態で固定する。先端硬質部22が吸引対象物64に正対するように回転ダイヤル92を回転させる。右手の親指で保持部14のポート60を閉塞して、吸引力を高めて吸引対象物64を吸引する。
吸引対象物64を吸引した後、右手の親指を動かしてポート60を開口する。回転ノブストッパー76を右手の親指で解除して再び回転ノブ50を回転させて湾曲部24を真直ぐに伸ばす。この状態で挿入部12を体腔内から抜き取る。
以上説明したように、この実施の形態によれば以下のことが言える。
挿入部12の長手軸周りの回動と湾曲部24の湾曲とを組み合わせることによって、先端硬質部22を挿入部12の長手軸に対して略360度方向に湾曲させることができる。このため、湾曲部24の湾曲によって先端硬質部22が近接する範囲内であれば、体腔内のどの位置に吸引対象物64がある場合であっても、保持部14を挿入部12の軸周りに回転させることなく、挿入部12の挿脱と組み合わせて吸引操作を行なうことができる。このように、保持部14を挿入部12の軸周りに回転させることを要しないので、吸引操作を容易に行なうことができる。
挿入部12の回動範囲を、連結部74の長手軸とグリップ72の長手軸とによって形成される面に対して対称的に規制したので、術者は常に回転ノブ50の操作方向に対する湾曲部24の湾曲方向を容易に認識することができる。また、回転ノブストッパー76が回転ノブ50の側部に配設されている。したがって、誤って意図しない方向に回転ノブ50を回転させたり、湾曲部24が湾曲することを防止することができる。
保持部14を略ピストル型に形成したことによって、保持部14のグリップ72の位置を顕微鏡100に対して離すことができるので、顕微鏡100と保持部14との間の干渉を防止することができる。また、例えば術部66を直視観察するような場合であっても、保持部14が観察の邪魔になることを防止することができる。
連結部74の先端部に屈曲部80を形成したことによって、顕微鏡100と保持部14との間の干渉を防止することができるとともに、保持部14のグリップ72の把持性を向上させることができる。具体的には、手の筋肉の緊張を和らげた状態でグリップ72を保持して挿入部12を体腔内に挿入し、吸引処置を行なうことができる。すなわち、無理な力を手に加えることなく、軽い力でグリップ72を保持して挿入部12を体腔内に挿入し、吸引処置を行なうことができる。
また、保持部14の回転ノブ50、回転ノブストッパー76およびポート60が互いに近接した位置に配置されている。グリップ72を右手で保持したときに、連結部74の長手軸とグリップ72の長手軸とによって形成される面に対して、回転ノブ50および回転ノブストッパー76を右側に、ポート60を左側に配置したので、右手の親指だけを動かすことによって回転ノブ50、回転ノブストッパー76およびポート60の操作を行なうことができる。したがって、例えば湾曲部24の湾曲操作や吸引操作をスムーズに行なうことができ、手術時間の短縮を図ることができる。そうすると、操作性の高い吸引器10を提供することができる。
なお、この実施の形態では、右手でグリップ72を把持するものとして説明したが、上記の構成を有する吸引器10を左手で保持しても良く、左手でグリップ72を保持する場合に合わせて上記構成を連結部74の長手軸とグリップ72の長手軸とによって形成される面に対して対称な状態に形成しても良い。
次に、第3の実施の形態について図8ないし図11を用いて説明する。この実施の形態は第2の実施の形態の変形例であって、第2の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
図8(A)に示すように、この実施の形態に係る吸引器10の回転ダイヤル92には、連結部本体74aの長手軸に略平行にグリップ72に向かって回転ダイヤル操作ノブ(延出部)92aが延出されている。この操作ノブ92aは、術者が右手でグリップ72を把持したときに、例えば右手の人差指で回転ダイヤル92の長手軸周りに回動可能である。ここでは図示しないが、回転ダイヤル操作ノブ92aに例えば右手の人差指を掛ける指掛孔を設けても良い。
図8(A)および図8(B)に示すように、保持部14のポート60には、例えば2つの開口を有するキャップ112が装着されている。キャップ112は、例えば挟み型やカップ型などの開閉型等の処置具120が挿通される第1の開口部(処置具挿通孔)60aと、術者が指で開口量を調整する第2の開口部60bとを備えている。第1の開口部60aは弾性変形可能で、その口径は、処置具120の後述する処置具挿入部122の外径よりも僅かに小さく形成されている。このため、処置具120は、第1の開口部60aに対して弾性変形により挿入可能である。
図9に示すように、処置具120は、第1の吸引チューブ30a内を挿通可能な処置具挿入部122と、この処置具挿入部122の先端部に配設された例えば開閉型の処置部124と、処置具挿入部122の基端部に配設された開閉操作部(処置具操作部)126とを備えている。
処置具挿入部122は、第1の吸引チューブ30aの内部を通して第1の吸引チューブ30aの先端から突出される長さに形成されている。開閉操作部126は、通常使用時に人差指および中指を引っ掛ける指押さえ126aと、通常使用時に親指を引っ掛ける操作リング126bとを備えている。処置具挿入部122の内部には、処置部124と開閉操作部126の操作リング126bとを連結するワイヤ(図示せず)が挿通されている。指押さえ126aに対して操作リング126bを近接させると処置部124が開き、離隔させると処置部124が閉じる。
図10に示すように、連結部本体74aには、処置具120の開閉操作部126を保持する処置具装着用ホルダ130が着脱可能である。
図11(A)に示すように、処置具装着用ホルダ130は、連結部本体74aの外周面に着脱可能な略C字状の連結部装着体132を備えている。この連結部装着体132は、連結部本体74aへの装着時には開き、装着されると閉じる弾性(バネ性)を備えている。この連結部装着体132の一端部および他端部は、互いに離隔する方向に向かって丸められて連結部本体74aに着脱されるときに連結部本体74aに引っ掛けられることが防止される。
この連結部装着体132には、開閉操作部126を着脱可能な略C字状の処置具操作部装着体134が背中合わせに連結部材136によって配設されている。連結部装着体132および処置具操作部装着体134は、互いに離隔した位置に開口部が配設されている。この処置具操作部装着体134は、処置具120の開閉操作部126が装着される際に開き、装着されると閉じる弾性(バネ性)を備えている。この処置具操作部装着体134の一端部および他端部は、互いに離隔する方向に向かって丸められて開閉操作部126が着脱されるときに開閉操作部126に引っ掛けられることが防止される。
処置具操作部装着体134には、指押さえ126aを支持する位置を規定する切欠き138が形成されている。このため、処置具操作部装着体134に処置具120の開閉操作部126が装着されると、指押さえ126aが切欠き138に支持されるので、操作リング126bは指押さえ126aに対して容易に接離可能である。
このとき、操作リング126bは、回転ノブ50および回転ノブストッパー76の略側部でこれらの近傍に配置されている。このため、例えば操作リング126bに例えば右手の人差指を引っ掛けると、指押さえ126aは処置具装着用ホルダ130によって位置が固定された状態で支持されているので、操作リング126bは指押さえ126aに対して接離可能である。
次に、この実施の形態に係る吸引器10の作用について説明する。
図8(A)および図9に示すように、キャップ112をポート60に装着する。このとき、キャップ112は、第2の開口部60bが回転ノブ50に対して近接した状態に装着する。
保持部14のポート60に装着されたキャップ112の第1の開口部60aから処置具120を挿入する。ポート60は第1の吸引チューブ30aの長手軸上に形成されている(図9参照)ので、処置具120の処置部124および処置具挿入部122は、第1の吸引チューブ30a内を挿入部12の先端部に向かって挿通され、挿入部12の先端部から突出される。
開口部66から体腔内に挿入部12を挿入する場合、挿入部12を真直ぐに伸ばす。湾曲部24を湾曲させる回転ノブ50を中立の位置に配置し、回転ダイヤル92を中立の位置に配置する。
顕微鏡100を用いて開口部66から体腔内を観察した状態で、保持部14の回転ノブ50を右手の親指で回動操作し、湾曲部24を所望の湾曲状態に湾曲させる。湾曲部24が所望の湾曲状態にあるときに右手の親指で回転ノブストッパー76を操作して湾曲部24をその湾曲状態で固定する。
保持部14を適当な位置に保持した状態で右手の人差指を使って回転ダイヤル92の回転ダイヤル操作ノブ92aを回動させる。この場合、先端硬質部22が吸引対象物64に正対するように操作ノブ92aを回動させる。
処置具120を吸引器10の保持部14のグリップ72を把持した手(右手)と反対の手(左手)で操作する場合、左手の人差指と中指を指押さえ126aに引っ掛け、左手の親指を操作リング126bに引っ掛けて処置部124の操作を行なう。処置具挿入部122を所望の方向に湾曲させる必要がある場合、保持部14の回転ノブ50を操作して挿入部12の湾曲部24を湾曲させる。すると、処置具挿入部122も湾曲部24の湾曲に追従して湾曲する。
一方、処置具120を保持部14のグリップ72を把持した手(右手)で操作する場合、図10に示すように、処置具装着用ホルダ130を保持部14の連結部本体74aに装着する。
処置具120の操作リング126bに右手の人差指を引っ掛けて指押さえ126aに対して右手の人差指を接離させる。操作リング126bを指押さえ126aに対して近接させると処置部124が開き、操作リング126bを指押さえ126aに対して離隔させると処置部124が閉じる。このようにして、処置具120を用いて各種の処置を行なう。処置の終了後、処置具120を第1の吸引チューブ30aから引き抜く。他の処置を行なう場合、他の処置具120の処置部124および処置具挿入部122を第1の吸引チューブ30a内を通して挿入部12の先端部から突出させて処置を行なう。
2つの処置具を同時に使用する場合、一方の処置具120を第1の吸引チューブ30a内を挿通させ、他方の処置具を開口部66から体腔内に挿入して、2つの処置具で処置を行なう。
処置の終了後、処置具120を第1の吸引チューブ30aから引き抜く。
右手の親指で保持部14の第2の開口部60bを閉塞して吸引力を高めて処置具120で処置したことによって生じる生体組織、その処置対象の生体組織の洗浄液や血液等の吸引対象物64を吸引する。
以上説明したように、この実施の形態によれば、以下のことが言える。
第1の吸引チューブ30aを処置具120を挿通させる処置具挿通チャンネルとして使用することができる。このため、吸引器10としてだけでなく、処置具導入具(処置具誘導装置)としても使用することができる。そうすると、挿入部12の湾曲部24を湾曲させることによって、処置具120の挿入部122を追従して湾曲させて処置部124を所望の方向に向けることができる。したがって、処置具120自体に湾曲機能を持たせることなく、処置具挿入部122を所望の方向に湾曲させることができる。
処置具装着用ホルダ130を使用しない場合、例えば左手で処置具120の開閉操作部126を保持しながら処置部124で処置を行なうことができる。このため、処置具120を吸引器10の外側から配設して処置を行なうよりも、手術効率を向上させることができる。
回転ダイヤル92を回動させる回転ダイヤル操作ノブ92aをグリップ72の近傍でグリップ72を把持した手指で操作可能な位置に配置した。このため、例えば右手でグリップ72を把持した状態で回転ダイヤル操作ノブ92aを右手の人差指で回動操作することができる。
また、処置具装着用ホルダ130を使用する場合、例えば左手が空くので、左手で例えば処置具等を保持しながら処置を行なうことができる。このため、同時に2つの処置具を使って外科的処置を行なうことができ、手術効率を向上させることができる。
この場合、吸引器10は、回転ノブ50、回転ノブストッパー76、第2の開口部60b、回転ダイヤル操作ノブ92a、および操作リング126bを保持部14のグリップ72を握った状態で片手で操作可能である。具体的には、回転ノブ50、回転ノブストッパー76、および第2の開口部60bは右手の親指で操作することができる。回転ダイヤル操作ノブ92aよび操作リング126bは右手の人差指で操作することができる。すなわち、グリップ72を持ち替えたりすることなく、湾曲操作、吸引操作、処置具120の操作等、全ての操作を片手で行なうことができる。
これまで、いくつかの実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明したが、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で行なわれるすべての実施を含む。
[付記]
(付記項1) 吸引チューブが挿通された挿入部と、
前記吸引チューブが挿通された状態で前記挿入部の基端部に設けられ、術者に保持される保持部と、
前記吸引チューブの内部と外部とを連通し、前記吸引チューブ内の吸引力を調整する吸引力調整部と
を具備する吸引器において、
前記挿入部の先端部に設けられ、前記挿入部の先端部を湾曲可能な湾曲部と、
前記挿入部の基端部側に設けられた状態で前記湾曲部に連結され、前記湾曲部を湾曲操作可能な湾曲操作部と
をさらに具備することを特徴とする吸引器。
(付記項2) 先端部に湾曲可能な湾曲部を有し、体腔内に挿入される挿入部と、
前記挿入部の基端部に設けられており、前記湾曲部に連結され、前記湾曲部を湾曲操作可能な湾曲操作部を有し、術者に保持される保持部と、
前記挿入部および保持部に挿通された吸引チューブと、
前記吸引チューブの内部と外部とを連通し、前記吸引チューブ内の吸引力を調整する吸引力調整部と
を具備することを特徴とする吸引器。
(付記項3) 前記挿入部は、前記湾曲部の基端部に硬質の円筒部を備えていることを特徴とする付記項1もしくは付記項2に記載の吸引器。
このため、挿入部を体腔内に挿入したときに、湾曲部を所望の方向に湾曲させるだけで、吸引対象物の方向に挿入部の先端部を向けることができる。
(付記項4) 前記挿入部は、前記湾曲部の基端部に術者の手の力により所望の方向に湾曲可能な円筒部を備えていることを特徴とする付記項1もしくは付記項2に記載の吸引器。
そうすると、保持部を所望の位置に配置することができるので、操作性を向上させることが可能である。
(付記項5) 前記湾曲操作部と前記吸引力調整部とは、前記保持部に互いに近接された状態で並設されていることを特徴とする付記項1ないし付記項4のいずれか1に記載の吸引器。
このため、例えば右手など、片手で保持部を保持した状態で、右手の指を使って湾曲操作部および吸引力調整部を操作することができる。
(付記項6) 前記保持部は、
術者に保持されるグリップと、
前記グリップの長手軸と交わる長手軸を有し、前記グリップと前記挿入部の基端部との間に配設された連結部と
を備えていることを特徴とする付記項1ないし付記項5のいずれか1に記載の吸引器。
このため、挿入部に対して操作し易い角度に連結部およびグリップの角度をそれぞれ任意に規定することができる。そうすると、使用時の把持性を向上させることができ、かつ、例えば顕微鏡を使用する場合に、顕微鏡に対してグリップが干渉する(邪魔になる)ことが防止される。
(付記項7) 前記連結部は、前記グリップに連結された連結部本体と、前記挿入部の基端部に連結され、前記連結部本体の長手軸に対して異なる方向に長手軸を有する屈曲部とをさらに備え、
前記グリップの長手軸と前記連結部本体の長手軸と前記屈曲部の長手軸とは、同一の面内にあることを特徴とする付記項6に記載の吸引器。
挿入部の基端部に連結する屈曲部を設けたので、例えば顕微鏡に対して保持部全体が干渉することが防止される。
(付記項8) 前記グリップ、前記連結部本体、前記屈曲部および前記挿入部の各長手軸は同一の面内にあり、これら長手軸を合わせると略U字型に形成されていることを特徴とする付記項7に記載の吸引器。
そうすると、挿入部を体腔内に挿入している際のグリップの把持性を向上させることができる。すなわち、楽な姿勢でグリップを把持することができる。
(付記項9) 前記連結部は、前記挿入部をその長手軸回りに回動可能な回動操作部を備えていることを特徴とする付記項6ないし付記項8のいずれか1に記載の吸引器。
このため、湾曲部に湾曲範囲を前記グリップ、前記連結部本体、前記屈曲部および前記挿入部の各長手軸の面上だけでなく、挿入部の軸周りにも範囲を広げることができるので、術者の手に把持されるグリップを移動させることなく、複数の箇所を吸引操作することができる。
(付記項10) 前記回動操作部は、前記グリップに向かって延出された延出部を備えていることを特徴とする付記項9に記載の吸引器。
このため、グリップを把持した手で延出部を操作することができるので、片方の手を空けることが可能である。
(付記項11) 前記湾曲部は、前記グリップの長手軸と前記連結部の長手軸とにより形成される面に直交し、前記挿入部の長手軸に平行な面に対して対称的に湾曲可能に形成されていることを特徴とする付記項6ないし付記項10のいずれか1に記載の吸引器。
挿入部を真直ぐにした状態を中立位置とすると、挿入部の中立位置(中心軸)に対して対称的に湾曲部を湾曲させることができる。
(付記項12) 前記吸引チューブは、
前記吸引力調整部を基端部に有し、前記挿入部および前記連結部に挿通され、前記吸引力調整部から処置具を挿通可能な第1の吸引チューブと、
前記第1の吸引チューブに連通され、前記保持部に挿通された第2の吸引チューブと
を備えていることを特徴とする付記項6ないし付記項11のいずれか1に記載の吸引器。
このため、第1の吸引チューブに処置具を挿入可能であり、吸引器を処置具誘導装置として使用することができる。保持部に吸引チューブを内蔵したので、保持部を保持する際に邪魔になることがない。
(付記項13) 前記吸引力調整部は、
前記処置具が挿通される処置具挿通孔と、
この処置具挿通孔に隣接して配置され、術者によって開口量が調整される開口量調整孔と
を備えていることを特徴とする付記項12に記載の吸引器。
このため、処置具挿通孔に処置具を挿通することによって、処置具を挿通することができ、開口量調整孔の開口量を調整することによって、吸引力を調整することができる。
(付記項14) 前記連結部は、前記処置具の操作部を着脱可能で、前記連結部に着脱可能なホルダを備えていることを特徴とする付記項12もしくは付記項13に記載の吸引器。
このため、連結部にホルダを装着した状態で、そのホルダに処置具の操作部を装着すると、グリップを把持した手の指で処置具の操作部を操作することができる。このため、片手を空けることができる。
(付記項15) 吸引チューブが挿通され、先端部に湾曲可能な湾曲部を有する挿入部と、
前記挿入部の基端部に設けられているとともに前記吸引チューブの基端部が挿通され、術者に保持される保持部と、
前記保持部に設けられ、前記挿入部の基端部側に設けられた状態で前記湾曲部に連結され、前記湾曲部を湾曲操作可能な湾曲操作部と
前記保持部に設けられ、前記吸引チューブの内部と外部とを連通し、その開口量が調整される開口部と
を具備することを特徴とする吸引器。
(付記項16) 体腔内に挿入される略硬性の挿入部と、
術者が手で保持する保持部と、
吸引量を調整可能な吸引量調整手段と
を具備する吸引器において、
前記挿入部の先端部に湾曲可能な湾曲部を有するとともに、前記湾曲部を湾曲操作させる湾曲操作部を有することを特徴とする吸引器。
(付記項17) 前記挿入部と前記保持部とを所定の角度で接続可能な連結部を有するとともに、前記連結部に前記吸引量調整手段と前記湾曲操作部とを設けたことを特徴とする付記項16に記載の吸引器。
(付記項18) 前記吸引量調整手段と前記湾曲操作部とは、前記連結部の同一面、かつ、前記挿入部の軸線に対して対称な位置に配置されていることを特徴とする付記項16もしくは付記項17に記載の吸引器。
(付記項19) 前記挿入部は、前記連結部に対して回転可能であることを特徴とする付記項16ないし付記項18のいずれか1に記載の吸引器。
(付記項20) 前記挿入部の回転量を調整する回転調整手段を前記連結部に備えたことを特徴とする付記項19に記載の吸引器。
(付記項21) 前記挿入部の回転範囲は、前記湾曲部の湾曲方向に対して対称であることを特徴とする付記項19もしくは付記項20に記載の吸引器。
(付記項22) 術者が前記保持部を保持した際、前記吸引量調整手段および前記湾曲操作部を親指で操作可能な位置に配置し、回転調整手段を人差指で操作可能な位置に配置したことを特徴とする付記項20もしくは付記項21に記載の吸引器。
(付記項23) 前記吸引量調整手段の一部から処置具が挿通可能な開口部を備えていることを特徴とする付記項16ないし付記項22のいずれか1に記載の吸引器。
(付記項24) 前記処置具の操作部が前記連結部に着脱可能な着脱部を備えていることを特徴とする付記項16ないし付記項22のいずれか1に記載の吸引器。
10…吸引器、12…挿入部、14…保持部、22…先端硬質部、22a…開口、24…湾曲部、30…吸引チューブ、34…湾曲駒、38…リベット、42a,42b…牽引ワイヤ、44a,44b…接続部材、46…湾曲操作ワイヤ、48…プーリ、48a…回転軸、50…回転ノブ